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114 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/07/23(水) 04:16:44 ID:F6QzPAtj  朝、女の子が死んでいた。    人だかりを蟹スタイルで割って進み見た女の子はマンションから落ちたらしく見事にトマトだった。向いの寮から出て数分、僕はそれを眺め続けていた。  入学当初から良くしてくれてた女の子だった。一か月もたってないけど。愛着もあんまり湧いてないけど。   「南無南無……」  両手を胸の前で合し力を込めて豊胸……では無く黙祷を捧げる。  しばらくそうしたら時間を見てそそくさと学校へ、いちおうほかに野次馬となっていた同学の子達にも「学校に遅れるよ」と忠告して置いた。   「■■~。○○ちゃん自殺したらしいぜい~」  学校について席に着席するとすぐに一人の女の子が歩み寄ってきた。というか、走り……いや、瞬間移動?   「知ってるよ。見てて気分悪くなった」 「おおそうかぁ、怖かったな」  可哀想なモノを見る目で頭を撫でてくる。ついでなんか抱きしめて来た。薄い胸に圧迫されて息が出来なくなる。  少しずつ強くなる圧力を危険視して痛かったら右手を上げる歯医者さんに反攻して左手を上げて事態の冷却を図る。   「おおぅ、すまんすまん。柴犬の様な可愛さに、ついいつもの調子で」   「いつもの調子で人を窒息死させるとは大した奴だ。まぁ慣れてるからいいけど」  ひとつ注意。窒息死に慣れてるんじゃなくて、この行為に慣れてるってこと。え? 分かってるって? 「女の子に抱きつかれるなんて思春期まっしぐらな■■には夢のような行為だろう? しかもこんな美少女に」 「可愛いのは認めるけど、自分で言うのは自信過剰って言うんだよ? ▼▼」    周りの男子からの羨望の視線を心の臓で受け止めて、こうゆう女運だけはいいなぁとか、通学途中に踏んだ僅かにフルーティーな匂いのガムを地面で無理やり剥がしながら思う。   「でも■■に関わる女の子皆死んでるけどな、死神さん。踏んだガムは梅ガムと見た」 115 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/07/23(水) 04:17:22 ID:F6QzPAtj 「あら、口に出ちゃってた? こんな公衆の面前でそんなあだ名言っちゃう▼▼も殺しちゃいたい」 「はははっ、私は死なないぞ」  腰に手を当てて高らかに笑う▼▼。  うん。まぁ、たしかに死なないわな、妹も姉も母も死んだけど(皆投身自殺)小学生の頃からの腐れ縁のこいつだけは何故か死なない。女の子キラー(文字通り)の僕の汚点だぜ。  ついでに言うと僕と関わって死んだor行方不明になった人は両手と両足と両目と両耳の数を×2だ。つまり16人。皆女の子。   「……うん。周りの視線が痛い」  チクチクと突き刺さる。なんというか、クマとかトラを見るような目で見られてる感じ。  とりあえず僕は悪くない。多分。流し目で▼▼に助けてくれ舟を出す。当然ながら、そんな穴の開いてそうな船はたたき潰された。 「皆さん! 緊急の朝会が始まるよ!」  教室の行きがけに発見された担任に言われたことを思い出して、即座に言葉を下に乗せて押し出した。  同時に校内放送が流れる。内容は僕のセリフの反復。朝会のテーマはご理解いただけたようで、みんな無言でグラウンドに言ってくれた。   「校長先生の話は長かったので編集します」 「便利な機能ですな」  そして授業も終了。窓の外は若干オレンジになってきてる。  ちなみに僕が死神どうたらこうたらは▼▼の戯言として二時間目ぐらいには明後日の方面へ飛んで行ってた。  高校生活を満喫するべく僕は部活へ赴く。言うまでも無く帰宅部だ。    「ある~ひ~」    「もりのな~か~」    とか森のクマさんを歌いながら▼▼と帰宅する。迷子にならない様に手をつなぎながら。   「あ、そうだ」  歩みを止める。▼▼を何事かと首をかしげて寄ってくる。というか寄りすぎ、抱きつくな。  ▼▼を引き剥がしてカバンを漁る。   「はい、これ」 「ラブレターか」 「言っとくけど僕からじゃない」 「チッ」 116 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/07/23(水) 04:18:33 ID:F6QzPAtj  舌打ち……?  なぜか妙に女の子にモテる僕。そんな八方美人に振舞ってる気はないんだけどなぁ、天然の魅力とかフェロモンとかカリスマとかあるんだろうか。……どれも僕に似合わない。  再度抱きついてきた▼▼をおぶりながら、駅へと向かう。背の上では手紙を真剣なまなざしをしながら読む▼▼。   「いつも通り断っといて、僕が断ってじゃあお友達から! になんてことになって死んだら困るし」 「男からだぞぃ」 「そ、それは別の意味で困るなぁ」 「嘘だ。女だ」 「それはそれでやっぱり困るから困る」 「贅沢な奴だ。世の男性が敵になったな今」 「なんということだい。でもまぁ、僕は死んだほうがいいと思うよ」  後頭部に頭突きをされた。反動で▼▼が背から落ちる。   「いてて……」 「お前が死んだら私も死ぬぞ」 「え、なんでよ?」  振りかえると、お尻を擦りながらこっちの目を真剣に見てくる▼▼がいた。 「愛してるから」 117 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/07/23(水) 04:19:39 ID:F6QzPAtj  それだけ言って▼▼は俯いて黙り込んでしまった。多分自分で言って死にそうになってるんだろう。過去に何回か言われてるけど、正直、毎回対応に困る。  50分経過。  このままでもしょうがないのでとりあえず手を握って再度駅へ進撃する。   「じゃーにー」  手をグッパと広げて別れの挨拶をしてホームへ降りる。が、ひっぱり戻される。襟を掴むな、「ぐぇ」とか変な声が出たぞ。   「今日は家に泊って行くといいぞ■■」 「ほほぉ、でもお泊りセットとマクラがないからまた今度な」  とか言ってる間に電車のドアが閉まった。せっかちな奴だぜ。   「初めてでもないでわないかい。ベッドはダブルだから私の心地いい腕枕で熟睡するがいい」 「腕枕は男の仕事だよ▼▼、僕はしないけど」  会話してる間も窓の外の景色は流れて行く。なし崩し的な感じで、今日はお泊り会である。  ▼▼の家はけっこうデカイ、庭とかあるし、家というよりお屋敷だ使用人は居ない、なので使わないとこは汚い。あと、この屋敷は▼▼の『部屋』としてされてるから驚きだ。実家はどんくらいでかいわかったものじゃない。  いつかの時にそれを話題に出すと   「近いうちに■■も私の両親に挨拶に行くからその時見ればいい」  とか言われた。わけわからん。いや、まったくもってわからん。  なぜかファーストフードの夕食を済ませて、バカデカイ風呂に使って▼▼の部屋へ向かう。  扉を開けると▼▼が布団を広げて待っていた。壁には見事なナイフセットが飾ってある。一本欲しいな。   「――なぁ」 「ん」 「毎回思うんだけど、冷蔵庫に入ってる人誰?」 「秘密」 *

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