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430 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/06/18(月) 02:38:25 ID:IQ1RRCip  悲鳴を上げる同年代の女学生を見ながら、凛は必死にこの状況を誤魔化す言い訳を考 えていた。別に否命に押し倒されている状況は言いつくろうと思えばなんとでも云える。  しかし、この血まみれのシャツについては、なんて言えばいいのだろうか? (いやぁー、ちょっと本職の方から財布を掏ったら、バレて路地裏で囲まれちゃって…、 いえ、別にもめたわけじゃないッスよ?ただ、ナイフを出されちゃったたものッスから、 そうする気はなかった………とも言い切れないッスけど、ついというか、うっかりという か、つまりノリでこちらもナイフで切りかかちゃってHAHAHAHA!) 「とは、絶対に言えないわね…」  そう、凛が呟いた瞬間であった。 「お嬢様!」  沙紀はハッと息を呑むと、凛を押し倒している否命にパッと駆け寄り、そのまま抱きか かえるようにして凛から距離を取り、凛をキッと睨みつける。  その沙紀の文字通りの必死な表情を見て、思わず凛は苦笑した。知らない人間が血まみ れのTシャツを着て、自分の家で同居人に押し倒されていたら、そりゃあ誰だって警戒す るだろう。しかし沙紀のこの反応はあまりにも…。 「お嬢様、大丈夫ですか!?」 「うん…、大丈夫だよ」  沙紀は安堵の溜息を吐くと、それから直ぐに凛に視線を戻し 「それで…、貴方は何ですか?」  そう問いかけた。 「何って言われても…、デーヴィッド・カパーフィールド式に答えればいいのかしら?」 「…………」 「…………」 「…………」  そうして言葉に詰まる二人の間から、否命がおずおずと声を発した。 「えっと、沙紀さん、凛ちゃんは…」 「この方を知っておられのですか?」  驚いたように目を見開く沙紀に、うんと頷くと否命は言葉を続ける。 「凛ちゃんはね、悪い人では…」  そう言って、否命も言葉に詰まってしまった。凛は掏りであり、尚且つ傷害犯であり、 更に見方によってはこの家に不法侵入し、あげくに自分を恐喝しているのだ。 どう考えても悪い人であった。 「お嬢様?」 「あの、えっと…」  困惑する否命の目に、親指と一指し指で輪を作り、その輪の中に舌を入れレロレロと動 かしている凛の姿が映る。 431 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/06/18(月) 02:39:23 ID:IQ1RRCip 書き忘れましたが、投下します それとフタナリ注意です (凛ちゃん…、急にどうしたのかな?って、私を見てるの?だけど、なんで?)  凛は舌を動かしながら否命の呆けた顔を横目でチラチラ見、そして表情を硬くしていった。 段々と凛の顔に苛立ちが浮かんでいく。 (気付かないのかしら?この子は…。ならこれならどう?)  凛は一旦、舌を口に引っ込めると今度は右手を浅く縦に握り、それと口を近づけチュパ チャパと音を立てた。 「あの…凛様?一体、何をなさっておいでなのですか?」  沙紀がおずおずと「奇行」を始めた凛に声を掛ける。 「もちろん、ナニを………いえ、聞かないで頂戴」 「????」  凛にとってこの行為は屈辱的な行いであったが、表情は晴れていた。これならばいくら なんでも、否命は自分の気持に気付いてくれるだろう…、そう確信していた。  しかし、否命は凛のこの行為を見てもただオロオロと呆けた顔をしているだけであった。 白けた空気の中に、凛の発するチャパ音だけがリビングに響く。なんとも哀しい光景であ った。自信満々な顔をしていた事が、更にそれに拍車をかける。 (クズがっ・・・・・・・・・・!  何故気付かんのだ・・・・・  わしの・・・・・わしの気持ちに・・・・・!)  凛は込上げてくる憤怒をカロウジテ抑え、左手をプルプル震わせながらゴミ箱とパソコ ンを交互に指差した。 「凛ちゃん?」 「~~~~~~!」  否命のこの疑問の言葉に凛は声にならない叫びを上げた。 (って、まだ気付かないの?この子は私の髪の毛とはいわず、ケツ毛まで抜くつもりに違 いないわね)  凛はまるで、夢遊病者のようにひたすらパソコンとゴミ箱を交互に指し続ける。それで も首を傾げる否命を凛は恨めしそうに睨むと、ゴミ箱を指しながらヒステリックに腕をブ ンブンと振り回し初めた。  しかし凛の努力も虚しく、否命はただ首を更に傾げただけであった。完全に凛が何をし たいのか分からないと…といった風である。窒息しそうな沈黙だけが後に続いた。 「お嬢様…、この方は果たして、その……正常なのでしょうか?」  そうして、ポツリと漏らした沙紀の言葉と、自分を哀れむような視線に凛はとうとう限 界に達した。 「貴方とゴミ箱の関係!!」  凛がそう叫んでからしばらくたって、ようやく否命は自分が何を求められているか理解 した。 432 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/06/18(月) 02:40:12 ID:IQ1RRCip 「そうすると…凛様は裏路地で喀血していた方を、同じく裏路地にいられたお嬢様と共に 病院に運んだというわけですね?」 「ええ。その時に血がシャツにかかってしまって…、病院で洗濯しても良かったのだけど やっぱり知らない人の服と一緒に洗濯するのは抵抗があって…、それで秋月さんの家で洗 濯させて貰うことになったのよ」 「すると……」 「う、うん、そ、そうなの!わっ私がりっ、凛ちゃんをい、家に誘ったの!」 「はい…」  沙紀の疑問の声を遮るように否命は凛の言葉を肯定する。さっきからずっと、こんな調 子であった。凛が立て板に水を流すように喋る話に、完全にテンパッテいる否命が間髪い れずに合いの手をいれ、そうしてまた凛が話す……。  落ち着いて喋る凛に、何か鬼気迫る程に言葉に力を込める否命。  結果、沙紀は凛の話しに所々オカシナトコロを感じつつも、それを問いただせずにいた。 否命の様子があまりに必死なことも沙紀に疑念を抱かせたが、それが余計に沙紀の口を重 くしていた。 「そうですか…。そんな事とは露知らず、先ほどは凛様を不快な気分にさせてしまって申 し訳ありませんでした」  雰囲気に呑まれる形で一応、沙紀は凛の説明に納得する。 「いいのよ。あんな状況だったもの…」 「それで、病院はどちらの方ですか?」  沙紀の問いに凛と否命は 「き、北!」 「南よ」  っと、同時に答えた。 「?????」 「つまり北南(ホクナン)ってことよ」 「????????????」 「うん、びょ病院は、ホッ、北南だったの」 「????????????????」  この二人の勢いの中で異論を唱えることは不可能であった。否命と凛の間にはある種の 確固とした連帯館が出来ていた。  こうして沙紀への説明が終わると凛はシャツを脱ぎ、それを洗濯機に入れた。秋月家に は乾燥機があるが、それでも洗濯が終了するまで一時間半ぐらいは時間がかかるので凛は 夕食のカレーをご馳走してもらうことになった。 「悪いわね、シャツまで借りちゃって」  そういって否命のシャツを着た凛は穏やかな微笑を浮かべた。そこには見事に(?)難 局を乗り切った心の安堵があった。 「ううん、元々、私が提案したことだから…」  若干、前かがみになりながら否命は言う。凛が着替える際、不覚にも否命のマラは反応 してしまったのだ。 「お似合いですよ」  何か釈然としないものを感じつつも、この状況を受け入れた沙紀が言う。 「有難う。ただ欲を言えば、胸がちっちゃくて少し苦しいわ」 「ウエストはどうですか?」 「緩いわね」 「はぅぅ…」  否命のマラは萎えた。そして、それを見つめる凛は自分でも気付かない程、微かな笑み が漏れていた。 投下終わります
430 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/06/18(月) 02:38:25 ID:IQ1RRCip  悲鳴を上げる同年代の女学生を見ながら、凛は必死にこの状況を誤魔化す言い訳を考 えていた。別に否命に押し倒されている状況は言いつくろうと思えばなんとでも云える。  しかし、この血まみれのシャツについては、なんて言えばいいのだろうか? (いやぁー、ちょっと本職の方から財布を掏ったら、バレて路地裏で囲まれちゃって…、 いえ、別にもめたわけじゃないッスよ?ただ、ナイフを出されちゃったたものッスから、 そうする気はなかった………とも言い切れないッスけど、ついというか、うっかりという か、つまりノリでこちらもナイフで切りかかちゃってHAHAHAHA!) 「とは、絶対に言えないわね…」  そう、凛が呟いた瞬間であった。 「お嬢様!」  沙紀はハッと息を呑むと、凛を押し倒している否命にパッと駆け寄り、そのまま抱きか かえるようにして凛から距離を取り、凛をキッと睨みつける。  その沙紀の文字通りの必死な表情を見て、思わず凛は苦笑した。知らない人間が血まみ れのTシャツを着て、自分の家で同居人に押し倒されていたら、そりゃあ誰だって警戒す るだろう。しかし沙紀のこの反応はあまりにも…。 「お嬢様、大丈夫ですか!?」 「うん…、大丈夫だよ」  沙紀は安堵の溜息を吐くと、それから直ぐに凛に視線を戻し 「それで…、貴方は何ですか?」  そう問いかけた。 「何って言われても…、デーヴィッド・カパーフィールド式に答えればいいのかしら?」 「…………」 「…………」 「…………」  そうして言葉に詰まる二人の間から、否命がおずおずと声を発した。 「えっと、沙紀さん、凛ちゃんは…」 「この方を知っておられのですか?」  驚いたように目を見開く沙紀に、うんと頷くと否命は言葉を続ける。 「凛ちゃんはね、悪い人では…」  そう言って、否命も言葉に詰まってしまった。凛は掏りであり、尚且つ傷害犯であり、 更に見方によってはこの家に不法侵入し、あげくに自分を恐喝しているのだ。 どう考えても悪い人であった。 「お嬢様?」 「あの、えっと…」  困惑する否命の目に、親指と一指し指で輪を作り、その輪の中に舌を入れレロレロと動 かしている凛の姿が映る。 431 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/06/18(月) 02:39:23 ID:IQ1RRCip 書き忘れましたが、投下します それとフタナリ注意です (凛ちゃん…、急にどうしたのかな?って、私を見てるの?だけど、なんで?)  凛は舌を動かしながら否命の呆けた顔を横目でチラチラ見、そして表情を硬くしていった。 段々と凛の顔に苛立ちが浮かんでいく。 (気付かないのかしら?この子は…。ならこれならどう?)  凛は一旦、舌を口に引っ込めると今度は右手を浅く縦に握り、それと口を近づけチュパ チャパと音を立てた。 「あの…凛様?一体、何をなさっておいでなのですか?」  沙紀がおずおずと「奇行」を始めた凛に声を掛ける。 「もちろん、ナニを………いえ、聞かないで頂戴」 「????」  凛にとってこの行為は屈辱的な行いであったが、表情は晴れていた。これならばいくら なんでも、否命は自分の気持に気付いてくれるだろう…、そう確信していた。  しかし、否命は凛のこの行為を見てもただオロオロと呆けた顔をしているだけであった。 白けた空気の中に、凛の発するチャパ音だけがリビングに響く。なんとも哀しい光景であ った。自信満々な顔をしていた事が、更にそれに拍車をかける。 (クズがっ・・・・・・・・・・!  何故気付かんのだ・・・・・  わしの・・・・・わしの気持ちに・・・・・!)  凛は込上げてくる憤怒をカロウジテ抑え、左手をプルプル震わせながらゴミ箱とパソコ ンを交互に指差した。 「凛ちゃん?」 「~~~~~~!」  否命のこの疑問の言葉に凛は声にならない叫びを上げた。 (って、まだ気付かないの?この子は私の髪の毛とはいわず、ケツ毛まで抜くつもりに違 いないわね)  凛はまるで、夢遊病者のようにひたすらパソコンとゴミ箱を交互に指し続ける。それで も首を傾げる否命を凛は恨めしそうに睨むと、ゴミ箱を指しながらヒステリックに腕をブ ンブンと振り回し初めた。  しかし凛の努力も虚しく、否命はただ首を更に傾げただけであった。完全に凛が何をし たいのか分からないと…といった風である。窒息しそうな沈黙だけが後に続いた。 「お嬢様…、この方は果たして、その……正常なのでしょうか?」  そうして、ポツリと漏らした沙紀の言葉と、自分を哀れむような視線に凛はとうとう限 界に達した。 「貴方とゴミ箱の関係!!」  凛がそう叫んでからしばらくたって、ようやく否命は自分が何を求められているか理解 した。 432 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/06/18(月) 02:40:12 ID:IQ1RRCip 「そうすると…凛様は裏路地で喀血していた方を、同じく裏路地にいられたお嬢様と共に 病院に運んだというわけですね?」 「ええ。その時に血がシャツにかかってしまって…、病院で洗濯しても良かったのだけど やっぱり知らない人の服と一緒に洗濯するのは抵抗があって…、それで秋月さんの家で洗 濯させて貰うことになったのよ」 「すると……」 「う、うん、そ、そうなの!わっ私がりっ、凛ちゃんをい、家に誘ったの!」 「はい…」  沙紀の疑問の声を遮るように否命は凛の言葉を肯定する。さっきからずっと、こんな調 子であった。凛が立て板に水を流すように喋る話に、完全にテンパッテいる否命が間髪い れずに合いの手をいれ、そうしてまた凛が話す……。  落ち着いて喋る凛に、何か鬼気迫る程に言葉に力を込める否命。  結果、沙紀は凛の話しに所々オカシナトコロを感じつつも、それを問いただせずにいた。 否命の様子があまりに必死なことも沙紀に疑念を抱かせたが、それが余計に沙紀の口を重 くしていた。 「そうですか…。そんな事とは露知らず、先ほどは凛様を不快な気分にさせてしまって申 し訳ありませんでした」  雰囲気に呑まれる形で一応、沙紀は凛の説明に納得する。 「いいのよ。あんな状況だったもの…」 「それで、病院はどちらの方ですか?」  沙紀の問いに凛と否命は 「き、北!」 「南よ」  っと、同時に答えた。 「?????」 「つまり北南(ホクナン)ってことよ」 「????????????」 「うん、びょ病院は、ホッ、北南だったの」 「????????????????」  この二人の勢いの中で異論を唱えることは不可能であった。否命と凛の間にはある種の 確固とした連帯館が出来ていた。  こうして沙紀への説明が終わると凛はシャツを脱ぎ、それを洗濯機に入れた。秋月家に は乾燥機があるが、それでも洗濯が終了するまで一時間半ぐらいは時間がかかるので凛は 夕食のカレーをご馳走してもらうことになった。 「悪いわね、シャツまで借りちゃって」  そういって否命のシャツを着た凛は穏やかな微笑を浮かべた。そこには見事に(?)難 局を乗り切った心の安堵があった。 「ううん、元々、私が提案したことだから…」  若干、前かがみになりながら否命は言う。凛が着替える際、不覚にも否命のマラは反応 してしまったのだ。 「お似合いですよ」  何か釈然としないものを感じつつも、この状況を受け入れた沙紀が言う。 「有難う。ただ欲を言えば、胸がちっちゃくて少し苦しいわ」 「ウエストはどうですか?」 「緩いわね」 「はぅぅ…」  否命のマラは萎えた。そして、それを見つめる凛は自分でも気付かない程、微かな笑み が漏れていた。

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