※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

1 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 11:57:43 ID:udCC2KtL
ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。

■ヤンデレとは?
・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
→(別名:黒化、黒姫化など)
・ヒロインは、ライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつだが確実に病んでいく。
・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することもある。

■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫
http://yandere.web.fc2.com/
■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1174364890/


2 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 12:08:13 ID:p1DwZiHa
>>1乙!
さらに続けて2get!


関連スレ候補

キモ姉&キモウト小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176013240/l50


3 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 12:20:01 ID:udCC2KtL
しまった……テンプレ切れてたorz

■お約束
・sage進行でお願いします。
・荒らしはスルーしましょう。
削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

スマソorz

4 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 13:37:30 ID:Xq+m85Sd
>>1乙
次スレ立てる時>>3も合わせればおk

5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 13:41:28 ID:R6++UpGJ
お兄ちゃんどいて! >1乙れない!

6 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 14:57:45 ID:kOVTLfn0
スレを立てちゃうような>>1には乙しないと兄さんが汚れてしまいますね・・・・
あははははははっ♪

7 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 15:49:16 ID:FdqO75qF
男の方が病んでいくのもアリ?

8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 16:52:37 ID:baBwxNbN
>>1乙

>>7
とうぜんアリ!!!

9 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 18:07:54 ID:gnhikWvI
>>7
でも男だけのヤンデレは荒れるぞ。
女のヤンデレに同調するのならあり。過程をうまく書くのが難しいけどね。

10 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 19:55:59 ID:OuzPKYGi
男だけ病むと現実によくいるストーカーになっちゃいます><

11 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 21:07:41 ID:Xq+m85Sd
男女を逆にしてみると「北斗の拳」のシンは究極のヤンデレ
って意見をどっかで見たな

12 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 22:05:06 ID:tPlo66FB
男のヤンデレはただの「ストーキング→監禁レイプ」になるだけだしな
男がやるとキモいっていう感想しか湧かない
性別逆にするだけでこんなに萌えるのはやはり二次の女性表現文化の変なとこ
俺は迎合しまくりだけど

13 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/16(月) 00:13:02 ID:pLMuY7OV
まあ男って潔さが美徳だろ
ヤンデレとか対極じゃね

14 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/16(月) 00:17:18 ID:aMyDNClb
フィアンセが死んだあともなお愛し続けて剥製にしたとかいう話はよくあるよね
そういうのは男ヤンデレでありがちな希ガス

15 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/16(月) 00:24:45 ID:u5eP1ttY
そもそも狂ってる人間を魅力的に描くのも楽じゃないしね。
まぁ敢えて挑みかかっていった猛者もいるから、やり方次第では……

16 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/16(月) 10:38:44 ID:gDKJiSdv
警告とNGで充分だろ

17 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/17(火) 21:35:29 ID:2w2VBlqI
そういう問題じゃない。

18 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/17(火) 22:55:59 ID:jAOVH98f
これは理想じゃない。
狙うゴールじゃない。

19 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/17(火) 23:02:33 ID:EUD4icZp
なんで急にピロウズの歌詞

20 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 22:08:47 ID:yG92ZErN
おーおおおおおー おーちゃーかーいっ
おっおおおー さらささらささらさー ささらさららさらさー
くらえ!先代ウサギの窓から飛び降り空中殺法!

21 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 22:49:44 ID:0OSRgvHn
技をかける本人が死んだらいかんだろw

22 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 23:07:23 ID:uRd9bWG+
>>21
いや、死ぬことによって無限の力を得るのだ!
オビワンのように!

23 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 23:38:11 ID:++wN8WfN
オビワンは死んだんじゃなくて自らフォースと一つになったんだよ

24 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:48:16 ID:FAD2zTGd
前スレ498の続きを投下します


僕が北方さんの家を出たのは六時半だったが、思ったよりも遅くなってしまい、
家に着いたのは七時過ぎであった。
「ただいま、今帰ったよ。」
そういって、ドアを開けた。ドアの開閉音を聞いたのだろう、
誰かのこちらにかけてくる足音がした。
小柄でブロンドでやや短めに切りそろえられた髪。そして、ごくごく見慣れた顔だが
、いまだにあどけなさが残しながらも、整った容姿をしている。
「・・・お兄ちゃん・・・お帰りなさい。」
妹の理沙だ。よく見ると、小刻みに肩を震わせており、目にも赤みがさしている。
また、言葉もやっとのことで紡いでいるように感じられた。
それらは、ついさっきまで泣いていたことを容易に想像させる。
普通にしていても、やや虚弱体質のきらいがあるためか儚げな理沙だが、
今日は、気を失って倒れこんでしまいそうで、僕のほうが心配になってしまうほどだ。






25 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:49:28 ID:FAD2zTGd
「お兄ちゃん・・・・。どうして・・・今日は遅かったの?・・・私ね、とっても心配したの・・・。」
「ごめん。急に図書室の仕事を手伝わされちゃって、時間が・・・」
「でも、お兄ちゃんの授業は四時半に終わるはずだよね。」
「いや、思ったよりも仕事が長引いちゃって・・・」
この子に本当は仕事の後にクラスメイトの女子の家に行っていた、
などとは口が裂けてもいえないので、言い訳がましい事を言った。
理沙は泣き腫らした目をこちらに向け、僕の体の隅々の様子に視線を走らす。
「・・・お兄ちゃん、帰ってくる間に怪我とかしなかった?・・・・遅いから、
本当に・・・本当に、・・・・兄さんの身に、何かあったかと思ったんだよ・・・。」
「本当にごめん。気をつけるから、な?」
「・・・ううん。ごめんなさい。お兄ちゃんは悪くないよ。
お兄ちゃんには、お兄ちゃんの都合があるのに、それを責めて私こそごめんなさい・・・。」
「でもね、遅くなるなら、ちゃんと事前に私に知らせてね・・・。
じゃないと・・・・私・・・、ううん、なんでもない。」
正直に謝ると、わりとあっさりと許してくれた。
最後の良く聞き取れなかった部分がやや気になったが、それは深く考えない方がよさそうだ。

理沙が僕のことを心から良かれと思って心配してくれているのは、
僕だって木石じゃないから、痛いくらい分かる。
でも、それは度が過ぎているきらいがある。彼女が世話焼きが過ぎ、
粘着質すぎるこの家にいるのは、極端に言ってしまうと、針の筵にいるようなものだ。
どうにかならないものだろうか?


26 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:50:24 ID:FAD2zTGd
そんな事を考えていると、いつもどおりの優しい声で食事の準備ができている、と言ってきた。
それから僕の手を強く握り、引っ張ってリビングのテーブルにつかせた。
病弱な理沙の身体のどこに軟弱とはいえ、男一人を引っ張るだけの力があるのやら。
おとなしくテーブルに座らされると、すぐに、お茶を淹れに行ってしまった。

テーブルの上には二人分の食事。
どうやら、理沙は僕が来るまで食事に手をつけていなかったようだ。
湯のみを二つもってきたときの彼女の顔はすでに、ニコニコとした
明るいものになっていて、さっきの取り乱した姿が嘘のようであった。
その様子を見て、やっと僕は安堵することができた。

食事も、料理の得意な理沙が作っただけあって非常においしく、
話題も、学校のこと、最近のアニメのこと、この前読んだ本のこと、
などと尽きることなく、楽しいひと時を過ごした。


27 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:51:47 ID:FAD2zTGd
僕の家は最近ではよくあることだが、
親が共働きで共に家に帰ってくるのはどんなに早くても、
午後十時以降なので、早い話、今現在、僕の視界内に親はいない。
我々学生の本分は勉強だとは分かっているが、
そんなことを計画的に行えるほど僕は理性的じゃないし、この時間はアニメを見たり、
漫画を読んだり、ネットゲームをしたり、と命の洗濯をさせてもらっている。
なぁに、親がいなければ大概の学生の生活とはそんなものだ。
そういえば、仲間は連日午前三時まで、画像を集めてたっけ。
というわけで、今日もアニメ三昧といこうと思ったが・・・。
神速で午後の過密なるスケジュールが脳内スクリーンに投影される。
まずいなぁ、録画し忘れていたようだ。
「お兄ちゃん、夕方のアニメ録画しておいたから見る?」
デザートのプリンアラモードを上品に食べながら、そう言った。
何だかんだ言って、実にこの子は気が利くなぁ。
いやぁ、実にありがたい。生命線確保ですよ、ええ。

・・・・・。
・・・・・・・・・・。
三十分もののアニメと言うのはどうしてこんなに早く終わるのか未だに理解できない。
やはり、アニメもいいがマンガでも読むことにしますか。
何時間マンガを読んだり、さっきのラノベを読んでいたかよく覚えていない。
ふと、時計を見ると午後十時はゆうに過ぎているようだ。

こんな時刻になっても電話一本、連絡が家に来ないと言うのはおかしい。
「理沙、今日、父さんと母さん何時位に帰るって言ってた?」
「え、お父さんは出張で、お母さんは一泊二日の旅行で今日は帰ってこないはずだけど。」
何故かごくさりげなくではあったが、うれしげにそう答えたように感じられた。


28 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:52:38 ID:FAD2zTGd
しかし、今日はラノベを読んでいるときもそうだったが、疲労感と眠気が強く感じられる。
どうも疲れているようだから、親が帰ってこないなら、
特別起きていなくてもいいわけだし、さっさと寝ようか。
「あー、そうなんだ。じゃ、僕は疲れたし、そろそろ風呂に入ってさっさと寝るよ。」
「えー、お兄ちゃん、まだまだ時間はあるんだし、折角だから羽をのばそうよぉ~。」
明らかに不満そうな顔をして、ワイシャツの袖を引っ張って、甘えてきている。

「ね~、どうしても駄目?」
なかなか、粘っている様子で、いや、困った。
この子はこうなると、あんまりどころか非常に聞き訳がよくないからなぁ。
時々、理沙は精神年齢が実年齢よりも幼く感じられることがある。
現に今、こういうことを考えている間でも、腕にしがみついて、『いやいや』を繰り返している。
度を超えさえしなければ、こうやって甘えられることにさして悪い気はしないのだが。
「だめ、疲れたからもう寝るよ。はい、聞き分けて早く袖を離して。」
そう、幼子を諭すように優しく言う。
すると、あっさりと腕を解放したのだが、次の瞬間、
「じゃ、今日はお兄ちゃんと一緒にお風呂に入って、背中を私が流してあげるね~。」
などととんでもないことをのたまった。

いや、その手の人にはたまらないシチュエーションですな。
ご都合主義万歳!なんて言っていると、手際よく僕のパジャマと自分のパジャマを用意して、
またしてもずるずると、腕を引っ張って風呂場に連れて行かれる。
そろそろ、兄と風呂に入ることに恥じらいを感じてもおかしくはない年齢のはずだが・・・
実際に、こうして一緒に風呂に入るのも数年ぶりなのだが、急にどうしたと言うのだろう。

そんな事を考えていると、それを見透かしたように、
「えへへ、お兄ちゃんと一緒のお風呂、何年ぶりかなぁ・・・。」
と満面の笑みを浮かべてから、感慨深そうに言った。
そうこうしている内に、彼女は一糸纏わぬ姿になり、透き通るような白い肌があらわになる。
無意識のうちに彼女の発展途上の双曲線に目が行きかけたが、
自分への恥ずかしさからか、視線をすぐに反らした。
理沙はと言うと、そんな挙動不審な僕をいぶかしげな目で私を見ているようだった。


29 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:53:29 ID:FAD2zTGd
さすがに理沙も僕が服を脱ぐのを見ることには恥じらいを感じたらしく、
先に浴室に入り、シャワーを浴びている。
はぁ、この歳になって、まだ妹と一緒に風呂に入らなきゃいけないんですかね?
ちょっと、どころかとても、彼女の気まぐれには困ったものです。
「お兄ちゃん、どうしたの?早く入ってこないと、風邪引いちゃうよ?」
ええい、ままよ。こうなれば、特攻!そんでもって、一撃離脱のヒット・アンド・アウェイ!

「開けるよ?」
恐る恐る、そう尋ねる。
「どうぞ、どうぞ。」
がらり、と扉を開けると、ガス中毒で誰かが倒れている、などということも無く、
さも当たり前のように、理沙は既に湯船に浸かっているようだ。
おお、いかん、いかん。眼鏡をかけたままだと、レンズが曇ってしまう。
いや、第一に理沙を意識してしまうじゃないか!
そんなあわてている僕の姿を見た理沙はあははっ、と声をあげて笑っている。
いやはや、ダメ兄貴ぶりを示す格好の機会になってしまったようだ。

眼鏡をはずし、シャワーをざっと軽く浴びる。
そのタイミングで、理沙が後ろから石鹸をタオルにこすり付けているようだ。
割と大雑把な僕は、タオルではなくボディブラシでガリガリ、というほうなので、
彼女のそれとは実に好対照だ。
それを自分の身体を洗うために使うと思いきや、次の瞬間僕の背中に優しい感触がした。

・・・・。
・・・・・・・・。
ごしごしと背中をいそいそとこすっていくと、小柄な僕の背中などすぐにこすり終わってしまう。
「お兄ちゃん、次は前だよ。」
「いやいやいや、ちょっと待ちなさいって、前は、僕が洗いますから!」
「えー、残念。」
いや、残念って、何が残念なんですか!いや、寧ろ僕は何も聞いていないし、聞く気もない、
断じてそうですから、ましてや、ロリコンなどではないですよ、ええ。
そんなこんなで、さっき僕が言っていた、ヒット・アンド・アウェイなど問題にならないくらいに
身体を洗う程度で、時間がかかってしまう。
それから、髪の毛を理沙が洗ってくれた記憶があったような、なかったような。
そして、理沙の体を洗った、もとい、洗わされたような記憶があったような、なかったような。


30 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:54:29 ID:FAD2zTGd
風呂を出てから、時計を見るとお風呂で一時間近く過ごしていたようだ。
異常に長い入浴で、顔は海老のように真っ赤になっていて、のぼせている
訳ですが、その理由はおそらく、単に長風呂だった訳ではないだろう。
ボーっとしたまま、椅子に腰掛けていると、
目の前にトン、とオレンジジュースの入ったコップが置かれた。
「お兄ちゃん、のぼせちゃったみたいだから、オレンジジュースだよ。」
のぼせていて、反応がやや遅れたが、感謝の言葉を述べてから、
一息にそれを胃に流し込む。


調子も良くなったところで、歯を磨き、口をすっきりさせると寝床に着くことにしましょうか。
いやはや、歯磨き粉というやつは眠気を取るには十分すぎる効果を持っていて、
歯がすっきりした途端、頭まで冴え渡ってきた。
いまなら、確実にフェルマーの最終定理ですら解くことができるだろう、それ位だ。


そんな感じで、ベットの中にもぐりこむ。
が、布団の入ったばかりに感じるほのかな涼しさとは違い、なにやら暖かなものを感じる。
そう、暖かいといっても、人のぬくもりのような、人の・・・・ということは。
「お兄ちゃん、今日は一緒に寝てくれるよね?」
やはり、そうですか。想定内ということにしておきましょう。
目が覚めていて、すぐに寝れるわけでもないので、少し相手したら部屋に帰らせることにしよう。


イエスともノーとも言わずに黙っていると、理沙が話し始めた。
いくつか四方山話をしているうちに、再び睡魔がちょうどよい感じに襲ってきた。
どうやら、理沙に部屋に帰るように言うよりも先に自分が寝てしまいそうだ。
ディスクをフォーマットされるが如く、真っ白な世界へと誘われる。
それに、さっきからなんだか暖かく、柔らかい感じで、穏やかでゆったりとした時間が流れている。
例えるならば、記憶の片隅にあったゆりかごの心地よさの中にいるよう。
・・・・・・・・。
・・・・。

31 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:55:31 ID:FAD2zTGd
松本理沙は自宅の兄の部屋で満ち足りた、穏やかな笑みを実の兄である弘行に向けていた。


お兄ちゃんは今、私の胸の中で静かに、すやすやと眠りについています。
本当は一緒にお風呂に入って、もう少しの間起きていてもらって、それからは言えませんが、
そうするはずだったのです。
でも、疲れているお兄ちゃんに無理をさせるのはあまりにかわいそう。
疲れているにもかかわらず、自分の思うままに強要したら、強姦と何一つ変わらない。
そんな獣がするような真似をあの常識人のお兄ちゃんが喜んでくれるわけがない。

だから、よく眠れるようにさっきお兄ちゃんに飲ませてあげたオレンジジュースに、
私特製の睡眠薬を混ぜて、静かに眠らせてあげることに急遽シナリオを書き換えた。
ちらり、と理沙はカプセルの残骸に目を向ける。
胸に顔をうずめて、平和そうに眠っているお兄ちゃんを見ているのもなかなか乙なものです。
お兄ちゃんのために、私、嫌いな牛乳を飲む努力したんだからね。
まだまだ大きいとはお世辞にもいえない胸だけど、満足してくれてうれしいなあ。

薬なんかに頼らなくとも、眠らせてあげることはできたけれども、
そうでなければ私、お兄ちゃんの部屋から追い出されちゃうから、それじゃ本末転倒だもの。
本当に今、幸せ。それはいわゆる、独占欲といわれるもののようなものなのかもしれないけど、
そんなことは私には関係ないと思う。

32 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:56:25 ID:FAD2zTGd
思えば、昔から私はお兄ちゃんに迷惑ばかりかけてきたものでした。
元来虚弱体質で、重度の喘息という持病を持っていた私は、
お兄ちゃんにとってはお荷物以外の何物ではなかったでしょう。
ましてや、うちの両親は共働きでそれほど私の面倒など見てくれる余裕はなかった。
だから、年子で一つしか年の離れていない私をお兄ちゃんは、広い包容力で包んでくれましたね。
発作ばかり起こしていた私に薬を飲ませ、静かに見守ってくれたり、
私の体調の良いときは、散歩に連れ出してくれたり、
私をひざの上に乗せて、本を読んでくれたり・・・思い起こせばきりがない。

だから、私はお兄ちゃんのためなら、なんでもしてあげたいし、この命をささげたい。
お兄ちゃんのためなら、何をされたって我慢できるし、そうするのは私にとっても義務であると思う。
私が願うことは唯一つ。お兄ちゃんとずっとずっと、これから両親が死んでも、
どんな困難が立ちふさがっても、そう私たちの邪魔をするような輩があらわれても、
ずっとずっと一緒に生きること。

だから、その邪魔をするような人、ううん、言葉は正確に使わなくちゃ。人じゃなくて悪い悪い雌猫さん。
その雌猫さんの欲望の赴くままにお兄ちゃんを蹂躙させたりなんかは人間である私がしないのだから。
体が弱くたって、お兄ちゃんは私に教えてくれましたよね。
お兄ちゃんの大好きな化学の楽しさを。
薬を作って困っている人を助けたい、そう言ったらお兄ちゃんは喜んでくれましたよね。
私はね、お兄ちゃんのために薬を作るの。
雌猫さんとは一合いも刃を交える必要なんてないと常々思う。
人間が猫なんかと戦うことの身の穢れを感じてならない。
だから、安心してね、雌猫さん。すぐに楽になれるようにとびっきり強力なのクスリを今作っているの。
いずれはお兄ちゃんと愛し合うための薬なんかも作ってみたい、かなぁ?
なんとなく恥ずかしいことをいった気がするけれども、恥ずかしくなんかないよね、お兄ちゃん?


33 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:58:05 ID:FAD2zTGd
とりあえず、第二話こんな感じです。
続きいつかけるかわかりませんが、読んでくれる、という方がいれば
書いていくつもりです。


34 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:36:34 ID:9e8kdSYE
GJです! 妹の方が一歩リードなのかな?
ゆっくりでもいいんで続きよろしく!

35 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:46:08 ID:W3PJS4CO
うん、キモウトだね、いいね。

ヤンデレキモウトってなんで萌えるんだろ…


36 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 18:44:20 ID:OP5C7pxP
>>35 単純明快!
ヤンデレキモウトだからさ!!

37 名前: ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 20:24:53 ID:iavPXILR
>>24-32 GJ。
お兄ちゃん・・・気づいてよ!あんた、命の危険すら迫ってんだよ!!

久しぶりに投下します。予定とは違いますが。



38 名前:おにいたん3(仮称) ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 20:29:53 ID:iavPXILR
その街は温泉が湧いていた。
近くに大都会が存在したため、その街は都会の奥座敷として栄えた。
---それも過去の話。モータリゼーションは日本全国と都会の距離を縮めてしまった。
都会の人々は増えた選択肢を有効に活用しだした。
距離以外のアドバンテージがなかったその街は寂れるしかなかった。
この街で旅館を経営していたある人物は、旅館に見切りをつけて故郷を出て行った。
それから十数年。飲食店業に手を出した人物は数店舗を持つにいたり、故郷に凱旋した。
彼は故郷にも店舗を構えた。自分の成功の証として。赤字でもかまわないつもりだった。

---その店は、『テュルパン』といった。『おにいたん、だいすき!3』開幕。

************

「おにいさん!相席、よろしいですか?」
「へ、俺?」

夏、麻枝耕治は新たに受けた辞令を持ってテュルパン4号店へと向かっていた。
『麻枝耕治は2号店店長代理兼マネージャーの任を解き、4号店店長代理兼マネージャーを命ずる』
横滑り人事であったが、勤務先が「あの」4号店と聞きかなり鬱になった。
万年赤字。店員は曲者ぞろい。客も曲者ぞろい。そして・・・。 
テュルパンは現在5店舗存在するが、1~3は街中にあり、5号店は郊外の海水浴場近くにある。
4号店だけは、本部から車で高速道路を3時間ほど走ったところに存在していた。
幹線道路沿いではあるが温泉街の中にあり、都会型店舗であるテュルパンとしてはかなり異質な店舗である。
何でも創業者がこの温泉街の出身らしく、近くにはテュルパンの保養所も存在する。

さて、耕治は4号店に向かう途中、他社のファミレスに食事に立ち寄った。
他社店舗での食事も重要な仕事である・・・
そう自分に言い聞かせて入ったのはテュルパンと客層がかぶるであろう洋食中心メニューの店。
女性アテンダント(=ウエイトレス)に案内されて席に着き、メニューを眺めていたときである。
「おにいさん!相席、よろしいですか?」
「へ、俺?」
メニューから声の主を上目遣いに見てみると、小柄な女の子が立っている。
年齢は美衣菜ちゃんと同じぐらいか、もっと幼い感じがする。
髪型はショートボブを無理に上でお下げをつくり、リボンでくくったような感じ。
・・・というか、ツーテール(ツインテール)のお下げを短く切ってしまったような?
顔は小さく目は大きく、きれいというより可愛らしいという表現がぴったり。
耕治は声をかけてきた女の子を数秒観察した後、店の中を見回した。
店の中は込んではいたが決して空席がないわけではない。
「だって・・・一人でさびしく食べるより、お兄さんみたいな人と一緒に食べたほうがおいしいから・・・」
伏目がちにぼそぼそとそんなことを言われたら転ばないほうがどうかしている。
「いいよ。前に座って」
「いいですか?!おにいさん、ありがとうございます!」
女の子はぴょこんとお辞儀をすると耕治の前のソファーに腰を落とした。

39 名前:おにいたん3(仮称) ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 20:32:55 ID:iavPXILR
「では・・・はじめまして!あたし、まなみっていいます!
好きな食べ物は太っちゃうのであんまり食べたれないけどショートケーキで・・・」
「ちょ、ちょっと!」
まなみと名乗った女の子は座るや否やいきなり自己紹介を始めた。
早口で自分のことばかりしゃべりだす彼女にドン引きする耕治。
「スリーサイズはぁ・・・恥ずかしいけどお兄さんにだけ教えちゃいますね。
77-57-79のBカップで・・・」
「あ、あの・・・」

「お客様、ご注文はなんにいたしましょうか?」
先ほど席を案内してくれたアテンダントがやってきて注文を聞いてきた。ナイスタイミングである。
「ビッグサイズハンバーグランチ、洋食ライスセットで。食後はアイスレモンティーシロップ抜き。
それと食後にジャンボストロベリーパフェを」
まなみという女の子はメニューもアテンダントも見ずにすらすらと注文を言ってのけた。
「かしこまりました。お連れ様は?」
「同じものを。ドリンクはホットコーヒー、ブラックで。パフェはあたしだけね」
「あ、あの・・・まなみちゃん?」
「い・い・で・す・ね?」
「は、はいぃぃぃ!!」
睨み付けるがごとき視線付のまなみの異常な気迫に押され、
耕治は勝手に決められたオーダーを思わず承諾する。
「御注文を繰り返します。ビッグハンバーグランチ洋食ライスセットをお二つ、食後にホットコーヒーと
アイスレモンティーシロップ抜き。あと食後にジャンボストロベリーパフェ。以上でよろしかったでしょうか?」
「はい」
彼女はやはりアテンダントに一瞥すらくれようとしない。彼女の視線は常に耕治のほうを向いていた。
アテンダントは席を去り、まなみは再び話し始める。
「しっかしあのウェイトレスさん失礼だと思いませんか?まなみはずっとお兄さんと
話をしている真っ最中だって言うのに、まるで話の腰を折るために現れたみたいに!」
間違いなく話の腰を折るために現れたから。
多分俺が困ったような顔をしたので気を利かせて来てくれたんだろうと耕治は思ったが、
なんとなくそのことを話すと命の危険が訪れるような気がしたので黙っておくことにした。
もちろん耕治ではなくそのアテンダントさんに。
耕治はとりあえずまなみの意見に頷くと彼女の話を聞き流そうと努力した。
「まなみがウェイトレスの立場なら、絶対話しかけたりしません!・・・」
自己紹介の続き。最近見たテレビ。読んだ小説、雑誌。好きなタレント。
最近あった犬の話。ぬいぐるみの話。etc、etc。
以後料理が届き食べ終わるまで、えんえん彼女は話し続けていた・・・。

40 名前:おにいたん3(仮称) ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 20:36:28 ID:iavPXILR
「おにいさんすいません!ご飯代出してもらって・・・」
「仕方ないよ・・・無銭飲食させるわけに行かなかったし」
食事後、店の駐車場。耕治とまなみは連れ立って店を出た。
まなみはなんと財布を忘れたとの事で、彼女の分まで耕治が支払っていた。
「で、まなみちゃん?ここまでどうやってきたの?」
「実はタクシーで、下りるとき財布を車の中に忘れてきたみたいなんです」
「たくしー?どこからきたの?」
彼女が告げた地名を聞いて耕治は驚愕した。
なんと、耕治が出発した街=テュルパン2号店付近だったからだ。
「そんな遠いところから来たの?相当お金かかっただろうに・・・」
「こ、このお店にどうしても来たかったから・・・ここのストロベリーパフェ、同じチェーン店でもここしかないから・・・」
耕治の質問に節目がちに答える彼女。
自己紹介してたときは耕治のほうばかり見てしゃべっていたというのに、今は耕治の目を見ようとしない。
耕治はその理由に思い当たるところがあったがレが事実であるという確証が持てなかったし、
たとえ正しくても今後が困るので突っ込むのをやめて彼女を救う方向で会話を進める。
「そうなんだ・・・。で、どうするの?俺はこれからある街まで行くんだけど、そこから帰る?」
「え、その街に行くんですか?!うれしい!実はぁ・・・まなみもぉ、そこに行く途中だったんですぅ・・・
だけど、おにいさんはかまわないんですか?」
「かまわないよ。一人で行くよりも、女の子が横に乗ってたほうが楽しいし。さ、乗って」
「はい!おにいさん、大好きです!」
「ちょちょちょちょっ!」
ばふっ。まなみは両手を挙げて喜びを表すと、耕治に抱きついてきた。
ちょうど首の辺りにまなみの頭が来る。シャンプーのコロンの臭いが心地よい。
耕治はとりあえずまなみを引き剥がすとここを出ることを告げる。
「んじゃまなみちゃん、扉開けるから助手席に乗ってくれる?」
「はーい!」 

「お兄さん、ありがとうございました」
本人の希望があり、温泉街の駅前で耕治はまなみをおろした。
ぺこりとお辞儀するまなみに耕治は苦笑しながら会釈する。車に乗ってから到着するまで、
彼女は耕治に対しひたすら話し続けていた。
そのテンションの高さに辟易しつつも、耕治は彼女の話に相槌を打ったりして聞いてやった。
「いやいや。こっちも楽しかったよ。運転してる感覚がなくなるぐらいよくしゃべったし」
片眉を引きつらせながら作り笑いをする耕治。
「おにいさん・・・あのう・・・」
得意技なのだろうか。伏目がちにまなみは耕治の瞳を見る。
「ずっと・・・まなみ、自分のことばかり話してましたよね・・・つまらなかったですか?」
瞳に涙をためて話すまなみ。その瞳にくらっときかけたが、耕治は正気をどうにか保ちつつ、
それでもくらっときたフリをすることにする。
耕治は少し腰を落とし、まなみと同じ目線の高さへ自分の目線を持ってくる。
「そんなことないよ。まなみちゃんが、すごく一途な女の子だって事は分かったから」
「はい!」
にっこりと笑うまなみ。これは年下属性の人間にはかなりクるものがあるな・・・そんなことを耕治は考えていた。

「ではおにいさん、しばしのお別れです!」
彼女は一歩下がると耕治に別れを告げた。
「・・・しばし?」
「また会おうねー!耕治お兄さん!」
「お、おう!」
駆け去ってく彼女を見送ると、耕治は再び車上の人に戻った。
目的地のテュルパン4号店はここから車で5分ほどのはずだ。
「しかし、すごい女の子だったな」
車の中、耕治は独り言をつぶやいた。そして耕治は用心のため、次の言葉は心の中だけでつむぐ。

(対象M、ねぇ・・・)

41 名前:おにいたん3(仮称) ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 20:37:19 ID:iavPXILR
とりあえず今回ここまで。次回、もう一人のヒロインと選択肢。

42 名前: ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 20:41:35 ID:iavPXILR
追記。今回エロ無きに等しいです。真面目に病ませます。

43 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 22:00:23 ID:iCBaAwMl
>>33主人公の能天気さにワロタw
ヤンデレヒロイン二人相手にしてこのマイペースはある意味オソロシスw

>>42
>真面目に病ませます。
病んでればエロなんかいらんのですよ!
てか、まなみが既にかなり病んでるように見えるのは俺だけでしょうかw

44 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 01:36:50 ID:X7tZcT+A
>>33
まさか、塩酸や硫酸で一方に・・・なんてことはないよな・・・

45 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 01:12:36 ID:gXdY0xhS
何気に過疎ですか?

46 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 01:54:58 ID:DO/N88ao
どこも過疎だよ・・荒らしのおかげでな

47 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 11:25:27 ID:7EgbDAAY
荒らされてるの?

48 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 14:05:56 ID:l9Kjchlk
規制関連とか?
荒らされると、お兄ちゃんにまとわりつく魔女を殺せないから困る。

49 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 14:49:53 ID:pYnnfBkw
保管庫更新されてるぞ!!
今度は誤爆じゃないぞ!!

50 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 15:34:42 ID:IxgvNTX3
前スレで俺が告知してるがな(´・ω・`)

51 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 15:37:05 ID:IxgvNTX3
ちょwww
今見たら俺の前にもう一人いたorz
スマソ

52 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/04/21(土) 18:31:56 ID:lVSkVbv0
なんか自分の書いた文章が保管庫に載るとこっ恥ずかしいな

53 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 18:35:24 ID:lVSkVbv0
スマン下げ忘れた、、、

54 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 18:58:36 ID:pYnnfBkw
よし、お詫びにもう一作品か続きを・・・
気が向いたらでいいから

55 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/23(月) 01:50:22 ID:jt1jcRSu
第9話、投下します。

第九話~姫~

・ ・ ・

俺の足元には、なにやら高そうな絨毯が敷かれている。
かなりの人数が同じ空間に集中しているというのに、コツコツ、カツカツといった靴の音さえしない。
部屋の壁には、ところどころに絵画や美術品のようなものがあった。
どれもこれも美術のセンスも感性も持ち合わせていない俺には理解できないものばかり。
ど派手に飾られた花の群れを収めるのは、これまた高そうな花瓶だった。

そして俺の周囲に居る人間達は、いずれもタキシードやら着物やらドレスやらを着込んでいる。
仕事着にも使えそうなスーツを着ている人間など俺しかいないのではなかろうか。
そう思うと、周囲の視線が自分に集まったような気がした。
もちろんそれが錯覚だということは分かっている。
だが、俺がこう思ってしまうのも無理ない話なのだ。

どれほど有名なのか想像できないような家の当主のパーティなど、初体験だ。
ついでに言うならば、こんな映画に出てきそうなパーティなど参加するのも初めてだ。
俺の家は誰がどう見ても平凡な日本の家庭だから、俺にそんな経験があろうはずがない。
だというのに、なぜ24歳になった今さらこんな場所にいるのだろうか。

原因は二つある。
まず。
「雄志君はまともな礼服というものを持ち合わせていないのかい?
どう見てもそのスーツはオフィスでぐちぐち愚痴をこぼしながら仕事をして、
帰ったら妻と娘にないがしろにされることを分かっているがそれでも働くしかない、
と絶望しているサラリーマンにしか見えないよ。
さらに悪いことに今の雄志君は名刺も持ち合わせていない。
それではサラリーマンとは言えないね。サラリーマンへの冒涜だよ。
今すぐ君のお父さんに謝った方がいい」
一方的にまくし立ててくる十本松が一つ目の原因。
この宝塚女がかなこさんから招待状なんぞを受け取って持ってきたのが悪い。

次に二つ目。
「おにいさんの格好については、私も同感です。
どうしてそんなしわの入ったのスーツしか持っていないんですか。
さては収納するときにクリーニングに出さずに畳んでからしまいましたね。
これだから一人暮らしの男性は……」
場違いだと思い、参加する気を無くして部屋でくつろいでいるところに華が飛び込んで来たのが悪かった。
目ざとく招待状を見つけた華は、一緒に参加しようと言い出した。
そのせいで俺は今夜7時に行われるパーティに参加することに相成った。

十本松はタキシードをばっちりと着こなしている。もちろん男物。
華は薄いブルーの、胸元がフリルで飾られた落ち着いた印象のロングドレスを着ている。
なぜお前らはそこまでパーティへの備えが万端なのかと問いたい。
もしや、近頃の日本ではパーティというものが密かなブームだったりするのだろうか。
最近は新聞もテレビも読まないから世間のことに疎いのだ。
そんな世間に疎い俺が、いかにも社交的な人間達に混じってこの場にいるのは明らかにおかしい。

なんだってかなこさんは俺をこの場に呼んだのだろうか?

56 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/23(月) 01:52:03 ID:jt1jcRSu

十本松いわく。
今菊川家で行われているパーティは、菊川家当主である菊川桂造の誕生日が主旨である。
菊川桂造という男は、傾きかけていた菊川家の事業を立て直した功績を持っているという。
同時に、代々続く菊川家の歴史の中でも前例の無いほどの繁栄をもたらしたそうだ。

その後もその手腕を発揮していくかと思われたが、7年前に手を引いて、
現在は悠々自適な生活を送っているという、うらやましい人間でもある。
7年前に桂造氏が引退する時点で菊川家の携わる事業は放っておいても大丈夫、
というほどに潤っていたらしいから今でも彼の名前は一人歩きしているらしい。
そのためこの場には直接的に彼と関係の無い、今日が初対面の人間――俺とか――も
このパーティに参加している。

どう考えても俺はこの場にふさわしい人間ではない。
さっきから聞こえてくる会話には、「株主」「先生」「総理」という単語が頻繁に飛び交っている。
そんな単語にふさわしい返事のボキャブラリーと発想は俺の頭の中には入っていない。
今俺の頭を占める思いは、「帰りたい」。それだけだ。

十本松の昨晩の話では上等な料理や酒が振舞われるということだったが、
とてもじゃないが自分のペースで食べられるような雰囲気ではない。
俺が自分のペースで食べるときは一言も話さず、ひたすら料理を口に運び、
その味に感動するという庶民的な行動をとることになる。
周囲で行われているような片手にグラスを持ち片手でジェスチャーをするようなことはしない。
この場では食べることが優先されるのではなく、社交的な会話が優先されるのだ。

「だから来たくなかったんだよ、俺は」
誰に言うでもなくぼやく。
すると、それに華が反応した。
「いい機会じゃないですか。
せっかくですからこの場で社会人の社交術を思い出してください。
いずれはおにいさんだってフリーターを脱却するつもりでしょう?」
「もちろんそのつもりではいるけどな。この場で行われている会話が役に立つとは思えないぞ。
それに何を話せって言うんだ。俺に話せるのはコンビニ弁当を美味しく食べられる期間についてしかないぞ」
この場にいる人間達がコンビニ弁当について熱く語ってくれるはずがない。
某コンビニエンスストアの代表取締役でも来ていれば話は別だが。

「固くなる必要は無いよ。ただ愛想笑いを浮かべてへこへこしながら話しかければいいんだ。
話なんて適当に相槌を打っていればいい。
ここに居る人間たちは皆寛容だから雄志君が粗相をしても気にしたりしない。
それにヘマをしたところで私の記憶中枢にその光景が刻まれるだけだ。
堂々と偶然を装って淑女のバストに飛び込むがいいさ」
「……そんなことしたら社会的に抹殺されそうだからパスだ」
なぜ十本松はここまで落ち着いているのだろうか。
もしや、こいつもお嬢様なのか?
かなこさんとも昔から知り合っていたみたいだし。


57 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/23(月) 01:53:01 ID:jt1jcRSu

「とりあえず、誰かに話しかけてきたらどうだい?
ほら、そこにいる黒いドレスを着て、これまた黒いその髪をアップにした女性などはどうだい?」
「ん……」
十本松が差した方向を見る。
肩の開いた黒いドレスを着て、艶やかな髪をアップにまとめた女性がいた。
彼女は初老らしき男性の数人と会話をしている。
それだけならこの場でよくある光景に過ぎないが、やけに男の腰が低いように思える。
物理的な意味でなく、彼自身の、彼女に対する立ち居振る舞いが。

「……無理言うな。あんなえらそうなおっさんがかしこまる相手だぞ。
もし話しかけてとんでもないところのお嬢様だったりしたらどうする」
その光景から目を反らし、十本松の顔を見る。

奴は、なぜか口を固く閉ざしたまま、目をぱちくりとさせていた。
俺の顔を珍奇な動物を見る目で見つめてくる。

「どうした? 俺の顔に何かついてるか?」
「……今の君に私が問いたいことは一つだけだ。君の目は、節穴なのかい?」
いきなり何を言う。
これでも人を見る目はそれなりにあるつもりだぞ。
どう見ても俺が話しかけていい相手じゃないだろう。

「華。この男気取りの無礼な女に何か言ってやってくれ」
「あの……今の、冗談じゃなくて本気で言ったんですか?
あの人を見ても誰だかわからないんですか?」
華までが十本松と同じ種類の顔をしていた。
ただし、こちらの顔には多少非難する色が滲んでいる。
「おにいさんは服と髪型が変わっただけで誰だかわからなくなるんですね。
ああ、そういえばこの間久しぶりに会ったときからそうでしたね。
私の顔を見てもすぐに気づかなかったですし」
そう言うと、呆れた様子で嘆息した。

なんだっていうんだ二人とも。「あの人が誰だか分からないのか」?
そんなことを言われてもな。
昔お嬢様だったらしい親友はいるが、現役のお嬢様なんて、俺の知り合いには居ない……?

待てよ。そういえば一人居たな。
とんでもない有名どころのお嬢様で、この場にいてもおかしくない人間で、
さらに黒い髪を伸ばしている、場の空気を変えてしまいそうなほどの美人が。

再度、先ほどの女性を見る。すると、いきなり目があってしまった。
反射的に目を反らそうとしたが――できなかった。
ただその女性から視線を向けられているだけだというのに、射竦められたような感覚を覚える。
つまり、俺はその女性から目が離せなくなったのだ。

女性がこちらにやってくる。
そして、俺の一歩手前の距離で立ち止まった。
「こんばんは、雄志さま。パーティに来てくださって、とても嬉しいですわ」
その人は、パーティの主役の娘であり、とんでもないところのお嬢様であるところの、菊川かなこさんだった。


58 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/23(月) 01:56:08 ID:jt1jcRSu

華と十本松が呆れたのも頷ける。
事実、今の俺は二分ほど前の俺に対して呆れかえっている。
ただ髪型を変えてドレスを着ているだけなのに、かなこさんのことがとっさに思い浮かばなかったのだから。

頭の中でさらに自分にダメ出しをしようとしていたら、、かなこさんから話を切り出された。
「今日はスーツをお召しになっておられるのですね。お似合いでございますよ」
褒められてしまった。
さっきから俺の両脇を固めていた女二人は俺をけなしていたというのに、
かなこさんはなんて気配りのできる人なんだろうか。
……いや、同じ台詞を十本松に言われたところで嫌味にしか聞こえないということを
考えると、あそこでけなされていて正解だったか。

「かなこさんこそ、よく似合ってますよ。そのドレス」
「ありがとうございます」
俺の言葉を聞いて、微笑を浮かべるかなこさん。
思わず俺の口の端が上がる。
この、明らかに俺の立場と嗜好とはかけ離れた場所でこんな落ち着くやりとりができるとは。

「あら? そちらにいらっしゃるのは……」
かなこさんが俺から目を反らした。
彼女の視線の先には、どこか固い表情をした華がいた。
「こんばんは、かなこさん」
不機嫌であることを物語るかのようなぶしつけな口調だった。
「こんばんは。華さんのドレスも素敵でございますよ」
「……ありがとうございます」
明らかにそうは思っていない、棒読みの台詞だった。

かなこさんは、俺との少ない顔合わせの機会のいずれとも変わりない表情だったが、
華は長い付き合いをしている俺以外の人間が見てもわかるほど、機嫌が悪かった。
どうしたことだろう。
昨日の大学の中庭で起こった一件が尾を引いているのだろうか。

華はつい、と顔を背けると無言でその場から立ち去ろうとする。
「おい、どこ行くんだ」
「少し外の空気を吸ってきます」
と言い残すと、振り返らずにすたすたと歩き出し、重そうなドアをこじ開けて外に出て行った。

俺が華を追いかけようと一歩踏み出したら、十本松が手を突き出して俺を制止した。
「私が行こう。君が行っても華君の機嫌をさらに損ねるだけだよ。
そんなことより、かなこと話をしてやってくれ。
かなこが君と話をしたい、というから雄志君をここに呼んだんだから、
恋人に自分以外の男を近づけるという寝取られを覚悟しなければならない状況に
あえて自分の身をおく私の厚意をありがたく受け取りたまえ」
……お前の厚意など受け取りたくもないが、かなこさんが俺と話をしたいと言うならば、
あえて受け取ることにする。

俺の無言の意思を受け取ったのか、十本松は華の後を追いかけてその場から立ち去った。

------
連投規制を避けるため、前編のみ。一時間以内に続きを投下します。

59 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/23(月) 02:42:20 ID:jt1jcRSu

かなこさんは、ドアへ向かっていく十本松の背中を見送っていたが、
その背中が見えなくなってから俺に顔を向けた。
そして、そのままじ……っと俺を見つめてくる。

「……」
この沈黙は俺だ。
かなこさんも沈黙しているが、彼女の視線が何か言っているような気がしたため、
沈黙だけが俺の聴覚を占めている。
彼女の端正な顔に張り付いている瞳が何を言っているのか、これが華や香織であれば
的中率が低くともなんとか当たりそうな気がするが、かなこさんにそれは通用しそうにない。
彼女が何を俺に伝えたいのか、全くわからない。

俺が立ち尽くしていると、突然右手を掴まれた。
白い手の持ち主である、かなこさんはさらに左手を添えると、俺に向かってこう言った。
「雄志さま。少々ご一緒していただいてよろしいですか?」
断る理由などあろうはずもない。

首肯する。と、かなこさんに手を引かれた。
「あの、どこに行くんです?」
手を引かれて歩かされながら、問いかける。
「わたくしの部屋ですわ。
ここではゆっくりお話ができませんので」

ここで話してもいいのではないかと思ったが、ちらりと右を向いただけで考え直すことになった。
やけに会場の視線が向けられている。
主に、俺に向けて。

左を向くと、俺の顔を指差しながら何かをささやいている人までいた。
文句を言ってやりたい気分になったが、この状況を分析してみれば
なぜ後ろ指を差されているのかが理解できた。

このパーティに来ている人間達はいずれも菊川家当主の誕生日を祝うことを目的にしている。
俺の手を引いているかなこさんはその当主の娘である。
彼女の恋人がいるとしたら、少なからず興味を抱くはずだ。
もし彼女と親しくしている男がいたら、そいつを恋人と邪推してもおかしくない。

そこまで考えると、周囲の人に文句を言う気もなくなってしまった。
もちろん、俺がかなこさんの恋人であることなどありえないし、
三度しか会っていないのだからただの顔見知りに過ぎないわけだが――悪い気はしない。


60 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/23(月) 02:44:21 ID:jt1jcRSu
・ ・ ・

とはいえ、部屋に連れ込まれても甘い空気にならない事実は変わりない。
この屋敷に集まっている人間達の反応から鑑みるに、かなこさんの恋人になるであろう男は
余程人間ができていなければ、彼らに向けられる嫉妬と羨望の視線に堪えられなさそうではある。
もし俺がそんな状況に置かれたら耐えられないかもしれない。
が――

「お茶をお持ちしました。……どうぞ」
カップに透き通った紅茶を注ぎ、嬉しそうに俺の前にカップを置くかなこさんを見ていると
他人の視線などものともしない自信が湧いてくるから不思議なものだ。
まったく、彼女の好意を独占できる男が羨ましくてたまらない。

鼻腔を柔らかく刺激する匂いを堪能しながら、紅茶の味を味わうスキルを持ち合わせていない
俺はちびちびと唇をカップにつけていた。
かなこさんの背中を見やる。
彼女はペン立て以外何も乗っていない机の前に立っている。
俺の座っている場所からは何をやっているのかは分からない。
だが、ドレスを身に纏い髪をアップにしているその後ろ姿はよく見えた。
髪を下ろした普段の髪型とは違い、うなじが丸見えになっていて、
さらに肩を丸見えにしているドレスと相まって、目に毒にしかならない。
毒は毒でも、たちまちのうちに中毒にしてしまいそうな類のものであるが。

俺がその背中をじっと見つめていると、かなこさんがゆっくりと振り返った。
胸の前で大事そうに本を抱いている。
テーブルの向かい側にやってきて椅子に腰を下ろすと、本をテーブルの上に置いた。
既視感を覚えた。
彼女と初めて遭遇したあの日、料亭になかば無理矢理連れ込まれて
食事をしたあとにもこんな光景を目にした気がする。

「話したいことというのは、この本のことですわ。
この本の内容を、まだ覚えてらっしゃいますか?」
かなこさんはそう切り出した。
忘れるはずがない。以前何度も読み返したからな。
「もちろん覚えていますよ」
「……では、何か思い出されましたか?」
…………。
え?

質問の意味が掴めない。
目の前にある本の内容は覚えている。
だが、何か思い出したか、と言われてもわからない。
「ぁ……申し訳ありません。言葉が足りませんでしたわ。
言い直します。その本に記されていた出来事が起こったとき。……そのときのことを思い出されましたか?」


61 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/23(月) 02:46:32 ID:jt1jcRSu

さらに質問の意味が不明になった。
からっぽの頭のなかにピンポン玉を放り込まれたように、思考が落ち着かない。
「記されていた出来事」。これはわかる。
姫さまが刺客に狙われて、最後は殺されてしまう。
簡単に言えばそれがこの本の内容だ。

「そのときのことを思い出したか」。
そのときというのは、この本を読んだときのこと……では無いように思える。
かなこさんの口調は、その場に居合わせたときのことを問うようだった。

そんなこと、わかるはずがない。
俺は生まれてきてからまだ20数年しか経過していないわけで、
その頃に武士や姫と呼ばれる人間が存在するわけはないし、
それ以前に俺の記憶に欠陥が無い限り人が死ぬ現場を目にして忘れたりはしない。

「……あの、もしかして俺のことをからかってますか?」
「? なぜそう思われるのですか。わたくしは真剣に言っておりますが」
かなこさんの声には怒りが少し混ざっただけで、冗談を言っているようではなかった。
とりあえず、質問に答えることにする。
「……覚えていませんよ。俺は人が死ぬ現場に居合わせたことは一度も無いし、
それ以前に武士や姫らしき人間と会ったことも無いです」
「え……」

俺の言葉を聞くと、かなこさんは目を見開いた。
「そんな……なぜ、なぜ忘れておられるのですか!」
次の瞬間、かなこさんはテーブルに両手を叩きつけて身を乗り出してきていた。
すぐに下を向いたので、彼女の表情は見えない。
「わたくしが…どれほどの間、このときのことを待っていたか……。
貴方さまに会う日を、焦れながら……心を締め付ける切なさに耐えながら、
待ち続けていたというのに……何故…雄志さまは……」

呟きが止まり、かなこさんの顔がゆっくりと上がる。

「ぅっ……」
思わず息を呑んだ。
後頭部から背中にかけて一気に冷たいものが駆け抜ける。
ナイフを眉間に突き立てられて、そのままえぐられているような気分さえする。

この感覚を与えているのは、目の前にいる女性である。
「……忘れた振りをなさっているならば……許しませぬ………」
白い顔に張り付いている恨めしげな眼差しと、彼女の放つ威圧感が俺に向けられていた。


62 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/23(月) 02:48:49 ID:jt1jcRSu

何と言って切り出せばいい?
言葉の選択を間違うだけで飛び掛られてくびり殺されそうな雰囲気だ。
かなこさんの瞳から放たれる眼光はまったく緩みそうにない。
だが、何も言わないわけにもいくまい。
彼女は俺が何かを忘れているから怒っているらしい。
一体、俺に何を期待している?

「あの、かなこさん」
「なんでございましょう……」
かなこさんの目がさらに吊り上る。
まばたきの一つもしないその瞳は充血して紅くなっていた。
声を絞り出そうとしてもなかなか出てくれない。
喉に空気の塊が溜まっているようだ。もどかしい。

「俺が、何を忘れているって言うんですか」
慎重に選んだ結果、出てきたのはそんな言葉だった。

次の瞬間、かなこさんがテーブルを飛び越えた。

肩を掴まれ、勢いそのままに椅子ごと押し倒される。椅子の背もたれが背中を強く打つ。
衝撃を受けて喉からうめき声が吐き出された。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
かなこさんが叫び声を上げながら俺の首に手を伸ばしてきた。
このとき、咄嗟に腕を動かして白い手を掴まなければ、首を絞められていたに違いない。

「ぐっ……」
全力で押し返そうとするが、びくともしない。
親指と人差し指がしっかりつくほど掴んでいる手首は細いというのに、
信じらないほどに彼女の力は強かった。
「わたくしのことを忘れるなど……許しては置けませぬ!」
「だからっ……なんのことだって言ってるだろ!」

かなこさんの腹に膝を滑り込ませて、巴投げのように放り投げる。
即座に前転して、その場から離れる。
振り向くと、かなこさんはまったく変わりない様子で立ち上がっていた。
そして、ゆっくりと歩み寄ってくる。
それを見て危険を感じ、立ち上がろうとするが――力が入らなかった。


63 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/23(月) 02:54:30 ID:jt1jcRSu

(なんだ、これ)

体のどこを怪我をしているわけでもないのに、どんどん力が抜けていく。
力が絞り出せない。――いや違う。眠い。
何故だ。
こんな状況で眠れるほど俺はアホじゃない。

ふと頭に閃くものがあった。
もしや、さっきかなこさんが淹れた紅茶に睡眠薬でも入れられたのではないか?
「うふ、ふふふふふ」
睡魔におかされたまぶたは上手く開いてくれない。
歯を食いしばって耐えようとしても、そもそも力をいれることすらかなわない。

(くっそ……)
耐え切れずに目をつぶると、いままで手加減をしていたのか睡魔が一斉に侵攻を開始した。
自分が倒れていると分かったのは、顔の皮膚に絨毯の感覚があらわれたときだった。

心地よさに触覚まで手放したとき、暗い世界の中で透き通る声を聞いた。

「雄志さまが何を忘れているのか、教えてさしあげます。
わたくしの護衛として尽くしていたときのこと。
わたくしを守ることができず、涙を流したときのこと。
そして、わたくしと過ごしたときの思い出。
ですがご安心を。すぐに思い出させて差し上げます――」

――もう少しわかりやすく言ってください、かなこさん。
脳内でぼやいた後、抵抗することを諦めて頭のスイッチをOFFに切り替えた。


-----
第9話はこれで終わりです。

64 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 09:26:26 ID:4iSbWHjX
まさか輪廻転生?
GJ!

65 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 10:44:42 ID:aHEdQbQo
睡眠薬キタコレ!さらに監禁キタカモ!
かなこさんの怒涛の追い上げにワクテカ!(*゚∀゚*)


66 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 12:11:11 ID:bCr9w1uO
これはかなこさんいい病みっぷり(*´д`*)ハァハァ
監禁→調教コースクルー!?
しかし本当に前世が会ったのかかなこさんが病んじゃってるのかどちらなのだろうか?
先の展開が待ち遠しいぜ

67 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 20:36:28 ID:rLuIv2fz
かなこさんの執着心が素晴らしいですね(*´Д`)ハァハァ
しかし主人公の鈍さにワロタw
こういうタイプだから修羅場を呼ぶのか……

保管庫の管理人さんもすばやい更新乙です

68 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:48:19 ID:FN49ce+b
輪廻転生っていうシチュは大好きだぜ!
GJ!!

69 名前: ◆WBRXcNtpf. [sage] 投稿日:2007/04/24(火) 00:59:31 ID:rBKOmnMd
投下

70 名前: ◆WBRXcNtpf. [sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:00:07 ID:rBKOmnMd
第9章

『誠一さんはなぜか逃げてしまった。』

『何故帰ってきてくれないの?なぜ私を抱きしめてくれないの?
なぜ「ただいま」といってくれないの?・・・』

真奈美は考えても考えても解けない疑問に苛まれていた。

もうあの再会からかなりの時間が経っている、
太陽はもう沈みきり外は暗くなっている。
今、真奈美が居るリビングも電灯を灯さなければ真っ暗闇だ。

だが真奈美は電灯をつけることもなく一人暗い部屋でひざを抱えていた。

そんな時、ふと聞きなれた夫の声が聞こえた。
いつも自分と睦みあっていたときの声だ。
初めは幻聴かとも思ったが何故か妙にはっきりと聞こえる。
しかもその音源は何故か隣家から発せられたいた。

・・・

何がおこっているのか、真奈美は頭で理解していた。

だがその壊れた心は何が起きているのか理解することが出来なかった。

『夫が自分以外の人間と情事をしている。』

たったこれだけのこと。
だが真奈美にとっては明日世界が滅びることに等しい現実がそこにあった。

71 名前: ◆WBRXcNtpf. [sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:01:35 ID:rBKOmnMd
終了

酔っているのでもう㍉
アヒャ

72 名前:夫が隣に住んでいます ◆WBRXcNtpf. [sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:03:42 ID:rBKOmnMd
題名忘れてたorz

73 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 04:28:50 ID:1ATfAhUY
>>71
ちょwww
しかし1レスだけなのにいい病みっぷり
この思い込んじゃった状況からどんな反撃がくるのかwktk

74 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 16:11:05 ID:qGV5j/89
言い訳の通用しそうにない、修羅場フラグが…!

75 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 19:16:48 ID:JeOX++KE
展開的にはwktkdkdk


↓以下愚痴なのでスルー推奨
ただ、代用として愛するっていうのはややマイナスかなぁ。
代用ってことは、仮に本物がいたのならばその代用には見向きもしないって事だからなぁ。
その人自身を見ていないのにその人を見てる人から奪うっていうのはねぇ。
まあ、代用からその人自身を見るようになればいいけれど。

76 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 21:07:02 ID:NbDIVBxn
wktkdkdk ってどんな意味?

77 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 21:19:20 ID:3xpt8S7/
>>75
つーか自分でそう思うなら書くなよ、誘い受けしてんのか?

78 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 21:21:48 ID:xFpqeBcR
ワクテカドキドキ

真奈美さんが主人公を完全に亡夫色に染め上げる(洗脳?)のか、
二人の違いに気付いたとしてそれでも……になるのか
どっちの展開でも面白そうw

79 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 00:07:58 ID:DAq3gZAL
>>72ちょww酔っててこのクオリティてすげぇなGJGJ!

80 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 00:35:08 ID:x6cMIs0H
>>77
とりあえず意見として。過剰反応する人がいるとまずいので念のため。

81 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 00:45:17 ID:uk9yIfMC
スルー推奨とか書くと、余計に荒れる。
前から言われてなかったっけ?

82 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 04:15:57 ID:x6cMIs0H
>>81
いや、悪い。知らんかった。

83 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 04:40:23 ID:d4ZaRz57
>>79
実を言うと書いた時の記憶がおぼろげなんだ

84 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 17:05:56 ID:GOZgQ1xe
じゃあ真奈美さんには神が酔った隙をついて
ドンドン暴走してもらおうw

85 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 19:25:35 ID:fnedj0Gb
ストーカー小説を書こう♪
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1177489240/

86 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/26(木) 12:19:44 ID:XQgeEHxa
また細分化か……

87 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/26(木) 16:06:52 ID:JCjhr2jr
キモウトスレにもあったからマルチじゃね?と言って見る

88 名前:名無しさん@ピンキー[アゲ] 投稿日:2007/04/27(金) 01:11:02 ID:RTKA6El4
誰か投下してくれ

89 名前:緋口宗一[] 投稿日:2007/04/27(金) 20:29:26 ID:74nAWJQm
初めまして。

中村さん

「ごめんねー、またやっちったよ」
「ああ、はいはい。部屋ですか?」
「うん。」
「手ぇ、動かないとかないですか?」
「ちょっとぴりぴりしてる・・・。血は、前みたいな
感じ」
「すぐいきますわ」
「ありがとー。・・・怒ってる?」
「はい」
「ごめん」
「はい。じゃあ、脇の下ちゃんと押さえててください。」
「うん。あ、あとさ、ゴムも持ってきて?」

通話を切って救急箱を持って中村さんの家に
向かった。
カウンセリングもあんまり効果がないみたいで、
相変わらずこんな真似を繰り返している。


90 名前:緋口宗一[] 投稿日:2007/04/27(金) 20:52:18 ID:74nAWJQm
すでに中村さんの右手はムカデみたいな
縫いあとだらけで(彼女は左利き)、
だいぶ前から血管に届くぐらい深く切るように
なっていた。

救急車を呼ぶといやだいやだと喚いて逃げて、
気絶され、退院したあと
「知らない人に触られたから」
と腕の皮を剥ぎだしたりしたので、
それからは僕が応急処置をするようにしている。
惚れた弱みだよなー、と、少し笑えた。
すごく悲しく笑えた。

自転車を深夜の中でとばして中村さんの
家についた。
相変わらず広い。そして寒い。
「中村さーん」
「はーい。」
二階の、自分の部屋にいるらしい。
と言っても、この家にはずいぶん前から
彼女しかいないのだけど。
両親が鬼籍に入った後も、そのまま自分の
部屋に住み続けている。

91 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/27(金) 20:58:54 ID:pRpasZ1e
しかしあれだね、書きながらじゃなくまとめて投下しよう?
ね? あと、書き込みするときはメール欄にsageと入れようね、これ基本のルールだよ

92 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/04/27(金) 21:10:30 ID:kxMrQjWP
>>91
>メール欄にsageと入れようね、これ基本のルールだよ

そんなルールねーよww


93 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/27(金) 21:18:11 ID:fL7oUDxI
しかし、荒らしよ
あちこちと荒らして作品を罵倒する割には
この程度の作品しか書けないとは

本当につまらないな・・

145 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2007/04/26(木) 10:41:15 ID:z9GXvD8R
例の荒らしは、分が悪くなると「煽り」という単語を好んで使うからな。すぐに分かる。
語彙が少ないからSS書いても褒められなかったんじゃないの?


こいつの言う通りだね 語彙が少ないよ

94 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/27(金) 22:09:07 ID:pRpasZ1e
>>92
>>3
>>3
>>3

95 名前:緋口宗一[sage] 投稿日:2007/04/27(金) 22:18:29 ID:74nAWJQm
すいません、完成してからまとめて
投稿します。
ルール読んでませんでした、
以後気を付けます。

96 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/27(金) 22:47:48 ID:EHmZSjkz
>>95
ガンガレ
正座してまってるよ

97 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 01:01:16 ID:HKpxrRJf
ヤンデレがあれば百合展開でもここに投稿していいのかな?

98 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 01:06:14 ID:P8pLkMlw
初期に百合ヤンデレを書いた人はいたよ。
既に保管庫でチェック入ってるが「終わるその時に」がそれ。
投下の前置きに百合であることを明示しておけば、苦手な人も避けられる。

99 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 01:08:04 ID:MaUmRn+X
面白そうなので期待

100 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 01:34:31 ID:T3frx2Ef
百合ヤンデレなら貧富の百合と希望してみる。
純真無垢な貧乏娘と、汚れを知ってる金持ちお嬢様
逆もいけるな、これ。

101 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 01:58:54 ID:HWUaTON8
まあ、百合は百合スレでやれって人もいたし、そこら辺は注意。

102 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 10:51:01 ID:d5beOcdA
第十話、投下します
-----
第十話~忘れていたこと~

・ ・ ・

頭がくらくらする。
たった今眠りから覚めたけれど目を開ける気にならない。
今の俺にとっては目を開けるだけでもかなりの重労働だ。
頭の中を酸性の液体で溶かされてしまったようにぼろぼろになった気分。
二日酔いと似ているが、吐き気を催さないだけまだマシではある。

ぐるぐると思考がまわっている。落ち着かない。
そもそも、何でこんな状態になっているんだ?
俺はただ華と一緒にパーティへやってきて、十本松となんの得にもなりそうにないやりとりをして、
かなこさんに自室に誘われて、それから――

『……忘れた振りをなさっているならば……許しませぬ………』
『あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』
『わたくしのことを忘れるなど……許しては置けませぬ!』

――そうだった。
激怒したかなこさんに襲われて、その後で何故か眠ってしまったんだ。
あの時の彼女の様子は俺を食い殺さんばかりの勢いだった。
無防備に眠ってしまった俺は格好の餌食だったはず。
眠ったまま殺されていてもおかしくない。

それなのに、何故俺は生きているんだ?

もしかして既に死んでしまっていて、今いるところが死後の世界だとか?
いや、それはないな。死後の世界なんてあるわけがない。
心臓停止、もしくは脳死をおこせば人間はただの肉塊になるだけ。
そうなったら、人生は終わりだ。
コンティニューなんてものはありはしない。
『その後、彼が再び立ち上がることはなかった……』みたいなテロップが表示されて、
エンドロールが流れておしまいだ。

しかし、こうやって自分の意識を保っているということは、まだ死んではいないということだろう。
死んでいないだけで、かろうじて生きているだけの状態かもしれないけど。

ようやく思考も落ち着いてきた。
まぶたを開けるくらいの余力もでてきた。

ゆっくりまぶたを開く。そこには、間近で俺を見つめる女性が居た。


103 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 10:52:46 ID:mQwZBQ83
小人度し難し。
「屑な奴ってのは近づければ、つけあがり、遠ざければ、逆恨みする。手に負えねーよ」
と云う意味の孔子の言葉。
ところでヤンデレ娘。
近づければ、「愛してるのね!」
遠ざければ、「お仕置きしなきゃ」
・・・・・サイコーですね。

投下します。


104 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 10:53:19 ID:d5beOcdA

かなこさんの顔が、目と鼻の先の位置にある。
ため息を吐けばその微風を感じ取れる距離。そこに思わず目を奪われてしまう美しい顔がある。

その顔はしきりに俺の顔の前で左右に、上下に動いていた。
潤んだ瞳には歓喜が宿っているように見える。
どうしてそんな瞳をしているのか、という俺の疑問は、自分の唇に触れる柔らかな感触と、
口内を這いずり回るやわい感触の何かと、ぴちゃぴちゃという水音を感じるうちに解けた。

「んん……んふ、……ふん…ちゅ……」

かなこさんが俺にキスをしていた。
それも唇に触れるようなものではなく、口内の液体を絡ませ、吸い取るような激しいものだった。
時折かなこさんの髪が俺の顔に垂れてくると、彼女はそれをうっとおしそうにはらう。
彼女は目を瞑ると、唇を強く押し付けて深く舌を挿入してきた。

蜂蜜が垂れていくようなゆったりとした動きで、かなこさんの舌が動き回る。
衝撃的な光景にとらわれていた俺は、その舌に応えることなどできなかった。
自分の目の前で起こっていることが、とても信じられるものではなかったからだ。

俺が呆然としている間にも口内は蹂躙され続け、かなこさんは俺の首を強く抱きしめた。
抱きしめる力が強くなる。肢体を激しく動かしだした。
その動きが激しさを増し、より強く唇を押し付けられた瞬間、目を開いた彼女と目が合った。

「んんっ……ん! んんんんんっっ!!!」

繋がった唇から、緩やかな振動が伝わってきた。
舌と唇を使い唇をこじ開けられると、口内に液体が入ってきた。
仰向けに寝そべっていた俺は、喉にまで達したその液体を空気と一緒に飲み込んだ。

荒い呼吸をつきながらかなこさんは上体を起こした。
そのとき、俺は今度こそ自分の目を疑った。
彼女のほっそりとした首から肩を通り腕へ伸びるラインを遮るものは一切なく、
さらけ出された肩の白さを邪魔する衣服さえ、目の前の女性は身に着けていなかった。

そして、生まれたままの姿をしているのはかなこさんだけではなかった。
腹筋の辺りに感じるぬめった感触と少しの重量感が肌を直接的に刺激している。
さらに俺の四肢は縄で縛られていて、自由が利かないようにされている。
俺はスーツを脱がされた状態でベッドに固定されていた。


105 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 10:57:19 ID:d5beOcdA
無形さん、先に投下してもいいですか?

106 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:00:13 ID:mQwZBQ83
すみません、かぶっちゃいましたね。
おさきにどうぞ

107 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:01:25 ID:d5beOcdA

「ようやく目が覚めたのですね。
何度くちづけても反応がなかったものですから、不安になってしまいましたが、
雄志さまと目が合った瞬間にはわたくし、いってしまいましたわ。
キスでこれだけ刺激的ならば……雄志さまと繋がった瞬間にはわたくし、死んでしまうかもしれません」

そう言うと、かなこさんは唇の周囲についた唾液を舐め取った。

「雄志さまの唾液を、たっぷりいただきました。
これだけなめらかなものを口に含んだことなど初めてです。
ほんとうに、どんなものにも勝る甘露ですわ。おいしゅう、ございました」

かなこさんの小さな舌と唇がぴちゃり、という音を立てた。
また顔が近づいてくる。頬に柔らかいものが触れた。
頬にまで垂れ下がった唾液を舐め取ると、舌が首へ向かって移動する。
喉仏を唇で包み込まれ、強く吸われる。たちまちぞくり、としたものが駆け抜ける。

「んちゅ…ああ、首の脈がびくびく、動いて……かわいい……」

舌が首筋を舐め始めた。
顎の舌から、鎖骨へ向かい、また折り返してくる。

「ああ、もう……こんなことって……んん、ふ……」

かなこさんが口付けてきた。
両手で俺の頭を掴み、髪を撫で回しながら舌で攻められる。
息苦しさに首を軽く反らす。
「っ! 雄志さま!」
大声をあげられて、首を正面に固定された。

「もはや、逃げることなどできませぬぞ……。
このまま、わたくしと愛し合い続けるのです。明日になっても、日付が変わっても、ずっと、ずっとずっと。
引き裂かれてから今までの分の肉欲を、わたくしにぶつけたいのでしょう?
欲望を子種に宿して、わたくしの中にそそぎたいのでしょう?
言われなくとも、わかります。先ほどから、雄志さまの肉体が疼いているのがつたわってくるのです」

言われたとおり、俺の体は止めようもないほどに熱くなっていた。
これほどの興奮を味わったことは一度もない。
女性の方から犯されているという異常な状況だというのに。
頭を冷やす材料が、ひとつもなくなっていた。


108 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:02:52 ID:d5beOcdA

「さあ、存分に……」

小さな手が、肉棒を掴んだ。
ひやりとした感触が熱におかされたものを包み込む。
目を合わせながら手淫をされる。
絶妙な愛撫だった。射精欲が高まっている状態で施されるそれはたやすく俺の理性を揺さぶる。
数本の指の動きだけで、まるで俺の体を知り尽くしているかのように弱点ばかりをついてくる。

「うふふ。……やはり、ここを触られるのがお好きなのですね。
もちろん、覚えておりますよ。雄志さまのお体のことは。
そして、こうされるよりも――」

かなこさんは手淫をやめると腰の上に座った。
秘裂をぴたりと陰茎に合わせて体を揺する。

「わたくしの膣の中で果てることが一番お好きだということも」

その言葉の後でかなこさんの腰が離れて、陰茎が開放された。
真上を向いたペニスの先端に肉が触れた。

「あ、ああ、あ……ひろがって、る……」

かなこさんの体が俺の肉棒を飲み込み始めた。
まだ半ばまでしか達していないというのに、膣壁が強く張り付いているように感じる。
そのときになって、本当の意味で自分が犯されている、ということがわかった。
俺の感覚が全て肉棒に集中して、そこから全て吸い取られている。

「もう、すぐ…雄志さまがわたくしのものに、ぃ……あ、ぁはああああ……
あ、あああ! イ……って、しまっ、……ふっ……ぁぁあああああああ!!!」

彼女の膣が俺自身を全て飲み込んだ瞬間に締め付けられ、より強く絞り取られる。
激しく痙攣する彼女の体は、耐えようとする力さえも奪い取ろうとする。
理性を飲み込む快楽が俺の脳を支配したとき、肉棒から精液が飛び出した。

腰がびくびくと動き欲望が吐き出される。
脳から電流を断続的に流される。腰の動きが止まらない。
快楽で呼吸するのを忘れ、息苦しさを感じるほどになってから、ようやく腰の痙攣が止まった。

「すご……、もぅ………どこにいる、か……。
……あ、あ、ぁぁ。 ゆ、しさまぁ……わたくしを、こわして………」

彼女の言葉が耳に届くだけで下半身が力を取り戻した。
それを待っていたかのように、かなこさんは腰を上下に動かしだした。


109 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:03:46 ID:d5beOcdA
・ ・ ・

心臓が全力で血液を送り出している。
腰の上にまたがり、剛直を飲み込んだまま離さず、締め付けてくる女性に応えるように。
何度果てたか覚えていない。5回までは数えられたがそこから先は思考までも侵されてしまった。

「あああ! あ、はぁ、あ! はぁぁぁぁああああっ!」

かなこさんが俺と体を重ねている、という信じられない光景は何度目をこらしても目の前にある。

「雄志さま。そろそろ思い出されましたか……?
わたくしのことと、あの頃のことを……」

情事の間を縫う問いかけは空虚なものしか俺にもたらさない。
かなこさんの体以外のものが歪んで見えるのと同様、快感以外に閃くものが頭に無い。
俺が忘れているらしい『なにか』を思い出す兆しなど、まったく見えてこない。

俺が頭をベッドにつけたままにしていると、かなこさんはまたしても体を使い出す。
唇を、胸を、へそを、ペニスを、肛門を、指の間を弄り、無理矢理に俺を勃たせる。
そうして、再度を俺を飲み込み絞り取ろうとする。

俺の体は動かなかった。
筋肉が衰えて、機能が死んでしまったのではないかとさえ思える。
情事の激しさが原因になったのではなく、気がついたときには既に体の自由がきかなかった。

「そうしてなすがままになっている姿は、本当にかわいいですわ。
あれだけ凛々しい方が、こんなにあられもない姿になっているなんて」

頬と頬を合わせて、胸と胸を合わせて体を摺り寄せる。
隅々まで触り尽くされた体はその行動に対して拒否を示そうとはしない。
むしろそうされることを待ち望んでいたかのように、下半身に血液を集めだす。

「まだ、わたくしが欲しいのですね。もちろん、そのようにいたします。
わたくしの心と体は全て、あなたさまのもの。その代わり、あなたさまの全てもわたくしのものです。
もっと、もっと雄志さまの子種を注いでくださいまし。
そうすれば、必ず雄志さまとわたくしの二人の御子を授かりますわ。
覚えておられますか? 子供は2人欲しいとおっしゃったことを。
わたくしは、2人と言わず5人でも、10人でもよろしいのですよ。遠慮など、なさらなくともよいのです」

肉棒を包み込まれて、締め付けられる。
腰を打ち付けられる感触を肌に感じる。卑猥な水音が耳に届く。
それが幾度も繰り返されるうちに、俺の意識は暗く沈んでいった。


110 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:05:18 ID:d5beOcdA


: 

意識がつながったとき、俺は教室の中に居た。
そこが教室だとわかったのは、中学時代に飽きるほど目にした光景そのままだったからだ。
窓の外に見える茶色のグラウンドと、色とりどりの花が植えられた花壇。
教室の壁の一部を成す濃い緑色をした黒板。
習字の授業で書かされた、個性的な『努力』の文字たち。
全てが俺の知る中学時代の教室だった。

ただひとつ違うところは、目の前で床にうずくまる少女がいるところだった。

『ひっ……く、ひっく』
その少女のセミロングの髪は微かな茶色に染まっている。
中学時代に茶色の髪をしていた少女は思いつくかぎり一人しかいない。
『香織ちゃん、大丈夫?!』
別の女の子がやってきて嗚咽を繰り返す少女の肩に手を置いた。
泣いている女の子は、中学で初めてできた友人の天野香織だった。

俺――夢の中の――は立ち尽くしたまま動こうとはしなかった。
こうやって傍観者の立場になると自己分析ができる。

自分が泣かせてしまった少女に対してかけるべき言葉を、当時の俺の頭ではひねりだすことができなかった。

なぜ泣かせてしまったのか、今の俺には咄嗟に思い出せなかった。
だが、香織の足元に転がる銀色の硬貨を見ているうちに、自責の念と共にその理由を深いところから掘り出せた。
それと同時にこれだけ重要なことを忘れていた自分を殴りたい衝動に駆られた。

俺が投げた硬貨が香織の顔に当たってしまった。それが香織が泣いている理由だ。
なぜそんなことをしたのかはわからない。多分、何かのゲームをしていたのではないだろうか。
熱中しているうちに周りが見えなくなり、俺が投げた硬貨が香織の顔に当たってしまった、
というのが事態のあらすじだろう。

女の子の顔に怪我を負わせてしまったということ。
中学時代の無知な俺では深く理解できなかったが、今ならわかる。

俺は、香織の人生にヒビを入れてしまったのだ。


111 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:07:31 ID:d5beOcdA

事件の翌日、香織は額にガーゼをつけて登校した。
普段は笑顔を張り付かせている顔は、そのガーゼのせいで酷く痛々しく見えた。 
休み時間、俺は香織と二人きりになって土下座して謝った。
香織は「そこまでしなくていいよ」と言ってくれたが、俺は顔を上げなかった。
そうしているうちに香織が泣き出した。

「やめてよ……そんなことしないで。
雄志くんは悪くないって、運が悪かったんだってボクは思っているから……だから、頭を上げて」

それでも俺は顔を上げなかった。いや、上げられなかった。
取り返しのつかないことをしてしまった恐怖にかられ、情けなくも泣いていたからだ。
そんなことをしているうちに、泣き止んだ香織が俺に向かってこう言った。

「わかった。じゃあ、こうしよう。
本当に悪いと思っているんだったら、責任をとって。
もしかしたらお嫁さんにいけないかもしれないからさ、だから…その、えっと……。
そ、その先は言わなくてもわかるよね。じゃあ、そういうことで!」

と言い残すと、香織はきびすを返してその場から立ち去った。

取り残された俺――中学時代の――は香織の言葉を変な方向に解釈していた。
『責任』の部分に強く反応し、香織に対してより申し訳ない気分になっていた。
そのせいで、教室に戻ってから香織と距離をとるという行動をし始めた。

今だから言えるが、中学時代の俺は馬鹿だ。それもどうしようもないほどの。
さっきの言葉はいわゆるプロポーズだろう。
それを変な方向に解釈して、距離をとろうとするとは。今すぐ修正を施してやりたい。
まあ、数時間前の俺も馬鹿だけどな。こんな重大な出来事を忘れていたんだから。

今度香織に会ったらあの時の話をさりげなく振ってみよう。
いや、結婚の申し込みをするわけじゃないぞ。香織の方も忘れているかもしれないしな。
もし覚えているんだとしたらどうしようかとも思うが……それはそのときに考えよう。


しかしこの夢は長いな。一体いつまで続くんだ――?






112 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:10:08 ID:d5beOcdA
突然に、唇の感覚が復活した。口の中に舌が入れられる。

もしかして夢の続きか?事件のことを忘れていた罰として俺をどうにかしようというのだろうか。
そうだとしたら、今まで事件のことを忘れていた謝罪を兼ねて、夢の中の香織に応えてやらねばなるまい。
夢の中だけだぞ。現実で香織がキスを迫ってきたらやらないはずだ。多分。

突き出された舌裏を舐める。すると、合わされている唇が強く押し付けられた。
夢の中だというのにこの感触。いつもどおり不気味にリアルだ。
口の中に唾液が入ってきていることまで感じられる。
続けて頬の裏側、唇の裏、歯茎の裏へと舌を這わせる。
俺の舌が舐める場所を変えるたびに唇だけでなく、体の上にある香織の体も動く。
視界が闇に包まれていて相手が香織だとは断言できないが、多分そうなんだろう。

「あふっ……はっ、うぅぅん………ゆうしさま、だめぇ……」
おい。こんなことしてるからって雄志様はないだろう。
だいたい雄志様って呼ぶ人の枠は既にかなこさんで――――え?
「ああ……ああぁあ…んんんんんっ! ぷぁ………もう、こわれてしまいます……雄志、さ、ま……」
目を開けたとき、そこにはかなこさんがいた。
彼女は目を閉じ体を横に傾けると、体をベッドに投げ出して寝息を立て始めた。

なんだ、香織じゃなかったのか。ちょっと残念――って、そうじゃない!
かなこさんの体を確認する。
彼女は生まれたままの姿で全身に汗を掻いていて、ところどころに白い液体を付着させている。
それらから導き出される答えは、ひとつしかない。
(俺がかなこさんとセックスしていたのは、夢じゃなかったのか)
セックスというよりは逆レイプだったが、体を重ねたことに違いは無い。
そして俺が両手足の首を縛られて固定されているのも変わりない。

かなこさんがこんなことをした理由など、倦怠感に包まれている今の脳みそでも思いつく。
かなこさんは俺のことを好きだからこんなことをしたのだ。
考えてみれば、出会った日に料亭に連れ込んだり、自室に呼んだりという行動は
好きでもない男に対してするものではない。逆レイプは恋人に対してすらやるようなものではないが。
自分の馬鹿さ加減にあきれ果てて、壁に頭を打ち付けたくなってきた。
気づいていれば何らかの対処ができたのに。

もう一つ、疑問があった。なぜかなこさんは俺に惚れたのだ?
俺は名のある家の生まれではないし、親戚に大富豪がいたりもしない。
容姿の良し悪しを自分では判断できないが、少なくとも一目ぼれされるほどいいようには思わない。
考えられそうな要素と言えば、かなこさんが探していた本の場所を俺が教えた、ということだけだ。

俺の疑問に答えてくれそうな人は左で寝息を立てていた。
陽だまりの中で昼寝をする猫のような安らかな表情を浮かべるかなこさんを見ていると、
彼女を起こすという行動をとることができなかった。
体を包み込む倦怠感から眠気を覚えた覚えた俺は、見慣れた顔を思い浮かべた後で目を閉じた。
その時に思い浮かべた香織の顔は、何故か不機嫌真っ盛りだった。

この現状を打破するための方法を考えながら、再び俺の意識は闇の中へと沈んでいった。
------
今回は終わりです。では無形さん、どうぞ。

113 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:16:33 ID:mQwZBQ83
◆Z.OmhTbrSo さん、おつかれさまでした。
では、被って申し訳ありませんが、投下させて頂きます。

114 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:18:52 ID:mQwZBQ83
鳴かぬなら 殺してしまおう ホトトギス

鳴かぬなら 鳴かせて見せよう ホトトギス

鳴かぬなら 鳴くまでまとう ホトトギス


有名な詩(うた)みたいです。

ちょっとした事件がありました。
学園生活にありがちな、恋愛感情のもつれと綻び。
あるいは歪な感情の発露による暴発と必滅。
外罰的な三角形が形成され、雲散霧消するまでの過程。
そして、終わりと始まり。

なんのことはない、少し異形だっただけの、日常。
その登場人物達――真面目に過ぎて滑稽な、道化達の物語。

三傑の評のうちの二つ。
即ち、第六天魔王と豊国大明神の寸評が、二人の女性に当てはまるのではないかと思いました。
尤も私の中では、


鳴かぬなら 死んでしまおう ホトトギス

鳴かぬなら 哭(な)かせてしまおう ホトトギス


こう評するほうが正しいのではないかとも考えましたが。
ともあれ、そんな話を聞いて貰おうと思います。

最後に自己紹介を。
私の名前は一ツ橋朝歌(ひとつばし ともか)。
茶番の傍にいた――唯の傍観者です。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「イトコ?」
先輩は可愛い瞳をパチクリさせた。
昼休みの茶道部部室でのことである。
いつも通り先輩の作った美味しい弁当をご馳走になっていると、
「日ノ本(ひのもと)くん、晩御飯食べに来ない?」
親切な部長さんは、そう云ってくれたのだ。
僕の両親は家を不在にすることが多かった。そうなると自然、自炊をしなければいけない訳で。
ところが僕には家事の才能が微塵も無く、掃除をすればゴミをつくり、料理をすればゴミをつくる、
という有様でそれを見かねた先輩が昔から僕を助けてくれていたのだ。
織倉由良(おりくら ゆら)。
中学からの知り合いで、この茶道部の部長である。
僕も所属している茶道部は、厳しいことで有名だ。厳しい、と云っても、それは活動内容が、
ではない。
部長を務める織倉由良が、入部者のある一部の行動に対して、である。
銀河の暗黒を溶かしたような、幽邃な瞳。流動する黒水晶のような長髪。雪の肌。桜の唇。
清楚で、でも肉感的な肢体。育ちのよさを感じさせる立ち居振る舞い。朗らかな人柄。
教員からの信頼も厚く、文武の人でもある先輩は完璧な女性だ。
それ故、言い寄る男も多い。
先輩が厳しい、と云うのは、つまり自分目当てで入部するひとに対してだ。
元々茶道部は「まったり仲良く」を伝統としていた。
だから作法やら礼法やらは必要なく、部員はのんびりと雑談しているだけで良い。
それ故に場の空気を乱す人を、先輩は嫌った。

115 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:20:20 ID:mQwZBQ83
だから、男の部員は僕だけだったりする。ほかは皆追い出された。
黒一点。
それが今の茶道部であるが、もとより先輩以外とはあまり喋ることが無いから気にならない。
唯一の例外は、小学校からの知り合いであり、後輩でもある一ツ橋朝歌だが、彼女はほぼ誰とも
喋らず、部室の隅で黙々と読書に励んでいる。
昼休みも。放課後も。勿論今も。
「図書館よりも、環境が良いですから」
それだけの理由で冬は暖かく夏は涼しい部室にいついている。
まあナンパ目的でなければ、本をよんでいようがプラモを組み立てていようが先輩は怒らないが。
先輩は優しい。
「来たい時だけ、来ればいいよ」
入学当時、そう云って僕をここに誘ってくれた。
中学のときから、先輩は僕に気を使ってくれる。入部のお誘いも、入学したてで知り合いの
少ない僕を気遣ってのことだろう。先輩は本当に面倒見が良いのだ。
だから、と云う訳でもないが、以来一年間。昼休みや放課後は部室で先輩と話し込む事が多かった。
先輩は僕と違って家事が得意だ。それで僕の両親が家を空けると、生活無能力者の後輩のために
ご飯を作ってくれる。
お昼の弁当も、時には晩御飯も。
流石に甘えすぎだ。
そう思いつつも、あまりに上手なご馳走の山に屈服してしまっている。
そして先日、またもや両親が家を空けたので、わざわざ先輩は気を使って僕を夕食の席に招待
してくれたのだった。
けれど。
「すいません、折角のお誘いなのに」
僕は頭を下げた。
今日はイトコが家に来る。だから先輩のお誘いを受けるわけにはいかなかった。
「あ、ううん、気にしないで。急に誘った私が悪いんだから。・・・でも、イトコかぁ・・・・・」
考え込むように天井を見上げる。寛容な先輩はとくに気分を害した様子は無い。
「ねえ、日ノ本くん」
先輩がこちらに瞳を向ける。
「もしかして今までも今日のようにブッキングしたことある?」
「ブッキング・・・・ですか?云われてみれば過去に何度か被ったことがありますかね」
「六回」
「はい?」
「日ノ本くんが、今までに私のお誘いを断った回数」
「・・・・よく・・・・憶えてますね」
「日付も云えるわよ?」
ニッコリと笑う。
流石に才女。記憶力が生半ではない。
「話を戻すけど、それって、やっぱり今回みたいな理由だった?」
「えーと・・・」
僕は手を拱く。
「云われてみれば、あいつが来る時だったような・・・・」
というよりも、他に先輩のお誘いを断るようなイベントは無い。
「ふぅん」
先輩は眼を細めた。
「そのイトコって、どんな人?」
「どんな?・・・・そうだなぁ・・“和風”・・・・・ですかねえ」
「わふー?」
「大和撫子の見本みたいな奴です。外国人が持ってる変な日本のイメージみたいな」
「そう。女の子、なんだ」
ぽつりと。
呟くように先輩はそう云った。
「どうかしました?」
質すると、先輩は何でもない、と笑顔をつくる。
「大和撫子って事は、その子ってお嬢様然としているの?」
「と、云うか、まんまお嬢様です。あいつん家、金持ちですから。母方交叉従妹なんで、
うちは中産階級ですけど」
まあ話し相手のこの人も十分セレブだけどね。

116 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:21:49 ID:mQwZBQ83
「年齢は?」
「いっこした。今高1です。先輩、光陰館(こういんかん)って知ってます?」
「知ってるも何も、超名門私立校じゃない。ううん、本物かあ・・・」
唸っから、僕を見る。
「その娘、よく遊びにくるの?」
「月1~2回ですからね、そこそことも少ないとも云えますが」
「・・・多すぎる」
「え?」
「ううん・・・。何でもない」
先輩は再び首を振った。
「それで、一番大事なことなんだけど」
大きな瞳が鋭く縮む。
「その娘、可愛い?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「にいさま、おかえりなさいませ」
家に着くなり、着物姿の美少女が三つ指ついて深々とお辞儀した。
「ああ、綾緒(あやお)。来てたんだ」
「はい。一時間ほど前に。失礼とは思いましたが、勝手に上がらせて戴きました」
「構わないよー。入っちゃ駄目ならそもそも鍵なんて渡してないし」
玄関から廊下にあがる。
綾緒は僕の靴を揃えると、「お持ち致します」と鞄を取り、しずしずと半歩後を後をついて来る。
この生ける市松人形が、従妹の楢柴(ならしば)綾緒である。
血の繋がりを感じさせないくらいパーツパーツの高級感が違う。
白子と間違うくらいに肌が真っ白で、唇は血のように赤い。
そのためかスッピンでも化粧をしている様に見えるのだ。
すこぶるつきの美少女で、これだけの造形美は、織倉先輩くらいしかお目にかかったことがない。
「御召替えなさいますよね?お手伝いしてもよろしいですか?」
綾緒はこうして僕の世話を焼きたがる。
「いや・・・それはちょっと」
「そう・・・・ですか・・・・残念です」
従妹は本当にひどく残念そうな――泣きそうな顔をする。
叶えてやりたくもあるが、着替えまでは躊躇われる。
「ここでいいよ」
部屋の前で綾緒に云う。
「あのぅ・・・本当にお手伝いは要りませんか?」
「うん」
「あう・・・」
しょんぼりとする綾緒から鞄を受け取り、部屋へ入る。
―――と。
「おい、綾緒」
「お手伝いですか?にいさま」
扉越しにウキウキとした声がかえってくる。
「そうじゃなくて、お前、僕の部屋に入ったな」
「あ、はい。失礼とは思いましたが、簡単にお掃除させて戴きました」
無頓着な僕でも気づくほどに室内はサッパリしていた。家具の配置も微妙に変わっており、
壁には不気味な能面が備え付けられていた。かわりに投げっぱなしだった雑誌の山がなくなっている。
ん?雑誌?
「まさか!?」
僕は慌ててベッドの下を見る。
「あー!無いっ!!」
「にいさま?どうかなさいましたか?」
扉越しの従妹の声。
「あ、綾緒!」
扉を開ける。
「お前、アレはどうした!?ベッドの下にあった、僕の宝物は!?」
「―――ああ、あの不埒な雑誌ですか」
ゾクッと。
背筋が震えた。

117 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:23:23 ID:mQwZBQ83
目の前には笑顔の綾緒。けれど何か違和感。
この従妹はときどきこうして、纏う空気を変質させることがある。
「にいさま」
「な、なんだ?」
変貌した綾緒に、僕は気圧される。
「綾緒のにいさまは、あのような不浄のものに拘ってはいけません。そうですよね?」
「いや・・・でも」
「でも?」
たおやかな笑顔。
そして表情と相反する気配。
僕は「なんでもない」と答えるので精一杯だった。
「いいですか、にいさま。にいさまはあのような下賎者に発情してはいけません。
綾緒も殿方の『仕組み』が分からないではないですから、劣情そのものを否定はしません。
ですが、にいさまは綾緒と血の繋がった方です。情を向けるにしても、相手を選んで
戴きたいのです。下種下劣な下々の者に心動かされてはいけません。にいさまにはにいさまに
相応しい者がいるのですから」
わかりますね?と念を押される。意味が分からないが頷くしか出来ない。
「よくできました。それでこそ“綾緒の”にいさまです」
踵を上げて従兄の頭を撫でる。
「では、綾緒は夕餉の準備を致します。御召替えが終わりましたら、来てくださいな」
深々と頭を垂れ、しずしずと去って行く。
「・・・・・あいつ・・・年々強くなってくなぁ・・・・」
ため息を一つ。
昔はもっと儚い感じだった。否、今もそれは変わらない。
控えめで、大人しく、穏やかだ。
ただし、根の部分は誇り高く、他人を立てても下風に立つことも無い。
僕には特に丁寧に対応してくれるが、それでも時折、ああして主導権を握られる。
綾緒はどうも男女の『そういうの』に潔癖な部分があって、親戚の集まりでも僕が他の女の子と
話すことを許さなかった。
「毎日先輩に昼ご飯食わせてもらってて、たまには夜もご馳走になる、とかは云えんわなぁ」
云う度胸もないし、メリットもない。
どうせ僕は腰抜けだ。

キッチンでは綾緒が夜支度をはじめていた。
和装の上に白い前掛けをつけた姿は、和風のメイドさんのようだ。
元々尽くすことが好きな綾緒には、違和感は無いのだろう。
加えて、女の嗜みとして家事全般を習得しているのだから、能力的にも申し分ない。
ちなみに彼女は武芸百般、外崎(とのさき)流居合いと新衛(しんえい)流柔術の印可持ちである。
だから、男の僕が腕っ節でも手も足も出ない。
趣味は“面”を集めることで、彼女の家はもちろん、この家の至る所にも喜怒哀楽あるいは化生・畜生
を模った(不気味な)面が飾られている。今日僕の部屋に備え付けられたものもそのひとつである。
本人が気に入っているようなので、外す事は無い。触る気にもならないので、掃除は時たま
やってくる綾緒本人がやっている。
彼女はこうして月1・2回僕の世話を焼きに来る。
形の上では「遊びに来ている」はずなのだが、実際は僕が凭れ掛かっているだけだ。
「本当は毎日にいさまのお世話をしたいのですけれど・・・・」
それが綾緒の口癖だった。
椅子に座り、従妹の少女に目を転じる。てきぱきと手際良く晩飯を作り上げていく。
「もう暫くで出来ますから、にいさまは寛いでいて下さいな」
従妹の機嫌は良さそうだ。
「綾緒はさぁ」
「はい。なんでございましょう」
とんとんとん。テンポ良く刻む。
その姿は堂に入っており、良妻賢母の感がある。
「良いお嫁さんになると思うんだよな」
思ったことを口にする。
カシャン。
あ、包丁落ちた。
「に、にいさま・・・それは、綾緒を・・・」

118 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:24:28 ID:mQwZBQ83
RURURURURU・・・・・・。
遮るように、ベルが鳴く。
「電話だ。出てくる」
「それでしたら、綾緒が・・・」
「いいからいいから。綾緒は飯つくってて」
片手をひらひらと振って、廊下に出る。子機は居間にもあるが、キッチンが隣だ。綾緒の調理の
邪魔はしたくない。それで電話機本体のある廊下へ移動した。
「はい、日ノ本ですけど」
余所行きの声で受話器に語る。
「あ、日ノ本くん?」
そこからは聞き覚えのある澄んだ声が聞こえてきた。
「あれ?先輩」
「あ、私の声、わかるんだ。嬉しいな」
やはり声の主は織倉由良先輩だった。
「どうしたんですか、家の電話にかけてくるなんて」
「ケータイにかけたら出なかったのはだれかな?」
「あ~、すいません。部屋に置きっぱなしでした」
見えない相手に頭をさげる。
「で、どうかしましたか?」
「あ・・・うん。もうご飯は食べたのかなって」
「まだ夕方ですしね。鋭意製作中」
「昼間話してた従妹の娘?」
「です」
耳を澄ます。
ここまで届くはずの調理の音は、何故か聞こえない。
「う~ん。そっかぁ。もしつくってなかったら、御馳走しようかなって思ったんだけど・・・」
「いやいや、そこまで気を使ってもらうわけにはいかないですよ」
「そう?別に気にしなくていいのに。いつも食べてるんだから。――そうだ、じゃあ日ノ本くん」
「はい」
「明日のお弁当は何が食べたい?」
「昼飯・・・ですか?」
「うん。今スーパーにいるんだ。だからリクエストがあれば、お姉さんに云って欲しいな」
「いや、先輩のご飯美味しいですから、何でも有難く戴きますよ」
「も~。何でも良いが一番困るのに」
そう云いつつも、どこか声が弾んでいる。
そういや綾緒はもう作り終わったんだろうか。
キッチンから音がしないので、なんとなく振り返る。
――と。
「うわっ!!!!」
「ど、どうしたの、日ノ本くん!?」
「あ、な、何でも、ないです。ちょっと驚いただけですから」
目の前には綾緒。
いつの間に背後に立っていたのか。
口元だけ薄く笑って、僕を凝視している。

に、い、さ、ま

綾緒の赤い紅い唇が、音もなく動く。

『お断りして下さい』

従妹の可憐な唇がそう模った。
(いや、でも折角の厚意だし)
受話器を押さえ、小声で云う。
綾緒は表情を崩さない。
微笑したままゆっくりと首を振る。
(いや、でも・・・)
「・・・・・」

119 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:26:17 ID:mQwZBQ83
笑みが、消えた。
表情(かお)のない従妹。
それだけなのに。
否。『そうなった』からこそ――僕の背筋は凍りついた。
僕は慌てて受話器をあてる。
「日ノ本くん?大丈夫?何があったの?」
「い、いえ、ちょっとコケただけです。それより先輩」
「ん?なぁに?リクエストはきまった?」
「あ、明日の弁当は、遠慮しときます・・・!」
「――え?」
信じられない、といった感じの先輩の声。
それはそうだろう、急に掌を返されたようなものだから。
「ど、どうしたの、突然」
「そんな世話になっちゃ悪いです・・・から・・・」
意識の大半は無表情な従妹にある。声が震えただろうか。
「そんな事今更気にしなくてもいいのよ?私が作るついでなんだから、一人分も二人、」
「とにかく、すいません」
遮って受話器を置いた。
「あ、綾緒・・・・?」
様子を伺う。
「お断りしたのですね?」
「あ、ああ・・・・」
「そうですか。それはようございました」
そう云って微笑。目元は凍てついたままに。
「ではにいさま、今の女性(にょしょう)について、綾緒に説明して下さいな」
従妹は穏やかな声でそう云った。

居間。
椅子に座らず、正座したまま、僕と綾緒は向かい合っていた。
先ほどの電話の内容は背後にいたためある程度聞こえていたようで、声の主――織倉由良
と僕の関係について説明させられた。
「なるほど。部活動の先輩ですか」
「あ、ああ、そうなんだよ。僕が家事無能力者なのはお前も知っているだろう?
それで先輩は気を使ってくれてるんだよ」
前に一週間で二キロも痩せたことがあってさ、そう説明する。
「にいさま」
じぃっと、僕を見つめる。
「楢柴の血縁ともあろうお方が他所様の御厚意に縋り付くようなことはしないで下さい。
ひとつにはにいさま自体の品格を損ない、二つには相手方に迷惑となります。
今後一切、その『織倉様』には甘えぬようにしてくださいませ」
「ま、待ってくれ」
「なにか?」
「その、確かに先輩に負担させちゃってるのは申し訳ないと思うけど、
こういうのもコミュニケーションのひとつだと思うんだ。だから・・・」
――あ。
僕は言葉を止める。
綾緒から再び表情が消えていたのだ。
「にいさま」
冷水のような声が響く。
「にいさまは綾緒の云うことが聞けませんか」
「あ、いや・・・」
「にいさまは、綾緒の云うことに逆らうのですね?」
綾緒の纏う気配が変わる。
この時の――
この時の綾緒に手向かってはいけない。
僕はそれを知っている。
だから慌てて首を振った
「そんなことない、そんなことないさ。ちゃんと、綾緒の云う通りにする、よ」

120 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:28:47 ID:mQwZBQ83
「ほんとう、ですか?」
「ああ、もちろんだ。やっぱり迷惑かけちゃいけないよ、な・・・」
「そう・・・・。わかって頂けましたか」
先ほどの気配が消えて、従妹はにっこりと微笑む。
「それで良いのです。それでこそ“綾緒の”にいさまです」
立ち上がり、僕の頭を撫でる。
「良いですか、にいさま。親交を持つ事自体は構いません。ですが親しき仲にも礼儀ありです。
他者様に凭れてはいけません。それが特に女性と云うならばなおさらです。
今後は一線引いてその織倉様とお付き合いして下さいませ。宜しいですね?」
「あ、ああ。わかったよ」
「では、綾緒との約束ですよ。その方に甘えず、誤解させてはいけませんので二人きりで
あうことも禁じます」
「誤解?誤解ってなんだ?」
質すると、僕を撫でる手が止まる。
「あや、お?」
「わかりませんか?ならばそれでも宜しゅうございます。
にいさまはただ――綾緒の云う通りにしていれば良いのです」
従妹は小指をだした。
僕は逆らえず、自分の指を絡める。

ゆびきりげんまん うそついたらはりせんぼん のます

綺麗な歌声が居間に響く。
げんまんとは拳骨を万回浴びせると云うこと。
違反者はとことんまで殴りつけられ、針を呑まされる。
つまり指きりとは、破ったら“殺す”と云う宣言なのだと、昔綾緒に聞かされたことがある。
僕の背筋がぶるりと震えた。
「明日先輩になんて云おう・・・・・」
微笑む少女を見ながら、心でそう呟いた。




投下ここまでです。
◆Z.OmhTbrSo さん、かぶちゃって、ほんとすみませんでした

121 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 11:31:53 ID:Kyvl3Yyc
>>113

こ れ は い い 従 姉 妹 で す ね

122 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 12:01:59 ID:RizCuBjP
なんという投下ラッシュ…
伸びてるレス数を見てわかってしまった
次回も間違いなくwktk

/ ̄\
| ^o^ |  
\_/

123 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 13:27:31 ID:MQGtUOos
久々の投下ラッシュキタ━━(゚∀゚)━━ヨ!!
wktkが止まらない!続き待ってる!

124 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 13:54:26 ID:TZYHGcjC
連続投下キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!

>>112これはいい逆レイプ
かなこさんエロいよかなこさん(*´Д`)ハァハァ
しかし雄志はとことん鈍いんだなあw

>>120期待の新作ktkr!
主人公に付き従っているようで
精神的には逆に支配している綾緒が怖可愛いすぎます((((;゚∀゚))))ガクブルハァハァ

125 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 14:08:36 ID:8ktmJXc0
ラッシュktkr
>>112
かなこ派の俺にはGJすぐるwwwwwww

126 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 16:56:39 ID:9l2rn1S0
従姉妹が怖くて大人しく従う主人公がヘタレすぎて最高w


127 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 19:19:39 ID:VgvFSGjL
>私の名前は一ツ橋朝歌(ひとつばし ともか)。
>茶番の傍にいた――唯の傍観者です。

とてつもなく泥棒猫の匂いがするんだが・・・(もちろん良い意味で)


128 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 21:20:45 ID:w02QeYYF
投下ラッシュキタワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!☆
かなこエロすぎそして従妹かわいすぎどちらもGJ!
でも言葉の端々で独占欲剥き出しの先輩の逆襲に期待wktk!

129 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/04/28(土) 22:43:25 ID:neOGUZgY
ヌォォォォォことのはもほトトギすもGJ!wktkが止まらないぜ!


130 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 00:58:27 ID:Q+fm/rJ9
GJ!実は籠の中も楽しみにしてる…

131 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 03:21:34 ID:Wg/OSgBR
二人とも神GJェ!

ついにかなことやっちゃったぁ。この後の展開が死ぬほど気になる。

キモ従姉妹かぁ・・・・。ツボついてくるなぁ。かなりの期待作

132 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 07:30:52 ID:7S6YU+Zf
キモ従姉妹は人類の英知の結晶です

133 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 14:47:38 ID:MWj5uOeg
どまー

134 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 22:13:43 ID:7S6YU+Zf
能力者かなんかの家系で血を濃くするために近親婚を繰り返す一族。
主人公の(内縁の)妻の座を狙って、キモ姉が、キモ従姉妹が、キモ母が織り成す
ハートフル・ラブ・ヤンデレコメディ。
そして迫り来るは主人公との血縁は他の女よりは薄いもの、能力が高いために
争奪戦に参加が許可されたキモ馴染み(キモはとこ)の彼女。

今、彼女たちの戦いのゴングが鳴り響く!




まで考えて力尽きた。あとは誰か頼みます。
キモ姉は人類の至宝です。キモ従姉妹は人類の英知の結晶です。
キモ母は人類の至高の愛です。キモ馴染みは人類の最終兵器です。
キモはとこは人類の飽くなき探究心です。

なお、キモ妹は不可。

135 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 22:24:06 ID:Vqjtm+cA
丸投げの癖してキモウト禁止はやだーとか何様ですかダボが
あんまりムカつくんであえてキモウトをメインにそれを書いてみたくなりました

136 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 22:25:29 ID:Vqjtm+cA
>>135
「キモウト禁止はやだー」

「キモウトは禁止、やだー」

><;;;

137 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 22:26:55 ID:7S6YU+Zf
>>135
是非お願いします。
キモ妹?好きですがなにか?



キモ妹は人類の…しまった考えてなかったw

138 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 22:46:40 ID:UzZcM/hh
キモ妹は人類の大いなる慈悲です

139 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 23:00:02 ID:C8Zwyxk/
「キモ妹とな?」
「スレを隔てたキモ姉&キモウト小説を書こうスレッドの……」

140 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 23:00:49 ID:cTpZLRRE
>>134
漏れには書けないが、
日日日(ラノベ作家)とかっぽい、
辞書引いても絶対載ってない名前とか能力名(効果?)だけなら出せる。

それだけの愛があるなら書かないか?
あと、

キモウトはオレたちの原点(子宮)

141 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 23:08:17 ID:fegsHe/M
キモ伯母(叔母)は我等の太陽



叔母といえばラブ○なのはるかさんを脳内でヤンデレ化させたことがある
あれは・・・いいものだ

142 名前: ◆WBRXcNtpf. [sage] 投稿日:2007/04/29(日) 23:12:56 ID:TJc4mKAj
ひゃっほー
今日も酔ってる
しかも現在仕事中
だが前回尻切れトンボだったから9章仕上げた。

投下

143 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 23:13:33 ID:TJc4mKAj
いくら耳をふさいでも嬌声は止まなかった。
『ヤメテ!!!!』
と何度願ってもオゾマシイその音は止まなかった。

徐々にその音が真奈美の四肢の感覚を奪っていく。
そのことに気がついたとき真奈美の意識は途切れた。

_____________________________

掛け時計からオルゴールの音が聞こえる。
その音を聞いているうちに真奈美は自分がリビングにいることに気づいた。
おかしい。自分は夕食の準備のためにキッチンにいたはずなのに。
しかもあれから2時間も経っている。

未だぼんやりとした脳でそんなことを考えていると
隣家から女のコエが聞こえてきた。

そのコエで何が起こったのかすべてを思い出す。
だがその口からは先ほどまでの慟哭と違い静かな笑声と呟きが紡ぎだされる。

「ハハハ・・・そっか・・・2年も離れてたからいろいろ溜まってたんだ。そうだよね。男の人だもんしょうが無いよね。」
まるで、そこに夫がいるような口調で真奈美の独白は続いた。
「それに2年ぶりだからさっき会ったときも照れちゃってたんだ。うん、大丈夫。ちゃんとわかってるよ。
でも、いくら会えなくても動物相手に溜まったモノを吐き出すのはちょっと私嫌だな。」

「あ!だけど、それくらいで誠一さんのこと嫌いになったりなんかしないよ。
ううん、帰ってきたときすぐにしてあげられなかった私が悪いんだよネ。」

「安心してすぐに私があなたの溜まった物をだしてあげるネ。もうそんな動物相手にしなくてすむんだよ。」

「ずっと、ずっと繋がっていようね。もう2年も待ったんだよ。これからは朝も夜もずっと繋がっていようね。」

真奈美の目には誠一と自分が睦みあっている姿しか見えていない。
だが、それが自分の妄想だということを真奈美は理解できていなかった。

第9章終

144 名前:夫が隣に住んでいます ◆WBRXcNtpf. [sage] 投稿日:2007/04/29(日) 23:15:55 ID:TJc4mKAj
我が心のアミーゴ達!また酉と題名付け忘れちまったよ。

orz

145 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 23:46:51 ID:RskiJp8g
>>144
つまんない

146 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/29(日) 23:54:07 ID:NgvmZ4dR
>>144このうっかり屋さんめ( ´∀`)σ)∀`)

真奈美さんがいい感じに病んできたようでこれは続きがwktk!

147 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 01:19:12 ID:qbgKt6B3
短すぎ。本当に酔った勢いだな。
投下しようという心意気はスゲーありがたいが、中途半端にされるよりは遅くなってもある程度体裁とかまとまってる方がいい。

148 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 01:40:00 ID:JbQtwbLU
>>144超GJ!・・・なんだけどさぁ、いかんせん量がねぇ・・・もう少しまとめて投下してくれるとネ申なんだけど

149 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 04:05:54 ID:YJRATSRv
>>144
GJ!
最後のあれは襲おうと計画を立ててるんじゃなくて妄想に浸ってるでFA?

しかしこのまま勘違いが続くと、真紀が真奈美さんの勘違いを防ぐため、
健一の顔を焼いて喉を潰す展開もありそうだ。

150 名前: ◆8qoZSp/Vok [sage] 投稿日:2007/04/30(月) 07:17:03 ID:ryOK51sf
もう荒らしがウザイので投下しないわ
また気が向いたら再開する

151 名前: ◆8qoZSp/Vok [sage] 投稿日:2007/04/30(月) 07:18:25 ID:ryOK51sf
誤爆orz
スル(ry


152 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/04/30(月) 08:53:03 ID:mlKqdfsj
ちょwww酔いすぎwww
まぁそういわずに投下して下さいよ。いつでも待ってますよ。

153 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/04/30(月) 11:52:21 ID:pDbxSYOG
agwwwww

154 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 12:07:31 ID:wSQe6mkD
お茶会
ヤンデレ喫茶
上書き
言葉狂魔(ことのはぐるま)

の続きに期待

155 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 12:08:07 ID:qbgKt6B3
うわあ……('A`)

156 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 12:12:49 ID:uKpykXzw
酔っ払いってある意味ヤンデレだなあ

157 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/04/30(月) 12:22:41 ID:nfuYLXxm
つまらないSSだな。

158 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 12:46:50 ID:K+ojM0gH
今度はこっち来たのかよwww

とりあえず、ヤンデレ喫茶の続編が読みたいw

159 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 14:07:06 ID:XyPGalgv
>>120
お面の裏にはもちろん盗聴器が仕掛けてあるんだよね

160 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 14:15:03 ID:uKpykXzw
>>159孔明あらわる

161 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 17:39:05 ID:t3TbvX/p
ヤンデレの病みを上手いこと利用して邪魔な奴とか敵対してる奴を消して来た男
次第にヤンデレをコントロールすることが困難になりいつの間にかヤンデレに操られ始める


みたいな

162 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 17:49:22 ID:qp9l6REf
>>161
似たような(?)パターンで
地味に寡黙に主人に仕えて来た女性秘書が
ある日主人の秘密を知り、それを盾に結婚をせまる……
というのを昔刑事コロンボで見て萌えた

163 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 18:10:23 ID:5tWw4ib2
別れのワインか。

あれはよいものだ。

164 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 18:13:40 ID:qp9l6REf
>>163
(・∀・)人(・∀・)ナカーマ
こんなに早く知ってる人が出てくるとは思わなかったw

165 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/01(火) 00:10:58 ID:mO+hg7Eq
4スレが今も残っている件について

166 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/01(火) 00:15:56 ID:RoBX6GTC
part4は2月25日に往生なされましたよ。
最期まで名無しくんを話さなかったと聞いています。バレンタインを迎えられて、幸せだったでしょう。

167 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/01(火) 01:57:24 ID:j0Xwt7sQ
その後>>166の姿を見たものはいない

168 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/01(火) 21:34:52 ID:TbkOLqhD
おにゃのこがラフファイトしてるのとか。

「ま、参りましたから、謝りますから、
ゆ、許し・・・」
べきいっ、と、かかとで手のひらを踏みつけて
骨とか腱を壊した。
「聞こえなーい聞こえなーいモノゆうときわ
相手の目ぇ見てはきはきはっきり言おうねえ
なんて言ったんいま?」
はひゅ、はひゅと激痛と絶望に満たされながら
トキコ(手ふんづけてるひと)にすがるような目を
向けた。
「---もうっ、逆らいませんッ、なんでも、しますから
許っ」
がぼん、とトキコの靴が沙桐(ふんづけられてるひと)の
口に叩き込まれた。
「うるさいよー大声ださんでも聞こえるよーあたし若いしー」

みたいなん。
あと錠剤ぼりぼり食べるシーンとかが好き。

169 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/01(火) 21:42:07 ID:TbkOLqhD
ミザリーって既出かしらん。キングの。
ファンに監禁されるてしちゅはなかなかのアイデアと思いますが。

戯言シリーズもヤンデレ率高いなあ。
絵本さんとか絵本さんとか絵本さんとか。青いのとか。

170 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/01(火) 21:48:32 ID:ckdthnns
>>169
戯言ヒロインは大部分が病んでるような…

171 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/01(火) 22:32:03 ID:mbseWvph
病んでてもデレてないのが大部分。

172 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/02(水) 00:35:29 ID:diV3gruv
病院坂は俺のもの

173 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/02(水) 01:51:10 ID:mlYGw0wA
夜月はすごくいいキモウトだと思う

174 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/02(水) 01:54:57 ID:D2eZKZC0
>>172
あんな誰とでも寝るビッチより夜月だろ、常識的に考えて・・・

175 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/02(水) 04:54:22 ID:XdSsBxnl
いない君といる誰かは続きないのかな

176 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/02(水) 18:05:40 ID:z2WhYwwJ
まだ続きはあるだろう。いつ再開されるかわからんが。
書き手の人たちはリアルで忙しかったりするんだろうな。



177 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/02(水) 22:04:26 ID:AIfJWyGa
>>168
サンデーGXでそういった感じの格闘少女漫画があったような気がする

178 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/05/03(木) 00:18:04 ID:shH6gAhL
いない君~は自分も待ってる。
つうわけでヤマネ
http://p.pita.st/?wcvso3em

179 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/03(木) 02:20:05 ID:iMDTrJQs
>>178
伊南屋さん、何か獣の匂いがするんだけど・・・気のせいだよね?アハ

180 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/03(木) 05:15:37 ID:A13rkAyY
伊南屋さんGJ。
久しぶりにいない君~分が補給出来たwww

181 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/03(木) 12:32:18 ID:2qB57uPa
伊南屋氏お久&GJ
いない君~もそうだけどいいところで中断している作品が多い
どれも再開をいつまでも待ってるぜ

182 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/03(木) 21:54:38 ID:IWzlZQOz
「お姉ちゃん♪一緒に学校行こう」

朝の通学路。
私はいつもの可愛らしい命の声に笑顔を返した。幼なじみの命が私の腕に抱きついてくる。高校生にしては小さい背とアンバランスに発育した胸…私よりでかいな…
命の胸は私の腕を挟み柔らかな感触を与えてくる

「命~。恥ずかしいんだけど…」
「なんで~?変なゆかりお姉ちゃん♪」

私達は寮から女子校に通っている。一年前、命が入学して来た時は嬉しかったな。けど…

「それともお姉ちゃん…命がうっとおしくなった?」
私が軽い追憶に浸っていたら、気付かない内に命のテンションが『ヤバイ』方向に…

「命ってウザイ?命の事嫌い?」
「な、何言ってるのよ!私は命が一番好きだよ」

私の言葉を聴くと顔を輝かせ命が喜ぶ

「エヘッ、私も世界で一番お姉ちゃんが好き!」

私は気付かれない様に溜め息をつく…
いつから命は『悪魔』に変わってしまったのか…

私の陰鬱な学園生活が今日も始まった…

「おはよう~。ゆい」
「おはようございます。ゆかり王子様♪」

私は教室に着くと親友のゆいに挨拶をした。ゆいは冗談で返しながら私に笑いかける。


183 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/03(木) 22:41:05 ID:eSH92a+y
レズなら注意表記しとけよな。

184 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/03(木) 23:13:02 ID:oPfrUpr5
>>182
「命」って何て読むのかな……?
何にせよGJ!

>「命ってウザイ?命の事嫌い?」

こういう台詞見てると心から癒される。
後、>>183も言ってるが一応百合ものなら次回からは注意表記書いとくべきかと。

ところで百合ものといえば、「しまっちゃうメイドさん」が楽しみで仕方がない。
とりあえず否命は俺の嫁ってことでいいな?

185 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/03(木) 23:24:46 ID:31wySTw0
>>184
「みこと」とか「めい」じゃないか?
個人的には「いのち」でも面白いと思うけど。あとは野郎みたいな読みしかないし。

186 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/04(金) 00:01:22 ID:IWzlZQOz
「我が学園のプリンス…ゆかり王子様…あぁ…いつもながらカッコイイ」

芝居掛った声色でゆいが私をからかう
私の容姿は女の子にしては背の高く、髪も短い、祖父がイギリス人なので私の顔も何処となく北欧の雰囲気を醸しだしている。ついでに胸が全くない…

「別に…私はゆいみたいに可愛い女の子になりたいけど」
「ご冗談を♪学園の女の子を食いたい放題じゃないですか!」

ゆいはオヤジくさい…まぁ数少ない私の理解者だ。

「私はそういう趣味はない!普通に男の人が好きなの」
「昨日も三年に告白されたんだって?相手は誰よ!」
「可憐先輩…」
「うおっ!学園三大美女の一人じゃん!で?」
「断ったよ。当たり前でしょ」

チャイムが鳴ると私達はたわいのない会話を切り上げ勉強の用意をする。
あぁ…神様今日も無事に一日過ごせます様に…


その日の放課後、私のささやかな願いはあっさりと破られた…

「こちらにゆかりさんはいて?」

教室に凛とした声が響く。名前を呼ばれた私は先輩の元へ歩いていく

「あの…ご用は…」
「可憐を振ったそうね。二年の癖に」

187 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/04(金) 00:13:33 ID:JrL6+j8K
すいません…
いちよう病んだ娘ハーレム物です
レズ要素あり
注意遅れました申し訳ない
「みこと」でお願いします

188 名前:ゆかりの憂鬱な日々[sage] 投稿日:2007/05/04(金) 01:14:15 ID:JrL6+j8K
「あの…可憐先輩が怒って来るならまだ、わかるんですけど…」
「なんで関係無い明日香先輩が来るんですか?」

明日香先輩は眉間に皺を寄せ更に激昂する

「わたくしの『可愛い』可憐が恥をかかされたのよ!」
「可哀想な可憐…あんなに泣いて」

…あれ。初めて明日香先輩と話したけど。
この人変だ…

「わたくしは可憐に頼まれて貴方に文句を言いに来たのよ!」

…あれあれ。可憐先輩も考え方変だぞ…何か頭痛くなってきた。

「取りあえず今からわたくしの屋敷に来なさい!わたくしの前で可憐ともう一度話し合うのよ」

「…わかりました。友達に伝えてくるんで少し待って貰えますか?」
「えぇ、よろしくてよ。校門に車が停めてあるから早めに来なさい!」

肩を怒らせながら廊下に戻る先輩。最後に

「逃げたら承知しなくてよ」

教室には、私とゆいだけが残っていた。

「おめでとうゆかり!遂に学園三大美女全員にフラグがたったわね♪」
「めでたくない!はぁ…、なんなのよ…まったく」

「真面目な話、明日香先輩には逆らわない方が良いわよ」
「なにせ、学園長の孫だし『退学だ!』なんてね♪」

189 名前:ゆかりの憂鬱な日々[sage] 投稿日:2007/05/04(金) 01:16:08 ID:JrL6+j8K
ゆいは私に冗談ぽく注意をしてくれた。まぁ、退学はあり得ないが学校生活に支障がでる可能性はある…

「取りあえず行くわ。ゆいまた明日ね…」
「頑張って王子様♪」


私に訪れた不幸…
一年生の命
三年生の可憐と明日香
学園三大『病女』との闘いが始まった…


190 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/04(金) 01:23:54 ID:QAzIONX7

国 語 力

191 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/04(金) 01:29:55 ID:agKcqBaj
>>189は>>3を読むこと

192 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/04(金) 01:37:00 ID:1mE81rLC
>>190
お 前 は 何 が 言 い た い ん だ ?
>>191
187でしっかり注意書きはしてるだろう、お前こそちゃんと読め

>>189
何はともあれ投稿乙、俺は嫌いじゃないぜ?

193 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/04(金) 02:16:52 ID:agKcqBaj
>>192 >>3読んだのか?
■投稿のお約束の項目を声に出して10回くらい読んでみ?

194 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/04(金) 02:33:02 ID:xYJ3JdGD
>>189
美女×3。俺好みのラブコメのにおいがする。主人公がレズ気をもっていないのが面白い要因になりそう。

亀レスだが、>>184。
否命は沙紀の嫁だ(たぶん)。沙紀が拒否した場合は俺の嫁だ。

195 名前:「生き地獄じゃどいつもイカレてやがる」 ◆duFEwmuQ16 [sage] 投稿日:2007/05/04(金) 03:09:54 ID:OHkXmc5V
久しぶりです。投稿します。

196 名前:「生き地獄じゃどいつもイカレてやがる」 ◆duFEwmuQ16 [sage] 投稿日:2007/05/04(金) 03:11:42 ID:OHkXmc5V
『おれはあいつが好きなのに、あいつのふるまいなおらない 
すごいピストル買ってきて、あいつを墓に埋めてやる』 
──リロイ・カー「日の出のブルース」

彫菊自身も女だてらに我慢(刺青)を背に入れている。弁財天女の刺青だ。彫師だからこそ、背負える代物だった。
極道社会において、天女の刺青は不吉なものとされている。
かの『ベラミ事件』において、当時の三代目山口組々長田岡一雄を襲撃した鳴海清もまた、その背に天女の刺青を彫っていた。
鳴海の放った凶弾が首に命中し、致命傷を負ったものの田岡組長は奇跡的に一命を取り留めた。
その後の山口組の報復により、六甲山の山中で鳴海清は惨殺体として発見された。犯人は不明、現在では時効が成立している。
天女の刺青は死の刺青なのだ。それゆえにヤクザの中には天女の刺青を忌避する者も存在する。
頭の芯に疲れが染み込んだ。ウイスキーグラスの氷をカラカラと鳴らし、彫菊が喉に水割りをゆっくりと流し込む。
彫菊はため息をついた。天井に吊るされたシャンデリアが淡いブルーの光りをグラスに注いだ。
アイスピックで氷を砕きながら、マスターが彫菊に尋ねた。しわがれているが温かく深みのある声だ。
「──彫菊さん、なんだか今日はお顔の色が悪いようですね。何かありましたか」
「ちょっと疲れが出てきてしまって。いや、心配をおかけして申し訳ありません」
「疲れが溜まっているんですね。それならもうこのまま家に帰ってお休みになったほうがいい。今日のお代は私のオゴリです」
「いえ、そういうわけには」
彫菊がハンドバックから財布を取り出すのを制して、マスターがにっこりと愛嬌のある笑みを浮かべた。
普段は無愛想だが、こういう時の微笑み方を心得ている。長年、客商売をやって身につけた微笑だ。
微笑むときの間の取り方が実に良いのだ。プロの笑みだった。
「今日は私におごらせてください」
「そうですか。じゃあお言葉に甘えて」
マスターに嫣然と微笑みかけ、軽く頭を下げると彫菊は店を出た。春も終わりだと言うのに風が冷たい。
酔った肌にはその冷たさが心地よかった。
(今頃どうしているのかしら……)
*  *  *  *  *  *
爪を噛んだ。肉ごと爪が千切れた。心臓が破裂せんばかりに激しく暴れまわり、胸壁をめちゃくちゃにぶっ叩く。
脳髄が憤怒に灼熱した。眼球が沸騰した。頭蓋骨をアイスピックで突き刺されたような凄まじい衝撃。

197 名前:「生き地獄じゃどいつもイカレてやがる」 ◆duFEwmuQ16 [sage] 投稿日:2007/05/04(金) 03:13:26 ID:OHkXmc5V
脳みそがショックに激しい勢いでシャッフルする。雪香はどうにかなってしまいそうな頭を両手で押さえた。
青い血管の浮き上がったこめかみが疼き、食道から熱い胃液がこみ上げた。
朧の姿──家中を探した。叫んだ──返事は返ってこなかった。
脈拍が飛び跳ねるように上昇した。寂寥感が頭を打った。濁音混じりに雪香は朧の名前を繰り返し叫んだ。
逆流する胃液が食道を灼いた。黄色みがかった粘つく胃液──口腔内から吐き出した。それでも雪香は叫び続けた。
生酸っぱい異臭が室内に充満し、鼻腔を突き刺す。己の叫び声が脳内で反響した。
瞼の裏に浮かんだ螺旋状の渦が激しい唸りを上げて理性を呑みこんでいった。
「あああああぁぁぁぁッ、どこにいるのォォォ!朧ッッ、朧ッッ!」
叫ばなければ頭がどうにかなってしまいそうだった。拳を握り締めた──指関節がギリギリと軋む。
半狂乱になりながら雪香は壁に頭を叩き付けた。額が裂けた。傷口からこぼれる真っ赤な鮮血が雪香の顔を濡らした。
(なんで……なんで……雪香の前からいなくなっちゃったの……ひどいよ……ひどいよ……)
雪香の双眸が煌々とした光りを放ち始めた。ベッドのシーツをたぐり寄せ、雪香がシーツに染み付いた朧の残り香を嗅ぐ。
(ああ……朧……)
青臭いザーメンの匂いが鼻腔をくすぐった。情事の後には必ず漂う匂いだ。シーツを舐めた。しょっぱい汗の味が舌腹に触れた。
幾分落ち着きを取り戻した雪香は身支度を整えた。朧を探しにいくためだ。台所に飛び込むと鈍色に輝く刺身包丁を引っ掴む。
雪香は眼を細めながら包丁をタオルで包んだ。もし朧に悪い虫がついていたらキチンと駆除をしなければならない。
そして朧が家に戻るのを拒んだらやはり殺してしまい、その場で自分も腹を裂いて死んでしまえば良い。
地面に流れる互いの血が混ざり合い、切り裂かれたふたりの腹腔からこぼれる桜色のハラワタがきつく絡みつくのだ。
永久の愛を誓うかのように。扇状に広がっていく幾条もの血液、鮮やかな臓物の色彩、雪香はビジョンを垣間見た。
鮮血と生暖かい臓腑によって彩られた愛執と死のビジョンを。
嘔吐を催すが如き異様な妄執に憑りつかれ、雪香は全身をブルブルと打ち震わせた。顔全体に恍惚の表情が浮かぶ。
神にかしづき、祈りを捧げる殉教者のように雪香は包丁を胸元に抱いて眼を閉じた。雪香の眦から一筋の涙が頬を伝った。
(死んじゃったら……小さな骨壷に朧と一緒にはいりたいなぁ……)
*  *  *  *  *  *
ひやりとした夜風が頬を横切った。運命的な再会──やっと捜し求めていた少年に出会ったのだ。巴の心が揺れた。

198 名前:「生き地獄じゃどいつもイカレてやがる」 ◆duFEwmuQ16 [sage] 投稿日:2007/05/04(金) 03:15:30 ID:OHkXmc5V
時刻は午前二時三十六分、ここは深夜の新宿中央公園だ。朧の羽織ったトレンチコートが風ではためいた。
声をかけようとした巴の眼に朧の露出した純白の素肌が、突然飛び込んできた。少年はどうやらコート一枚だけのようだ。
この少年は露出狂なのだろうか──巴はいぶかしんだ。
(そういう趣味の持ち主さんなのかな……だけどすごく綺麗な肌をしてるのね)
身頃を過ぎた桜の花びらが地面にぱらりと舞い落ちる。ハッと我を取り戻した巴は雑念を追い払うと朧に駆け寄った。
不思議そうに朧が巴を見やる。あたしの事、忘れちゃったのかな……巴が胸の内で呟いた。
少しだけ悲しかった。気を取り直した巴は朧に笑みを投げかけながら「こんばんわ」と小さな声で挨拶をした。
朧は無言だった。不思議に思いながら巴は朧の視線を追った。警戒するかのようにゆっくりと朧が一歩下がる。
「お前の右手から微かにだが血の匂いがする」
鼻をヒクヒクさせながら朧は巴の右腕を凝視していた。動物並の鋭い嗅覚だ。巴の皮膚が粟立った。
やはりこの少年こそ私の運命の人──常人なら決して嗅げ分けられないはずの血の匂いに反応を見せた朧に
巴は胸中からこみ上げる熱い思いの丈を声を張り上げて打ち明けたくなった。
(駄目よ……そんなはしたない事なんてできない……)
自分の世界にひたり切っている巴を朧はつまらなそうに眺めていた。少なくても相手に敵意が無さそうだ。
朧は空腹だった。何か食べ物が欲しかった。
巴に背を向けて朧が歩き始めようとした瞬間、巴は朧に慌てて声をかけた。朧が振り返る。
「あのッ……三ヶ月前の事を覚えてませんか?あたし、東郷神社であなたに助けてもらったんです」
朧は自分の記憶を手繰り寄せた──記憶の中にあったのは睡眠を妨げた六人の男達に襲い掛かったことくらいだ。
二日ばかりロクなものを口に入れずに過ごしていたので気が立っていた。
空腹を紛らわせる為に寝ていたのだが邪魔された。
頭にきたので男達を血祭りにしてやった。不意に怯える女の姿が脳裏をよぎった。
ああ、そうだ。確かに自分の目の前にいるこの女だ。

199 名前:「生き地獄じゃどいつもイカレてやがる」 ◆duFEwmuQ16 [sage] 投稿日:2007/05/04(金) 03:17:58 ID:OHkXmc5V
「そうだ。いま思い出した。確かお前は男たちに追い掛け回されてた女だ」
「思い出してくれたんですね。そうです。あの時は本当にありがとうございました」
ドギマギしながら礼を述べる少女──白百合のように楚々とした美しい顔立ちの女だが、どことなく気弱そうな印象を受けた。
雰囲気が昔の雪香に似てるなと朧は思った。朧は少女の顔をじっと見つめた。途端に巴が赤面する。巴は奥手だ。
十八歳を過ぎているのに未だにキスすらしたことがなかった。
それは彼女が持つ忌まわしい性癖も理由のひとつであったが、
もうひとつは自意識が邪魔をして好きな異性を意識すると引っ込み思案になってしまうのだ。
それでも今はそんな事を言っている時ではない。
そんな邪魔なものは捨てなければならない。呼吸を落ち着かせようと大きく息を吐いた。
「その……お礼をさせて貰えませんか」
「いらない」
巴の申し出を朧はこともなげに断った。面食らう巴に対して眠たそうに欠伸をしてみせる。
朧は瞼をこすりながら別の場所へと移動しようとした。
「ま、待ってくださいッ」
不意に巴の右手が伸びて朧の左手首を掴んだ。無意識にとった行動だ。掴んでから巴自身も驚いていた。
「離せ」
「いやですッ」
朧が邪慳そうに手を振り払いながら怒鳴った。眉間に皺を寄せて巴を睨む。
「離せッ」
怯むことなく、朧の鋭い眼差しを巴は確然と受け止めた。自分でも信じられなかった。
普段なら小学生にも睨まれれば竦んでしまう自分がこうして平然としていられる事に。
まして相手は複数の暴漢を血反吐を撒き散らすまで徹底的に痛めつけるような獰猛な男だ。
「礼はいらないって言ってるだろうッ、離してくれッ」
間が悪かった。朧は空腹のせいで苛立っていたのだ。腹部が空腹のあまりグウゥッと唸った。巴がキョトンとした顔になる。
「お腹……すいてるんですか?」
朧は頷いた。その仕草があまりにも子供じみていて可笑しい。巴は思わず吹き出してしまった。
「じゃあ、一緒にお食事しませんか。勿論あたしがおごりますから」
この機会を逃してしまえばいままの苦労が水の泡と化してしまう。巴は腹部を引き締めた。
(このチャンス、絶対に逃さないんだから……)

新宿御苑前にある深夜営業のレストラン──当たり前だが客はほとんどいなかった。
水商売風の格好をした女が三人ばかりグループになって雑談をしているだけだ。
日頃の鬱憤を晴らすかのように愚痴を言い合っているのが耳に届いた。ふたりは互いの名前を名乗ると窓際の席に座った。

200 名前:「生き地獄じゃどいつもイカレてやがる」 ◆duFEwmuQ16 [sage] 投稿日:2007/05/04(金) 03:21:26 ID:OHkXmc5V
朧は爪楊枝の先端を前歯で齧りながら食事が運ばれてくるのも待った。腹の虫が騒がしい。
最初は迷ったが飢えには勝てず、また一度は断ったものの巴の懇願に根負けして朧は食事を奢られることにした。
二人用のテーブルの向かいの席に座っている巴が紅茶をすすりながら朧にたずねる。
「朧さんは普段は何をなさってるんですか?」
「フーテン」
「フーテン……ですか?」
「そう。自由人さ。風の吹くまま気の向くままに生きてる」
爪楊枝をへし折ると灰皿に捨てた。笑顔を浮かべたままの巴を見て何がそんなに面白いのかと朧は不思議に思った。
愛想の良さそうなウエイトレスが注文のマルゲリータピザを持ってきてテーブルの上に乗せた。
朧はピザを鷲づかみにすると二つに折って口腔内に突っ込んだ。
口をモゴモゴさせながら必死になってピザを平らげようとする。
力任せにピザを口の中に押し込む朧を一瞥しながら巴は紅茶のおかわりを頼んだ。
「そんなに急いで食べると喉につまっちゃいますよ」
食べる事に集中している朧に巴の言葉は全く届いていなかった。端の部分まで食べ終わると朧は満足そうにゲップを漏らした。
「ごちそうさま」
イスにもたれかかり、朧はグラスの水を飲み干ほした。空になったグラスの中の氷をガリガリと噛み砕く。
「そういえば、その……服を着てないんですか?公園でコートがめくれた時に見えちゃったんですけど」
「コートしか持ってないんだ」
「よろしかったら、着る物を一緒に買いにいきませんか?」
「いらない。それにこの時間に洋服屋が開いてるとは思えない」
先ほどと同様に朧はにべもなく言う。着る物も今のところはコート一枚で充分だった。欠伸をしながら朧は窓際に視線を向けた。
とりつくしまもない朧に巴はどうすればいいのか思案した。思案しても頭には何も浮かばなかった。巴が何気なく朧に訊ねる。
「その……恋人はいらっしゃるんですか?」
「いない」
巴の瞳が輝いた。脈ありと睨んだのだ。恋人がいるかどうかはこの際関係ない。
重要なのはいないと答えた点にある。自然と顔の筋肉がほころんだ。巴は知らなかった。
雪香という朧を心から深く愛する狂人の存在を。
*  *  *  *  *  *
赤、青、緑のまばゆいディスプレイの光が雪香の瞳の奥で反射した。雪香は唇の端を歪めた。凄艶だった。凄艶であり悲愴な顔貌だった。