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362 :サイエンティストの危険な研究 最終話:2011/11/06(日) 21:23:50 ID:lIuarwG2
俺はゆっくり目を開けた。現在午前十時、祐希が来るのは昼過ぎだ。
「よし・・・やってやる。」
軽く意気込んでパソコンを起動させ、俺は部屋を出た。
「・・・・・・・・・。」
ただ黙って部屋にいるだけの存在、一昨日から一歩たりとも動いてない。俺は勇気を出してそいつに話しかけた。
「翔子・・・今日の昼過ぎに祐希が来る。」
それを聞いた瞬間、今まで全く動かなかった妹が動いた。俺の胸ぐらを掴んで声を荒げる。
「本当に来るの!?嘘じゃないでしょうね!?」
「嘘言ってどうするんだよ。」
妹の表情が一気に引き締まる。これは決意の表情だ。
「わかったわ・・・待っててね、お兄ちゃん・・・腐れ外道の洗脳をすぐに解いてあげるから!」
そう言って妹は部屋を飛び出た。
「よし・・・準備完了だ!」
昨日のうちに立てておいた朝の計画は完遂された。後は映像を解析班と研究チームの全員で見るだけだ。
ピンポーン!
まさか・・・もう来たのか?いや、そんなはずはない。兄はまだ外出中だし、祐希が早く来ることもない。じゃあ誰だ?
「亮ちゃ~~~ん!!!遊ぼうよ~~~!!!」
なんだ友里か・・・。相変わらずしつこいやつだ。しかし今日という今日は完全無視だ。俺にとって今日は大切な一日なのだから。しっかりと鍵もかかってるから上がってくることはないだろう。
「亮ちゃん!いないの~!?開けるね~!」
「・・・え?」
瞬間、金属と金属が激しくぶつかり合う音が響いた!
「うわぁ!」
思わず耳を塞ぐ。しかし、ドアの向こうの友里は音を止めない。そして音が鳴るたびに、ドアのノブが少しずつ変形していった。まさか・・・鍵を破るつもりか!?
「もう硬いよー!えぇい!」
何度も何度も打ち付けていく。いつしかノブはひしゃげてしまい、鍵はその役目を放棄した。ゆっくりと開かれる扉、その先にいたのは、満面の笑みを浮かべ、右手にゴルフクラブを持った友里だった。
「亮ちゃ~~~ん!やっと会えた~!」
ゴルフクラブを捨てて、満面の笑みのまま飛び込んでくる友里を、かろうじてかわす。飛び込んだ勢いのまま地面に倒れる友里だが、顔はまだ笑顔だ。
「何で逃げるの~!?私だよ?友里だよ?亮ちゃんの妻だよ?」
再び歩み寄ってくる友里、気味が悪い。今までは学校だったから何となく抑制されていたのかもしれないが、校外じゃやりたい放題だ。まさか鍵を破るとは・・・。
「ねぇ遊ぼう~!昼は色々お話しして~、夜はベッドの上で遊ぼう~!」
何を言っているんだこいつは。相手にしない方がいいな。
「友里、帰れ。」
「何で何で何で何で何で!?」
詰め寄る友里。
「はっきり言わせてもらうがな、俺にとってお前は邪魔以外の何者でもないんだ。」
「私・・・邪魔者?」
「あぁ邪魔だ。今すぐ消えろ。」
それを聞いた瞬間、友里の目が暗く染まった。まるで一昨日の妹みたいだ。まさしく狂った目だ。
膝から崩れ落ちる友里。それを気にせず俺は部屋に戻った。
「亮ちゃ・・・嫌わ・・・・・・やる・・・お兄・・・。」
何かうわ言のように呟いていたようだが、遠くて聞き取れなかった。
363 :サイエンティストの危険な研究 最終話:2011/11/06(日) 21:24:27 ID:lIuarwG2
時刻は正午、チャットには研究チーム全員、そして解析班がログインしていた。
リョウ:ではこれからwebカメラの映像を表示させます。
村田:おぉリョウさん待ってました!
マルキ:今繋いでます?画面真っ暗ですが。
リョウ:すいません、今繋いでいます。
スーケ:おぉ映りました!居間かなんかですか?
村田:誰もいないですが・・・?
リョウ:一応昼過ぎという予定でしたのでもう少しお待ちください。
タヤマ:ちなみに自分達は何をすれば?
リョウ:解析班には被験者二人の脳内物質などの解析をしてほしいのです。後の人達も気づいた点や考察、分析結果などをまとめてください。
村田:俺らっているか?
マルキ:いやいるだろ。
タヤマ:ていうかムウさんは?
スーケ:最近ムウさん来ませんよね。研究忙しいんでしょうか?
ムウさんがいないのか・・・。人数は多いに越したことはないんだが、まぁいいだろう。
時刻はついに二時を回った。チャットもカウントダウンを始めてしまうほど盛り上がっている。
そしてついに、そのときは訪れた。
「ただいま!亮介いるかぁ~!?」
映像に映った兄、そしてその後ろからやって来た祐希。
「へぇ、ここも変わったのね。前とは全然違う。」
祐希は部屋を見回している。当然だ、最後に来たときから軽く十年以上は経っているのだから。
「さぁ勉強始めよう。えぇっと宿題何があったっけ?」
二人は宿題を始めた。
スーケ:何これ?ただのカップルの映像?
リョウ:これから始まります。記録のご用意を。
村田:すげぇ楽しみ!
マルキ:いったい何が起こるんだ!?
チャットのテンションも最高潮。後は最後のあれが来るのを待つばかりだ。
あれが来たのは、兄達が来てから約三分後の事だった。
「・・・!翔子・・・。」
居間のドアの前に立っているのは、妹だった。妹に気づいた二人は顔を見合わせた。
対して妹は・・・笑っていた。まるでこの時を待っていたかのように・・・。
「ウアアアァァァ!!!!!」
妹が吠えた!そう思った瞬間、手に持っていた包丁で祐希に斬りかかった!
「キャアアア!」
すぐさま逃げる祐希。しかし、翔子はお構い無し!逃げる祐希を狙って再び走る!
「何やっているんだ翔子!いい加減にしろ!」
兄も叫ぶが、妹には届いていない。
「ちょっと!急に何するのよ!いい加減にしなさいよ!」
「うるさぁぁぁい!!!!!」
妹の殺気は並みのものではない。逃げるのに必死な祐希は次第に追い詰められた。
「あんたがいるから!あんたがいるから!あんたがいるから!お兄ちゃんは私と愛し合っていたのに!私と愛し合っていたのに!あんたなんか死んじゃえばいいんだ!あんたなんか死んじゃえばいいんだ!あんたなんか死んじゃえばいいんだ!消えてなくなれ!消えてなくなれ!消えてなくなれ!」
もはや狂うなんてレベルじゃない妹。
それを見た兄が、覚悟を決めて後ろから羽交い締めにする。
「いい加減にしろ翔子!」
しかし、羽交い締めをものともせず、妹は兄にそのまま抱きついた。
「お兄ちゃん!やっぱり私を選んでくれたんだよね!私の方が好きなんだよね!こんなくそみたいな奴より私の方が好きなんだよね!そうだよね?そうだよね?そうだよね?私もお兄ちゃん大好き!!!」
兄を押し倒す妹。そして妹はそのまま・・・。
「んあぁ!お兄ちゃんの大きいよ!お兄ちゃん大好き~~~!!!!!」
364 :サイエンティストの危険な研究 最終話:2011/11/06(日) 21:25:01 ID:lIuarwG2
俺はチャットに目を戻した。
村田:すげぇ・・・。
マルキ:狂ってるな。
スーケ:一応まとめましたがデータはどうすれば?
リョウ:僕に送ってきてください。
タヤマ:マジですごかった!研究のしがいがある!
村田:こんな狂った実験体を用意できるとは・・・さすがリョウさん!
俺のフォルダには、みんなでまとめたデータが入っていった。
そして、最後の最後まで、ムウさんはチャットに来なかった。
――――――――――
全てのデータをまとめ終わるのに一週間、所長に渡して結果が現れたのが一ヶ月後。そして、その報酬が払われたのがそのまた一ヶ月後。
「すげぇ・・・こんなに・・・。」
初めての独自研究は見事に成功。データは超高額で買われた。
今、俺の預金残高は、今まで見たことないような額が刻まれていた。
「これで夢が叶う・・・!やっと一歩を踏み出せる!」
こんなに嬉しいことはない!これだけあれば自分専用のラボを一から作る事も可能だ!これも、俺の近くに最良の実験体がいたおかげだ。
そして今、その実験体はたはと言うと・・・。
「んあぁ!お兄ちゃん!いっぱい入ってくるよー!」
「うぁ・・・ぁ・・・。」
あの日からずっと、二人は繋がったままだ。兄にはもう逆らう力もない。祐希がその場を離れて逃げたときの兄の顔は、まさしく絶望的な顔だった。
しかし、俺にはなんの関係もない。俺にとって二人はモルモットだ。どうなろうと知ったことではないのだ!
今は輝かしい未来を思いながら次の目標を決めている時間が、俺の一番の楽しみだ。
再び俺は預金残高わを見てにやにやしていた。
「亮ちゃん・・・。」
突如聞こえた声、この声は・・・まさか?
「聞こえるかな?祐希だよ。久しぶりだね亮ちゃん。」
確かに祐希の声だった。しかし、何か様子がおかしい。第一、俺を亮ちゃんなんて呼んでいたか?
「単刀直入に言うけどね、私、告白しに来たの。」
は?告白?
「私ね、ずっと自分の気持ちに嘘ついてきたんだ。だって、ライバルが多いし、あなたをずっと見れるようになるにはあなたの家族を使うのが最良だと思ったの。」
こいつは何を言っているんだ?わからないぞ?
「私ね、ずっと亮ちゃんのことが大好きなの。今でもずっと。」
はぁ?何をふざけたことを・・・あの日から頭の中がおかしくなったのか?
「でもね、あなたのライバルって案外多いのよね。油断すれば私なんてすぐに置いてかれちゃうくらい・・・。だから私ね、ライバルを増やさないように、自分が優位に立てるように、昭介が好きだって嘘ついて、ファンクラブまで作ったんだよ?」
え?ファンクラブ発足の理由が俺のため?なんだこの変な違和感・・・怖い。
「でもね、あなたの事忘れられないから・・・あなたに見ていてほしいから・・・だから私は作ったんだよ?あなたの親衛隊を。」
「俺の・・・親衛隊を?」
「うん。藤崎亮介親衛隊、別名"機動組"」
衝撃的な事を暴露した。俺に嫌がらせをしていた機動組かが・・・俺の親衛隊だと!?そんな馬鹿な!
「木村梨子もあなたの事が世界で一番好きなんだって。あなたに見てほしくて、あなたに構ってほしくて、だからあなたの注目を私たちに集めたのよ。」
俺は口を閉ざした。
「オークションの時もそう、機動組だけであなたの私物を品物にしたの。制服とかYシャツとか。」
「まさか・・・あの時俺の部屋が荒らされてたのは!」
祐希の言うことが本当なら、あの時部屋を荒らしたのは、機動組?じゃああの時、祐希が着ていたキツキツのYシャツは・・・俺の?
「でもやっぱり、あなたを誰にも渡したくないの。だって私の・・・初めての相手だもん。」
俺は思い出した。祐希に目隠しされて挿入されたことを・・・。じゃああれは嫌々でやっていたのではなく、祐希が望んでやっていたこと?
「誰にも渡したくないから・・・私、あなたを奪っちゃうから。」
ヴィィィィィン!!!!!
365 :サイエンティストの危険な研究 最終話:2011/11/06(日) 21:25:32 ID:lIuarwG2
突如聞こえた機械音。それと同時に、ドアに亀裂が走った。
「うわあぁぁぁ!」
間違いない。祐希が出しているのはチェーンソーだ。ドアを少しずつ切り裂いてやって来るつもりだ!
「ヤバイ!」
逃げなければ!入り口は使えない。窓から飛び降りよう。大丈夫だ、着地の仕方を変えれば骨は折れない。
俺は窓に近づいた。
「バァ!」
「うわぁ!」
思わず尻餅をついた。窓の向こうから現れたのは、
「亮ちゃん~~~!待っててね~~~!今からそっちに行くから~~~!」
友里だった。梯子で二階にやって来たようだ。そして持っていたトンカチでガラスを・・・割った!
「やっと会えた~!亮ちゃん~~~!」
割った窓から入ってきた友里。思わずドアの方に逃げる。しかし
「ふふふ、ドア・・・開いちゃったよ?」
チェーンソーを捨てて、ゆっくりと祐希が入ってきた。
囲まれた!ヤバイ!何か逃げる方法はないか!
「あれ?お姉ちゃん。」
「あら、友里・・・。」
二人は互いを確認するかのように見つめあっている。
「・・・!」
そうだ!この二人は狂ってる!だから二人が俺をめぐって争っているうちに逃げればいいんだ!
「お姉ちゃんも~?」
「友里も来たのね。」
「じゃ~あ~・・・。」
「二人でいただきましょうね!」
そして二人は、ゆっくりと近づいてきた!
「何で・・・何でだよ!」
何故争わない!もし妹と同じ状態なら、二人は争うはずだ。しかし、起こったのは全くの逆。争うどころか手を組んでしまった!
「亮ちゃん~・・・。」
そして二人は俺を抱き抱え、そのまま近くのベッドに倒れこんだ。
必死で逃げようともがくが、二人に押さえられて動けない!
「じゃあ先に友里からどうぞ。」
「いいの~?えへへ~、じゃあいただきま~す!」
あっという間に全裸にされた俺、そして同じく全裸になる二人。魅力的すぎるぐらいの完璧な体の二人を見た俺は、何故だか興奮してしまった。
「あら?この間は反応なかったのに。」
「きっと責めが足りないんだよ。もっと激しくしようよ。」
「そうね!じゃあ友里はもう挿入していいわよ。私は・・・ふふふ。」
不気味に微笑む二人。逃げられない状況。
多分今の俺の顔は、あの時の兄と同じ顔だろう。
「は・・・はは・・・ははははは。」
俺は・・・触れてはいけないことを研究対象にしてしまったのかもしれない・・・。しかし後悔してももう遅い。さっきまでの輝かしい未来が一転、二人の幼馴染みに一生、毎晩犯され続けてしまう未来に変わってしまったのだ。
「ふふふ・・・。」
「あはは・・・。」
二人の笑い声も聞こえない。俺はその後の人生を知ってしまったのだ。もう俺に抗う術はない。このまま一生、二人に犯され続けるのだった・・・。
――――――――――
研究チャットの過去ログ
ムウ:ではそのデータを組み込む実験体はこちらで用意します。
所長:ではムウさんの妹二人に、リョウさんから頂いたデータを組み込ませていただきます。ちなみにデータの書き換えもできますが・・・。
ムウ:あぁそれならすでにしておきました。大好きな人をめぐっての争いは血が繋がったもの同士ではおきないようにしています。
所長:わかりました。では今後もよろしくお願いします。
サイエンティストの危険な研究
完