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929 名前:狂宴高校の怪 第11話(強襲編)[sage] 投稿日:2011/07/01(金) 22:16:25 ID:7pZXR1rY [7/10] ――――――――――  あれれ?何で?私は処女だよ?普通なら挿入したら血が出ちゃうはずだよ?痛いって皆から聞いたよ?最初はきつくて中々入っていかないらしいけど、するすると入っていくよ?  どうして?私の体なのに分からない。私の体じゃないみたい。 何で? 「何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?」  声に出しても分からないよ。私の体は私のもの?なのに分からない?じゃあ誰のもの?  いくら動いても痛くないよ?はじめてなのに、はじめて・・・なの・・・に? あれ? 「こ・・・ま・・・ちゃお・・・ぜ。」 「てき・・・まわし・・・ぜ。」 「おい・・・こい・・・」 「処女だぜ?」 「マジで!ウヒョー!はじめていただきー!」 「アアアアアァァァァァ!!!!!」  挿入されたことで強制的に呼び戻される過去の記憶。  やめて!せっかく忘れていたのに!呼び戻さないで!私を狂わせないで!これ以上狂わせないで! ――――――――――  キーンコーンカーンコーン。  チャイムが響き渡る。一人の少女が狂気の過去をめぐる。 930 名前:狂宴高校の怪 第11話(強襲編)[sage] 投稿日:2011/07/01(金) 22:17:30 ID:7pZXR1rY [8/10] ―――――――――― 「じゃあまた明日ね。」  四年前、私は引っ越したばかりの新天地に慣れないでいた。新しくできた友達と別れた後は、手探りで家を探す。家が近くにあるのはわかるんだけど、中々帰れないでいた。 「えっと・・・。この辺りだったかな・・・?」  全然分からない。どうしようかな、とりあえず家に連絡してみようかな。  ん?私の後ろに人がいる?この辺りは人が少ないから、人の足音が普通より聞こえてくる。  あれ?足音が速くな・・・。 「ん・・・。」  頭が痛い・・・。道を歩いていたら、急に目の前が真っ暗になった。  とりあえず起き上がろうかな。力を加える。しかし・・・。 「お嬢ちゃん、こんな時間に一人で歩いてたら危険だよ?」  誰?このおじさんは・・・。ふと周りを見渡すと、このおじさん以外にも二人ぐらいいる。向こうからまた三人やって来た?合計で六人? 「おじちゃん達が夜の怖さってやつを女の快感と一緒に教えてあげるよ。ヒヒヒヒヒ!」  どういうこと?何を言ってるの?何でおじさん達は私の前でズボンを脱ぐの?何で私の手を掴んで・・・私のスカートを脱がすの? 「いやぁ!誰か助け」 「おいお前!口に突っ込んで叫べなくしろ!」  ぐぼぁ!見ず知らずのおじさんのが私の口に無理矢理!吐き出したいけど吐き出せない!誰か助けて! 「いけね!ローション忘れちまった!仕方ねぇ、いきなりいくか!」  え?嘘!?はじめてなのに!はじめてなのにぃぃぃ!!! ズボッ! 「ん”ん”ん”ん”ん”ーーーーー!!!!!」  痛い!すごい痛い!誰か助けて!助けて! 「おぉ、すげぇきつい・・・。」 「おい!速くしろよ!」  いやぁ!やだ!はじめてがこんなのなんて嫌だ!!! 私ははじめてを捧げたい人がいたのに!  助けて!助けて!―――!  あれ?何で?心に決めた私の好きな人、一生隣にいようと決めた私の大好きな人!  何で?何で名前が出てこないの? 「―――!―――!―――!」  いくら叫ぼうが、声は意味を持たない。彼の顔が、名前が出てこない! 「だいじょうぶ!くどになにかあったら!ぼくがまもるから!」  幼少期に一緒に遊んでいた幼馴染み。ずっと好きだった彼。彼に想いを伝えられないまま、私は転校してしまった。  その彼の名が言えない!守ってほしい!私を助けて!お願い!助けに来て!―――!―――!―――! 「うは!もう出そう!なかに出しちゃおっと!」  いやぁ!―――!助けて!  気づけば私は、近くの公園に倒れていた。私の下半身は、ぐしゃぐしゃになっていた。  ・・・私は泣いた。泣くしか出来なかった。私は彼に励まして欲しかった。あの時みたいに私を抱いて、励まして欲しかった。  今となっては名前も、声も、顔も、言葉も思い出せない。  私は激しく泣いた。記憶に残るか残らないかのみの存在となった彼にすがるように。 931 名前:狂宴高校の怪 第11話(強襲編)[sage] 投稿日:2011/07/01(金) 22:18:37 ID:7pZXR1rY [9/10] ―――――――――― 「そっか、私、処女じゃなかったんだ・・・。」  記憶がよみがえった。忘れていた四年前の記憶、失われし狂気の記憶。 「あは、あはは、あはははははははは!!!」  笑いが込み上げてきた!もう私は彼を愛せない!絶望が波、いや、津波となって襲いかかる! 「クドさん・・・。」  ナオさん?何で泣いてるの? ―――――――――― 「クドさんの辛い気持ち・・・すごくわかります・・・。でもクドさん、あなたがやっていること、それも変わらないのではないのでしょうか?あなたは無理矢理コイル君を拘束した。」 「うるさい!あんたなんかに私の気持ちがわかるか!」  私はクドさんの思いは分からない。でも、私は彼女の気持ちは分かる。  クドさんの今の気持ちが分かる。クドさんは心のよりどころが欲しかったのだろう。それがコイル君だ。 「あなたがやっていることは、あなたに狂気を植え込んだ人達と変わりありません!」 いつのまにか、私の目からは涙が流れていた。自分でも止められないほどに流れる涙。 「クド・・・。」  コイル君? ――――――――――  コイル君の目が涙目に?私のために泣いてくれてるの? 「クドなりに辛い思いをしたんだろう。でも、それを俺達で共有すればお前も苦しまずに済む。クドが苦しむ時、俺達も一緒に苦しむよ。 大丈夫。クドに何かあったら、俺が守るから。」  言葉の一つ一つが心を洗い流すかのようだ。  私は今、コイル君に抱かれている。暖かい、この暖かさ、私の心を優しく包み込む。 「先の未来は誰にも分からないだろ?クド、お前が想い続ければきっと想いは届く。それが俺でも・・・な。」 「うん・・・うん!」  私は彼に抱かれて泣いた。彼の胸の中が一番落ち着く。 「さ、学校行くぞ。夕方から発表部門の練習だ。」 「うん!」  私は彼におんぶしてもらった。背中で私はまた泣いた。でも、あの時の涙とは違う。優しく、暖かい涙。  彼は私の涙をずっと背中で受けてくれた。  私は、そんな彼に懐かしさを覚えた。

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