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329 :おにいたん、だいすき!(3) ◆dkVeUrgrhA [sage] :2007/02/18(日) 22:24:17 ID:aK4gtdbK あの事件の3日後。 店にチンピラを除いた2人がお店に現れた。 「いらっしゃいま・・・あ」 耕治が席に案内しようとしたが、二人の異様な様子に気づいた。 「お客様、しばらくお待ちいただけませんでしょうか?」 とりあえず他人行儀に接したあと、耕治はバック(店事務所)に引っ込み、店長に相談した。 そして普段は予約のみの席である個室に二人を案内する。 お冷をテーブルに置きながら、耕治は奥さんのほうに話しかけた。 「奥さん・・・それとかおるちゃんも、大丈夫ですか?」 二人は顔に何箇所もの痣や傷を負っていた。多分全身傷だらけではないのか? 耕治は想像してぞっとした。 「あの人はいつもそうなんです。何かしらあればいつも私やかおるに・・・」 「だって、パパは、かぁるの、ホントのパパじゃないもん」 うつむきながら、ボソっと、かおるが話す。 「か、かおる!」 驚きの声を上げる奥さん。 「パパは、かぁるのことが、じゃまだって。『にくべんき』ぐらいにしかやくにたたないって」 「に、にくべぇっ?!」 あまりに卑猥な言葉を耳にして今度は耕治が驚きの声を上げる。 「て、店員さん!!声が大きいですよ!」 はっとして耕治が部屋の周りを見渡すと扉が少し開いていて外に女の子の姿が見えた。 多分同僚のあずさだな・・・聞かれたかな? 「あ、奥さん、俺、耕治って言います」 「耕治さんでしたか・・・私、とき子と申します」 「かぁるは、かぁるだよっ♪」 「この子は薫っていいます。まだ幼くて、自分のことかぁるって言うんです。それが主人には気に入らないらしくて・・・」 「とき子さん、役所とか警察に相談したんですか?」 「役所には相談したのですが、職員の方が一回来ただけでして。そのときは主人も猫をかぶって応対して。その後二人とも寝込むほど暴力を振るわれました」 「パパ、こわいの。なんでも、つぐ(すぐ)、ママや、かぁるをぶつの」 「警察に相談すればいいのでしょうけど、何年かあとにあの人が再び社会にでたらお礼参りをされそうで・・・」 330 :おにいたん、だいすき!(4) ◆dkVeUrgrhA [sage] :2007/02/18(日) 22:25:16 ID:aK4gtdbK 「おにいたん・・・」 瞳に涙を潤ませて、薫は耕治を見つめた。 「おにいたん、かぁるの、おにいたんに、なってくだたい!」 「えっ?!」 「かぁるだけの、おにいたんに、なってくだたい!」 うろたえる耕治。とき子は畳み掛けるように言う。 「知り合ったばかりの方にこんなことを頼むのは失礼なこととは存じあげておりますが、 この子には支えになってくれる方が必要なんです」 そしてテーブルに手をついて懇願する。 「どうか、なってやってください!時々、お店に来たときに、話し相手になってくれるだけでいいんです!」 「はぁ・・・まぁ、それぐらいなら」 「おにいたん、なってくれるの?」 「ああ。なってあげるよ、薫ちゃんのお兄ちゃんに」 「ほんと?!おにいたん、かぁるのもの?」 「ああ。俺は薫ちゃんのものだよ」 「おにいたん、だぁいすき!」 薫は耕治に抱きついた。石鹸のにおいが心地よい。そして生々しい傷跡を見て、耕治は胸が痛くなった。 「耕治!」 凛とした声で自分を呼ばれ薫を抱いたまま耕治は扉の方を振り返ると、 先ほどの女の子が耕治を手招きして呼んでいる。 耕治は薫を座席において扉のほうに行く。 だれ・・・? 「もう、耕治ったらお客さんと話し込んで。それに、何エッチな言葉吐いてんのよ、子供の前で」 「肉便器って単語を知っているお前も十分エッチだが」 「そういう問題じゃなくて。もう、お客さん増えたんだから手伝ってよ」 「分かった。挨拶してからサポートはいるわ」 耕治は個室に戻ると親子に挨拶をした。 「すいません、忙しくなったんでお店のほうに戻ります」 「こちらこそ引き止めてしまって申し訳ありません」 「おにいたん、いなくなっちゃうの?」 「ごめんな、俺、仕事しなくちゃ」 おにいたんは、かぁるのものに、なってくれたのではないでつか? 「すいません、私たちもそろそろお暇します」 「もう、かえるの?かぁる、かえりたくない・・・こわい・・・」 「早く帰らないと、パパが帰ってきて、もっと怖い目にあいますよ」 「うん・・・」 二人は店の入り口に立つと再び耕治に礼をした。 「おにいたん、あちた、またきても、いい?」 「もちろんだよ?」 「耕治、早く!」 あのおんなは、だれでつか? あずさにせかされて、耕治は店のホールに向かう。振り向きざま二人に手を振る。 「かぁるちゃん!また来るんだよ!」 「うん!」 にっこりと笑って手を振る薫。しかし、その瞳に月色の光を帯びていたことに誰も気がつかなかった。 薫に背中を向けた耕治。そこに親しく話しかけるあずさ。 あのおんなは、おにいたんの、なんでつか?

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