「題名のない短編その九十一」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

題名のない短編その九十一」(2012/03/10 (土) 14:04:16) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

80 :雌豚のにおい@774人目:2012/03/09(金) 01:59:12 ID:QSppj5iE  惚気話になるかどうかはわからないけど、僕の彼女――薗原美耶子は、とてつもない変態だ。ちょっと引いてしまうくらい変態なのだけど、そこは惚れた弱みで目をつぶらざるを得ない。  だから、こうして全裸で目隠しをされて両手両足を椅子に縛りつけられて、右太腿の上に全体重を乗せられて蛇みたいに巻きつかれている現状も、惚れた弱みでまあしょうがないかと諦めるしかない。 「ぺろ、ぺろ、ちゅぷ、……ちゅうぅ、ん、ぺろ」  ぺろぺろちゅーちゅー、と。  先程から間抜けなオノマトペが耳元でさえずっている。どれくらいこうしているだろう、すでに美耶子の体重を支えている太腿の感覚は消失している。舌と唇を交互に使って、僕は鎖骨から肩にかけてをひたすら、ただひたすらに舐められ啄ばまれている状態なのだけど、これもまた仕方ないなこいつぅ、と苦笑して済ませるほかにない。 「ちゅ、ちゅっ、ぺろぺろぺろ、れろ、んちゅうぅううっ……」  翔子は、文字通り全身を僕の身体にゆだねているようだ。視覚に頼れないので、それ以外の四感を頼りに現状を把握するほかない。 ふよふよと胸元に押し付けられる肉感的な感触と、太腿に感じられるぬるぬるとしたこそばゆさと猛烈な熱量から鑑みるに、美耶子もやはり生まれたままの姿で僕と絡まっているんだろうなと推測できる。  鼻先からくらくらするくらいに感じられる汗と雌の匂い。フルマラソンを完走して来たんじゃないかっていうくらい、翔子の全身は汗でまみれて熱く猛っている。……これは久々に、かなり催している様子。性的な意味で。 82 :雌豚のにおい@774人目:2012/03/09(金) 02:29:44 ID:x8hg5dfU  どうして翔子がここまで欲情してしまったのか。ここまで理不尽で意味不明な仕打ちは、今の翔子からすると珍しいくらいだ。最近は大人しかったのだ。  一時期は本気で危なかった。ピークだったのは高校時代か。自他共に、命の危険になんて何度も直面したし、その度に朝日を拝める幸せを噛み締めたりもした。周囲の人たちには、本当に迷惑をかけてしまったと思ってる。ごめんなさい。  その経験から察するに、今の危険度はそう高くない。まだ流血沙汰にはなっていない。サイレンの音もまだ聞こえていないから、ここで僕が頑張ればまだまだ惨劇は回避可能なはずだ。   「お? おおぉおぉおっ? ぉうお?」 「ん~、っちゅぅぅう~、ちゅる、ぺろぺろ、っちゅううぅううっ」  轡と思しき何かをかまされて、呻き声しかあげられない。  翔子はまだまだ肩~鎖骨への求愛に夢中な様子。俺の声には何の反応も示してくれない。わざとやっているわけではないだろうが、こうも無反応だと悲しくなってくる。  ……本当に、どうしてコイツは自分のことしか考えられないんだろう。以前、そう問いかけたことがあるのだけど、帰って来た返答は、『それは違う。私はあなたのことしか考えてない。私がするのは全部あなたのため。私の理由は、あなただけ』  だとさ。 『でもそうしたいのは翔子の意思だろう? 翔子自らの意思で、僕のためだと言って、とんでもないことをする。やめてくれよ、そういうの』 『どうしてそんなこと言うの? あなた、私のことが好きなんでしょ?』 『好きだよ』 『じゃあ、どうして? 私のことが好きなら、どうしてそんなことを言うの? 教えてよ、ねえ、教えてってば』  こんな会話をしたのも、随分昔の話に感じる。実際にはたかが数年前のことなのにな。ちなみに、この後僕はお姉ちゃんや従妹や幼馴染を巻き込んでそれはもう見るも無残で血で血を洗う悪夢みたいな数日を過ごす羽目になったのだけど、それも今となっては懐かしい。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: