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285 :大好きにはなれないね(仮題) ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/10/06(土) 18:15:12 ID:+StY7qvv  昔のドラマの主人公にオメダというあだ名のキャラクターが居た。  周りの奴らに「お前はダメだ」といわれ続け、「お前はダメだ」を略して「オメダ」というあだ名になったそうな。  はん。  まさに俺じゃねーか。  ジリリリリンと鳴った目覚まし時計を、止めると俺は万年床となっている布団から体を起こした。  時計を見ると午前十一時。  ……、んー、俺は確か八時にセットしてたはずなのにな……。どうやら、無意識のうちに止めまくってたみたいだ。 「ねみぃ……」  昨日遅くまで深夜ドラマ見てたからなぁ。NHKめ、なにもこんな深夜にアルフの再放送を5時近くまでやってんじゃねぇ。一話二〇分足らずだからつい次も見ちゃうんだよ。  寝癖だらけの頭をぼりぼりと掻いて立つ。部屋の畳に散らかったリモコンやゴミを押しのけて、窓まで歩いてカーテンを開く。頂点近く昇った太陽の陽で寝起きの瞳にはまぶしすぎる。 「……えーっと」  なんだっけな。俺、何で目覚ましなんてかけてたんだっけな? 「それは私を家に呼んだからじゃないの?」 「うわっ!!」  突然、背後から話しかけられて俺は思わず大声を出して飛び上がってしまった。途端ごつんとガラス窓に頭をぶつける。いてて。 「起きたかしら?」 「起きてますよっ。つーか、居るなら居るっていってくださいよ」 「居るわよ」 「今言わないでください!」  振り向けば、そこにはエプロン姿の眞子さんが立っていた。ゴミだらけの床の上も平然と長いニーソックスで踏み分けている。  こんな部屋で涼しい顔して仁王立ちしている姿はまるでゴミ溜めの中に咲く一輪の胡蝶蘭のようだ。胡蝶蘭がどんな花なのかは知らんが。 「いつから来てたんですか、眞子さん」 「その前に、その下着からはみ出してるものをしまってくれないかしら?」  眞子さんの冷たい視線が俺の股間あたりを直撃している。俺もそれにつられて視線を落とせば、まぁなんというか。トランクスにタンクトップという格好で寝ている俺が悪いんだな。見事にトランクスの裾から球体が覗いていた。  やっべぇ。視線が刺さってる! 「すいませんっ。眞子さん!」 「すぐにズボンでも履いてきたら?」  言われなくてもすぐしますっ! 俺は散らかっていた洗濯物の中からGパンを探しだすと、それをいそいそと履く。ついでに隣にあったシャツも掴んで着込む。一番したのボタンが外れてるけどいいだろ。  俺がきちんと着込んだのを見ると、眞子さんはやれやれといった風にため息をつくと、台所へ戻っていった。  そうだったなぁ。俺はようやく思い出す。今日は眞子さんが来るんだった。それでこの部屋を大掃除しようと思って、早朝に起きようとしてたんだったわ。やっぱり昨日のうちにするべきだったなぁ。  っていうか、台所! 台所は確かカップラーメンの空き容器とかでいっぱいだったはず! そんなところで眞子さんはなにか作っているのか!?  おそるおそる、引き戸で区分けされた台所を覗いてみる。  ……なんだこのうまそうな匂い。味噌汁……。そういえば一人暮らしはじめてから味噌汁なんて食ってなかったなぁ……。  見ればアレだけ酷かった台所周りがきれいに片付いていた。いや、床にたまったゴミ袋とかはそのままだけど、少なくとも流しまわりはあれだけあった汚い割り箸やプリンのカップはすべてきれいになくなっている。  そんな台所でとんとんと包丁で音を奏でる眞子さんの後姿。なんかすっげぇキュンとくる。  真剣な表情で俺のための味噌汁を作る眞子さん。おでこでかっちりと一直線に切られた前髪に覗くすらっとした高い鼻とふさふさのまつげ。すらりと伸びた首筋、後ろでまとめた髪と底から覗く白いうなじ。  視線を降ろせばエプロンを押し上げる双球がぷるんと自己主張し、さらにその下にはひざ上まであるニーソックスがぱっつんぱっつんの太腿をさらに艶っぽく際立たせている。 「眞子さん。朝メシつくってくれてんですか?」 「ええ。どうせあなたまともなご飯食べてないでしょうから。迷惑だったかしら……?」 「いえ、ぜんっぜん! 嬉しいですよっ。あ、でも材料って……。その前に鍵は」 「鍵は開いてたから勝手に入った。冷蔵庫開けたらなにもありゃしないじゃないの。だから材料は全部私が買ってきた」 「まじすか」 286 :大好きにはなれないね(仮題) ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/10/06(土) 18:15:53 ID:+StY7qvv  冷蔵庫を開くと、中には普段めったに買わない食品や納豆、野菜、牛乳、お茶パックがいっぱい詰まっていた。うえぇ? 確かこの冷蔵庫は昨日まで丸大ハムしか入れてなかったはずだぞ? 「コンビニ弁当や惣菜ばっかりの食事だったみたいね。栄養が偏るわよ」 「は、はぁ」 「私がいくつか必要になりそうなもの入れといたわ」 「は、はい。さーせん」  眞子さんの好意に俺は返す言葉も無かった。牛乳って、パックじゃなくて県内の有名牧場で直売されている系の瓶入り牛乳だよ。こんなものスーパーでも通常の倍近くの値段だぞ。 封を切って直接口をつけて一口飲んでみる。うん、こくまろであまーい口どけだ。 「私にも」 「はい」  眞子さんに瓶を渡すと、俺が口をつけた牛乳瓶になんの躊躇も無く口をつけてごきゅりと飲んだ。 「間接キスですね」  俺がニヤニヤしながら言うと、 「馬鹿」  眞子さんは牛乳片手に頬をすこし桃色に染めて照れながら言った。  なにか手伝おうかと思ったけど、台所に居る俺に眞子さんは邪魔だといわんばかりに動き、手で自分の部屋へ戻れとおっしゃられるので俺は仕方なく自室へ戻った。  とりあえず、早朝起きてするはずだった、部屋の掃除でもしようかとあたりを見渡す。まずこの万年床を片付けないとな。相当中の毛布が寄っている布団を折りたたむ。これを……えーっと押入れの中に。  ……待て、押入れの中はたしか俺のエロい漫画がかなりの量あったはず。いまここでむやみに押入れを開けてばっさり眞子さんに見られたら何言われるかわかったもんじゃない。布団ははじっこに寄せとこう。  それと、そうだ。ちゃぶ台ちゃぶ台。眞子さんがせっかく朝飯作ってくれたのにいつものとおり床に置いて食うなんて出来ないだろ。ちゃぶ台を出さなきゃ。  ちゃぶ台は壁に立てかけてあるものを引っ張り出す。側面が見事にほこりを被ってやがる。ふうふうと息を吹いてほこりを取ると、真ん中へちゃぶ台を置いた。  あとはいくつか、眞子さんが座れるスペースを……。なんとかものを寄せて……よし、これくらいならいいだろ。  と、ちょうどいい具合に眞子さんが台所から顔を出した。右手と左手には味噌汁が二つづつ漆塗りお椀に入っている。漆塗りおわんなんてうちにあったっけ? あ、これも眞子さんが買ってきたんですか。 「眞子さん。料理並べるのぐらいは手伝いますよ」 「いえ、いいわ」 「いいからいいから」  俺は味噌汁のお椀を無理やり眞子さんから奪うと、いま並べたちゃぶ台へ味噌汁を置いていく。あ、そういえば箸も居るな。箸はたしか割り箸が二つ残ってたからそれを……。 「ちゃぶ台は拭いたの?」  ……拭いてねぇッス。 「もう、しょうがないわね」  俺の無言を肯定と受け取った眞子さんは今並べた味噌汁お椀をまたちゃぶ台から取り上げる。台所まで一度戻り、今度は布巾を持って入ってきた。  俺の目の前で眞子さんはちゃぶ台をきゅっきゅっと拭き取っていく。全面拭いた布巾の表面を眞子さんは無言で見せる。情けないくらいグレーだった。  眞子さんの作ってくれた料理は、味噌汁にアジの干物に野菜サラダ。白いふっくらご飯には黄色のタクアンがきれいに添えられている。  時刻はもう12時前だというのに朝飯定番メニュー。なんだか変な感じがした。まぁ俺は休みの日はほとんど朝が菓子かカップ麺だから、普段と比べればコレはとてつもなく立派な真人間的食事なんだけどさ。 「なんだ、もしかして朝はパンのほうがよかったのか?」 「いえ、頂きます」  二人で向かい合って食う朝食。料理はどれもめちゃくちゃ美味かった。 287 :大好きにはなれないね(仮題) ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/10/06(土) 18:16:46 ID:+StY7qvv  流しで眞子さんがお皿を洗っている。皿洗いぐらいは手伝おうとしたがこれもやんわりと拒否された。  だから俺は部屋でぼーっと写りの悪いテレビを眺めていた。ノイズまじりの画面と片方壊れたスピーカーから流れる出演者たちの声。拾い物だから仕方が無いとしても、その音は雑音に近い。  俺はなんだろうなぁ。と一人で自問自答しようとして……、面倒くさいからやめた。 「生気の無い顔して、どうかしたの?」  気がつけば、エプロン姿の眞子さんが隣に来ていた。 「あ、いえ。なんでも……ないです」 「ふぅん。そう」  しばし沈黙。 「眞子さん、そういえばメガネ、どうしたんですか? 今日は無かったから一瞬誰だかわかんなかったですよ」 「へぇ……」  またしばしの沈黙。あれ? なんで、沈黙なんだよ。俺。いつもならもっと盛り上がるだろ? 「ああ、そうだ。眞子さん。今日はどこへ行きますか?」  俺は沈黙を打ち破るように、わざと大きな声で眞子さんに話しかける。そういえば本来の目的をすっかり忘れていた。今日は俺と眞子さんのデートの日なんだ。  待ち合わせはどうしようと話してたときに、眞子さんが俺の部屋っと言ったから、俺の部屋になったわけで。  ぶっちゃけ、料理とかは想定外だったんだよなぁ。  だから、本来の目的であるデートに話題を持っていく。  が、しかし、眞子さんは静かに首を振った。 「ん? どうしたんです?」 「デートよりやらなくちゃいけないことがあるわ」  俺は頭に疑問符を浮かべる。眞子さんはエプロンのポケットから一枚、水色のナプキンを取り出した。それをまとめた自分の頭にかぶせる。 「眞子さん?」 「掃除」 「え?」 「そ・う・じっ!!」  真剣な表情で語彙を強め言い放つ眞子さんに俺は思わず肩をこわばらせた。改めてみれば、眞子さんの頭のナプキンにエプロンって確かにまるっきり年の暮れの大掃除の時の格好だ。 「え、掃除って。デートは……」 「あなたの部屋がこんなに汚いとは思わなかったわ。デートよりまずは掃除! それとモノを片付ける!」  え、ええ? 「掃除っていきなり言われても……それに片付けって今さっき……」 「それは片付けじゃないわ。ただ物を寄せただけでしょう! これから毎日来ることになるんだから、この部屋を徹底的に綺麗にするわよっ」  ん? 毎日……? いま、なんて言っ……、 「ほら、この布団とか。折りたたんでただ部屋の隅に置いただけじゃない! こういうものはちゃんと押入れに収納するの」  そう言って、眞子さんは俺が寄せた布団を両手で抱え上げると、そのまま押入れに入れようとする。あ、待て! 押入れには俺のエロ漫画が!  ガラガラ。  どさどさり。  が、一歩遅く眞子さんは押入れのふすまを開けてしまった。しかも運の悪いことに積み上げていたエロ漫画が押入れのふすま側に重量をかけていたため、俺のコレクションの数冊が見事に押入れから転がり出てしまった。  少年コミックとはちょっと違う、ちょっぴり大きめA5でピンク色と肌色と白濁色がふんだんに表紙に使用された本が三冊ほど眞子先輩の足元へ落ちた。 「ああっ、これは違います!」  俺は座った姿勢のまま飛び掛るように四つんばいで走り、落ちたエロ漫画を回収っ。表紙を見られないように拾ったTシャツの中へ隠す。 「えーっと、これはなんでもありませんから! マジですよっ!」 「……それを隠してもこっちにいっぱいコレクションは揃ってるみたいだけど?」  あああああっっ!  そうだった。今落ちた三冊を回収しても、押入れの中にはまだ大量のエロマンガが揃っていたわけで……。眞子先輩は涼しい顔で布団を床へ一度置くと、押入れで積み重ねられているエロ漫画を一冊手に取る。  ぺらりと中身を開き、その冷たい目で内容をザッピング。たしかあの本は委員長である真面目な女の子を一匹狼の不良がいやらしく調教して行くっていうかなり濃い内容だったはず……。  俺は背中に冷や汗がだらだらと流れまくっていた。一気に体温が冷え、眞子さんの顔を見ることが出来なくなる。ドキドキと鳴る心臓。 「ま、眞子さん……」 「最悪ね」 288 :大好きにはなれないね(仮題) ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/10/06(土) 18:17:42 ID:+StY7qvv  眞子さんはパタンとエロ漫画を閉じた。 「いつもこんなの読んでるの?」 「え、えーっと」  毎日読んでますっては言えないだろ。 「こういうの好きなの?」 「………」 「まぁ好きならこんなに買わないわよねぇ……」  うう。眞子さんの視線が痛い。 「で、でも」 「なに?」 「でも、俺も男ですからっ。こういうものは持っているものですよ」 「ふーん……」  うわぁ、納得してないっていうかめちゃくちゃ怒ってる時の顔だ。唇をむっつりとへの字に曲げ、冷めた視線で俺を捕らえる。頭からアニメのようにぷしゅうぷしゅうと湯気が出ているようで、俺の額に流れる汗は三割増し。  ぶっちゃけ、たとえばさっきの掃除をするって言い出した時の眞子さんはほとんど普段どおりの眞子さんだ。怒っているようにも見えた眞子さんだったが俺に対してはあれが普通。  怒っているときの眞子さんは普段にも増して無口になる。そして、Vシネマのヤクザよろしく『目で殺す』といわれるように、強く強く相手をにらみつけるのだ。  ちゅ、ちゅーか。エロ本見つけたぐらいで怒りすぎだろ! 眞子さんっ!! なにが悪いんだよ! 「えーと、眞子さん」  でも、勢いよく反論できない俺。ヘタレ。 「ねえ」 「はいっ!!」 「あなたは、こういうのが好きなの……?」  眞子さんはエロ漫画の表紙を俺に見せ付ける。なんだかこの時の眞子さんの表情に俺は少しだけ違和感を感じた。 「え。えええ。ええ、まぁ……」  でも、俺はそんな表情の変化で眞子さんの微妙な感情を読み取って対応できるほど人間が出来ちゃいなかった。馬鹿正直に答えちまった。 「好きですよ……ええ」 「そう……」  眞子さんは何度か俺の言葉を反芻するように頷く。 「……私より魅力?」  え?  俺は耳を疑った。 「ま、眞子さん?」  が、聞き返した時にはもう眞子さんはごにょごにょと口元を動かして、そのまま口をつぐんでしまった。なんだか妙に眞子さんの頬が赤くなっている。  魅力……? み、みりょくって。 「え、えーっと。眞子さん」  俺は頭の中で慎重に言葉を選びながら口を開く。 「……?」 「お、俺。確かにそういう本は好きですよ。うん、見ればわかるかもしれないですけど。で、でも。眞子さんが嫌なら……俺、その本全部捨てます」  かっこよくないかもしれないけど……。 「そういう漫画っていうのは……、えーっと。魅力とかじゃないんですよ。そもそも漫画と実物は全然違うわけですし……。俺は……、俺、こんな風にだらしなくて、全然だめなヤツですから、  女の子と付き合ったことも無かったんですよ。だから、ほら、えっと。寂しさの穴埋めみたいなものなんです。うん、多分、ですけど」  そうだろう。うん、そうだろう? 「でも。今、いまは眞子さんがいます。眞子さん。眞子さんが俺の寂しさを埋めてくれてるんですよ。だから、眞子さんが居ますから、俺、もうそういうのは……無くて、いい、です」  何度も噛みそうになった。でも、最後の一文だけははっきりいわないと。 「俺、眞子さんが居てくれれば幸せですから」  ふっ。 289 :大好きにはなれないね(仮題) ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/10/06(土) 18:18:56 ID:+StY7qvv  気がつけば、俺は眞子さんに抱きしめられていた。ぎゅうっと眞子さんの腕が俺の背中をまわり。眞子さんの細い体が俺にぴたりとくっつく。  俺の肩に顎を置いて、眞子さんの髪の毛の匂いがふんわりと俺の鼻腔をくすぐった。  眞子さんは言葉を話さない。表情は見えない。どんな顔なのかもわからない。ただ、俺を抱きしめただけ。でもそれだけで眞子さんの想い・感情が伝わってくる。  優しい抱擁。しばらく俺と眞子さんは一緒に抱き合っていた。 長い間そうしていたのか。もしかしたら一分くらいだったのかも知れない。  眞子さんの体が離れる。  顔を見ると、眞子さんは普段の表情へ戻っていた。よかった。怒りは収まっていつもの調子に戻ったようだ。俺はくすりと表情を緩める。 「眞子さん」 「よし。じゃあ、捨てようか」  ……へ? 「私が居れば、こんないやらしい漫画なんていらないのでしょ? 全て捨てるわよ。こんなもの」  ああ、本当に、いつもの調子に戻った眞子さん。 「よく考えればこんな布団は干さないといけないわね。私は干すから、あなたは押入れの中にあるものを全てビニール紐で纏めて頂戴」 「え。今から全部!?」  せめて三冊ぐらいは、最後に一回……。 「ほらほら、立って。あと床もゴミが散らかってるんだから。徹底的に掃除しないと。今日は一日あなたの部屋を丸洗いよ」 「……マジすか」  デートはお預け?  はぁ。 「返事!」 「はーい」  眞子先輩はその言葉に満足げに頷くと、布団を担いでベランダへ向かう。すれ違い俺は押入れへ。  ああ、俺の夜を支えたレディたちよ……。ジュンコ、ヨウコ、ナツコ、クミコ、ヒロミ、アユミ、カオリ、ハルカ……。  さようなら、さようなら、さようなら……。お前は次の俺みたいなヤツのために頑張ってくれ……。 ☆ 『眞子さんが居てくれれば幸せです』って言葉はもちろん嘘じゃなかった。  少なくとも、この時までは。 (続く)

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