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538 名前:『ある殿様の話』[sage] 投稿日:2014/07/26(土) 12:37:12 ID:bPtfiYGM [2/6] ここは、ある田舎の城 領地も人並みにあり殿様のお給料も多からず少なからず 故に殿だとか家老だっか地位は形だけといった物のような感じであった しかし、ここの殿様は大変、義理堅く人情がある 名を、病乃忠利(やみのただとし)という そんなある日 家老「殿!今年の年貢について農民達が話があるそうです。」 殿「うむわかった。それより、わしの髪結い紐を知らぬか?後ろで纏めようと思うてたのに見つからないのじゃ。」 家老「それは、困りましたな。」 殿「まぁ、髪など結わかなくとよいか。参るか…」 「お待ちくださいまし!」 殿「おお、照(てる)か。どうした。」 病乃照、忠利の実の妹である 既に隠居している母親似でありその美貌から、数多から結納の話があるが何故か断っている 父君には全く似ていない 照「例え、下々の者と話すとは言え兄上はこの城の主…領主ですぞ!!兄上が恥ずかしくなくても、私が恥ずかしいですわ!」 殿「う、うむ。」 照「ちょうど、私のがございますから、せめてこれで結わいて下さいまし!」 殿「おお、ありがとう。よし、話を聞きいくか。爺、参るぞ!」 家老「ははっ。」 539 名前:『ある殿様の話』[sage] 投稿日:2014/07/26(土) 12:41:22 ID:bPtfiYGM [3/6] まったく、兄上はだらしないんですから やはり、ここは私がしっかりと兄上を躾なくては 兄上は、大変よい領主です 農民の話を聞き、己の利益を町に流す 大変欲がなく素晴らしい方です 町で飢饉に陥れば、年貢により取り立てた米や野菜を返し 洪水が起きればすぐに対策を手配する あぁ、兄上はなんて素晴らしいんでしょう 私に結納を申し出た者など、欲望丸出しで何て品がない 少しは兄上の爪の垢を煎じて飲ませたいわ いえ、勿体ないわね 私が飲むわ 誰にも兄上は渡さない 殿「ふーむ、この麦饅頭とやら、旨いの。」 家老「全くですな。なんと甘美な…」 私が、兄上の素晴らしさに浸っていたら、兄上が何か食べながら戻って参りましたわ 何を食べているのかしら? 殿「おぉ、照。お前も食うか?」 照「兄上それは?」 殿「先程の農民からの贈り物でな。大変美味だぞ。」 照「…兄上。まさか、毒味もせずに食べたのですか!!」 殿「うむ。大変、美味そうだったからな。」 照「もし、それに毒が入っていたらどうするんですか!」 家老「あの、姫様その心配は御座いません。殿が食べたのは一度、農民達が殿の目の前で実食しそれを殿は食べたのです。」 540 名前:『ある殿様の話』[sage] 投稿日:2014/07/26(土) 12:44:55 ID:bPtfiYGM [4/6] 殿「左様。それに、私は民を信頼しておるからな。毒を盛られたらそれまでの殿だった…という事だ。」 照「はぁ、所で実食したのを直接殿が食べたのですよね?そのほうは、当然男ですよね。」 殿「いや、女だったが?」 照「…私少し厠にいってまいります。」 殿「今の照…少々怖かったな。」 家老「えぇ…」 殿「病乃照。ヤミテル…ヤンテル…ヤンデレ…よし!先程のような照の事を【ヤンデレ】と名付けよう。」 家老「ほぉ、面白いですな。」 ハッハッハ 農民父「いんやーあの殿様は大変良い方だっぺな。」 農民娘「そうだべな///」 農民父「おっ、オメェ殿様に惚れちまっただか?」 農民娘「うっせぇだ///」バシン 農民父「いちーよ!」オット この時、2人は知らない 後ろから、能面を被った鬼が迫っていることを… 後日、親子の死体がみつかる 犯人は、不明 ただ殿様の妹 病乃照の唇が何時もより朱かった とだけ記しておこう 『ヤンデレの起源に迫る!!』中学館より20XX年8月3日発売予定!! ご予約は、ご自宅の近くの書店にて!! 予約特典【病乃照…等身大ポスター】付き 貴方だけを(いつでも)見てくれます END

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