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319 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/02/18(日) 21:31:16 ID:VFTenPfV ケダモノじみた兄さんの視線、というのは、わたしの短い人生において初めてで、ずいぶん新鮮な感じだった。 かちゃかちゃと食器を洗いながら、わたしはそんなことを思う。 先ほどまで、いつも通りに二人きりで食卓を囲んでいたのだけれど、そこで兄さんがわたしに向けていた眼といったら! 一般的視点から見るとややボリュームに欠けたわたしの胸ばっかり凝視しているものだから、ヘイヘイ兄ちゃん今は食事の時間だぜ、おっぱいよりわたしが丹精込めて作ったシチューを見てくれないかい、なんて突っ込みそうになったくらいだ。 まあ、兄さんがこうなったのはわたしのせいなんだけれども。 ふふっ、と笑いが漏れる。 兄さん――わたしのチョコ、食べたんだねえ。 たあっぷり媚薬を混入したチョコだもの、あれを食べたらキリストだってレイプ魔に変身しちゃうよ。 よく今まで我慢し切れているね。まさしく黄金の理性だね。拍手を送りたくなってくる。さっすがわたしの自慢の兄さん! 今はお風呂に入ってるみたいだけれど、出たらわたしを襲いに来るかな? 禽獣じみた強引さでわたしを組み伏せて――貪るのかな? 「くふぅ……」 淫猥な妄想が、わたしの脳神経を侵略する。ただでさえ媚薬を摂取していたわたしに、さっきの兄さんの視線はまさに毒だった。 毒は毒でも、この上なく甘美な、口に含んだら言語を絶するほどの快楽を与えて死に至らしめる――そういう類の、毒だけれど。 はやく出てきて、にいさん……。 さっき凝視されたせいで、わたしの乳首はぴんぴんに尖っちゃったんだよ。 こうしてちょっと摘んで、ねじるだけで…… ……ほ、ほ、ほらぁ。いぃ、いっちゃったぁ……。 上と下のおくちから、だらだらよだれを垂らして、ぴくぴく体を痙攣させて。 たべごろ――なんだよ。 風がひと吹きすれば、枝から落ちてべしゃっと潰れちゃいそうなほど、熟れてるんだよ。 兄さんのためだけに、あまい果汁をたあっぷり溜めて、待ってるんだよ。 だから早く出てきてわたしを犯してよ、兄さん。今日はいつもよりお風呂の時間が長い―――― ――ちょっと、長すぎない? やおらわたしの意識は現実に回帰した。リビングの時計に眼をやると、すでに40分が経過してる。 烏の行水とまでは言わずとも、兄さんの入浴時間は概して短い。今日の時間は、異例とも言うべき長さだった。 それに気付くなり、わたしは食器洗いを適当に切り上げて脱衣場に急行した。 ドアを開く寸前で減速して、ごく自然な風を装って中に入る。 ……予想に違わず。 曇りガラスの向こうには、兄さんのシルエット。湯船にはつかっていないということだ。 なのにシャワーの音も、体をこするタオルの音もない。 何をしているのかな――もう。だめだよ。 「兄さん」 わたしが声をかけると、肌色のシルエットがびくりと震えた。 「あ、ああ氷雨!? ど、どうしたんだよ」 意地悪してごめんなさい。 でもね、兄さん、わたしだってちょっとくらいワガママを言う権利は、あると思うんだ。 「わたし、今日はちょっと早くお風呂に入りたいの。いいかな?」 あくまで平静の仮面を被って兄さんは応対する。 「……分かった。すぐ、出るよ」 でも、落胆の色はありありとして声ににじんでいた。そんな兄さんも可愛いよ。だいすき。あいらぶゆう。 320 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/02/18(日) 21:32:28 ID:VFTenPfV 手早く服を脱いで、洗濯機の中へ放り込んでいく。ぱんつがべちゃっと濡れた音を立てたのはご愛嬌……だよね。きっと。 わたしは何も身にまとっていない状態となって、お風呂の戸を開けた。 中に入って最初にしたのは、鼻孔から室内の湿った空気をいっぱいに吸い込むこと。 ――よかった。 わたしはとりあえず安堵して、手桶でお湯を体にかけた。 室内に精液のにおいは一切していない。換気扇を回してはいないから、兄さんがここで達したということは絶対にない。 兄さんの部屋のゴミ箱から、精液のしみこんだティッシュを抜き取って、半日近くも嗅いでいたことのあるわたしが言うんだから、そりゃもう間違いなんてあるわけない。あの時は何回いってしまったんだっけ。 ベッドがおねしょしたみたいになってしまって、だいぶ困った。今となっては青春の1ページだけど。 今日はわたしの処女を奪って、さらには子宮の処女も奪ってもらうんだから。 最初に注ぎ込まれる精液は、こってりとした、ぷりぷりの、黄色い黄色い一番搾りでなくちゃあ――ね。 それにしても、兄さんは困ったひとだ。でも、すごく良いひとだ。 あの媚薬を体内に入れておきながら、まだわたしを襲うところまで理性をガタガタにしていない。 そんなのよくない。わたしの意図が外れてしまう。遠慮せず、その性欲のかぎりをわたしに叩きつければいいのに。 わたしには、その全てを受け止める用意がある。イヤ、自分で仕組んだんだから当たりまえなんですが。 ここまで発育した、わたしのこの肉のすべては、兄さんが使っていいのに。 というか、そのためだけにこの世にあると言っても過言ではないくらいなのに。もう。 「でも……ふふふ」 ふわふわと湯気を昇らせる浴槽に身を沈めつつ、わたしは思いのほか無邪気に笑った。 兄さんは、やっぱりすごくやさしい。 体験したわたしだから言えるけれど、あの媚薬の威力ははっきり言って常軌を逸してる。 全裸で街を駆け抜けて丘に登り、満月に向けてわおーんと遠吠えしても不思議でないくらい、理性をズタズタにする薬なのに。 それでもまだ自分で欲の処理をしよう、なんて発想は普通は出てこない。 すぐそばに食べごろのお肉があるとなれば、それは尚更。 きっと常識家でとっても優しい兄さんのこと、欲望任せに妹を蹂躙して、その心と身体に深い傷を刻んでしまうのを危惧してるんだ。 その愛情を思えば―― 「すきすきすきすきすきっすき♪ あいしてるぅっ♪」 ――どこかで聞いたような歌のひとつも、口ずさみたくなるってものだよ。そうでしょ? じっくり、ゆっくりと身体を洗っていく。 今日は一世一代、人生に一度きりの大イベントなんだから、当然、からだは綺麗に綺麗にしないといけない。 わたしは禊をするようなつもりで、丹念に身体の隅々までを清めた。 その過程で、何度いってしまっただろう。おかげで、大切なところを洗うのには難儀した。 洗えば洗うだけ、蜜が溢れてしまう。 井戸の水ではあるまいし、べつに枯渇したりはしないけれど、兄さんの口に含まれることもなく排水溝に流されていく愛液はもったいない気がした。 より正確に表現するなら、かわいそうだった。 兄さんの舌にのる事もなく、食道をつたい落ち、胃袋に収まり、腸から吸収される栄誉に与れないなんて。 初めて膣を指でかき回すことを覚えてから6年、どれだけ淫水を分泌したかは覚えていないけれど、こんなことを感じたのは初めてだ。 おそらくは、この後に控えた天国のことを意識しているからだろう。 自分の分泌物にこんなことを思うのは――おかしいのかな。 よくあるとまでは言わないけど、思春期の健康的な少女にはあり得る情動じゃないだろうか。 それからさらに時間をかけつつも、どうにかこうにか全身の洗浄を終えて、わたしは風呂場を出る。 ちょっと特別な下着を装着して、パジャマで身を隠し、わたしは洗面台の鏡の前でふと迷った。 髪はどうしよう。乾かしたほうがべちゃべちゃ兄さんに張り付かないし、不快さを与えないだろうか。 でも昔――10年くらい前かな――兄さんは、「濡れた髪って色っぽいよなあ」って言っていた。 今にして思うと、年齢不相応なませた発言だ。でも兄さんの好みを知るという上では、有用な資料でもある。 この肩にかかるかどうかという長さの髪の毛だって、4年前の発言をもとにして調節したんだしね。 「んー……」 よし決めた。タオルで拭くくらいにとどめておこう。 321 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/02/18(日) 21:33:05 ID:VFTenPfV そうと決めると、わたしは身支度を整えて脱衣所を出た。 戸締りも、ガスの元栓もチェックして、最後に一階の電気をすべて消す。今日一日、あとは兄さんにたくさん、たぁっぷりと「して」もらうだけだから、もう一階の後始末は済ませておく。 お父さんたちが海外にいる今、わたしがこの辺りのことをきちんとしなくちゃならないのです。 さて、準備は全て万端。 細工は流々――あとは仕上げをごろうじろ、といった感じかな。 残念だったね有象無象のメス豚さんたち。兄さんの魅力に気付いたのは誉めてあげられるけど、でもそこまで。 あなたたちの出番なんて、最初から脚本に記載されていないんだから、黙って舞台の袖でハンカチでもくわえていなさい。 わたしがねっとりじっくり愛してもらっているのを見て、こっそり自分を慰めるくらいは、妥協に妥協を重ねて許してあげるから。 ふふ。勝者の余裕ってやつですね。 そうしてわたしは足取りも軽く階段を上る。そのまま天上世界にまでも行けそうだけど、あいにくわたしの目的地は花々咲き乱れる楽園にあらず。どこにでもあるような男子高校生の私室だ。 そここそが約束の地。わたしのエルサレム。人生の全てを賭けるに値する、禁忌のリンゴが生る園。 ――深呼吸して、ノックを3回。 これから起こることに鼓動を高ならせて、わたしはドアの前でじっと待つ。 待つ……。 ………………。 「あ、あれ?」 返事が無いのですが。 念のため、もう一度ノックをしてみたけれど、反応は返ってこなかった。 おかしいな。よほど機嫌が悪くない限り、兄さんがわたしを無視するなんてことは有り得ない。 「入るよ、にいさん?」 一応断ってから、わたしはドアノブをひねった。 途端。 ドアの隙間から、むわぁ……と青臭い匂いが溢れてきた。 その匂いの正体を、脳が理解した瞬間―――― ――きゅうっ。 と、あそこが強く締まった。そして甘やかでいて激しい電気信号が神経系を踏み荒らす。 「う、ううぅうううぅぅぅ……♪」 く、くさいよぉ……わたしのいちばんすきなにおいだぁ……。 もっと、ずっと嗅いでいたい――って、いまは、そんな、場合じゃ、ない……。 わたしは理性を全力で復旧させ、部屋の様子を確認した。 「寝て、る……」 その一言に尽きた。 兄さんは電気も消さないままに、ベッドに潜り込んで、安らかな寝息を立てている。 もちろん、媚薬は絶対だ。あれによって喚起させられた性欲を放置して眠るには、それこそ一週間は徹夜していないと無理だろう。 翻って兄さんはといえば、当然昨日も睡眠はとっている。ではどうやって獣欲を克服したのか―― 答えは、勉強机のそばにあった。 こんもりと、ティッシュの山が築かれている。 ずっとその宝の山を見ていたがる視神経を叱咤して、わたしは部屋の時計に目を移した。 滾りきった欲をセルフバーニングで処理しきれるほどの時間は、余裕で経っていた。 わたし……どんだけお風呂に入っていたんですか。 323 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/02/18(日) 21:34:25 ID:VFTenPfV う、ううううううううううううう。 涙が溢れてきて、わたしは膝をついた。 せっかく兄さんをお風呂から追い出しても、わたしが長風呂してたら意味ないよ。 わたしバカすぎる。アホすぎる。どうしてこんな簡単なことを、頭からぽろっとこぼしてしまったんだろう。 そんなに自分の指は気持ちよかっただろうか。兄さんの太くてカタいモノのほうが、ずっと気持ち良いに決まってるのに。 うああああああああ。千載一遇の好機だったのにいいいいいいいいいいいいいいいいいい。 「…………うぅ」 しかたない。今日は、今日は、今日だけは諦めよう。自分のミスなんだから、兄さんは恨めない。 いや。 兄さんを恨むなんて選択肢は、いかなる状況でも原理的に発生し得ない。 発生するようなら、わたしはわたしでなくなっている。 だから―― 「まったく、これじゃあ風邪ひくよ」 適当にひっかぶっただけの布団を、しっかり兄さんにかける。 すっかり眠り込んでいる兄さんの顔は、どこかあどけなくて可愛らしい。 ふふっ、とわたしは含み笑い。 「すきだよ。だいすき」 普段は言えないことを、こっそりと、秘密の呪文のように口にする。 いつか起きている兄さんに、普通に、ごく自然に当然に、言えるようになりたいな。 そして、ほっぺたにそっと、唇を触れさせる。 不思議なことに、あそこではなくて胸が熱くなった。 唇にそっと人差し指をあてる。まだ何かが残っている気がした。 くちびる同士のちゃんとしたキスは、兄さんのほうからしてもらわなくちゃいけないんだ。 わたしの全存在は兄さんに捧げるためだけにあるんだから、わたしから兄さんの唇を奪うなんて、おこがましいにも程がある。 「おやすみなさい、兄さん」 わたしは明かりを消して、部屋を出る。 ……おっと、忘れ物があった。 部屋の中に戻り、机の上に置かれたメス豚どものチョコ(まだ手もつけていない♪)を回収。 ついでに、ゴミ箱の底を探って、いちばん濃い精液が染み込んだティッシュを発掘する。 鼻にあてて、空気をひと吸いすれば、それだけでイケるだろう、極上の一品。 ごめんなさい兄さん。でもわたしも一応、処理しないと身体が疼いて寝られないから。 というわけで、今度こそ。 「また明日、ね」 ぱたん――とドアを閉ざす。 さて、わたしも部屋に戻るといたしますか。

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