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301 :おにいたん、だいすき! (1) ◆dkVeUrgrhA [sage] :2007/02/18(日) 15:04:14 ID:/iLEwFHf <<<おにいたん、だいすき!>>> とあるファミリーレストラン。 「いらっしゃいませ!---へ、ようこそ!」 その日そのとき、店に入ってきたのは3人連れの家族だった。 チンピラ風の男、優しそうな若い奥さん、幼稚園児ぐらいの女の子。 チンピラと奥さんは同い年ぐらいか? 耕治はそんなことを考えながらお冷を席に持っていく。 「いらっしゃいませ。ご注文をお伺いします」 「おう、俺はビーフカレーセット」 「では私も同じものを」 「おこさまらんち!」 女の子が元気よくこたえる。 「元気がいいお子さんですね。お嬢ちゃん、お名前は?」 「かぁる!」 やはり元気よくこたえる。すると隣に座っていたチンピラが、 「このガキャあ、まだ自分の名前も言えねえのか!!」 ぱぁん!! 女の子を張り飛ばした。 「きゃあ!」 「あなた、やめてください」 「なにするんですか!」 女の子、奥さん、耕治がそれぞれ声を上げる。 「薫、もう一度自分の名前を言え!」 「か、かぁる・・・」 「またこのがきゃあ!」 「やめてください!」 耕治はたまらずチンピラの振り上げた右手をつかんで止めた。 「てめぇ!なにしやがるんだ!」 「あんた、自分の子供に向かって何暴力ふるってんだ!」 「俺んとこの教育方針に指図すんじゃねぇ!」 「それが教育か!子供泣かして、血まで流させて、てめぇ何様のつもりだ!」 女の子は口から血を流している。口でも切ったのだろうか。 「あなた・・・」 302 :おにいたん、だいすき! (2) ◆dkVeUrgrhA [sage] :2007/02/18(日) 15:05:01 ID:/iLEwFHf やがて騒ぎを聞きつけた店長らしき人物が席に寄る。 「お客様、落ち着いてくださいませんか?」 「落ち着いてられっかぁっ!!てめぇんとこはどういう教育を社員にしてんだ!」 店長はにっこりと笑いながら言った。 「当店職員にはお客様第一を考えて行動するように教育しています」 そして真顔になると、 「ただし、人の道をはずせとまでは教えておりません」 「て、てめぇ!もういい!てめぇらのやったことを、てめぇんとこの社長に訴えてやる!侘び料でも出してもらわないといけねぇなぁ」 へっへっへっ、とでも言いそうなチンピラ。席では娘と奥さんがが震えている。 「では私は警察に訴えましょう。そちらのお嬢さん、かわいそうに、口の中を切ったようですね」 「なっ・・・」 「耕治君電話を。未成年どころが児童に親が暴力を振るったとしたら今のご時世どうなるでしょうか?」 再びにっこりと笑う店長。 「てってってっ、てめぇ・・・」 狼狽するチンピラ。 「おいっ!もういい、帰るぞ!」 「あなた・・・」 「注文はキャンセル、キャンセルだ!おい、そのガキもつれてこい!!」 チンピラは席を立つと前に立つ店長を押しのけて出口に向かった。 奥さんは女の子を抱きかかえその後を追う。 「おにいたん・・・」 「ごめんな、怖かっただろ?」 レジの前、女の子を背負った奥さんはレジに立ってた耕治に向かって会釈をした。 「うん・・・」 「ご迷惑をおかけしました」 再びお辞儀をする奥さん。 「いえ、こちらこそ・・・」 「おにいたん」 奥さんの背中にいた女の子は耕治に声をかけた。 「店に来てくれたらね。また来てくれるかい?」 「うんっ♪」 去り行く二人を見て、耕治はあの二人のこれからを考えて、・・・欝になった。 「実際いるんだなぁ・・・あんな家族」
301 :おにいたん、だいすき! (1) ◆dkVeUrgrhA [sage] :2007/02/18(日) 15:04:14 ID:/iLEwFHf <<<おにいたん、だいすき!>>> とあるファミリーレストラン。 「いらっしゃいませ!---へ、ようこそ!」 その日そのとき、店に入ってきたのは3人連れの家族だった。 チンピラ風の男、優しそうな若い奥さん、幼稚園児ぐらいの女の子。 チンピラと奥さんは同い年ぐらいか? 耕治はそんなことを考えながらお冷を席に持っていく。 「いらっしゃいませ。ご注文をお伺いします」 「おう、俺はビーフカレーセット」 「では私も同じものを」 「おこさまらんち!」 女の子が元気よくこたえる。 「元気がいいお子さんですね。お嬢ちゃん、お名前は?」 「かぁる!」 やはり元気よくこたえる。すると隣に座っていたチンピラが、 「このガキャあ、まだ自分の名前も言えねえのか!!」 ぱぁん!! 女の子を張り飛ばした。 「きゃあ!」 「あなた、やめてください」 「なにするんですか!」 女の子、奥さん、耕治がそれぞれ声を上げる。 「薫、もう一度自分の名前を言え!」 「か、かぁる・・・」 「またこのがきゃあ!」 「やめてください!」 耕治はたまらずチンピラの振り上げた右手をつかんで止めた。 「てめぇ!なにしやがるんだ!」 「あんた、自分の子供に向かって何暴力ふるってんだ!」 「俺んとこの教育方針に指図すんじゃねぇ!」 「それが教育か!子供泣かして、血まで流させて、てめぇ何様のつもりだ!」 女の子は口から血を流している。口でも切ったのだろうか。 「あなた・・・」 302 :おにいたん、だいすき! (2) ◆dkVeUrgrhA [sage] :2007/02/18(日) 15:05:01 ID:/iLEwFHf やがて騒ぎを聞きつけた店長らしき人物が席に寄る。 「お客様、落ち着いてくださいませんか?」 「落ち着いてられっかぁっ!!てめぇんとこはどういう教育を社員にしてんだ!」 店長はにっこりと笑いながら言った。 「当店職員にはお客様第一を考えて行動するように教育しています」 そして真顔になると、 「ただし、人の道をはずせとまでは教えておりません」 「て、てめぇ!もういい!てめぇらのやったことを、てめぇんとこの社長に訴えてやる!侘び料でも出してもらわないといけねぇなぁ」 へっへっへっ、とでも言いそうなチンピラ。席では娘と奥さんがが震えている。 「では私は警察に訴えましょう。そちらのお嬢さん、かわいそうに、口の中を切ったようですね」 「なっ・・・」 「耕治君電話を。未成年どころが児童に親が暴力を振るったとしたら今のご時世どうなるでしょうか?」 再びにっこりと笑う店長。 「てってってっ、てめぇ・・・」 狼狽するチンピラ。 「おいっ!もういい、帰るぞ!」 「あなた・・・」 「注文はキャンセル、キャンセルだ!おい、そのガキもつれてこい!!」 チンピラは席を立つと前に立つ店長を押しのけて出口に向かった。 奥さんは女の子を抱きかかえその後を追う。 「おにいたん・・・」 「ごめんな、怖かっただろ?」 レジの前、女の子を背負った奥さんはレジに立ってた耕治に向かって会釈をした。 「うん・・・」 「ご迷惑をおかけしました」 再びお辞儀をする奥さん。 「いえ、こちらこそ・・・」 「おにいたん」 奥さんの背中にいた女の子は耕治に声をかけた。 「もしよかったら、また来てくれるかい?」 「うんっ♪」 去り行く二人を見て、耕治はあの二人のこれからを考えて、・・・欝になった。 「実際いるんだなぁ・・・あんな家族」

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