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313 :紳士 ◆wzYAo8XQT. [sage] :2008/11/30(日) 02:11:01 ID:dl4DyePw
「お兄ちゃん!? 一体何やってるの!」
 俺は慌てて振り向く。そこには俺の部屋の戸を開けて唖然としている妹がいた。
 や、やっちまった。どう言い訳したらいいんだ。
 何せ俺の格好は全裸。しかも黒ニーソだけを穿いている。白と黒の狭間で揺れ動いたが、やはりニーソといったら黒だと思うんだ、俺は。
 と、そんな俺のニーソ論はどうでもいい。今すべきことはどうやってこの状況を誤魔化すか、だ。

 何で俺がこんな怪奇な格好をしてるかといえば、「春……よくその目に焼き付けておきなさい、これが紳士の正装だ」と死んだ父さんが夢枕に立って――全裸にネクタイという珍奇な姿で――言ったからだ父さんの傍らには、死んだ母さんが微笑んで立っていた。
 二人とも、とても幸せそうだった。
「父さん! でも俺はまだ社会人じゃないんだ! ネクタイなんて持っていない」
 俺は、咄嗟に父さんにそう呼びかけた。すると父さんは、
「ならばネクタイではなく靴下を穿きなさい。それが、若き紳士の嗜みというものだ。お前がニーソックスを穿きこなせたとき、初めてお前は一人前となるだろう」
 そう言い残し、父さんは母さんとともに去っていった。俺は、起きてからさめざめと泣いた。そして決めたのだ。紳士を目指すと。
 その矢先にこの悲劇である。さすが一人前の証、ニーソックス。いきなり俺みたいな若輩者が穿きこなすには無理あったのか。

「も、萌、違うんだ、これには訳が」
 死んだ父さんと母さんが夢枕に立ってこの格好を推奨したんだ!
 ……言えない。言えるわけが無い。そもそも言っても信じるわけが無い。俺だって、他人がそんなことを言っても信じない。というか間違いなく黄色い救急車を呼んで縁を切る。
 しかし実際に体験した身としては、こうせずにはいられなかったのだ。まるで、父母の遺志をないがしろにするような惨苦に思えたのだ。
「お兄ちゃん、その靴下……」
 妹はただ呆然と、俺の穿いているニーソを指差す。
 そうだ。この靴下は萌のものだ。当たり前だろう、変態でもない普通の男が黒ニーソなぞ持っているはずもない。ならば当然買うか借りるかしなければならないわけだ。
 幸い、俺には妹という存在がいた。よって彼女の箪笥からちょっと拝借した次第である。大体お兄ちゃんはな、萌には白ニーソのほうが似合うと思うぞ。ロリロリで。
 しかしその選択が裏目に出たようだ。それもそうだ。兄の部屋に行ったら兄は全裸で黒いニーソックスだけを身に着けていた。これだけでアウトだ。
 しかもそのニーソックスが自分のものであった。もうアウトを通り越してゲームセットだ。通報だ。『妖怪ニーソ穿き』として妖怪図鑑に登録される日も近い。
 妖怪ニーソ穿きはその名のとおり、ニーソックスを勝手に穿く妖怪である。普段は全裸だが、戦利品のニーソックスを身につけている場合もあるという。
 ……断固駆除されるべきである。この地球上に到底生かしておいて良い存在ではない。人類の敵である。
 ああしかし私は気づいてしまった。鏡に映る自分の姿がその忌むべき妖怪そのものであることに。ああなんということだろう。嗚呼何たる悲劇。
 死すべきだ。死すべきである。しかし悲しきかな、自身の妖怪ニーソ穿きという存在としての実存がそうさせてはくれぬ。それどころか、ニーソを盗み、それを穿くという自らが最も汚らわしく思っていた行為を実行せしめよと己の実存が責め立てるのだ。
 穿いてはいけない。穿いてはいけない。穿いてはいけない。
 だがしかし。ああ、どうしてこの責めに抗えようか。私がかくも弱く愚かであることは罪なるかな。人よ、かくも弱きその存在を憐れみ給え。神よ、かくも愚かしき我を憐れみ給え。
 しかし人は私を憐れんでなどくれはしないだろう。私が、そうであったように。神は、人から堕ちた私を哀れみなどしないのだろう。悪魔によって堕落せしめられた幾千幾万の人のように、その焔で私の身を焼き尽くすのでしょう。
 私は頭を抱えて部屋の隅でガタガタを震える。もう外にも出れない。どこにもいけない。出てはいけない。狂ってもいけない。
 私が気を失い、次に意識を取り戻すとき。それは私がニーソを盗み、穿いたそのときの他ならないのだから。
 ああ。嗚呼。
 どうして私。どうして私なのだ! どうして私が、私がこのようなおぞましきけだものに身を窶せばならぬのだ!
 もはや私の悲哀を聞くものはなく、もはや私の慟哭を止めるものはない。
 私に許されたことは、ただ震えることのみなのだから。
 そうして、私は耐えねばならない。狂わぬように。狂いませんように。
 そうして、私は待たねばならない。ただ、ただ終わりを。すべての、終わりを。ただ一人で。永遠に。


314 :紳士 ◆wzYAo8XQT. [sage] :2008/11/30(日) 02:12:15 ID:dl4DyePw

「お兄ちゃん! どうしてそんなことしたの!」
 妹の叫び声で俺は我に返った。現実逃避のあまり、妖怪にに身を堕とした一人の聖人の夢を見ていたようだ。恐ろしい夢だった。泣けてくる。
「……まだ萌には分からぬか。しかし我が妹よ、いつかきっと知るときがくるだろう。人が、なぜニーソを穿くかを」
 妹はまったく反応を示さずこちらを見ている。ちょっとかっこよく言ってみてもダメか。まあ当たり前だろうけど。
「……………………のに」
 妹は俯いて拳を震わせている。
「へ?」
「お兄ちゃんが欲しいっていうなら、そんな靴下じゃなくて私のすべてをあげるのに!」
 ええっと、その話はどっから来たんだ? 妹。
「いつでも、お兄ちゃんのものになる準備は出来てたのに!」
 妹はそういうと、俺に向かって飛び掛ってきた。
 対する俺は一切の防衛の術を持たない。全裸とはかくも無防備なものなのか。それなのに、父さんはああも泰然とたたずんでいた。父さん、あなたの背中は俺にはまだ遠すぎます。
 俺はそのまま妹にのしかかられ、組み倒された。妹は鼻息も荒く、ニーソックスには目もくれず、俺の胸部に嬉々として頬を擦り付けている。
「も、萌、一体どうしたんだ!」
 俺の惨状を見て精神が崩壊したにしては、少々方向がおかしい。まるで主人に飛び掛る犬のような様子だ。
「萌がお兄ちゃんのものになるんだったら、お兄ちゃんも萌のものだよね。萌だけのものだよね。萌以外の誰のものでもないよね。
だから、お兄ちゃんは今日から萌の所有物なの。持ち主は所有物には何をしてもいいの。その代わり、お兄ちゃんも萌に何をしてもいいからね。唇も、胸も、アソコも、ぜーんぶお兄ちゃんのものだからね」
「な、何って!」
「ナニ?」
 妹はそういいながら俺の股間の紳士に手を伸ばす。だ、ダメです! そんなばっちいのに触っちゃいけません! 何時までも無垢な少女のままでいて!
「汚いのなら、なめなめして綺麗にしないとね」
 妹の赤い舌が、口の端からチロリと覗く。
「萌! 俺達は兄妹なんだぞ! 兄妹でこんなこと、許されるわけ……」
「許される? 一体誰が萌とお兄ちゃんを邪魔するの? お兄ちゃんを許してあげられるのは萌だけなんだよ?」
「神様とか、世間体とか、死んだ父さんと母さんとか……」
「そんな神様殺してあげる。そんな人間皆殺しにしてあげる。……それに、お兄ちゃん知らなかったの? お父さんとお母さん、兄妹だったんだよ?」
 妹の狂気より、最後の一言に驚かされた。
「な、ななななな」
「な?」
「な! そんなバカな!」
「本当のことだよ。お母さんが教えてくれたもん。『男なんて、いざとなるとてんで駄目なものよ。女のほうから導いてあげないと、ね』って」
 か、かかかかか母さん! あんたって人は! 俺の美しい思い出を返せ!
「お兄ちゃん、そんなに靴下が好きなら、靴下で踏み踏みしてあげる」
 萌はそう言うと、そのまま白のニーソに包まれた足を俺の紳士の上におろした。
 そのまま、両足でこねるように俺の紳士を刺激する。玉を軽く踏んだかと思えばもう片足を先端に走らせ。棒を両足で挟んだかと思えばそのまましごきあげ。執拗な責めに、俺の紳士もだんだん背伸びを始める。
「な、何するんだ萌! い……今すぐこんなことやめなさい!」
「うふふ、妹の靴下穿いて、妹の足で踏まれて興奮するような変態さんは、妹の足でも舐めてなさい」
 そのまま俺の口に萌の足が押し込まれた。妹の足の香りと、俺のかすかな先走り紳士の味が俺の口いっぱいに広がる。
 足なんて口に入れられたら激怒しそうなものなのに……萌の足の味が、俺にそうさせなかった。
 いつの間にか、俺は自分の意思で妹の足をしゃぶっていた。
「くすぐったいよ、お兄ちゃん。どう、萌の足、おいしい?」
 俺は妹の足をしゃぶるのに必死で、その嬌声に答えることもできない。妹は、嬉しそうに続けた。
「うふふ、お兄ちゃんはヘンタイさんだね。でも、ヘンタイさんだけどぉ……お兄ちゃんだから、だーい好き! ……もう、死んでも離さないんだから」





 俺は、今では立派にネクタイをつけている。