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146 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 17:48:59 ID:rzDVq6FD                     プロローグ 「もう卒業して4年になるのか。」 ふと、深夜のファミレスで大学の友人達と安いドリンクバーを飲みながら、他愛も無い話をしていた時、友人の一人が言った言葉に忘れていたはずの高校時代の事を思い出していた。 俺は大学3年。一浪をしてるから本当は4年の筈なのだけれど、もう就職は決定し後は卒業を迎えるだけ。 高校時代から続けていたラグビーは大学に入ると同時に引退して、大学生活を満喫していた。 色々な地域からやってくる同級生達に色々な遊びを教えてもらった。 最近は合コンやコンパ、飲み会にアルバイト。海とか山とか、とにかく遊んでばっかりの様な気がする。 147 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 17:51:23 ID:rzDVq6FD ん。あれ・・?そういえば、なんで高校時代にひたすらラグビーに明け暮れていたんだろう。 別にそこまで真剣に頑張ってはいなかったと思うんだけどな。特に3年の夏はあまり覚えていない、 いや、なんというか何かとても凄い事が起きた筈なのだけれど、それが何か思い出せない。時々思い出そうとすると頭が凄く痛くなる。風邪なのかそれとも病気なのか。 でも俺は、風邪なんか滅多にひかないし、健康そのものだ。 頭痛になるのが、嫌で直ぐに思い出すのを止める内に忘れてしまったのか。変なクセだよな。 そうこう頭の中で考えていると、高校時代の話をしていた友人達の話が聞こえてきた。 148 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/07/24(木) 17:51:47 ID:wE+AhrQf 支援 149 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 17:53:56 ID:rzDVq6FD 「ハハハ!そいつがバカでさ~授業は真面目に出るのにテストでいつもビリなんだよ~」 「懐かしいな~!お~!そういえばさ、高校の時に不思議な娘がいたよな~」 「おおお!いたなぁ!えっと名前は~・・・」 「ば、バカ!!」 「お・・・おい!お前その話は!」 「あ・・ごめ!は、話変えようぜ・・・」 高校時代からの馴染みの友人が何かの話をしていた。・・・あの娘?誰だろう。 女子は多い高校だったけど、そんな話題になる娘が誰かは特定出来なかった。 何で、友人の何人かはその話を止めさせたんだろう。 俺の顔を伺っている様にも見えた、いや伺っている、何で焦っているんだろう。 その時だった、友人の放った一言で場の空気は一変する。 「月咲美代子!月咲美代子だろ?お前らの桜花学園の話題の子。俺の高校でも噂で持ちきりだったんだぜ~」 大声で話をしていた、友人の声を聞いていたのかドリンクバーの飲み物を汲みに行っていた別の高校出身の友人の一人が席に戻りながら言い放ち笑いながら席に座った。、 その声に俺以外の桜花学園高校時代の友人達の顔に緊張が走る。 150 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 17:58:01 ID:rzDVq6FD 「あ・・・ああ!そういえばさ!!桜花時代の先生なんだけどさ~!!!めちゃくちゃ面白い人がいたんだけどよー!!!」 「な、なんだよ、いきなり。それより月咲ってどうだったの?彼女、中退しちゃったんだろ?なあ~詳しく聞かせろよ!あ、昂四郎!お前月咲と仲良かったじゃん!いつも電車で一緒に帰ってたの見かけたんだぜ!おい教えろよ~!」 「お、おい!やめろって!」 月・・・咲・・美代子・・・?俺と仲が良かった・・・?いや、そんな女子知らない、一緒に帰った事なんて・・・・あれ、なんだろう。その名前を聞いた途端汗が滲みだす。 ・・・頭が痛い。暑い、店内はエアコンが寒い程効いてるのに、なんで・・・震えてるんだ、俺。・・え、なんだこれ・・・!! 気付けば、俺の大きな体は掃除をしたばかりの、ファミレスの床へと握っていたドリンクバーのコップと共に震えながら崩れ落ちていた。 周りに居た友人達が慌てて駆け寄りながら俺の名前を呼ぶ。・・・恥ずかしいな、いい齢して・・・救急車でも呼ばれるのかよ・・。 そこで俺の記憶が途絶え、次に目を覚ますと一人暮らしの自分の部屋にベットだった。周りには友人達が床にいびきをかきながら寝ている。そうか、俺はあのまま。 駄目だ、風邪を引いたみたいにダルイ。起きれない。・・ああ、そうか・・・月咲美代子。少しだけ思い出した。あの娘か。 151 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 18:07:31 ID:rzDVq6FD                      第1話  瞬 夏 俺は、ラグビー部に通う高校生。 ・・・暑い。もう受験の時期だけど、俺はそんなの気にしない。 まぁなんとかなるだろう、そんな軽い気持のまま迎えた夏だったと思う。 それにスポーツ推薦を使えば進学には困らないだろうし。高校から始めたラグビーは自然と自分に合っていて、苦にはならなかった。 きっと大学でもラグビーでやっていけるだろう。けど、俺は今ラグビーやってないよな。・・・まぁ、人の気持ちは変わるもんだしな。 高校はなかなか楽しかった、友人もいたし。 まぁ彼女はこの通りの大きな体格だから女子と友達になる事はあっても恋人。とまでは、いかない。 俺の高校時代のニックネームは「野獣」だし。 別に暴れるわけではないんだけれど、クラスの男子が命名して自然と広まった。 告白された事?まぁ、何回かは。けれど、俺の何処がいいんだろうな。・・・え?付き合ったのかって?ああ、もちろ・・・あれ、思い出せない。いやいや、嘘だろ?何でこういう大事な事を思い出せないんだよ。 152 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/07/24(木) 18:11:33 ID:joSx3Xv4 書きながら投稿? 153 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 18:13:47 ID:rzDVq6FD それから、月咲美代子の事だっけ。ぼやけているけど俺の知ってるかぎりの事を話す。 月咲美代子。俺と同級生の女子生徒。170センチぐらいの身長に細身の体に大きな胸。 極めつけの大きな特徴は髪を金髪にしていてセミロング。校則的に問題は無いけど、金髪という感じだからやはり目立つ。 え?容姿を詳しく言え?ああ、一言で言うなら、フランス人形をそのままにした感じ。え?解りにくい?う~ん・・俺に容姿を聞くなよ、本当にそういう感じなんだ。 独特の雰囲気というか、控えめな子。 成績優秀で学年順位はいつも5番以内に入る。スポーツも堪能、リレーでは女子陸上部エースの野田を3秒の差で圧勝した。そんな万能な人間だ。 でも唯一の欠点というか、なんというかそんな感じの子なのに人とあまり関ろうとしない。 女子からも話かけようとするが、無視をしたりすぐに逃げる。まるで「貴女達には興味なんかない」と言わないばかりに、それは男子生徒にも同じで、告白をしてくる男子には、かなり冷たく興味が無さそうに断りを入れる。ラブレターを目の前で破られた奴もいたらしい。 そんな俺と月咲との接点はまるで無く、同じ高校にいながらも話す事は一度も無かった。 ―――あの時を除いて。 154 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 18:15:45 ID:rzDVq6FD >>152 あ、一応1話は完成しているのですけれど、長文規制にひっかかっていて編集しながら投稿してます。 慣れてなくてしかも遅くて申し訳ないです。 155 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 18:19:44 ID:rzDVq6FD ――――2年の夏、教室に向かう階段を登っている時、背後に足音が聞こえて何気なく後ろを見ると月咲が後ろから階段を登っている事に気付いた。 あれが、月咲美代子。成程、なかなか可愛いな。 男共が騒ぐのなんとなく理解出来る、白い肌に明るい程の金髪、スタイルの良い体つきに大きな胸。 ・・・何言ってんだ俺は、そんな男が部屋で考えそうな事を思いながら階段を登りきる、すると再び月咲の顔を見る。 何か顔色が悪いな。 暑さで熱にやられたのか、軽く汗を滲ませ、息を少し粗く吐いている。階段をもう登りきる所なのに、どうしたんだろう? 俺が階段の頂上で気になり、見下ろしていると月咲が俺の方を気分が悪そうに見上げると少し驚いた様子で俺に向けて口を開いた。 156 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 18:21:59 ID:rzDVq6FD 「・・・さん・・・?」 何かを呟いたが聞こえない、さん?何だ、何を言ったんだ?俺に向かって言ったんだよな。聞き返そうとした。 すると月咲が急に止まったかと思うと、フラフラと頭を触りながら膝がガクッ!と下がりそのまま後ろに倒れかかる。 ――お、おいッ!? 後ろは階段、転べば確実に大怪我だ。俺は無我夢中で叫びながら、部活のバックを落としそのまま、月咲へ自分の方へ抱き寄せると勢いのまま階段を一緒に転げ落ちた。 階段から凄い音が響き渡る。階段の下落で俺は月咲を抱きしめながら蹲る。 無事だ・・月咲は、俺の上に乗る形で抱きしめられていた。俺は背中を少し強打したけれど、痛いと言えば痛いがラグビーのタックルに比べればまだ大丈夫だ。 こういう時に大きな体だったという事に感謝をした。 157 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/07/24(木) 18:29:39 ID:rzDVq6FD 「いてぇ・・・あぶねぇ~・・・柔道の受身を習ってて正解だったな。痛ッ・・」 「あ・・あの・・」 「あ、わ、悪ぃ・・!!」 「すいま・・せん・・・」 月咲は、何が起きたのかを理解していたのか、御礼を告げるとそのまま俺の上で動かなくなった。 気絶している、俺は慌てて月咲を担ぎ、痛い背中に耐えながら保健室へと向かった。 「軽い日射病ね。今日は暑いから。君は~・・・軽い打撲ね。冷やしとけば治るわよ。階段から落ちたのに、それだけ動ければ大丈夫よ。もし、何か痛みだしたら念の為病院に行きなさい。彼女は、暫く休ませるといいわ。」 「どうもッス・・・。」 俺はやれやれと思いながら眠っている月咲を見た。頭に冷えピタを乗せたその姿は、本当にフランス人形みたいで、その、なんというか・・・うん可愛いんだ。 「こらこら、寝てるんだから邪魔しない!今日部活でしょう?行った行った!」 「す、すいません・・・」 俺は先生が届けてくれたバックを肩に乗せ、部活へ向けて大きな体を走らせた。 ―――・・・・助けなかった方が良かったに決まってる、後にファミレスで倒れた俺を運んだ友人はそう俺に言った。                                                                                  第1話 完 つづく
146 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 17:48:59 ID:rzDVq6FD                     プロローグ 「もう卒業して4年になるのか。」 ふと、深夜のファミレスで大学の友人達と安いドリンクバーを飲みながら、他愛も無い話をしていた時、友人の一人が言った言葉に忘れていたはずの高校時代の事を思い出していた。 俺は大学3年。一浪をしてるから本当は4年の筈なのだけれど、もう就職は決定し後は卒業を迎えるだけ。 高校時代から続けていたラグビーは大学に入ると同時に引退して、大学生活を満喫していた。 色々な地域からやってくる同級生達に色々な遊びを教えてもらった。 最近は合コンやコンパ、飲み会にアルバイト。海とか山とか、とにかく遊んでばっかりの様な気がする。 147 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 17:51:23 ID:rzDVq6FD ん。あれ・・?そういえば、なんで高校時代にひたすらラグビーに明け暮れていたんだろう。 別にそこまで真剣に頑張ってはいなかったと思うんだけどな。特に3年の夏はあまり覚えていない、 いや、なんというか何かとても凄い事が起きた筈なのだけれど、それが何か思い出せない。時々思い出そうとすると頭が凄く痛くなる。風邪なのかそれとも病気なのか。 でも俺は、風邪なんか滅多にひかないし、健康そのものだ。 頭痛になるのが、嫌で直ぐに思い出すのを止める内に忘れてしまったのか。変なクセだよな。 そうこう頭の中で考えていると、高校時代の話をしていた友人達の話が聞こえてきた。 149 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 17:53:56 ID:rzDVq6FD 「ハハハ!そいつがバカでさ~授業は真面目に出るのにテストでいつもビリなんだよ~」 「懐かしいな~!お~!そういえばさ、高校の時に不思議な娘がいたよな~」 「おおお!いたなぁ!えっと名前は~・・・」 「ば、バカ!!」 「お・・・おい!お前その話は!」 「あ・・ごめ!は、話変えようぜ・・・」 高校時代からの馴染みの友人が何かの話をしていた。・・・あの娘?誰だろう。 女子は多い高校だったけど、そんな話題になる娘が誰かは特定出来なかった。 何で、友人の何人かはその話を止めさせたんだろう。 俺の顔を伺っている様にも見えた、いや伺っている、何で焦っているんだろう。 その時だった、友人の放った一言で場の空気は一変する。 「月咲美代子!月咲美代子だろ?お前らの桜花学園の話題の子。俺の高校でも噂で持ちきりだったんだぜ~」 大声で話をしていた、友人の声を聞いていたのかドリンクバーの飲み物を汲みに行っていた別の高校出身の友人の一人が席に戻りながら言い放ち笑いながら席に座った。、 その声に俺以外の桜花学園高校時代の友人達の顔に緊張が走る。 150 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 17:58:01 ID:rzDVq6FD 「あ・・・ああ!そういえばさ!!桜花時代の先生なんだけどさ~!!!めちゃくちゃ面白い人がいたんだけどよー!!!」 「な、なんだよ、いきなり。それより月咲ってどうだったの?彼女、中退しちゃったんだろ?なあ~詳しく聞かせろよ!あ、昂四郎!お前月咲と仲良かったじゃん!いつも電車で一緒に帰ってたの見かけたんだぜ!おい教えろよ~!」 「お、おい!やめろって!」 月・・・咲・・美代子・・・?俺と仲が良かった・・・?いや、そんな女子知らない、一緒に帰った事なんて・・・・あれ、なんだろう。その名前を聞いた途端汗が滲みだす。 ・・・頭が痛い。暑い、店内はエアコンが寒い程効いてるのに、なんで・・・震えてるんだ、俺。・・え、なんだこれ・・・!! 気付けば、俺の大きな体は掃除をしたばかりの、ファミレスの床へと握っていたドリンクバーのコップと共に震えながら崩れ落ちていた。 周りに居た友人達が慌てて駆け寄りながら俺の名前を呼ぶ。・・・恥ずかしいな、いい齢して・・・救急車でも呼ばれるのかよ・・。 そこで俺の記憶が途絶え、次に目を覚ますと一人暮らしの自分の部屋にベットだった。周りには友人達が床にいびきをかきながら寝ている。そうか、俺はあのまま。 駄目だ、風邪を引いたみたいにダルイ。起きれない。・・ああ、そうか・・・月咲美代子。少しだけ思い出した。あの娘か。

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