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174 :すりこみ [sage] :2007/06/05(火) 00:01:12 ID:APrSEPmV ぶんっ…!と凶器を振り下ろすと、それは西瓜のように紅い中身を曝け出した。 ぶん…ぐちゅり…ぶん…ぐちゅり… 奇妙な音を立てながらそれは潰れていく。 潰れながらもその指先はまだ動く。 ぴくり…ぴくり… ぎゅっ… 指先に力を更に込める。 ぐちゅり…ぐちゅり… 行き場を失った体液が内側から溢れ出す。 それはまだ微かに動いていた。 助けて欲しいと懇願するかのように。 何故死ななければならないのだと嘆くように。 しかし、同時にそれは喜んでいた。 まるで、それを待ち望んでいたかのように… まるで、それを待ちわびていたように… やがて、それの時間はゆっくりと止まっていく。 ゆっくりと…ゆっくりと… まるで電池の切れかけた時計のように。 やがてそれは完全に動きを止めた。 くっくっく…あははははは…あははははははははははは 笑い声が響く。押さえようとしても内側からこみ上げてくる。 何故だろう。何故こんなにもおかしいのか。何故こんなにも楽しいのか。 手に伝わる肉が潰れる感触も。断末魔の叫びも。溢れる血の匂いも。 その表情も。その壊れた身体も。その潰れた眼球も…あはははははは!! やがて、それが完全に死んだことを確認した後、 遊びつくした玩具を捨てるかのように、 それをゴミ捨て場に捨てに行ったのだ。 175 :すりこみ [sage] :2007/06/05(火) 00:02:35 ID:APrSEPmV 小泉八雲、一之瀬京子、三鷹梓 六道洋子 はいつものように午後のお茶を楽しんでいた。 「それで…間違いありませんか?」 「ええ、二階堂さん、四谷さんに続いて五代さんも昨日から家には戻られていないそうです。」 お茶を優雅に口元に運ぶと、三鷹梓は言葉を続けた。 「菊池さんを含めると行方不明者はこれで4名ですね。」 「やはり…といいますか、夏海さんに返り討ちにあったと見るのが妥当でしょうか?」 「それであれば自業自得ですね。八雲様からの指示なく動いた、云わば抜け駆け…独断専行の結果ですから…」 一之瀬京子は八雲の顔色を窺うと、八雲はいつものようににっこりと微笑むだけだった。 「あの3人が死んだと断ずるにはまだ早いのではないですか?」 「あら貴女はあの3人がまだ生きていると考えているの?」 「ええ、私なら拷問の末に殺しますから」 クッキーを齧りながら、楽しそうに自分の趣味を語り始める六道洋子を横目に一之瀬京子が話を進める。 「あなたのいい趣味はさておき、本当に…夏海さんがあの3人を殺したのですか?」 「あの人以外の誰があの3人を殺しまふの?」 「私たちの誰か…という線はありませんの?」 「…八雲様とのルールを無視する度胸のある人がここに居ると?」 「確かに…ですが、あの子にあの3人を殺すことが出来たとはどうも考えにくいのです。」 「油断があったのではないですか?」 「その可能性は捨て切れませんが…では、どうします?」 「春樹さまに事が露見しないうちに、夏海さんを誘拐、監禁。出来る限り外傷を抑え、可能であれば洗脳。最悪、春樹様の傍を離れるように説得する…」 「…やはり、一人で事を起こすのは困難ですね。」 「ですが、これが最も八雲様の意向にそった方針なのでは?」 八雲は微笑みながら微かに こくん と頷いた。 「…では、いつ決行しますか?」 「善は急げと申します。今夜はいかがですか?」 「ええ、丁度今夜は曇りですわ。」 「獲物はどうしますか?」 「まずは誘拐ですからクロロフォルム、ガムテープ、ブラックジャック、スタンガン程度でよろしいのでは?」 「移送手段は?」 「車は私が用意いたします。」 「免許は?」 「そんなもの必要ありません。動けばよいのです。」 「あとは香住様、春樹様に事が露見しないことが重要ですけど…」 一之瀬京子が八雲に指示を仰ぐようにその言葉を待った。 「香住なら大丈夫だよ。あの子はあれ以来、春樹とは距離をとっているからね。 それに春樹なら今日はアルバイトのはずだ。だから、6時から10時までの間に終わらせれば露見しないだろうね。 よろしく頼むよ?春樹の為に…いや…僕の為にね…」 八雲の言葉に一之瀬京子、三鷹梓、六道洋子の顔がぱぁっと輝く。 「はい!必ず…必ず成功させてみせますから!」 そう、声をそろえて宣言すると、喜び勇んで部屋を出て行くのであった。 そんな彼女たちの様子をいつもと変わらない優しい表情で見送ると、 携帯電話を取り出し電話をかける。 RRRRR……RRRRR… 呼び出し音を待つ間…その口元が緩み、 うふふふ… と笑みがこぼれる。待つ時間さえも今は楽しい時間だった。そして… がちゃ…という音と共に電話が繋がった…

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