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503 名前:一朝一夕第3話[] 投稿日:2014/07/18(金) 04:29:30 ID:0W.Xhquc [2/5] 「うーんこんなもんか」 四日間に渡る期末テスト。その全てが終了し、結果が返された 俺の平均点は大体55点くらい。前回の中間テストに比べれば若干上がったものの、全体で見れば平均くらいだった 「雄次はどうだった?」 「俺は前回よりちょっと下がったな」 そういって雄次の結果を見るが、平均で70点ちょっと取れている。はっきり言って十分な成績だ。 「それでもまだ上の方じゃん。俺なんか今回ちょっと頑張ったのにちょうど真ん中ぐらいだぜ」 「二人とも結果どうだった?」 クラス内ではトップ、学年全体では4位に入り上位成績者10位以内に入った旭さんが聞いてきた。 「まぁまぁかな。にしても旭さんはさすがだな」 「そんなことないよ~」 自分の成績を鼻にかけた様子もなく、軽く笑いながら手を振っている 「二人だって悪い成績じゃないじゃん」 「いやいや、旭さんには全然及ばないよ。それに旭さんはこれで夏休みの宿題半分免除じゃん」 うちの学校には各学期の中間・期末それぞれで10位以内に入った生徒には宿題の量が半分になるというシステムがあった。そうすることで学生の勉強への意欲向上を図っている 「それに、俺英語で赤点取っちゃったから今日から終業式までの四日間補習だぜ…」 俺達1年生の英語の担任はアメリカ人で、夏休みにはアメリカに長期休暇で帰国するためテスト返却日の今日から明日からのテスト休み3日間丸々使って補習が行われる ちなみに、補習をサボったら夏休みの宿題が倍になる 「あちゃー・・・それはドンマイ」 旭さんが苦笑いでなぐさめてくれる 「まぁでもその代わり夏休みには登校日を除けば補習はないわけだし、ポジティブに考えようぜ」 雄次もそういって励ましてくれる どうも英語は苦手だ。前回の中間ではなんとか赤点は免れたが、難易度が上がった期末では無理だった 「まぁたしかにこの補習さえ乗り越えればあとは夏休み、頑張るしかないか」 「そうそう」 「さて、そんじゃ俺は帰るわ。補習頑張れよ洋」 「ああ、二人ともテスト休み楽しんで」 そう言って二人と別れ、俺は補習が行われる教室へと向かった 504 名前:一朝一夕第3話[] 投稿日:2014/07/18(金) 04:30:49 ID:0W.Xhquc [3/5] 二人と別れ、補習が行われる教室に向かう途中、廊下に張り出されている学年上位10以内の張り紙。そこの1位には前回の中間試験の時と同じ名前があった。 夕暮夜宵。俺の幼稚園から同級生で、常に学年首席に君臨する類い稀な天才だ。 正直、件の受験の際の不運に見舞われなければ、もっと上の進学校でよりその学力を伸ばせていたことだろう。 もったいないことだが、常に学年トップを維持し続けることの重圧を考えると、多少余裕を持って試験に臨めるうちの学校の方が案外基礎固めにはいいのかもしれない そう思いながら教室に入ると、そこには長身の女子生徒が立っていた 肩あたりまである髪は日本人らしい漆黒の黒髪。身長はおそらく俺と同じくらいで、かなりメリハリのある身体をしている。特に制服を大きく押し上げる胸元は、ちょっと他の高校生には刺激が強すぎる。 彼女こそ夕暮夜宵その人である 「えーっと、あなた清戸さん?」 彼女の方が先に話しかけてきた 「はい」 「英語のデイビス先生から頼まれて、今回からの補習のアシスタントをします夕暮です」 彼女は前回の中間に続き今回も全教科満点。たしかに納得できる話だ しかし 「からのってことは、この四日間ずっと?」 「ええ」 ということは、テスト休みが潰れるという点では彼女も補習を受けているのと変わらないんじゃ? 「夏休みの英語の宿題の完全免除を条件に、先生ほど上手くは教えられないかもしれないけど皆さんの補習を教えます」 そういうことか・・・。まぁけど、中間・期末と満点を取っているんだし、本来休みの間の学生の学力維持を目標とした宿題自体彼女には不要かもしれない 「今回の補習プリントも私が作ってきたから、補習はそれに沿って進んでいくことになります」 「皆サン、揃いマシタか~?」 32歳(独身)、生徒に人気はあるが女性関係では苦労が絶えないデイビス先生が教室に入って来た 「ソレでは補習始めマース。席ニ着いテ」 そう言われて俺は空いてる席に着き、夕暮さんは先生の横に立った 「補習ハ夕暮さんが作ってくれたプリントを中心にやりマス。英語は数、とにかくプリント解きまショウ」 実践あるのみってことか。さっそく目を落とすが、けっこう難しい・・・。前途多難だ。 「ソレでは今日は終わリ。お疲れサマでーす」 「疲れた・・・」 結局、終始悪戦苦闘を強いられた・・。普段の英語のプリントならもう少し解けるのだが、今回は自分の苦手な部分ばかり出た 「夕暮さんありがとうございます。ってか、なんか常に質問しちゃってごめん」 「ううん、それはちゃんと問題に向き合っていたからだと思うよ」 夕暮さんが穏やかな笑顔を向ける。こんな風に彼女に笑顔を見たのは初めてだが、かなり大人びた笑顔だ 「ホントホント、夕暮さんの教え方上手いんだもーん、助かったよ」 「私も、というかデイビス先生より教えるの上手いし」 他の生徒達も口々にお礼を言う 「いえいえ、どういたしまして」 「そだ、夕暮さんメアド教えてくんね?またなんか分からないこととかあったら聞きたいわ」 補習を受けていた、あまりそういったことには真剣ではなさそうなタイプの男子が彼女に言う 「そういうのは最初は自分でやらないと駄目。そういうのどうかと思うな」 夕暮さんがちょっと厳しめの返答を返す 「うっ・・・分かった・・」 軽い誘いを若干カウンター気味に返され、それ以上いく気をなくしたようだ 「っと、じゃあ俺はこれで」 特に長居する理由もないし、帰ろうと踵を返す 「うん、また明日ね」 夕暮さんが返してくれる。 さすがに今日は疲れた。家でゆっくり休もう。 505 名前:一朝一夕第3話[] 投稿日:2014/07/18(金) 04:31:44 ID:0W.Xhquc [4/5] 今日はとても、とても素晴らしい一日だった 自分の愛する人に勉強を教え、少々のスキンシップまで取れたのだ 洋さんの誠実さは、やはり彼が他のどうでもいい男とは明らかに違うことを教えてくれる。 私が正面に入って教えている時、同時に彼の正面には私のこの大きな胸があったのに、彼は一度それに気付いたものの、すぐに意識と集中力を勉強の方に戻した それに引き換え、補習後私にメアドを聞いてきた男と来たら・・・ 見られたくないがため彼を教える時はあえて真横に座ったというのに、なんの遠慮もなく私の胸をじろじろと見ていた 実に不愉快だ。 私のこの大きな胸は、彼だけのものなのに・・・ 横に座った時に洋さんの腕にわざと胸を押し当てるサービスもしたが、彼は一瞬驚き内心では赤面しながらも再び問題の方に意識を注ぎ込んでいた ふふ、プリントを彼の苦手な分野で作ってよかった。おかげで彼はたくさん私に質問してくれて、その間彼の意識を独占することができた たった一つの邪魔物、そう・・・ 他ならぬ私が作ったこのプリント達を除いて ちょっと難しく作りすぎた それさえもう少し簡単に作れれば、もっともっと彼を独占できたのに・・・!私は洋さんの物。早く、早く物理的に彼の物になりたい。今回の補習は、その第一歩なのだ。なのに・・・ なのに、なのに、なのに、なのに、なのになのになのになのになのになのになのになのに・・・! 「~~~!」 ザシュ!私は、気がついたら今日自分の作ったプリントの余りを包丁でめった刺しにしていた 彼は努力している。だが残念ながら、彼はあまり頭が良くない。おそらく、脳に入る知識の容量があまり大きくないのだろう。だから、勉強していても成績はあまり良くない しかし、それがなんなのだろう? 勉強なんかできなくてもできる仕事はたくさんあるし、第一彼は私と結婚して幸せな家庭を作るのだから何の問題もない 純粋に彼の学力向上を願うのなら、今日と同じようなプリントを作るのがいいのだろうが、それでは私へ向けられる彼の意識の程度が減ってしまう そんなのは到底受け入れられない 私は、あの雌豚とは違う。 恋に落ちるまでかかった時間は変わらないかもしれないが、思い続けてきた年月が違う。 私には、もう彼しかいないのだ。 私はとても頭がいい。同時に、今こうして想い焦がれている間に燃えている感情の炎は、もはや鎮火できるレベルをとっくに超えている それでも、これまではあの水野という男のおかげもあり他に彼を好きになる輩が出てくる可能性の低さに愚かにも安堵していたため、ひたすら自分磨きに専念していた しかし、今日という日を足掛かりに、これから私は現実で彼をモノにし、彼のモノになる そこに何か障害があるのなら、全力で薙ぎ払うだけだ

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