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416 :実験的作品 [sage] :2007/06/16(土) 09:08:48 ID:usoBQbIB かち…かち…かち… ただひたすらマウスをクリックする。 流れていく文字と画面のイラスト。 耳からはBGMや女の声が延々と聞こえ続ける。 かち…かち…かち… 内容を吟味する。 殺し合い、魔法、幻想、呪い、三角関係、精神異常、 壊れた人間、嫉妬、怨嗟、裸、血、セックス、暴力、 傷害、殺人、抗争、犯罪、理不尽、後悔、死亡、妊娠、涙、自殺。 平和な日常とは程遠い異常な世界。 これが…彼が好きな世界? かち…かち…かち… 彼も同じようにこの画面を見ながらどんなことを思ったのだろうか。 この世界をどう思うのだろうか。 こういう世界に憧れを感じるのだろうか? こんな異常な世界だからこそ惹かれるのだろうか? ふと、指を休め以前、彼が見せてくれたDVDの内容を思い出す。 内容はSF。エキセントリックな女の子、宇宙人、未来人、超能力者が登場する。 エキセントリックな女の子の妄言が、実は事実であることを語り手の少年が理解していく。 しかしエキセントリックな女の子はそのことに気がつかない。 そのことを不満に思ったのか語り手の少年を連れて無意識に世界を再構築しようとするが、 少年の説得によってあきらめる…そんな内容だったと思う。 もう一度、じっくりと彼があの作品をどうして私に見せようと思ったのか考えてみる。 あのエキセントリックな女の子が私に似ていると言いたいのだろうか? 確かに、初めての夜に私は劇中の女の子と同じように彼のネクタイを掴んだりした。 しかし、私は幽霊や、宇宙人、超能力の存在を否定はしないが、自分が信じていると公言することはない。 我が侭なところが似ているといわれればそうかもしれないが、それでもあそこまで理不尽ではないと思う。 それとも、幼い顔立ちで胸が大きく男に媚びているような女の子や、 無口で何を考えているのかわからないような女の子に囲まれたいと思うのだろうか。 それとも、彼の青春時代を思い出すような何かがそこにはあるのだろうか。 それとも、彼はあんな奇妙な世界が好きなのだろうか… 417 :実験的作品 [sage] :2007/06/16(土) 09:10:01 ID:usoBQbIB かち…かち…かち… 目の前で自殺する女。 嫉妬に狂い女の喉を刃物で切りつけ殺害する女。 妊娠した挙句、男の身体に刃物をつきたてる女。 浮気、優柔不断、そしてその結果の刃傷沙汰。 繰り返される嫉妬と浮気。 まるで昼ドラのようなどろどろとした内容。 上杉君…これが本当に彼の好きなものなの? 「ありがとう…上杉君。これ返すね。」 「いえいえ…あの…それで…どうでした?」 駅の傍のファーストフード店で上杉君から預かった袋を渡すと、 上杉君はなんだか落ち着かない様子でそういった。 「どう…って?」 「いや…まぁ、その…内容とか…どうだったかなぁと思いまして。」 なんだろう…妙に歯切れが悪い。 「ねぇ、上杉君。あれって…本当に彼が好きそうなものなの?」 「え…ええ、たぶん。間違いないと思うんだけど…」 「だけど…?」 「えっと…Pには言わないで欲しいんですけど、それPが選んだんですよ… ただ、そのチョイスに問題があると…俺なんかは思ったりするわけで…」 「Pが?…」 「あ、違うんです。もし、千鶴さんに勧めるなら…って風に聞いたんですよ。 でも、なんていうかPの奴…格好付けようとして、 たぶんあんなのを選んだんじゃないかなって俺は思うんです。」 「…そうなの?」 「だから、俺からみたら…本当はこっちなんじゃないかなと…」 そういってテーブルの上に上杉君が置いたのは以前と同じような紙袋だった。 418 :実験的作品 [sage] :2007/06/16(土) 09:11:54 ID:usoBQbIB かち…かち…かち… ただひたすらマウスをクリックする。 内容自体はよく理解できなかった。 ただ、シンプルに女の子がひたすら嬲られる内容。 学生やサラリーマン、浮浪者、触手、虫、獣に精液をかけられ、犯される女の子。 扇情的なコスチュームを身に纏い、ただひたすらにレイプされる女の子。 妙に説明的な口調で自分がされている行為について語る女の子。 異常なシチュエーション。 屋外、屋内、学内、公園、衆人観衆、見知らぬ場所、水着、制服、レオタード… 様々なシチュエーション。 でも、嬲られる女の子も嫌がる様子ではなく快楽を享受して… いや、寧ろ積極的に快楽を求めているようにさえ見える。 一方的な性欲処理。 都合のいい女。 都合のいい状況。 でも、理解できる。 支配欲。独占欲。性欲。愛欲。 セックスの時は私がいつも主導権を握っているから… だから、P君が主導権を握り、まるで物のように 私を蹂躙し、 監禁し、 組み伏せ、 嬲り、 陵辱し、 汚し、 見下し、 貶め、 犯したいという願望はわかる。 だって私自身がそうしたいと思っていることなんだから。 これを見てP君が性欲を処理しているの? 私をこんな想像の中で汚して、その先端から精液を吐き出しているの? でも、これは上杉君の主観… でも、これがP君の好みであって欲しい。 理解できる。受け止められる。ううん…寧ろ嬉しいかもしれない。 彼の欲望を吐き出して欲しい 彼には正直になって欲しい 彼には隠して欲しくない でも、もしこれがP君の好みじゃなかったら… 私はP君を受け止められる? 私はP君を理解できる? …理解しよう。どんなことがあっても私だけは理解しよう。 例え心の奥底にどんな暗い部分があっても私は理解してみせる。 離れない。 私は近づいてみせる。 理想の女になってみせる。 彼が望むことは叶えてあげたい。 こんな妄想に浸らなくてもいいように。 彼が私だけを見てくれるように。 彼の欲望を私にだけ打ち明けられるように。 彼の欲求を私が処理できるように。 でも、私はまだ期待していた。 上杉君の主観こそが真実であることを。

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