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183 名前:依存型ヤンデレの恐怖 ◆a5x/bmmruE[sage] 投稿日:2011/10/27(木) 00:08:28 ID:/Z6GsdR2 [2/5] 良くも悪くも家の食卓は賑わうようになった。 そう思う…。 未夢とキサラギの放つ殺伐とした空気の中、食事は淡々と進んだ。 「はい!」 不意にキサラギが挙手する。嫌な予感しかしないが無視する訳にもいかんだろう。 「何だ、言ってみろ」 「はい!ウチ、これからはリューヤ先輩のペットですから、好きな時に先輩の服着たり、匂い嗅いだりしてもいいんですよね?」 「変態」 「あうっ」 涙目のキサラギ。ショックを受けるうちは更生の余地はあるのかもしれない。 一方の未夢は燃えるような目でキサラギを睨み付けている。 こいつらの修羅場は既に確定事項だ。何らかの手を早急に打たねばならない。 「未夢…」 未夢の頭を撫でる。 「あっ…」 驚いている。 そして次第に表情が溶けていく。 こいつのアホ差加減は危険だ。 しっかり手綱を握っておかないと、キサラギにやっつけられてしまう。 こんなヤツでも預かってるからな、怪我はさせられん。 「先輩…なんで?」 「変態」 とりあえずキサラギにはこれで充分だ。 未夢の顔に余裕が戻って来る。 しかし…悪そうな顔で笑うようになった。 以前の天然ロリータフェイスが懐かしい。 「キサラギ、お前は何もしないうちからご褒美を要求するのか?」 俺も悪どくなった。いくら変態の手綱を握るためとはいえ、こんな思ってもないことを。 「ご褒美、ですか…?」 ゴクリと息を飲むキサラギ。 「ああ…」 「そ、それはどうしたら…貰えるんですか…」 「俺の家ではな…約束が多いヤツほどエラいんだ」 「約束…?」 未夢が、コホンと咳払いする。 「よし、未夢、言ってみろ」 真剣な面もちで頷く未夢。もう馬鹿の固まりにしか見えない。 「未夢とリューヤのお約束!」 「一つ!リューヤのパンツは履かない!」 「はうっ!」 キサラギ…何故驚く。 「一つ! リューヤの家では、オ、オナニー禁止っ!」 流石の未夢もオナニーと叫ぶのは抵抗があるようだ。少し噛んだ。 「ああっ…」 絶望するキサラギ。こいつはやっぱり変態だ。 「一つ!リューヤの家では…へっ、変態禁止っ!うわーん!」 未夢…泣くほど変態禁止は辛かったのか。 ……いい気味だ。 「……」 そして呆然とするキサラギ。最早言葉もないようだ。 「そ、そんなぁ…ウチ…何にもできないじゃないですかぁ…」 知るか! 何考えてたんだ! 184 名前:依存型ヤンデレの恐怖 ◆a5x/bmmruE[sage] 投稿日:2011/10/27(木) 00:10:18 ID:/Z6GsdR2 [3/5] …そして俺はキサラギに提案する。 「お前も、俺との間に誓いを結ぶか?」 「誓い…ですか?」 キサラギはあまり、ピンと来ないようだ。まあ、無理もない。 そこで言ってやる。変態にとって魅力的な条件を。 「…頭ナデナデが付いてくる」 「!」 キサラギは一瞬目を見開いたが、不満げに視線を逸らした。 「そ、それだけですか?」 揺れてる。揺れてる。 「まさかな…前抱っこでの背中ぽんぽんが付いてくる」 「ま、前抱っこ!…有り得ない!」 駄目を押してやる。 「ちなみに未夢は、第三段階のお腹すりすりまではゲットしている」 「なっ!?」 目を潤ませ、未夢を睨むキサラギ。 「ウチ…何でもしますから!」 ブラボー。 これで、キサラギにとりあえずの鎖をつけることが出来た。 しかし…涙目になるほどいい条件か? 「それで先輩、ウチの呼び方なんですけど、ウチの名前はキサラギ―――」 「お前はキサラギだ。それ以上でも以下でもない」 遮って言う。 キサラギは、キサラギだ。俺の後輩だ。 こいつは変態だが、それでもやっぱり人間だ。 俺のためにも、いつかは更生させてやる。 「そ、それで、何約束…したらいいんですかぁ…?」 掠れた声を出すキサラギ。その目が情欲に曇っている。少し煽り過ぎた。 「未夢に対する暴力禁止」 悪いがマジ約束してもらう。 「……」 おー、おー、目つきが変わったな。それが本性か。 「リューヤ先輩の言う事でも、いや、リューヤ先輩だからこそ、それを聞くわけにいかない」 来た。マジ答え。口調もはっきりしてる。だから俺は嫌だったんだ。 「リューヤぁ…お風呂ぉ…」 未夢の馬鹿がこの状況下で爆弾を投下する。 「……」 おー、キサラギすげぇ、ナイフみたいな目だ。 俺はキサラギのことをほとんど知らない。ただの変態ならいいが、キサラギはそうでない。 危険な変態だ。 俺は未夢で変態慣れしている。 その直感が、告げるのだ。この変態は危険であると。 「飲めないならいい。お前は、この場でリリースする」 本当はそれが一番いい。危険な変態を野に放つことになるがそれはそれだ。身近な変態は一人で充分だ。 「そ、そんなぁ…ウチ…ウチ…せっかく…」 しどろもどろになるキサラギ。どんだけ未夢を害したいんだ。 185 名前:依存型ヤンデレの恐怖 ◆a5x/bmmruE[sage] 投稿日:2011/10/27(木) 00:10:56 ID:/Z6GsdR2 [4/5] 「時間切れだ。キサラギ、帰れ」 「うあっ…」 キサラギの目に、じわっと涙が浮かぶ。 危険な変態に考える暇などやらない。ここまでのやり取りでこいつの危険性はある程度掴んだ。後はもうそれを離さん。 いや、離れていくのが一番いい! 「わかった!わかりましたからぁ…!」 「よし!では帰れ!」 「なっ!なんでですかぁ!ウチ、約束できます!」 「馬鹿っ、もう夜だ。そういう意味だ」 「ああ…」 安堵したのか胸をなで下ろすキサラギ。 「ウチは大丈夫です。もう先輩のペットですから」 帰らんという事か。どんだけ俺に飼われたいんだ。 この変態のせいで、今日は学校にも行けなかったというのに。 「それに、ウチ一人暮らしですし」 「……」 だが意表を突かれたな。こいつを知るのも今後の課題という事か。

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