※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

401 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 14:25:47 ID:gL3bF02I
余計なお節介かもしれないが追記しておくと、作品群は修羅場スレのまとめの方にある。

402 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 15:37:03 ID:LadU2mXx
誤爆した…orz 俺気付くの遅い。

403 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 17:33:24 ID:8gqX2426
>>402
同士よ
こっちでも全裸で待とうじゃないか
作者様、頑張って!(*´д`*)
>>392
俺も期待してます!!

404 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 18:38:27 ID:cwnFHhec
すばらしいヤンデレでてくるアニメ教えてくれないか?

405 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 18:51:27 ID:PxeU0W73
ググレ

406 名前:リッサ[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 19:14:14 ID:6I9RMany
こんばんは、まだこのSSスレを発見して二日目ですが、初めてながらもヤンデレSS投稿します。
乱文長文ご容赦ください
「ヴァギナ・デンタータ ①時坂 歩」

タタタタタ…深夜、昼間の喧騒とは打って変わり今はもうすっかり一通りの少なくなった
街外の路地を、僕はわき目も降らずに走っていた。
…何故かって?それは勿論僕が「奴ら」に追われてるからさ…冬の寒い中で、だらだらと
汗をかきながら急いで走り出す僕の背後には巨大な化け物が迫ってくる…姿は蜘蛛によく
似ているがその全長は六尺近く、鋼のように黒光りする足とぎらぎら光る目玉が印象的な
生き物だ…やつらの目的はただひとつ、人間を食らうことだ…どてん!!と、慌てて走りす
ぎたせいか、地面に足を取られた僕は大きく転んだ。
「ヴシャアアアア!!」…蜘蛛形の化け物は奇妙な声を上げ、強酸性の涎を垂らしながら僕に
迫ってくる…最近はやりの伝奇ものならばここで刀でも持った小柄な少女が助けにくるんだろう
けど…僕の場合、実はそんな「少女」…後に説明する、まあ僕の知り合いなのだが…に助けを
求める前にまだやるべきことがあったりするのだ。
「ギシャアア!!」…かちん、バララララララララ!!!!。
グギャアアアアア…蜘蛛の化け物は絶叫を上げる。無理もない、僕が懐のホルスターに携帯し
ておいたサブマシンガン…TEC9のフルバーストを見事に顔面に食らったからだ。使用弾である
9ミリゴールデンセイバー弾の威力は伊達ではなく、見事に蜘蛛の化け物の眼球および口の部
分の装甲を吹き飛ばした。
「まだまだああああああ!!!」ババババババババババババ!!!!!…昆虫タイプの弱点は
関節の付け根がもろいことだ、目を潰されて暴れまわる蜘蛛の化け物の顔面周辺及び足の付け根
に容赦なくフルバーストで弾丸を叩き込んでいく。がちん!とTEC9が最後の弾丸を吐き出してホ
ールドオープンするのと同時に、蜘蛛形の化け物の足の一本が吹っ飛んだ…よし、このぐらいで
いいだろう。
「月乃、後は頼んだよ!!!」
僕がそう叫ぶと同時に、路地に面した三階建て雑居ビルの屋上から…「彼女」…月乃鞠は
一気に飛び降りた!

407 名前:リッサ[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 19:18:55 ID:6I9RMany
「ヴァギナ・デンタータ ①時坂 歩」
黒いセーラー服と、それにまとわり付いたように伸びる黒髪、さらに切れ
長の蒼い瞳が印象的な彼女が上空から飛び降りてくる姿は、ある意味とてもシュールだった。
「ギシャアアアア!」…涎をたらしながらなりふり構わず暴れまわる蜘蛛形の化け物の頭上
に彼女が接近したとき、月野の腰の部分から…ズブリ!という音とともに、まるでアバラ骨の
ように並ぶ牙が生え始めた、牙が一気に伸びると同時に彼女の体はそれこそアジの開きの
ように真っ二つに割れ始め、まるで口だけが空に浮いているような…そんな形容しがたい姿
になった。ばくっ!バリ!グチャ!グチャア!!グシャアアア!!!・・・鞠が変形した巨大な口
は一気に蜘蛛を飲み込むと租借した、時折むなしく蜘蛛が叫び声をあげるが、じきにそれも収ま
るだろう…。
懸命な方ならもうお気づきだろう、僕こと時坂 歩は彼女…月乃鞠の戦いをサポートする、いわば
おとり件罠として、ここ半年ほど彼女とともに化け物…エスという名前らしい…と日夜戦っていたのだ…。
どさ、という音とともに、口から人間に戻った彼女が地面に落下する、もともとエスと人間のハーフ
という生まれで、生まれたときからあの口に変身する力を授かって、日夜一人戦っていた彼女だが、
何故か変身直後にはこうして顔から地面に落下してしまう癖を持っている…日によっては受け止めて
あげているのだが、いかんせん今日は相手が相手なので、強酸性の体液を食らったらたまったもので
はないので非難していたのだ…いそいで彼女を抱き上げると、頭を打っていないか確認して、顔をウエ
ットティッシュで拭いてあげることにした…真っ赤に顔を染めた彼女の目は涙ぐんでいた。
「大丈夫かい?月乃?怪我とかは?」「…うん、平気…それより歩の方こそ大丈夫?指とか溶けてない?」
透き通るような声、それでいて今にも泣き出しそうな声を上げながら鞠は僕のほうを見た。
大丈夫だよ、という合図をこめながら軽く彼女の背中をぽん、とたたくと彼女は笑顔になった。
「…ごめんねいつも」 「気にしないでよ、僕が好きでやってるんだから」


408 名前:リッサ:6I9RMany[] 投稿日:2007/07/22(日) 19:21:25 ID:6I9RMany
「ヴァギナ・デンタータ ①時坂 歩」
もともとこの力を持っていたせいで、小さいころから戦いの連続だった月乃は異常なまでに自分
以外の人間が傷つくのを恐れて、自分から心を閉ざしてばかりだった…そうだ、初めて会ったときも
服をボロボロにして血まみれになりながら敵と戦っていたっけ…でも、だからって彼女が傷つきながら
戦うのを眺めているだけなのははおかしい、そう思って僕は銃を手にして彼女を手助けすることをあの
日誓ったんだ…。
「お疲れ様、月乃…そういえば今日はもう遅いし何か食べてから帰ろうか」「…私今…あれを食べたか
ら…」ぐるるるるるううう~…。
月乃のお腹からかわいい音がした、まああの口の状態で食べたからといってそれが栄養ってことに
はならないのだろう…顔を真っ赤にしておなかを押さえた月乃に僕は笑顔で話しかけた。
「そういうなって、この先の屋台のラーメンがすごくうまいから、なんだったらおごりでもいいんだよ?」
月乃はうつむいたまま、顔をこくん、と揺らした。僕は、じゃあいこうか、といって後ろを向く。その瞬間
学生服の服の袖をくいっと引っ張られた。
「いつも…ありがとう…」「…気にするなって…仲間じゃないか?」 
月乃の顔はうつむいてはいるが、その顔はとても嬉しそうだった。
今までなかなか笑ってくれなかった彼女が、ここ最近になってようやく笑えるようになって来たのが僕に
はうれしくて仕方なかった…出来ることならその笑顔をずっと守ってあげたい、そのためなら何をしても
いいと僕は、この日心のそこからそう思った。


409 名前:リッサ:6I9RMany[] 投稿日:2007/07/22(日) 19:24:25 ID:6I9RMany
「ヴァギナ・デンタータ②月乃 鞠」
「月乃ってさあ…告白とかされたことある?」
昼休み、ここ最近習慣になっていた彼…時坂くんとの屋上での昼食中、彼は私の作ったお弁当を
食べながらとんでもないことを言い出した。
「わ…私は…その…」
答えられるはずはない、本当なら今日ここで私は彼に告白をするはずだったのだ…好きです
付き合ってください…と…彼のそんな問いを聞くだけで、自分の心が見透かされているような…
そんな気がして…顔が赤くなって、声が出なくなって…とにかく心がたまらなくなる。
「実は今日さ…後輩の小野さんに告白されちゃって…」
途端、私は手に持った自家製小豆蒸しパンを地面に落とす、その女の事なら知っている…たしか
よく彼の周りにまとわりついている女の名前だ…どうしよう、あの子は見た目はかわいいし、それに
話だってうまい、友達だってたくさんいて…そう、私がないものをすべて持っている…ダメだ、ダメだ
ダメだダメだ、彼はこのままでは絶対に彼女を選んでしまうに違いない、どうせ私なんか友達もいな
ければ綺麗でもない、それに話だって…ああどうする?どうするどうするどうすれば…。
「あ、月乃、そのリボンつけてくれたんだ」
彼は急に笑顔になった、そうだ、このリボンは彼が「そんなに髪が長いと邪魔だろう?」といって買って
くれたものだ…本当は汚れるから普段はつけたくないのだが…でも、今日は言わなければならない、
そう…私は彼が…彼が大好きで・・・。
「歩…その、私…歩のことが…す-」
「先輩ー!委員会の時間ですよぉ!!早く行きましょう!」「あ!ごめんゴメン!じゃあね月乃、また
放課後!」
いきなり小野とか言う子が歩を連れて行ってしまった…私はただ一人、そのまま屋上に取り残さ
れる…目からは涙があふれ出ていた。


410 名前:リッサ:6I9RMany[] 投稿日:2007/07/22(日) 19:25:39 ID:6I9RMany
ヴァギナ・デンタータ②月乃 鞠」
もう駄目なのかもしれない、そうとしか考えられなかった…残りの昼休みの時間はおろか、授業中
でさえ私の思考はマイナスな思いでいっぱいだった…クラスの違う彼から送られてきたメールのはこ
うかいてあったのだ…「少し見回りの集合に遅れます」と…確かに彼はクラス委員だからいそがしいの
だろうし、今日は曜日的にエスはものすごく出現しづらい日だ…でも、それでも、たとえそんなことは今
まで何度かあったとしても…おかしいとしか思えない、だって、だって彼は…。
急に頭の中に想像が浮かびあがる、あの女と手をつないで遊ぶ彼の姿が…そうだ、あの女だ、あの
女が悪いのだ…あの女が彼を…空想は急転直下する、彼はあの女を家に連れ込み、そしてその清純
な唇をあの汚らしいメス犬の唇に近づけて…。
「うあああああああああああああああああ!!!!」
だめだだめだ信用できない、きっと彼は裏切る、だって私は化け物だもの!きっともう愛想が尽きたんだ!だめだもう飽きられたそう父さんや母さんのようにきっと私を捨てる気なんだもうだめだきっと愛して
くれないみんなで私を笑いものにする気だもうそんなのは嫌だ一人は嫌だうああああああああああ…
叫ぶだけ叫ぶと私の意識はそのままどこかに吹っ飛んだ、目の前がブラックアウトする…。
…そうだ、それなら、あの女が消えればいいんだ、きっと彼は苦しむだろうけど私を見てくれるはずだ
…そのときは私が彼にされたように彼を癒してあげればいいんだ…そうだそうだ、事故に見せかければ
何も問題はないはずだ…ははは、あはははははははははは。
そのとき月乃の本能が直感した、エスが一体郊外に発生したと。


411 名前:リッサ:6I9RMany[] 投稿日:2007/07/22(日) 19:27:08 ID:6I9RMany
「ヴァギナ・デンタータ③ そして二人」
「エスが現れた、蜘蛛形タイプが1匹、郊外をうろついている、急ぐから逃げて」
小野さんとともに生徒会の買出しにいった帰り道、歩の携帯電話に月乃から打ち込まれたメールにはそ
んなことが書いてあった。しかしそんなことはどうでもいい…何しろ歩は今その蜘蛛から逃げ惑う最中で
急いで裏路地に入ったところなのだ。
「ああもうどうしよう…小野さん!とにかくそこのビルの中に入って!!」
「うあああ!!!は、はいい~」
歩は小野の肩をつかむと叫んだ、そしてその背中を押す、蜘蛛タイプは跳躍力が低い上にパワーも弱い
のでビルなどには登ることができないのだ…ビルの階段を駆け上がった小野さんの背中を見送るとすぐ
に、歩は正面を向いてテック9と、ノズル取り付け式の榴弾砲を構えた…月の画くるまでのじかんは分
からないが、これだけの装備があれば、ある程度まで倒すことは可能だろう。
「ぎゃああああああああああ!!!!」
「小野さん!」歩が反応する、今のは小野の悲鳴だ、急いで雑居ビルの入り口に駆けつけると…そこ
には数秒前まで小野さんだった肉の破片と…血液が散らばっていた。そしてその正面には…花の形を
したエスが…中心部分に取り付いた仮面のような顔を真っ赤にして…小野さんの足をクチャクチャ音を
立てながら租借していた。
「う…あああああああああああああああああああああ!!!!」「ヒュー…ドガアアアアアアアン!!!!」
何がなんだかわからない、何でここにエスが?月乃はた鹿に一匹だって言っていたのに?そう混乱し
ながらも敵を倒さなければと歩は榴弾を発射した、爆風で一気に自分も後方に吹っ飛んだが構うこと
ではない、急いで受身を取って…ざしゅ!。
小気味いい音とともに歩の左手が何者かによって斬り取られた、目の前には蜘蛛形のエスがいる
…そう、蜘蛛方のエスのことをすっかり忘れていたのだ


412 名前:リッサ:6I9RMany[] 投稿日:2007/07/22(日) 19:30:45 ID:6I9RMany
「あああああああああああ!!!!!!」バララララララララララララララララ!!!!!
歩は泣き出しそうになりながらも蜘蛛型のエスの顔面にTEC9の弾丸をぶちまけた、玉が切れると
すぐにTEC9を蜘蛛の顔面に放り投げて、さらに腰のホルスターから取り出したバイジェスターモリナ
の引き金を引いた、片手の分グルービングは狂ったが、蜘蛛の片目をつぶすことには成功した…こう
なれば後はとにかく逃げて…。
ずるり、と歩は足を滑らせた、いや違う、靴が…いや足のひらが…蜘蛛の体液で溶けてしまったの
だ…。
「うわあ、うえあああ!あああああ!」
どうしようもない状態、それでも歩はあきらめまいと腰元に忍ばせてあった手斧を引き抜いたとき…
ばくん!!と、蜘蛛が、例の口によって食われてしまった…今日は租借することなく、蜘蛛は一気に
ごくり、と飲み込まれる。
「月乃…」
そう呼ばれた彼女は、姿を巨大な口から人間の姿に戻すと、いつものようにこけることなく地面から
着地した…。
その顔は、戦慄を覚えるほどに、まがまがしく笑っていた…。
「…あはは、かわいそうな歩、でも仕方ないよね、あの娘にだまされてこうなっちゃったんだから…
でももう大丈夫だよ、あのわるいこはおはなのえすがたべちゃったから、…でもそのえすはわたしがた
べたから、もうあゆむはわたしがまもってあげるんだから、てがなくてもあしがなくてもいいんだよ、わた
しはあゆむがそばにいてくれれば、あははははは・・・」 
ぼろぼろと涙を流しながら、それでも笑って語りかけてくる月乃…歩は月乃の行動の理由を、ようやく理
解した。
「あははははは、そうだ、今度はあたしがもっとあゆむをたすけてあげる、きょうからわたしといっしょに
すめばいいんだ、しんぱいはいらないよあゆむ、ごはんのせわもといれのせわもわたしがしてあげる
からね、もうずっとずっと…」
「…ごめんね月乃、僕が…あんなことしたから・・・」「……」
月乃の口から笑い声が消えた、歩はかすれた声で話しかける。
「本当は今日、君に告白する予定だったんだ…大好きだ、って…でも君はいつも押し黙っていて、気
持ちがよくわからないから…君の気持ちを確かめたくて…小野さんに協力してもらってカマを掛けた
つもりが…生徒会の呼び出しが入って…本当にごめん、僕が軽率なことをするから・・・」
「それじゃあ…うそ…うそお!!わたしは!勘違いで…うあああああああああああああああああああ
あああ!!!!ごめんなさい!ごめんなさい!ああああああああ!!!!!」
月乃は大声を上げて泣き出した、それこそ子供のようにわあわあ泣いて僕に謝った…でももう、薄れ
る意識では、その顔も薄暗くてよく見えなかった。
「ゴメン鞠…もう、守ってあげられそうにもない…」


413 名前:リッサ:6I9RMany[] 投稿日:2007/07/22(日) 19:31:47 ID:6I9RMany
「ヴァギナ・デンタータ③ そして二人」
明らかな出血多量と蜘蛛の毒の効果か、僕の意識は薄れて、呼吸も荒くなっていった…それでも
彼女の想いに答えるべく、僕は彼女の名前を呼んだ。
「いやあ!歩くん!!!もう一人はいやなのお!!!」
「だったら…そうだな…僕を、食べるとかは、どう?…」「へ?」
「あの口の状態で人を食べるとどうなるのかは知らないけど…食べるほど君がパワーアップしてるって
ことは…きっと、君と一緒に戦えるって事だと思うんだ…」「…そんなあ…」
自分でも何言ってるのかよくわからないけど、それでも必死に思いついた、彼女の力になれる決断を
…彼女は僕の目が見えなくなるころにようやく了承した。
「じゃあ最後に…」「…すうう…」
呼吸が寝息に近くなり、意識がなくなりそうになる瞬間に彼女は僕にキスをした、そしてそのまま、
僕は彼女に飲み込まれていった、暖かくてやわらかい彼女の内部で、租借されて、自分という固体と
意識をうしなっていく感覚は甘美で…僕は意識を失った…。
「これで…ずうっといっしょだね、歩…ふふふ、あははははははは…」
月乃鞠は滅茶苦茶になった路地裏で一人涙を流し、ひざをついて笑っていた。

それから二日後、月乃はエス狩りに復帰した、でももう一人での戦いではない、歩も一緒なのだ。
「歩!!」月乃が口を開くと同時に、口の中心から飛び出た歩の手が、TEC9の弾丸を放つ。
「…ありがとう…歩」
そういって、怯んだエスを月のは一気に飲み込んだ、租借を終えてもとの姿に戻ると、ぽん、と肩
を押されて様な気がした、きっと歩が背中をおしてくれたんだろう、何せ月乃と歩は心も体ももう一
緒になれたのだから…。
「もう、これで一緒にいられるんだ…永遠に」
月乃の顔は、誰もが見たことがないくらいに幸せそうなものだった。                                   FIN


414 名前:リッサ:6I9RMany[] 投稿日:2007/07/22(日) 19:32:56 ID:6I9RMany
以上です、長文乱文失礼しました。

415 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 19:45:58 ID:4djX/A6J
>>414
新しいパターンがGJ!

416 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/22(日) 20:38:49 ID:QvlYH/2a
つづいて投下させていただきます。

417 名前:真夜中のよづり7 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/22(日) 20:40:14 ID:QvlYH/2a
よづりに絡まれながらも家から飛び出し、喫茶店にも寄りつつ……ようやく俺たちは我が織姫高校の校門の前へとやってきたわけだ。
時刻は午前12時過ぎ。もはや昼じゃねぇか。ふらふらと外の世界であっちへ行きこっちへ行きする榛原よづり二十八歳元引きこもり高校生を連れた登下校は三時間近くもかかってしまっていたわけだ。
明日からこいつと一緒に登校するときは確実に朝3時起きか? 朝のニュースキャスターじゃないんだからそんなの無理だっての。
「ほら、よづり。見てみろ。俺たちの学校だぞ」
「……そうだっけ?」
覚えてねぇのか。
俺の背中に隠れるように体をちぢこめてよづりは大きな校舎を眺めていた。生徒数三百人が勤勉に励む高校をまるで何かを恐れているように見ている。
なにを思ってるいるんだろう。
「よし、いくぞ。よづり」
「……」
俺がよづりに発破をかけて、俺の背の後ろから前へと進める。よづりは不安げに目を細めると、しぶしぶながらも自分の足で校門をくぐった。
昼休みだからか、グラウンドでは体操ズボンにジャージ姿の男子生徒たちがサッカーボールを蹴りあっている。足を使って地面に落とさないように相手に向かってボールを蹴り上げている。どうやら蹴鞠をやっているみたいだった。平安時代かよ。
まぁ、あの遊びは結構シビアみたいだから盛り上がりそうだけど。
グラウンドの隅では同じようにジャージ姿の女子生徒が木陰で集まって話でもしていた。
なんだか、遅刻して来るっていうのはむずがゆい。あの女子生徒たちがこっちを見ているような気がしてならない。
「ねぇ、かずくん。あの子たち……私たちを見てるのかな?」
歩きながらも、俺の背中に隠れながら進むよづりが不安げに聞いてくる。
「見てないよ。この学校で遅刻して来るヤツなんてザラだ。みんな気にかけてない」
そう言う俺だったが、あんまり確証は無い。あの女子生徒達だって遠くにいるんだ。何話てるとか、どこを見ているとか、正直わからん。でも、ほとんど気にしてないはずだ。そんなもの。
俺ら二人はグラウンドの横を通り過ぎて、昇降口に入る。昇降口には数人の生徒たちが居た。昇降口横にある自販機(紙コップのヤツ)でジュースを持ってダベっている。
「……今度は見られてるよね?」
「気にするなよ」
グラウンドの奴らとは違い、今度は確実に見られていた。
視線の先は間違いなくよづりだろう。見慣れない大人(二十八歳)が制服を着ていておどおどしながら俺の後ろに隠れているのだ。
まぁ、そりゃあ。気になるよな。いぶかしげに見ちゃうな。
「見られてるよ……かずくん……」
「大丈夫だ。いいから気にするな。教室へ行くぞ」
しかし、生徒達はすぐんび興味を失ったようで、また視線をお互いに戻した。
「ほら、大丈夫だろ? 誰もお前のことを気にしてないよ」
「……うん」
よづりは自分のことを引きこもりと言っていた。劣等感を強く持っているからか、どうも他人の目に敏感に反応しているようでビクビクと体を震わせている。
元引きこもりには酷だったか? いや、そんなことは無い。人は常に誰かから見られているものなんだから、これぐらい耐えられないと。
教室へ行けば嫌でも沢山の注目を浴びることになるんだから。
「よづり。俺の後ろばかりに隠れてないで、前へ出てこいよ」
「………いや」
「じゃあ、横に並べ。いつまでも後ろにいちゃダメだ」
「……うん。わかった。かずくんと一緒なら……平気」
そう呟いて。俺の横によづりが並んだ。二人揃って廊下を歩く。
廊下には多くの生徒が居た。みんな、いきなり俺と連れ立って歩く制服姿の大人に驚いたように奇異の視線を向けていた。
「……」
無言でよづりが俺の腕を握ってくる。まるで逃げたい、逃げたいと言いたげに弱い力で引っ張る。
「安心しろって。いまはただ珍しいだけで見てるんだ。すぐに誰も見なくなるよ」
そのとおりだった。生徒達は昇降口の奴らと同じく、一度だけ俺達のほうを見ただけだった。
それにしても。どうしてよづりはこんなに皆の視線を気にしてるんだろう? そんなことを考えながらも、よづりに腕を掴まれたままだというこの状態にも少し焦っていた。
俺ら、めっちゃ恋人みたいに見えてんじゃねーか? 急に顔が熱くなった。
「……えへへ」
そんなとき。ふと、隣にいたよづりが笑う。俺はびっくりしてよづりを見た。流れるような黒髪が顔の三分の一ほどを隠しているが、彼女の口元は嬉しげに緩められ、目元には笑い皺がとほっそりと寄っている。
どうしたんだ?


418 名前:真夜中のよづり7 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/22(日) 20:41:37 ID:QvlYH/2a
「かずくんの言うとおり、みんな、そんなに気にしてないんだね……。大丈夫……これなら大丈夫だよ……」
「そうか」
「うん……。あたしの制服姿って……変じゃないんだね」
……こいつ、もしかしてそこが一番怖くておびえていたのか? てっきり、学校や視線自体にトラウマがあったのかと思ったじゃねぇかよ!
まぁ、実際はちょっと浮いてるんだけど……。よづりが気にしないんだったらいいか。気にしすぎることは心身によくないとか言うしな。
「ここを上がって、すぐ傍にあるのが俺らの教室だ」
「本当に?」
なんで疑り深げなんだよ。
「ああ」
「じゃあ、そこへ行けばゴールだね……」
……いや、そこで俺にとってはそこからがスタートなんだけどな。
と、そのとき。
「あ! 森本くん!」
高いアニメ声で上から名前を呼ばれた。見ると、階段の踊り場から一人の少女が顔を出していた。少女は俺の姿を見つけるとぴょーんと階段からポニーテールを揺らして降りてくる。
ぱたぱたというイクラちゃんが歩くような足音が似合う、少女。いや、少女っていっても俺と同級生なんだけどな。ただ、身長139センチ(本人は140と言い張っている)で、くりくりな童顔。
ちっちゃな鼻とつぼみのような受け口でそこから発せられるのは新人声優が演じる子役のようなほど高くて響くアニメ声。
俺が今日の朝になでなでした、藤咲ねねこ(あだ名:ロリ姉)だった。
「どうしたのー? 朝いたと思ったら、教室には居なかったし……えいっ」
ねねこは能天気に言いながら、最後は階段を三つ飛ばしで飛んで下りた。
「と、ととっとっ、あいたっ」
着地を微妙に失敗した。しかし、そんなことは無理矢理おくびにも出さないで(若干痛がっている)ねねこは言葉を続けた。
「サボり? いいなぁー。あたしも一回サボってみたいよ。みんなやめろって言うんだけど……おりょ?」
くりくりとしたどんぐり眼を凝らせて、ねねこはよづりの存在に気付く。
「お、お、お?」
「………」
よづりも、突然現れた高校生とは思えない少女の存在に口をぽっかりとあけていた。
ねねこはふにゅと頭を傾かせて、しばらく考える。自分の記憶の中によづりが居たかどうか探しているらしい。ねねこの頭がかりかりと動き、ハードディスク上を検索している。
ただ、空稲恒が言うにはねねこの頭はウィンドウズMeぐらいの性能らしいのだが……。ま、まさかフリーズすることは無いだろ。
「むぅー……」
眉毛が八の字に傾く。まぁ、見つからないだろうな。
「えっと……、誰でしたっけ?」
「……」
よづりは相変わらず無言だ。無言のまま長く垂れた髪の毛の間からねねこを見つめる。しかし、見つめる時間は連続で2秒ほど、見つめるがねねこの戸惑う視線にすぐに目を逸らす。
「……えと……」
「………ん」
じぃー。
お前ら二人とも助けて欲しそうに俺のほうを見るなよ……。
「えーっと、ロリ姉。こいつはうちのクラスメイトの榛原よづりだ。今日から登校することになったんだよ。そして、よづり。この子はうちのクラスの女子の藤咲ねねこだ」
ロリ姉はふむふむと頷く。よづりは聞いているのか聞いてないのかわからないが、よく見れば同じように納得したように頷いているので多分聞いてるのだろう。まぁ、表情は相変わらず暗いからわかりにくいが。
しかし、ここでねねこに出会えたのは幸運かもしれない。
「へぇー、そうなんだ。はじめまして!」
すぐに無邪気な顔になってねねこは笑うと、よづりに手を出した。
「は、はじめまして……」
俺のときとはうってかわって、よづりは弱々しげにその手をとった。二人の間で軽い握手が交わされる。
ねねこは誰とでも仲良くできる(可愛がられる)うちのクラスのアイドル(というか愛玩動物か?)的存在だ。個性的なやつが多い、うちのクラスでは(ナリは個性的ながらも)かなり人畜無害な部類に入る。
……クラスメイトの中には常に木刀をもってるヤツとか居るしな。
元引きこもり二十八歳高校生でなおかつ暗く内気でかんしゃくもちというかなり萌え要素としてもかなり特殊な部類に入るよづりが、一番クラスに溶け込めやすくなるのはねねこと仲良くできることなのだ。
うちのクラスの友人相関構成はそこまで単純ではない。しかし、ねねこに関してだけは恋愛ゲームの主人公のようにすべてのクラスメイトと同じぐらいの友情度で通じている。
図にしてみれば、くもの巣の中心にねねこの顔を置いてその周りにクラスメイトの顔を乗せてみればわかりやすいかもしれない。


419 名前:真夜中のよづり7 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/22(日) 20:42:49 ID:QvlYH/2a
まぁ、いろいろ込み入っている、砕けて言うとねねこに認められれば自然と友達の輪も広がっていくということだ。
だから俺は偶然起きたこの邂逅を心の中でめちゃくちゃ喜んでいた。
俺が大粋な幸運を噛みしめているそのすぐ横でねねこは楽しそうによづりに話しかけている。
「なになに、転校生なの?」
「……違い…ます」
「ふーん、まいいや。今日から登校するんだよねっ。同じクラスなの?」
「同じクラスだよ」
俺がよづりの代わりに答える。ねねこはよづりのことを転校生と思ってるみたいだが、こいつは不登校なのでクラスは一緒だ。だいいち同じクラスじゃなかったら俺もよづりと逢うことはなかったな。
「そっかぁ。じゃあクラスメイトが一人増えるねっ」
枠は増えてないんだけどな。

「……ねっ」

「え?」
「………」
今なんて言った?
「ん、どしたの?」
ねねこが俺のほうを見上げて首をかしげる。
「……」
俺の視線に、よづりはぷいとそっぽを向く。
……たぶん、だが。今よづりはねねこのセリフを少しだけ真似ていた。ねねこの語尾が上がる特徴的な喋りかたを口から発したのだ。それもどことなく楽しげに……。
「そうだ。榛原さん、今日がこの学校初めてよねっ。あたしが案内してあげる!」
ねねこはよづりの手を取って、向日葵のような笑顔で笑いながら引っ張っる。
「お、おいおい。ねねこ」
「あたしねっ。転校生に校舎を案内する役、一度やってみたかったの! ねぇ、あたしに榛原さんを案内させて!」
話を自分で進めていくなよ。あとねねこ、お化けの噂があるからって通らないから開かずの茶道室は案内できないだろ。
「い……いや………」
よづりは抵抗するが。
「いいからいいから!」
ねねこはそれを遠慮していると勘違いして、無理矢理引っ張っる。
そんな、ねねこの天真爛漫な笑顔によづりも毒気を抜かれたのか、徐々に抗う様子も抜けていき。
「う、うん……」
少しづつ、よづりはねねこに手を繋がれ、俺の傍から離れていく。
さすがだ、藤咲ねねこ。その笑顔はよづりの心を覆った鎧を浄化していく程だ。浄化って言葉の響き、なんか恥ずかしいがな。
というか、委員長。コレだったらよづりを迎えに行く役は俺じゃなくてねねこに行かせればよかったんじゃねぇか?
「まず、あたしたちの教室から案内してあげるね!」
ねねこがよづりの手を引いて階段を昇る。連れられながら、よづりは不安げに俺の顔を見るが……。
「よづり。いってこいっ」
「う……うんっ。えへっ……」
俺の言葉に、よづりははにかんで笑う。そして、ねねこの手をしっかりと掴んだ。
まるで、自分の育てが娘が嫁に行くような感覚がする。寂しいとかそういう感じかな。よづりと出会って数日しか経ってないけどさ。
いや、でもこれでいいんだ。
俺の目的はよづりをちゃんとした人間に治してやることだ。そんな、寂しいとかいった感傷で俺が我侭を言ってはいけない。
心を開かせるのは俺より適任が居たということ。ただそういうことだ。

「ねねこ! よづりをちゃんと案内してやってくれよ!」
俺は階段を昇っていくねねこに大きく声をかけた。
「うんっ! がんばるねっ!」
ねねこはいつもと変わらない笑顔でこっちを向いて返事をする。
そう、いつもとかわらない笑顔で。
いつもとかわらず。

ずり。

「あ」

よそ見しながら階段を駆け上がっていたせいか。足を踏み外したのだった。
「きゃあっ!」
「……あんっ」
犬が右向きゃ尾は左。ねねこが足をすべらしゃ、手をつないでいたよづりもこける。

420 名前:真夜中のよづり7 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/22(日) 20:44:12 ID:QvlYH/2a
どがらっしゃん!!

ねねこはよづりを道連れに階段を転げ落ちたのだった。

「お、おいっ!」
一番下まで、転げ落ちた二人。
落ちたねねことよづりの二人は天地がひっくり返っていた。
本来足のあるところに頭があり、頭のあるところに足。
体育の授業で前転しているときとまったく同じ格好で、よづりとねねこは俺の前できゅぅと伸びていた。
で、体育と違ってこいつら二人は体操服ではなく制服を着ていたわけなので……。
「……げ」
二人のスカートがめくれあがっていた。
俺の目の前には二つの白い布が晒されてしまっていた。
一つは色気もへったくれもない、ねねこのお子ちゃま的なしろおぱんつ(防御力2)。
そして、もうひとつは……。
「……毛糸…?」
よづりがはいていたのは本気で色気のかけらも感じられない、毛糸のパンツであった。
毛糸パンツ。
毛糸で編んだパンツ。
氷攻撃耐性は20%ぐらいだろうか?
氷の精霊フェンリルと闘う時には是非事前に買って装備しておきたいシロモノだな……って。
でんぐり返ししたままで意識を回復させ、自分がどんな状態か自覚したらしいよづりと、視線が交錯した。

「うわわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああん!!」

よづりは俺の視線が自分のぱんつに言ったことが気づくや否や、顔を真っ赤に染めて立ち上がると、叫び声を上げながら走り出す!
「よ、よづり!!」
よづりは俺の横を通り過ぎ、廊下を奥に向かって走り去ってゆく。
「まて、よづり!」
「うわぁぁぁああああん!!」
クラスメイトの空稲恒の言葉を思い出した。恒曰く「ロリ姉は人畜無害だけど、たまにどでかい爆弾を落とすから注意にゃ!」と。
ああ、今なら恒の言ってることがわかるっ。ねねこめ、こんな所でドジなんて起こすな! ドジなら人の迷惑にならない形でやってくれ!!
俺は、よづりと同じようにパンツを晒してのびているねねこを放置したまま、廊下を曲がり消えていくよづりを追いかけた。
(続く)


421 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/22(日) 20:44:53 ID:QvlYH/2a
遅まきながら真夜中のよづりです。
ちょっとづつ書いています。

422 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 21:24:21 ID:j5vqoLco
>>421
よづりキター!
ヤンデレというより不思議キャラ路線を突っ走っているような気がするが
これからどうなるのであろうか

423 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 22:11:51 ID:3dVDpwzU
>>421
GJ!!
どれくらい待ったと思うのよ!バカ!バカ!バカ!

424 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 23:10:54 ID:8gqX2426
>>421
GJ!
のんびりと期待しながら待ちます
一週間の方も待ってます(*´д`*)

425 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/22(日) 23:56:41 ID:bCBQDirQ
毛糸のパンツわろたww

そうだよな、20代後半だもんな。冷え性だったりもするよなww

426 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:08:47 ID:itF5uxVe
投下します。17話です。

427 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:09:33 ID:itF5uxVe
第十七話~クイズ~

菊川邸の中に潜入するのは拍子抜けするほどに簡単だった。
室田さんの運転する車で屋敷の裏について、室田さんが取り出した鍵で裏口の門を開けて敷地内へ侵入。
携帯電話のディスプレイは7時を過ぎる時間を報せていた。
空に浮かぶ月は光を地上に降り注いでいて、うっそうと生い茂る草木の作る影を強くさせていた。
手入れもされていないらしく、数年は誰も使ったことのない道だ、と室田さんが教えてくれた。

暗い獣道を2人で歩き、ようやく開けて見えた場所には物置のような建物が建っていた。
建物のドアを鍵で開け、中にはいると階段があった。そこから屋敷の中に入れるということらしい。
階段を降りきって、目の前を見るとずっと先まで続くコンクリート製の通路が、
天井についている蛍光灯に照らされている光景があった。
無言の沈黙と、革靴の立てる音と、俺の立てる静かな――緊張でつい足音を立てないように歩いてしまう――
足音がカビ臭さと動物の死骸の匂いのする通路に響いた。

室田さんの後に続いて通路の突き当たりにあるはしごを上りきると、今度は暗い部屋に出た。
いや、明かりがないわけではない。ただ部屋を照らし出すだけの光量がないだけで光はあった。
光は四角い形で、壁に無数に貼りついていた。

室田さんが部屋の明かりをつけた。
同時に、先ほどまで暗闇に浮かんでいた光の正体が知れた。
正体は、無数のテレビだった。
テレビは、キーボードやスイッチの並ぶ机の上から天井近くまで積み重なっていた。
画面は絨毯の敷かれた廊下、手すりのついている階段、黒一色の光景に浮かぶ窓などを映し出していて、
さらにどの画面も違うものを映し出しているように見えた。
見ていると、目がチカチカして不快感を覚える。

室田さんは部屋の椅子を引き寄せるとキーボードを手繰り寄せ、指を忙しく動かしだした。
タイピングを邪魔しないよう、慎重に声をかける。
「ここは何ですか? ひょっとして、監視室か何か?」
タイプ音をそのままに、執事の声が返ってきた。
「ご明察の通りです。ここは、私が準備した、屋敷全体を監視するための部屋です」
「ってことは、十本松がどこにいるのかもわかるってことですか?!」
「いいえ。誰もが行き来できる場所である客間や厨房などにはカメラを設置しておりますが、
屋敷に住まう個人の部屋には設置しておりません」
「あ、そうなんですか……」
「しかし、廊下に誰かが歩いているのであればすぐにでもわかります。
今から私が留守にしている間の監視カメラの記録をあさってみます。
が、少々時間がかかりそうです」
「じゃあ、俺も手伝いますよ」
俺がそう言うと、室田さんは指を止め、俺の方を振り向いた。


428 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:10:18 ID:itF5uxVe
「遠山様には、別のことをしてほしいのです」
「なんです、それ」
「ここから出て、かなこ様と、天野基彦の娘を探し出してきてほしいいのです」
室田さんは机のひきだしを引いて、片側だけあるヘッドホンのようなものを取り出した。
差し出されたそれを受け取る。プラスチックのみでできているおもちゃみたいな軽さだった。
「それを耳につけてください」
言われるままに耳にヘッドホンを装着する。
つけてみて、違和感は覚えなかった。つけているのかどうかも忘れてしまいそうだ。
「私が記録をみて手がかりを見つけたり、また屋敷内の使用人や十本松あすかに発見されそうになりましたら、
その通信機に連絡を入れます。その後でどうされるかは、遠山様が判断してください」
「判断? 逃げるんじゃなくて?」
「はい。逃げるも、戦うも、遠山様の判断にお任せします。
願わくば、かなこ様は無傷のままで保護されていただきたいですが」
「戦うったって、俺には……」

何の力も無い。
華と香織が危険にさらされたとき、俺は何もできなかった。
人より優れた筋力もなければ、格闘技を習ったこともない。喧嘩をした経験すら、数えるほどしかない。
そんな俺が、俺をたやすく気絶させた十本松を相手にできるか?
十本松の言葉が脳裏によぎる。
近づいたら、殺す。姿を現したら、殺す。
記号としてしか意識していない死。
今の俺の傍には、死が居る。
屋上から飛び降りれば。トラックの前に飛び出せば。人は簡単に死ねる。
だが、それは普段意識することのないものだ。
自分が決してやらない、やることはない。そう信じているから。

今から俺がやるのは、自分の身の安全を守ろうという意思に反することだ。
ここから一歩踏み出して、もし行動を誤れば――十本松に見つかれば、死ぬ。

「怯えておられるのですか?」
言葉がでない。反論ができなかった。
俺は怯えている。目の前にはいない十本松に。あいつが残していった言葉に。
「いえ、失礼いたしました。悪気はありませんでした。機嫌を悪くなさらないでください。
ですが、もし気が乗らないのでしたら、私が救助へ向かいます。
かなこ様は、必ず私が助けます」
室田さんは、きっぱりと言った。
迷いは一切感じられなかった。あらかじめ用意してあった言葉を言っているようだった。
室田さんにとって、かなこさんを救うというのは当然のことなんだ。

では――俺は?
俺は、香織とかなこさんを助けたいと思っていないのか?
思っている。
思っているが、意思が形を持たない。落ち着き無くふらふらと頭の中で漂っている。


429 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:11:02 ID:itF5uxVe
室田さんが、懐に手を入れた。出てきたものは、拳銃。
リボルバータイプとは違う、角が丸っこい小型のオートマチックの拳銃だ。
続いて、今度は別のものを取り出した。今度は鞘に納められているナイフ。
長さは全長で見積もって、成人男性の手の中指の先端から手首までの長さ程度。
2つを右手の上に乗せ、室田さんは俺に差し出してくる。
差し出されても、どうしたらいいのかわからない。
俺に、拳銃とナイフを持てということを言っているのか?

拳銃は、グリップを握り空いた片方の手でスライドを引き狙いを定めて引き金を引く。
モデルガンの場合はそんな感じで弾が出てきた。
けど、今目の前にある拳銃から発射される弾丸はプラスチックでできた数ミリの弾丸ではなく、鋼鉄製の弾丸。
人に当たれば、問答無用で命中した箇所を抉る。
簡単な操作でそれを行ってしまうことのできる武器だ。

ナイフは柄を握り相手の体に刃を刺し込めば、対象を傷つけることができる。
使うための手順はいらない、銃のような弾数制限もない、簡単な武器。
そして、人を刺した手ごたえを感じられる武器でもある。
目の前にある、鞘に納められたナイフが、俺自身に向けられているところを想像した。
相手は俺。無表情で、だらりとしている右手でナイフを握っている。
刺した感触と、刺された感触が、実際に刺したことも刺されたこともないくせに想像できた。

室田さんが差し出している手は、さっきからずっと動いていない。
俺が武器を手にとるのか、その手を払いのけるのか、それを待っている。

――選べ、遠山雄志。
香織とかなこさんを助けたいのか?
それとも2人を見捨てるのか?

――助けたい。いや、助ける。
もともと、俺は2人を助けるためにここに来たんだ。
香織は、昔から俺の友達として傍に居て、俺のことを想ってくれていた。今では恋人だ。
かなこさんは、前世からの恋人だという理由だけで俺を慕ってくれる女性だ。
だけど、俺はかなこさんが俺のことを純粋に想ってくれていると知っている。
2人とも、俺のことを好いてくれる。
2人の気持ち両方ともに応えることはできない。
だからといって、2人を見捨てることなんてできない。

もし十本松に鉢合わせしたらどうするのか?
そんなことは考えるな。そのときに考えろ。
決断。それさえすれば、このもやもやとした状態を落ち着かせられる。
右手を伸ばす。2種類の武器は俺の手を待っているように――いや、どうでもいいような感じでそこにいる。
こいつらに目的意識はない。目的を与えるのは、使う人間。人を殺すのも、木を削るのも、人間がやることだ。
だから、どういうふうにこいつらを使うのかも、俺次第だ。

最初に拳銃を手にとり上着の内ポケットに突っ込んだ。
続いて、ナイフの鞘を掴んで上着の右ポケットに入れた。
拳銃は内ポケットの中にしっかりと収まったが、ナイフは少しだけポケットからはみ出した。


430 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:12:25 ID:itF5uxVe
*****

明かりに照らされ、夜の静寂が染み込んで静まりかえった廊下を歩く。
「遠山様。次の突き当りを左へ」
「はい」
通信機から送られてくる室田さんのナビの声を頼りに向かうのは、十本松の部屋。
ここを最初に当たろうと思ったのは、一番気になる問題を早く消化してしまいたかったからだ。
十本松が住んでいた部屋ということは、あいつが居る可能性があるということ。
ならば、いきなり拳銃を向け合う事態になるだろう。
しかし、考えてみると香織とかなこさんを自分の部屋に連れ込んで、なおかつ十本松がそこに留まっている
なんてありえない気もしてくる。
おそらく、室内には誰も居ない。
こういう場合の悪役は地下室に閉じこもっているか、もしくは最上階にいるはず。
十本松が典型的な悪役であれば、そうなるはずだ。

「そこの突き当たりのドアが、十本松あすかの部屋です」
案内に従ってたどり着いた場所。廊下の突き当たりにあるドアの前。
そこは、先日華に連れられてやってきた屋敷から脱出するために使った場所、十本松の部屋のドアだった。
ドアに耳をあてて中から音が聞こえてこないか確かめる。
何も聞こえてこない。廊下がしん、と静まりかえっているのと同じように、ドアを伝ってくる聞こえてくる音も静かだった。
右手を上着の内ポケットに入れる。ポケットの中にあるのは、拳銃だ。
自分の体温で少しだけ暖まった銃のグリップを握る。冷たさは感じない。
右手はそのままにして、左手でドアノブを捻る。
タン、タン、と心の中で2回足踏みをする。

ドアを引き、右手から拳銃を取り出して部屋の中に向けて構える。
そこには誰も居なかった。
明かりが点いていない室内には、窓の向こうの夜空に浮かぶ月しか見えない。
銃を正面に構えたまま左の壁に背をつけ、室内へと移動する。
左手で壁を探る。腕を上下させていると、壁とは違う感触があらわれた。
おそらく部屋の蛍光灯のスイッチだろうと見当をつける。

スイッチを押し込もうとしたとき、息を吸う音が聞こえた。――誰かいる!

飛びのく。
目の前を何かが通り過ぎた。床が軽く揺れて大きな音が立った。
舌打ちの音が聞こえた。
飛びのいて着地した場所はドアのすぐ近く。体を振り回すように動かして廊下に出て、壁を背にする。

心臓の音が聞こえる。鳥肌が立った。冷や汗が額に浮かんだ。
弾む心臓を静めるつもりで深く呼吸をする。――少しだけ落ち着いた。
今のところ、相手が攻撃を仕掛けてくる気配は感じられない。
俺が動くのを待っているのかもしれない。
相手は十本松か?それとも他の誰か?わからない。暗くて何も見えなかった。
室内からは何の音も聞こえてこない。さっきはこれに安心していた。
今は室内に敵がいることがわかっている。
それを知っていて不用意に中に踏み込むことはできない。


431 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:14:06 ID:itF5uxVe
逃げるという選択肢もある。相手が屋敷の使用人であれば相手をする必要も無い。
いや、相手を取り押さえて十本松の居場所を聞き出せば。
相手は銃を持っていない。持っていれば暗闇の中で俺を撃っているはず。
だとすれば、俺が持っている銃は威嚇の武器になる。
撃つかどうかは――相手の出方次第か。
大人しく従ってくれるならそれでいい。従ってくれないなら、腕を撃って止める。
上手くいくのかは置いておくとして。

目を閉じる。鼻から大きく息を吸い込む。肺に息を溜める。口から息を吐きく。目を開ける。
祈るつもりで一連の動作をして、部屋に飛び込む覚悟を決める。
左足を軸に回転し、体を部屋の入り口の前へ。両手で握った銃の口を室内の暗闇に向ける。
認識が遅れた。人が立っていることに、一瞬気づかなかった。
やられた! ――と一瞬思った。
だが、体に衝撃は走らなかった。

室内にいたのが、
「おにいさん?! なんで、いや、さっきのってもしかして!」
両手で持った木刀を今にも突き出さんとしている、華だったから。
黒のコートに灰色のジーンズ、靴まで黒。
華の髪の毛の色は黒だから、上から下までほぼ黒一色に染まっていることになる。
眼鏡はかけていない。以前屋敷の使用人に変装したときといい今回といい、行動を起こすときは眼鏡を外すようだ。

拳銃を構えている腕はそのままに、忘れていたものを思い出す心地で考える。
……なんでこんなところに華がいるんだ?
午前中まで入院していたのに。
「ごめんなさい、おにいさん! てっきり十本松が来たのかと思って、私、あんなこと……」
あんなこと? 明かりを点けようとした俺を狙ったさっきの奇襲攻撃のことか。
「本当、おにいさんだって知らなくって、私、それで……」
華は振り上げた木刀を下ろすことなく、構えた状態で慌てた表情を見せた。
俺が腕を下ろすと、華は同じように木刀を下ろした。
「あの、その手に持っているのは?」
華は、視線を下に落としてそう言った。
その視線の先。そこには俺の手の中に握られている拳銃がある。
「ああ、これは……」
「拳銃ですよね、それ。もしかして、危ないことをしているんですか?」
「……当たりだ」
「どうして危ないことをしているんですか?」
「香織とかなこさんを助けるためだよ。悪いか?」
「悪いですよ。なぜあの2人を助けるんですか?」
「なんでって、香織は恋人だし、かなこさんは見捨てられないし」
「それだけの理由でですか?」
「……なに?」
「意味、わかりませんでした? それだけの理由で、あの2人を助けるためにおにいさんが身を危険にさらすんですか?
って意味で言ったんですけど」


432 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:15:16 ID:itF5uxVe
華の奴、何を言っているんだ?
それだけの理由?恋人や、助けたいと思う人を助けるのは理由としては充分だろ?
「おにいさん?」
華が答えを催促するようにそう言った。
「それだけの理由だよ。それだけの理由があれば俺は危険な目に会ってもかまわない。
お前だってそうじゃないのか? 例えば――俺が、十本松にさらわれたら、同じことをするだろ?」
俺がこう言えたのは、華が俺のことを好きだと告白したのを聞いたからだ。
そうでなければこんな自意識過剰なことは言わない。

華が口を開く。
「愚問ですね。そんなわかりきったことを、今さら聞かないでください」
「だったら、俺がこうやって助けに来ているのだって同じことが言えるだろ? 好きな人を助けに来て、何が悪い?」
「まだ好きだっていうんですか? あの2人のこと」
「当たり前だ」
「それじゃ――あの人達がいなくなってしまえば、さすがに忘れられますよね。
本当は十本松に怪我のお礼をするためにここに来たんですけど、邪魔しないほうが良さそうです」
「なんだと?」
華の言葉に不快感を覚えた。
あの2人が、いなくなってしまえば?
まさかこいつ、また。

「おにいさん、帰りましょう。あのポケポケ女と痴女のことなんて見捨てて」
「お前、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「もちろんです。きっと十本松なら、あの2人を綺麗に始末してくれますよ」
「始末……?」
不愉快な言葉だった。特に、今の俺にとっては。
「きっと、私達の目の前に現れないよう、誰も知らないところに埋めたり、それか海外に売り払ったり――」
「華ぁっ!!!」
言葉を遮って叫び、右手に持ったままの拳銃を華に向ける。
手が震えている。
それは拳銃の重みのせいではなく、華の豹変に対するおびえでもなく。
知人の命を簡単に切り捨ててしまう従妹の台詞に逆上した、自分の怒りによって。
拳銃は音を立てずに震えていた。
銃身は小刻みに動き、頼りなく華の体に狙いをつけていた。

華は銃口を向けられてもひるむことなく、怪訝な表情で見返してきた。
「なんでおにいさんが私にそんなものを向けるんですか? やっぱり私のことが嫌いですか?」
銃を向けられていても、華の調子は変わらない。
――もう、華の言葉は無視だ。
「帰れ、華。どうやって入ってきたのかは知らないが、早くここから出て行け」
「え? あの」
「そして、あのアパートにも戻ってくるな。どこか別のところに住め」
「そんな、なんで、おにいさん」
「言っていることがわからないか? なら、わかりやすく言ってやる」

華の着ているコートの襟首を捕まえて、引き寄せる。
目を丸くした華は、なすがままになっている。
その華に向けて、俺は、
「俺の前から消えるんだ。そして、二度と現れるな」
怒りの感情を込めて、吐き捨てた。

433 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:16:07 ID:itF5uxVe

華の体を引きずり、廊下へ押し出す。そしてドアを閉めて鍵をかける。
ドアを閉めると部屋の中は一気に暗くなった。
一寸先も見えない状態だ。
床にしゃがみ、ドアに背中をつける。
ドアが乱暴に叩かれ、背中が揺れる。涙まじりの華の声が聞こえてくる。
顔を上に向け、憂鬱な心地で、それを聞く。

「おにいさん! なんで、どうして私がおにいさんの前から居なくならないといけないんですか!
今までずっとおにいさんを想って来たのに、なんでおにいさんはこんなことをするんです!
好きなんです! 私だって、香織さんやかなこさんに負けないくらい、いえ、誰よりも!
なんでもします! なんでも言うこと聞きます! 絶対に逆らいません!
だから、だから開けてください、顔を見せてください、傍に居させてください!
嫌! いや……いや、いやぁ……おにいさん、おに……おにい、ちゃん……お兄ちゃん。
いい子になるから……華、いい子にしてるから……言うこと、なんでも聞くから。
また、昔みたいに一緒にいようよ……お兄ちゃんが前に立ってくれないと……だめなの。
お兄ちゃんの邪魔するやつらなんか、全部やっつけてあげるから……。
昔、お兄ちゃんが華のこと守ってくれたみたいに、ちゃんと、するから。
そしたら……会ってくれるよね。昔みたいに頭、なでなでしてくれるよね?
一緒に学校行って、一緒に遊んで、一緒にご飯食べてくれるよね?
お兄ちゃん。華、頑張るから。だから……また、昔みたいに、仲良くしてね……」

華の言葉と、ドアを叩く音がそこで掻き消えた。
「遠山様」
右耳につけていた通信機から室田さんの声が聞こえる。
「なんです?」
「先ほどの女性の方は、ドアの前から離れていきました」
「そうですか。それで、今は?」
「屋敷内の部屋を調べながら歩きまわっています。止めなくてもよろしいのですか?」
「……すいません。今、あいつの話はやめてもらえますか」
「はい。わかりました」

通信機を耳から外し、マイクを塞いで嘆息する。
さっきの華の様子、それに喋り方は、小学生のころと同じだった。
いつも落ち着いている華がこれほど取り乱すなんて。
俺は華も好きなのに、怒りに任せてとんでもないことを言ってしまった。
華に二度と会わないでくれと言われたら、俺だって悲しい。
それをわかっていて、あんなことを言ってしまうなんて。
華よりも、俺の方がどうかしている。


434 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:17:08 ID:itF5uxVe
気持ちを切り替え、通信機を再度耳に付け、立ち上がる。
壁に手をつきながらさっき見つけた明かりのスイッチを探す。すぐに見つかった。
6つ並んだスイッチを手のひら全体で押す。
光が瞬くことなく、部屋全体が明かりに照らされた。

改めて見る十本松の部屋の中は、俺が住んでいる部屋に比べてかなり広い。
俺の部屋と比較するのが間違いか。この部屋の中に俺の部屋は4つほどなら楽に入りそうだ。
以前屋敷から脱出するときに使った扉。その前には以前、本棚が立っていた。
今、その本棚は前のめりに倒れている。
本棚の背が足の形にへこんでいるところから察するに、華はここから侵入したのだろう。
他には変わったものは見つからない。どこも安物とは違う品格の漂う物が置かれているだけ。
部屋に入ったものの、誰もいないうえ変なものもないとくれば、ここに留まっている意味はない。

きびすを返し、部屋から立ち去ろうとしたとき、ベルの音が鳴った。
室内を見回す。机の上に乗っている一昔前を描いた映画に出てきそうな電話機が振動していた。
通信機に手を当てる。
「室田さん?」
「はい」
「今、屋敷の中で電話をかけている人はいますか?」
「いいえ。カメラに映っていた映像には、それらしき人影はおりません」
とすると、どこかの部屋からかけているということか。
この部屋に誰かがいるということを知っている人間、というと華だ。
だけどあいつがこの部屋に電話をかけてくるはずはない。
この電話は華以外で屋敷の中にいる人間の、誰かがかけてきている。

電話のベルは鳴り止まない。規則的な高い音を繰り返し鳴らし続けるだけ。
棒状になっている受話器の取っ手を掴んで、耳につける。ベルの音が止まった。
「…………」
電話の相手は話しかけてこない。
しかし、この状況で電話をかけてくるような奴は、俺の予想が正しければ。

「十本松か?」
「…………」
「黙ってないで早く返事しろ。お前、俺がここに来てるのを知っててかけてきてるだろ」
「ニブチンのくせに、変なところの勘は鋭いんだね、君は。
ご名答だよ、雄志君。私、十本松あすかが今、君に電話をかけている」
勘……というより消去法と言ったほうがいいかもしれない。
十本松の支配下に置かれた屋敷の中で、わざわざ電話をしてきそうなやつを考えたとき、思い当たるのはこいつしかいない。

「なんで俺がここにいるとわかった」
「私の部屋の明かりが点いたから、もしかしてと思って見てみると君がいた。それだけのことさ。
別に君の匂いを嗅ぎ取ったとか、君の気配を感じて胸が高鳴ったとかいうわけじゃないから安心してくれ」
「お前……どこかで見てるのか?」
「そこは私の部屋だよ? 監視カメラがいくつか置いてあっても不思議じゃあるまい?
面白いやりとりだったよ。さっきの華君とのやりとりは。本当に君は女泣かせだね」
返事はしない。こいつの遊びに付き合っている場合ではない。


435 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:18:30 ID:itF5uxVe
「香織とかなこさんを、どこに隠した」
「さっそくそれか。もう少しムードというものを意識するべきだよ。せっかくの、ドラマチックな展開なんだから」 
「……ふざけてるのか?」
「ふざけているとも。私は今、上機嫌だからね。君という駒がここに来てくれて嬉しいんだよ。
君にもこの台風の翌日の青空のような気持ちを分けてあげたいくらいだ」
「俺は、お前という俺の人生でも類を見ない変態犯罪者のせいで、ちっとも嬉しくなんかないんだがな」
「それはよかった。そこまで君が不快感を覚えてくれて光栄だよ。――そのお祝いに、クイズでも出題しようか」
なんでくそ面白くもない回答役をたまわらねばいかんのだ。しかもこんなときに。
「誰が答えるか。お前をはり倒して2人を助け出せば全部済む」
「それでは同じこの繰り返しになるよ? 私は必ず、2人を捕らえて君をおびき出すということを繰り返す。
君も、私も、そうせざるを得ないんだ。現にそうなっている」
「そうせざるを得ない……?」
何を言ってるんだ、こいつは。
まるで誰かに強制的にやらされているみたいな言い方だが……。
もしかして、こいつに指示をしている人間がいるのか?
そうだとすれば、そいつをどうにかしないかぎり香織とかなこさんの安全はいつまでも保証されない。
「もし全問正解した暁には、2人を開放しよう。約束するよ」
仕方ない。言うことを信用するわけではないが、クイズに答えることで2人が助かる可能性があるなら。

「……とっととクイズの問題を教えろ」
「乗り気になったようだね。結構。
では、私の机の上に乗っている二冊の本を見てもらえるかな?」
電話機が置いてある机の上には、言うとおりに二冊の本があった。
一冊は俺がかなこさんと出会うきっかけになった、姫と武士の話を綴った本。
もう一冊は以前十本松にもらった、大事な女を失った男が女の仇を殺し復讐を果たした後で、
仇だった男の娘に殺されてしまうという救いようのないストーリーの本。この本は、俺の部屋に
入り込んだときに持っていったのだろう。
どちらもなかなか面白い本だったが、今さらこんなものを持ち出してどうするつもりだ?

「実はその二冊は続けて読んでようやく全体のストーリーになるんだ。
あるところに姫様と武士が居ました。姫様はある日、2人の刺客によって命を奪われました。
ここまでで、一冊分」
十本松はここでしばらく間を空けた。
俺は続きを聞き漏らすまいと耳を凝らした。

「姫様を愛していた男は、当然怒ります。姫様の仇をとることを決めました。
刺客の1人は簡単に殺せました。しかしもう1人の刺客の男はなかなかに手ごわい。
残された刺客の弱点は、たった一つだけありました。刺客の男には、最愛の娘がいたのです。
元武士の男は、言葉と体で娘を惚れさせて、娘の父親であり、憎悪の対象である刺客に近づきます。
その後は簡単でした。父娘が寝ているところに襲撃をかけ、父親を殺しました。姫様の仇をとったのです。
元武士の男はそこで目的を見失い、故郷へ帰ります。故郷には、両親や昔の恋人が住んでいるのです。
昔の恋人に再会し、武士は昔の気持ちを思い出しはじめます。
これからは、故郷で平和に暮らそう――そう思っていた男の心臓を、貫く刀がありました。
男を刺したのは、最愛の父親を殺された娘でした。
娘は自分が騙されていたことに気づき、男へ向けていた愛を裏返し、憎悪を向けたのです。
最後に立っていたのは、男の元恋人と、かつて愛していた男を殺した女と、倒れた男の胸に刺さった刀だけでしたとさ」


436 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:21:04 ID:itF5uxVe
十本松はそこまでよどみなく言うと、言葉を区切った。
「とまあ、こんな話のわけだがね」
「で、クイズの問題は?」
「少しはねぎらいの言葉くらいあってもいいんじゃないか? ……ま、どうでもいいがね。
では、第一問。この後で、残された二人の女はどうしたでしょう?」
……簡単だな。
残された二人。男の元恋人と男を殺した女。
よくある昼ドラ的展開なら。
「元恋人が、男を殺した女を、殺害した。ってところだろ」
「正解。まあ、これはジャブだ。難しくなるのは第二問から。
先ほどのストーリーの主役である武士の役に、十本松あすかを起用した際、
刺客に殺されてしまうお姫様役になるのは、誰?」

「……は?」
あの本の武士が、十本松あすかだったら?
相手役は……かなこさんか?前から婚約者、とか言っていたし。
「よーく、考えたまえよ。つまらない回答をした場合、かなこと香織の命はない。
いや……女としての尊厳を失うような目に会って、社会的に抹殺されるだろう」
くそったれ。余計なこと言うんじゃねえよ。焦るだろうが。
十本松が好きな人間……誰だ?
誰か居るはずだ。十本松と今まで交わした会話の中にヒントがあるはずだ。
俺じゃない。あいつは俺のことなんかどうでもいい存在に思っている。
かなこさんでもない。武士(十本松)が姫様を守っていたというのなら、十本松がかなこさんの命を狙うはずがない。
十本松が仇を討つために努力するほどの、相手は――――いた!

「お前の親父さんだろ。小さいころから好きだった、昔死んでしまった、って話を、お前から聞いた」
「……正解。少しは頭が回るようになってきたね、雄志君。
その調子で、次の問題――最後の第三問にも、正解してくれ」
「本当に最後か?」
「最後だとも。ただし、答えるのは電話越しではなく、私の前で直接行ってくれ。
私は、この屋敷の第448地下室にいる。場所は室田にでも聞けばいい」
「なんでわざわざそんな面倒なことを……」
「決着をつけるなら地下室か建物の上。これはクライマックスの舞台の王道だよ」
どうでもいいところにこだわりやがって。
「……まあいい。言われた通りにするから、問題を出してくれ」
「うむ」
十本松は短く答えた。
そして、クイズを出題する。

「第三問。第二問での配役はそのままに、物語を展開していった場合。
菊川かなこ、遠山雄志はどの役を担当することになるでしょう。
あなたの身の回りで起こった出来事を考慮したうえで、お答えください」

問題の内容は、全て聞き取れた。
が、意味がさっぱりわからなかった。
何かヒントをくれ、と言おうか迷っているうちに、十本松が電話を切った。


437 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:25:41 ID:itF5uxVe
次回へ続きます。
ややこしい話にしてしまって申し訳ないです。

438 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00:45:08 ID:RaVXiWpW
なかなか読めるけど、なんだか話の大筋自体にはヤンデレがあんまかかってないな

439 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/23(月) 01:26:51 ID:0FZtiw/o
いや、これはこれでいいものだと思うのだが


440 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/23(月) 01:27:38 ID:TyK9pFjh
いいかもしれないけど
スレ的にどうなんだ?って事じゃね?

441 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/23(月) 02:06:54 ID:cH2QIuZ0
>>414が(作品投下の)処女を散らす様をしかと見届けた!
これからも色々書いてくれたら嬉しいです。乙でした。

442 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/23(月) 15:48:24 ID:Y3xgNooo
>>437
物語として純粋に面白いな
一応問いを考えてみたが登場人物は、
雄志・華・香織・かなこ・十本松・十本松(父)だから、
その内該当してるのは

十本松=武士
十本松(父)=姫

残りは、刺客1・刺客2・刺客2娘・幼馴染のポジションか・・・分からん

443 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/23(月) 17:50:07 ID:rT53nDoO
>>437
今回の華の哀願に激しく萌えた。
俺の頭もこんがらがってきたので保管庫で読み直してこようかな。

444 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/23(月) 21:26:50 ID:A6MeAf5q
刺客1=かなこ
刺客2=香織
刺客2娘=雄志
幼馴染=華
じゃないかね。

だとすると、最後雄志は十本松を倒すけど、その後華に殺されるわけか。
今回はそのフラグって事ね。

445 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/23(月) 21:37:07 ID:RaVXiWpW
そういう勝手な展開予想はやめろって
萎えるしその上作者さんにもプレッシャーかけちまうだろうが

446 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/23(月) 22:51:20 ID:Y3xgNooo
>そういう勝手な展開予想はやめろって
>萎えるしその上作者さんにもプレッシャーかけちまうだろうが

ただ物語中の問いを考えただけだぞ?
何もこうなるだろう何て言ってないし、これ位は良いだろ

447 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/23(月) 22:55:51 ID:T83lIecX
流れ武っ汰魏って一週間の続きマダー?

448 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00:36:04 ID:fLDyuw+T
>>447
先輩じゃなくて俺たちが干上がっちまうぞってことだよな?
焦らしプレイはより楽しめるらしいぜ

449 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 01:19:21 ID:2xGeIMW3
それにしても、このスレは文才のある職人が多いよな

450 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 06:31:54 ID:9IdBBiKz
確かにこのスレは当たりが多いな
まさにヤンデレの時代!

>>440
まあヤンデレ分薄くても十分楽しめる作品多いし、
いいんじゃない?



451 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 13:27:19 ID:kcXUB1C2
ttp://www.nicovideo.jp/tag/%E6%84%9B%E3%81%97%E3%81%AE%E5%BD%BC%E3%81%8C%E6%8C%AF%E3%82%8A%E5%90%91%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84

なんて事だ……。
ハルヒキャラが悉くヤンデレに改悪されてるぜ……。
こんなんじゃ、またヤンデレのイメージが……。

452 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 13:32:32 ID:ZyjWT71u
>>451
ttp://www.nicovideo.jp/watch/1184933284
何もいわずにこれを最後まで聞け


453 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 13:45:06 ID:zHmHWOjd
そのシリーズ
最初は良かったけど2番煎じ3番煎じでどんどん質悪くなってくよな・・・
ずっと同じ人に作り続けて欲しかった

454 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 14:06:47 ID:Iky9WYse
ニコニコのID持ってない人用。

>>451
ttp://puka-world.com/php/upload/niji/img-box/1185252976677.png
>>452
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org0100.lzh.html


コピーを繰り返すと劣化するってのは、いつの時代も変わらないよなー。

455 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 14:32:49 ID:vNIn92Xp
かっわいいフリしてあの娘は、きっと殺るもんだね、と♪

456 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 14:34:19 ID:vNIn92Xp
すまん誤爆した。ち○ちん切られてくる

457 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 19:40:42 ID:EvjCkgP9
誤……爆……?

458 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 19:44:57 ID:zHmHWOjd
ヤンデレ総合と間違えたんじゃね?

459 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/07/25(水) 04:13:54 ID:DGXcwKNa
保守

460 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/25(水) 19:30:12 ID:pxRhj/yB
>>453
俺は朝倉さんのが一番好みだ

461 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/07/25(水) 21:47:26 ID:yHEe5Ptq
おれはみくるバージョンかな
歌詞が一番上手い気がする

462 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/25(水) 22:00:32 ID:BkGCqHjD
一週間マダー?

463 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/25(水) 23:03:31 ID:JroYDK3c
>>462
恐らく、俺らは焦らされる先輩の気分を味わってるんだ!
先輩・・・ (´;ω;`)

464 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/25(水) 23:08:58 ID:oEBehAt9
あんまりそういうのやめた方がいいよ、と。
確かに奮起する場合もあるけど、プレッシャーに耐えかねてどうでもよくなっちゃう場合もあるし。
他の人の場合は知らないけど、自分が書く場合だと1日に20kbぐらいが限界だし、限界を超えた執筆速度は無理なわけで。

465 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/25(水) 23:37:34 ID:VzKYGRBY
ま、作者さんのペースで書いて頂けるのが一番。

そしてそれを電柱の影から見守る俺たち。

466 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 00:19:49 ID:clxvjCVa
お茶飲んでゆっくり待ってるからのんびり投下してくれて全然いいのに・・・

467 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 00:38:05 ID:hQRiRAL1
>>464
1日20kbって・・原稿用紙何枚なんだ?

468 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 00:48:49 ID:nc9+K5jY
2バイトで全角1文字分。400字詰原稿用紙25枚半ってとこだね。
あぁ……ツンデレとヤンデレの複合型が浮かんではきえていくぅ

469 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 00:50:37 ID:clxvjCVa
>>467
これ見る限りだと2バイトで1文字らしいから
20000÷2=10000
10000÷400=25枚かな・・・


ttp://www.pc-view.net/word_id-0082.html

470 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 00:52:15 ID:clxvjCVa
いかん、かぶったorz

471 名前:464[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 10:54:37 ID:zFj9Y3I/
休日にずっとPCに向かって、推敲も何もなしにただ書き散らした場合の話なんですけどね。
実際には微調整しながら書いたり、何かの気分転換に書いたりすることも多いから平均的な執筆量は大分少なかったり。

472 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 16:37:58 ID:7OC1DWJ+
名無しで自己主張する作家は大抵ウザイ

473 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 18:33:17 ID:3Xu14IGO
>>471
|ω・`) ヤンデレ作品、期待して良いか?

474 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/26(木) 23:07:05 ID:JEMYQm8M
月曜日に投下予定でしたが、今日になってしまいました。
投下します。

475 名前:一週間 月曜日 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/26(木) 23:08:07 ID:JEMYQm8M
ふぅ。まさか一日仕事になるとは思わなかったな。日曜日は一日中大阪で仕事だったよ。
僕はぼさぼさの頭を掻きながら家路に着く。アパートの階段をカンカンと昇り、僕は部屋の前までやってくる。
そういえば、先輩は……。
「居ない……」
部屋の前に先輩の姿は無かった。
まぁ確かに、僕が出てからほぼ二日経ってるんだ。帰ったのかも知れないな。
郵便受けにささっている二日分の新聞紙を掴むと、僕はカバンから家の鍵を出した。鍵穴に差し込んで軽くひねりガチャリと開ける。
「さてと……明日は臨時休日だし……なにしようかな」
玄関の扉を閉めて、鍵をかける。革靴を脱いでカバンを玄関先に置くと、僕はのびをしながらリビングの簾を開けた。
次の瞬間目に入ったのは。
「な、なんだこれ……」
荒らされまくった我が家だった。
部屋の至る所に散らばっている僕の服、服、服。普段着ているポロシャツや仕事の時のカッターシャツ、さらには下着に至るまでリビングに散乱している。
特にベッドの周りに散乱しているのが気になる。手持ちのパンツやTシャツ類のほとんどがベッド近くに密集していた。
「なんだ、この染みみたいなの……」
ちょうどそこにあったパンツを掴む。妙に湿っている……。青いトランクスの股の部分が水分を吸って変色している。なんだか粘りとしていて気持ち悪いな。
「甘いにおいがする」
匂いをかいで見ると、蜂蜜のようだ。甘ったるい蜂蜜とそれ以外の何かによって汚された下着。僕はトランクスをゴミ箱に突っ込もうとして、
そのゴミ箱の中身も荒らされていることに驚いた。
ゴミ箱はひっくり返され、捨てられていたティッシュやガス料金の明細の紙、菓子のクズが乱雑に広げられている。ゴミ箱なんてあさってどうするんだ。
ゴミしか入ってないぐらいわかるだろうに。それなのにティッシュの一枚一枚に至るまで、いくつも中身を点検したようにくしゃくしゃのまま開かれていた。いくら僕でもゴミ箱の捨てたティッシュの中に貴重品は隠さないぞ。
「泥棒に入られたか……」
ベランダから入ったのだろうか。僕はベランダに手をかけてみるが、鍵は閉まっている。ガラスを破った後も見られない。ベランダからじゃないのか。じゃあ玄関かな? いや、玄関も鍵はかかっていた。ピッキング?
タンスを見ると全ての引き出しが乱雑に開かれている。
「あ、そういえば!」
僕は慌てて上から二番目の引き出しを覗く。
中を大きく開けて、一緒に入れていた大量のミニアルバムの中を探る。ミニアルバムの束に挟まれて僕の全財産が記された預金通帳と判子があるのだ。
「あ。よかったっ。あった……」
大量の写真の束の中に埋もれた中に、幸いにも預金通帳と判子があった。取り出してみるが、どうやら無傷のようだ。通帳も印鑑も無事とはなんたる幸運だろう。
ぱさり、
安堵していると、乱雑に詰まれたミニアルバムから一枚の写真が落ちた。ひらりと宙を舞い僕の足元へ。
何気なくひろう。
「うわっ」
その写真は僕が一年前、家族と一緒に宮島に行ったときに撮った写真だ。
僕と妹が、瀬戸内海に浮かぶ厳島神社をバックに撮った女子高生の妹とのツーショット写真。撮影者は母。どこにでもある普通の家族旅行写真である。
「……なんでこんなことを」
しかし、今手に持っている写真には、僕の隣でにこやかに笑ってピースしている妹の顔部分が、その部分だけ焼け落ちている。正確にはそこだけ火で燃やしたような穴が開いているのだ。
そのせいで、隣に居る妹の首は無い。写真の向こうが覗ける。ちくわと同じだね。
慌てて、僕は他のミニアルバムも開いてみる。
「顔が……」

476 名前:一週間 月曜日 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/26(木) 23:08:49 ID:JEMYQm8M
黒線。ミニアルバム中の写真に移された人間の顔が、油性マジックで潰されていた。特に僕の母親から高校生の修学旅行のときのクラスメイトまで、全員ぶちゅぶちゅと塗りつぶされていた。
潰されているのは全員女性だ。僕や男友達は顔は潰されておらず、女性の頭だけが消滅。
特に酷いのは妹だ。妹の写真だけは何故か黒線だけでは治まらず、宮島の写真のようにすべて顔だけ燃やされている。
……異常。異常すぎる。
「これは、泥棒じゃない……?」
全ての写真に写る女の子の顔が丁寧に消されている。それなのに、貯金通帳は一切手をつけていない。
そんな泥棒。いるか? いるわけない。金品目当てじゃないんだ。
一気に背筋が凍る。
「……まさか、せんぱ……」
そのとき。

シャァァァァー……。

……水音!?
音が。聞こえる。
惨状に気をとられて気がつかなかったけど。
バスルームから、シャワーの音が聞こえるっ!

キュッキュッ。

止まった。
誰か居る?
「だ、誰か居るのか!?」
僕はちらばった衣服に足をとられながら、バスルームに振り向く。
……人の気配。明らかに、バスルームの中から。
「……ごくり」
まてよ。僕は今日帰って普通に家に入ったが、僕は一昨日この家から出るとき、ベランダから出たんだ。だから、玄関にはチェーンが掛かっているハズだ。
それなのに、普通に入れた。
もっと言えば。ベランダから出たんだから。出たはずのベランダは鍵などかかっておらず開いたままのハズだ。
なのに。閉まっていた。
僕の脳内名探偵、夢水清志郎がめんどくさりがりながら答えを導いている。
「…………」

がちゃり……。

バスルームから出てきたのは。
「うふ。おかえりぃ。みぃーくん」
先輩だった。
濡れた長い髪の毛を体に絡ませ、ぽたりぽたりと雫をたらしたまま、小さなバスタオル一枚を胸に当てて、この嵐が過ぎた直後のような部屋の中を平然と歩いてくる。
左手には僕のトランクス。右手にはキッチンにあった厚手のフライパン。
「遅いよ。みぃーくん。ずっと私を我慢させただけでも酷いのに。一人で出かけちゃうんだもん」
先輩はくすんだ笑顔で僕に話しかける。
「せ、先輩……」
先輩はベランダから入ったんだ。僕が中に居ないことに気付いて……。
「待ってる間、ちょっと模様替えしてみたの。えへへ、みぃーくんが浮気してないかと思っていろいろと漁ったけど、合格。写真しか見つからなかったものね」
じゃあ、やっぱり。この惨状は先輩が……。
「あ、う、あ……」
声が出ない。僕はただ口をパクパクあけて、裸で近づいてくる先輩に恐れて動けない。
先輩が淀んだ瞳で僕を見ている。そして情欲に溺れたように口からつつつーと唾液をたらしている。
そして、待ち望んでいた欲望を満たす期待で、体を艶やかに震わしていた。
「せ、せんぱぃっ お、落ち着いて……」
「みぃーくんっ!!」
先輩は右手に持ったフライパンを大きく振りかぶった。

耳元で何かがはじけた。

(続く)

477 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/26(木) 23:09:41 ID:JEMYQm8M
次回で最後です。

478 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 23:32:58 ID:KyERubo2
GJ。ちくわ吹いた。

479 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 23:38:33 ID:fRL5ACT5
>>477
こ、こえぇ…ガクガクブルブル…マジGJ!

480 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 23:46:28 ID:Ut3ijd7R
>>477
うむ。
しかし
「みぃー君、自業自得」
とか
「キャッホーイ! 先輩! やっちゃって下さい!」
と言った感想しか浮かばない俺はもう駄目かも分からんね。

481 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/26(木) 23:50:58 ID:eEw3BXQc
>>477GJ!!ヤンデレ先輩の大逆襲\(^o^)/ハジマルー

482 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/27(金) 00:54:43 ID:mEXjV2nu
>>477
GJ!
先輩キタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆

483 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/27(金) 02:16:28 ID:tlZnFjVe
>>477
GJ!!!!!!
先輩かわいいよ先輩

>>480
俺も含めてここの住人は大抵そうだと思うから大丈夫♪

484 名前:リッサ:6I9RMany[] 投稿日:2007/07/27(金) 03:24:20 ID:E9zzpRL6
どうも今晩は、リッサ:6I9RManyです、415 さん、441さん共々前回私の書いた小説に感想を書き込んでいただいき本当にありがとうございました。
ここのところ実生活ではいやなことが続いたり、ラノベ大賞に落ちてしまったりと不幸続きでしたがその分感想のお言葉は
SS製作の上で大変励みになりました。というわけでまたSS投下です、長文乱文と誤字脱字に対する苦情はご勘弁を


485 名前:リッサ:6I9RMany[] 投稿日:2007/07/27(金) 03:25:17 ID:E9zzpRL6
マリオネッテの憂鬱①
「おはようございます、お姉様…」僕は今日も最愛の妹である晃(あきら)の可愛らしい声で目を覚ました、寝室の端、窓のカーテン
を押し開く彼女はこぼれるような冬の朝日を全身に浴びる…晃のその美しいウェービーな栗色の頭髪と、ピンク色のネグリジェは…
今日もまた血がべっとりとついていた…。
僕はベッドから起き上がってスリッパを履くと、精一杯の笑顔で彼女に尋ねた。 
「今日は誰を食べたの?」「メイドの牧野さんですわ…あの方、未だ日は浅いですけど…お姉さまの…洗濯用の…下着の匂いを…」
ビリビリィィィィ!!!!晃は巻き取ったカーテンを爪で一気に引き裂くと、肩をわなわなと震わせた。僕はそれにいたたまれなくなって     …思わず彼女の肩をつかむと…その華奢な体をそっと抱き寄せた…彼女の体は…とても硬くて冷たい。
「ん…ちゅ…」何かを悟ったように彼女は僕に唇を重ねた、僕は彼女の腰に手を回す、彼女はそのつぶらな瞳を閉じると…僕の口腔
内部に舌を侵入させた…くちゅ…くちゅ…と、唾液の混ざり合ういやらしい音が僕の…そして彼女の口の中に響く。彼女の口腔は…
生臭い肉の味がした。
「…ぷはぁ…安心してよ晃…僕にはもう…君しかいないんだから・・・」
「…でもぉ…ぐず・・・私…おねえさまがぁ…ひぐ…誰かに汚されたかと思ったらぁ・・・」
晃は駄々っ子のように、精気のない顔で大粒の涙を零しながら嗚咽した、もういてもたってもいられなくなった僕は…一気に晃を床
に押し倒した、晃はなすがまま…といった感じに僕に服を脱がされる。
…経過は順調みたいだね…嬉しいよ晃…
僕はそんな彼女を見て、くすりと笑った。

-事後、つかれきった彼女をベッドに寝かしつけると僕は一人台所に向かった、もちろん食事のためじゃあない。彼女のしたこと
の後始末があるからだ…。
台所のいすには革ベルトで縛り付けられたメイドの牧野さんの…無残な姿があった。昨日までの美しかったその顔はゆがみ
つめはすべて剥がれ、目は潰れ、三つ編みの頭部は…まるで詰め物をするためのトマトのように、綺麗に切り開かれて・・・
脳みそは綺麗に繰りぬかれていた。
「血って家庭用洗剤で落ちるんだった…かなあ?」
僕は牧野さんを固定する革ベルトを外すと、彼女の糞尿と血液のにおいに鼻をつまみながら、死体を処理することにした。
拍手を打つような体制で深呼吸をすると、合わせた手を一気に離す、するとそこに黒い例えるならブラックホールのようなもの
…が現れる。
ヒュウウウウウ…そんな音を立てながら、牧野さんの死体は一気に穴に飲み込まれた。
「あと一人、か…」
僕はそう呟いて、薄く笑った…そりゃあもうなれたさ、一月もこんなことを繰り返してればね…ははは、ははははは…。
自分のいかれた思考に狂いそうになりながらも、僕は必死にそれを堪えた。
ここで狂ったら…晃を…人間に戻すことができなくなる…狂うな、狂うな…あんな冷たい体じゃあない、生身の晃ともう一度… 
僕を大好きな晃ともう一度交わるんだろ?…そう必死に言い聞かせる。
あの日…僕が晃を殺して、そして彼女が生まれた日から、もう一月がたとうとしていた。


486 名前:リッサ:6I9RMany [] 投稿日:2007/07/27(金) 03:29:24 ID:E9zzpRL6
マリオネッテの憂鬱②

そもそも僕は恋ってものを知ったあの日から二歳年下の妹…晃のことが好きだった、特に理由なんてなかった。
でも本気で彼女を愛していたんだ…彼女の手を握ってどぎまぎした、だんだん女らしく成長していく彼女の体を見て欲情した
何度となくその手の感触を思い出して自慰もした…とにかく僕は男の人と変わらないくらいに彼女を愛していたんだ…でも、
でも一月前のあの日、僕は彼女こと実妹である久住 晃のことを殺した、理由は些細な誤解からだった…だって誰だって思うだろう
衆目美麗で繊細な妹が…自分の家に男を連れ込もうとしたんだから…自分の気持ちを言えば破局する、でもこの気持ちを抑えて
…汚らしい男なんかに彼女を渡すくらいなら…もう殺すしかないッテ…。
「あ、お姉ちゃん…?どうしたの、そんな怖い顔して…!!」
ざく!!…と、まるでキャベツでも切るかのように、応接間に飾ってあったマチェットは、綺麗に晃の胴体を貫いた、もちろん妹に
だって手は抜かない、そのまま刃に回転を加えて致命傷を与える。
「か・・・は・・・!!」
ぽたぽたと血をたらし、腹部を押さえて倒れこんだ晃、僕はそれを見ていやらしい笑みを浮かべると…晃の服を脱がし始めた。
「あ…いやあ…」 「晃の肌って真っ白だね…ふふふ…あははははははは・・・」
もう僕に自分の感情は制御できなかった、晃の服を引きちぎって、僕は死に掛けの彼女の血の暖かさ…体温を感じながら、彼女
と交わった…晃は驚いたことに…いや、嬉しいことに処女だった。僕は嬉々として彼女の秘裂を広げ、ディルドでその幕を破った。
「ハハハはは…」「ひゅう…ひゅうぅ…」
彼女の処女を、そして命を奪った僕は最後の灯火といわんばかりに息をあらげる晃にこういったんだ…多分そのとき僕は…
泣いていた気がした。
「あははははは…どうしてだろうね!僕はこんなに晃が好きなのに!君は好きになってくれなかった!でも僕はもういい
!ここで君と死ぬ!そうすればもう僕は誰にも目はくれない!君が死んでも大丈夫だ!あははははは…」
「…すう…私みたいな子でもそんなにいいの…嬉しいなあ…えへへ…」「…へ…」
「…私も大好きだったよ…お姉ちゃん…」「へ…?あ!ああああああああああああ!!!ひ!ああああああ!!!!」
そういうと妹は大きく息を吸って…事切れた、僕は狂ったように叫んだ…。

487 名前:リッサ:6I9RMany [] 投稿日:2007/07/27(金) 03:30:27 ID:E9zzpRL6
マリオネッテの憂鬱③

幸いというべきか、僕の家は結構な財閥で力もあったため、妹の死は交通事故として葬られ、僕は失踪扱いになり、
以後は屋敷に軟禁された…いや、そうすることを望んだ…
僕は屋敷の軟禁場所である晃の部屋で晃の生活品に囲まれて…日々後悔と狂気に見舞われる日々を送っていた。
彼女の言っていたことも嘘ではなかった、机の中にあった晃の日記には毎日のように僕のことが書いてあった、晃
も僕と同じく…日々悩んでいたのだ、姉をである僕を好きになったことで…。
最初から気持ちは一つだったのだ、でも僕は彼女を信用できなかった、だから殺した。 
彼女は僕を信じていた、だからこそ日々の日記には僕がどうしたとかが事細かに書かれていたが、誰かに嫉妬した
様子は一切なかったし、わざわざ付き合いの薄い男子…時坂歩というらしい…にそのことを涙ながらに相談して、あの
日僕に告白することを決めていたらしい…全部馬鹿だったのだ、僕一人が…。
神様、悪魔様、僕は何でもします、命も心もいりません。だからどうか晃を生き返らせてください…僕は日々そう願った
そしてあの日…あの男が僕の前に現れたのだ。
「始めまして、僕の名は…まあいいや、悪魔みたいなものです」「…はあ…」
シルクハットにタキシード姿の黒髪の男、彼は今まで現れたどの幻覚よりもしっかりした声でそうささやいた。
彼は青い瞳を輝かせて笑顔でこういった。
「妹さんを生き返らせて上げましょう、でも条件があります」「お…お願いします!魂でも何でもあげますから!どうかあの子を」
それを聞いた男は笑顔で僕の手を握ってこう言った。
妹さんの死体を使って人形を作りなさい、人形が十人の人を食らったとき、妹さんは下の肉体を手に入れる、死体の処理は
手を合わせて…魔王の口に食べてもらうといいでしょう。
そういうと笑顔で消えていった、男の霧散した後には、大きな…ちょうど晃ほどの大きさの稼動人形の入ったケースが残って
いた。
後は簡単だった、夜に屋敷を抜け出した僕は館の裏手の墓地から土葬されている晃の死体を掘り返し、屋敷の地下室に篭って
製作に取り掛かった…お父様の趣味でそろえられた機材で、冬の寒さで奇跡的に痛まなかった晃の皮をはぎ、髪を抜き取って内
臓を取り出して…口を呼び出す方法で内臓を始末して・・・張子の要領で人形に皮をかぶせて、彼女の人形を作ったのだ。
誰もが僕を狂っているとののしった、でも僕は狂ってなんかいなかった…だって、服を着せた晃は…いや、彼女は動き出したんだ
から…。
「お久しぶり、会いたかったですわ、お姉さま…」「うん、僕もだよ…」
そういって、彼女の冷たい唇に、僕はキスをした。
それからだった、彼女が…僕に気があるらしい人間を拉致しては、拷問に掛けて、その脳味噌を食べ始めたのは…。
彼女は信じられないほどに、残酷な嫉妬心を見せて彼…もしくは彼女たちを殺し始めた…彼女の最初の犠牲者は…
生前、大好きといって抱きしめていた、両親だった…。
「ねえ…お姉さま」「…?」「ずうっといっしょにいてね…」「うん…」
日が暮れて、夜。彼女との事後、彼女はそういって僕を抱きしめた。
…そうだよ、僕が望んでいたのはこれなんだ。あとはそう、彼女が人間の体に戻ればいいんだ…もう、ほかに望むことはない
この幸福があり地獄みたいに真ッさかさまに崩壊していくものだとしても構わない…ずうっといっしょなら。
もう、この時間は長く続かない。本能的にそう感じながらも僕は彼女の体をむさぼった…あとは明日、最後の犠牲者である
時坂 歩…そう、二人が愛し合う事実を知っているたった一人の人物を殺せばすべてが終わるのだ。
…何が終わるんだ?そもそも終わったら一体何が始まるんだ?何が…一体…。
意識が遠のいていく、明日もまた、彼女と幸せに暮らせますように…。


488 名前:リッサ:6I9RMany [] 投稿日:2007/07/27(金) 03:31:16 ID:E9zzpRL6
マリオネッテの憂鬱④
「う…うううう…」
僕は地面に転び、むなしく唸っていた、その足は折れ、這おうにも腕は二の腕から消滅し、逃げ出すことすら間々ならない。
「月乃…もういい、頼むからやめてくれ」
男…時坂歩は手にもったショットガンをおろすと、僕の腕を食った本人である 月乃 鞠に懇願した。
「…わかった」
何が何なのか、さっぱり分からなかった、この男を誘い出して、彼女が襲いかかろうとした瞬間…月乃とかいう女が現れて
…私の魔王の口よりも大きな口で…私をかばおうとした彼女を…晃と、わたしのうでを…いやだ、いやだいやだいやだ!!!!。
「う!うあああああああ!!!!かえせ!あきらをかえせ!ぼくのあきらあきらあきらうあああああああ!!!!!」
「…あの子は晃ちゃんじゃない、あなたの思い出と、人の思い出を記憶から直接食らって変化したエス…つまり貴方にとって」
「…都合のいい存在だった、でも…でもそれでもよかったんだ!!!だって!もう信じられない!だからみんな無くなって!全て
全て壊して終わればよかった!ぼくなんか晃はよみがえっても絶対に信じない!だから!だから!!!うああああ!!!」
もう僕の思考はグチャグャダッタ…アレハ…ボクガノゾンダソンザイデ…彼女は偽者…デモ…デモ。
「…あなたは悪魔にだまされた、そして彼らの手助けをした…妹さんを信じられないから…でも彼女を忘れられないゆがみ
があるから…貴方は付け入られて魔王の口を手に入れた…」
「…ならあなたはどうなの?貴方も口を持ってるじゃない!どうせ偉そうに言っていても…きっといつか貴方も彼を殺して…
あはははは!そうよそうよ!きっと貴方は!私と同じ!同じ!あはははははは!!!」 
彼女は狂ったように笑い声を上げると…力尽きたようにぐったりと倒れこんだ、両手を失なったのが原因か、出血多量といったところだろうか…。
「晃…」
最後の彼女は、まるで意識が正常に戻ったかのように、透き通った声でそういって事切れた。

…私が、そのうち歩を信じられなくなって殺しちゃう…そう言われた月乃は呆然としていた、彼女のいっていることはあながち
間違ってはいない。全てを飲み込む魔王の口の能力を持ったものは…その力をどう使おうが、いつか人を信用できなくなって
死んでいく…なら、私は…。
歩は落ち込む月乃の肩を抱いた、そして彼女の体を手でぽん、と叩く。
月乃は、歩むの腕を抱き返すと、大声を上げて泣いた。
彼女のようになるのが怖かった、でも、今は歩を信じたかった。
そんなあの冬の出来事より少し前の、そんなお話               FIN

489 名前:リッサ:6I9RMany [] 投稿日:2007/07/27(金) 03:34:18 ID:E9zzpRL6
以上で終わりです、乱文、長文、グロに今しがたまで書いていたせいで
ろくすっぽ遂行していないことなどお許しください。
読んでくれた方、どうもありがとうございました。

490 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/27(金) 04:59:25 ID:cenfcU5w
>>489
とりあえずsageろ話はそれからだ

491 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/27(金) 06:37:53 ID:agHnXGVV
うーん。投下を見てるとsageとかトリップ等知らないように見える。
まず2ちゃんの使い方を読んできた方がよろしいかと。

492 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/27(金) 06:59:12 ID:wa4eWxbd
まあ、使い方云々はともかく、話しは上々だよ、うん。
少なくとも俺の好みではあるし、
SS書ける力がうらやましいぜ…

493 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/27(金) 16:05:04 ID:bdEtCYs/
>>489
なんかタイトルが兵器の名前ぽいね

494 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 01:10:57 ID:TlNJRqrW
メリッさと言われてすぐにポルノに繋げてしまったのは俺だけでいい

495 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:25:44 ID:W2cxRr6O
眼前の鏡に映る自分の顔は最悪だった。
既に夜着から制服に着替えてしまっているので、規格に従った、整っている印象の制服にたいそう似つかわしくなかった。
目は真っ赤に泣き腫らしており、一睡もしていない疲労からか、目の下にはうっすらとくまができている。
昨日の夜は泣いて過ごしてしまったようなものだから、それは当たり前のこと。
寝起きということも重なってか、平衡感覚がなく、ふらふらしている。さらに悪いことに、さっきから寒気がとまらない。
単に寝不足からくる体調不良という気もしたが、風邪を引いているかもしれないので、後で体温を計ってみることにしよう。

目覚めが悪さをごまかすように洗面台で顔を洗う。
ざあざあと流れていく水の音がやけに耳に響いて聞こえたので、少し目が覚めたのかもしれない。
そして、顔を事前に取り出しておいたタオルで拭い、そのまま居間にむかい、救急箱の役割を果たしている
桐箱の上から二段目の引き出しから、体温計を取り出し、脇に当てる。
それから、テーブルの上にそれとなく視線をやると、一枚のわら半紙が乗っていた。
達筆でありながら、一文字一文字が小さい為にどこか、書き手の気弱そうな性格を彷彿とさせる字は父の字の特徴だ。

そこには、自分は仕事で何日か山口に向かうことと、基本的には家をはずす三日間の間、
契約しているお手伝いさんに家にいてもらうことになっているので、特に心配することはない、などといった内容だった。
その内容をどこか明晰さを欠いたままの状態で一通り読み終えた頃、電子音がした。
脇から電子音の音源を取り出すと、35.8℃。普段、低血圧で低体温な私からすれば平熱といったところのよう。


496 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:27:48 ID:W2cxRr6O
お手伝いさんはこの時刻には来ていないので、自分で用意できる範囲でごく簡単な朝食を作る。
私は基本的に料理は得意なほうなので、特に困ることはない。
寧ろ、料理は食べるほうも作るほうも好きである。
実際に、入院する前は松本君にもかなりの回数、昼食を作っていたりしている。
……失敗した。昨日、あれだけ嘆いていたのも松本君に関してであるにも拘らず、
こんなことを悠長にも思い出して一人、悦に入っているなんて…。
そう、今は彼については何もかも想像することしか許されないことを忘れていた……いや、むしろ忘れてしまいたいのだろうか?
いずれにせよ、現状は不変のもの。だから、そんな想像はもはや妄想とでも言うべき、無意味なこと。仮に一心に『想像』したところでそれが報われることがないのだから。

それならば、いつまでも嘆いていても仕方がないではないか。
とにかく現状を受け入れること。私はあの信じがたかった自転車事故という現実を受け入れたではないか。
それで、私は彼により近づくことができたではないか。
こんなところで躓(つまづ)いてしまうような私ならば、あの時にいっそのこと死んでしまえばよかったのだと思う。
とにかく、昨日、私はあれだけ悪辣な罠や態度に憤慨し、寂寥感に涙したのだ。
もう、感情に流されるのは十二分のはず。
報われない想像をするよりは、より現実的な次善の策を考えることにしよう。
私と彼がよりよくあるために―。
だから、所詮は第三者である、クラスメイトという名の傍観者ごときが何を言ってきたとしても、私は気にしないことにしよう。
例え耳に痛いことが聞こえようとも、今までどおり、相手にせず取り澄ました表情をしていればよい。
仮面舞踏会で仮面をするくらいなんということはないのだ。


497 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:28:54 ID:W2cxRr6O
一時間目は基本的に受動的な動作のみになる、中年の女教師が教える、いかにも型に嵌った英語である。
だから、予習さえすれば問題はない授業なので問題はない。
例によって、始業時間よりも数十分単位で早く学校に来た私は既にノートと教科書といった勉強用具を机の上に広げている。
特別に勉強が好きなわけではないし、英語に思い入れがあるわけでもないのだが、話し相手がいない今の私のする事といえば妥当すぎる選択としか言うよりほかない。
こう言うと、どこか突き放した感じに取れるかもしれないが、こうしているのが一番無難であることを私は知っている。
簡潔な部分と冗長な部分とがアンバランスに積み重ねられている、傍から見ても退屈な教科書の文章をいつもそうしているように、ノートの左半分に写していく。
十分もあればすぐに終わってしまう作業。
ノートの左の黒々とした横文字の羅列と対照的な右の空白部分に、今度は日本語を連ねていく。
電子辞書を片手に長ったらしい単語の意味を見開きの右ページに書いたりもした。


498 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:30:14 ID:W2cxRr6O
"hallucination"という聞き覚えのない単語の意味を電子辞書で引いている途中、教室のドアのガラス部分に、一瞬間だけかなり小ぶりな頭が見えたかと思うと、すぐさま見えなくなり、
左右に開閉する形式の教室のドアの片方が右へと動き、そのドアの半分よりかろうじて高いかどうか、という感じの少女が視界に入った。
………。
その少女の顔には見覚えがあるものだった。相手が何をしに来たのかわからないので、出方を伺うようにしてその小柄な少女に焦点を合わせる。
黒板の拳二つほど上に掲げられている、白い文字盤をやや塗装が剥げている黒い秒針が律動的に回っていく、時を刻む音が妙に耳につき、心を着実にかき乱していく。

「あ、あの…、北方先輩…ですよね?」
怯えた表情が私の警戒心丸出しの態度にあることがなんとなく察せられたが、まだ警戒心を緩めるつもりはない。
「そう、ですけど。」
なぜなら、その少女はつい先日会ったばかりで、例の手紙入りの便箋を持ってきた少女だったから。
「こ、この前は……あの、その、お気の毒なことをしました。」
咄嗟に何を言い出すかと思えば、唐突にも謝罪の言葉が出てきたため、疑問符が頭を埋め尽くしそうになる。

499 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:32:02 ID:W2cxRr6O
「…………。」
「あの手紙にあんな内容が書かれているなんて、知らなくて…。」
「そう。」
特別に彼女に対して思うところはない。しかし、本人がこういっていても彼女自身はあの害物の伝書鳩をするくらいなのだから、当然親密な関係にあるのだろう。
だから、呪詛の言葉の一つでも投げかけてやりたい気分ではあった。
そんな直情径行気味な自分の感情をとどめ、とにかく相手の話を最後まで聞くことにする。
「ええと、私は、ただ単に理沙ちゃんからこの手紙を渡してくれと頼まれて、先輩に渡しただけなんです。」
「理沙ちゃんは私の仲良くしてる友人の一人で、疑うことなく、先輩に渡しただけです。本当にあのときの理沙ちゃんの態度は、私といつも話しているときと変わらない感じだったので、何も気づかなかったので……すみません。」
「そう。」
機械的に聞いたことを把握した、という意味合いでそう、という語を用いたが、彼女が話している内容は、自分はこの件に関して何も関係する所がなかった。
だから、私のことをうらむような理不尽なことはやめてくれ、という所だろうか。
「言うことはそれだけかしら?」
彼女が私の発言を欲しているのは、とっくに洞察してはいた。けれども、ここで彼女に優しくしてやる謂れはないので、思った疑問をさらりと口に出した。

500 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:33:29 ID:W2cxRr6O
「あの、お、怒っていますか?」
「私の言っていることが聞こえないのかしら?言うことはそれだけかどうか、ということを私は質問しているのよ。」
再び一瞬の沈黙が二人の間に壁となった。
沈黙のせいか教室の外、校庭のテニスコートに面している窓を通じて、テニス部が練習をしながら発する掛け声が耳に入った。

少ししてから彼女は口を開いた。
「す、すみません。」
見るからに申し訳なさそうな心持ちがその恐々とした動作から窺い知れた。
が、それは私を不快にする以外の効果をもたらさなかった。
それで私はため息をついてから、再び口を開く。
「本当にそれだけなら、あなたの言いたいことは理解しましたから、それで結構でしょう?」
早く去れ、というニュアンスの言葉を解りやすいようにアクセントをつけて言うと、わずかに震わせていた肩の振幅が大きくなった。
「わ、私、理沙ちゃんがあんなことをするなんて、思わなくて!」
が、息を吸うと彼女は意を決したのか、ややどもりながらも感嘆符がついた発言をした。
「だから、私もスタンガンで襲うなんてショックでした。と、ともに正直なところ、嫌気が差しました。」
「それで、私自身としてはとにかく先輩に謝りたいと、そう思ったので、僭越でしたが申し訳ありませんでした。」
気づけば、小ぶりなランドセル風のバックを持った彼女はその震えが止まり、はきはきと発言していた。
「わかったわ。あなたが私に悪意を持っていないことは理解したわ。」
彼女自身が私に害意を持っているか否かは本心ではどちらでも良かった。

501 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:34:52 ID:W2cxRr6O
けれども、彼女自身がこちらに罪悪感を持っており、あの害物に親しい、という二点の特徴から、私はあることを思いついた。
「理解はしたけれども、これから私が言うことをあなたは聞いてくれるかしら?」
「は、はい。」
考えなしに、即答したようだ。ということは、それなりにこちらの要求を聞いてくれるかもしれない。
「単刀直入だけれども、あなた、松本さんの友人なんですよね?」
「は、はい。よく、話していますが。」
「それなら、私に彼女について、何か変わったことや疑問に思うことがあったら、私に知らせてくれるかしら?」
「………あの、それは、私にスパイになれ、ってことですか?」
「……嫌なら無理に、とは言わないわ。」
「………わ、解りました。気づいたことがあれば、伝えたいと思います。」
しかし、そうは言っても相手は名前すらわからない相手なので、名前とクラス、住所、電話番号くらいは聞いておくことにする。
すると、彼女はテレホンカードほどのやや固めの紙に氏名や住所と言った項目を書き連ね、それを手渡してきた。

502 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:36:02 ID:W2cxRr6O
そのカードに書かれている内容を一瞥してから、背丈が著しく低い彼女に丁度良いように手を差し出して、握手を求め私は言った。
「ご協力ありがとう、……村越、智子さん。」
「……は、はい。」
相も変わらずどもっていたが、差し出された手を握り返す彼女の手に込められている力は、協力の意思があると十分にみなせる、確固たるものだった。
次に彼女は返す刀で一つ要求を提示してきた。
「できれば、できれば、ですが、先輩も松本先輩の状況を教えていただけませんか?」
私の要求を呑んだ上なので、わたしがこの条件に逆らわない、そう思っていたのであろうか。
これを交換条件とみなす、と解釈するならばこの条件に私は抗うことはできない。
何故、松本君と何にも関係がないはずの彼女がそのような要求をしてくるのか、それを理解することができなかった。
しかし、彼が退院するまでの間は協力できる人間は他学年であっても、一人でも多くいたほうがいいかもしれない。
「わかりました。よろしいでしょう。」
すると、私に話しかけてきたときから、否、おそらく私に話かけようと決意したときから、緊張し収斂していたであろう肩を一気になでおろし、大きな偉業を成し遂げたかのような満足感が醸成されていた。

503 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:38:00 ID:W2cxRr6O
本当にこうまでも、線を引いたようにわかりやすい子であることに驚き、呆れに近い驚きを感じた。
しかし、本当に彼女がこちらから情報を得ようとする真意が計り知れない。
そう考えると、彼女特有のあのおどおどとした、頼りなさげな印象を見る人に植え付ける、その言動の一つ一つすら疑わしく思えてくる。
この子が天然でなく、全て計算のうちで動いているという確証になりえるほど、今までに彼女について何かを知っているわけではない。
けれど、このとき私は直感的になぜかこの眼前の付和雷同、協力者としては心もとない、不安この上ない茫漠とした彼女が恐ろしい存在になるのでは、
という既視感のような何かに支えられたはっきりとした予測ができた。

訳もなく人を疑い続ける、という心の闇は私は紛れなき悪徳だと思う。けれども、どんな状況にも転びかねない私の置かれている今の状況を背景とすると、それを私は悪徳と断じることができない。
そんな事を考えていると、ランドセルのような学校の規格外の洒落たバックを持つ、村越という名の少女の姿はどこにもなかった。

時計の刻む音はもう耳につくこともなく、教室は静謐としていた。
……そして時計を覗くと、針は始業十五分前を指していた。
にも拘らず、教室は依然として静けさの中にあり、微動だにしない。外のグラウンドでは運動部の連中が練習している姿もまばらなものとなっていた。

504 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:40:42 ID:W2cxRr6O
ふと、私はあることに気がついた。
そして、並べられている机を教室の後ろから全体的に見回す。
いつもなら運動部の人間は一二限目の授業道具やら、休み時間の話しの種になるものやらを机の中や上に置いておいたり、
単純に鞄を横のフックにかけていたりしている。
しかし、今日は一人としてそうしているものがいない。また、部活が終わったはずの連中がこのクラスに一人もいないのもおかしな話。
私のクラスだけならばそのようなことがあると言えるかも知れないが、他クラスも同様のようだ。

そんな事を確かめた所で、急に教室の後ろのドアが開放された。
私のクラスの学級委員のめがねをかけた女子が私の存在を確認すると、語気荒く私に怒鳴りつけてきた。
「北方さん!今日は、が、学生総会ですよ!いったい、あなたは何をしているんですか?
議員のあなたには学校の問題点に関して指摘と質疑を行う役割が割り当てられているんですよ!
あなたが来ていないことで、議事が進まないなんていうことは許されない!
それに、あなたは議事に際して、質疑の内容を記した討議用紙を先生に提出していませんよね!
とにかく早く体育館に来なさい!」
私にはいったい何のことを言っているのか、全く解らなかった。
学生総会の存在自体は知っていたものの、討議用紙の存在はおろかそんな重要な仕事をなさなければならないことなど、露ほども知らなかった。
おそらくこういったことはLHRの時間に決めたのであろうが、私は全くそんな事を聞いていない。
私が知らない間に私が面倒な仕事をすることが決められている、という予期せぬ事態に戸惑いを隠せない。

505 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:42:46 ID:W2cxRr6O
手を万力のような強さで学級委員に引かれながら、体育館に連行されていった。
既に同学年のクラスの人間はほぼ全員揃っているようで、それぞれのクラスの議員は既に準備を完了していることも察するることができた。
学級委員は私を連れてくる、という独善的な自己満足と言ったほうが正しい、義務を果たして得意な表情をしていた。
それが非常に癇に障るものであったが、それに私が狼狽するのも馬鹿馬鹿しい。
そもそもこの議事に関しては松本君の為に私が休んでいた際に決められていたものであるらしく、
私への連絡不十分であることを知り、担任の田並先生は憤怒の形相を呈していた。
なみなみならぬ怒気を帯びた担任の声が響く。そして、多くのクラスメイトは顔を伏せて嵐が過ぎ去るのを待っていた。
が、多くのクラスメイトの敵意ある視線を私にちらちらと向けてきていた。
理不尽だ。私が話したこともないような連中の罠にかかって、こんな風に敵意を向けられるなどと―。
当然、納得はいかない。しかし、私は彼ら大多数とは違って、スケープゴートとなってしまっているため、ただ田並先生の嵐が過ぎ去るのを待つだけでは解決しない。
まさか、私に決められていた議員役を他人にすることなどできまい。

一番の良策は私のクラスは議事を放棄する、ということであろうが、私が言ったところで認められまい。
またしても崩れてしまいそうになる。
仮面、寧ろ、鍍金に近いのだろうか、その鍍金がはがれてきてしまいそうだ。きっと、私がこんな理不尽な仕打ちを受けたとしても松本君が傍にいてくれれば、私は自分を保つことができる。
彼だけは、彼だけは私を理解してくれるはずだから。
理不尽な目に遭っていてどうしようもない事態であった、ということが聡明で思いやりのある彼ならば気づかないわけがない。しかし、ここには私の味方が一人もいないから―。
だから、貴金属に見せかけた卑金属は鍍金がはがれて、脆くもその存在する意味を失ってしまう……。

506 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:44:41 ID:W2cxRr6O

そうこうしている内に、何か良い方策を考えつくことなく、議事開始の時刻を迎えた。
田並先生は私に思いつくことを言うだけでよいから、と言ってきたが、本来、生徒による自治を創立以来何よりも尊んでいるこの学校の学生総会の議論は異常なレベルにまで白熱することがある。
思いついたことだけならば、簡単に揚げ足を取られかねない。

体育館内、ステージ前に数脚配置されている議員の定位置である長机のうち一年のクラスの議員の中に、あの名前を出すのすら忌まわしい害毒がいることに気がついた。
相手は既に、私の存在に気がついているようで、こちらを凝視していた。

それから二時間もの間、学校内に関しての議論が繰り広げられた。当初は最低限の発言だけ済ませて、じっとただひたすらに、嵐の過ぎ去るのを待とうとしていた。
しかし、この作戦もあの害毒によって封じられた。
概して生徒はこういった学校内の細々とした議論には興味がないものなので、何とかやり過ごすことができるかと思ったが、執拗な個人攻撃に近い揚げ足取りと、
事前に協力していたと思われる一年と二年の他クラスの三人から、つまり四対一の集中攻撃を受け続け、どのように発言しても、必ず否定してきた。
私の論に対して反証をしようというのではなくあくまでも私に対する反対であった。
この様子を見ていた私のクラスメイトは怒りをあらわにするどころか、私を嘲笑の対象としていたようだ。
全く予想できなかった状態ではなかったが、私にとってその苦しみは今まで経験した、母の虐待と同等に辛いものであったとすら感じる。
価値観を共有しない彼らの言うことなどに耳を貸さないつもりでいても、当然のことながら無傷ではいられなかったのだ。

507 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:46:53 ID:W2cxRr6O

二時間目が終わり、休み時間になると、私の姿を見てヒソヒソと話していたクラスメイトの刺すような視線が耐えられなくなり、考えることなしに屋上に向かった。
少し風に吹かれたかった、ただそれだけである。
不快だったが、終わりがなかなか来そうにない梅雨の湿って生暖かい空気が頬をなでていく。グラウンドからみえる新緑が目にしみるほどに美しい。
しかし、私は視線をそこから離し、グラウンドを離れ、校門を出て、住宅地を飛ばし、やや小高いビルを望んだ。
そこは、私にとっての唯一の心の支えとなってくれる人がいる場所―。
しかし、今の私は会いに行くことができない。そこに行き、逃げてしまいたいという欲求は強い。しかし、その奔流を理性をダムとして抑える。
相手は約束を守らないだろうが、そうなると私は尚の事、その約束を反故にすることはできないのだ。

私はそう思いながらも、ある事実が心に引っかかっていた。
曰く、父は三日間の間、家を離れてしまっているため、私の行動を把握できない、ということ。
もし、それを生かすとしても、この三日間という限られた時間だけ。
ならば、行動に移るのは極力、早くしなければならない。

しかし、私には約束を破ることに臆したわけではないのだが、その行動に踏み切る気が起こらなかった。
私の問題を彼に波及させて余計な心配をさせてしまうわけにはいかない、と思ってしまったから。
私は以前、私は自分を癒してくれた彼にとってのオアシスとなりたい、そう決意した。
そのため、私は踏み切ることができなかった。


508 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:48:02 ID:W2cxRr6O

放課後、小高いビルの中にある一階の狭小な部屋は一人の来客を迎えていた。
それは、この部屋の主の妹であった。
「ねえねえ、お兄ちゃん。」
「うん?どうしたんだい?」
年上の兄は身体に傷を負っていたが、妹に優しく問いかける。
「お兄ちゃん、この本はどうしたの?」
テレビの近くに置かれていた、真紅の本の金文字を上から指でなぞりながら、妹は兄に尋ねる。
無粋なこの部屋のしつらえと乖離し、浮き上がってしまっているその本を妹が見つけ出すのは容易なことであった。
「………。」
兄は何かを案じるように顔色を一瞬だけ歪めるたが、すぐにいつも通りの表情に直し、自分がかつて買ったものである、と妹に告げた。
それを聞くと、妹はその本を取り上げ、愉快そうな表情を浮かべながらページをめくっていった。
しかし、妹は知っていた。

その本が自分の敵の本であることを―。
その本を自分の兄が既にいくらか読んでいることを―。
その本の内容が自分たちの状況にいくらかでも似通っている、ということを―。

だから、彼女はその本の中に登場する人物と自分とを重ね合わせて微笑んでいたのだ。
本の中途にしおりが挟まっていることに気がついた。
自分の兄がしおりを使っていることをあまり見たことがないため、妹はそれをいぶかしんだ。落ち着いた色合いの洒落ているこのしおりが兄のものでないことがわかった。
そして、この本の所有者が自分の敵であることから類推して、このしおりの所有者が誰であるかも、想像がつく範囲であった。


509 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:49:26 ID:W2cxRr6O

それは一瞬のことであった。ビリビリという厚めの美しい紙でできたしおりがあっけなく破れていく音が生々しかった。
そのしおりは兄にとって特別なものであったらしく、唖然として間が抜けた表情のまま、兄は動かなくなっていた。
「どうしたの?お兄ちゃん。」
「このしおり、だったら気にしなくていいよ。私が持っているもので、もっと良いしおりがあるからそれをお兄ちゃんにあげるし、そんなものは必要なくなる。何でだと思う?お兄ちゃん?」
「………。」
あはは、と笑い声にしてはやや乾いたような印象の笑い声を上げると、まじめに考えてよぉ~、と妹は兄に甘えた。
それから、ややまじめな表情に妹は立ち直ってから言った。
「私が傍にいて、本は読み聞かせてあげるから何もしおりなんか、使う必要なんてないんだよ、お兄ちゃん。」
そう言い放った後、妹は兄の傍にじりじりとにじり寄っていった。
その妹に兄は少なからず恐怖感を覚えたのか抵抗していたが、身体が本調子でない兄は妹の思うがままであった。
やがて、妹はベットの上に正座し、そのひざの上に兄の頭を乗せた。
膝枕をしながら、妹は兄の為に自身と登場する人物とを重ね合わせている特別な本を読み始めた。
そう、それはあたかも、自分が敵である北方時雨を倒して、自分だけが兄の傍にいられるということをはっきりと宣言しているようだった。


510 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 02:52:02 ID:W2cxRr6O
第12話でした。


511 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 04:11:17 ID:T3/e5xuC
GJ!

512 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 04:16:03 ID:yG+h7V7t
GJ!
ずっと理沙のターンで、北方さんカワイソス

513 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 07:54:10 ID:8IEOkKMg
>>510
ああ、妹が憎たらしいw
北方さんガンガレ超ガンガレ

514 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 15:31:03 ID:4i872suh
十数年たった今でも最凶

ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm314985

515 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 23:20:07 ID:s/PBkOFF
ヤンデレスレがなかったのでここに書き込むが・・
リトルバスターズの神北 小毬がほんの少しだけヤンデレだったw
いや、主人公の事を想って病んでいるわけじゃないから
ただの痛い人かな

516 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/28(土) 23:26:10 ID:H1o/blrY
>>515
エロゲ板から来たのか?

ストーカー・キモウト・ヤンデレヒロイン総合スレ
ttp://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1176207104/

517 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう[sage 嘘] 投稿日:2007/07/29(日) 20:19:04 ID:G+ZFAkPb
保管庫の中の人です。
すいません。民主党の圧勝にショックを受けたので、もうしばらく更新は遅くなります。







とか言ってみるテスト。

518 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 20:59:57 ID:ithsvro7
> 517 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう[sage 嘘] 投稿日:2007/07/29(日) 20:19:04 ID:G+ZFAkPb

> 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう[sage 嘘]

> [sage 嘘]
> [sage 嘘]
> [sage 嘘]


519 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 21:02:23 ID:zn56YqIN
うれしい?

520 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 21:28:17 ID:i5eutP1B
どう反応すべきか迷うんだけど☆

521 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 21:52:43 ID:/LtHcPyR
投下します。


522 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 21:53:35 ID:/LtHcPyR
「みぃーくん。気がついた?」
気がつけば、僕は先輩は衣類が散らばるベッドに縛られていた。
腕と足首をロープで巻かれ、体の自由を奪われた僕。服は乱暴にはだけられている。僕についている布はボタンの開いたカッターシャツとトランクスだけだった。
「……うっはっ」
そんな僕に、先輩がのしかかっている。
先輩の姿は裸だった。白くぷるりと光る先輩の汗ばんだ肌が、ベッドの横の間接照明を反射させている。目線を外に向けようとする。首は動かないが明るさはわかる。
暗い。夜。この証明が無ければ真っ暗闇。
「みぃーくん。おはよう」
「……!」
先輩っ。僕はそう呼ぼうとするが。声が出てこない。喉から出てくるのは、しゅこしゅこという空気を吐く音だけ。
先輩はそんな僕の頬を愛しそうに撫ぜる。その指先一つ一つが僕の肌に触れるたびに、僕の心臓が爆発しそうなほどの早鐘を打ち始める。
体が燃えそうな熱を放ち、熱くなっていく。
僕は焦って、口をパクパクさせながらよがるが、先輩はそんな僕を見てただ笑っている。
その笑みはまるで自分の策略が上手く言った策士のごとく、黒く、舌なめずりをして自分の欲望をさらけ出している。
僕の下のほうが熱くなって起立し始めると、先輩は情欲に染まった瞳をさらに潤ませて、もう片方の手を僕の規律したものに這わせる。
愛しげに上下にさする先輩の手。その力強く膨らんだものに満足したように先輩は僕に向かって囁きかける。
「えへへ。効いてるね」
な、なにが?
僕は声が出ない分、視線で先輩に聞くしかない。先輩は僕のほうを見て静かに笑う。
「これ」
そう言って、先輩が取り出したのは。一本の注射器。
「……なんだと思う?」
僕に向かって訊いてくる先輩の無垢な笑顔が怖い。
「……あぐあぐ」
「うふっ」

ぷすり。

「……!」
先輩はなにも説明せずに、僕の首元に注射針を刺した。
空気抜きも無し、さらには消毒も無しの乱暴な注射。首にちくりとした鋭い痛み。僕は恐怖で先輩の目を見つめたまま固まってしまって抵抗も出来ない。
「うふふふふふふふ……」
先輩が抑えきれない興奮を溢れる不気味な笑み浮かばせながら何かを注入してゆく。
「……はっ、うぅ!」
何を僕の中に入れてるんですか! 先輩! じたばたしたいが、弛緩しきった体はいうことを聞かず、のしかかっている先輩の体でさえどかすことが出来ない。
しばらくそのまま数秒たって、きゅぽんと注射針が抜かれた。先輩は僕に空っぽの注射器を見せ付けると、ぽぉいと投げ捨てた。注射器の使い方としては0点だ。
「うふふふ、こんどは即効性だよ」
もしかして、この力が入らない体は、もしかして今の薬のせい? 先輩の言葉から、僕の体にはすでにこの薬を注入しているようだ……しぃ……?
「……あぁ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁ」
なんだっ。なんだ!?
先輩に注入された部分、体の部位が熱くなっていく!
「ああああああ、あああ、ああ」
体の中の血液の流れが一気に加速する。そして、首もとの熱源が分裂し、血液の流れに沿って体中を移動していく。
獲物を誘い込む毒物のように甘くて魅惑的で狂ったような感覚。その感覚を自覚したときにはもう僕の首から下は、完全に別の何かに支配されてしまった。
「うふふ。ビクンビクンになったね……」
何かを注射された僕の体は、感度がものすごく上がり、先輩と接触した肌、先輩の息遣いに大きく反応するようになった
「いいでしょう。コレ……いっぱいいっぱい気持ちよくなれるおくすりなの」
そう言うと先輩ははだけられた僕のカッターシャツごと、乳首に吸い付いた。一つしかない口は右へ。もう片方は残ったほうへ。
僕に対しては100戦練磨の先輩。僕の快楽のツボを的確に抑えていた。
「いぎぃぃぃぃ!」
僕の脳内に麻薬のように分泌される激しい快楽の痛みと刺激。
そして、先輩に撫でられた僕のトランクスに包まれ半立ちとなっていたアレが、突然意思を持ったようにトランクスを突き破らん勢いで頂点に向かって膨張し、僕のトランクスの股間部分に大きなテントを作り出したのだ。
まるで昇り龍ごとく、天に向かって吼えるように起立するアレ。
さらに、アレはびくりびくりと震え口からよだれ汁を噴出し、僕のテントの頂点はみるみるうちに色を変えてゆく。
「あうぅうあうううう」

523 名前:一週間 火曜日とその後 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 21:54:58 ID:/LtHcPyR
「うふふ。何度も使うと中毒になっちゃうんだって。でもいいもんね、私だってみぃーくん中毒だし。みぃーくんも中毒になっちゃっていいもんね」
「あうぃううう」
せんぱい、わけがわかりません。
あ、あれ…だんだん視界がぼやけてきた。靄を張ったように先輩の顔がかすみだしてくる。先輩は僕のほうを見つめながら狂ったように笑っていた。
「好き。好き。大好き。だいしゅき……」
「えんはぁい……あぅう」
せんぱいってよびたかった。でも声は出ない。そのうち僕のしかいとともにのうないの理性もとろけだしていく。
とろけ、とろけ、とろろ、せんぱい? せんぱい? な、なんだこれ、あ、あたまが、あたまがおかしくなるっ。
ああ、あああああ、ああああああああ。
あ……あぅ、せんぱいがぼくのあれをにぎりだした。トランクスにてをつっこんで、あう、あう、あう、しごいて、しごいて、しごいてくれてるぅ、き、きもちいい!
あれ、なんだかなにもかんがえられなくなってきた。ぼくのあたまのなかがきもちいいことでいっぱいになってゆく、しごいてくれるせんぱぁい。あうっ、あうっ、せぇんぱい、きもちいいよぉ。
「よだれ出しちゃって、可愛い。ねぇ、みぃーくん。みぃーくんはあたしのものだよ。だからいっぱいいいことしてあげる」
いいことぉ、いいことぉ。きもちいいこと、うん、して、してぇ! もっとしてぇ、もっとしごいて、しごいてぇ!! もう、せんぱいならなにされてもいいですからぁ!
「もう何も考えられないって顔してるね、そうそう、みぃーくんはそんな風に私に可愛がられていればいいの」
いいよぉっ、こんなきもちいいのぉ、うまれてはじめてぇだよぉ、しゅごしゅご、しゅごしゅご、せんぱぁいきもちよすぎぃいぃ! どんどんやってぇ、どんどんしごいてぇ、どんどんめちゃくちゃにしてぇくださぁい!
「震えてるね、いっぱいいっぱい出したいんだね。いいよ、出しなさい。出したらご褒美にもう一本注射してあげる」
ほぉんとに!? もっときもちいいおくすりくれるんですか!? うん、いあっぱいだします! いっぱいせんぱいにあげますっ。びゅくびゅくします、びゅく、びゅく、びゅく、
くる! びゅくびゅくがぁ、せんぱぁい、きます! だから、おちゅうしゃおねがいしますぅ、びゅくびゅくびゅくびゅく!? びゅく! びゅく!びゅく! おくすりぃー!
「あわぁはぁはぁわぁはわぁぁぁああああああ!!」

どびゅる、どびゅるるる、びゅくり、びゅくびゅくびゅくっ、びゅるる! どびゅるるるるるるるるるるる!!

………。

「ただいまー」
「ただいま」
玄関を開けて、僕は部屋に帰ってくる。
僕の後ろから先輩も入ってきた。この部屋はもはやほとんど僕と先輩の共同生活の部屋と化しているため、先輩も「ただいま」と言うんだ。
先輩は玄関のドアを閉めると、いつものように冷蔵庫に直行し、中から牛乳パックを取り出した。その間に僕はスーツを脱いで壁にかかったハンガーにそれをかける。
ごきゅごきゅと先輩の牛乳を吸引する音が響いていた。
「ぷはぁ、うまい!」
先輩は毎朝仕事に出るときと、仕事から帰ってきた夜に飲む一本がたまらないらしい。
「ふんふふふん♪」
先輩は鼻歌を歌いながら冷蔵庫の中に牛乳を仕舞う。
それを聞きながら僕はネクタイを外して、カッターシャツを脱いで、ズボンを脱いで……。
先輩が手馴れた動作で、注射器と注射液を取り出す。
その横で、僕はタンクトップも脱いで、トランクスさえも脱ぎ捨て……。
「先輩、お願いします……」
「うふふ。ちょっと待っててね。今用意してあげてるから」
注射液からちゅうと吸い取って、空気が入らないように何度か振る。ぴゅくちと先端から薬品を滴らせる。

僕も毎朝仕事に出るときと、仕事から帰ってきた夜に打つ、一本が、とってもたまらない。

「先輩………」
「ふふふ。みぃーくんったら。もう……」
先輩は裸になった僕の姿を見つめて満足そうに微笑むと、僕を正面からぎゅっと抱きしめた。
「「大好き」です」
そう言い合うと、先輩は僕の首筋に注射針を押し付けたのだった。

(おわり)


524 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 21:57:28 ID:/LtHcPyR
注射器は素人が簡単に扱ってはいけません。

よづりでヤンデレのペースが崩れてしまったので、定番ヤンデレを書いてみようと思って作りました。
簡単に作ったものなので穴があるかと思われますが、ヤンデレ分の足しになればと思います。

525 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 22:13:49 ID:eIdo9BIH
GJ!
薬漬けとは・・・恐ろしい子・・・!

526 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 22:15:20 ID:iW9NqniU
>>524
( ;∀;)イイハナシダナー
先輩もみぃーくんも末永くお幸せに!


……あれ? 何か間違ってますか?

527 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 22:25:39 ID:SIRWndo4
やっぱハッピーエンドが一番だな!GJ!

528 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 22:47:54 ID:vksW/QpJ
>>524
GJ!
二人とも幸せになってくれて良かったぜ。
これは道徳の教材にするべきだろう。

529 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 22:56:14 ID:seghkpaw
/.   ノ、i.|i     、、         ヽ
i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
|   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|
iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
.i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
丿 `| ((  _゛_i__`'    (( ;   ノ// i |ヽi. _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ―――
/    i ||  i` - -、` i    ノノ  'i /ヽ | ヽ     |    |  /    |   丿 _/  /     丿
'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ
ノヽ、       ノノ  _/   i     \
/ヽ ヽヽ、___,;//--'";;"  ,/ヽ、    ヾヽ



530 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/30(月) 00:14:48 ID:7LHBpXbv
>>524
GJです!ハッピーエンド最高!!

531 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/30(月) 00:30:34 ID:6ltznKrV
>>524
一週間禁欲しただけでハッピーエンド
迎えられるなんて、ほかのヤンデレ系
主人公たちがハンカチ噛み締めて羨ましがるぜw

532 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/30(月) 01:17:58 ID:rkxdq54h
ちょっと引っかかるといえば引っかかるけど
まあ、これがヤンデレ流のハッピーエンドなんだろうな・・・

533 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/30(月) 11:57:45 ID:0rc14Ltz
>>531
そのハンカチは両端が頭の後ろで結んであるんだよな

534 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/30(月) 12:26:54 ID:qSrNdYIo
>>533
誰が上手いこといえとwwwww

535 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/07/31(火) 04:26:16 ID:nRlPwZDf
>>524最高のハッピーエンドにGJ!!
そういえば最近>>524のSSハッピーエンドじゃないよなと言っていた友人見かけないなぁ・・・

まさか・・・な・・・

536 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/31(火) 12:37:44 ID:q/P7rLy4
>>535
その友人はきっと今ごろハッピーエンドを迎えてるところだよ
羨ましい限りだ

537 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/31(火) 16:01:18 ID:I+PRrxTu
すまん、ちょっといいか? 童話をパロった作品を書いているんだが
原作は米国では著作権が切れてないらしい。bbspinkのサーバー設置場所って
米国だった気がするんだけど、これって著作権違反か?

538 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/31(火) 16:03:34 ID:I+PRrxTu
ごめん言葉が足りなかった。上のは、このスレで書いたらって意味ね


539 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/07/31(火) 19:38:37 ID:I+PRrxTu
すまん。自己解決した。スレ汚しすまんかった
以下なにごともなかったようにドゾー

540 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/01(水) 01:35:58 ID:74JY9yZT
「法律なんか守ってたら恋愛は成就しないのよ」ってばっちゃが言ってた!
その後ろでじっちゃは震えてた。

541 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/01(水) 02:03:48 ID:lpQyShSS
>>540ばっちゃ何したのさwww

542 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/01(水) 12:57:51 ID:mJL3Ql5K
>>541
とりあえずナニをしたのは間違いないな

543 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/01(水) 16:09:15 ID:81FtVES+
法律を守らなかったんだよ
具体的には民法734条

544 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/01(水) 19:55:57 ID:j30Yq31H
>>540
ばーちゃん・・・(((;´Д`)))ヒー

うちのばーちゃんは昔の女は結構独占欲が強かったって言ってた。

545 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/01(水) 22:49:21 ID:g8h1r5o+
今日の仰天ニュースはヤンデレでしたね

546 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/01(水) 22:59:44 ID:S3HOu2PY
いいえ、あれはただのボーダーでした。

547 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/01(水) 23:05:27 ID:yWJ61qf/
>>544
大正ヤンデレ浪漫なるものを妄想した

548 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/01(水) 23:41:47 ID:DUIbhsxK
ヤンデレとボーダーってどう違うんだ?

549 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/02(木) 00:08:56 ID:OAJ/20cc
ヤンデレ・・・それは愛故の凶行


550 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/02(木) 00:13:29 ID:Tgxh7Yvb
ttp://www.deborder.com/border.html
このページの三段落目あたり