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6 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/12/02(日) 19:51:21 ID:EY/AN0IZ
>>1乙かれーチョコレートを分けてあげよう
8 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/12/03(月) 07:58:42 ID:a103DU/b
「ふぅ、終わったぁ~」
一通り綺麗になった部室を見渡して、擦立一(すれたて はじめ)は仕事をやり終えた満足感に浸る
陸上部の部室は、部員たちが砂を運ぶので汚れやすく、誰かが定期的に掃除する必要がある
3年が引退し部長となった彼は、その仕事を後輩にやらせる事はできたし、
実際に彼の先輩はそうして来た
しかし、彼は陸上をしに来ている後輩にそういう事まで押し付けるのはおかしいと思ったし、また、
自分に厳しくする傾向もあってそうすることを良しとしなかった
(つくづく損な性格だな)
そう思ったものの、自分はそういう性分なのだから仕方がない、と心の中で苦笑する
彼は再度備品などの点検をした後、部室のドアを開く
「もう終わったよ」
自分を待ってくれているであろう、まだ幼さの残る幼馴染みに声をかけながら
季節がら、暗く肌寒い風が吹く道を2人は帰る
擦立一と病坂理玖(やみさか りく)は歩いていく
「それにしてもおそーい! 凍え死ぬかと思ったよ」
「ごめんね、でも思ったより部室が汚れていたからさ」
実際に両手で自分の体を抱いて寒がってみせる理玖に、一は申し訳なさそうに言う
一はふと少女の手を掴んだ
「ななな何やってんの!?」
「いや、こうすれば少しは温かくなるかなって」
理玖は一がとった突然の行動にどぎまぎする
「もしかして、嫌だった?」
彼は手を繋いだ事が相手を不愉快にさせたかもしれないと、手を握る力を少し緩めようとする
(あ……手を放さないで)
「嫌、じゃない……」
頬を赤く染めた少女は俯きながら離れようとする手をぎゅっと掴む
一はその様子を見て、安心を得たと同時に少し恥ずかしくなって視線を理玖から逸らす
目を合せないまま二人は暗い道を歩く
9 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/12/03(月) 07:59:34 ID:a103DU/b
「そーだ!忘れてた!一、手を出して」
先ほどの恥じらいなどなかったように再び元気良く振舞いはじめる理玖
一はそれにほっとして、だけど少し残念に思いながら素直に従う
「頑張っている君にはコレをあげよう」
小さな胸を張りながら、仰々しくピンクのリボンでラッピングされた包みを差し出された手の上に
乗せる
一がそれを空けると星型やハートの形をしたチョコが無数に詰まっていた
「へぇ、チョコか~。食べていい?」
「モチロンだとも」
空腹だった一は答えを言い終える前にはチョコを口に放り込んでいた
口の中にとろける様な、しかし甘すぎない味が広がる
「美味しい」
自然と口から漏れた。
「ふふ~ん、私が作ったんだから当たり前だよ。さあ、私に感謝したまえ~」
「うん、ありがとう」
ドタドタッ ガタン
理玖は慌しく階段を上り自分の部屋に入ると、制服から着替えぬままベッドに飛び込んだ
そしてそこにある熊のぬいぐるみに抱きつき、激しく身もだえする
「やった!やったやった! 一が美味しいって言ってくれたよぅ」
よほど美味しかったのか、あれから一は一言も喋る事無く全てのチョコを平らげてしまった
それに呆れたような顔をしては見せたが、この幸せが表に出ないかどうか内心ヒヤヒヤしたものだ
「それに私に、ありがとうって……。っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
その顔が、声が、頭に焼き付いて離れない
理玖は声無き声をあげる
「あっ……でも……」
声のトーンが急に下がったものとなる。
「どうしよう……もしかして気づかれたかも」
一は食べ終わった後聞いたのだ。「市販のチョコには無い不思議な感じがする。隠し味に何か入れたの
か」と
理玖は制服の袖をめくる
そこには赤い一本の筋が走っていた
「どうしよう、こんな事したってばれたらいくら一が優しいからって嫌われる……」
心に一滴の黒い水が落ちる
「そもそも自分の血を食べさせようなんて思う事自体がおかしいんだ。そうか、私はおかしいんだ。こん
な私は一の優しさに触れる資格はないんだ。ううん、そう思う事すらおこがましい」
その小さな影はその領域を広げ、全てを黒く染め上げていく
「じゃあ私は一に置いてかれるの? ……そんなのはイヤ!!絶対イヤ!!」
そこに陽の光が射すことは無い
「一くん捨てないで下さい私を捨てないでなんでもするから許してごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」
理玖は体を丸め、ぬいぐるみを強く抱きしめる
「私を1人にしないで……、はじめぇ」
>>6 ネタにしてゴメンナサイ
結局何が言いたいかというと、>>1乙