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205 :かすみ 1/5 [sage] :2007/08/18(土) 23:16:43 ID:20wzF9he  昔から変なヤツだった。  小学生低学年の時は家の庭で一日中、アリを指で潰してた。  小学生高学年の時は学校の水槽に農薬を撒いて、浮いてきた魚を見て笑ってた。  中学生の時は子猫を川に投げ捨てて、恍惚とした表情を浮かべていた。  高校生になったヤツは、ついに人を傷つけた。 「ゆうくん」  そして、その事件で停学中のヤツの声が、背中から聞こえてきた。  ここは・・・俺の部屋だ。  なんで・・・なんで・・・ヤツが。 「かすみ」  俺は恐る恐る後ろを振り向く。 「ひっ」  息を呑んだ。  長い黒髪。白い肌。病的なまでに濁った瞳。  そして、いたるところについた・・・ドス黒い・・・血。 「お、お前まさか・・・」  喉が張り付くように渇き、自分の声とは思えないほどかすれていた。 「心配しないで・・・ちゃんと、みんな息の根を止めてきたから」  そういうと、シトシトとゆっくり俺に近づいてくる。 (なんで、なんでコイツが俺の部屋に!?)  俺は恐怖の余り、座っていた椅子から転げ落ちる。 「と、とうさん!かあさん!」  力の限り叫ぶ。  それでも、いつもよりは声出ていないが、下の階にいる二人には聞こえるはずだ。  しかし、下からの反応は無い。 「・・・うそだろ?」  かすみは口を大きく横に開き、悪魔のような笑みを浮かべる。 『ちゃんと、みんな息の根を止めてきたから』  かすみの言葉を思い出す。 「まさか」 「だって、ゆうくんのお父さんもお母さんも、ゆうくんに会わせないって言うんだよ」  ヤツが一歩近づくたびに、俺は尻餅をついたまま、後ろに下がる。 「ゆうくんがアリを潰すのが楽しいって言ってたから、私もやってみたんだよ。  ゆうくんが水槽当番で水を取りかえるのが大変って言ってたから、私がそんなことしなくてよくしたんだよ。  ゆうくんが子猫を可愛がるから、私は悲しくなったんだよ。  ゆうくんが私以外の女と一緒にいるから、ゆうくんを私だけのものにしたくなったんだよ」  背中に壁があたる。  もう、下がれない。 206 :かすみ 2/5 [sage] :2007/08/18(土) 23:17:46 ID:20wzF9he 「えへへ」 「ひっ」  追い詰められた俺の顔に、顔を近づけてくる。  そして、振り上げられた右手には・・・光を反射する・・・ナイフが握られていて。 「ゆうくんは・・・かすみのものだよ」  それが空を裂く音が聞こえた。 「う・・・あ・・・がぁっっ」  左肩が熱い。  肩を見ると、そこから血がダラダラと流れ、袖を真っ赤に染め上げていた。 「おいし」  切りつけ血のついたナイフを、目を細めながら舐めている。  狂ってる。 「ゆうくんも気持ちよくしてあげる」  パサリと落ちる、白いワンピース。  病的なまでの白い肌。  下着を着けていないその白い肌には、無数の傷がまるでファッションのように走っていた。  手首。首筋。胸。腹。脚。そして、秘部。 「ほら、女の子のおまんこ・・・ゆうくん見たことないよね」  自分の指で秘部を大きく開き、俺に見せる。 「どう?興奮した?」  かすみは左手だけで器用に俺のズボンとパンツを下ろす。 「これがゆうくんのおちんちん・・・ふふ。元気だね」  ありえない。  俺は脱がされた自分の下半身を見て驚いた。  なんで、こんな状況で勃ってるんだ!?  勃起している感覚はない。恐怖のせいか体が少ししか動かないっていうのに。 「じゃあ、いくね」  かすみが俺の上にゆっくりと腰を下ろす。 「んっ・・・んっっ・・・ぁぁっ・・・はぁっ」 207 :かすみ 3/5 [sage] :2007/08/18(土) 23:18:48 ID:20wzF9he  真っ白なかすみの顔が上気して、紅くなっていくのがわかる。 「ゆうくんの初めて・・・奪っちゃった」  初めて。  実は違う。俺の初めては、アイツ。  多分。もうこの世にはいないであろう・・・俺の大切な人。 「・・・違うの?」  かすみの目が濁り始める。 「あの女?あの女なの?・・・これはゆうくんの初めてじゃないの?」 「うっ・・・がぁっ」  かすみの細い指が俺の首を絞めつける。  両手の爪が首に食い込んで、血が流れていくのがわかる。  ・・・両手?  俺は痛みにこらえながら、かすみの傍を見る。  ナイフが無造作に床に転がっていた。 「どうして・・・私の初めてはゆうくんにあげたのに、ゆうくんの初めては私じゃないの?」  かすみに気づかれないように、ゆっくりと左手を伸ばしてナイフの柄を握る。 「おかしいよ。そんなの・・・不公平だよ・・・ゆうくっんっっ!」  かすみの顔が苦痛にゆがむ。  俺の左手に握られたナイフが、かすみの脇腹を薙いだのだ。 「どけ!」  俺は体を起して、かすみを突き飛ばす。  かすみの反撃に備えて、俺はナイフを構える。  しかし、かすみは一向に起き上がる気配を見せない。  倒れた時に頭でも打ったのか? 「かすみ」  俺は立ち上がってかすみの顔を覗き込む。  濁ったままの瞳が俺を睨んでいる。  意識はある。だが、小刻みに震える体と言葉を発することのできない口。  先ほどの俺と同じ。 「・・・毒?」  体を麻痺させる薬品か何かがナイフに塗られていたのだろう。 208 :かすみ 4/5 [sage] :2007/08/18(土) 23:20:13 ID:20wzF9he  全裸で倒れているかすみ。  脇腹と股間から血を流していた。 「本当に処女だったんだ」  俺はかすみから目を離さないようにしながら、ベッドに腰掛ける。  っ。  腰かけた時に、左肩に痛みが走った。  そういや、さっき切りつけられてたんだった。  あまりの展開に忘れていた。 「病院行かなきゃダメかな」  俺が肩を見るためにかすみから目を離した・・・その瞬間。 「ぅぁっ!?」  右足の甲に鋭い痛みを感じた。  恐る恐る覗き込むと、、小さなバタフライナイフが俺の足の甲に深々と突き刺さっていた。 「かすみ」 「ひどいよ・・・ゆうくん・・・せっかく、無防備な体さらしたのに・・・何もしてくれないなんて」  かすみがゆらりと立ち上がる。 「ゆうくんの精液頂戴」 「く、くるな!」 「ゆうくん・・・だいすき」  俺はかすみに押し倒され、犯され、そして、果てた。 209 :かすみ 5/5 [sage] :2007/08/18(土) 23:21:05 ID:20wzF9he  その後、俺が目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。  翌朝、新聞配達員が、玄関にベッタリと血がついているのを発見。  警察が駆けつけ、俺を保護してくれたらしい。  両親は死亡。俺は出血こそ多かったものの、致死量には至らなかったらしい。  そして、肝心のかすみはその日以来、行方知らずとなった。    あの日から10年がたった。  俺は結婚して子供も幼稚園にあがった。  幸せだった。  かすみのことなんて、完全に忘れていた。 「・・・おかえり」 「おかりなさい」  その日、俺の帰りを家で待っていたのは、最愛の妻と子供ではなかった。  血濡れた白のワンピースに身を包んだ、女性と少女。 「ゆうくん・・・今日から家族三人で暮らそうね」

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