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462 :もう何も信じない 第6話 [sage] :2008/09/25(木) 07:51:22 ID:VJewfE0Q あの痛ましい事件から2ヶ月が経った。 光は、人が変わったかのように何かに怯えるようになった。 以前の光を知ってるやつなら、誰でも変に思うだろう。 ただそれは、どうやら両親の死が原因じゃないようなんだ。 学校でクラスメートにその事でいたわりの言葉をかけられても、また俺がその話をしても、 「大丈夫。もう平気だから。」 とだけ言うんだ。 じゃあ、お前は一体何をそんなに恐れてるんだ? 俺はそのことを、こいつに相談したんだ。 「で・・・どう思う?」 「…そうだな。両親が死に、次は自分だ、と思ってるとか?ちなみに真面目な意見だ。」 こいつは、環 右京。左京先輩の弟だ。 俺にとって数少ない、腹を割って話ができる相手だ。 以前は、右京とは必要最低限のことしか話さない仲だった。 だが何度かそうしているうちに、「こいつは自分からは他人の領域に入り込んでこない。 だからなんとなく、こいつなら頼りになる。」と思ったんだ。 それからは、親友・・・というのとはまた違うが、悩み事を互いに話せる仲になった。 これも、光のおかげだ。俺は光のおかげで、前よりひとを疑わなくなった。 だからこそ、今こうしてまたひとつ、悩みを打ち明けられている。 「真面目に返すが、それはないだろうな。」 「そうか………まあ何にせよ、佐橋がついててやれば、安心するんだろう?しばらくはそれでいいんじゃないか?」 「時がたてば……ってか?……正直いうと、俺は光を早く恐怖から解放してやりたいんだ。 でもあいつは何も言ってくれない。………環のいうとおり、このまま待つしかないのか………?」 下校のチャイムが鳴る。 俺はいつもどおり、光と一緒に帰る。 「ねえ歩・・・右京君と何話してたの。」 そう言う光。その笑顔は・・・・いつか視た、"あの"笑顔。 「心配するな、光。お前の話をしてたのさ。」 「えっ・・・なあんだ、心配して損しちゃったよ。」 「環のやつ、うらやましがってたぞ?お前みたいな嫁がいるなんて、って。」 「嫁だなんて・・・そんなぁ♪////」 ふと見ると、もとのはにかんだ笑顔に戻ってる。よかった――――― 463 :もう何も信じない 第6話 [sage] :2008/09/25(木) 07:52:08 ID:VJewfE0Q 俺が一番悩んでるのは、以前よりさらに激しくなった、光の、俺への執着心。依存心とも言うべきか。 たとえば、俺がコンビニに行くほんの数分が耐え切れなくて・・・・ 光はカッターで手首を切ろうとした。横ではなく、縦に。それも一度じゃない。 俺がそれを"予知"できなければ、今頃は命がいくつあっても足りないだろう。 そうして帰ってきた俺にすがりつき、ひたすら 「ひとりにしないで」「みすてないで」「たすけて、ひとりはこわい」 と、泣きながら懇願するのだ。 それから、以前俺が女子から手紙をもらったときは、(環曰く、こう見えて俺はもてる、らしい。訳わからん) 「約束・・・覚えてるよね・・・・?」 と、あの笑顔で言うのだ。 当然俺は手紙の主をふる。でもそれは俺のためとか、光のためだけじゃない。 そうしないと、その子はきっと殺される。何でだろうか。光がそんなことするはずないのに、 俺の"予知"でない予感が、そう告げるんだ。 でも俺は、光から離れようとは思わない。 今の光には俺が必要なんだ。 それに、光がいなければ俺はずっと孤独だった。俺にも、光が必要なんだ。 それが恋愛感情なのかはまだわからない。でも、光が望むなら・・・・・ 「歩、愛してるよ。僕は絶対、君のそばを離れたりなんかしないよ?」 「・・・・ああ。俺もだよ。」 俺は、光を抱いた。 あの日、光は突然何かに取り憑かれたように怯えだし、俺に"救い"を求めた。 俺にはただ、そうすることでしか光を恐怖から救えなかったんだ。 でも構わない。俺だって光に救われた。 光が望むなら、それで癒しになるのなら、俺はいくらでも光を抱いてやるさ。 「君がいてくれるなら、何にも怖くないさ。 だから・・・・僕を見捨てないでね?」 光は、最近よく俺にこの台詞を言う。光が何を怖れてるか全部は俺にはわからない。 ただひとつ言える事は・・・・ 「心配するな。俺には、お前しかいないんだから―――」 光は、俺に見放されることをとても怖れている、ということだ。

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