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「君になら殺されてもいい」(2008/02/14 (木) 12:14:25) の最新版変更点
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498 :君になら殺されてもいい [sage] :2008/02/13(水) 21:43:44 ID:asrnyYam
屋上に2人。僕と彼女は立っていた
。突き抜けるように青い空、あおい、蒼い空を仰いだ。
空っぽの僕の心よりずっとあおい。
太陽が眩しい。
「泣いているの?」
彼女が僕に問いかける。
「空が眩しいんだ」
僕は彼女の問いに答える。
視線を空から彼女に戻した。長い黒髪はいつ見ても本当に綺麗だ。
白かったワンピースは膝までに破れてしまっている。
視線が交わった瞬間、僕と彼女の時は止まった。
止まった時の狭間でも僕は何も思わない。
悲しいも嬉しいも幸せも寂しいも。
「泣いているの?」
「君が二度も聞くってことは泣いているんだろう」
「あなたを哀しませてしまったのね」
「君が誰かを殺したことが悲しいんじゃないよ」
眉をひそめて申し訳無さそうな彼女。
白かったワンピースは返り血で赤い。
赤い紅いあかぁい血の色。
僕の父と僕の母と僕の妹の血の色。
その血を見て何も思えない僕は問題なのか。
その彼女を見て何も思えない僕は問題なのか。
499 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/02/13(水) 21:43:52 ID:a5Wmyhcv
俺はどうせ今年もゼロだよバーロー
500 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/02/13(水) 21:44:02 ID:v3JoR40Q
支援
501 :君になら殺されてもいい [sage] :2008/02/13(水) 21:44:56 ID:asrnyYam
「なにが悲しいか当ててあげるわ」
彼女は諦めたような顔で空を仰いだ。
「私が何をしてもあなたは私を好きにならないことが悲しいのでしょう?
そして正確には悲しいというよりどうでも良いんでしょう?」
「当たりだよ、驚いたな」
「だって私はそんなあなたが好きなんだもの」
目を閉じて踊るように歩きだす。
白かったスカートが重たげに揺れ、黒く美しい髪が軽やかになびく。
空っぽの僕に近づいて来る。
「何にも執着しないあなたが好き、
何にも捕らわれないあなたが好き、
何も大切にしない出来ないあなたが好き」
歌うように言葉を紡ぐ。
五メートルほどあった僕と彼女の距離はゼロになった。
彼女の左手は僕の唇に触れ、彼女の右手には包丁が紅く光る。
風は無い。鳥は鳴かない。誰も来ない。
「私のことを好きになるようじゃ興醒めだわ」
「なんとも素敵な告白だね。じゃあ僕は君の望み通りじゃないか」
「そうね」
ぱっちりと目を開けしっかりと瞳を覗き込んで。
「だからあなたを私に頂戴」
僕は笑った。正確には微笑んだ。
「そうだな。君になら殺されてもいい」
――――空っぽの器でいいならいくらでも君にあげよう。
498 :君になら殺されてもいい [sage] :2008/02/13(水) 21:43:44 ID:asrnyYam
屋上に2人。僕と彼女は立っていた
。突き抜けるように青い空、あおい、蒼い空を仰いだ。
空っぽの僕の心よりずっとあおい。
太陽が眩しい。
「泣いているの?」
彼女が僕に問いかける。
「空が眩しいんだ」
僕は彼女の問いに答える。
視線を空から彼女に戻した。長い黒髪はいつ見ても本当に綺麗だ。
白かったワンピースは膝までに破れてしまっている。
視線が交わった瞬間、僕と彼女の時は止まった。
止まった時の狭間でも僕は何も思わない。
悲しいも嬉しいも幸せも寂しいも。
「泣いているの?」
「君が二度も聞くってことは泣いているんだろう」
「あなたを哀しませてしまったのね」
「君が誰かを殺したことが悲しいんじゃないよ」
眉をひそめて申し訳無さそうな彼女。
白かったワンピースは返り血で赤い。
赤い紅いあかぁい血の色。
僕の父と僕の母と僕の妹の血の色。
その血を見て何も思えない僕は問題なのか。
その彼女を見て何も思えない僕は問題なのか。
501 :君になら殺されてもいい [sage] :2008/02/13(水) 21:44:56 ID:asrnyYam
「なにが悲しいか当ててあげるわ」
彼女は諦めたような顔で空を仰いだ。
「私が何をしてもあなたは私を好きにならないことが悲しいのでしょう?
そして正確には悲しいというよりどうでも良いんでしょう?」
「当たりだよ、驚いたな」
「だって私はそんなあなたが好きなんだもの」
目を閉じて踊るように歩きだす。
白かったスカートが重たげに揺れ、黒く美しい髪が軽やかになびく。
空っぽの僕に近づいて来る。
「何にも執着しないあなたが好き、
何にも捕らわれないあなたが好き、
何も大切にしない出来ないあなたが好き」
歌うように言葉を紡ぐ。
五メートルほどあった僕と彼女の距離はゼロになった。
彼女の左手は僕の唇に触れ、彼女の右手には包丁が紅く光る。
風は無い。鳥は鳴かない。誰も来ない。
「私のことを好きになるようじゃ興醒めだわ」
「なんとも素敵な告白だね。じゃあ僕は君の望み通りじゃないか」
「そうね」
ぱっちりと目を開けしっかりと瞳を覗き込んで。
「だからあなたを私に頂戴」
僕は笑った。正確には微笑んだ。
「そうだな。君になら殺されてもいい」
――――空っぽの器でいいならいくらでも君にあげよう。