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598 :ideal ◆zvQNG0FZvQ [sage] :2006/12/10(日) 10:16:27 ID:FIWtjQkX ……どれくらい時間がたったのかな。 兄さんはそのまま私のことを怒ると思った。 でも、兄さんは黙ったままだ。 頭に浮かんだ不思議さにさっきまでの気持ち悪さも少し軽くなった。 私は、兄さんの顔をばれないように覗く。 兄さんは、困ったような、辛そうな顔をしてた。 こんな顔、前に一回見たことがあったのを急に思い出す。 どれくらい前のことかは忘れちゃった。でも、何があったかは急に思い出した。 あれは、いつもどうりの朝だったはず。 でも、私は兄さんが学校に出掛けて行くのを見送るのがどうしても我慢出来なくなった。 599 :ideal ◆zvQNG0FZvQ [sage] :2006/12/10(日) 10:17:54 ID:FIWtjQkX だから私は、兄さんにしがみついて叫んだ。力の限り。 「兄さんっ!行っちゃやだ!!私のそばに居てくれなきゃやだ! ずっと一緒に居てくれなきゃやだ!お家に居てよ!!私も連れてってよ!!」 兄さんは、困ったような、辛そうな顔で私を撫でながら言った。 「美奈、ごめん。僕も、美奈のことが心配だよ。なるべくなら側に居たい。 でも、しかたないんだ。お願いだから、わがまま、言わないで。」 わがまま、か。 兄さん、妹が兄さんのそばに居たがることはわがままなのかな。 ううん、絶対、そんなことないよ。そんなことあるわけない。 600 :ideal ◆zvQNG0FZvQ [sage] :2006/12/10(日) 10:19:29 ID:FIWtjQkX だって兄さんと私は愛し合っている。一緒に居るのは当然だ。 じゃあ、なんでわがままなんだろう。 答えは意外とすぐに見つかった。 なんで気付かなかったんだろう。 学校だ。学校が悪いんだ。 学校が私と兄さんを引き離す。学校が兄さんに辛い顔をさせる。 兄さんのことば、やっと、わかった。気持ち悪さもいつの間にかさよならしている。 見つけた答えを軽くつぶやく。 「……わかった。兄さんが、そう言うなら……………そうする。 でも兄さん、私達、我慢するのは、学校卒業するまでだよ。」 ね、そうだよね、兄さん。 601 :ideal ◆zvQNG0FZvQ [sage] :2006/12/10(日) 10:22:56 ID:FIWtjQkX そうしたら兄さんは頷いてくれた。 「うん、わかってくれて嬉しいよ。ごめんな、大きな声出したりして。」 あはっ、あははっ。 兄さんの返事が嬉しくてたまりません。 やっぱり兄さんもおんなじ気持ち。私と兄さんは愛し合ってる。 「私も、ごめんなさい。わがままいって。」 あはははははっ。 嬉しさのあまり兄さんの腕に飛び付く。 兄さん兄さん兄さん兄さん。愛してます。心から。 兄さん兄さん兄さん兄さん。愛してます。一生。 卒業するまで、少し長すぎるけど我慢します。 だってその後にあるのは理想の楽園。そうでしょ、兄さん。

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