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89 :緋口宗一 :2007/04/27(金) 20:29:26 ID:74nAWJQm 初めまして。 中村さん 「ごめんねー、またやっちったよ」 「ああ、はいはい。部屋ですか?」 「うん。」 「手ぇ、動かないとかないですか?」 「ちょっとぴりぴりしてる・・・。血は、前みたいな 感じ」 「すぐいきますわ」 「ありがとー。・・・怒ってる?」 「はい」 「ごめん」 「はい。じゃあ、脇の下ちゃんと押さえててください。」 「うん。あ、あとさ、ゴムも持ってきて?」 通話を切って救急箱を持って中村さんの家に 向かった。 カウンセリングもあんまり効果がないみたいで、 相変わらずこんな真似を繰り返している。 90 :緋口宗一 :2007/04/27(金) 20:52:18 ID:74nAWJQm すでに中村さんの右手はムカデみたいな 縫いあとだらけで(彼女は左利き)、 だいぶ前から血管に届くぐらい深く切るように なっていた。 救急車を呼ぶといやだいやだと喚いて逃げて、 気絶され、退院したあと 「知らない人に触られたから」 と腕の皮を剥ぎだしたりしたので、 それからは僕が応急処置をするようにしている。 惚れた弱みだよなー、と、少し笑えた。 すごく悲しく笑えた。 自転車を深夜の中でとばして中村さんの 家についた。 相変わらず広い。そして寒い。 「中村さーん」 「はーい。」 二階の、自分の部屋にいるらしい。 と言っても、この家にはずいぶん前から 彼女しかいないのだけど。 両親が鬼籍に入った後も、そのまま自分の 部屋に住み続けている。
89 :緋口宗一 :2007/04/27(金) 20:29:26 ID:74nAWJQm 中村さん 「ごめんねー、またやっちったよ」 「ああ、はいはい。部屋ですか?」 「うん。」 「手ぇ、動かないとかないですか?」 「ちょっとぴりぴりしてる・・・。血は、前みたいな 感じ」 「すぐいきますわ」 「ありがとー。・・・怒ってる?」 「はい」 「ごめん」 「はい。じゃあ、脇の下ちゃんと押さえててください。」 「うん。あ、あとさ、ゴムも持ってきて?」 通話を切って救急箱を持って中村さんの家に 向かった。 カウンセリングもあんまり効果がないみたいで、 相変わらずこんな真似を繰り返している。 90 :緋口宗一 :2007/04/27(金) 20:52:18 ID:74nAWJQm すでに中村さんの右手はムカデみたいな 縫いあとだらけで(彼女は左利き)、 だいぶ前から血管に届くぐらい深く切るように なっていた。 救急車を呼ぶといやだいやだと喚いて逃げて、 気絶され、退院したあと 「知らない人に触られたから」 と腕の皮を剥ぎだしたりしたので、 それからは僕が応急処置をするようにしている。 惚れた弱みだよなー、と、少し笑えた。 すごく悲しく笑えた。 自転車を深夜の中でとばして中村さんの 家についた。 相変わらず広い。そして寒い。 「中村さーん」 「はーい。」 二階の、自分の部屋にいるらしい。 と言っても、この家にはずいぶん前から 彼女しかいないのだけど。 両親が鬼籍に入った後も、そのまま自分の 部屋に住み続けている。

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