「花うらなわない」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

花うらなわない」(2008/08/23 (土) 13:18:36) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

845 :花うらなわない ◆wzYAo8XQT. [sage] :2008/08/23(土) 12:00:45 ID:wzoRhu7o 「あ、美玖ちゃん、見てよこの花。花占いの花だ!」  僕はそう言いながら、黄色い雄花を核として、周りを白い花弁が取り囲んでいる清楚な花を指差した。  何故だかはしらないけど、この花は花占いの花として使う花なのだそうだ。  僕はその群生している花から一本を引き抜いて、花占いを始めた。 「好き……嫌い……」  と、そこまで数えたときのこと。  何かそこそこの質量があるものが縄跳びの縄のような音を立てて僕の眼前を掠めた。  同時に、美玖ちゃんのスカートがひらりと翻る。突風でも吹いて何かが飛ばされてきたりしたのだろうか。 「白だ……」 「え?」 「い、いや、花の色がさ」  といいながら花を見た僕は驚愕させられた。まだ二本しか引き抜いていないはずの花びらが、もう一枚しか残っていない。 「どうしたの? 変な顔して」  彼女はそういってコロコロと笑う。 「美玖ちゃん、ダメじゃないか、ずるしたら」 「じゃあ君は“嫌い”でもいいって言うの?」  さっきの何かは彼女の足だったのか。超高速の蹴りで一枚の花弁だけを残して花を蹴散らすなんて、さすが美玖ちゃん、相変わらず人間離れした所業だ。  僕がそのことで文句を言うと、彼女は一変、表情を険しくした。 「いや、そういうわけじゃないけど……でもこれは運命っていうか、そういうのを見るもののわけだし」 「誰が私と君を引き裂くような運命を作っているの?」  彼女の表情の険しさはどんどん増していく。僕はビクビクしながら答える。 「え、ええっと……神様、とか?」 「私と君を引き裂くんだったら、たとえ神様だって殺してやるわ」  彼女はそう言って、にっこりと微笑んだ。  彼女がそういうんだったら、本当にそうしてしまうんだろう。  神様も長生きしたいのか、以来僕が彼女について花占いをすると、必ず“好き”という結果が出た。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: