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539 :ideal ◆zvQNG0FZvQ [sage] :2006/11/25(土) 00:05:58 ID:dWlM3zuU 俺は理想的な家庭に生まれ落ちた。 優しい母親に尊敬出来る父親。何不自由なく育てられた。 しかし、五歳の頃にその理想は崩れた。 断片的な記憶だが、最近は頻繁に思い出す。 始まりは母親が出産祝いに、と伯母夫婦に送った二枚の旅行券。 伯母は生まれたばかりの娘は置いて行けないと最初は遠慮したが、 母は『何言ってんの、これから忙しくなって夫婦水入らずなんて出来なくなるんだから! 美奈ちゃんのことは私達に任せて、楽しんで来なさい!』と強く勧めたこともあって 伯母夫婦は出掛けていった。 540 :ideal ◆zvQNG0FZvQ [sage] :2006/11/25(土) 00:07:26 ID:dWlM3zuU その帰り道。 旅行バスの崖からの墜落。生存者はいなかった。 母は責任を感じていたのか、後を追うように急死した。 遺されたのは俺と親父と…美奈だった。 親父は俺に告げた。 『修治、俺は親として情けないことを頼もうとしている。聞いてくれるか? 俺の仕事は帰りが遅いことは知っているだろう? だが俺は今の仕事でしか金を稼げない。 生後間もない美奈の面倒を見ることが出来ない。 だから、美奈の母親がわりに面倒を見てやって欲しい。 五歳のお前に言うことじゃないとわかっている。が、 やって、くれるか?』 541 :ideal ◆zvQNG0FZvQ [sage] :2006/11/25(土) 00:09:28 ID:dWlM3zuU 『美奈は、誰かに愛されている、存在を必要とされている、ということが 教えられなくてはいけないんだ。それが出来るのはお前だけだ。修治。』 「うん、わかった!」 俺は素直に答えた。別に深く考えていたわけじゃない。 ただ、尊敬していた父に頼まれたという事実が嬉しかった。 自分が親父に近づいたような気がして、大人になったような気がして嬉しかった。 だから俺は、自分がもてる精一杯の力を統べて注いで、美奈の世話をした。 美奈の母になろうとした。 美奈が必要不可欠な存在だと、実感させようとした。

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