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157 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/03/09(日) 00:06:18 ID:eJyQK2pi 「横島くん、例の書類まだなの?」 眉を吊り上げて鋭い目で睨んでくるのは俺の上司の三上レイさんだ。 「あ、はい。あと三十分だけ待ってください」 そして答えたのが俺、横島忠綱。去年、大学を卒業して、ここの会社に就いたばかりのサラリーマンだ。 「その台詞は一時間前にも聞いたわよ!ろくに仕事も出来ないなら辞めてしまいなさい!この亀男!」 部屋中に聞こえるほど大きな声で罵られる。 俺は確かに仕事は出来ていない、でもこの書類をほんの数時間でやれって言う方がおかしいだろ… そんな不満を腹の中にしまいこみながら黙って仕事を続ける。 周りの人間は憐れみ半分無視半分だ。 そりゃそうだ。 三上さんは仕事ができるが性格がキツイで有名な女傑で、わずか28という年齢で部長の地位に上り詰めた人で変に触らないことがここでの暗黙のルールとなっていたのだ。 しかし、そんなことをまったく知らなかった四月、新入社員歓迎会で俺はやってしまったのだった。 結論から言おう。 その夜に俺は三上さんを抱いた。 お互い酔っていたし、俺は女の子が大好きなのだ。 そして朝になって気づくシーツの紅い点。 トドメは目が覚めた三上さんの一言。 「……責任とりなさい」 そんな理由で三上さんと恋人になるハメになった。 158 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/03/09(日) 00:06:57 ID:eJyQK2pi 「愛してる」 そう言って遠慮なく俺の口の中を貪っていく彼女。 「好きよ」 誰もいない社内では二人の声しか聞こえてこない。 (…今日もか) これで何日連続だろうか? 俺は今、俺の唇を強引に奪う女、つまり三上さんに無理矢理残業させられているのだ。 そして夜が更けて二人っきりになると強引に愛を求めてくる。 まあ、それだけならいいんだがこの女は休みの日になると勝手に人の家に上がり込んでくる。 はっきり言ってウザいことこの上ない。 恋人がいる人ならわかるだろうが、恋人といえど他人なのだ。 取るべき最低限の距離というものがある。 しかし彼女はそれを知らなかった。 現に彼女は今、上司という特権を利用し俺を長時間拘束している。 前に同僚に手伝ってもらって与えられた仕事を全て終わらせて先に帰ったことがあった。 すると泣きながら朝まで説教をされた。 また別れ話を切り出したこともあった。 すると彼女は包丁を自分の首筋に当てて「別れるくらいなら死ぬわ!」と叫んだ。 なんという地雷女だ。 俺は自分の不幸を呪いつつ彼女の求めに無気力に応じるのだった。 159 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/03/09(日) 00:07:32 ID:eJyQK2pi 「あの……もしかして横島先輩ですか?」 四月、俺が入社して一年目になった日、社内で俺は知らない女の子から声をかけられた。 「はぁ……確かに俺は横島だけど……君は?」 失礼かもしれないが知らない人は知らない。 こういうのはオレオレ詐欺や宗教の勧誘かもしれんからはっきり言った方がいい。 「ヤダなあ。私、蛍です。昔、隣に住んでた」 蛍? いや、あいつは丸っこいメガネをかけててダサい三編みしてた女だぞ。 しかし、俺の目の前にいるのはショートカットでくりくりした瞳の美少女だ。 うん、間違いなく別人だ。 「悪い、俺は宗教や詐欺に引っ掛かる馬鹿じゃないんだ。騙すなら雪之丞あたりがオススメだぞ」 そう言って立ち去ろうとしたがかなわなかった。 「…マザコン」 ボソッとした黒い声。 「…中2まで一緒にお風呂」 こ、こいつは…… ニタリと笑う少女。 「やあ、蛍くん。積もる話もあるし一緒にランチでもどうだい?」 「わあ、素敵。私、駅前のフレンチレストランがいいです」 こいつ…… そして俺は二人の諭吉を失った。 160 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/03/09(日) 00:08:01 ID:eJyQK2pi ※※※ やっと見つけた。 わたし随分探したんだよ。 でも忠にぃが悪いんだよ。 忠にぃが色んな親戚の家を転々としてたから探すの大変だったんだから。 忠にぃ、覚えてる? ちっちゃい時にね、私たち結婚の約束してるんだよ。 今はうるさいハエがたかってるみたいだけど安心していいよ。 すぐに潰すから。 アナタのお母さんみたいにね。

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