「家族A第一話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

家族A第一話」(2008/08/23 (土) 14:56:43) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

115 :家族A [sage] :2007/07/04(水) 11:34:41 ID:KPfaKu2r 朝、朝食を食べた後にコーヒーを飲みながら何気なくニュースを楽しんでいたのだがその静寂は声によって阻害される。 「お父様、今日は何時ぐらいにご帰宅なさいますか?」 洗い物担当の百合花が濡れた手をエプロンで拭いながら話しかけてきた。 「7時ぐらいかな。」 「分かりました、出来るだけ早くお願いします。」 「何か用事あるのか?」 「いえ、余り遅いと心配になりますから。」 親が子を心配するなら分かるのだが、子が親を心配するのはいかがなものだろう? これじゃ、立場が反対だな。 思わず苦笑が洩れる。 「お父様、何か楽しい事でも?」 俺が笑っていると、百合花まで楽しくなるのか。 自分の事のようにくすりと微笑む。 「なんでもない、それより時間良いのか?」 「もうすぐ出ます、その前に・・・失礼します。」 それだけ述べると、百合花はエプロンを外して俺に抱きつく。 甘えん坊なところは昔から変わってない。 「やっぱり安心するなぁ」 普段丁寧語の百合花だけど、この時だけは本来の口調に戻る。 「ねぇ、お父様」 「ん?」 「お母様の事大好き?」 「あぁ、今も心から愛してるよ。」 「そっかぁ、それじゃ私は?」 「自分の娘を嫌うと思うか?」 抱きついたまま、百合花は頭を横に振り。 よりいっそう俺に抱きつく。 5分ぐらいそうしたであろうか、不意に離れると。 俺に向かって一礼。 「お父様、失礼致しました。」 「気をつけてな。」 「はい、行って参ります。」 制服の乱れを丁寧に直すと、リビングから出て行く。 玄関の音がした後、会社に向かう為着替えることにした。 朝、タイムカードを切ってから俺の仕事は始まるのだ。 「おはよう、白石さん」 「おはようございます、川内さん」 彼女は俺の部下でもあり、同じ大学で学んでいた友人でもある。 その美貌から求婚されるのは多いらしいが、全て断り。 今現在でも、独身キャリアウーマンとして頑張っている。 妻が亡くなった時最も悲しんでくれた人で。 俺自身幾ら感謝しても足りないぐらい恩を受けている。 って・・・そろそろ仕事しないと。 俺は深く深呼吸すると仕事に取りかかった。 116 :家族 A [sage] :2007/07/04(水) 11:36:40 ID:KPfaKu2r 白石 小夜 「ただいま」 誰の返事も帰って来ないのは分かっているが、真っ暗な闇に対して帰宅を告げる。 ふと目に止まった電話機には親からのメッセージ。 聞かなくても内容が分かりきっているので全て削除する。 十中八九お見合いしろ・・・ということだろう。 全くもって下らない。 私には既に心に決めた人が居るのだ。 その人の名前は、川内 智也。 私が彼を見かけたのは大学2年の時、たまたま同じ講義を受けていた頃に遡る。 黒曜石にも似た、黒い髪に引き締まった体。 瞳は湖の様に澄んでいて、優しげな風貌を醸し出していた。 一目惚れだった。 それからというもの、私は彼との絆を築きたくて努力して友人になることができた。 嬉しかった、実際会話してみても想像していたものと一緒・・・いやそれ以上だった。 だが、私の至福の時は長く続かなかった。 彼には妻と娘が居たからだ。 それを聞いた時、私は絶望の本当の意味を知った。 叶わぬ恋・・・。 それでも彼と一緒に居たかった為に、卒業後。 同じ会社を受けた。 新人研修の時の彼の驚きは記憶に新しい。 ずっと、私の恋は叶わないと思っていた。 だが3年前のあの日、私の恋は再び始まることになる。 117 :家族 A [sage] :2007/07/04(水) 11:40:13 ID:KPfaKu2r 忘れもしないあの日、洗い物をしていた時に電話がかかってきた。 「失礼ですが、白石さんのお宅でしょうか?」 相手は愛しいあの人、本来ならば暖かな声はガラガラに枯れていた。 「何かあったの?川内くんっ」 受話機を強く耳に充てるとひそかに泣き声がした。 「・・・妻が、香代が本日、な・・・亡くなりました・・・」 嗚咽と混じり混じりに言葉を紡ぎ出す。何だって? 妻が、亡くなった? 誰の? 「葬式を執り行いたいので・・・つきましては・・・」 愛しい彼のだ!!!!! 何たる幸運!! 彼にとっては悲報かもしれないが、私にとっては吉報だ!! 一生叶わないと思っていたのにこんな形で流れ込むなんて!!! ふとすれば、流れ出てしまう歓喜の笑いを抑えつつ。 震える声で私は彼を慰めた。 「それでは失礼しました・・・」 「元気だしてね、今から会いに行くから」 「ありがとう」 その言葉を最後に電話が切れた。 電話が切れた後、私はどうやって彼を手に入れたら良いのか考えた。 だが、どうにも良い考えが浮かばない。 彼は私を只の友人としか見てないだろう。 私の気持ちにさえ気付いているか、疑問が残る。 彼を取り巻く、人間関係は、娘ただ一人。 両親からは大学卒業後、縁を切られたと聞いた記憶がある。 娘・・・彼に最も近く、切っても切れない関係・・・。 ならば利用してやる! 118 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/07/04(水) 11:42:37 ID:KPfaKu2r 以上です。 歳は28と10でお考え下さい。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: