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448 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/04/10(火) 02:36:42 ID:vgC7m8Qf 投下します 注意 フタナリです 「あっ…、私は否命、秋月否命。宜しくね、凛ちゃん」 「りっ、凛ちゃん!?」  凛はその言葉を、まるで聞いた事がないかのようにオウム返しに言った。 「えっと…違った?」 「いえ、合ってるわよ」 「…………」 「…………」  自己紹介を終えた二人の間に沈黙が訪れる。本来ならば気まずいはずの、この沈黙を凛 は楽しんでいるようだった。顔には相変わらずのニヤニヤ笑いが浮かんでいる。一方、否 命は落ち着きなく視線を動かしながら、沈黙に耐えられずに言葉を探していたが… 「~~~~~~~!!」  凛がなんでニヤニヤ笑っているのか知り、思わず顔が真っ赤になった。  凛は未だに否命の股間で硬直し、ビクッ、ビクッと震えながら精液の残滓を放出してい るマラを眺めていたのだ。否命は咄嗟にスカートでマラを隠したが、それでも尚マラはス カートに染みを作りテントを張る形で自らの存在を主張していた。覆い隠されたことで、 妙な淫猥さがそこにある。  否命は凛の顔を見て、隠したことを後悔したが、隠した以上、まさか再び露出させるわ けにはいかない。しかも、なぜかそんな状況においても否命のマラは雄雄しくそそり立っ たままであった。そしてスカートの染みはどんどん広がっていく。 「凛ちゃん…何処を見ているの?」  半ば無駄だと分かっいたが、否命は恐る恐る訊ねてみた。 「気になる?」  あくまで視線はマラに注いだまま凛は言う。 「うん」 「どうしても?」 「どうしても…」 「ごめんなさい。だけど、私は貴方のマラが気になって仕方ないの………どうしても」 「~~~~~~~ッ!!」  叫びたかった、否命は思い切り叫んでこの、同年代の少女に射精直後のマラを見られて いる…という羞恥プレイを誤魔化したかった。 「あら、そんなに赤くならなくても大丈夫よ、秋月さん。気にするほど、貴方のマラ、大 きくないもの」 「はぅぅ…」  人の気も知らずに…いや、凛のこの言葉は明らかに人の気を知ってるからこそのもので あろう。そして事実、否命の陰茎は12センチをやや下回る大きさであるから、日本人の 平均より下位に位置している。世界的に見ても、この長さは短小の分類である。 「って、大きい、小さいの問題じゃないもん!!」  そう真っ赤になりながら抗議する否命の様子を見て、凛はわざらしく小首を傾げ、口に 人差しを当てて思案にふける…ふりをする。それから「嗚呼」と頷いて、 「そういうことね。それも大丈夫よ。だって、貴方の12㎝小型キャノン砲には、砲身を 起こしても、ちゃんと包皮セーフティーがかかっているじゃない。機密は守られてるわ」  そういう問題でもなーーーい!…、と云い掛けて否命は固まった。重大な事に気づいて しまったのである。 449 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/04/10(火) 02:37:19 ID:vgC7m8Qf (って、凛ちゃんはずっと此処にいたんだよね?ということは、私がパソコンで×××を 見ていたところも、マラを×××しているところも見られて…あっ、あぁぁぁぁ!!) 「そっ、それで、なっ、なんで凛ちゃんが私の家に?ていうか、どうやって入ったの?私 ちゃんと鍵しめたはずだし…、防犯ブザーだって…」  否命は羞恥を隠したい一心でここまで一気にまくしたてた。 「なんでって、普通に貴方…秋月さんと一緒に家に入っただけよ」 「えっ…?」 「だって秋月さん、私が声をかけようが、手を翳そうが気付かなくて…」 「ごめんなさい…」 「いいのよ。そのおかげで灘神影流奥義・脱骨術を駆使したフタナリ美少女によるアクロ バティックオナニーショーを見ることが出来たのだから」  そう言って、凛はニッコリ笑う。そう言われて、否命は心の中で絶叫をあげる。 (神様、私、泣いてもいいですか?)  否命は既に半べそをかいていた。 「それと秋月さんに話したい事が後二つあるのだけど、いいかしら?」 「うん…」 (まだあるの?)  否命は、もし下が地面であれば、必死になって穴を掘って埋まろうとしていただろう。 「秋月さんには残念だけど……」  凛は始めて視線をマラから逸らして…、 「どんなに頑張っても、貴方とゴミ箱の間に子供は出来ないわよ」 ゴミ箱に積まれたティッシュの山を見ながら言った。 「あ、愛は性別や年齢、有機物と無機物の壁だって超えられるって沙紀さんが…」 「それと、もう一つ!これが本題よ!!」  否命の抗議…ではなく反論を突然、凛は大声を出して遮った。 「なっ、何?」 「財布、返して頂戴」  そう言われて、否命は自分が凛の(?)財布を持っていたことを思い出した。 「………」 「今度は聞こえているのでしょう?さぁ、財布を私に渡しなさい」 「………」 「なんで黙っているの?」 「………」 「秋月否命さん、ちゃんと聞こえているわよね?じゃあ……財布を渡せ!今すぐに!」 450 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/04/10(火) 02:39:52 ID:vgC7m8Qf  最後に込められた言葉の力強さは、衝撃的でさえあった。それは相手の意思を一切、認 めない命令だった。否命はあまりの凛の変貌ぶりにただ呆然とした。凛の目は見開き、異 様な輝きさえ帯びえている。  二人の間に沈黙が訪れた。しかし、先ほどの沈黙とは違って凛の顔にニヤニヤ笑いは浮 かんではいない。代わりに凛は否命に、爬虫類の如き冷酷な視線を向ける。  戯れの時間は終わったのだ。  凛と目を合わせられた否命は、自分の背筋が凍えるのを感じていた。否命は、ほとんど 反射的に目を逸らそうとしたが、どうしたわけか否命は凛の瞳から…この可憐な少女には 似合わない、何処か汚い瞳から…目を逸らす事がどうしても出来ないのだ。  そうして否命は、凛の瞳が本当に爬虫類と同じ金色をしている事に、気がついた。  恐怖があった、否命の中に、この瞳から目を逸らしたら、何か起きるではないか…とい う予感にも似た不安が渦巻いているのである。  凛の視線にはある種の鋭さがあった。人にまるで、喉に刃を突きつけられているかのよ うな威圧をかける類の鋭さである。そして凛の様相は相手の態度によっては、その刃を喉 に突きつけるだけでは終わらないと、確信させる凄みがあった。  否命と同年代の少女にしては異様なものがある。凛は恐らく、何度もこういった事をし ているのだろう。そうでなければ、このような目を意図的に作る事が出来るはずもない。 そして、その経験こそが凛の金色の瞳に凄みを与えているのだ。  しかし、それでも尚、否命はオドオドしながらも 「やっぱり駄目だよ…、この財布はあの人の…地回りさん(?)ものなんだから」  っと、凛の要求を突っぱねた。凛の顔が驚きで歪んだが、それは一瞬の事である。凛は 腰掛けておいたソファーから立ち上がり一歩、否命へと距離を縮めた。 「今は私のものよ」 「でも………」 「渡さない…というのね」 「………うん。ね、ねぇ、凛ちゃん、この財布、あの人に返しに行こう?」 「貴方は…」  そう言って凛は、また一歩、否命のほうに歩む。 「そんな事して、五体満足で帰れると本気で思っているのかしら?」 「でっ、でも、やっぱり、こんなのおかしいよ」  消え入りそうな声で、泣き出しそうな目で否命は言う。否命の姿はこれ以上ないほど、 脆弱で、今にも崩れてしまいそうである。  それでも健気に頑張る否命の微笑ましい姿を見て、凛はつい口元が歪んでしまう。凛は 否命に好意を感じ始めていた。否、凛は否命をからかった時の反応を見て、はっきりと心 が和むのを感じていた。もっとも、本人には迷惑な話であろうが…。  そして凛がこのような気持になれるのは、この場の支配権を完全に握っているからであ る。だからこそ、凛は余裕をもって否命の事を観察し、可愛いと思えるのだ。  だが、これとそれは全くの別問題である。凛は直ぐに、歪んだ口を直して言った。 「そう、貴方はどうしても私に財布を渡さないというのね」  それから一拍おいて、クスリっと凛は悪戯っぽく笑うと、 「私に、貴方とゴミ箱の×××な関係を公表されても?」  と、問いかけた。  それは一見、冗談のような言葉でありながら、 その言葉が否命に与えた影響は、凛の想像の及ぶ域を遙に超えていた。 451 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/04/10(火) 02:41:45 ID:vgC7m8Qf  その言葉を聞いた否命は、身体が電気を打たれたように痙攣し、小刻みにガクガクと震 えだした。否命の顔色がまるで死人のように、みるまに白くなる。否命の歯の鳴る音は凛 にも聞こえるほどであった。  凛の言葉は詰まる所「貴方がフタナリだっていうことを、バラされても?」と言ってい るのである。しかし、冷静に考えれば凛は否命の人間関係など知らないはずだし、、まし てはメガホンを片手に、通行人に片っ端から否命がフタナリであることを叫ぶことなど出 来るはずもない。  だが、否命が冷静に考えられない理由は二つあった。  一つは、否命が凛に迫られ、精神的に磨耗し正常な思考能力が低下しつつある事。  そしてもう一つは、否命の忌まわしい過去が蘇ったことにある。  否命の脳裏に走馬灯のように浮かぶのは、自身の股間に生えているマラ故に、自分の元 から去っていった家族、あるいは家族同様の人間達。  姉の梓…、親戚達…、もう一人もやはり、否命の元から去っていった。  その走馬灯の後、否命の元から去っていなく、そして否命の身体の事を知らない、今や 唯一人の家族同様の人間である沙紀の顔が浮かんだ。  否命が家に厳重な防犯体制を強いているのは、全ては沙紀に自身の秘密を知られたくな いが故であった。  その秘密をばらされる…否命は、つい頭の中で未来をシュミレートしてしまった。  それは頭で考えるだけで、耐えられない悪夢の光景であった。そしてこの悪夢は現実に なってしまうのだろう…、沙紀に自身のマラの事を知られれば……、否命はそう考えてし まった。  そして一度考えると、もうその悪夢から逃れる事は出来なかった。悪夢はヘドロのよう に落とそうとすれば、落とそうとするほど、より内部へ、より深く染み込んでいった。  否命のその想像は明らかに飛躍しすぎたものであったが、忌まわしい記憶が明確に蘇り 強迫観念にも似た感情が身体を支配している中、否命はそれが飛躍した考えに過ぎないと 気付くことは出来るだろうか?  否命の背から恐怖が生温い汗となって滴り落ちる。不安が震えとなって身体を揺らす。 悲哀が冷たさとなって体温を奪う。 452 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/04/10(火) 02:42:37 ID:vgC7m8Qf 「ちょ、ちょっと秋月さん、大丈夫なの?」  明らかに戸惑っている凛の声。その凛の声に振り向いた否命の眼を見て、更に凛は驚愕 した。 「凛ちゃん…、お願い」 「………」 「お願い…、沙紀さんには…絶対に言わないで」  否命は、まるで命ごいするかのような眼をしていた。その顔も形が変わるほ、歪んでい る。 「だ、だったら、早く財布を渡しなさい」  それでも凛は不安を隠し、虚勢を張った。これは凛の望んだ通りの展開であったが、こ こまで劇的な変化を否命にもたらすとは、予想だにしていなかった。 「ねぇ、絶対に言わない!?」 「だから財布を…」 「ねぇ!!」  そう言って否命は凛の腕を掴む。それは少女の力とは思えないほど力強く、そして今に も折れてしまいそうな程、脆かった。 「お願い…、私の身体のことは、沙紀さんだけには…」  否命の声は弱弱しく、言葉は凛の慈悲を請うものである。それなのに、それは凛に対し て圧倒的な強制力を持っていた。 「他のなにをしてもいいの!だけど…」 「分かったわよ、貴方のことは誰にも言わないわ」 「本当に!本当だよね!?」 「ええ、本当よ」  途端、否命の顔がパァーっと明るくなる。 「凛ちゃん…有り難う」 「どういたしまして…?」  否命の、あまりに純粋な喜びと感謝の笑顔に思わず凛は気が抜けてしまった。 「それで…」  っと、その時、言い掛けた凛の言葉を遮るように玄関に仕掛けられた防犯が鳴る。  沙紀が帰ってきたのだ。 投下終わります
448 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/04/10(火) 02:36:42 ID:vgC7m8Qf 「あっ…、私は否命、秋月否命。宜しくね、凛ちゃん」 「りっ、凛ちゃん!?」  凛はその言葉を、まるで聞いた事がないかのようにオウム返しに言った。 「えっと…違った?」 「いえ、合ってるわよ」 「…………」 「…………」  自己紹介を終えた二人の間に沈黙が訪れる。本来ならば気まずいはずの、この沈黙を凛 は楽しんでいるようだった。顔には相変わらずのニヤニヤ笑いが浮かんでいる。一方、否 命は落ち着きなく視線を動かしながら、沈黙に耐えられずに言葉を探していたが… 「~~~~~~~!!」  凛がなんでニヤニヤ笑っているのか知り、思わず顔が真っ赤になった。  凛は未だに否命の股間で硬直し、ビクッ、ビクッと震えながら精液の残滓を放出してい るマラを眺めていたのだ。否命は咄嗟にスカートでマラを隠したが、それでも尚マラはス カートに染みを作りテントを張る形で自らの存在を主張していた。覆い隠されたことで、 妙な淫猥さがそこにある。  否命は凛の顔を見て、隠したことを後悔したが、隠した以上、まさか再び露出させるわ けにはいかない。しかも、なぜかそんな状況においても否命のマラは雄雄しくそそり立っ たままであった。そしてスカートの染みはどんどん広がっていく。 「凛ちゃん…何処を見ているの?」  半ば無駄だと分かっいたが、否命は恐る恐る訊ねてみた。 「気になる?」  あくまで視線はマラに注いだまま凛は言う。 「うん」 「どうしても?」 「どうしても…」 「ごめんなさい。だけど、私は貴方のマラが気になって仕方ないの………どうしても」 「~~~~~~~ッ!!」  叫びたかった、否命は思い切り叫んでこの、同年代の少女に射精直後のマラを見られて いる…という羞恥プレイを誤魔化したかった。 「あら、そんなに赤くならなくても大丈夫よ、秋月さん。気にするほど、貴方のマラ、大 きくないもの」 「はぅぅ…」  人の気も知らずに…いや、凛のこの言葉は明らかに人の気を知ってるからこそのもので あろう。そして事実、否命の陰茎は12センチをやや下回る大きさであるから、日本人の 平均より下位に位置している。世界的に見ても、この長さは短小の分類である。 「って、大きい、小さいの問題じゃないもん!!」  そう真っ赤になりながら抗議する否命の様子を見て、凛はわざらしく小首を傾げ、口に 人差しを当てて思案にふける…ふりをする。それから「嗚呼」と頷いて、 「そういうことね。それも大丈夫よ。だって、貴方の12㎝小型キャノン砲には、砲身を 起こしても、ちゃんと包皮セーフティーがかかっているじゃない。機密は守られてるわ」  そういう問題でもなーーーい!…、と云い掛けて否命は固まった。重大な事に気づいて しまったのである。 449 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/04/10(火) 02:37:19 ID:vgC7m8Qf (って、凛ちゃんはずっと此処にいたんだよね?ということは、私がパソコンで×××を 見ていたところも、マラを×××しているところも見られて…あっ、あぁぁぁぁ!!) 「そっ、それで、なっ、なんで凛ちゃんが私の家に?ていうか、どうやって入ったの?私 ちゃんと鍵しめたはずだし…、防犯ブザーだって…」  否命は羞恥を隠したい一心でここまで一気にまくしたてた。 「なんでって、普通に貴方…秋月さんと一緒に家に入っただけよ」 「えっ…?」 「だって秋月さん、私が声をかけようが、手を翳そうが気付かなくて…」 「ごめんなさい…」 「いいのよ。そのおかげで灘神影流奥義・脱骨術を駆使したフタナリ美少女によるアクロ バティックオナニーショーを見ることが出来たのだから」  そう言って、凛はニッコリ笑う。そう言われて、否命は心の中で絶叫をあげる。 (神様、私、泣いてもいいですか?)  否命は既に半べそをかいていた。 「それと秋月さんに話したい事が後二つあるのだけど、いいかしら?」 「うん…」 (まだあるの?)  否命は、もし下が地面であれば、必死になって穴を掘って埋まろうとしていただろう。 「秋月さんには残念だけど……」  凛は始めて視線をマラから逸らして…、 「どんなに頑張っても、貴方とゴミ箱の間に子供は出来ないわよ」 ゴミ箱に積まれたティッシュの山を見ながら言った。 「あ、愛は性別や年齢、有機物と無機物の壁だって超えられるって沙紀さんが…」 「それと、もう一つ!これが本題よ!!」  否命の抗議…ではなく反論を突然、凛は大声を出して遮った。 「なっ、何?」 「財布、返して頂戴」  そう言われて、否命は自分が凛の(?)財布を持っていたことを思い出した。 「………」 「今度は聞こえているのでしょう?さぁ、財布を私に渡しなさい」 「………」 「なんで黙っているの?」 「………」 「秋月否命さん、ちゃんと聞こえているわよね?じゃあ……財布を渡せ!今すぐに!」 450 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/04/10(火) 02:39:52 ID:vgC7m8Qf  最後に込められた言葉の力強さは、衝撃的でさえあった。それは相手の意思を一切、認 めない命令だった。否命はあまりの凛の変貌ぶりにただ呆然とした。凛の目は見開き、異 様な輝きさえ帯びえている。  二人の間に沈黙が訪れた。しかし、先ほどの沈黙とは違って凛の顔にニヤニヤ笑いは浮 かんではいない。代わりに凛は否命に、爬虫類の如き冷酷な視線を向ける。  戯れの時間は終わったのだ。  凛と目を合わせられた否命は、自分の背筋が凍えるのを感じていた。否命は、ほとんど 反射的に目を逸らそうとしたが、どうしたわけか否命は凛の瞳から…この可憐な少女には 似合わない、何処か汚い瞳から…目を逸らす事がどうしても出来ないのだ。  そうして否命は、凛の瞳が本当に爬虫類と同じ金色をしている事に、気がついた。  恐怖があった、否命の中に、この瞳から目を逸らしたら、何か起きるではないか…とい う予感にも似た不安が渦巻いているのである。  凛の視線にはある種の鋭さがあった。人にまるで、喉に刃を突きつけられているかのよ うな威圧をかける類の鋭さである。そして凛の様相は相手の態度によっては、その刃を喉 に突きつけるだけでは終わらないと、確信させる凄みがあった。  否命と同年代の少女にしては異様なものがある。凛は恐らく、何度もこういった事をし ているのだろう。そうでなければ、このような目を意図的に作る事が出来るはずもない。 そして、その経験こそが凛の金色の瞳に凄みを与えているのだ。  しかし、それでも尚、否命はオドオドしながらも 「やっぱり駄目だよ…、この財布はあの人の…地回りさん(?)ものなんだから」  っと、凛の要求を突っぱねた。凛の顔が驚きで歪んだが、それは一瞬の事である。凛は 腰掛けておいたソファーから立ち上がり一歩、否命へと距離を縮めた。 「今は私のものよ」 「でも………」 「渡さない…というのね」 「………うん。ね、ねぇ、凛ちゃん、この財布、あの人に返しに行こう?」 「貴方は…」  そう言って凛は、また一歩、否命のほうに歩む。 「そんな事して、五体満足で帰れると本気で思っているのかしら?」 「でっ、でも、やっぱり、こんなのおかしいよ」  消え入りそうな声で、泣き出しそうな目で否命は言う。否命の姿はこれ以上ないほど、 脆弱で、今にも崩れてしまいそうである。  それでも健気に頑張る否命の微笑ましい姿を見て、凛はつい口元が歪んでしまう。凛は 否命に好意を感じ始めていた。否、凛は否命をからかった時の反応を見て、はっきりと心 が和むのを感じていた。もっとも、本人には迷惑な話であろうが…。  そして凛がこのような気持になれるのは、この場の支配権を完全に握っているからであ る。だからこそ、凛は余裕をもって否命の事を観察し、可愛いと思えるのだ。  だが、これとそれは全くの別問題である。凛は直ぐに、歪んだ口を直して言った。 「そう、貴方はどうしても私に財布を渡さないというのね」  それから一拍おいて、クスリっと凛は悪戯っぽく笑うと、 「私に、貴方とゴミ箱の×××な関係を公表されても?」  と、問いかけた。  それは一見、冗談のような言葉でありながら、 その言葉が否命に与えた影響は、凛の想像の及ぶ域を遙に超えていた。 451 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/04/10(火) 02:41:45 ID:vgC7m8Qf  その言葉を聞いた否命は、身体が電気を打たれたように痙攣し、小刻みにガクガクと震 えだした。否命の顔色がまるで死人のように、みるまに白くなる。否命の歯の鳴る音は凛 にも聞こえるほどであった。  凛の言葉は詰まる所「貴方がフタナリだっていうことを、バラされても?」と言ってい るのである。しかし、冷静に考えれば凛は否命の人間関係など知らないはずだし、、まし てはメガホンを片手に、通行人に片っ端から否命がフタナリであることを叫ぶことなど出 来るはずもない。  だが、否命が冷静に考えられない理由は二つあった。  一つは、否命が凛に迫られ、精神的に磨耗し正常な思考能力が低下しつつある事。  そしてもう一つは、否命の忌まわしい過去が蘇ったことにある。  否命の脳裏に走馬灯のように浮かぶのは、自身の股間に生えているマラ故に、自分の元 から去っていった家族、あるいは家族同様の人間達。  姉の梓…、親戚達…、もう一人もやはり、否命の元から去っていった。  その走馬灯の後、否命の元から去っていなく、そして否命の身体の事を知らない、今や 唯一人の家族同様の人間である沙紀の顔が浮かんだ。  否命が家に厳重な防犯体制を強いているのは、全ては沙紀に自身の秘密を知られたくな いが故であった。  その秘密をばらされる…否命は、つい頭の中で未来をシュミレートしてしまった。  それは頭で考えるだけで、耐えられない悪夢の光景であった。そしてこの悪夢は現実に なってしまうのだろう…、沙紀に自身のマラの事を知られれば……、否命はそう考えてし まった。  そして一度考えると、もうその悪夢から逃れる事は出来なかった。悪夢はヘドロのよう に落とそうとすれば、落とそうとするほど、より内部へ、より深く染み込んでいった。  否命のその想像は明らかに飛躍しすぎたものであったが、忌まわしい記憶が明確に蘇り 強迫観念にも似た感情が身体を支配している中、否命はそれが飛躍した考えに過ぎないと 気付くことは出来るだろうか?  否命の背から恐怖が生温い汗となって滴り落ちる。不安が震えとなって身体を揺らす。 悲哀が冷たさとなって体温を奪う。 452 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/04/10(火) 02:42:37 ID:vgC7m8Qf 「ちょ、ちょっと秋月さん、大丈夫なの?」  明らかに戸惑っている凛の声。その凛の声に振り向いた否命の眼を見て、更に凛は驚愕 した。 「凛ちゃん…、お願い」 「………」 「お願い…、沙紀さんには…絶対に言わないで」  否命は、まるで命ごいするかのような眼をしていた。その顔も形が変わるほ、歪んでい る。 「だ、だったら、早く財布を渡しなさい」  それでも凛は不安を隠し、虚勢を張った。これは凛の望んだ通りの展開であったが、こ こまで劇的な変化を否命にもたらすとは、予想だにしていなかった。 「ねぇ、絶対に言わない!?」 「だから財布を…」 「ねぇ!!」  そう言って否命は凛の腕を掴む。それは少女の力とは思えないほど力強く、そして今に も折れてしまいそうな程、脆かった。 「お願い…、私の身体のことは、沙紀さんだけには…」  否命の声は弱弱しく、言葉は凛の慈悲を請うものである。それなのに、それは凛に対し て圧倒的な強制力を持っていた。 「他のなにをしてもいいの!だけど…」 「分かったわよ、貴方のことは誰にも言わないわ」 「本当に!本当だよね!?」 「ええ、本当よ」  途端、否命の顔がパァーっと明るくなる。 「凛ちゃん…有り難う」 「どういたしまして…?」  否命の、あまりに純粋な喜びと感謝の笑顔に思わず凛は気が抜けてしまった。 「それで…」  っと、その時、言い掛けた凛の言葉を遮るように玄関に仕掛けられた防犯が鳴る。  沙紀が帰ってきたのだ。

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