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1 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/10/20(土) 23:26:32 ID:UvcGtOhK
ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。

■ヤンデレとは?
・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
→(別名:黒化、黒姫化など)
・ヒロインは、ライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつだが確実に病んでいく。
・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することもある。

■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫(本保管庫)
http://yandere.web.fc2.com/

ヤンデレ臨時保管庫 @ ウィキ(臨時保管庫)
http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/

■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part10
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1189967712/

■お約束
・sage進行でお願いします。
・荒らしはスルーしましょう。
削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
・作品はできるだけ完結させるようにしてください。





2 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/20(土) 23:31:18 ID:b5sg+Dw6
>>1
おつ

3 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/20(土) 23:59:23 ID:7Au7SI8y
>>1
GJ

4 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/21(日) 00:47:43 ID:dysZ5bzK
>>1


5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/21(日) 04:36:41 ID:l2Y2j/mr
>>1乙

6 名前:名無しさん@ピンキー[SAGE] 投稿日:2007/10/21(日) 07:14:15 ID:LYss9DEW


7 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/21(日) 09:03:55 ID:p7SlmnIC
>>1
乙ー

8 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/10/21(日) 23:33:10 ID:CSIWB/IF
投下します。

9 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/10/21(日) 23:34:41 ID:CSIWB/IF
……瞼が重い。眼の周りだけ重力が倍になっているのではないかと思うくらいに。
こんな感覚は久しぶりだ。いつも朝の目覚めは良かったからな。加奈を起こしに行くことを考えれば当然だが。
――加奈。
もう、起こしに行くこともないのかな。
別に極楽浄土なんて信じてないけど、俺が今こうやって思考しているということは、少なくとも死後に世界があるという証拠だ。
そしてそこは、俺と加奈以外誰もいない、俺たちだけの楽園だ。
学校に行く必要もないし、その上、加奈とずっと一緒にいられる。誰からの干渉も受けず、真っ直ぐな加奈と永遠を過ごせる。
――最高だ。
これが俺たちが目指していた到達点だ。お互いに絶対の信頼を持って、疑心なんて言葉とは無縁の生活を送ること。
俺たちはこれでやっと、“本当の恋人”になれたんだ……。
加奈も喜んでいるだろう。笑顔で迎えてくれるに違いない。早く会いたい。抱き締めたい。
だから、億劫だが起きよう。それに、さっきから何だか鼻と口の付近がくすぐったいし。
「……」
まず視界に飛び込んできたのは、瞳だった。濁りのない綺麗な黒色が、ガラスらしき物を隔てて俺に注がれていた。
その色彩は、真夜中の海のようだ。
暗闇という圧倒的な恐怖と、僅かに天から降り注ぐ月光の安心感とが織り成す、際どいバランス下での演出。
危険と安全という相反する二つの道のどちらをも選べるということから生じる偽りの自由が、被保護欲をそそる。
そのまま溶けていきたいとさえ思える甘い罠――今俺を見ている瞳からは、そんな感覚が伝わった。
こんな目をしている人を俺は知らない。一瞬で足場を失う危機感を覚えさせたその事実を打破したい一心で、視線を逸らした。
「目、覚めましたか」
心底から安堵したことがわかるほどの大きな溜め息と共に、俺の耳に声が染み込んだ。
それは、聞き慣れていて、且つ忘れられる筈がなく、忘れてはいけない声。
ただ、その透いた声から伝わる穏やかな感覚は、俺にとって初体験としか言い様がなかった。
不快ではない違和感――矛盾している気がするが――を覚えつつ、俺は視線を先の所へと戻した。
「随分可愛い寝起き顔じゃありませんか」
俺の顔に触れるか否かまで迫っていた瞳は既に離れていて、そのおかげで全体像を捉えることが出来た。
その瞬間、確信は俺の中の事実へと姿を変えた。
「……島村……」
「ほっぺた引っ張りたいくらい可愛いですよ」
島村由紀だ。
ここ数週間、加奈以上に俺を翻弄し続けた存在であり、加奈以外で初めて俺のことを好きだと言ってきた存在でもある。
人畜無害な表情の裏に加虐的且つ好戦的性格を秘めている彼女は、しかし、非常に脆い一面をも持ち併せていた。
そこをピンポイントで突いた俺の告白が、彼女を変えてしまった――筈なのだが。
寝起きの靄掛かった頭の俺が見る限り、島村は『島村』だった。
俺の加奈だけが好きという言葉を捻曲げて、歪んだ思考回路の下『加奈』になるという凶行に走った島村はどこにもいなかった。
目の前にいるのは、黒の短髪に若干大きめの眼鏡を掛けた、島村由紀という“唯一人の少女”だけだ。
勿論、『痕』が消えた訳ではない。目元を隠していた長い前髪は額を隠す程度に切り揃えられてしまっているし、胸もない。
髪と胸……どちらも女の子にとっては命と同価なほどのものだろうに、俺なんかを好きになってしまったが為に……。
「誠人くん、病み上がり早々他人の胸を凝視するというのは、あまり感心なりませんね」
「……」
「ノリ悪いですね」
「……別に」
「……全く」
はぁ、と大きな溜め息をついた島村は、考えの読めない黒い瞳で俺の顔をなぶるように見つめてきた。
そうすること数秒の後、何を思ったか、島村は突然俺の体にのしかかってきた。
左腕で俺の首を固定し、体を隙間を作るまいとするかの如く摺り寄せてきた。
そして、いつからか影を潜めてしまった挑発的な視線で俺を見下ろしてきた。というか、見下しているように見える。
「……何を嬉しそうにしてるんですか」
「違うよ。お前に見下されるのを、懐かしく思っただけだ」
「それ、どういう意味ですか」
軽く俺の頬を叩いた島村は、一瞬柔らかく微笑んだ(ように見えた)が、すぐに口の端を吊り上げ元の余裕溢れる表情を浮かべた。
「ま、誠人くんがマゾだなんてことは分かっていたのでいいんですが、本題は別にあります」
ツッコまなきゃいけないとは思ったが、表情の自由奔放さとは裏腹に真剣味を感じさせる声を前に、ふざける気は失せてしまった。
「感じてますか、私に――罪悪感を」

10 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/10/21(日) 23:35:34 ID:CSIWB/IF
――罪悪感。
繰り返してきた自問の中で、特に多く出てきた言葉。
頻出する余り、頭が麻痺して、その意味を見失しないそうになった単語。
何に対して、誰に対しての感情なのか――常にそういうことを理解していなければ、真の意味で“感じた”と断言出来ない重い感覚。
それを、俺が島村に……。
「……」
「答えなくても結構ですが、もしそうだとしたら……私の為にも、誠人くんの為にも、やめて下さい」
今度こそ、島村は声にぴったり噛み合った真面目な表情で言った。
細めた目からは、非難とも心配とも取れそうな視線が注がれている。
試すかの如く俺の瞳を捕えて離さない島村のそれが、金縛りの被害妄想までもを誘発しそうになるのをうっすらと感じる。
無言のまま膠着状態が続くが、やがて全て悟ったように「ふっ」と息を漏らした島村は、ゆっくりと俺の体から離れていった。
そして若干乱れた制服を直す。
「私、誠人くんが思っているほど、情けない女じゃありませんよ」
「別にそんな風に俺は……」
「なら、何故そんな悲しそうな顔するんですか? それって、誠人くんが私に罪悪感を感じているって証拠ですよね?」
考えをいともあっさりと射抜かれてしまった。
きっと今の俺は驚愕の色の濃い表情で、島村の憶測を確信へと変えてしまっているのだろう。
でも、俺は感情を隠せるほど強くない。痛いのを我慢出来るほど、大人じゃない。
確かに俺は島村に後ろめたさを感じている。告白を断ったのだから当然と言えば当然だ。
だが同時に俺は、罪悪感を感じることを後ろめたくも思っている。
好きになるなだなんて男としてエゴ丸出しだし、島村に対して失礼だから。
島村だって、自分が好きになった相手が一般的尺度から見て悪い部類に入る男だなんて嫌な筈だ。
かといって、それは島村を完全に拒絶した俺がしていいことなのかというと、素直に「はい」とは頷けない。
あれは島村から恨まれても構わない覚悟での行動だった訳で、島村に罪悪感を感じるというのはその覚悟を否定することに他ならない。
更に言うなら、俺は恐れている。
この“罪悪感を感じている”という実感そのものが、島村とのことで残った蟠りを消す為の逃避手段に過ぎないのではないかと。
それは無自覚下での行動だろうから、肯定も否定も出来ない。
だがもし本当にその通りだとしたら、それこそ島村の好意に報いることが出来ないほど自分が腐った人間であることの証明になってしまう。
結局どれが正しい選択なのかわからず右往左往を繰り返していた俺に、しかし島村はあっさりと断言してみせた。
島村の為にも、そして俺の為にも罪悪感は感じるな――それが島村の答え。島村がそう言う以上、俺はそうすべきなのだろう。
元は島村が良かれと思える選択をしようと思っていたのだから。しかし、当然その理由は聞いておきたい。
俺がない頭を絞って必死に未来を模索していたにも関わらず、いとも簡単に断言出来るその根拠を俺は知りたい。
「確かに俺はお前に引け目を感じていたよ」
「やっぱり。誠人くんは優しいですからね……残酷なまでに」
「矛盾してないか? それ」
「ただの独り言ですから、気にしないで下さい」
「それならいいんだが……。後、一つ教えてくれ」
「何ですか」
「こんな言い方だと生意気なんだけどさ、どうして罪悪感を感じて欲しくないんだ? お前と俺の為に」
俺の質問を聞いた途端、島村は点になっている目を俺に向けてきた。
呆然とした様子で、見方によっては小馬鹿にしたようにすら見える態度だった。
「誠人くんって色々頭の中で考えている筈なのに、案外馬鹿なんですね」
あ、本当に馬鹿にされた。こんなにはっきりと馬鹿にされたのっていつ以来だろう? 
小学生くらいの頃は馬鹿騒ぎも結構してたけど、年を重ねるにつれて無難な生き方を目指すようになったからな。
人目につきそうなこともしてなかったし。だからか、何だか新鮮味があって、思わず笑ってしまった。
やばい、島村の蔑んだ視線が痛い。
「……何を嬉しそうにしてるんですか」
「違うよ。誰かに馬鹿にされるのを、懐かしく思っただけだ」
「それ、気に入ったんですか」
島村は一瞬小さく笑った。あどけない微笑だった。
「脱線してしまいましたが、話を戻します。理由ですが……別段難しいことじゃありませんよ」
演劇でもしているかのように絶妙な一拍を取った後、島村は片腕をベッドにつきながら言った。
「同情して欲しくないだけです」

11 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/10/21(日) 23:39:12 ID:CSIWB/IF
「……同情……」
「かなり大雑把な考えですが、『罪悪感≒同情』というのはわかりますよね? 
罪の意識を感じるには少なくとも相手の立場を理解していなければなりませんからね」
「いや、それは何となくわかるんだが……」
正直、釈然としない。というか全然納得出来ない。
だって島村が『罪悪感≒同情』だと言うなら、『同情して欲しくない≒罪悪感を感じて欲しくない』ってことになって、結局何も話が進んでないことになってしまう。
これでは俺は霧に包まれた答えまでの途路に迷い続けたままだ。腑に落ちない俺の様子を察したのか、島村は若干慌てた様子で続けた。
「わかりやすく言い換えたつもりだったんですがね。
すいません、少々自分の中で話の道筋を完結させてしまっていたようです。完全な独り善がりです。今のは忘れて下さい」
そこまでは言ってないぞとフォローを入れようかと思ったが、馬鹿な俺にも理解出来るようにどうやって話そうか考えているのか、手に顎を乗せて唸っている島村を見ていると、それを邪魔するのは悪い気がした。
しきりに頭を動かしている様は、丁度忘れかけた物事を思い出そうとする時の仕草に似ていた。
そのまま見守ること十数秒後、島村に「すいません」と切り出された。
「一言じゃまとめられないので、普通に説明します」
「うん、そうしてくれるとありがたい」
何だか無駄に時間取らせてしまったような気がする。いや、実際俺が物分りよければそれで済んでいただろうに。
無知は罪深いことだな、と何となく思った。
「同情しているということは、相手を……私を哀れんでいるんですよ、誠人くんは」
「それってつまり――」
「違います」
「……まだ何も言ってないだろ」
「大方、私の自尊心を傷付けてしまっただとか、真夏にマフラー巻いているくらい的外れなことを言うつもりだったんでしょう」
何だこいつ、エスパーかよ。
こうも見事に心の内読まれていると、実は考えていること全て他人に漏れてるんじゃないかって不安になっちまうじゃないか。
しかも間違ってたとは。ここまで外すと、自分に呆れて羞恥心も湧き上がってこない。
発言すると粗が出ることは重々承知したから、これからはしばらく傍聴者に徹していよう。
「そんな感情論はどうでもいいんです。問題は、何故誠人くんが私を可哀想だと思っているかということです」
さすがに学習したのでもう口を挟もうとはしないが、島村の言ったことの答えくらいはわかる。
そんなの、俺が島村の好意を受け止められないからに決まっている。それが起因となって、今までの事態は連鎖していったんだ。
ドミノ倒しのように、一度崩れたら止まらない。そうやってズルズルとここまで来てしまったんだ。
「勿論私からの告白を断ったから。そしてそのことで相当悩まれているのでしょう。でも、そんなことはしてくれなくていいんです」
ベッドについていない、空いている方の手で俺の手を緩く掴みながら、ゆっくりと島村は口を開いた。
「私は誠人くんに、私の想いを真摯に受け止めて、“その上で”フってほしいだけです」
握られていた手にかかる力が強くなった。その加減が妙に心地良く、懐かしかった。
何故そう思うのかはわからないが、少なくとも伝わる温かみは俺が久しく感じていなくて且つ、欲していたものだということは感覚的に理解していた。
その柔らかさに恍惚となり一瞬我を忘れそうになった自分に叱咤を入れつつ、島村の言葉を脳裏に蘇らせる。
……どういうことだ? もう発言する気ゼロの俺は、ただひたすら島村の言葉を待つ他なかった。
「念の為ですが、受け止めて欲しいというのは付き合ってくれってことじゃありません。
あんなに何度も無理無理言われ続けたんですから、今のところは観念しました」
勿論誠人くんのことを諦めた訳ではありませんが、と続けながら今度は握力測定でもするかのように島村は俺の手を握ってきた。
繋がれた手から怨念が湧き出てきそうなのは、気のせいじゃない筈。
冷汗が流れるのを感じながら、弱い握力を軽くあしらうと、露骨に不服な様子を表情に滲ませた島村が睨んできた。
手繋ぎたいのか繋ぎたくないのかどっちなんだよ。
「私が求めているのは、私から逃げないで欲しいということです」
ふざけ半分な表情を引き締めて、島村が再び話を続ける。
「誠人くんが私を好きになれないことは承知しています。
しかし、誠人くんはどこか頭ごなしに私を否定しているように思えてならないんです。
私と付き合えないことを“前提”であるかのようにして、それに依存して、私の気持ちと向き合ってくれていない気がするんです」

12 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/10/21(日) 23:40:08 ID:CSIWB/IF
直接心を刃物か何かで刺されたと錯覚しそうな程の痛みが走った。
あまりにも核心を突いた言葉に、何も言い返せなかった。
今まで島村に罵倒されても耐えられたのは、それが根拠のない発言で、戯れに近いものだったからだ。
だが、これは違う。言い方こそ遠回しだが、島村は俺の奥底で牙を研いでいる腐った性根を容赦なく引きずり出した。
図星というものの本当の痛みを俺は初めて理解した。
その要因は、今まで自分で自分の悪い部分に気付いたことは多々あっても、他者に指摘されたというかつてない体験からくるものが大きい。
つまり俺は、客観的立場から見た自身の醜い姿というものを初めて見せ付けられたということだ。
思えば今までの俺は鏡を見ているようなものだったんだ。
鏡に映し出された自分を見るということは客観視しているように思えるが、結局客観視するのも自分自身だ。
つまるところ、幾らでもその解釈を捏造することはできる。意識的にしろそうじゃないにしろ、俺がそうしていたということは明白……。
「あの……誠人くん」
かなりトリップしていたところを何とか拾われたようだ。気付けば、島村は俺の顔の前で自分の小さい掌を振り回していた。
その動きから、そして、島村の暗い面持ちが心配してくれているということを顕著に感じさせてくれた。
「前から言おうと思ってたんですが、誠人くんってちょっと深刻にものを考え過ぎじゃありませんか? 
何かあるとすぐ全部自分の責任だと思い詰め過ぎているように思えるんですが。
それは一般的観点からすれば、決して褒められたものじゃありませんよ」
図星。
「あ、これも責めてはいませんからね。寧ろ私は誠人くんの美点の一つだと思ってますし」
「何かおかしくないかそれ? 普通の人からは欠点で、お前からすれば良いところってのは」
「ただのアプローチです。他の人が気付けない魅力にも私ならわかってあげられますよっていうさりげないメッセージです。
鈍感な誠人くんにするだけ無駄だったようですが」
「それは幾らなんでもさりげなさ過ぎるだろ」
「ふふ、やっと笑ってくれましたね」
俺の頬に手を添えながら、島村が笑いかけてきた。
その幸せな気色を見ていると、さっきも笑ってただろなんて野暮なツッコミをする気はまるで失せてしまった。
さっきもこんなことあったな。どうやら島村には相手の言葉を問答無用で遮る才能があるようだな。
「当たり前のことですが、好きな人の悲しい顔なんて誰だって見たくないものですよ。
私を少しでも思う気持ちがあるなら、是非満面スマイルでいて下さい」
そう言いながら、島村は触れるか触れないかの距離にあった手で俺の頬をぎゅうぎゅう引っ張ってきた。
ニッコリニッコリと連呼しながら、玩具で遊ぶ子供のように本当に楽しそうに弄り倒してきた。
その様子を前に、沈んだ自省の思いに囚われていた心もいつの間にか晴れてしまった。
不謹慎なのかもしれないが、今は島村の言う通り笑顔でいるべきなのだと言い聞かせた。
「と、何度も話が逸れてしまいましたが、そろそろ終わらせちゃいましょう」
これ以上話が脱線しないよう、全神経を耳に集中させる。
「要は、恋愛漫画の一ページを思い浮かべて頂ければいいんです。
女の子の告白を断る時、男の人は大抵バツが悪そうにしているじゃないですか。拳を握り締めたりとか、歯を噛み締めたり。
その時の気持ちを感じて欲しいだけなんです。私という一人の人間を“感じて”、真剣に悩んで、そして結論を出して下さい。
結果なんてわかってますが、せめて努力だけは認めて欲しいんです。
卑しいことだとはわかっていますが、誠人くんを好きでいるこの気持ちをわかって欲しいんです。
だから……私に、頑張ったで賞を下さい」
島村の言葉一つ一つを耳に染み込ませ終わった後、島村の方を向く。
するといつからかはわからないが、島村は完全に俯いてしまっていた。
指一本でも触れたら壊れてしまいそうな程脆く見えるが、それでも俺は勇気を振り絞って島村の両の頬を鷲掴みし、無理矢理俺の正面へと向き合わせた。
虚を突かれた様子の島村をよそに、俺が言うには不相応過ぎる言葉を口にした。
「島村は何も悪くないよ。だから、笑えよ」
一瞬の間を置いて、島村は小さく頷いた。

13 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/10/21(日) 23:43:07 ID:CSIWB/IF
「ところで、お前罪悪感感じるなって言った時、俺の為とか言ってたよな。あれってどういうことなの」
唐突に湧いた疑問をそのまま吐き出した。
もしシビアな雰囲気じゃなかったら聞き流しそうなほどさらっと言っていた、「俺の為」という一言。
それの持つ意味が何となしに知りたくて、俺は意図もなく尋ねた。
「あぁ、そのことですか。それは説明が簡単です」
良かった、と安堵しながら、島村は続けた。
「私に罪悪感感じるより、もっと優先すべき相手がいるだろって話ですよ」
「何のことだ」
「……まぁ病み上がりで寝惚けてるだけってことにしておきましょう。
あんまり言いたくないんですが、あなたは自分の恋人に何をしましたか」

――『自分の恋人に何をしましたか』

瞬間、頭の中の余計なものが全て吹っ飛んだ。
ただ島村の言葉によって喚起される“一つの事実”が、抵抗のない思考回路に繰り返し流れ込んできた。
何で今まで忘れていたのかなんて些細なことはどうだっていい。
どうせ下らない理由か、はたまたそんなもの存在しないだけなのだろうから。
重要なのは、俺が何をしたのか。そしてその結果、どうなったのか。
「加奈は……加奈はどこだ!?」
形振り構わず、俺は島村の肩を思い切り掴んだ。相手が女の子だとわかりながらも緊張のせいで、入る力を抑えることが出来ない。
「誠人、くん、……痛い……」
「加奈はどこにいる? どうなってるんだよ!? 答えてくれ!」
恥じらいもなく大声で喚いている俺は、島村からはとんでもなく情けなく映っているに違いない。
でも早く知りたい。知らなければならない。俺が加奈を傷付けた……。
いや、そんな生易しいものじゃなく、俺ははっきり加奈を殺そうとした。
そこに至るまでの顛末や思考なんてものは今は忘却の彼方へと捨て去る。
問題は俺がこうして生きていて……そういえば、どうして俺は生きているんだ? 
俺は自分で……いや、やめよう。今は小さい疑問は道端の小石だ。
もし俺が生きていて、加奈が――なんて状況になったら俺は……。とにかく加奈の安否が第一だ。
「島村ッ、加奈は」
「生きていますよ」
淡々と、島村は言ってのけた。躊躇のないその言い草が、島村の言葉に信憑性を持たせ、ヒートアップしていた俺の心を一気に冷やした。
「安心して下さい。別の病室で寝ていますよ」
爆発しそうなほど早まった鼓動はそのままだが、俺はその言葉に一応の安心感を得た。
徐々に冷静になってくると、今更ながら、ここが病室だということが理解できた。
ということは、俺と加奈は病院に搬送されたってことか。でも、そうなるまでの経緯が全くわからない。
質問ばっかして悪いとは思うが再び島村に尋ねようとしたところを、言葉で制された。
「どうせ訊いてくるでしょうから先に言っておきますが、お二人は私が見つけました。
誠人くんの帰り道は知っていたんで、そこをずっと辿っていったら、丁度土手で――この先は言いたくないんで省略します」
そうか、島村が発見してくれたのか。でも、発見したといっても、俺も加奈も首を切って出血していたんだ。
倒れていたところを見たというからには、俺が加奈を刺してから結構時間は経っていると思う。
なのに、どうしてこうして二人とも生きていられるんだ?
「ちなみに、傷は浅かったそうです」
「浅かった? ……でも何で」
「そんなの決まってるじゃないですか」
そんなことすらわからないのかと言いたげな島村の目をなるべく見ないようにしながら、俺は無言でその続きを待った。
「加奈さんは誠人くんが好きだから、誠人くんは加奈さんが好きだから――傷付けるなんて出来なかった。それだけでしょう」
そう言った時の島村の表情が悔しそうに見えたのは気のせいじゃないだろう。
島村が一体どんな心境で自分の推測を言ったのか、その辛さは容易に想像出来る。
でも、それでも俺は……嬉しかった。加奈と俺との仲をはっきり肯定されたのが嬉しかった。
今まで色んな奴に冷かされたりなんやりしていたが、何も感じていなかった俺が、島村のその言葉にはっきりと喜びを覚えている。
前者と後者に一体どれほどの違いがあるというのか? わからない。でも、これだけは言っておきたかった。
「ありがとう」
そして、本当に良かった。加奈が生きてくれていて。
加奈を傷付けようとした俺が思う資格なんてないのはわかっているけど、今だけはこの喜びを噛み締めたい。
「どういたしましてのついでに、私からも質問です」
「何だ」

「誠人くんが加奈さんを好きなことを承知の上で訊きます。誠人くん、あなたは――本当に加奈さんが好きなんですか?」

14 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/10/21(日) 23:46:21 ID:CSIWB/IF
投下終了です。

すみませんでした。三ヶ月以上間が空きましたが、最終話その一です(分量の関係で分割します)。
後一、二回で終わります。凄まじく投下ペース遅いですが、必ず完結させますので。

15 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 01:49:23 ID:SIPCWUAL
GJ
続き楽しみにしてます

16 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 07:35:23 ID:XG8BBAoQ
>>14
ずっと待ってましたよお
島村派の俺としては彼女にも救いがありそうな展開で、ちょっと安心した

17 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 18:19:10 ID:9KfpG0oe
ようやく終わったので投下します


18 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 18:20:00 ID:9KfpG0oe
6
水無月 雪梨視点より
私は授業から休み時間までずっと、
どうやって健二さんとの距離を詰めようかを考えていた。
考えた末に、なるべくの会話、一緒に行動する等の結論に至った。
女子と男子の間には、グループが同じでない限りは見えない壁が存在するものだが、
その辺りは自分の行動でどうとでもなる。


そんなわけで、早速健二さんと同じ委員会になった。
幸いにも、保健委員だけはあんまり人気がなかったようだ。
人気がない理由に疑問もあったけれど
、そのお陰で委員会が同じになれたのだ、感謝こそすれ不都合は何一つとしてない。
委員会も、嬉しい事に明日にやるみたいだ。
そういえば、自己紹介の後、
何故か健二さん友人達に取り囲まれてたど、何かあったのだろうか?
私の周りに居た友達も、皆ニヤニヤしながら私を見ていたし、
本当に、何かあったんだろうか。

物事は上手く事が運ぶ事もあれば、上手運ばない事もある。
私は今その事を痛感している。
放課後、健二さんと一緒に帰ってみようと声を掛けようとしたのだけれど、
なんと、玄関から出て、私と正反対の方に向かっているではないか。
門まで一緒ならまだ、少しは希望があるけれど、
玄関から、向かう先自体が違うので、希望が存在してすらいない。
そんな落胆の中で、私は簡単な事に気付いた。
別に帰り道が違うとしても、同じ帰り道だねとでも行って一緒に帰ればいい。
何でこんなに単純な事に気付かなかったのだろうか。
私は玄関で立ちつくしていたからいいのだが、
既に健二さんは門を潜って帰ってしまっている。



19 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 18:21:46 ID:9KfpG0oe
急いで追いかけようとしたが、いきなり走っていって声を掛けるのが憚れた。
健二さんとは、少し会話をしただけの距離があるからだ。
結局、健二さんの後に付いていってはいるが、
声を掛ける事が出来ず、結局は健二さんから20M程離れて歩いている。
悲しい事だけれど、ストーカーに近い。
しばらく、健二さんの後を付けていると、繁華街の入り口辺りで急に足を止めた。
私の事が気付かれたのかと思い、音を立てずに直ぐに近くの電柱に隠れる。
何で私は今隠れているのだろうか?



しかし、健二さんは私に気付いたわけではないみたいで、
しばらく首を下に向けて何かを見ているようだ。
何を見ているのかが気になるが、現在、健二さんとの距離は20M、何を見ているのかは
さすがに視力が2.0の私でも分からない。
少しして、健二さんは首を戻しました。
そして、また繁華街に歩いていった。
さっきと同じで、私は20M位の距離を保ち、
後を付けていたが、これでいいのか?と思い始めていた。
別に少ししか会話をしていないとはいえ、知らない仲というわけではない。
案外声を掛ければそのまま一緒に帰れるのではないか?

だが、もし失敗したら気まずくなるのは確かだ。
しかし、健二さんは優しいからそんな事はないとも思う。
きっとこちらの気を察してくれるに違いない。
そう、大丈夫、きっと大丈夫

それに、仲良くなる為になるべく会話をしようと決めたばかりではないか。
そう自分に言い聞かせ、
「健「けんちゃーん」声を出して健二さんの方に歩き出した時だった。
誰か知らない女の人が、
声を出しながら健二さんに向かって後ろから走っていった。


20 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 18:23:37 ID:9KfpG0oe
私はまた、咄嗟に近くの店に身を寄せて、
目立たないようにした。
目立たなくなってから健二さんの方を見ると、
やはりというか健二さんの知り合いみたいだ。
それも、二人共楽しそうに話している様子を見ると仲がかなりいいのも分かる。
多分けんちゃんというのは健二さんのニックネーム
と、いったところだろう。

健二さんは女の人と楽しそうにしゃべっている。
それに比べて、自分は何と惨めな事だろう。
コソコソと楽しそうに会話をしている男女を眺めているなんて。
もし、早く私が話しかけていれば隣に居るのは私だったのだろうか?
やめよう、今となっては無意味な推測にしかならない。
大事なのは今、何をするべきかだ。
今………何をするべきなんだろう。
やはり健二さんに声を掛けて話に混ざるべきか?
無理だ、正直自分ではあそこに割って入る事等到底出来そうにない。
では他に何をするか。
………………………………何も思いつかない。
今だけは自分の頭の回転の悪さに腹が立つ。
ふと、気がつくと既に健二さん達が店に入っていく所だった。
私も中に入ろうかと思ったけどやめた、さすがにばれるからだ。
それに、どうせこの後も健二さん達を付けた所で、
ただ自分は眺めているだけだろう。
帰ろう……それが一番良い。
何も出来なかった自分に腹が立ちながら、結局、
私は重い足を引きずり帰路に着いた。


21 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 18:24:50 ID:9KfpG0oe
家に帰り、直ぐに寝ようかと思ったが、
余分に歩いて汗がかいたので、シャワーを浴びる事にした。
シャワーを浴びればこの暗い気分も汗と一緒に流されてくれる、
と思ってシャワーを浴びたが、実際に流れたのは眠気だけで、
寝れなくなってしまった。
つまり、暫く眠くなるまでは、今の気分で過ごせなければいけないという事だ。
強引にベッドに入ろうかとも思ったが、
寝付けなくて直ぐに起きる自分の姿が簡単に想像出来てしまうので辞めた。
「お腹空いた……」
そういえば、まだお昼ご飯も食べていなかった。
お腹が空いたとなればやる事は一つで、とりあえずは冷蔵庫を開けた。
幸いにも昨日の残り物があったので、レンジに入れて、終わるまで
リビングのソファーに座って待つ。
レンジ意外の音が全く聞こえないリビング。
今、リビングに居る人間は私だけで、
その一人が何もしなければ静かになるのは当然だ。
昔はあんなに賑やかだったのに、どうしてこんなに静かになってしまったのだろうか…………
「あぁーっ、もうやめやめ」
駄目だ、本格的に暗くなってしまっている。
普段は考えないような事にまで反応してしまう。
考えるのは止めよう、少し話しただけの人でこんな気分になるなんて馬鹿げている。
そうだ………馬鹿げている。
そもそも何で固執する必要があるのか?
たまたま、話掛けてくれただけではないか。
優しさに触れたから?違う、そんなものは只の言い訳だ。
暗い気分になったのは自分に腹が立っただけ?
違う、それも只の言い訳だ。
何で固執したのか、何で落ち込んでいるのかは、もう分かっている。


本当は健二さんと仲良くなりたいのではなくて、好きになって欲しかったからだ。


22 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 18:25:36 ID:9KfpG0oe



そして………横にいる女の人が凄く羨ましく、
そして同時に憎いと思ったからだ。

何だ、簡単な理由じゃないか。
何でこんな簡単な事に言い訳していたんだろう?
本当、私は馬鹿げている。
理由が分かれば話は早い。

積極的に自分をアピールしていこう。
健二さんの事もなるべく知ろう。
あの時の女が彼女かどうかも調べよう。
アピールは自分でするとして、あとの二つは探偵でも雇いましょうか?
そんな計画を立てながら、私は温め終わった焼きそばを食べた。

しかし、思い返してみると、自分でも軽い女だなと呆れる。
なにせ、少し話をしただけで相手を好きになるなど、
軽い以外の何者でもない。
だけど、好きになったものはしょうがないではないか、
開き直る事しか出来ないではないか



だって、この気持ちを消せそうにはないのだから。














次の日、挨拶をした私を見てあなたは驚いた顔をしましたね。
私は距離の長さを再確認したけれど、
いつかはその長い距離を0にさせてもらいますね。


23 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 18:27:24 ID:9KfpG0oe
投下終了です
書き終わり、4日おいて見直して、修正をしたので
語尾は大方統一したと思います(洩らしは勘弁です;


さすがにテンポはやいかとも思いましたが、
最初がgdgdだったので強引にはやくしました

24 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 19:19:31 ID:UlIEBDkS


25 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 19:23:54 ID:VkxTpqnO
GJ!
続きにwktk

26 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 20:35:13 ID:xHfnUv3y
>>23

GJ


最初は微妙かなとか考えてたりもしてたが、
面白くなってきた


27 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 20:42:22 ID:xHfnUv3y
出来ればで構わないから
5話の語尾修正版をキボン

28 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/22(月) 20:46:58 ID:+ps5h8SS
>>23
GJ
続きを楽しみに待ってるぜ

29 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/24(水) 13:39:59 ID:+3X5rz+t
前スレの埋めネタGJ

30 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/24(水) 18:45:29 ID:pI4RjiR6
綺麗に埋まったな。GJ!
名無し君があまりにもヒドいヤツだったので最後スカッとした
いやむしろ感動した

31 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/24(水) 22:18:14 ID:1PEvYjQz
あぶねぇーあぶねぇー埋めネタ見逃すとこだった
GJ!後輩使えばさらに続きそうだな

32 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/24(水) 23:30:04 ID:AkChfPY4
後輩は後輩で内心で黒いものが渦巻いてたりしてwww

33 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/25(木) 22:39:20 ID:Ffi68a6G
やべぇ、ブラッドワークって映画の犯人がヤンデレっぽい。
……まあ、男なんだけれど。


34 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/25(木) 22:47:57 ID:jtTUWfHM
俺は
男のヤンデレを理解する日はきっとこないな

35 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/26(金) 00:05:17 ID:jejw2lLi
ショタヤンデレなら

36 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/26(金) 01:53:20 ID:SDV6+CY9
ドロドロとどす黒い情愛があれば男だろうが人外だろうが構わん

37 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/26(金) 07:32:05 ID:E0YU1+YZ
だから男のヤンデレは復讐を決めた男がどんな非道な行いを他の女にしても
心の中にいるたった一人の女性にはいつまでもデレ続けるのがいいんだよ


38 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/26(金) 08:16:07 ID:zYZGoO9u
801板に帰れ

39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/26(金) 08:19:01 ID:Y3zkiKe+
とりあえずここは男のヤンデレは基本NGということを覚えておこう・・・
スレチです

40 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/26(金) 10:20:41 ID:McQtQjz8
>>37
「ことのはぐるま」の雄志の前世がそんな感じじゃないか?
姫様の仇をとるために、刺客の娘(十本松)にとりいったところとかが似てる。

41 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/26(金) 13:29:26 ID:HfXEWgt/
てかことのはぐるま続きまだ?

完結したっけ?

42 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/26(金) 15:27:15 ID:1w9aARij
>>39
最近はそうなのか。

「こいつが女だったら~」系のレスが付かなくて俺涙目。

43 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/26(金) 17:47:53 ID:3OelAdnV
最近もクソも最初っからヤンデレ女のスレだよ。

鬼畜スレと逆レイプのスレが違うのと一緒だ。

44 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/26(金) 22:51:26 ID:cdexMUDX
前スレの埋めGU!!

45 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 06:18:35 ID:Zg6PIiYw
「学校であった怖い話」の岩下明美嬢が良ヤンデレだわ

46 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 12:36:44 ID:ymbcUxz6
お前とんでもなく今更だな

47 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 14:04:22 ID:2Kpiw+4Q
てか幽霊ってヤンデレだよな?

48 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 17:42:26 ID:GtEXSXwN
投下します。

49 名前:×ヤンデレ ○ヤンドジ 1[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 17:43:46 ID:GtEXSXwN
「悪いのはそっちなんだよ? 私があれだけ忠告しておいたのに、あたし以外の人を視界に入れるから」

入れずにいるのがどれほど無理な注文なのか、正しい判断能力を失った今の姉ちゃんには解らないらしい。
俺も俺で彼女の発言の意味が全く解らなかった。一つ一つの語句の意味は通る。しかし文章としてはまるで読み取れない。
俺が悪い? 何故。ただ部活中、後輩に指導をしただけじゃないか。もちろん性的な意味は含まれていない。
俺は後ろ手に縛りあげられている腕を自由にしようと必死で動かしながら、姉ちゃんを睨んだ。

「なぁ、どうしたんだよ。姉ちゃん、何言ってんだよ!」
「どうかしたのはあたしじゃない! 隆志君の方だよ!」

いつもぼんやりしていて、ちょっと……いやかなりドジだったが、優しかった俺の姉ちゃん。
その姉ちゃんの顔が見たこともない色に染まっている。怒りと絶望とで、般若の様に歪んでいた。
しかし、

「……でも、これで隆志君はずっと私の側にいてくれるわ。
ゆっくり時間をかけていけばまた私だけを見てくれるようになるわよね。ちゃんと元通りの日々に戻れるわよね」

そう言って、姉ちゃんはにっこり晴れやかに、実に嬉しそうな笑顔を浮かべた。
その表情は自然な、日常的によく見掛ける笑顔だった。でも、それはより一層状況の異常さを際立たせる。
なんでこんな状態で笑えるんだ。なんでそんなに嬉しそうなんだ。
俺は身動ぎするけどちっとも動けない。

50 名前:×ヤンデレ ○ヤンドジ 2[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 17:45:00 ID:GtEXSXwN
「いい加減にしろよ、早くこれ外せ」
「……その後、隆志君はどうするの?」
「は?」

一転して姉ちゃんの目が暗く淀み、ゆっくりと俯いた。小さく震えている様にも見える。

「外したら私の前からいなくなっちゃうんでしょ? あの女の所に行っちゃうんでしょ!?
そんなの嫌よ。絶対離さない、もう絶対に私の側からは逃がさない!」

俺の切なる願いにも姉ちゃんは動かず、寧ろ固く拒まれてしまった。
言ってる意味も訳も解らない。あの女って誰だよ。今解るのは、姉ちゃんが正気じゃないことだけだ。
姉ちゃんは悲しみと怒りの入り混じった目で俺を睨みつけながら、

「あんな女なんかより私の方がずっとずっと隆志君の事を知ってるし想ってりゅのよ。だって私は小さな頃から隆志君の側に居たんだもん。
隆志君のことなら何でも知ってるわ。すっ好きな食べ物嫌いな食べ物昨日の夜何をしていたか余すことなく全部。
――すぅ、それに……」

――この空気で噛むな。どもるな。ついでに息継ぎするくらいなら無理して長台詞を喋るな。
駄目だ、正気じゃなくても姉ちゃんは姉ちゃんってことか。ポンコツ過ぎる。
未だにこの人が姉であることが信じられない。自然に溜め息が出た。

51 名前:×ヤンデレ ○ヤンドジ 3[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 17:45:53 ID:GtEXSXwN
「あのさ、姉ちゃんは何を言いたいんだ? 全然解んねえんだけど」
「隆志君とずっと一緒にいたい」
「は」

姉ちゃんの頬は赤く染まっていた。眉を寄せて俺をじっと見ている。正直どうリアクションしていいものか解らない。
俺の硬直ぶりを見つめているうちに、姉ちゃんはまた思い詰めた様子を見せ始めた。
潤んだ瞳は濁りだす。羞恥の震えは怒りに変わる。

「やっぱり、やっぱりそうなんだ。
あの女が気になるんだ。あの女の事を考えてるんでしょ? だからお姉ちゃんの話を聞いてくれないのね?」

何処をどう見てそう判断したんだ。今の俺は一字一句間違えてなるものかと必死で貴方の話を聞いていますよ。
何せ状況を掴む手段は姉ちゃんの言葉しかない。まぁ、聞いていた上で全く掴めていないのだが。

「だから、姉ちゃん!」

叫ぶ俺をスルーして、姉ちゃんはふっと踵を返す。

「……もう、駄目なんだぁ。ふふ、ふふふ……あはっ、あはははははは」

壊れたように笑って部屋を出ていく姉ちゃんの背中を見つめながら、俺はギリギリ唇を噛んだ。
何がしたいんだアイツ。会話が全く噛み合わないことに苛立ちを感じる。
ああもし今体が動かせたなら、その背中に何かかにか投げつけてやったのに!

52 名前:×ヤンデレ ○ヤンドジ 4[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 17:47:12 ID:GtEXSXwN
ともあれ俺は周りの様子を確認することから始めることにした。
見覚えの無い部屋だが、辺りにあるファンシーな家具やら教科書類から推測するにここは姉ちゃんの部屋で間違いない。
にしても、物が散乱しすぎていてかなり見苦しい。女の子の部屋がこれではがっかりだ。
半ば拉致に近い形で、かつ俺が弟だとは言え、人を招くんだったらもっと整頓しておくべきじゃないのか?

「いい子にしてた?」

扉からひょこりと顔を覗かせて、にっこり笑う姉ちゃんが居る。
悪戯っぽい声と表情にまた溜め息が出た。

「こんなに部屋を残念な状況にしている姉に比べれば、俺は相当な人格者だと思うよ姉ちゃん」
「またそういう事言うんだから。ま、そんなとこも可愛くて好きなんだけど……」

そういう事はもっと正常な状況下において発言すべきなのであって、今この瞬間には全くそぐわない。
男に可愛いと言うな。弟にそんな熱っぽい目を向けるんじゃありません。
当の姉ちゃんは全く知ったこっちゃない風で、両手を後ろに回したまま嬉々として俺に寄ってきた。
さっきまでの絶望に満ちた表情は何処へ行った?

「思ったんだ。このままじゃどうやっても隆志君は私から離れちゃうよね」

そりゃそうだ。
姉ちゃんはまず部屋を片付けたらどうかな。

「--隆志君が好きなの。大好き。誰にも渡したくない。私以外の他の誰かを好きになって欲しくない。私だけを見て欲しい」

だからそういう事はもっと--
そこまで考えた時だった。俺はふと顔を上げる。
見開かれていた姉ちゃんの目は魂が抜けた様に光を宿しておらず、瞳孔だけが大きく開いていた。
虚ろな目の焦点は俺以外の何者にも向かっていない。口許にだけは笑みが称えられていた。

そこに来て初めて俺は背筋に走る恐怖を感じた。

53 名前:×ヤンデレ ○ヤンドジ 5[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 17:48:39 ID:GtEXSXwN
「……姉ちゃん?」
「隆志君の世界が私だけになれば何かが変わると思ったんだけど、そうでもないみたいだし」
「姉ちゃん」
「それなら」

そう言えば、さっき姉ちゃんは何処に行ってたんだろう。
後ろに回してある手には、何が握られている?
今日みた笑顔は本当に笑っていたか? 何もかもを諦めた、悟りきった笑顔だったんじゃないのか?

「こうするしか、もう方法は無いよね?」

姉ちゃんの手が、ゆっくりと俺に迫ってくる。
その手に握られていたのは--



「は?」
「やだなぁ隆志君、知らないの?」

姉ちゃんはやたら自信満々にこう言った。

「醤油は飲み過ぎたら死んじゃうのよ」



醤油のボトルを片手ににっこり笑う姉ちゃん。
やっぱ駄目だコイツ。


その後、俺に口移しで飲ませようとして盛大に吐き出した事だけを付け足しておく。






「姉ちゃん姉ちゃん、片付けんの手伝おうか?」
「……私から離れないって約束出来る?」
「そのネタはもういいから」
「ネタじゃないもん」
「はいはい」
「もう、隆志君!」

54 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 17:50:19 ID:GtEXSXwN
以上です。
何スレか前にヤンドジ的なネタがあったので、それ以来温めてたけどどうしてもエロが入れられなかった。
精進します。

55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 18:57:31 ID:YyXsi0tm
むしろヤンバカのようなw

56 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 19:41:41 ID:OJt4b/j7
何か凄い和んだw
作者様gjです

57 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 19:56:14 ID:jtDRozAK
グッドw

58 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 20:02:14 ID:DlsnFrLu
姉ちゃん可愛いよ姉ちゃん。
こんな姉ちゃん欲しかった。GJ!!!

すごいなごんだ。

59 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 20:03:43 ID:USiUASzZ
しょうゆかよwwwwwww一気に空気が抜けたわwwwGJ!

60 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 21:14:24 ID:13TVMvLo
>>54
ちょwww
姉スキーの俺にはたまらん、姉ちゃんテラカワユスw
ぜひ続きを!

61 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 22:04:47 ID:6/rJUhwy
ここで刃物を持ち出すor監禁調教逆レイプならストレートなヤンデレになるんだろうが、
ヤンドジは醤油のボトルを持ち出すのか。
面白かったっす。goodjob.

62 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/27(土) 22:09:42 ID:9UiAFuwP
GJ!まさか醤油とは…

63 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/28(日) 00:55:42 ID:q9HRMeRe
>>54
醤油ふいた。

64 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/10/28(日) 05:51:07 ID:lzvG49t1
>>63醤油を口にふくんだのか?ならきみは立派なヤンドジちゃんだ。

という事で俺は>>63に監禁されながらも、鍵を開けっ放しで、縄もちょうちょ結びだったので、すぐに逃げ出しました。

65 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/28(日) 08:39:27 ID:+f84pYow
醤油ってかなり飲まないと死なねーよな…

66 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/28(日) 09:30:02 ID:u3r0Wz1O
もちろん勘違いして濃口醤油だよな?(塩分濃度的な意味で

67 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/28(日) 09:34:14 ID:4xRbyBrs
髪の毛から醤油を作れるらしいから、
きっとこの醤油もキモ姉の髪の毛から作られてるんだよ。

68 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/28(日) 10:03:00 ID:AzkAusRP
一晩経ってみたらこんなに感想が…ありがとうございました。
頑張って続き考えてみる

69 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/28(日) 20:14:38 ID:R1MFJHPP
GJです!ヤンドジいいですねー。醤油ボトルwww

70 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 17:10:14 ID:C/e57nKc
出来たから投下します。

71 名前:×ヤンデレ ○ヤンドジ 1[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 17:11:07 ID:C/e57nKc
「ふふふふふ……ふふっ、あはははははは! そうよ、これで誰も邪魔出来ないわ。隆志君は私のもの。ずっとずっと私のもの!
もう絶対離さない……邪魔者は一人もいないわ。これで私だけを見てくれるわよね。これで私のことを――痛っ!」

ああ、また指でも切ったか。
悲鳴と同時に読み途中の本を閉じ、ソファーから重い腰を上げる。
最近の姉ちゃんの癖は、高笑いと妄言と怪我を繰り返しながらの料理だった。
聞いてて胸が痛いからそろそろ飽きてくれ。ご近所からの苦情も来て然るべき頃だろうな。
俺は癖になりつつある溜め息をついてから、のろのろと台所へ向かった。

「あ……隆志君だぁ」

そりゃ俺だろうさ。何せ俺しかいないからな。

「見て。お姉ちゃん怪我しちゃったの」
「聞いてたから知ってる。ほら」

いい加減相手にするのも面倒なので絆創膏を投げてやる。
しかし、姉ちゃんは実に不服そうに俺を見つめていた。

「……舐めて消毒して?」
「は? 何バカなこと言って――」
「舐めてくれなきゃ絆創膏貼らない」

どんな脅しだよ。突っ込みたいが、姉ちゃんはぐいぐいと手を押し付けてくる。
連日繰り返される怪我によって絆創膏まみれになっているその手を仕方なく取り、嫌々ながら見た。
……なんだ、大したことないじゃないか。ただちょっと皮が切れたくらいだ。

「舐めて」
「姉ちゃんこれ全然大したことないから大丈b」
「舐めて」
「いやだからさ」
「舐めて」
「大したことn」
「舐 め て ?」
「……慎んで舐めさせて頂きます」

虚ろな目で睨まれ、背中がぞくぞくする。嫌々手を取り、恐る恐る舌を伸ばした。
ここ数日こんなやりとりが続いているせいで頭痛が収まらない。何が悲しくて姉にこんなことをしなくちゃいけないんだ。

72 名前:×ヤンデレ ○ヤンドジ 2[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 17:12:00 ID:C/e57nKc
溜め息の代わりに肩を落とし、傷口をなぞるように舌を滑らせる。

「ふぁっ」

弟相手にいかがわしい声を出すな。恥ずかしい。
鉄のような血の味を舌先に感じながら、ぐりぐりとそこに押し付ける。

「ひ……あ、やんっ」

ああこら太ももを擦り合わせるな、もじもじしてるんじゃない!
俺は指をそのまま口に含み、軽く吸い上げる。すると姉ちゃんは悩ましい声を出しながらぷるぷる震えて――って、待て!
何をしてるんだ俺は。今何をしようとした。ああ姉ちゃんよ俺を見るな。まだ血迷いたくは無いんだ。
慌てて姉ちゃんの指を解放する。不思議そうな目で此方を見ているが、今はそんな事にかまってなどいられない。

「……ほ、ほら! これで良いだろ」

手を引き剥がし、再び絆創膏を押し付ける。
まずい。非常にまずい。何がまずいって、今俺は姉を相手にとんでもないことをやらかしかけた。
俺は姉ちゃんに洗脳されつつあるのだろうか。いやまさか。俺は正常のはずだ。
バクバクと嫌な音を立てる心臓を落ち着かせる。冷や汗が流れ出ていた。
姉ちゃんは何処か恍惚とした笑みを浮かべながら、

「美味しかった? 私の血肉の味……」

直ぐ様うがいをしたのは言うまでもない。
ああ、ここが台所で本当に良かった。不機嫌そうな姉ちゃん? 知ったこっちゃないな。

73 名前:×ヤンデレ ○ヤンドジ 3[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 17:12:35 ID:C/e57nKc
「今日はカレーなんだな」
「うん。隆志君カレー好きでしょ? だから作ったの」
「へぇ」

大きな鍋で煮込まれているカレーを見る。この量だと2日は続くな。

「隆志君が喜んでくれるなら私……なんだって作ってあげるよ。なんでもしてあげる。それにね? 私――」

姉ちゃんが何か言ってる様な気がしたが無視することにした。蓋を開けてちらちら中身を覗く。早く完成しねーかな。

「隆志君!」

うるさいな、聞いてないよそんな恥ずかしい演説なんて。
適当にあしらいながら、何か飲もうと思って冷蔵庫を開ける。と、そこには大量の濃口醤油のボトルが――
冷蔵庫を開けた手を瞬時に翻し、適度に角度を付けて振り下ろす。目標地点だった姉の額に見事クリーンヒットした。

「アホかお前は!」
「痛いー! 今チョップしたわね? お姉ちゃんを叩いたわね? 確かに隆志君になら殴られても嬉しいけど」
「黙れ! 醤油は常温保存で良い、こんなに大量の醤油買うな使いきれないだろ、濃口醤油は塩分濃度が薄口より低い!
ついでに変態発言かますな気持ち悪い!」

言いたい事を一気に言って冷蔵庫から黒いボトルを追い出していく。姉ちゃんは不服そうに頬を膨らませていた。
言っとくけどな、最近の醤油は飲み過ぎても死なないように改良されてるんだぞ。

「嘘! ええー、じゃあどうすれば……そうよ、塩水なら」
「飲まないからな」
「はうっ」

74 名前:×ヤンデレ ○ヤンドジ 4[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 17:14:55 ID:C/e57nKc
俺はやっとの思いで麦茶を取り出し、コップにそれを注ぐ。
俺を殺そうとしているのはこの際諦めよう。しかし何でまたそんなしょうもない方法で殺そうとするんだ。
嫌だぞ、死因が醤油や塩水の飲み過ぎなんて。米で圧死並みに嫌すぎる。

「だって、毒は手に入らないから」
「じゃあ刺すなり絞めるなりすればいいじゃねーか」
「そんなの隆志君が汚くなっちゃうよ。綺麗なままで手に入れたいの」
「醤油まみれもそう変わんねーだろ! ……もう止めれば? 殺すとか殺さないとか」
「やだ。隆志君を私だけの物にするためだもの」

ならもっとこう普通の手段で……と言いかけて止めた。
なんでまた俺を殺そうとする、かつ弟に異様な愛着を示す変態にそれを促すアドバイスをしなきゃいけないんだ。

姉ちゃんは相も変わらず熱っぽい目を俺に向けていた。とりあえず視線を逸らしておく事にする。
暫くは静かだった。静かすぎるくらいだった。ふと姉ちゃんに視線を向けた瞬間、俺はぎょっとした。
姉ちゃんはまた虚ろな目をして、かつ今回は包丁を握り締めていたのだ。

「ね……姉ちゃん?」
「そうだ。そういう手段もあったのよね」
「おい」
「あの泥棒猫を殺せば良いんだ」

物騒な事を言いながらも、姉ちゃんは笑顔だった。
ぐつぐつと煮込まれているカレー鍋の音。野菜を切り立てだからか、やや水に濡れて光る包丁。うん、見事に台無しだ。

「危なっかしい事言うなよ」
「……そんなにあの子が殺されるのは嫌?」
「あのなぁ」

ガリガリと頭を掻いた。
よく話を聞いてないだの何だのと言ってきやがるが、姉ちゃんの方がよっぽど話を聞いてないじゃないか。

75 名前:×ヤンデレ ○ヤンドジ 5[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 17:15:41 ID:C/e57nKc
「あの女って誰のことだよ」
「そうやって庇うんだ。騙されてるだけなのにどうしてそこまでするの?
大丈夫、隆志君はお姉ちゃんが守ってあげる。だから任せて? 邪魔する人は私が全部消して……」
「姉ちゃん!」

俺が叫ぼうとした瞬間、鬼のような目付きをした姉ちゃんの姿が目に入った。
こんな人は知らない。誰だよ。こんな怖い女は知らないぞ。
姉ちゃんは包丁を握り締め、

「殺すったら殺すわ。死んで当然でしょ? 私と隆志君の世界を邪魔したんだもの。あの野良猫が私は殺すの!
邪魔よ、邪魔なのよ。私の……私だけの隆志君をたぶらかした淫売大王なんて邪魔なの。
隆志君だけいればいいの。二人きりでいれればそれでいいの。他の誰かなんていらにゃいのおおおお!」
「最後の文法がおかしい。あと大王とか子供みたいな表現するな、響きが可愛くなってるだろ。
それと呂律が回ってないのに叫ぶなみっともない!」

姉ちゃんは表情こそ怒り狂っているが、台詞の突っ込み所が多すぎて恐怖を感じられない。相当テンパってるとみた。
……所詮姉ちゃんは姉ちゃんか。たまに発狂してもポンコツには変わりない。
この姉が持ってるってだけで刃物も何だか怖くなくなった。実はそれ、先が引っ込むようになってんじゃないのか。
姉ちゃんがカタカタと震え始めた。俯いているため顔色は伺えない。うん、危ないから包丁は置け。

76 名前:×ヤンデレ ○ヤンドジ 6[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 17:17:32 ID:C/e57nKc
「隆志君、最近私に冷たいよ。やっぱりあの女が好きなの? 騙されてる、隆志君は騙されてるんだよ。
あんな薄汚い野良猫にも普通に接するくらい優しいところは大好きよ。優しさは隆志君のいいところだよね。
優しくするのは許してあげる。でも私、あいつなんかを好きになっていいなんて言ってないよ?
お姉ちゃんはもう嫌い? どうして? 私はこんなに好きなのに……」

珍しく噛まずに長台詞を言い切った姉を見据える。
視線の端に姉ちゃんが準備したと思われる薬物を認めると、俺は思わず数歩後退りした。
暗黒色に淀んで光を失った瞳は、真っ直ぐに俺を居抜く。

「……姉ちゃん」

俺は何を投げつけられても、刃物を振り回されても届かないであろうギリギリの距離に着いてから、一言だけ言ってやった。




「今のポーションに青色一号は入ってないぞ」
「嘘!?」
「ついでに青色一号は発ガン性物質であって即効性のある毒じゃない」
「で、でも寧ろダメージを受ける味だって誰かが……」
「今回のは前と比べて大分まともな味になってるぞ」
「ま、またそうやって私を騙すのね? 隆志君の意地悪! ……でも、そんな所も好き」
「はいはい」

妙に美麗な顔になってしまった大作RPGの主人公が印刷された缶を眺めながら、俺は本日何度目か解らない溜め息をついた。

77 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 17:18:52 ID:C/e57nKc
以上です。
題名はヤンバカの方が正しいんだろうか……

78 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 17:25:28 ID:i3RmEA0q
>>77
GJGJ
姉ちゃん可愛いし、隆志がちょっと洗脳されかけてる所にもなぜか萌えた。
このままほのぼのと堕ちていって欲しい


79 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:34:30 ID:oi4vUM3L
「END2 アリスを殺す」  投下します
あと前回の「どこかのバカ」は冬継くんの自嘲ですのであしからず……といい損ねてましたゴメンナサイ

遅れましたが>>1乙

80 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:35:34 ID:oi4vUM3L


――殺さなくてはいけない。

そうだ、何を躊躇することがある。嫌というほどに味わっただろう。地面に落ちる生首を二
つ見ても、まだ思い知らないのか。いちいち悩んでいたら、自分がそうなることは明白だ。悩
む。そんな人間らしい行為が、ここには必要がない。
狂気倶楽部。
殺し殺されが当たり前だと思わなければ、此処にいることはできない。
――覚悟を決めよう。
くるりと、僕は魔術短剣を逆手に持ち替えた。銀の刃の長さは巨大鋏と大差ない。傘や杖の
間合いに比べれば、はるかに短い。だからこそ、悩んでいたらだめだ。殺すことを決めてさら
に内側まで踏み込まなければ、アリスを殺すことなどできるはずがない。
一歩を踏み出した。
――何のために?
頭の中で誰かが訊ねてくる。それは姉さんだったかもしれないし神無士乃だったかもしれな
いし、僕自身の声だったかもしれない。如月更紗でないことだけは確かだ。マッド・ハンター
は僕の前にいる。僕の前で、アリスと凌ぎあいをしているのだから。
――何のために殺すんだい。
頭の中で誰かが問う。
声に出して僕は答える。
「殺されないために」
頭の中で誰かが笑う。
にやにやと笑っている。 
けたけたと笑っている。
――殺されないために殺すのか。
「そうだよ」
さらに一歩。踏み込んだ左足の感触が不確かで、自分が屋上にいることを忘れそうになる。
僕が歩み寄ることにまったく意識を払わず、アリスとマッド・ハンターは切り結ぶ。突き刺す
ような傘の一撃を、マッド・ハンターは鋏で受け、杖を打ち返す。その杖はアリスには届かな
い。スカートをなびかせてくるりくるりとよけていく。狂り狂りと戦っている。
――如月更紗を助けるために?
「そうだよ」
笑いながらたずねる声に僕はこたえる。僕は笑わない。笑う必要がない。笑う理由がない。
笑わないままに僕は考える。 
如月更紗を守るために殺す。
僕を守るといってくれた少女を守るために、僕を殺すべくやってきたアリスを殺す。
ああ――なんだ。
式にしてみれば、単純なことだったんだ。余分な要素である如月更紗を除けば、ごくありふ
れた単純な答えが出てくる。
殺しにきたから、殺すのだ。
わかりやすい。
わかりやすくて、笑ってしまいそうになる。この場に如月更紗は必要ないのだ。問題は僕と
アリス。ならば問題を片付けるのは僕かアリスというのが筋だろう。
待っていろ、如月更紗。
五月ウサギがそうしたように。
白の女王がそうしたように。

僕が今、そいつを殺してやる。


81 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:36:44 ID:oi4vUM3L

三歩目を踏み出す。そのときにはもうアリスとマッド・ハンターの領域に踏み込んでいた。
両方から意識が向けられるのがわかる。視線を向けずに手もとめないのはさすがといったとこ
ろだろう。構わない。僕は逆手に握ったナイフを下から振り上げる。軌道上には傘の腹。斬る
ことができないのはわかっている。アリスは斬戟を傘で防ぎ、
防いだ傘が、上に撥ねる。
ごくごく単純な理由で。傘を抑える力よりも、ナイフを振るう力の方が強いという単純な理
由で、傘が撥ねあがる。
アリスが――そしてマッド・ハンターから、幽かな驚きを感じる。
何を驚くことがあるんだろう。
出来る。
出来る。
出来るのだ。彼女たちにできて自分に出来ないはずがない。姉さんの遺品で斬れないものが
あるはずがない。
そう自分に言い聞かせて――僕は四歩目を踏み込んだ。
距離は埋まらない。アリスはマッド・ハンターの攻撃をかわすために後ろに跳んでいる。そ
のアリスに追随してナイフを突き出す、体を捻ってアリスはよけ、反撃にきた傘を左手で払う。
成る程。
二対一であるのなら、アリスでも容易にはいかないらしい。いや、今の僕なら一対一ですら
十分かもしれない。独りでもこれを殺しきれるかもしれない。
いや、
殺しきる。
確信をもって五歩目を踏み込む。ナイフを握る手に力をこめる。振り下ろされた傘を振り上
げて弾く。硬い金属音。手にわずかな痺れ。ナイフを持つ手は放さない。傘を持つ手を狙って
蹴り上げるが、後ろに大きく跳んでかわされる。さすがに体勢がくずれていたので、すぐに追
撃することができない。再び間合いが開いてしまう。
それでも。
「…………」
裁罪のアリスの背はフェンスに触れていた。それ以上下がることはできない。間合いはじり
じりと詰まるだけだ。追い詰めたと、そう言っていいのだろう。
逃げ場はない。
さぁ――首を撥ねよう。
後ろから駆けてくるマッド・ハンターの足音を聞きながら、六歩目を踏み出す。もしもこの
とき、僕が冷静であれば気づいていただろう。殺意という熱病におかされていなければ疑った
ことだろう。
狂気は感染する。
観客がいつの間にか舞台にあがるように。
だから僕は気づけなかった――裁罪のアリスの顔に未だに笑みが浮かんでいることに。彼女
が少しも追い詰められていないことに。傘の柄を両手で握ったことに。
だから僕は疑えなかった――裁罪のアリスが今の今まで遊んでいたのだという、その事実に。
「君は――こちら側の罪人だね」
アリスが嘯く。どこかマッド・ハンターににた口調。僕はその口をふさぎたくて、ナイフの
狙いをアリスの首に定める。後ろから足音。どこか切羽詰ったような。
そして、
やっぱり同時だったように思う――僕が七歩目を踏み出すのと、アリスが傘を振るおうとす
るのと、
「冬継くん!!」
如月更紗の金切り声が聞こえるのとは。

82 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:38:28 ID:oi4vUM3L
いや――彼女はたぶん、ずっと僕の名前を呼んでいたのだろう。声はかすれて悲鳴じみてい
た。幾度となく名前を呼んだに違いない。最後の瞬間まで僕の耳に届かなかったという、それ
だけの話。
声を聞く精神的理由なんてなかったから。
如月更紗の声は――制止の声だったから。
それでもとまらない僕に対して、如月更紗は強硬手段に出たのだ。つまりは――思い切り、
横合いから僕を突き飛ばした。それが彼女にできるたった一つのさえたやり方だったから。突
き飛ばされてようやく僕はかすかな冷静さを取り戻して、彼女が名前を呼んでいるように気づ
いた――なんて、いかにも冷静っぽく考えることができたのは、もうすべてが間に合わないと
わかってしまったからだった。そして次の瞬間には精神が崩壊することがわかっているからこ
その、一瞬の冷静さ。
だから、全部見えてしまった。
如月更紗が僕を突き飛ばす姿を。敵であるアリスではなく、僕を見ていた彼女と目があった
。彼女は笑っていた。にやにや笑いではなく。死ぬ一瞬前まで、どこか満足そうに笑っていた
。正面から突き出された傘の先端、そこに仕込まれていた銀のナイフに首を切り飛ばされても
――如月更紗は、笑っていたのだった。
……。
…………。
………………。
……………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………………
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………………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………………………?
え?
なんだこれ。
何の冗句だ。何の冗談だ。何が本当で何が真実だ。僕はもう一度如月更紗を見る。ひょっと
したら如月更紗だったものを見る。ソレが今も如月更紗なのかは自信がない。如月更紗なのだ
としたら、どっちだ? どっちが如月更紗なのだ。首から上を失って地面に倒れ、切断面から
ポンプのように血を噴出した体が如月更紗なのか。それともコンクリートの上をころころと転
がって、虚ろな瞳で僕を見る顔が如月更紗なのか。どっちも如月更紗なのか。どっちも如月更
紗じゃないのか。生きているのか死んでいるのか死んでいたのか生きていたのか。
笑えよ、如月更紗。
いつもみたいにさ。

83 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:39:21 ID:oi4vUM3L
「お終い、お終い――」
アリスが楽しそうに笑う。如月更紗の代わりに笑う。噴出する血のほとんどは傘で受けてい
て、ただでさえ黒い傘は赤黒く染まっていた。あの傘はもしかしたら、はじめは白かったのか
もしれない。返り血を受けすぎていつしか黒くなった傘。黒いアリス。白と赤の混ざり合って
いた服は、如月更紗の血を加えることで赤に染まっていた。赤いウェディングドレス。血まみ
れの花嫁。物語の中から出てきたみたいに。悪夢の中から出てきたみたいに。雲もないのに傘
をさして笑っている。月光を防いでいるのか。
雨が降っている。
晴れているのに、赤い雨が降っている。
そうじゃなきゃ、地面が赤くぬれるものか。
そうじゃなきゃ、僕の瞳を流れるコレはいったいなんだっていうんだ?
わからない。
教えろよ、如月更紗。
なんか言え。
なにか言えよ如月更紗。そんなところで黙ってないで、いつもみたいに笑いながら話してみ
ろ。まじめなことでも下品なことでもいい。お前には沈黙は似合わない。益体もないことを延
々としゃべり続けるほうがお前らしいんだよ。屋上での饒舌ぶりはどうした。聞いてもいない
ことをぺらぺらとしゃべり続けるのがお前なんじゃないのか。それじゃあまるで、クラスの中
で窓を見ているときみたいじゃないか。僕と何の接点もなかった頃の如月更紗みたいじゃない
か。
ああ。
そうか。
僕以外がいるからか? 教室の中では決して本性を出さなかったように――この場に僕以外
がいるから、お前は沈黙しているのか? 僕以外。僕とお前ともう一人。裁罪のアリスがいる
から、お前は黙っているのか。
それもそうだよな。
聞かれた困るようなことばかり、お前は言うからな。
実際勘違いされると思うぞ、あんなことをぺらぺらと喋っていれば。深窓の令嬢が下ネタ親
父だなんて誰も思わないし。そもそもお前が狂気倶楽部の一員だなんて、誰一人として想像す
らしないだろうよ。
狂気倶楽部の一員。
狂気倶楽部。
狂気倶楽部。
狂気倶楽部?
狂気倶楽部!
姉さんがいた狂気倶楽部。
姉さんを殺した狂気倶楽部。
如月更紗がいた狂気倶楽部。
如月更紗を殺した狂気倶楽部。
彼女の姉がいた狂気倶楽部。
彼女の姉を殺した狂気倶楽部。
姉さんを殺したやつがいた狂気倶楽部。
如月更紗を殺したやつがいた狂気倶楽部。
如月更紗の姉を殺したやつがいた狂気倶楽部。
狂気! 狂気! 狂気倶楽部!
狂っている。
狂っている。
誰が狂っている?
僕が狂っている。
うん――正しい。模範解答だ。
僕が狂っている。
僕は狂っている。
僕と狂っている。
僕で狂っている。

84 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:40:53 ID:oi4vUM3L
裁罪のアリスが何か言う。終わりと告げる言葉を吐く。不思議の国のお茶会は、アリスが退
屈することで終わる。でも、あれは終わりじゃない。アリスがいなくなったとしても、彼ら三
人は延々と延々と延々とお茶会を続けている。アリスはイレギュラーだ。本来その閉ざされた
世界には必要なかった要素だ。お茶会をかきまわして、わけがわからず、やがて飽きて退席し
て消えたアリス。彼女には彼女の物語があった。彼らは彼らの物語を続けた。
なあ、裁罪のアリス。
そろそろ退屈しただろうし――帰れよ。
さあ、マッド・ハンター。

僕がお茶会を続けようか。

「――お終い、」
・・・・ ・・・・・・・・・
「お茶会は、終わらないものだろ」
持っていた魔術短剣を顔もあげずに投げつける。声だけで位置は把握している。はずすつも
りはない。放ったナイフは一直線にアリスの腹へと向かう。顔に投げつけるよりも致死性は低
い――ただし面積が広いのであたりやすく、顔よりはよけるのに時間がかかる。ほんの一秒に
も満たないだけの時間が。
それだけで十分だった。
僕はアリスがナイフをよけるその時間で、如月更紗の鋏を拾い上げた。重い。ずっしりとし
た感触が、これがまぎれもない凶器なのだと教えてくれる。刃は鋭く、触れただけでも切って
しまいそうだった。もち手の部分に人差し指と中指をかけ、片手でぶらさげるように持つ。
アリスの背後で魔術短剣がフェンスに突き刺さって大きな音をたてた。知らなかった。あの
短剣、そこまで鋭かったのか。フェンスにはじかれるかと思ったら、金網を破って途中まで突
き刺さり、そのまま落ちてこない。
愉快だった。
僕は笑っていたのかもしれない。どこからともなく聞こえてくる笑い声が僕のものなら、き
っとそうなのだろう。口だけが無関係に笑っている。頭はひどくさめている。体は興奮してい
る。心は沈黙している。なきながら笑い、僕は鋏でアリスの顔を横殴りにした。傘で防がれる
。衝撃までは殺せずに、体が後ろにかしぐ。僕はさらに一歩を踏み込んで、傘を思い切り正面
から蹴り突く。飛び出た刃は恐ろしいが、防刃の部分にまで武器がしこめるわけじゃない。は
じめから体勢を崩すことを狙った一撃。ただでさえかしいでいたところに衝撃が加えられ、裁
罪のアリスは尻餅をつく。と思いきや、片手でバランスを取って立ち上がった。すごいな、こ
の傘を片手だけで振るっていたのか。奇妙に関心しながら、それでも僕はさらに前へと進んで
いた。
後ろに下がるよりも前に進むほうが速い。
ましてや今は物語の中だ御伽噺の中だ悪夢の中だ。それくらいできないほうがおかしい。だ
ってそうだろう、そうでなきゃ、如月更紗が死ぬわけがない。
死んでいいはずがない。
こうも簡単に――人が死んでいくはずがない。
如月更紗も神無士乃も姉さんも死んだ。それ以外にもたくさん死んだし、これからもたぶん
死ぬだろう。こんなに簡単に人がしにまくってたまるか。そんな現実があってたまるか。
だからこれは、ごっこ遊びだ。
キャラクターを演じて殺し殺され死んで死なれる狂ったお話だ。
脚本はない。
だから終わりもない。
人が死んでも、『キャラクター』は消えはしない。

85 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:42:00 ID:oi4vUM3L
「アリスはお茶会に呼ばれなかった」
僕は前へ前へ前へ。さがるアリスの前へ、傘の内側に入ってせまる。アリスの笑みに少しだ
け驚きがまざる。傘が仕込である以上、内側へ入ってしまえばその攻撃範囲ではない。息が触
れるほどに近い距離。
そしてそこは、鋏の間合いだ。
僕は右手で鋏を突き出す。アリスの右手に止められる。あたらないと見るや傘をあっさりと
手放していた。右手が右手で止められる。さすがとほめるべきなのか、力は完全に拮抗してい
た。手をつなぎあったまま僕らはさらに後ろへ。
防がれることは、わかっていた。 
そんなのは初めからただのおとり。重要なのは左手。アリスの左手は地面から復帰するため
に使ったために後ろにあり、魔術短剣を投げ終えた僕の左手は空いていた。武器すらない。武
器がないということは、空いているということだ。
何も持たない手をまっすぐに伸ばし、アリスの首をつかむ。
片手でつかめるくらいに細い首だった。あいにくと握力を鍛えたりはしていないので折れた
りはしない。せいぜい器官がしまるくらいだ。窒息死する前に、唯一あいているアリスの左手
は反撃するだろう。瞳をつかれるか隠し武器でも持ち出すか。
なんでもよかった。
右手と右手が絡み合い、左手で彼女の体を固定できれば、もうそれだけでよかった。反撃も
攻撃もはじめから頭にない。絡みあった体勢のまま、僕はさらに前へと跳ぶ。今までの加速度
にさらに加速度を加えてかける。アリスは目的を悟ったようだが、意味がない。僕よりも少し
だけ小さなアリスは、首と手をつかまれて体がわずかに浮いている。
ふんばるだけの力を足にこめることができない。
左手が、動こうとした。
その瞬間、アリスの体がフェンスに押し付けられる。左手が体とフェンスに挟まれるように
して動くことができない。僥倖だ。反撃されなかった。
まあ、意味がない。
反撃も攻撃も、もう意味はない。
「そろそろ――退場する時間だ」
僕は間近で彼女にそうささやいて。
さらに足に力を入れて、踏み込んだ。
あっけないほどに、あっさりと。

フェンスを、乗り越えた。


86 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:42:54 ID:oi4vUM3L

落下防止のフェンスは元より高くない。はじめは鉄柵だけだったものを、隙間を埋めるよう
に金網で補強したフェンスだ。出入り禁止されている以上、フェンスは手入れも何もされてい
ない。壊れやすくなったフェンスはむちゃくちゃな力を加えられて斜めにかしぎ、僕は力まか
せにアリスの首をつかんだまま外に押し出した。
自身の体ごと。
放すつもりはなかった――突き落としただけでは無事に復帰するに決まっている。それだけ
のでたらめさをアリスは持っている。確実にするために、僕は自分の体を重りに、自身ごと屋
上の外へと飛び出した。
冗談のように、何もなかった。
足場がない。壁がない。地面は四階分の高さを隔てたところにあって、重力だけが嬉々とし
て僕らを待っていた。
アリスは――笑っていた。首をしめられ屋上から突き飛ばされて、笑っていた。
だから、僕も笑った。
笑って、そのまま落下した。アリスの腹に両膝を添える。右手に力を加え続ける。落下まで
の間に突き刺そうと思ったが、さすがにそれほどやわではないらしい。左手はもはや固定する
ためだけのものになっている。左手が僕の首を握った。なるほど、相手も途中で逃がすつもり
はないらしい。
落下時間は、恐ろしいほどに長かった。
そして、衝撃は唐突にきた。神経に無理やり電流を流されたような衝撃。衝撃がくるその瞬
間まで、僕は両手も足も離さなかった。アリスは笑うのをやめなかった。笑うのをやめないま
まに、アリスは『広がった』。アリスだったものは僕と地面に挟まれて破裂し、その内容物を
撒き散らしながら表面積を広げた。笑い顔だけは消えていなかった。
僕は。
僕はごろりと、彼女から手をはずして横になった。上から見れば、添い寝しているにすら見
えるだろう。アリスから流れ出た血が体を汚していく。地面は冷たい。血は暑い。無茶をした
手足がもう動かない。起き上がることもできない。顔を動かすこともできない。
転がったままに、見えるものだけを見た。
屋上ごしに、月が見えた。
きれいな月だった。
姉さんはいない。
神無士乃はいない。
如月更紗はいない。
誰もいない。
君がいない。
誰かに見られているような気がして、僕はそれが月だと気づいて、大笑いした。
そこから先は、よく覚えていない。
笑いながらに、僕はすべてとともに意識を失ったから。




87 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:46:43 ID:oi4vUM3L


・BADEND 『君の代わりに誰かがいる。』


すべてが終わった数日後、須藤幹也は喫茶店グリムのドアをくぐった。軽い鈴の音と共にド
アが閉じ、喫茶店の中にいた幾人かの視線が向けられ、すぐにはずされる。喫茶店の中は薄暗
く、客はその幾人しかいなかった。それでも多いほうだ、と幹也は思った。アングラな喫茶店
グリムからすれば、客がいるほうが珍しいのだ。平日の昼間から彼女たちは何をしているのだ
ろう、と思うが、とくに何も言わない。それは、自分も同じことだからだ。
平日の昼下がり。
喫茶店の中にいる少女たちは、思い思いの時間を過ごしている。本を読む者、本を書く者、
紅茶とケーキを楽しむ者。共通することは日常に馴染めない子たちであること。日常から乖離
するかの如く異端な服に身を包み、自身を特別であると信じている。特別である自分を演じよ
うとしている。
退屈だな、と幹也は思った。いつものように退屈だった。それは彼にとっては見慣れたもの
で、見飽きたものだった。さがせば一山いくらで見つかるだろう。ほんの少し踏み込めば、誰
だってそうなることはできる。彼がこの古巣に戻ってきた理由は彼女たちではない。彼女たち
がうらやみ、あこがれ、心の底で忌避するものに愛に来たのだ。
それは、普段は心の奥底で、深く深くで眠っているものだ。
気づいてしまえば、取り返しのつかないものだ。
アングラである喫茶店グリムの――さらに下。物理的な意味でも『下』に存在する図書室に
、須藤幹也は用があった。
連れは一人。
「兄さん」
車椅子に座った少女が幹也を呼ぶ。その手と足は人工のものだ。動くことも、歩くこともで
きる――それでもそれは万能ではない。彼女は普段から車椅子を使う。そうすることで、兄で
ある幹也をつなぎとめられるから。彼に世話をしてもらえるから。
妹――須藤冬華にとっては、兄である幹也が世界のすべてだった。
「お願いします」
ため息で答え、幹也は冬華を抱き上げた。地下へは車椅子を持って降りることができない。
冬華の細い身体をお姫様のように抱きかかえ、幹也は地下へと向かう。店内の注目が集まって
いるのがわかる。二人の間柄に、ではない。下へと降りることができる二人組に。
冬華の目には幹也しか映っておらず、幹也にしてみればそれこそどうでもいいことだった。
それとなく向けられる注目を気にすることなく、幹也は階段をくだる。とたん、とたん、とた
ん――一段降りるたびに階段が音をたてる。奈落へと続く階段を、気負うことなく降りていく。



88 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:47:21 ID:oi4vUM3L


かつん、
かつん。
かつこん、
かつこん。
狭い階段の中で音が反響する。その音をメロディにして、須藤幹也は歌を口ずさむ。
「雨に――唄えば――」
振い歌を歌いながら幹也は階段を降り続ける。そこ以外は歌わない。同じフレーズを延々と
延々と口ずさみながら、幹也は降りていく。地下へと降りる階段は、きっちり13段。頭の中
でその数字を数えながら、その回数だけサビを繰り返す。雨の中で唄う曲。降りしきる雨の中
で楽しげに踊る曲。
雨は降っていない。
ここからでは、空は見えなかった。
月もまた、見えなかった。
そうして、須藤幹也と冬華は階段を降り終えて。

「お見事、お見事、大見事。さすがに歌が上手いわね、元三月ウサギ」

ぱん、ぱん、ぱん、と。
なげやりな拍手の音が、須藤幹也を歓迎した。
冬華の声ではない。鋭く、嘲るような、楽しげな声だった。冬華を抱えたままに、拍手と声
のする方向を幹也は見た。
いつかと逆だった。
部屋の奥。安楽椅子に腰掛けて、革靴をはいたままの靴を机に載せて。長く艶のある黒髪の
人物が立っていた。男物のタキシードをきて、小さなシルクハットをかぶり、おまけに黒い杖
まで持っていた。
机の上には、一つの鋏。
赤い染みのついた、凶器以外の用途が存在しない巨大鋏。
ここにいるということは、言うまでも無く――狂気倶楽部の一員である。
その名を、幹也は口にした。
「……マッド・ハンター。いたのか」
「あら、あら、あら。君がいなくなるときいて――せっかく見送りにきたのに」
「怪我はいいのかい」
言葉とは裏腹に、声は少しも体調を慮った色はなかった。それがわかっているのか、マッド
・ハンターも笑みを浮かべるだけだった。怪我が治っていようが治っていまいが、そんなこと
は関係がないと。
退屈しのぎにはなるか、と思いながら幹也は本棚に背をもたれかけた。抱きしめていた冬華
の身体を下ろすと、彼女は幹也の胸に身体を預けるようにして立った。両の手が引っ張られて
、冬華の前に回される。旗から見れば幹也が冬華を抱きしめているように見えるだろうが、そ
の実は逆でしかなかった。




89 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:50:57 ID:oi4vUM3L

退屈。
そう――退屈しのぎだった。あの夜、死に掛けていたマッド・ハンターを助けたのも、ただ
の退屈しのぎでしかなかった。そうすれば暇が潰れるだろうという、それだけだった。命がど
うなったかも興味はなく、こうなった今も、何も感慨はない。
お茶会が続いている。
それだけのことだ。
「なぁ、イカレ帽子屋」
退屈のままに、幹也は言う。
それだけは、聞いておきたかったから。
この街を、狂気倶楽部を立ち去る前に、それだけは聞いておきたかった。
だから、幹也は尋ねた。
「お前は如月更紗のことが好きなのか?」
過去形ではない、現在進行形であるその言葉に。
・・
彼は。
マッド・ハンターは答えなかった。彼女の衣装に身に纏い、彼女の髪から創ったカツラをか
ぶり、彼女と同じ武器を持ち、彼女と同じ役を演じる彼は。
如月更紗という役を、マッド・ハンターという役を演じる彼は、満足そうに笑うだけだった
。その質問は正しいと、彼は笑った。
彼女は消えていない。
如月更紗は死んでいない。キャラクターを演じるものが居る限り、『如月更紗』は消えはし
ない。
彼女は此処にいる。
如月更紗は此処にいる。
それだけが全てだった。
その笑みだけで満足だったのだろう。冬継は妹を抱きかかえて踵を返す。もう此処には用は
なかった。彼が演じる役割はもう残っていない。あとの物語は、もう関係のないことだった。
「雨に――唄えば――」
唄いながら、須藤幹也は階段を昇る。その背中を、新たなマッド・ハンターは見つめている
。にやにやと、にやにやにやと笑いながら、その背中が消えるまで見続けていた。



90 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 19:57:04 ID:oi4vUM3L


お茶会は、終わらない。



《続かない》




91 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/10/29(月) 20:00:09 ID:oi4vUM3L
投下終了です
男のヤンデレ……になるのかなかこれ
不快でしたらごめんなさい


92 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 21:52:12 ID:dRe3Cko1
なんというBAD
そっちに逝っちゃらめええええええええ!ってラストでしたな

いやはや乙でした
「これとは違う結末」も期待してます

93 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 21:53:05 ID:o0AQICPV
GJッス

いいね
やっぱ男のヤンデレは死んだ女を盲目的に愛するのがいいよ


94 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:19:36 ID:W0XSomBk
( ;∀;)ナケルハナシダナー

95 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 01:41:12 ID:O/h7s6um
面白かったです。狂い具合が良い感じ
でもごめんなさい

出来る。
出来るのだ。

この一節でちょっと吹きました

96 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 02:04:42 ID:GkDeTzsr
やっぱBAD直行でしたか。しかしそれでもここまで魅せる物語を書けるその手腕に少し嫉妬。
そしてそれ以上に良い仕事と感嘆させて頂きました。

97 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 02:47:18 ID:36idoXvQ
これはこれで二人幸せそうだから良いかなあと思ってしまった。

98 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 12:50:48 ID:iKbraxif
乙でした
トゥルーエンドも待ってます
分岐多いから回収大変そうですがひたすら待ってます…

99 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 19:06:06 ID:ShQBgR/5
ヤンバカGJ

100 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/31(水) 07:37:41 ID:j/ByszVE
君の代わりに誰かがいるエンド乙。
いやー男のヤンデレはあんまし得意じゃないんだけどこの流れなら納得だぜ。
ビバ! このスレ的ハッピーエンド!
え~と、まあごく普通の生存ハッピーも好きですけどね?
てな訳で他選択肢も楽しみに待ってますよー。

101 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/10/31(水) 18:20:16 ID:SnDFDTXf






102 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/01(木) 17:58:07 ID:s5UXJWGP
男ヤンデレってVPのレザードみたいな奴なんかね?

103 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/01(木) 18:03:55 ID:AduzzzsP
北斗の拳のシン

104 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/01(木) 21:09:23 ID:pa9yBxsf
レザードはどうなんだろう、と思いかけたが
性別を入れ替えてみたらそれもありかと思えてきた

105 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/11/01(木) 21:30:14 ID:q0S6h1d9
一度書いてみたいなぁとか思ったんだけど、ここって話を投下するにあたってのおやくそくとかある?
文章の整形こんなだと読み易い・読み辛いとか
1レス何行くらいまでちゃんと詰めろとか。

106 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/01(木) 21:31:05 ID:q0S6h1d9
まずageんなよ自分……ごめんなさいorz

107 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/01(木) 21:40:56 ID:AduzzzsP
>>105
>>1のテンプレを守ればおK、後は特にない。
細かいところで読み辛かったりした時は住人が指摘してくれたりするのでそれを参考にすればよいかと

108 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/11/01(木) 22:05:00 ID:ZvS7afX9
―――/ ̄ ̄ ヽ――――/ ̄ ̄∞ヽ―― 、
/:::       ',,    /{-} 、_   `ヽ   |
_ l:::  {-} /¨`ヽ{-}_/ /¨`ヽ {-}   .|   |  
|  l:::   |ヽ ._.イl | '| ヽ ._.イl     ',|  |  
|  \:::   ヘ_/ノ / |  ヘ_/ノ      |   |  グッ~~グッ~
|  ヽ       ノ   |          |  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
―――――――――――――――――、  |

「私という『つがい』がアリナガラ
勝手に他の雌と寝テル・・・・」

\\                                                       //
\\                                                    //
\\            スクールデイズ的展開ktkr!!!!               //
\\              Nice Boat!                        //
\\                                             //

/ ̄ ̄ ̄'',       / ̄ ̄ ̄'',       ./ ̄ ̄ ̄'',
/        ',     /        ',     /        ',
|  {゚} /¨`ヽ {゚}     | {{●}/¨`ヽ{{●}    |  {゚} /¨`ヽ {゚}
.l   トェェェェイ  ',   .l   トェェェェイ  ',   .l   トェェェェイ  ',
.|   |-ーー|   ',   |   |-ーー|   ',   |   |-ーー|  ',
リ   ヘェェェノ    ',   リ   ヘェェェノ    ',   リ   .ヘェェェノ   .',


109 名前:105[sage] 投稿日:2007/11/01(木) 22:08:41 ID:t4QG58H3
>>107
ありがとう、書いてみるよ。
いつかこのスレでお目にかかれたら幸いだ…

110 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/02(金) 07:55:36 ID:Ao5/PO9G
>>109
ガンガレ、期待して待ってる

111 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/02(金) 12:40:49 ID:5NIxC/uh
近親相姦物はアリでつか?

112 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/02(金) 12:44:17 ID:5Aq3Br6h
大いにアリよ。まあ姉か妹が相手ならキモ姉&キモウト小説スレもある。

113 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/02(金) 14:27:05 ID:Ao5/PO9G
とりあえず保管庫の作品をざっと読んでみればスレの傾向はわかるはず。
まあかなりの量があるから軽く目を通すだけでもいいと思う……それでも大変かなw

114 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/02(金) 18:48:37 ID:waVhQGtl
あんまり細かく分ける意味がわからんけどなぁ…

115 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/02(金) 21:21:47 ID:s6Rkau/1
まあぶっちゃけスレが立った経緯なんて様々だしあんまり意味はない。
ネタ的にかぶるスレはスレの雰囲気とかで自分に合う所に参加したり投下したりすればよいかと。

116 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/11/04(日) 01:39:25 ID:eHyIlQrB
22話を投下します。


-----

第22話~選択~

*****

朝食を食べ損なったことを思い出して立ち寄った自宅近くのファミレスは、遅めの朝食を食べる人で
若干の賑わいを見せていた。
ファミレスの賑わいのおかげで、盗み聞きされたら頭のネジの締まりを心配されるような会話を
華にできるのだから一応は感謝すべきことなのかもしれない。
俺たちの座っているテーブルには、相席している人間の姿はない。
だというのに、華は俺の左隣に座っている。
それはもちろん俺がそうしろと頼んだからではなく、華の方から隣に座ってきたからそうなったのだ。
一言二言文句は言ったが、腕を組んで一度考えてみると、テーブル越しに話すよりはくっついて
話す方が周りに会話を聞き取られないで済むなと思い直し、結局は同じソファーで食事をとることにした。

朝食のサンドイッチを食べながらここ最近で俺の身に起こったことを話した。
前世のこと。華が屋敷から持ち出した本のこと。
あらかたの説明を終えたという合図として、コーヒーを飲む。
コーヒーカップをテーブルの上に置いたタイミングで、華が口を開いた。
「なんとも迷惑な話ですね」
「……」
まさにその通り。何も言い返せない。
最近はいろいろと起こり、俺自身その時々で色々なことを思ったものだが、一言で感想を述べるなら
今華が言った言葉が一番ふさわしかった。
「それで、おにいさんはどう思っているんですか?」
「どうって、何を」
「前世の話、信じているんですか?」
華の声色には問いかけの成分しか含まれていなかった。
興味本位で聞いているというふうで、俺がどんな返事をしても気にしそうに見えなかった。

「……前世なんてものはない。だから俺は前世なんて信じない」
ここだけは譲れない考えだ。しかし今はおまけとして新たな考えがついている。
「ただ、もしかしたらという仮説だけど、俺に前世の記憶がないだけじゃないのかとも思えてきた。
そういう可能性もあるんじゃないかってな」
「そう思う根拠は?」
――なんだろうな。自分でもはっきりとわかっていない。
変なことが起こりすぎているから状況を理解できていないのか。
もしくは、こんなことに巻き込まれた理由づけがなにか欲しかったからなのか。
どちらにせよ、今はこうとしか答えられない。


117 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/11/04(日) 01:40:33 ID:eHyIlQrB
「なんとなくだ」
「なんとなく、ですか」
「ああ」
「あんまりよくありませんね、そういうの。なんとなく、で済ませようとしたら頭の中にあるかもしれない
答えのしっぽすら逃してしまうかもしれませんよ。真剣になって思い出してください。
なにか、そう思うきっかけみたいなものがあるんじゃないですか?」
「やけにつっこんで聞いてくるな、華」
「おにいさんに追求する姿勢がなさそうだから、私が代わりになっているんですよ」
「……そりゃどうも、ご苦労様。お礼にコーヒーでもおごるよ」
「じゃあ、お願いします」
と言って、華はコーヒーカップを差し出してきた。
もちろん華もドリンクバーを頼んでいるから、厳密にはおごりではない。
ここの食事代も割り勘だし。

ドリンクバーで、華のカップにはコーヒー、俺のものにはカプチーノを注ぐ。
注ぎ終わるまでのしばらくの間を思考の時間として費やす。
前世が武士なのかもしれないと考えたきっかけ、ね。
さっきと同じく、なんとなくとしか言えないんだがな。嘘や下手なことを言うわけにはいかないし。
昨晩、十本松と話していて気絶した時、なにか夢を見た気がするが、全然思い出せない。
だって――目が覚めたら十本松が死んでいたのだから。
あれは、あまりに衝撃が強すぎた。人が死んでいる現場を見たのはあの時が初めてだった。
思い出せなくなっても当たり前だ。

コーヒーサーバからでる液体が、カップを8割満たした。
両手にカップを持ち、華の待つテーブルへ向かう。
俺がテーブル席に腰を下ろしたとき、同じソファに座っている華は本を手にとって読みふけっていた。
華が手に持っているのは、菊川屋敷から持ち出した本だ。
武士と姫の生活と終焉を描いた、1冊の本。
これを俺が図書館で借りたときは、この本は『無題』というタイトルで扱われていた。
図書館の膨大な蔵書の中でこの1冊を借りようと思ったのは、この本の奇妙さにあった。
まず、タイトルがない。『無題』など、本のタイトルとは呼べない。
次に、中身は小説のくせに、古ぼけた歴史資料の本の棚に入っていた。
たしかに見た目は古い本ではあるが、内容は歴史資料としては不適切だろう。
以上のことから、この本に軽く興味をひかれて借りてしまったのだ。

少し熱めのカプチーノを飲みつつファミレスの駐車場の景色を眺めていたら、華が話しかけてきた。
「この本なんだか変ですよ」
「ん……どこが?」
「おにいさんが前世で武士だったという前提をふまえたうえでの話ですけど。
現代日本で武士と呼ばれる人々が存在した時代に、現代の小説本と同じ装丁がされている本が
作られるはずありません。なにより、そんな昔の本がこんな状態で残っているなんておかしいです」
「ああ、そういえば……」


118 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/11/04(日) 01:41:25 ID:eHyIlQrB
華に言われて初めて気づいた。ついでに言うと今まで気にも留めなかった。
そうだ。二冊ともそこそこに古ぼけてはいるが、骨董品という程の古ぼけ具合ではない。
商店街の古本屋にある一番古い本、と言えるぐらいの品質を保っているのだ。
かなこさんが語る前世――おそらくかなり昔の時代――と、この本が作られた時代が同じだとした場合、
このタイトル不明の本には不可解な点がある。本が新しすぎるのだ。
つまり。

「この本、誰かが作り直したんじゃないですか?」
「……そうかもしれん」
「だとしたら、この本は本物ではなくて偽物ってことになりますね。
……そもそも本物があるのかどうかすら怪しいものですけど」
昔からあった本を製本し直したと考えれば、この二冊の本が持つ不可解は不可解でなくなる。
その代わり、新たな謎が生まれる。誰が本を作り直したのか、という謎が。
「二冊目の本を十本松が作り直した、というふうに考えれば納得はいく」
「けど、こっちの――私が持っている方の本は説明がつきませんね。
これ、図書館から借りてきたんでしょう? そして、菊川かなこはこれが図書館で貸し出しされている
という事実を知らなかった」
俺がかなこさんと会ったとき、かなこさんはこの本の居場所を探していた。
で、たまたま声をかけた俺が本の居場所を知っていたから、ようやく本を見つけることができた。
かなこさんが本を作り直したのだと仮定すれば、自分の足で本を探すはずがない。
見つからなければ、もう一度作り直せばいいのだから。

「たぶん……かなこさん以外の誰かが作り直したんだろう。
他にこんなことをやりそうな奴というと――十本松ぐらいしかいないけど」
「作り直したあとで、図書館に預けたのはどういう意図だったんでしょう?」
「俺に読ませるつもりだったんだろ」
「おにいさんが図書館でこの本を見つけるかどうかわからないのに?
いちかばちかでそんなことをやりますかね?」
「けど、結果として俺はその本を見つけた。今では手元にきてる」
「それは結果しか見てませんよ。目的を果たすための方法としては、図書館に預けるなんて雑過ぎます」
「俺もそうは思うんだけどな。……かなこさんに初めて会った日に、言われたんだよ。
『前世で無理矢理に引き裂かれた者同士は生まれ変わったら必ず出会ってしまうものだ』って」
「運命ですか。……くだらないですね。あの女の言いそうなことです」
「お前ならそう言うと思ったよ」
俺だって同じ意見なんだけどな。
真剣なかなこさんや、前世からの因縁を力強く語った十本松を見ていると、気になるんだよ。
かなこさんの言っている運命とやらに俺は翻弄されているんじゃないかってな。


119 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/11/04(日) 01:42:18 ID:eHyIlQrB
「おにいさん、もう一つ気づいたことが」
「なんだ?」
「どうしておにいさんが、菊川かなこと天野香織に拒絶反応を示すのかがわかりました」
「は? ……本当か、それ」
どうしてこの女はここまで頭が回るんだ。
さっきから自分の行動の動機に対して頭を捻っていた俺が馬鹿みたいじゃないか。
「こんなことで嘘は言いませんよ。嘘みたいな与太話に嘘を吐いても意味がないじゃないですか。
で、話を戻しますけど。さっきおにいさんの話の中で、役割っていうのがありましたよね。
姫は刺客に殺された。刺客は武士に殺された。武士は刺客の娘に殺された。
最後には、その刺客の娘も殺されてしまう。殺したのは武士の昔の恋人。
『姫』、『武士』、『刺客』、『刺客の娘』、『武士の昔の恋人』。全部で五つの役があります。
この役割が――私の考えでは――重要な要素になっているんですよ。
おにいさんは、前世では武士の役でした。では、現代では?」
「十本松が言うには、物語の最後に武士を殺した刺客の娘……を殺す女、らしい」
「その刺客の娘役は誰だと、十本松あすかは言っていました?」
「香織とかなこさんだとか――って」
「気づきましたか。つまり、おにいさんがあの二人に対してあんな行動をとってしまうのは、役割を果たすためなんですよ。
武士の仇をとるために、刺客の娘を殺す。その役割がおにいさんに与えられているんです」
「待て待て待て。俺は香織もかなこさんも恨んでなんかいないぞ?」
「そうでしょうね。けれど、おにいさんはあの二人を前にしたら意志と関係なく、体が勝手な行動をとってしまう。
その理由は、あくまで私の推測ですけど、たぶん――操られているんじゃないかと」
「操られている? 俺が?」
「操るというか、暗示やすりこみみたいなものだと考えられます。
おにいさんがあの二人を前にしたら、強制的に殺害行動をとらせる。それが暗示の内容です」
「俺は……暗示にかけられたことなんかないぞ」
最近は言わずもがな、ずっと昔からそんな記憶はない。
「暗示をかけたこと自体を忘れさせたか、それ以外の何かか。
どちらにせよ同じこと。おにいさんがそういった『何か』に操られているのは事実です」
「それは――」
「決めつけじゃありませんよ。おにいさん。このファミレスですれ違った人を殴りたいと一度でも考えましたか?」
――ない。
ここから店内にいる客、店員、外を歩いている人たち、誰を見ても感情が揺らがないし体も動かない。華に対しても同じ。
やっぱり、俺があの反応をとるのは香織とかなこさんだけだ。


120 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/11/04(日) 01:43:30 ID:eHyIlQrB
「誰が……」
「はい?」
「誰が、そんなふざけたことを……」
どいつだ?十本松か?かなこさん?室田さん?
「また推測ですけど。言ってもいいですか?」
「……ああ」
「これです」
華はさっきまで見ていた本を二冊とも差し出してきた。
行動の意図がわからない。これ、ってこの本が俺を操っているとでも?
そんな馬鹿な。たかが本ごときで。

「この本が台本だとしたら、おにいさんは役者です。役者は基本的に台本に従って行動します。
もちろんアドリブだって演技には必要です。だけど、やらなければいけないシーンは絶対に演じなければいけない。
そのやらなければいけないシーンの一つに、『武士の昔の恋人』が『刺客の娘』を殺す、というのがあるとは
考えられませんか? この本の話ではそのシーンは最後の方に来ています。もしそのシーンを省いたら、
武士と武士の元恋人はそれから幸せに暮らしましためでたしめでたし、で終わっちゃいます。
おにいさんが脚本家だったら、ラストシーンを省きますか?」
「わかんねえよ。脚本家じゃねえんだから……」
ちくしょうが。――省くわけがないだろ。話がまったくの別物になってしまう。
「私だったらシナリオは変更しませんね。
『人を殺した人間は必ず報いを受ける』。たぶん、それがこの本の根本にあるテーマです。
そこから言わせると最初に殺された姫は不幸だったとしか言えませんけど。
この武士も姫の仇討ちをせずに故郷に帰っていれば、昔の恋人と何事もなく生きられたはず。
それをわかっていたとしても、武士は仇を討てずにはいられなかった。
最後には殺されてしまいますけど、私はこういう人間は好きですよ。心の弱いところが。
愛する人間を殺されて、「復讐目的で人を殺してはいけない」と考える人間は現実的じゃありません。
「何としてでも姫の仇はとる」という方が自然で、好感が持てます」
そこは俺も同意だ。
憎しみにかられて復讐に走れば、最後には破滅しか待っていない。
だけど、『恋人は殺されてしまったのになぜあの男はのうのうと生きているんだ』と考えれば、
自分だけ幸せになろうなんて気持ちにはなれない。
恋人の優しい笑顔や落ち着く声。そして恋人を前にしたときの暖かな気持ち。
それら全てを奪った人間は、生きていてはいけない。
もし俺がこの武士であったとしてもまったく同じ行動をなぞるだろう。


121 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/11/04(日) 01:44:48 ID:eHyIlQrB
「おにいさんは……どうですか?」
「どうって……ああ。俺も華と同じ考えだけど」
「そうじゃなくって。もし私が殺されたら、殺した人間に復讐しようと思いますか?」
そっちか。……実際にそんなことにならないとわからないんだが。
「どうなんです? 思うんですか? 思わないんですか?」
目尻を吊り上げながら涙目になるな。真剣になり過ぎだ。
やれやれ。仕方ない。

「もちろん、泣き寝入――うそごめん。コーヒーカップを構えないでくれ」
危なかった。とっさに華の手首を掴まなければ顔に熱い液体をぶちまけられるところだった。
「まじめに答えてください。こっちは真剣に聞いて居るんです」
「はいはい」
そうだな。華がもし死んでしまったら。もし殺されてしまったら。

「――しばらくは、何もできなくなる」
「え?」
「華は俺とずっと昔からいたから、居なくなるなんて考えたこともなかった。
だから、居なくなったら現実を理解できずにしばらく放心状態になるだろうな。
実感が湧いてきてから、ようやく悲しくなる」
「悲しくなったら……泣きますか?」
「……たぶん」
たぶんじゃないか。確実に泣くな。華が死んだと考えるだけで悲しいし。
「お兄ちゃん」とか言ってなついてきた可愛いころの華の顔を浮かべると無性に悲しくなる。
もちろん今の華でも同じだ。華が死んでしまったと聞かされても、事実を受け入れられない。認めたくない。
十本松が死んだときの衝撃とは桁が違う。

「そうです、か……」
華が背中を向けて顔を逸らした。もしかして華の奴。
「照れてるのか?」
「別に照れてなんかいませんよ! ――もう、ほっといてください!」
「へいへい」
わかりやすい奴。こういうところは昔から少しも変らない。
そういえば、華の反応を楽しむために、昔は華が赤面するようなことをたくさん言ってやったな。
頭を撫でたり、髪型を褒めたり、「可愛い」とか言ったり。「料理上手だな」とは一度も言わなかったけど。


122 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/11/04(日) 01:47:17 ID:eHyIlQrB
手元にある本を一冊手に取る。この本のシナリオに俺は操られている、ね。
だとしたら、この本が全ての元凶だとでも言うのだろうか。
シナリオに操られ、今までに十本松の父、香織の父、かなこさんの父、十本松あすかが死んだ。
さらに俺が筋書き通りに動き、香織とかなこさんを殺してしまえば話は完結を迎える。
だが、そんなのは御免だ。なんで俺が二人を殺さなきゃならない。
まず動機がない。十本松はかなこさんに殺されたけど、その仇をとるつもりなんか俺にはない。
香織にいたっては十本松になにかしたわけでもない。むしろ被害者の方だ。
香織は、香織の父親が十本松の父親を殺したことで、シナリオに巻き込まれただけだ。
そもそも、この台本自体が狂ってやがる。なんでこんなものが存在しているんだ?

誰が、この本を作り直した?
それが分かれば、この狂ったシナリオを途中で終わらせることができるかもしれない。
青い表紙の本。こっちの持ち主は十本松だった。だが、あいつは死んでしまった。
あいつが死んでから俺はおかしくなった。
ということは、本の持ち主が死んだからといって話が終わるわけではないらしい。
この本が作り直されたものだとすると、燃やしたところでどうにもならないだろう。
もう一冊、図書館から借りてきた本。こっちの持ち主はかなこさんだ。
だが、これはもともとかなこさんが持っていた物ではなかった。
いつも俺が通っていた図書館で貸し出されたものだから、もとは図書館の持ち物だということになる。
――そうか。図書館だ。あそこに行けば何かがわかるはず。
かなこさんと図書館で初めて会った日から、まだ二週間も経っていない。
受付の人なら、何かを知っているはずだ。よし。

「華。いつまでもぶつぶつ言いながら照れてないでこっちを向け」
「照れてないですよ! ……何か話でもあるんですか?」
「今から図書館に行こう。この本を作り直したのが誰か、徹底的に調べてやる」
華は照れた顔を一変、渋面を作った。そしてそのまま俺の目を見つめてくる。
もしかして、手伝うのが嫌なんだろうか。
一人より二人の方が助かるんだが、華が嫌だと言うなら、一人でやるしかない。
「調べるってことは、さらに深入りするつもりですか?
今までも危ない目に遭ってきたのに、今度は自分から首を突っ込むと?」
「そうだ。そうしなきゃ、いつまでもこの状態が続くからな」
「――提案があります」
華が右手を小さく挙げた。
「言ってみろ」
「今後、あの二人に関わる一切の行動を行わない、というのはどうですか」
「……却下」
「あのですね、おにいさん。私はただ嫉妬心や独占欲から言っているわけではないんですよ。
考えてみてください。菊川かなこや十本松あすかに関わるようになってから今まで、
どれだけ危険な目に遭ってきましたか?」
「えーと……」
片手で指を折って数える。かなこさんに会った当日のチョークスリーパー、睡眠薬、逆レイプ、
絞殺されかける、爆発事件、十本松の発砲事件、回し蹴り――その他多数。
いかん、何度指を折ったか忘れてしまった。数え切れないほどある。
「分かったでしょう? 自分がどれだけ災難に見舞われたか。全ては菊川かなこに関わったからです。
事実として、あの女はおにいさんに害をもたらしています。
それだけではなく、おにいさんの体に毒まで仕込みました」
「……二人に対する異常反応のことか」
「そうです。これ以上関わったら、それこそ命が危なくなります。
だからもう……この町から離れませんか?」


123 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/11/04(日) 01:49:21 ID:eHyIlQrB
離れる?高校卒業後に就職して、今まで過ごしてきたこの町を?
そりゃ、今でもこの町に住んでいるのは、惰性に流されているからでもあるけど……。
「おにいさんの実家に、おじさんとおばさんが住んでいる家に帰りましょう。
別に喧嘩別れとかしたわけじゃないんですから」
「あ、ああ……でも、この町には香織が住んでいるし」
香織は元は俺の実家の近くに住んでいた。
だけど、俺が会社を辞めたと聞いて、この町に引っ越してきた。
そのことを聞いたのはコンビニのアルバイト店員として再会した後だ。
あの時は偶然もあるもんだ、と思ったが今なら香織の考えがわかる。
香織はきっと、俺の後を追ってこの町にやってきたんだ。
俺に会うためだけに、人見知りな性格をしているくせに、たった一人で。

「それに、たぶん俺が引っ越したって聞いたら、また実家に帰ってくるはずだぞ。
前に聞いたら、手入れはしていないけど家はまだ残ったままだって言っていたし」
「なら、どこに引っ越したか伝えなければいいんですよ。
ついでに携帯電話も着信拒否にしてしまえば完璧です」
「あのな。香織と俺は……付き合ってるんだぞ。ちゃんと話したはずだ。
着信拒否にするわけあるか。携帯はお前には渡さないぞ」
「ええ。お付き合いのことはもちろん知っていますよ。不愉快な事実ですけど。
そこで、二つ目の提案です。これはかなり個人的な感情が入っているものになります」
華の右手がピースサインをつくった。
「おにいさん。天野香織さんと別れてください」
そして、メニューでも注文するような気軽な口調でそう言った。

……言うだろうな、とは思っていたさ。引っ越しの話を出してきた時点でな。
俺自身も、しばらく会わないようにしよう、と香織に提案するか悩んでいたところだ。
顔を合わせたら香織を無意識のうちに傷つけてしまうと分かっていて、香織に会うことはできない。
その先に香織との関係が破局が待っているかもしれない、と不安混じりに思ってもいた。
だけど俺は香織が好きだ。別れたくない。だから、華の提案を呑むことはできない。
けれど、しばらく会えないことを伝えるだけなら。
それだけなら香織もきっと受け入れてくれるはずだ。


124 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/11/04(日) 01:51:36 ID:eHyIlQrB
「私が言ったことはただの提案ですから。どうするかはおにいさんの勝手ですよ。
実家に帰るか、香織さんと別れるか。どうします?」
違う。図書館に行くか、実家に帰るか、香織にしばらく会えない旨を伝えるか、だ。

図書館に行ったら、この体の異常を解決するヒントが得られるかもしれない。
体が正常になったら、引っ越しもせず、香織とも別れずにいられる。

実家に帰っても……なにも進展はないだろう。華はあの二人に会わせないつもりで提案したようだけど。
香織とかなこさんにしばらく会えなくなるな。いや、今でも会わない方がいいんだったな。
帰るとしたら、二人には一言も告げずに帰らないと。香織はおろか、かなこさんまで追って来かねない。

香織に、しばらく会えないとメールするならいつでもできる。 
だけど、こういうことは正面から話したい。
俺と会うのは香織にとって危険だが、体に注意を払っていれば香織に手を出さずに会話を終わらせること
だってできるはずだ。図書館に行くのはそれからでも遅くない。

考えろ。今から俺がどう動くべきかを。


今の俺がとるべき最善の行動は、


A:図書館に行って本を作り直した人物を明らかにすることだ。
B:香織とかなこさんには黙ったまま実家に帰ることだ。
C:香織にしばらく会えないと伝えることだ。


125 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 01:53:46 ID:eHyIlQrB
今回の分は終わりです。もちろん次回へ続きます。

Aはかなこルート、Bは華ルート、Cは香織ルート、になります。

126 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 01:55:46 ID:4eIp2yf7
一番やり?GJっす。

Cでおながいします!

127 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 02:05:45 ID:AdSuUI5h
Aだぁ!

128 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 02:21:23 ID:+dylfxNB
GJ!更新があって嬉しいです。
どのルートになろうともつづきを楽しみにしてます。
が、希望は出させてもらいます。というわけでB

129 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 02:40:45 ID:6NzU1czD
>>128
乙Cで!

130 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 03:38:13 ID:IQ8FU/Yf
乙。
どのルートでも謎は解明されるのだろうか。
俺は華派なのでB。

131 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 04:10:37 ID:4OM3H9Mx
あああああ。
なにも考えなかったらAなんだけど華派の俺はどうしたらいいんだあー!

rァB

132 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 07:39:50 ID:BsusMsOM
華派なのでBで
それとGJです!

133 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 11:37:44 ID:+lJAsLfE
Cでお願いします

134 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 13:10:58 ID:oXif/L4A
Cで

135 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 13:27:16 ID:g7vMoH8r
うーん……でもここまできたら全ての謎の答えが知りたい
ってことでA

136 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 13:51:10 ID:0Nj53ogH
もちろんCで!!

137 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 14:51:02 ID:+H+W3kN1
C希望です

138 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 17:16:58 ID:kTX3Z//F
び…Bで

139 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 18:20:58 ID:i/Ro0+Sf
Aで…
てゆーか、全部見たいorz

140 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 18:42:13 ID:HS8GFR1z
全部知るならA
生き延びたければB
誠実さを求めるならC
ぐああどうすりゃいいんだー!


Cで。

141 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 19:11:14 ID:M3hZPOUO
大丈夫、どうせ全部を満たすDルートがあるって

142 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 19:29:00 ID:58YIGly+
おれはイケヤン

143 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/04(日) 22:12:24 ID:lyVpd9jd
Cでお願いします!

144 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 04:51:11 ID:1MxcAGC4
ここまで来たら香織とハッピーエンドを迎えて欲しい。

よってC!

145 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 18:29:18 ID:7DZdiTvy
遅れました
駄文投下します

146 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 18:31:06 ID:7DZdiTvy
7

携帯から、今流行りのアーティストの着歌が流れた。
着歌の曲から、鳴った理由がメールだという事は直ぐに分かった。
慣れた手つきで携帯を開きメールを見てみると、
やはりというべきなのか、予想通り差出人は水無月さんだ。
予想通りというのは、メールアドレスを交換したばかりなら、
とりあえずメールアドレスを交換した人とメールをする事がよくあるからだ。
同時に、最初のメールは相手と話が合うかどうかを調べる、
戦闘における言葉で表すと前哨戦に値するので舐めてはいけない。
最初のメールで15件位は続かないと、直ぐにメールをしなくなる可能性が極めて高い。
登録しているのにメールをしていない人と会うと、
気まずくなりやすいというオプションがもれなく付いてきたりもする。

そんなどうでもいい意見はともかく。、
まずはメールの内容を見る。
(これからよろしくね~)
……当たり障りはないけれど、これだけで話が広がるのか?
とりあえずはこちらもメールを返そう。
(よろしくね)
送信し終わり約15秒位で直ぐにメールが返ってきた。
少し早すぎる気もしたが、内容が薄いのだろうと思い、
メールの内容を見る。(えっと……
いきなりで驚いちゃうかもしれないけど、以下の質問に答えてね
好きな食べ物
嫌いな食べ物
身長
趣味・特技
血液型
寝る時間帯
今現在好きな人がいるかどうか
もしくは付き合ってる人がいるかどうか

以上が
知りたい事かな)
メールを読み、一旦携帯を閉じる。
そして、
誕生日のケーキの蝋燭の火を消すみたいに息を吹く。
内容が薄い?
むしろ濃いだろ
とにかく、驚いた。
質問に驚いたのではなく、
あの短時間でこの量の文のメールが返ってきた事がだ。
物理的に無理な気がするのだが………


147 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 18:32:13 ID:7DZdiTvy
ではどうやってあれだけの量を送る事が出来たんだ?


…………そうか、
予め質問をメモ辺りに書いて保存しておいたんだ。
きっとそうに違いない。


それにしてもメールで質問か…
なんか違和感を感じざるを得ないのだが、
元々は興味があるとの事、それを考慮すれば質問位あるのだろう(多分)
くると分かっていても、2件目のメールでされるとは思わなかっただろうが。
(好きな食べ物はシチュー
嫌いな食べ物は特になし
身長は去年のデータによると173センチ位
趣味 特になし
特技 実は料理が得意だったりする
血液型 AB型
寝る時間帯 12時
好きな人
や付き合っている人がいるか 残念ながらというべきか居ない

と、まぁよくそこらへんに居そうな人だよ)
細かく自己紹介をした気分だ。
しかし、他は分かるとして、
寝る時間帯は一体何の為に聞くのだろうか。
夜中に寝ている時にメールしてこちらを起こさない為かな?
もしそうならかなりの気遣いだな……
気付くと、メールの返信が届いていた。
またさっきと同じような慣れた手つきで携帯(実は結構練習した)を開ける。
さっきみたいに驚く事は多分もうないだろう。
そう思い、視線を、携帯の画面に落とした。(ありがとう
お陰で助かったよー)

はて、
助かった?
一体何が助かったのだろうか?

質問に答えてお礼を言われるのは分かるのだが…………


メールだと伝わりにくいという事はよくある事だ。
きっとこれも伝わりにくいメールだったんだ。
勝手に納得しておこう。
深く考える必要ないし。


148 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 18:33:15 ID:7DZdiTvy
少し返信が遅れてしまったので、急いでメールを返信する。
内容を打ち、返信ボタンを押そうとする。
その時だ。
近くでなった轟音が―――正確に言うと目の前からなった―――
右耳を貫き、左耳から出ていき、脳を揺らした。
それと同時に、自分の視点が急激に低くなる。
あまりの事に、心臓が一瞬止まった気がした。

何が起きたのか分からず、しばらく呆けていたが、
肩を叩かれてハッとなり直ぐに後ろに振り向いた。
そこには見憶えがない、初対面のおじさんが立っていた。
「大丈夫かね?」
「は?」
いきなりの問いに思わず聞き返してしまった。
「分かってないのかね?トラックに君は跳ねられそうだったんだよ」
「え………」
おじさんの言葉を聞き、辺りをキョロキョロ見回す。
状況把握というやつだ。
辺りを見回して気付いた。
人が視界に写ると足しか見えていない上、
周りにある家や車等がいつの間にか大きくなっている。

何故足しか見えていないのか、
答えは単純、尻餅を付いて僕の視点が下がっていたからだ。
今更だが、目の前にいるおじさんも屈んで僕に視線を合わせていた。
気付いたからにはいつまでも尻餅を付いてるわけにもいかず、
よっこらせっと親父臭い事を言いながら立ち上がる。
視点が回復し、何故、さっきの突然の状況が発生したのかが分かった。
ここは…………信号だ。

さっきの轟音も、目の前にいるおじさんが言うには、
トラックが僕の目の前を通過したからか……

どうやら、考え事に没頭している時に、
横断歩道まで来ていたと気付かずに歩いていた。
そして、信号が赤なのにも関わらず、
横断歩道を渡ろうとした。
そして目の前をトラックが通過、そ
の事に驚き僕は尻餅を付いて呆けていたというわけか。
……ってあれ


149 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 18:35:15 ID:7DZdiTvy
もしかしてもう少しで死ぬ所だったんじゃあ…………………
まじで?


おじさんから注意の言葉を有り難く頂戴し
、帰るまで携帯の電源を切ってまた帰る為に歩き出す。
人は学習するのだよ。

ようやく家に着く事が出来た。
移動した時間自体は10分位なのだろうが、
今日の10分程忘れない10分はないだろう。
なんていったって、危うく死ぬ所だったのだから。
人は簡単な事で逝くという事を今日改めて実感した。

そういえばまだ水無月さんにメールを返していない事に気付いたが、
もう疲れたから寝たいという欲求と、
メールの内容的に返信しなくてもよさそうな感じなので、送るのをやめた。
シャワーを少し浴び、着替えてベッドにダイブ。
したのだが、今は仕事で居ない親に今日はもう寝るからと、
連絡を入れてなかったのでベッドから降り、家にある電話で留守電を入れておく。

さて、やる事をやったし寝よう。
そうしてベッドに潜り、意識が遠のいていくのを感じた。

幸いにも明日は土曜だ……………昼まで寝てよう。


朝、昨日夕方に寝たツケなのか、
いつもより早めに目が覚めてしまった。
まだ寝ぼけ気味だが、
僕は一度起きたら二度寝をする事が出来ないので起きるしかない。
今の時刻を確認する為にベッドの近くにおいてある携帯を開いた。
しかし、今気付いたが昨日から携帯の電源を消したままだった。
少しムカツイたが、
たかが数秒の手間にわざわざケチをつけようとは思わなかった。
消してたの自分だし。


やっとの事で電源が付き(やっとと言っても数秒だが)、
携帯の画面を見た瞬間に完璧に目が覚めた。
別に携帯の画面を見ると目が覚めるとかそういう体質という訳ではない。
目が覚めた理由、それは、



メール件数16件


150 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 18:36:19 ID:7DZdiTvy
メールの量の多さだ。
え?なんで?
というのが最初の感想。
次の感想が
雲海辺りがイタズラメールでもしたのか?
といったものだ。
無理もない、今までメールといえば溜まっていて6件だったのだ。
その記録が、いきなり朝起きたら2桁行ってましたみたいな感じで、
塗り変えられているともうなにがなんだか分からなくなる。
とりあえずは差出人を見る事にする。
話はそれからだ。
まぁ、きっと雲海辺りがイタズラしたとかいうオチだろうと楽観していた。
しかしそれは受信ボックスを見た瞬間に楽観は崩れる。
(まだ聞きたい事があるんだけどいいかな?)
(どうしたの?)
(取り込み中?)
(ねぇ)
(まだ取り込み中?)

見たのはここまでだが、
恐らく残りのメールも同じ様な内容だろう。
一言、言う事があるとすれば、

これはシャレなのか?というとこだ。

そうだとしても正直笑えない。

かなり怖い。
メールは全て同一人物。
しかも、雲海や夏夢みたいにこれといって親しい友人でもなかった。








メールの差出人は、全て水無月さんだった。




151 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 18:37:44 ID:7DZdiTvy
投下終了。 
描写を読んだり書いたりして練習してますが
相変わらず難しい^^;

152 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 19:28:08 ID:KLvcda8N
>>151
乙乙
水無月さん早くも病んで……メール16件ぐらいではヤンデレとしてはまだ初期か。

153 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 19:43:19 ID:ogiMY/af
>>151
GJ!
>>152
重度のヤンデレなら一晩にメール500件とか3桁は余裕だからなw

154 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 19:50:29 ID:nYjgWotd
まあ初期だしこの段階で3桁は早いてw 向こうも無条件にヤンでくれるわけではないし

155 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 22:47:20 ID:YONr8Wxx

この物語の主人公こと山田太郎は、名前からして何の変哲もない、ごく一般的な平均少年だった。
だがある日、ちょっとしたことがきっかけでクラスメイトの美少女闇月杉江に惚れられてしまって以来、彼の日常は一変する!
昼夜問わず一方的に送られてくる大量のラブメール、振り向くと常に彼女と視線が合う恐怖。
肩がぶつかったといちゃもんをつけてきた不良たちは次の日川に浮かんでいるところを発見され、
ほんの少しだけ言葉を交わした少女は、次の週から極度の対人恐怖症を患って学校を休むようになってしまう!

そんな狂った日常に耐え切れなくなり、太郎はついに自由への逃避を開始する。
しかし、どこまで逃げても杉江は追ってくる! 裏路地も田舎町も山の中も、太郎がいる限りどこにでも現れるのだ!
「お前は一体なんなんだ!?」
「これこそ愛のなせる技よ!」
へとへとに疲れきった太郎は、逃亡途中に見つけた廃屋に身を隠し、ようやく人心地つく。
だが休んでいる暇はない。今度は謎の怪物が、突然太郎に襲い掛かってきたのだ!
「GYOHEEEEEEE!」
「なにこれどうなってんの!?」
「危ないタローちゃん!」
血染めの斧を振るう杉江の手によって、何とか窮地を脱出する太郎。
しかし、その廃屋は既に怪物の群に取り囲まれていたのである!
「なにこの展開!? ここはヤンデレスレのはずじゃないのか!?」
「いいじゃんいいじゃん、ああ、タローちゃんと二人きりで、わたしとってもハッピー☆」
鼻歌混じりに斧を振り回す杉江に守られながら、太郎は必死で逃げ回る。
そして屋敷の一番奥で、謎の研究施設を発見するのである。
「な、なんだこりゃ!?」
「ああ、見てタローちゃん、あそこに変なロボットがある!」
杉江の指差す先には、一振りの大剣を装備した謎の巨大ロボットが。
その目の前で装置を弄っていた謎の老博士が、厳かに説明する。
「うむ、見つかってしまったか。このロボットはヤンデルカイザー。
火の如き感情をエネルギーとして起動する、無敵の剣神なのじゃ!」
「一体どんなSSなんですかこれ!?」
太郎の突っ込みが空しく響く中、博士は緊張した表情で言う。
この地球に危機が迫っている。
敵は宇宙の彼方からやって来る巨大異星人で、外に溢れる怪物もその尖兵なのだという。
「奴らに対抗できる唯一の手段、それがこのヤンデルカイザーなのじゃ。
しかし、人間の感情を原動力とするこのロボットを動かせる人間は、未だに見つからん。
操縦者には火の如き激しい情動が必要なのじゃからして」
「あのー、すんません、僕帰ってもいいですか?」
「ダメだよータローちゃん。さ、一緒にこのロボットに乗ろうね」
「なんでさ!?」
「うふふ、感情で動くロボットなんて、わたしのタローちゃんへの愛を証明するのにピッタリだわ☆」
「いらないからそんなの!」
嫌がる太郎を無理矢理引き摺って、杉江はヤンデルカイザーに乗り込む。
その瞬間、凄まじい咆哮を上げながら、ついに起動する無敵の剣神。
杉江のドス黒い愛が凝縮したものか、白かったはずの機体は一瞬にして漆黒に染まる。
「うわ、本当に動いたし!」
「やったね! 見た、タローちゃん。わたしの愛は無限大なのよ☆」
「いやだなあホントにもう!」
こうして、ついにこの日本に無敵のロボットが降臨したのである!
「さあ行くよヤンデルカイザー! タローちゃんに手を出す女は、みんなまとめて一刀両断だあああぁぁぁぁっ!」
「いや、敵を斬ろうよ! 敵を!」
行け、我らがヤンデルカイザー!
(ごく限定的な)正義の名の下に、並み居る敵を斬り捨てるのだ!

火情剣神(かじょうけんしん)ヤンデルカイザー
ヤンデレスレにて、永遠に未公開予定!

156 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 22:49:22 ID:YONr8Wxx
KY? でもそんなの関係ねぇ!

ロボット物とかでさー、感情を原動力に動くロボット、とかってあるとするじゃん?
そういうのにヤンデレ美少女が乗ったら、物凄く強くなりそうじゃね? イデオン並の破壊力になりそうじゃね?
という訳で、そういう馬鹿馬鹿しいSSもキボンしておく。

157 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/05(月) 23:47:43 ID:Nv77wCta
ヤンデレっ子に核鉄を持たせろということか

158 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/06(火) 00:26:54 ID:TZmN4t7T
どちらかと言えば最終兵器彼女かもしれん

159 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/06(火) 12:06:34 ID:QecQq7y8
男側がちょっとでもほかの女と仲良くしすぎたら世界が滅ぶな

160 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/06(火) 13:09:15 ID:9BsSe4Z7
溶けない雪GJ

ヤン初期ktkr
次の展開に期待してる

最終兵器彼女吹いたww

161 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/06(火) 16:56:03 ID:rZSh3Fkk
水無月さん、溢れ出さんばかりの素質だなぁ。まだ声かけて同じ委員になっただけなのに。

162 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/06(火) 17:49:48 ID:9BsSe4Z7
さりげなく張ってる
伏線に期待するしかないな

163 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/06(火) 18:38:02 ID:0zf7TLzy
>>156
お前wwwwwwwwwwwwww
思わず草を生やしてしまったじゃないか。

164 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/06(火) 22:14:24 ID:bz3pqDuv
着信暦:167件
電話線をぶち抜いてやった。

165 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/06(火) 23:12:48 ID:3amk7y1S
>>156
ヤンデレがレンジマンだったら大変なことになるな。

166 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/07(水) 00:23:38 ID:BrW9Rc1i
「愛しい人の記憶無くすぐらいなら死ぬ!」って感じで変身しなさそうだ

167 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/07(水) 23:07:59 ID:wslSKlsG
最近臨時保管庫の和菓子と洋菓子がやたら更新されてるんだが
ひょっとして作者さんが誤字訂正とかしてるのかな?

168 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/07(水) 23:12:14 ID:YkeCRCd9
「吐きたいほど愛してる」という小説の短編集を読んだ。
登場人物ヤンデレ(基地外も)多くてワロタw

169 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/07(水) 23:49:04 ID:gZPs9MBa
確かに自分で誤字訂正できるのは嬉しい
別に俺が書いたSSなんてないけど

170 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/08(木) 21:56:43 ID:hpqeaK1w
>>156
ロボット自身がヤンデレ化っていうのは前にも誰かちょっとネタにしてたけど
あれは結構面白そうなんだけどなあ。俺には文才がないorz

171 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:33:22 ID:sFzVob2v
投下します。文化祭編です。

172 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:34:46 ID:sFzVob2v
近頃の俺は欲求不満の状態にある。
他人が欲求不満と言っていた場合、大抵の人間はいかがわしい方向の欲求であると考えるだろう。
もしくは食欲が満たされないだとか睡眠時間が足りていないという意味で受け取るかもしれない。
だが俺の場合の欲求不満はそれとは種類が違う。
創作意欲。これが満たされないのである。

友人たちの中でも知る人ぞ知る俺の趣味は、プラモデル作りである。
俺はどうやら完璧主義者のケがあるらしく、少しでも色合いがおかしかったり小さな部品が欠けている
だけでも落ち着かず、結果的にプラモデルを一つ作り上げるだけでも一ヶ月は余裕でかかってしまう。
毎日毎週欠かさずにプラモデルを作っているにも関わらず、である。
そんなペースだから、一日の制限時間である24時間をもっともっと有効に活用したいと思っているし、
作業台に向かう時間もさらに増やしたいと考えている。
そこでどうしてもネックになるのが、学校に行っている時間だ。
学生――いや高校生は生徒と呼ぶのか。
ともかく生徒である以上、朝は遅刻しないよう学校へ行き、午前中の授業を受け、昼食を食べ、
午後の授業を受けなければならない。その後は俺の場合は帰宅部なので即帰宅となる。
すでにこの時点で一日の大半を消費している。大きなタイムロスである。

それからようやく、趣味である模型作りに没頭できる……とはいかない。
その日に受けた授業の内容を復習し、宿題を全て片付けなければならないのだ。
弟は俺のこんな習性を見て感心しているようであるが、俺はやりたくてやっているわけではない。
勉強が生徒の仕事だからやっている、という綺麗事を言うつもりはない。
無論、学業の重要性はわかっている。だが俺のような趣味人間は成績などさほど重要視しない。
だというのになぜ俺が月曜から金曜までまじめに勉強をしているのかというとだ。
これも困ったことに俺の性格がそうさせているのである。

たとえば、俺が宿題をせずに模型作りを始めたとしよう。
宿題という己の身に課せられた使命を無視した場合、プラモデルの出来がひどいものになる。
著しく見られる傾向としては、技が雑になる。簡単に言えば手元が狂いやすくなる。
面相筆(塗装に使う筆のうちで最も細い筆)で溝にスミ入れをやったらラインを外す。
スプレーを使って塗装していたら吹きすぎて塗料を垂らしてしまう。
ニッパーでクリアーの部品を切り取っていたら力加減を誤ってヒビを入れる。
普段ならば絶対にやらない単純なミスをことごとく繰り返してしまうのだ。
その症状が、復習と宿題をきっちりやり終えた後であればいつもの調子に戻ってしまう。
おそらく――いや、これしか考えられないが、俺は心残りがあると集中できない性格らしい。
その事実を知ってから、今のように模範的な高校生の行いをするようになったのである。

ちなみに、復習と宿題が終わるのは早くて夕食前の七時ごろ。遅かったら九時になる。
それから風呂に入ったり、弟から要請があったら勉強をみたり、妹の殺意混じりの瞳を受け流したりして、
ようやく模型作りを始めることができる。
しかし。しかしである。
我が家には最大の敵、血の繋がった兄の子を産んだアウトローの母がいる。
母は俺がプラモデル作りをすることをよしとしていない。
母はシンナー系の匂いを苦手にしているのだ。
俺が部屋に篭っていると、母は防塵マスクを装着してまで部屋のドアをノックして邪魔をする。
作業中のノックの音は著しく集中力を乱す。母も当然それをわかっているのだろう。
もちろん俺も母が邪魔をしてくる状況に手をこまねいているわけではない。
廊下にラッカー塗料(ラッカーはシンナーの匂いがきつい)を魔除け代わりに置いて対抗している。
俺の部屋には換気扇があるが、廊下には換気扇など設置していない。
塗料を置いている間だけは母は近づいてこないのである。
しかし、いつまでも置いておけるわけでない。
父と弟と妹からも苦情が来るため、頃合いを見計らって塗料を回収しなければならないのだ。
母が邪魔をしにくる。俺が塗料を置く。家族からの苦情を受けて塗料を回収する。
おおまかにはこんなサイクルで俺と母の戦いは行われている。

このように、家庭における俺の創作環境は理想的とは言い難いものなのである。


173 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:36:17 ID:sFzVob2v
そんなわけで、普段から軽い欲求不満にある俺であるが、最近はとみに機嫌が悪い。
現状は何の障害もなく創作できる環境にあるのに、周囲の人間の協力が得られない状態である。
学校全体が何らかの物作りを行っているというのに、俺の周りの人間は無気力な野郎女郎ばかりで、
物作りなどよりその日の昼食の方が大事らしく、協力が得られない。

ちくしょうめ。文化祭開催の一週間前なのに、どうして俺のクラスはやる気がないんだ!

*****

「先生。新しいアクセサリーの提案があるんですが」
「却下します。もう文化祭の予算に余裕はありません。作るのなら自腹で作ってください」
「じゃあテーブルに置く小物なんかどうですか。さすがにテーブルクロスだけじゃ味気ないと思いません?」
「思いません。必要なものは小説本くらいです。余計な装飾は読書の邪魔になります。
大人しく本を読んでいてください。喫茶店を成功させるためには皆が本を読むことが必要です。
店員は文学についての最低限の知識を持っていないといけません」
そう言って、我がクラスの担任の国語教師は手元にあるハードカバーの本に視線を落とした。
ああ、今すぐ両手でハンマーを作ってこの独身女教師の無防備な後頭部に打ち下ろしたい。
もちろんやらないけれど、誰かのGOサインがあればそいつに責任をなすりつけて実行しかねない。
それほど今の俺はイライラしている。
なぜ俺が大正時代の小説家の本など読まねばならん。
何が楽しくてうちのクラスが文化祭で純文学喫茶を催さなければいかんのだ。

純文学喫茶とは、漫画喫茶の純文学バージョンである。命名は担任。
なんとも安直なネーミングである。もう少し頭をひねってくださいこの三十路越え独身教師。
色気が足りません。もっと遊んでください。
そんなんだから「活字と結婚した女」なんて噂が流れるんですよ。
落ち着いた雰囲気がいいとか、葉月さんが成長したらこうなるだろう、とまで生徒の間で噂されるほど
容姿がいいくせに、どうして毎日セーターとジーンズとスニーカーなんて組み合わせなんですか。
もったいないにも程があります。宝の持ち腐れとはあなたに一番ふさわしい言葉ですよ。
たまにはスーツぐらい着たらどうです。シャツの胸元を少し開くぐらいなら許されますよ。――年増でもね。

「どうかしましたか? まだ何か提案でも?」
提案しても即却下するくせに。
「……なんでもないです。戻ります」
回れ右をして、教壇から下りて自分の机――を合体させている机の集合体へと戻る。
クラスメイトと机を合体させているのは、文化祭の準備作業をするためである。
しかし、うちのクラスはすでに小道具の用意を終わらせているので、小説本を読むぐらいしかやることがない。
俺にとってはなにもしていないのと同じである。
自分の席の上には、大正時代に活躍した小説家の書いた本が置いてある。
読む気がゼロであるため、当然ページは開いていない。ただの机のオブジェである。
ただでさえ文学に興味がないというのに、なんたら喫茶を成功させる目的で読むわけがなかろう。

机に左腕を立てて、顎を乗せる。そしてため息をひとつ。
向かいの席に座っている女子生徒が、本に落としていた視線を俺に向けた。
入学当時から美しい容姿を持ち、今では一年の頃よりずっと綺麗になった葉月さんである。
「おかえり。どうだった……って聞くまでもなさそうだね」
「うん。せっかく葉月さんに考えてもらったんだけどさ。作るのなら自腹でやれ、だと」
「自腹かあ……私が出そうか?」
「いやいや、さすがにそこまでは――」

その時、唐突に視界がぶれた。
自分がクラスメイトに殴られたと気づいたのは、こめかみから脳天へ突き抜ける痛みのピークが通り過ぎてからのことであった。
「葉月さんが出すんなら、俺もだす!」
「俺もだ。ただ喫茶店をやるだけじゃ面白くないからな」
「せっかくだから、新しい衣装を買おうぜ! そしたら葉月さん、着てね!」
同じ机の集合体を形成していた野郎どもの野太い声が遠くから聞こえてくる。
それは俺の聴覚が狂っているからであって、男どもとの距離が離れているからではない。
どいつもこいつも勝手なことを。秋でも汗の臭いがしそうな貴様らにつきまとわれたら葉月さんが困るだろうが。


174 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:38:05 ID:sFzVob2v
葉月さんへと視線を向ける。葉月さんは俯きながら何か呟いていた。
「よくも……殴…………ね。切り裂い……次に窓から…………投げ……捨て……」
おや、チキチキという音が聞こえてきたよ。
この音はカッターの刃を出す音に似ているね。
なんだか、葉月さんの垂れた前髪から覗く目がギラギラと光っている。獲物を発見した肉食動物の如し。
葉月さんが立ち上がった。彼女の右手から飛び出している物はカッターナイフの刃。
蛍光灯の光を鈍く反射する刃には等間隔で斜めに切り込みが入れられていて菱形のそれぞれに
殺意が宿っているかのようで――いかにも危険で流血沙汰の事態を招きそうだっ!
「まずは耳を――」
「葉月さんっ!」
机の上に身を投げ出して葉月さんの右手を掴む。
「痛っ!」
距離がありすぎた。葉月さんの手と一緒にカッターの刃を掴んでしまった。
だがこれでいい。クラスメイトの命の灯火を消すよりは俺の手の皮が切れた方がマシである。

「あ、あれ? どうして私の手を掴んでるの?」
皮膚を圧迫していた殺気が霧散した。葉月さんの瞳はすでに明るい色を取り戻していた。
「ああ、実は蚊が止まっていたから、ついね。ほら、血が」
血の付いた手の甲を葉月さんに見せる。手のひらは到底見せられる状態ではないから。
「えっ……ちょっと、大丈夫なの?」
「平気平気。ちょっと洗っておけば問題ないよ」
「そう? なら、いいけど……ありがとう」
「いやいや。それより、アクセサリーの件はなしで。俺の勝手でみんなに金を払わせるわけにはいかないよ」
「えー……」
葉月さんはしょぼんとした顔のまま、上目遣いで見上げてきた。
葉月さんがやると恐ろしい破壊力である。さっきまで攻撃色に染まっていたとは思えない。
「あー……また来年もあるから。その時でもいいよ。俺は」
「わかった。でも、やりたくなったら言ってね? いつでもいいからね?」
「覚えとくよ」

教室から出てトイレへ直行する。蛇口をひねり、握りしめていた手を開く。
傷口からあふれ出した真っ赤な血は握っていた手の隙間に染みこみ、手のひら全体を紅く染めていた。
よく見てみると、薬指と小指の関節が軽く切れていた。
軽く指を動かす。うむむ、やっぱり傷口まで開くな。
「こりゃ、保健室に行った方がいいかな」
そうだな。どうせ教室に戻っても読みたくもない本を読むか、寝るかしか選択肢がないんだから。
今から保健室に行って治療ついでにさぼってしまってもいいだろう。
水に浸したハンカチで血を拭い、傷口を押さえながら保健室へ向かう。

俺の所属する二年D組は三階建て校舎の二階の奥にある。
D組から保健室へ向かう際には、どうしても他の教室の前を通ることになる配置である。
文化祭一週間前ともなると、校舎のいたるところにポスターが貼られている。
合唱、演劇、お化け屋敷、喫茶店、ジュース販売、映画上映などなど。
ポスターは手作りであるがゆえに、生徒が楽しんでいることを感じさせてくれる。
我ら二年D組のポスターは生徒ではなく、書道五段の担任が作成した。
担任が自分が作ると言って聞かなかったのである。
結果、『純文学喫茶』と力強くでかでかと書かれた文字と、『場所:校舎二階奥』と小さく書いてあるポスターができた。
しかし、これはもはやポスターではない。書道の先生が書いた習字のお手本である。
文字が書いてあるのは画用紙ではなくぺらぺらの和紙。達筆の文字は恐ろしく上手。
ここまでやれば、ある意味で威勢の良さを感じさせてくれる。
もしかしたら担任は担任なりに文化祭を楽しんでやろうと考えているのかもしれない。
しかし、できるなら生徒も楽しめるように気を配って欲しかった。


175 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:40:51 ID:sFzVob2v
そもそもだ。二年D組は純文学喫茶をやるつもりなどなかったのである。 
事が起こったのは今日からさかのぼること二週間前、その日の帰りのHR。
あの時、白熱した出し物議論は『コスプレ喫茶』と『演劇』にまで絞られていた。
俺はどちらでもよかった。コスプレ喫茶でも演劇でも、服や装飾品、飾り物などは作り放題だから。
うちのクラスには葉月さんがいるから、なにをしようと観客来客満員御礼間違いなし。
いつまで経っても出し物が決定しなかったので、投票で決めようという流れになったころだ。
教室に入ってきた担任が言ったのである。
『二年D組は純文学喫茶をやることになりました。すでに実行委員にも伝達済みです。
皆さん、長の会議お疲れ様でした。今日はもう帰っていいですよ』
あの時のブーイングの嵐はすさまじいものだった。
しかし、撤回しろという生徒の声は、担任のもう受理されましたの一言で全て蹴られた。
横暴もいいところである。美人なら何をしても許されるとでも思っているのであろうか。あの年増は。
十代の葉月さんよりも干支が一周する年数以上に年が離れているくせに、よくもやってくれたものである。

おかげでクラスメイトのやる気は削がれ、ここ二週間はダウナーな空気が常にD組を覆っている。
これはパワーハラスメントではないだろうか。校長かPTA会長に直訴したら勝てそうな気もする。
だが、気力ゲージゼロのクラスメイト達はすでに担任と争う気を無くしてしまっている。
どうせ逆らっても無駄だ。ならせめて葉月さんの着物ウェイトレス姿を楽しもう……という意識が
最近の皆の心をかろうじて文化祭へと向けさせているようである。
まあ、俺も楽しみだけど。葉月さんの着物姿。
当日の写真撮影は許可すべきだな。ただしシャッター一回につき100円で。
出し物のお茶やお菓子よりそっちの方が儲かりそうだ。

そうだ。葉月さんと言えば。
「好きだって言ってたよな。俺のこと……」
葉月さんが妹と俺を相手に我が家で大立ち回りをした日に、俺は彼女と電話番号とメルアドを交換した。
その日の夜に、葉月さんからさっそく電話がかかってきた。
嬉し恥ずかしの初通話は、葉月さんがやけにどもったり噛んだりするせいでわけのわからないまま終了した。
どうやら葉月さんは電話器を通して会話するのが苦手らしい。
以後、葉月さんとのやりとりはメールで行うことになった。
告白の返事を催促するようなメールは来ないが、それ以外のメールはたくさん送られてくる。
朝の挨拶から始まり、今日の天気や星座占いの結果などを教えてくれる。
葉月さんとメールのやりとりをするようになってから俺はかなり浮かれている。
最近の俺の様子は、弟曰く「兄さんは放っておいたら何も無いところで転びそうに見えるよ」。
転びそうなのではない。時々、本当に転んでいるのだ。最近の俺の行動はドジそのものだ。
油断したら電信柱にぶつかりそうになるし、階段は踏み外しそうになる。
憧れの女の子からのメールで俺はここまで腑抜けになった。

ため息を吐きたくなるぐらい、本当に腑抜けなのだ。まだ葉月さんに告白する勇気がない。
告白したらOKをもらえることは確実だろう。だけど、分かっていてもそれができない。
きっと、葉月さんは俺からの告白を待っている。
登下校時や休み時間に俺と一緒にいようとするのは、そういうことなんだろう。
そして、葉月さんから再度告白してくることは多分無い。
「女の人からの告白ではOKを出せない」と俺が言ったからだ。
面と向かっても、メールでも、告白する勇気がない。
どうしたらいいのだろう。こんなことは誰にも相談できない。
弟や父には恥ずかしくて言えない。学校の男子に言ったら袋だたきにされることは必至。女子は論外。
なるべく早いうちに、その場の勢いでもいいから、何とかして言わなければ。
――葉月さんが俺に愛想を尽かすその前に。


176 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:42:07 ID:sFzVob2v
考えているうちに保健室に到着した。授業中だから保健の先生もいるだろう。
そういえば、保健室にくるのは身体測定の時以来だ。
頑丈に産んでくれたことに関しては両親に感謝すべきだな。
一応、礼儀として三回ノックする。……反応はない。誰もいないようだ。
「失礼します」
引き戸を開き、保健室へと踏み込む。
かすかに薬品の匂いを漂わせた保健室には誰もいない――はずなのだが。
「あ、先生。すいませんけどちょっと手伝って……あれ?」
いた。椅子の上に。見知らぬ女子生徒が。
女子生徒は着替えをしていたわけではない。だが、なんとなく気まずい。
妹が体重を量っている現場に出くわしたような微妙な空気だ。
彼女は、どういうわけなのか俺の顔を見て固まっていた。
しばらく見つめ合っていると、彼女は何か思いついたように口を大きく開けた。
「あ、あなたは……!」
何かに驚いた様子であった。俺の顔におかしい部分でもあったのか?
「初めまして。アタシ――――」
女子生徒は笑顔を浮かべた。換え立ての蛍光灯のように眩しい笑顔であった。
そこには一切曇りが無く、無垢であるが故に脆さまで含んでいた。
だから俺は――保健室のドアを勢いよく閉めた。

「あ、あれ? あのー、先輩? なんで出て行くんですか?」
扉の向こうにいる女子生徒が何か言っている。
――なんだ、あの子は。やばい。どれぐらいやばいかというと、葉月さんぐらい。
いや、妹に詰め寄ったときやクラスメイトにカッターを向けようとしたときのやばさじゃなくて。
そういう暴力的なものでなく――容姿が、レベル高すぎる。
どうしよう。逃げたい。なぜか顔を合わせたくない。けど、もう一度だけ見てみたい気もする。
違うんだ。別にあの子に一目惚れしたわけじゃなくって。
怖い物見たさに似た、興味本位によるものであって。
だいいち俺は葉月さんが……でもあの子をもう一目見たいし。

「ああ、ちくしょう! どうすればいいんだっ!」
「……あの、大丈夫、ですか?」
「はうっ!」
頭を抱えた状態で天井を見上げていたら、女の子から話しかけられた。
おそるおそる視線を下ろすと、そこには俺より背の低い女の子の上目遣いがあった。
「どこか具合でも悪いんですか?」
「あー……うん。実はちょっと怪我をしてね」
右手を差し出すと、女の子が両手で掴み注意深く見つめてきた。
駄目だ、ときめくな俺!
「指がちょっと切れちゃってますね。絆創膏貼らないと。中に入ってください」
「いや、これぐらいなら平気だから。だから、だから……」
手を離してください、と言いたいのに言えない。
むしろもう少し握っていてくださいとか言い――たくない! 言わないからな!

女の子は俺の腕をぐいぐい引っ張り、保健室の中へと引きずり込んだ。
保健室の空気は女の子がいることで様変わりしていた。
まるで赤白黄色の球根から生えるユリ科の植物の咲きほころぶ幻想的な庭園の光景を思わせて――。
「いるわけがないだろうが!」
「ひゃっ?! ど、どうしたんですか、突然?」
「……ごめん。ちょっと疲れてるみたいだ。中で休ませてもらっていいかな?」
「ええ。私は構いませんけど」


177 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:43:13 ID:sFzVob2v
許可をもらい、ベッドの方へ行こうとしたら、女子生徒に腕を掴んで止められた。
「……なに?」
「休む前に、やっておかないといけないことがあるんじゃないですか?」
なんだって?俺が、やっておかないといけないこと?
見知らぬ綺麗な女の子と保健室で二人っきり。ナニをする気なんだ?
授業中とはいえ誰かが来ないとは限らない。
保健の先生は留守。だけどひょっこり戻ってくるかもしれない。
いけない。この状況はリスクが高すぎる。
やるんなら放課後とか誰もいない教室とか――って、また変な方向に考えが行ってるぞ!
落ち着け俺のMy脳ブレイン!

「たしか、アレはこのへんに……」
女の子はがさごそと保健室の棚を探っている。
アレってなんだ。わからない。自分が立っているのか座っているのかもわからない。
女の子の髪の毛は肩に触れない程度の位置でカットされている。チラチラ見えるうなじが何とも色っぽい。
学校指定の女子専用制服はどういうわけかミニスカートである。
そのため目の前の女の子もミニスカートであり、丈の長さの影響で健康的なフトモモの裏側が、
俺の位置からはばっちり見えてしまっている。
スカートから伸びた太ももは膝へ向かうにつれて少しずつしまっていく。
足のラインはふくらはぎのわずかな膨らみを通り過ぎると細い足首で収束する。
むっちりと肉感的でありながらも無駄のない、正真正銘の美脚であった。

女子生徒はスカートを翻しながらターンすると、俺の方へと歩み寄ってきた。
「やっぱりこれ、ありました。これがあればもう安心ですよ、先輩」
「ぁぁ……ぅん」
ドキドキして女の子の顔を見られない。いったい彼女は何を探していたのであろうか。
「それじゃ、ちょっとそこの椅子に座ってください」
軽やかなソプラノの声は俺を丸椅子へと導いている。俺の腰は操られているようにそこに下りていく。
女の子は手近にある椅子を持って俺の前へやってくると、椅子に腰を下ろした。
行儀良く揃えられた膝の隙間とスカートが組み合わさり、そこに三角形の空間ができた。
ちょっと背筋をのけぞらせれば中身が見えてしまいそうである。
もちろんやらない。やりたいなんて思ってないぞ!

「それじゃあ、出してください」
どくん。
「だ、出すって……?」
何だ?一体この子は何を出せと言っている?俺に何を要求しているのだ?
「さっき見せたじゃないですか。もう一回見せてください」
「……いや、何も見せてないよ」
数分前のことすら思い出せない精神状態であるが、アレを出していないのは確かだ。
さすがにそんなことをしたら嫌でも記憶に残るはず。
「もう。じゃあいいです。アタシが勝手にやりますから」
なっ――!
「……じっとしてて、くださいね。せんぱい……」
「ぁ……………………」
声が出ない。口がぱくぱくと空回りするだけだ。
まさかこんな場所で、高校の保健室なんて場所で。
女の子が俺の手を優しく握り、冷たくて柔らかいものを擦りつけてきた。
その動きが止まると、今度は指を柔らかいもので包み込まれた。
ごめん、葉月さん。君に何の返事もしないまま、こんなことを――――。


178 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:44:57 ID:sFzVob2v
「よっ……と。はい、できましたよ先輩」
「……」
「あの、先輩……?」
「本当はこんな場所でやるつもりじゃなかった……。
両親と弟と妹が出かけた日の夜、薄暗い部屋の中で月明かりを頼りにしながら俺は……」
「聞いてた話とずいぶん違うなあ。……仕方ない。ここはひとつ……」
「はやる気持ちを抑えながらひとつひとつボタンを外していき、あらわになったその景色へと手を伸ばし……」
「先輩、失礼しますっ!」
――あれ?なんでそんな怖い顔をしてるの?え、だめ?いや、ここまで来てそれはないでしょう。
ん?その構えはなんだかビンタのような――――。
「ていっ!」
「痛ぇっ! ――何するんだ! そりゃ初めてだったけどなるべく焦らないようにして……ん、あ、あれ?」

ここは、どこだ?俺はさっきまで自室で天国を味わっていたはずではなかったか?
「目が覚めましたか? 先輩」
正面には可愛い女の子。彼女は椅子に座っている。その点はさっきまでいた世界と同じだ。
しかし、今俺が居る場所は薬品の収められた棚や白いベッドの置いてある保健室である。
俺はどうしてこんなところへ来てしまったんだろう。
ああ、指を怪我したから、その治療をしに来たんだったな。
指を怪我した箇所は、右手の薬指と小指だったはず。
右手を見る。茶色の絆創膏が怪我をした二本の指の関節部分に貼ってある。いつのまに貼ったんだろう。
右手を見ながら記憶を掘り下げていたら、女の子が怪訝な様子で話しかけてきた。
「先輩が手を出してくれないから、勝手に絆創膏を巻いちゃいました。別に構わなかったですよね?」
「あ? ああ、うん。ありがとう……」
そうか。この子は手当をしたいから「(手を)出してくれ」と言っていたのか。
ま、そりゃそうだよな。
普通――この子の容姿は普通の可愛さではないが――の女の子が初対面の相手にいかがわしいことを
要求するはずがあるまい。俺は何を勘違いしてたんだか。

「ところで先輩。保健室に来たのは指だけじゃなくて体の具合も悪かったからですか?」
「いいや。指を怪我したから来ただけだよ」
本当はさぼるつもりでもあったのだが、そうは言わない。
だって、言ってしまったらまたこの子と同じ部屋の中で過ごさなければいけなくなる。
さっきのような落ち着かない気分は失せ始めたが、名前も知らない女の子と二人きりというのはどうも苦手だ。
早くこの場を去るに限る。
「手間かけさせてごめんね。それじゃあ……」
椅子から立ち上がり軽く右手を振る。そしてきびすを返して保健室の出口へと向かう。

ドアに手をかけたとき、異変に気づいた。やけに腹が苦しい。
下を見ると、ベルトが腹に食い込んでいた。もちろん、いきなり俺のウエストが増したわけではない。
「先輩。ちょーっと待ってくださいよ。教室に戻るんだったら、ついでに手伝ってくれません?」
いたずらっぽい笑みを顔に貼り付かせた女の子が後ろから俺のベルトを引っ張っていたのである。
その笑顔にまた心臓が脈打ったのは俺のせいではない。
この子が可愛いのが悪いのである。
葉月さんは生徒はもちろん教師までもが認める美人である。
彼女がいるだけで周囲に凜とした空気があらわれ、周囲もそれに流されてしまうような、
そんな類の美しさを彼女は持っている。
対して目の前の少女は、小さい女の子の持っている未成熟さからくる可愛さをそのまま残したような容姿をしている。
彼女を見ていて背徳感を覚えるのはおそらくそれのせいだろう。
葉月さんとこの少女、どちらを彼女にしたいか決をとらせたら、かなりいい勝負をくりひろげるのではないだろうか。


179 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:47:10 ID:sFzVob2v
そんなわけで、この少女から手を貸して欲しいと言われたからには、無下に断るのもなんだかもったいない気がする。
話だけでも聞いてみるか。
「何を手伝ってほしいって?」
「ちょっと捜し物をしてたんですけど、なかなか見つからないんです」
「捜し物? 保健室で捜すってことは、包帯とか?」
「違いますよ。あれです、あれ。たしか、クロ……なんとか」
「くろ?」
名称の頭二文字に『くろ』がきて、それでいて保健室に置いてあるもの。
何だろう。白いものなら保健室中に大量に置いてあるが。
「どんな形をしてるかわかる? そのクロなんとかの特徴でもいいけど」
「えっと、多分液体です」
「液体か。液体ね……消毒液じゃないの?」
「いえ、そうじゃなくって、治療に使うものじゃないんです」
「はい?」
保健室に来てまでして捜す物が治療に使う物でないと?
「なんか麻酔に使われているものらしいから保健室に置いてあるんじゃないかと思ったんです」
「麻酔って……誰か重傷でもしたの? それなら119番に電話した方がいいよ」
「いえ、誰も怪我はしてないです。……それに救急車がに学校に来てもらったら困るし……。
とにかく、アタシが捜している物はクロなんとかって名前で、液体で、麻酔みたいなものなんですよ」
「あー、ちょっと待って。頭の中を整理するから」
左手で女の子のセリフを中断させ、右手で自分の頭を抱える。

この子は一体何をしようと考えているんだ?麻酔なんか捜して一体どうする気だ?
それに、救急車が来てもらったら困るとも言っていたな。救急がいたらまずいことでもあるのか?
まさか、その麻酔を使って何かまずいことでもしようとしているんじゃないだろうな。
嫌な予感がするぞ。我が家の異常な環境によって鍛えられた勘が、頭の奥の方で何か叫んでいる。
警告だ。妹に包丁を持たせたときや母が父のために特別メニューを作っているときに鳴る警告音が、
頭の中で少しずつ、しかし確実にその音を大きくしていく。
この警告の意味は、その場から逃げろ、その状況に関わるな、だ。
くろ、黒、クロ。これが先頭に来る麻酔の一種。
――もしかして、アレか?いや、さすがにそれはないだろ。
しかし、先頭がクロの麻酔と言ったらアレしかない。

「あ、思い出しました先輩! クロロホルムです、クロロホルム!
ほら、よくドラマとかで布に染みこませたクロロホルムをかがせて気絶させるシーンがあるじゃないですか!
アタシあれと同じ事を先輩の――――、ってなんで離れるんですか?」
「いやなに。そろそろ教室に戻らなくちゃやばいかなと思ってね」
嘘である。担任(独身、♀)に怒られるよりも目の前にいる少女に関わる方がずっとやばい。
彼女は俺が生徒だったからあっさり捜し物の用途をばらしたのだろう。先生相手であればばらさなかったはず。
思っていたとおり、彼女の捜し物はクロロホルムだった。
そして用途は誰かを気絶させるためである、と。
標的が俺でないのはありがたいが、このままでは学内にいる生徒の身に危険が及ぶ。
「あのね、君」
「いいながら後ろ手にドアを開けないでくださいよ。なんですか?」
言わねばならない。俺が見知らぬ少女の魔の手から見知らぬ生徒を守るんだ。

「……クロロホルムを嗅がせても人間は気絶しないよ」
俺がそう言ったら、女の子は目を大きく広げて声を張り上げた。
「ええ!? だって、ドラマだけじゃなくて漫画でもあんなに……」
「そりゃあずっと嗅がせ続けたらわからないけど、少し嗅がせたくらいじゃ体調を悪くする程度の効果しか
与えられない。やめといたほうがいい。人を気絶させていたずらしようなんてよくないよ」
「そんなあ……せっかく上手くやれる方法を見つけたと思ってたのに……」


180 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:48:48 ID:sFzVob2v
女の子は俺の言葉にショックを受けたのか、白い壁に身を任せていた。
今なら、逃げられるか……?
「うう。それなら、それなら……先輩!」
女の子は唐突に眠りから目を覚ました猫のような動きで頭を上げ、俺を見た。
「手伝ってください! クロロホルムが駄目なら、先輩の助けが必要です!」
「いや、だからさ」
「先輩の口添えがあれば絶対にあの人は策にはまってくれます! だから、お願いします!」
さっきからこの子は何を言っているんだ? 俺の助けが必要?
「もしかして、君は俺の知り合いをどうにかしようと?」
「……そうです。けど、決して怪我させたりすることはありません。信じてください」
お願いします、と言って女の子は頭を下げた。

犯罪行為の手助けをしてくれとお願いされてもな。手伝うわけがないではないか。
俺が手伝えば成功させられるということは、俺がいなければ失敗するという意味なのか?
――だったら迷うことはない。
「ごめんね。頼まれごとをされるのは嫌いじゃないんだけど、そういう手助けなら話は別だ」
「そんなあ……」
「ほんとにごめんね。それじゃ!」
「あ、ちょっと待って……」
何か言おうとした女の子の言葉を遮り、保健室から出てドアを閉める。
競歩の足運びで2年D組の教室へ向かう。後ろから女の子が追ってくる気配はない。
俺が自分の教室に入った途端、本日最後の授業が終了したことを告げるチャイムが鳴った。

*****

そしてHR終了後。
担任は大小様々な小説本を両手に持って出ていった。
担任の持って行った本は、クラスメイトが文化祭の出し物に使うために自宅から持ち込んだものである。
四十名のクラスメイトが持ってきた本は、担任が毎日少しずつ自宅へお持ち帰りしている。
本人は本の内容が不適切なものでないか確かめるためだ、と言っている。
しかし、その行動が文化祭を成功させようという意志の元に行われていないのは明白である。
きっと、あの独身女は本が読みたいだけなのだ。
俺はこう思う。担任は生徒から本をかき集めるためだけに純文学喫茶などやらせようとしたのではないかと。
私利私欲による職権濫用。許し難い行いである。
教育機関に駆け込んでやりたいところだが、あいにく俺は両親が異常であるため強く出られない。
もし両親のことに首を突っ込まれたら、それこそ我が家崩壊の危機だ。
今まで隠し通してきたものを、たかが担任の蛮行ごときで日の当たる場所へさらけ出すわけにはいかないのである。


181 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:51:52 ID:sFzVob2v
鞄を持って席を立ったとき、弾んだ声が俺の名を呼んだ。
声のした方を見ると、手提げ鞄を腰の後ろに回した葉月さんが、横からやってきていた。
「ねえ、今日は何か用事がある?」
葉月さんはご機嫌な様子である。待ち望んでいたおやつをようやく与えられたときの子供のようにも見える。
「いいや。今日もいつも通り何も用事はなし」
「じゃあ、じゃあさ。今日もいい……かな?」
頬を若干紅く染めて、葉月さんが上目遣いを繰り出した。
むう。真綿でじわじわと胸を締め付けられる感覚。甘い痺れが体の奥から湧き起こってくる。
今の会話だけを抽出するとなんだか色気のある会話であるが、どっこいそんなことはない。
「もちろんいいよ。帰ろうか、葉月さん」
「う、うんっ!」
俺が歩き出すと、葉月さんは早足で近寄り、俺と肩を並べた。

教室を出て行く寸前、ちらりと後ろを振り返る。
そこには獲物を狙う野獣のようなクラスメイトの視線があった。
男が俺を恨むのは分かる。
ついこの間まで地味で目立たなかった俺が人気者の葉月さんと仲良くしていたら、不機嫌になって当然だ。
俺が彼らと逆の立場だったとしても不機嫌になるはずだから。
女子生徒も男子生徒と同様、いやむしろ彼ら以上に恐ろしい目で俺を見ている。
彼女たちも男子生徒と同じく、葉月さんと仲のいい俺を快く思っていない。

同胞のクラスメイトからそんな目で見られては、普通は萎縮してしまうだろう。
だが俺は違う。俺はもっと恐ろしい、妹の瞳に日常的にさらされている。
加えて最近のクラスメイトからの無言の圧力によって俺の精神力はさらに上がっている。
学校プラス家庭での責めは、俺を少しずつ強くしているのだ。
だから、クラスメイトの視線をスルーしてそのまま教室を後にすることだってできるのである。

玄関で上履きから靴へ履き替えて、葉月さんと一緒に校舎を出る。
秋の深まりを感じさせる空気の中を、看板やはしご、ビニール袋を両手に持って歩く生徒の姿があった。
「みんな忙しそうだね」
「うん……」
彼らの姿を見ていると、自分が損をしているような気分になる。
文化祭に意欲的なクラスならば、今は準備に大忙しの時期だろう。
しかしうちらの2年D組は先週の時点で喫茶店で使う本を収める本棚の運び込み、テーブルの確保、
男女それぞれが着る着物の用意、お茶やお菓子の注文数決めなどをあらかた終わらせてしまった。
今はクラスの文化祭実行委員がぼちぼちと仕上げを進めている段階だ。
楽と言えば楽だが、楽すぎるのも問題だ。暇すぎるのである。


182 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:55:04 ID:sFzVob2v
「ねえ、ちょっと行きたいところがあるんだけどいい?」
「別に構わないよ。どこに行くの?」
「ケータイショップ。ちょっと欲しいストラップがあって」
「へえ。どんなやつ?」
俺がそう言うと、葉月さんは人差し指で空中に何かを描いた。
「えっとね。形はハートマークをしてるの」
ほほう。なかなか可愛らしい趣味をしていらっしゃる。
男の俺の携帯電話にはとてもつけられるない。
「それでね、その……欲しいストラップはね、二つセットになってるの」
「へ…………え?」
さっ、と顔から熱が引いた。
「ピンクとライトブルーの二色でね。限定販売のやつだから、他に売っているものとは絶対にかぶらない
五桁の番号が両方に彫ってあるの」
「……つまり、おそろいのものってわけ?」
「そう。だからあ、だから……ね?」
葉月さんが携帯電話を取り出して俺の前にかざした。
ちなみに、俺の携帯電話と同じ機種である。最近になって突然買い換えた、と葉月さんは言っていた。
同じ携帯電話と同じストラップ。それらが意味することはつまり。

「片方のストラップ、つけて欲しいなあ?」
首を右斜め三十度に傾けつつ心臓麻痺レベルの笑顔を浮かべる葉月さん。
どうしよう。ストラップの用途を予想できた時点でやんわり断ることを考えていたのだが、
こんな笑顔を見せられては断るに断れない。
「私は青が好きだから、ピンクの方、つけてくれるかな?」
なに、ピンクだと?
よりによってあんな淡い恋心の象徴であるかのような色をしたストラップをつけろと言うのか!?
どうする。どうしよう。どうしたらいい。

「どうかな? だめ?」
「う、うう、……うむむ……」
他ならぬ葉月さんからの頼みだ。できることなら聞き入れてあげたい。
しかし、おそろいの、しかもピンクのストラップだぞ?
携帯電話を取り出す度にチラチラと見えてしまうではないか。
恥ずかしいからと外してしまったら、俺のことだからどこかになくしてしまう可能性もある。
ストラップを外している携帯電話を葉月さんが見たらどう思う?――傷つくに決まっている。
葉月さんの心が傷つくついでに、もしかしたら俺の体にまで消えない傷がつくかもしれない。
「お、俺は……」
ピンクのストラップを選ぶのか。それとも紅い鮮血を選ぶのか。
「だめかな……つけて、欲しかったのに……ぐす」
ああ、ああ、あああ。葉月さんが泣きそうだ。
綺麗な瞳。しみひとつない頬。あそこに涙が伝ったらそれはそれは美しい光景であろう。
だが、泣かせてはだめだ。もう、葉月さんの要求を呑むしか――ない。


183 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:56:21 ID:sFzVob2v
意志を固め、口を開けた瞬間であった。
「あ! いた!」
突然の女子生徒の叫び声。
何事かと振り向くと、見知らぬ女子生徒が俺を指さしていた。
保健室で会った女の子とは違う。あの子と比べたらこの子は地味な印象しかない。
「えーと、なんて名前だっけ。……まいいや。先輩! 大変です!」
なんと失礼な。ツッコミを入れてやりたいが、葉月さんの手前、とりあえず我慢する。
「何が、あったの、かな?」
怒りを抑え、顎の筋肉を引き攣らせながら言う。
女の子は緊張を隠さないまま、俺の言葉に応えた。
「先輩の弟さんが、廊下で倒れてて! それで今保健室に連れ込まれたんですよ!」
「はあっ!?」
弟が倒れた?!あいつに貧血の気はなかったはずだぞ。
女子生徒の言葉を聞き、女子生徒の死角に移動して両手を伸ばそうとしていた葉月さんもさすがに驚いたようであった。

「ちょっと、大丈夫なの? どこか怪我とかしてなかった? 手当はしたの?」
「どこも怪我はしてなかったみたいですけど。一応ベッドには運んだけど、まだ目を覚まさなくって……。
どうしよう、……どうしよう。もし彼に何かあったら、私……」
「そうね。一大事だわ。私の義弟のピンチよ!」
「行こう! 葉月さん!」
返答せず、少しの時間すら惜しむかのように葉月さんは駆けだした。一瞬を置いて俺も続く。
どんどん俺との距離を開けていく葉月さんを追いながら、俺はある可能性を思いついた。
保健室。あそこで出会った見知らぬ可愛い女子生徒。
彼女が気絶させようとしていたのは、もしかして――弟なのか?
いや、まだわからない。だけど、どうしてもあの子のことが頭から離れない。
一体彼女は何者だ?弟のなんなんだ?
いや、何者でもいい。今の俺が願うことはこれだけだ。

――無事でいてくれ、弟。


184 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/09(金) 00:59:14 ID:sFzVob2v
*****

どうしてあなたはそんなに飾らずにいようとするのだろう。
なぜその魅力を使い、アタシを惑わそうとするのだろう。
アタシの正体を知っていて、それでもあなたはアタシに対する態度を改めなかった。
構わないで、慣れているから。
そう言ったのに、あなたの耳には届いていなかったのだろうか。
それとも、あなたにとってはアタシの正体なんてどうでもいいものだったの?
だから、いつまで経ってもその目の色が変らなかったの?

アタシが、あのいやらしい目つきをした教師と話をしているとき、苦手な先輩と話しているとき、
決まってあなたが話に加わってきた。
嬉しかった。嬉しかったけど、怖かった。
いつか、あなたも他の人たちのように変ってしまうんじゃないかって。
アタシの抱く、あなたへの醜い想いを察したらきっとあなたは離れて行ってしまう。

アタシがそんな不安を抱いていることなんて知らないあなたは、毎日アタシの肩をたたく。
決して嫌なわけじゃなかったけど、やめてほしかった。
あなたが屈託のない笑みを浮かべるたび、アタシの胸の奥は切なく締め付けられるから。
抑えていたはずの気持ちが表にでようとして、どんどん大きくなっていく。
こんな気持ちを誰かに向ける日がくるなんて、思わなかった。

全部、あなたのせいだよ。
あなたが他の男とも仲良くするから。他の女ともイチャイチャするから。アタシだけを特別扱いしないから。
アタシはあなたに特別扱いされたい。あなたの特別になりたい。
あなたの想いを独占する、唯一の存在になりたい。
そのためにはどうしたらいいの?

あなたはきっと、誰が何を言っても変らない。
その性格は生まれ持ったものだろうから。
あ――そうだ。アタシがあなたを生まれ変わらせてあげればいいんだよ。
アタシだけを見て、アタシだけに声をかけて、アタシだけに笑顔を見せる、そんな人にしてあげればいい。
最初から最後まで。生まれてきてから死ぬまで。アタシだけを構う人になって。
今のあなたも好きだけど、やっぱりアタシはあなたを独占したい。

だからアタシは、あなたを奪う。
あなたを一人にしてあげる。アタシとあなたの二人だけの世界に連れて行ってあげる。
アタシがいなければ、寂しくて悲しくて切なくてどうしようもない、そんな人間にしてあげるよ。
楽しみだよ。あなたの心が変ってしまう、その瞬間を目撃するときが。

想い人を完全に忘れてしまうとき、あなたはどんな言葉を吐き出して、どんな顔をするのかな?


------

今回はここまで。次回に続きます。

185 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 01:04:29 ID:4YOkOiPE
さぁて新キャラ登場でますますヒートアップするわけですが。
どうも後輩ちゃんの狙いは葉月さんっぽい感じ。
果たしてお兄ちゃんは守りきれるのか!?
まだそうだと決まったわけじゃないですがね。
続き楽しみにしてますGJ!

186 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 01:14:36 ID:oFrSK4fE
GJ
毎回楽しみにしてます。

弟が貧血って後輩がやった気が……

187 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 02:06:22 ID:hm6cU7Gf
乙&GJです。
色々と気になる展開。続きを楽しみに待っています。

188 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 02:09:44 ID:NmFPPQiJ
GJ

189 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 02:40:59 ID:Y9BRHLU2
このシリーズすごい好きだ!
そして、我らがお兄ちゃんは健在だ!葉月さん以外の女の子に心揺れたときは
驚いたが…。
頑張って葉月(と弟妹)を守ってくれ!

190 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 12:23:20 ID:xc07Vo2r
>>184
GJ、さり気なく表現されているが葉月の病みっぷりが尋常じゃなくなっているw
色々と先が妄想できる展開で、楽しみ。

191 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 15:28:07 ID:xglWFlip
愛する人をとても大切に想っている葉月さんがかわいすぎる

しかしこの家族の男は送られる愛が例外なく異常に深いなw

192 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 16:01:32 ID:/aEcbZGW
>>184
GJ!このシリーズほんと好きです。
葉月さんいい感じに病んでてかわいい
そしてその葉月さんに冷静に対処しているお兄ちゃんかっこいいな


193 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 17:33:58 ID:4PwJemsE
GJ!!
お兄ちゃんの精神力の高さは異常。

194 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 19:26:40 ID:kR0xlgpA
新?ジャンル「病んでる男」
ttp://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1194587770/

思ったよりも良い感じ?

195 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 20:27:22 ID:Bf8FX+Az
GJ!!
弟にフラグが立っているという妄想が頭から離れない俺は異端

196 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 21:04:36 ID:G/944EXH
>>194
死ね

197 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/09(金) 22:30:33 ID:KL1VK53H
GJ!!
ここだけ見ると母親や妹がノーマルに見えるから不思議

198 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 04:45:40 ID:1bEJQZEr
>>194
なんか下手糞な会話だけの小説だったがそれはそれで読みやすくよかったかもしれんw

199 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 06:18:33 ID:DsuPJ9dO
まぁトライデントの日本語破綻オナニー小説と比べると幾分マシってレベルだな

200 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 09:43:09 ID:4sLgcbeE
>>199
トライデントって誰だよw