※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

551 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19:53:41 ID:g+HB/JQ1
>>548
懐かしい!!!GJ

552 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 20:30:57 ID:slssmEt8
>>548
久しぶりグッジョブ

553 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 00:17:34 ID:ReITYIjz
お久です。続き読めたのは嬉しいことで。
これからもご自分のペースでゆっくり投下していただければこれ幸い。

554 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:29:29 ID:+LDdIc8s
投下します

555 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:32:03 ID:+LDdIc8s
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

それは少し前の話。
「花逍遥に参りませんか?」
散策の途上。
まだ青葉の茂る頃。
花見の時期を逸して間もない季節に従妹はそう云った。
「唐突だな。桜はもう散っているだろう?」
「これから、という訳ではありません。来年――年が明けたらの話です」
来年?随分先の話だ。
「鬼が笑うな」
「笑わせておけば良いのです。綾緒は・・・どれ程時が移ろっても、にいさまの御傍に仕える所存です
から」
美麗な血縁は穏やかに目を伏せた。
この少女に外連は無い。
だからどちらも本気で云っているのだろうと了解する。
「でも桜かぁ。もう何年も見てないなぁ」
目に留めることはあるけれど、それを目的として出掛けることは殆ど無い。
「桜ではありません」
綾緒は首を振った。
「桜じゃない?花見って云ったら、桜だと思ってたけどな」
「上古はいざ知らず、都鄙、貴賎問わず、花逍遥と云えば桜ですね。それは綾緒も否定しません。です
が――」
従妹は僕を見る。
「にいさまは、桜よりも梅を愛しておられるでしょう?」
「愛してるって云うか、梅のほうが綺麗だと思うだけだよ。特に、雪の中にあるものはね」
「存じております。ですから、梅を見に往きましょう。雪の降る頃に」
梅と雪。それは確かに魅力的ではあった。
「綾緒も、梅が好きです。花言葉も含めて、気に入っております」
眼前に梅は無い。
けれど彼女は“それ”見るように天を仰ぐ。
梅の花言葉。
『忠実』
そして『気品』
それは綾緒の持つ、女性の理想像と合致する。
けれどそれならば。
「桜はどうなんだ?あれの花言葉は“優れた美人”だったじゃないか」
その言葉も理想像の一つではないだろうか?何より桜は綾緒に似合うような気がした。
「にいさま」
従妹はくすりと笑う。
「桜は復讐の木です。女を裏切った男を呪い殺すための、怨念の塊なんですよ?」
「・・・・」
ぞくりとした。
上目遣いに僕を見つめる穏やかで従順な従妹の下に、“何か”が居た様に見えたから。
「卒時ですが」
綾緒は表情を戻す。
「梅と云えば、何か連想されるものはありませんか?」
仕切りなおして問う従妹の顔は、陽だまりのように明るい。先程のような寒気は微塵も感じない。僕も
“今見たもの”を振り払いながら答える。
「鶯・・・かな?」
「はい。鶯です。では、にいさま、鶯は何故啼くのか、御存知ですか?」
「ん?そんなの――」
求愛のためだろう?
他に思いつかない。
そもそもあんなに綺麗な歌声が、求愛以外に使途があるとも思えない。
そう僕が答えると、
「残念ですが、違います」
従妹は微笑して首を振る。

556 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:35:14 ID:+LDdIc8s
「鶯は愛らしい容貌と美しい歌声を持ちますが、極めて争闘性の強い鳥なんです。あの啼き声は、恋の
歌では無いんですよ」
「それじゃ、一体何のために歌うんだ?」
尋ねても綾緒は即答しなかった。
僕を見てニッコリと笑い、
「綾緒にとっての、にいさまです」
そう云って、従兄の腕にそっと寄り添った。
どういうことだろうか。
視線で説明を促す。
すると従妹は目を細め、それから一歩踏み出した。
そして歌うように。
啼くようにこう云った。

「この場所こそ我が領地

この場所こそ我が幸せ

何人たりとも踏み込むこと許さず

侵すものは、死をも覚悟せよ」

それは、誰の宣言であったか。
一歩詰めた従妹は、再び従兄の腕を掴む。
「鶯の歌は、こういう意味があるのです。求めるためのものでなく、媚びるためのものでもない。自分
がここにいて、己の居場所がそこにあって。それを守り抜くと誓う。その為の歌。その為だけの声なん
です。だから綾緒は、鶯を気に入っています。鶯のように生きること。それが綾緒の理想なのです」

――綾緒もまた、鶯です。

従妹は、はっきりと僕にそう云った。
だから。
だからこの娘には、梅よりも。
きっと桜のほうが似合うと思ったのだ。

目が覚めると、白い天井があった。
自室の天井はこんな色をしていない。
清潔に過ぎる消毒液の臭いと、目に映る世界は僕の知らないそれであった。
(どこだ?ここ・・・)
身を起こす。
どうやらベッドに横たわっていた様だ。
見知らぬ、白いベッドに。
白?
(それって、まるで病院みたいな――)
「!」
ハッとした。
病院。
ここが病院ならば。
「・・・・」
僕は頭を振る。
『思い出した』
否。
思い当たったと云うべきか。
ここが何処で、どういう状況なのか。
「ッ・・・!」
僕は自分の腕を見る。
目に入るは、真新しいガーゼ。
貼り付けられたそれを外すと、そこには穴穿たれた痕があった。
・・・・・・血・・・・・・・。
これは、血を出し入れした痕。

557 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:37:13 ID:+LDdIc8s
ならば今僕に流れているこの血は――
「お目覚めになられましたか、にいさま」
思考を切断するように穏やかな声がする。
よく知った、誰かの声。
鶯の、鳴き声が。
個室と思しき病室の入り口。
丁度ここへ来たのだろう、制服姿の誰かがそこにいた。
「・・・綾緒・・・・」
「はい。にいさまの綾緒です」
声の主――楢柴綾緒は、口の両端を吊り上げると丁寧に扉を閉める。
それは、こことここ以外との遮蔽。
即ち、空間の限定。
それを為した張本人は見るからに機嫌が良い。僕が婚約を請うた時のように、晴れやかだ。
それで確信した。
総入れ替えは――
血液の交換は完了したのだと。
従妹は一礼してから傍の椅子に腰掛ける。背もたれの無い丸い椅子は、ぎし、と僅かに軋んだ。
「にいさま御加減は如何ですか?」
従妹は妖艶な表情で僕の腕を取った。
「・・・・」
僕は答えない。怒るべきか、悲しむべきか、それともいなすべきか、判断が付きかねたからだ。あんな
ことをされて、どう感じればよいのか。どう振舞えばよいのか。
思考の停止は結果として従妹を無視する形となったが、それでも綾緒は特に気分を害した様子もなく唐
突に、
「おめでとう御座います」
と、取った腕を見ながら微笑んだ。
「めで・・・たい・・・?」
「はい。昨日は実に良き日となりました」
従妹は心底嬉しそうに、腕に顔を近づける。
「にいさまが不浄な血から逃れ、綾緒とひとつになれましたから」
「痛ッ・・・!」
痕に走る痛み。
それは、従妹の口が為したもの。
綾緒は痕に口をつけると、そこから自分の――僕の血を吸っていた。
まだ塞がって間が無かったと思われるその痕は容易く破れ、生命の源が強引に引き出されて往く。
「あ、綾緒、痛い・・・っ」
思わず腕を振り払おうとする。
けれど呆けたように笑う従妹は、至福の表情のまま腕を捕らえ、吸引を続ける。
「これがにいさまの味・・・・。綾緒の味・・・・。楢柴の味・・・・」
紅を塗ったように赤い唇の間から伸びる舌が、痕から染み出る血液を舐め取って往く。
生成り――
記憶が途切れる前に見た従妹の姿は、人から人以外へと変わる過程そのものだった。
ならば。
ならば今ここにいる従妹は“何者”だろうか。
夜叉なのか、人なのか、或はその中間なのか。
「にいさま」
綾緒は気味の悪いほどに優しい笑顔で僕を見上げる。
腕はいまだに力強く囚われており、舌は合間に這いまわる。
「先生より、暫くの間、静養が必要であるとの言葉を受けとっております。つきましてはにいさま、楢
柴の離宮へ御出で下さいな」
ぴちゃり。ぴちゃりと繰り返される音の隙間からそんな言葉が届く。
「離宮・・・、お前の別邸か」
楢柴家には無数の御用邸がある。
その中の一つが、楢柴の離宮と呼ばれる敷地。
並みの金持ちならばそれを持つだけで生涯の名誉と出来るであろう巨大な屋敷は、庭園と無数の屋敷か
らなる、まさに離れの宮である。
当主の文人氏をはじめとする楢柴直系の者以外は立ち入ることの出来ぬ場所。日日仕事に追われる楢柴
の頂点達は、それ故立ち入る資格があってもやって来ることが無い。
つまり、そこは綾緒以外に使う者も来る者もいない限定の世界。

558 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:39:22 ID:+LDdIc8s
そして――
そして『あそこ』には、アレがあったはずだ。
時代錯誤。
或は物語の中のように。
名家の屋敷だからこそ有り得る、異形の空間。
即ち――座敷牢が。
僕はぶるりと震える。
流石に“閉じ込められる”とは思っていないが、『それ』が可能な施設がある場所へは往きたくなかっ
た。
だから僕は首を振る。
「い、いい。あそこには往かないよ。療養なら、自分ちで充分だ」
「いけません」
「痛ッ!!」
従妹は吸引を強める。
補充されたばかりの血液が、また、数滴失われた。
「にいさまの御自宅では――不充分です。にいさまにはいつでも綾緒の目の届く場所に居て頂きません
と困るのです」
「ぼ、僕は困らない」
往きたくはない、あそこには。
「にいさま」
じっと、従妹は僕を見上げる。
「にいさまは、綾緒の云うことが聞けませんか?」
「――」
寒気がした。
綾緒は・・・従妹は、気分を害したのだろうか。
“こうなった”綾緒を押し切る自信は僕には無い。
頷かなければならないのだろうか?
そう思った矢先――
「あ・・・」
くらりと従妹が揺れた。
「あ、綾緒!?」
慌てて身体を押さえる。その身体は相変わらず羽のように軽い。
「申し訳ありません、まだ、貧血が治まっていないようで・・・」
くらくらするのか、綾緒は額に掌を当てている。
「駄目じゃないか、お前、僕に静養を勧めるなら、まず自分が健康であるべきだ。自分の目の届く範囲
に居ろって云っただろ?それは綾緒が僕の世話を焼くためだろう?でも不健康な人間に近くでふらふら
されたら、それこそ気が休まらない」
「あ、そう・・・ですね。にいさま、申し訳ありません」
「謝らなくて良い。見たところ、お前のほうが重症じゃないか。静養するのはそっちだ。とりあえず、
今日は帰りなさい」
心配8割。回避2割のための言葉だった。
健康を害しているためだろう。従妹は素直に頷いて立ち上がった。
「一人で帰れるのか?」
「車を待たせているので、大丈夫です。・・・にいさま、本当に申し訳ありませんでした」
そう云って深深と腰を折った。
僕が退室を促すと、従妹は表情とは裏腹な強い意思を秘めた瞳でこちらを見つめる。
「にいさま、必ず御迎えに上がります。必ず・・・」
「・・・・」
僕は頷かなかった。
頷けるわけがなかった。

559 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:41:37 ID:+LDdIc8s

結局、僕は幾らも留まらずに病院を出た。
綾緒に云ったように静養するならば自宅が一番落ち着くからだ。楢柴の息のかかった場所で過ごす気等
更更無い。
家に帰り着いた時はすでに夜。
誰も居ない家には明かりは無かった。
明かりは無かったが――人影はあった。
玄関前に誰かが蹲っている。
不審に思いながらも近づくと、向こうも僕に気づいたのだろう。ゆっくりと起き上がる。
「遅かったですね」
抑揚の無い冷淡な声。
何処を向いているのか判らない無表情。
よく知った後輩であった。
「一ツ橋、何でお前がこんな所に?」
「兄事している人間が行方不明になれば、心配くらいするでしょう」
そう云う後輩の表情に変化は無い。けれどこれが彼女のスタンスだ。
「行方不明・・・そうか、そうなるんだよな」
連絡も無しに日を跨いだのだから。
「その辺も含めて、話を聞かせて頂きたいんですが」
「そうだな。うん、じゃあ、入ってくれ」

「どうぞ」
一ツ橋がテーブルに紅茶を置く。まれびとに淹れさせるというのもどうかと思うが、
「私が淹れるほうが美味しいです」
等と云われてしまえば一言も無い。
テーブルの中央には黒い直方体がある。例の御守りだが、普段から持ち歩いているのだろうか?
「しかし態態家の前で待ってるなんてな」
「これでも心配していたんですが」
自分の紅茶を僕のそれのすぐ横に置く。
隣に座るのか。
てっきりそう思ったのだが。
「・・・・・なあ、一ツ橋」
「朝歌」
「・・・朝歌」
「なんですか、お兄ちゃん」
「どうして僕の上に乗る?」
「少し黙って下さい」
「・・・・・・」
成る程。
確かに心配を掛けたらしい。
無表情の後輩はあまり機嫌が良くない様子。
表情はいざ知らず、気配はツンツンしている。
「ほんとに心配しました」
「悪い・・・」
この後輩のことは古くから知っているが、感情を出した姿を見たことは数えるほどしかない。
元元人付き合いのあまり無い人物なので、余計にそんな機会が無いのだ。
一応、僕のことをまだ兄貴分と捉えているらしいので、珍しく気持ちが出たのだろう。膝の上にある妹
分は僅かに揺れている。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「私の身体、抱きしめて下さい」
「・・・・・」
僕は無言で抱きしめる。
小さくても、女の子ということだろう、吹けば飛ぶような痩身は、それでも奇妙な柔らかさがあった。
「少し落ち着きました」
「そうか」
「部長も心配していましたよ、お兄ちゃんのこと」
「あ~・・・、先輩にも心配掛けちゃったか」
「何度も電話をしていたみたいです」

560 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:43:39 ID:+LDdIc8s
携帯を取り出す。
直方体のせいで電波は届いていないが、履歴は『織倉由良』で埋め尽くされていた。
「・・・3分置きか。授業はどうしたんだろう」
「それで」
遮るように後輩が口を開く。
「何がありましたか」
抑揚の無いはずの声。
けれどその中には、気配同様尖った何かが混じっているように思えた。
僕は部屋の明かりに手を翳す。
陽光と違って、皮と肉の中が透ける事は無い。
体内に流れる新たな血を、もう一度確認したかったのだけど。

「そうですか」
説明が終わるといつもの言葉が紡がれる。
膝の上に座って前方を見ている後輩の表情は見えない。
返って来た声には起伏が無い。
つまり、相も変わらず心底が読めない。
「身体の調子はどうですか」
「ん、多分平気。少しだるいけど」
でなければ病院を抜けてこない。
「部長に知れたら、総て捨てろと云われますよ」
「血を!?それは無茶だ」
「理に適うとか適わないとか、あの人の中にはありません」
「・・・・」
僕は黙る。
俄には信じられないけれど、今の先輩ならそう云っても不思議はなかった。
「お兄ちゃん、渡した御守りは持っていますか?」
「ん?ああ、ほら」
一ツ橋の前に差し出してやる。
と、後輩は引っ手繰る様に御守りを取り上げた。
「これはもういりません」
「おいおい」
「効果がなかったようですから。こっちと交換です」
渡されたのは、まったく同じ安産守り。見分けがつかないくらい同じだ。
「“使い方”は以前説明した通りです」
「使い方って・・・あれか」
壊せだか何だかと云っていた。
「なあ、ひと・・・朝歌、これ、一体何なんだ?」
「御守りです」
「いや、それはわかってるけど・・・」
「誰か来たようです」
一ツ橋は壁――玄関のほうを向く。
果たして、一呼吸後に呼び鈴が響いた。
「・・・よくわかるな」
「肌と気配は敏感なんです」
後輩は僕の膝から降りる。
「どうぞ、応対して来て下さい」
促されるままに僕は部屋を出た。

のぞき窓の向こう。
玄関に立っていたのは意外な人だった。
財閥の頂点。
名門の総帥。
半血の身内にして、近くて遠い伯父。
楢柴文人。
彼は沈痛な面持ちで立ち尽くしていた。
「お、伯父さん?」
僕は慌てて扉を開ける。

561 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:46:32 ID:+LDdIc8s
「どうしたんですか、こんな時間に」
そう問うより早く。
「すまなかった!」
伯父は地に手を突いていた。
「お、伯父さん、どうしたんです、突然!?」
「・・・・・病院から、連絡があった」
「――」
耳に、入ったのか。
「あれがきみにした事を先程聞いた。してはいけないことをしたと知った。子の責任は親の責任だ。謝
って済む事ではないが、きみに謝罪しに来た」
伯父は額を地面に擦り付けた。
「伯父さん、顔を上げてください」
「そんなことできるわけが無いだろう。あれが仕出かした事は、人道から外れる」
「兎に角、身体を起こして下さい。そのままじゃ何も話せませんよ」
「・・・・」
僕が云うと、伯父は「すまない」と立ち上がった。
「創くん。身体は、平気かね?」
「今のところは」
「精密検査は?」
「綾緒の話だと、したらしいです。結果はしりません。まだ出ていないのかも」
「・・・・」
伯父は苦悶の表情を浮かべていた。
その胸中はいかばかりだろうか。
「あそこの病院は楢柴のお抱えだ。綾緒に忠誠を尽くしているものも多い。だが、それ以上に私の息の
かかった刀圭家は多い。そちらから、今回の事を聞いた」
「綾緒とは、話したんですか?」
「いや。連絡を受けてすぐにこちらに来た。あれは家で寝込んでいるらしいが、帰ったらすぐに問い詰
めるつもりだ。そして、正式に謝罪をさせる」
「・・・・・」
「あれは思った以上に歪んでいたようだ。血抜きという奇行ですら、きみの為だと本気で思っている。
嬉嬉としてそれを為したと聞いたよ」
「そう、ですか」
おめでとう御座います。
蕩けた笑みで僕に語った言葉は、心からのものだったのか。
冗談とは思っていなかった。
けれど、本気だと思いたくもなかった。
「ここへ来たのはきみへの謝罪が第一だが、もう一つ聞きたいことがあったんだ」
「何でしょうか?」
「きみはあれを――楢柴綾緒を、本当に女性としてみているのかね?」
「・・・・・」
左の中指。
そして、片耳が疼く。
僕はどんな表情をしたのだろうか。
眼前にある楢柴の総帥は、殊更顔を歪めて見せた。
「きみから婚約を持ちかけられた。あれは私にそう云った」
事実だ。
だけど、真実ではない。
「あれがきみと婚約したいと云った時、私は条件を出した。――日ノ本創が、女としてお前を求めてい
るなら、と」
僕は綾緒を、そんなふうには見れていない。
外貌でそれを察したのだろう。
伯父はもう一度「すまなかった」と頭を下げた。
「その話は、白紙にさせて貰う。きみはあれに気を使うことなく、生きたいように生きてくれ。血の件
も含めて、謝罪させるし、償わせる」
「いえ、そんな・・・」
「いや、させる。これはきみだけの話ではなく――楢柴の誇りの問題でもある。あれは気高さを履き違
えているようだが、誇り高い人間とは、けじめをつけられる人間であると私は思っている。それは道を
踏み外さない事とも同義だ。謝罪して終わりではない」
勿論私自身の事も。

562 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:48:38 ID:+LDdIc8s
楢柴文人はもう一度頭を下げた。
「娘は・・・本当に怪異なのかもしれない。それでも楢柴の一員である限り、させることはさせる」
悲愴な表情をした文人氏は、それでも強い光を湛えた目で僕を見つめた。

「父親は常識人のようですね」
伯父が去って居間に戻ると、一方の妹分が紅茶を淹れなおしていた。
「お前のとこと同じさ。娘は変わり者でも、父親は識者だ」
ソファに座る。
先程と同じ場所。
「父のことはよく知りません。あまり話しませんから」
「一ツ橋教授、相変わらず忙しいのか」
「近近倫敦に往くそうです。最低5年と云っていましたが、今までもいない様なものでしたから、実感
がありません」
後輩はちいさく「よいしょ」と声を出して僕の膝の上にのぼった。
「実感できる身内なんて、私にとっては一人だけです」
「そうか」
「そうです。だから抱きしめて下さい」
「・・・・・」
ぎゅっと抱え込むと、一ツ橋は目を閉じた。
(昔は綾緒も・・・素直な良い娘だったんだけどな)
今でも素直と云えば素直なのだろう。
けれど、いつからか、『夜叉』が住み着いた。
生成り。
従妹は鶯の化け物になろうとしているのか。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「人は人。物の怪は物の怪。相容れることはありません」
後輩は目を閉じたまま。
「わかっているさ、そんな事」
生成り。
まだ人であるのなら。
僕は綾緒を信じたかった。
見慣れた天井を見上げる。
目覚めて見た時の『白』ではない。
「なあ朝歌。僕はどうすれば良いのかな」
「お兄ちゃんの好きにすれば良いでしょう。唯、相手が人で無いなら答えは一つです」
「それは?」
一ツ橋は目を開けない。
何事も無いように。
唯、ポツリとこう云った。
「幽明界を異にする」


563 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:50:38 ID:+LDdIc8s

織倉由良に連絡を取ったのは一ツ橋が帰ってからすぐのことだ。
余程心配していたのだろう。
怒られたり、近況を聞かれたり、近況を話されたり、たっぷり3時間は捕まった。
流石に一から十まで話せない。
綾緒や血のことは伏せて誤魔化した。
曖昧な説明では納得しなかったのだろう。
先輩の機嫌は良くはなかったが、“朝一番で部室に来ること”を条件に許された。
それで翌朝。
僕は部室の前にいる。
『まったり仲良く』が伝統の茶道部は朝に人が集まることは無い。
だから今僕の目の前にある扉の向こうには、件の人物しか居ないはず。
運動系の部活動加入者が漸く登校を始める時間。
学校自体が眠りから覚める途上。
そんな『時』に、僕はコツコツと扉を叩いた。
「日ノ本くん?入って良いわよ」
返って来たのは、よく知った声。
織倉先輩のそれ。
矢張り先に来ていたようだ。
失礼しますと扉を開ける。
織倉由良は、僕に背を向けて正座していた。
「先輩、おはようございます」
「うん。おはよう。扉、閉めてもらえる?」
振り向かないまま先輩は答える。
入室したときに遮蔽は済んでいるので、鍵を掛けろと云う事なのだろう。
施錠をし、靴を脱いで畳に上がる。
そこで、漸く先輩は振り返り立ち上がった。
「日ノ本くん、遅いわよ。張子房を見習わないと」
「夜中から潜んでいろと?いくらなんでも無茶すぎです」
僕は苦笑する。
苦笑して――動きが止まった。
「私、日ノ本くんに話があったんだ」
織倉由良は笑顔。
破顔したまま僕を見つめていた。
だけど僕は笑うことが出来なかった。
何故なら。
何故なら織倉由良の手に目を奪われたから。
にこやかに笑う先輩の手には。
銀色に光る金属が、しっかりと握られていた――

564 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:56:13 ID:+LDdIc8s

投下ここまでです。
多分、このスレへの投下は今年最後になると思います。
次回投下は1月を予定しておりますので、気長にお待ちいただければ幸いです。
では、かなーりはやいですが・・・

皆様、良いお年を!

私信
前回投下時、連投規制の情報を御教示下さったID:8BjkX/XD様。
この場を借りて御礼申し上げます。

565 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 04:58:32 ID:cxKy5XI4
一日千秋でまってたGJ
よいお年を


566 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 06:01:27 ID:OCjQ9l0K
>>564
GJ!!!!
全裸で待った甲斐があったぜ!!
次を楽しみに待ってるよ!!
ただニットと靴下だけは着るのを許してくれ…。
南国に住んでても流石に最近は寒いんだ。


567 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 07:20:19 ID:RLQZrmDF
ゆるさ~ん。



全裸をなんと心得るか!
ニットなど邪道!!
シルクハットまたは付け髭以外は許可できるわけなかろう。


まったく最近の学校は何を教えているのかね。

568 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 07:25:04 ID:RLQZrmDF
蝶ネクタイなら許してやらんでも無いがな。

569 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 07:36:42 ID:s3h6M2MH
一ツ橋かわいいよかわいいよ!ヤンデレスレ最萌だよ

そして叔父さんかっこいい
かっこいいんだけど死相が見えそうなのはなんでだぜ?

570 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 09:13:53 ID:WHu5CGg1
>>564
数ある作品の中で、一番待っていた、一番待っていたんだっ。
まだまだ読み足りないけれど、続きを涎を垂らしながら待っています。

しかし一ツ橋は本当にかわいいなぁ、メルトダウンしている他二人と
対照的な鉄面皮が実にいい。

571 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 13:07:37 ID:1HqUoZco
>>564
ヒロイン3人とも可愛いw
でもこんな目にあっていたら、
日ノ本君精神崩壊してしまうんじゃないかと心配になってきた。
親父さんには死亡フラグたちまくりだし。

良いお年を~

572 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 21:38:16 ID:jXrYGrl+
>>566
つ全身タイツ

573 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 00:08:21 ID:sudJrNAy
Godjob!
待ってた。しかし安心して読める文章だなあ。

574 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 00:12:10 ID:29TyRMco
GJッス! もう主人公もヒロイン達もイイキャラしすぎwww

>>573
だが展開はハラハラの連続で心臓に悪い罠


575 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 01:58:55 ID:916X6SK5
>>564
【審議中】

∧,,∧  ∧,,∧
∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧ 
( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
| U (  ´・) (・`  ) と ノ
u-u (l    ) (   ノu-u
`u-u'. `u-u'






パッ   パッ   パッ    パッ   パッ    パッ
[G]    [J]    [で]   [す]     [よ]     [!] 
∥∧∧  ∥∧∧ ∥∧,,∧ ∥∧,,∧ ∥∧∧  ∥,∧∧
∩・ω・`)∩・ω・`)∩・ω・`)∩・ω・`)∩・ω・`)∩・ω・`)
(    ). (    ). (    ) (    ) (    ) (    )
`u-u´  `u-u´   `u-u´  `u-u´  `u-u´  `u-u


576 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 04:17:47 ID:8tD+031U
ttp://www.toranoana.jp/shop/kara/interview/kara_itw01.html
ますます用語の曲解がすすんでるなー

577 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 04:58:01 ID:IMktG11g
>>564
GJォォォォォ!!
新年楽しみだわ

>>576
た、確かにorz

578 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 05:31:13 ID:jLQFOAN3
なんか最近ヤンデレっていう言葉を知って自慢げに話す痛い子みたいなインタビューだな。
全然意味分かってないところが輪をかけて頭わるすぎるwww

579 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:34:29 ID:jRR78z+M
投下します。今回はパラレル編です。16レス使用します。
本筋とは無関係ではありませんが、読まなくても――むしろ、
ある男のイメージを変えないためには読まない方がいいかもしれません。

以下のNGワードがOKの方のみ、お読みください。

・夢オチ
・女体化

580 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:35:14 ID:jRR78z+M
*****

弟と共に自宅の玄関前にたどり着いた。特に何も考えず、玄関のノブをひねる。
「うむ?」
ノブを回した状態でドアを引いたのだが、固い手応えしか返ってこない。戸は開かなかった。
何度繰り返しても同じだ。引く度に鉄製のロックが不満を漏らすように硬質の音を立てるだけ。
「中に誰も居ないみたいだな」
「おかしいね。今日は平日だから母さんが居るはずなのに」
「買い物にでも行ってるのかもな」
いつものパターンで考えれば、母は六時を過ぎる頃には夕食を作っている。
そのはずなのに、今日は中にいない。珍しいこともあるものだ。昼寝しすぎたのであろうか。

しかし、予想は外れた。
合鍵でドアを開け、鞄を自室の前に置いてからリビングのドアを開けると、テーブルの上に書き置きが残されていた。
その内容は、『お父さんの上司のお宅に招かれたから、お母さんも行ってきます。夕ご飯は作ってあるので、
温めて食べて』というものであった。
なるほど、上司のお宅に招かれたのであれば行かないわけにはゆかないものな。
父の昇進を考えるなら、上司の印象を良くしておくのは必要な行動だ。テレビドラマではよくそう言う。
母も、上司の誘いをないがしろにするのはよくないと考えたのだろう。
よって、行きたくもない上司の家へ行き、妹でありながら妻として偽りの自己紹介をする気になった、と。

家に帰ってくる前に母が出かけてくれていてよかった。
もし出掛けの状態にある母に遭遇していたら、書き置きのメッセージ以上に長い愚痴をひとしきり聞かされていたはずだ。
母は父と過ごせる時間を邪魔するものには何者であろうとも敵意を向ける。
今日のように上司の家に招かれるなんて、母の悪癖を引き起こす典型的なものだ。
しかし、今日ばかりは相手が悪い。
相手が父の上司、おまけの戦力として父まで加わっている。これでは母も不機嫌にはなれまい。
できるならば毎日大人しくしてほしい。息子として俺はそう思う。

リビングから一旦引き上げ、自室へ向かう。
制服を上下共にハンガーに掛け、シャツを足下に投げておく。
シャツは風呂に入るとき、ついでに洗面所へ持って行くとしよう。
部屋着に着替え終えたところで、ノックの音が飛び込んできた。
「兄さん、いる?」
続いて聞こえてきたのは弟の声だった。
返事をせずに、ドアを開けて弟と対面する。
「何だ? 晩飯なら俺の分はまだ温めなくていいぞ。風呂に入ってから食べるから」
「そうだろうと思った。僕がお風呂を洗っておいたよ」
「お? 気が利くな」
珍しい。いつも風呂を洗っているのは妹だったから、稀なこともあるものだと思わざるをえない。
おや――――そういえば。

「妹はどうしたんだ? いつもなら帰ってきてる時間だろ?」
普段ならば、諸々の家事を終わらせた後で玄関の前で弟の帰りを待っているはずなのだが、それもなかったし。
「ああ、さっきメールが来てたよ。今日は文化祭の準備で遅くなるかもしれない、もしかしたら泊まりになるかも、だって」
「え、中学もこの時期文化祭だったっけ?」
「そうだよ。覚えてないの?」
…………。思い出せん。覚えてない。忘れ去ってしまった。
一年ちょっとでも別の環境に身を置くと忘れてしまうものなんだな。
中学に通っていたときは世間の常識、たとえば大人でも知っていることだ、とか思ってたけど。


581 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:36:29 ID:jRR78z+M
「ま、そんなことはどうでもいい。遅くなるっていうんなら迎えに行ってやらないとな」
「え……なんで?」
「妹に一人で暗い夜道を歩かせるわけにはいかないだろ」
「あ、ああ。そうだね」
弟の反応が優れない。どういうわけか、歯切れの悪い返事だった。
「迎えに行きたくないのか? 行きたくないっていうなら俺一人で行くからいいけど」
「いや、行きたくないわけじゃ、なくて……。ねえ、兄さん」
「おう」
「やっぱり、自分の妹は心配かな?」
当たり前だ。これでも長男なんだから弟と妹の面倒を見る責任がある、と、普段なら言ってやるところだ。
しかし、俺は口にしなかった。恥ずかしかったからではない。
単純に、口にすることをためらってしまったのだ。弟の雰囲気が口を開くのを迷わせていた。
何かを懇願しているような、切ない表情が弟の顔に浮かんでいた。

俺は、返事の代わりに首を縦に振った。続け様に弟が問い質してくる。
「それはやっぱり、妹が女の子だから?」
うむ、という台詞を飲み込んで頷きを返す。
「それじゃ、――――僕がもし、妹の立場だったとしたら? 兄さんはどうするの? 学校に迎えに来てくれる?」
うむ……ん、んん?
なんだこの質問。意図が掴めん。何が言いたいんだ、この弟は。
「お前のために、俺がわざわざ夜中に学校に行くか? と聞いているのか?」
「そうだよ。もちろん、兄さんのことだから――」
「男だろ。一人で帰ってこい」
こればかりはきっぱりと断りを入れる。
さっき弟と妹の面倒を見る責任が俺にはあると考えたが、それは致命的な過ちを犯さないか見守らなければならない
という種類のものである。具体例としては弟と妹が性的な意味で抱き合うのを阻止すること。
よって、高校生のくせに夜中に迎えに来いという弟の願いは叶えない。

「そんな、兄さん……ずるいよ、妹ばっかり……」
「アホ。お前だってあいつの兄貴なんだぞ。兄が妹を羨ましがるな」
この弟は、ちょっと甘え過ぎなのではないか?
俺が世話を焼きすぎたせいなのかもしれない。
ここは少しばかり、兄貴としての心構えを教えてやらねばなるまい。
「いいか。妹が居ないから言うけどな。兄貴ってのはなあ、ちっとはかっこつけなきゃいけないもんなんだ。
虚勢でもいいから、気を張れ。いつでもそうしろ、とは言わない。妹を前にした時だけでいい。
いつもより前向きに考えろ。たったそれだけでも違うもんだ。それが自然に出来るようになれ。
いつのまにか、気負うことなく出来るようになるから」
弟が伏目がちに見つめてくる。なんだその主人に褒められてもらえずに沈む犬のような目は。
気持ち悪いからやめてくれ。
「わかったか?」
弟は俺の目を見つめている。答えを返してこない。
「返事は?」
「……うん、わかったよ。兄さん」


582 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:38:26 ID:jRR78z+M

弟に熱弁を振るった恥ずかしさと、弟の普段より元気のない様子からくる不気味さに気押されて、俺は脱衣所へやってきた。
より正確に言えば逃げ込んだという感じである。
まったく、今日の弟はどうしたというんだ?
学校の保健室でのしおらしい態度といい、さっきの反応といい。
あいつ、本当はどこか調子が悪いのか?
体調不良だから気弱になっているのかもしれないな。
「ちょっときつく言い過ぎた、かな……?」
ふー、と、肺にため込んでいた空気を、ため息にして鼻から吐き出す。
仕方がない。妹から連絡が来たら、弟に留守番を任せて俺一人で迎えに行くとしよう。
今日の弟を出歩かせたら、車はもちろんのこと自転車にまで跳ねられそうだ。
妹は不満だろうが、少しばかり辛抱してもらうとしよう。

脱衣所に備え付けのプラスチック製のタンスからバスタオルを取り出して、風呂場の出口、足ふきマットの近くに置く。
寝間着兼部屋着のジャージを、上下ともに脱ぐ。こちらは洗濯かごには入れない。
洗濯かごに入れるのは、肌着とパンツだけだ。
肌着を脱ぎ、かごの中に投げ捨てるように入れる。
ふと、忘れ物をしたことに気づいた。制服のシャツ、部屋の床に脱ぎ散らかしたままだった。
弟から離れることばかり考えていて、そのことをすっかり失念していた。
ここまで脱いでおいて、部屋に戻るのも面倒だな。着直さなきゃいけないし。
でも、ちょっとでも頭に引っかかるものがあると入浴を存分に楽しめないのが俺の性格だ。
今の時期の風呂というと、こう、疲れの代わりに暖かい熱が体に入り込んでいって、ぽかぽかになれるから好きなのだ。
俺としては、憂いを一切無くした状態でゆっくり湯船に浸かりたい。
一度戻るか。数分パンツ一丁でいても風邪はひかないだろう。

冷たい廊下を歩く。室内用スリッパを履いていないのはめんどくさかったからであり、俺用のスリッパがないわけではない。
いかんな。足下から冷え始めてきた。とっとと部屋に戻って、シャツを取ってこなくては。
自室の前にたどりつき、ドアノブを回して扉を少し開けた、その時。
「は……っん、ぁ……どう、して……優しく、してくれないの……。優しくしてよぉ……」
突然の艶めかしいエロ声を聞き、俺は固まった。反射的にドアを閉めることさえできなかった。
なんだ、一体全体、俺の部屋で何事が起こっている?
エロいDVDなんか借りてないし、ましてや再生してもいないぞ。だってDVDプレイヤーがないから。
我が家でDVDビデオを再生できる機器は今のところ、リビングにあるビデオデッキと父のパソコンぐらい。
だが俺の部屋はリビングではない。もちろん父の部屋でもない。父の部屋は隣だ。部屋を間違えているはずがない。
この無害でありながらくらくらする匂いは愛用のエナメル塗料のそれだ。
必然、俺がいる場所は自室の前ということになる。
それなのに、それなのにどうして――女の声が聞こえてくるんだ?
「……のこと、ちゃんと、見て……お願いだから……」
途切れつつ聞こえてくる声は、俺の居る位置からはいまいち聞き取りづらい。
もっとはっきり聞いてみたかった。
別にどきどきしているのが原因じゃないぞ。声から相手の正体を突き止めたいだけだ。
言い訳をしつつ、音を立てないよう慎重にドアを開く。
首を突っ込めるぐらい開いたドアから、諜報員になったつもりで覗き見る。
しかして、人様の部屋で喘ぐ女の正体が判明した。

「にいさん……僕だって本当は、ほんとのこと、…………言いたい、のに」
「…………」
とっさに感じたのは恐怖だった。俺は今までの人生で一番おぞましいものを目にしてしまった。
開いた口はふさがらないまま、小刻みに痙攣を繰り返す。
眼鏡でもかけていればエフェクトとしてずれるどころか、床に落としているような状態だ。
だって、俺の部屋にある折りたたまれて重ねられた寝具の上に――お、おと、おとうと、弟が。
制服で、乱れて、うつぶせに、くねくね。両手が見えない、たぶん体の前。何やってんだ、きさん(博多弁)。
「すー……はぁぁ、すぅー……はぁぁ、にいさんの、匂いがするぅ……」
やめろ、それは俺の枕だ。お前の枕は別の部屋にあるだろう。人の物に顔を埋めるな。
それはNASAの血のにじむような努力とスウェーデンの企業の努力とデンマークの工場が問題なく稼働している
おかげで存在している逸品なんだぞ。それを、そんなものを、そういうふうに扱うな。
お前が、無礼にも無様にも、眠る以外の目的――自慰するために使っていいものじゃないんだ。


583 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:39:14 ID:jRR78z+M
弟が体を少し浮かせた。そしてズボンの中から取り出したるは、くしゃくしゃになってしまった俺の制服のシャツ。
弟は、あろうことかそれを顔に押しつけた。
「ふぅ……ぁ、あっ! ……これぇ、にいさんと、僕の匂いがするよ……」
動け。動けよ、俺の口! 今動かなきゃどうにもならないんだ!
やめろと言うだけでいいんだ。それだけで、こんな吐き気を伴う現状を回復できるんだから!
「はむ……んん、ぁう……ふうぅ……んん、ん」
食うな。喰うな。シャツを食うな。
シャツがほとんど口の中に入ってるぞ。そんなことしたら喉につまるだろ。息できないだろ。
それは食べるものじゃないんだよ。食べるものはキッチンにあるから。
なんならレンジでチンして持ってきてあげるから。
だからもうやめてくれ。汚い。金輪際着られない。ナイフで脅されても着たくない。
あー、ほら。そんなことしてるからむせたじゃないか。馬鹿なことするからそんなことになるんだぞ。
懲りずにまた口に含むなよ。汚いから。俺の汗とか匂いが染みついている時点で汚いんだから。
お前の唾液と汗まで混ざったら洗濯もできなくなるじゃないか。
動くな、止まれ、フリーズ、ストップ。どれでもいいから聞いてくれよ。
「……欲しい。にいさんの――――が、欲しいよ。僕の、ここに……」
これは悪夢か? じゃあ覚めろ。可及的速やかに覚めろ。
レム睡眠とかどうでもいい。忘れていい。こんな夢見たくない。鳥肌がういてくる。鶏になってしまう。
「にいさん、――――にいさん。僕はにいさんのこと――」
やめろ。俺の名前を呼び、あまつさえ何を言うつもりだ。
僕は……? 俺のことを……? こいつ、まさか!
やめろ――――――!
「にいさんのことが、…………だい好き、です」

寒い。家の中にいるのに寒い。
十一月でこんなに冷えるんなら、来月はどれぐらいの冷え込みになるんだろう。
早く服を着ないと風邪をひいてしまう。パンツ一枚ではとうてい寒さはしのげない。
明日は楽しい楽しい文化祭の準備なんだから、風邪をひいて潰すわけにはいかない。
あ、駄目だ。くしゃみが……鼻をつまんで止め…………いや、間に合わない。

爆発。
鼻の奥から湧き起こった衝動が脳へと走り、指令を受け取った然るべき器官が応答した。
止めようがなかった。目の前の光景に釘付けになっていた時間がどれほどか覚えていないが、俺にくしゃみをさせる
程度には長かったようである。
くしゃみというものは仕組みからして、吸い込んだ息を一斉に吐き出すもの。
したがって、どうしても音を吐き出してしまう。
弟の絶対に目にしたくない痴態を隠れながら見ていた俺にとって、やってはいけない行動の最たるものであった。

「――っ! にい……さん!」
弟は紅潮した顔で俺を見上げていた。
布団の上に落ちたシャツと口元を繋ぐ透明な糸が、蛍光灯が放つ光を反射している。
「とうとう……見ちゃったんだ。兄さん。ずっと隠してきた、僕の秘密を」
見ていない。俺は何も見ていない。現実逃避しているわけじゃない。これは絶対的に現実じゃないんだ。
だって、弟がそっち系の人間のはずがない。弟はそっち系であってはならない。
こいつだけはまともでいなければならない。俺が、まともなままでいさせなければならない。
「じゃあ、仕方ないよね。……見られちゃったんなら、もう隠す必要もないし」
「いや、ぜひとも隠してくれ。誰にも言わないから。担任にもお前を慕う女の子たちにも、一言も漏らさない」
「信じられないよ、そんなの」
「後生だから、信じてくれ。さっきは悪かった。この通りだ」
腰から四十五度に傾ける。さらに両手まで合掌させる。
「僕は謝って欲しいわけじゃないよ。欲しいものは、別のもの」
「……金か? 例の全身完全稼働モデルのフィギュアか? カツ丼なんかどうだ? カツ丼、好きだろ?」
「うん、好きだよ」
「だったら、それで何とか手を打って――」
「でも、もっと、もっともっと好きなものがあるんだ。それはね――――兄さん自身」


584 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:40:17 ID:jRR78z+M
弟が身をかがめた。そして音もなく、跳ねた。真上ではなく、部屋の入り口にいる俺へ向けて。
逃げるという選択肢をようやく思い浮かべたのは、弟に両腕を掴まれて笑みを向けられてからであった。
「兄さん、捕まえたよ」
「うぅ……」
「これでもう、逃げられないね。じゃあ――早速」
言い終わると同時に、俺は足払いをかけられた。
突然宙に浮いた俺にとって確かな感覚は弟に掴まれた腕だけ。
なすすべもなく尻餅をついた。弟に腕を掴まれていたため、衝撃は軽い。
がちゃり、という音が頭上から聞こえた。弟の手によって部屋に鍵をかけられた音だった。
「これなら、もう邪魔は入らないよ。それじゃ改めて……」
改めるな。いや、己の行動を悔い改めろ。
「兄さん。やっと……こうすることが出来た。ずっと、こうしたかったんだ、僕」
床に仰向けに倒れた俺の上に、弟が乗った。両腕を首に回して、耳をくっつけてくる。
「弟、お前……そういう種類の人間だったのか」
「そういう? ってどういう意味なの? 僕がこうやって抱きついちゃ、いけない?」
「あったりまえだろうが! まさか、お前が同性愛者だったなんて……」
ちっとも気づけなかった。同じ家に住んで、同じ釜の飯を食って、同じ学校に通っているのに。

「同性? ……ああ、そういうことなんだ。やっぱり忘れてる。兄さんは頭の回転は速いのに。
記憶力だってすごいのに。大事なことだけは忘れちゃうんだね」
「お前、いい加減にしておけよ。俺を馬鹿にしたのもとんでもないことだが、こんな馬鹿げたことするのはそれ以上だ。
今やめるんなら、笑って済ませてやるぞ」
「それは無理だよ。僕、もう……火が付いちゃってるから。すぐに兄さんも、熱くさせてあげるよ。
うん、だから、ちょっとだけ、ごめんね?」
両腕を頭の上に持ち上げられた。弟は手近にあったヘッドホンのコードを手にとると、それを巻き付けようとしてくる。
もちろん俺は抵抗する。縛られでもしたら、おしまいだ。俺も、弟も。
「大人しくしてよ。痛くしないから……」
「やめろ! こんなのは間違ってる!」
「ああん、もう……しょうがないなあ」
弟は腕を支えにして、逆立ちするように自分の体を高く上げた。
高い位置にあった弟の両膝は重力に引かれて落下。真下にいる俺の腹を直撃した。
体に詰まったものを吹き出しそうなほどの痛みに悶える。
その間に、無防備になった俺の両手首にコードが巻き付けられた。
それだけでは足りないとでも思ったのか、弟はガムテープを用いて机の脚と俺の腕をびっちりと固定した。
俺の体を防護しているのはトランクスのみ。頭部、胴体、腕の裏は弟にさらけだしている格好だ。

「痛い? ……よね。ごめん。けど、こうでもしないと兄さんは大人しくしてくれないだろうから」
「ぅぐ……謝る、ぐらぃ……なら、やるんじゃ、ねえよ……」
「……ごめん。でも、その代わりにたくさん気持ちよくさせてあげるから」
右の腿を挟まれる感触。おそらく弟が両膝で挟んでいるのだろう。
素足に擦りつけられる制服の感触は、俺が普段着ているものとほぼ同じ。
決定的に違うのは、いかんともし難い生理的な嫌悪感を覚えること。
「ん……ぁ、あんっ……はぁ、はっ……! あ、ふぁ……」
股を、腿に擦り続けられる。挟む力が強すぎて、皮膚が焼けそうになる。
弟は荒い呼吸を吐いている。頬は真っ赤で、引き結んだ唇と合わさって羞恥に耐えているようにも見える。


585 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:41:05 ID:jRR78z+M
内臓を冒す痛覚に苛まれながら腿の熱さに耐えていると、弟の動きが少しずつ落ち着き始め、ついには止まった。
「はっ、は、……はぁ、ぁぁぁ……。すごいよ。やっぱり本物は違う。知ってる、兄さん。
僕、しょっちゅうこうやって兄さんの部屋で自分を慰めてるんだよ。兄さんに乱暴に犯されることを考えながら」
「気持ち悪いこと、言うんじゃねえよ。変態」
「……そうだね。実の兄に、そんなことされるのを望むなんて、変態だ。でも、僕はその考えを止められない。
夜になると兄さんが欲しい、兄さんが欲しい、って言うんだ。……ここが」
弟は右手で自身の股間を押さえた。そこに何があるかなど、考えるまでもない。
弟から顔を背ける。気分が悪くて――悪すぎて、弟を直視できない。
「ふふ……兄さんが何を考えているか、手に取るようにわかるよ。僕のモノなんか見たくない、って感じでしょ?」
わかってんじゃねえか。
「でも、ね。それは外れだよ。そもそも兄さんは根本的なところから考え方が間違っている。
僕に対する認識が、最初からずれてる。一番大事なことに焦点を合わせていない」
「俺よりひとつ年下。男。恋人無し。特撮ヒーロー番組は欠かさず見る。同性愛者。
……どれかひとつでも外れているか?」
「うん、二つも間違っている。僕という存在を根本から見誤っている。ちゃんと見てくれないからそうなるんだよ。
僕から言わせれば、兄失格、だね」
俺が兄失格なら、お前はさしずめ人間失格――とまではいかなくても、まず弟失格だ。
こんなこと、男どうしで、ましてや兄弟同士でやるものじゃない。 
根っこを植える場所を間違ったのはお前の方だ、弟。

体にかかる重みが減った。衣擦れの音が聞こえる。
視界の隅に映るものから推測するに、弟が制服を脱いでいるようだった。
顔の前に衣服が落ちる。黒いスラックス、シャツ、肌着。弟は今頃パンツだけしか身につけていないはずだ。
腹の上に弟の腰が落ちた。――やる気か、くそったれ。
「さあ、兄さん。僕を見て」
「断る」
絶対に見ない。目を固く閉じ、首まわりの筋肉を硬直させる。
弟が首の方向を変えさせようとしてくる。俺は断固抵抗する。
「もう。仕方ないなあ。兄さん、これでもそうしていられるかな?」
首を抱かれた。続いて胸を密着させられた。この時点で、些細な違和感を覚えた。
胸の辺りに、柔らかい感覚がある。服やクッションなどの感触とは違うもの。肉の柔らかさだ。
疑問が晴れないうちに、胸から下へ向けて少しずつ体を重ねられていく。最終的に、腰を弟の足で挟まれた。
そして気づく。俺のへその下あたりに乗った弟の股に、何もついていないということを。

どういうことだ? 男であればついているはずのアレがない。
横に行ったとか、後ろに行ったとかいう感じはしない。
中に引っ込んでいる可能性もなきにしもあらずだが、それにしたってここまでまっさら、ということはないだろう。
つまり、弟にはついていなかった。男の象徴、もしくは息子と呼ばれる体のいち器官が。
「お……」
お前、どういうことだよこれは、と言いたかった。でも声が出ない。喉が震えない。
混乱でつい、正面を向いてしまった。
そこで目にしたのは、上体を起こした弟の上気した顔と――わずかに膨らみを見せる胸。
どのような鍛え方をしようとも、こんなに柔らかそうに胸が盛り上がったりはしない。
弟の細身の体にちょうどマッチするような大きさのそれの上には、突起したピンク色の乳首がある。
そして、視線を下へと移動させると、どんな角度から見ても男物に見えない、フリルで縁を形取った
白のショーツが見えた。履いているのはもちろん弟である。


586 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:41:47 ID:jRR78z+M
「わかった、兄さん? 僕が、女だってことが」
弟が――今まで弟だと思っていた奴が、女だということは確認した。
ここまではっきりとした証拠を見せられては、否定しようもない。
だけど、それが事実だとは認めたくなかった。
「おま……えは、男のはずだろ?」
「女だよ。お、ん、な。僕は弟じゃなくて、妹。兄さんから数えていっこ下の、妹」
「そんな……嘘だろ。だって、妹はお前が好きで」
「ああ、それ」
弟がくすり、と笑った。
「妹は女の子だけど、女の子が好きみたいだよ。男なんか興味がないんだって。
だから兄さんには興味がないみたい。よかったよ、妹と兄さんの取り合いなんかしたくないから」
「ふ……風呂。風呂はお前ら一緒に入ってるだろ」
「うん。妹がいろいろ触ってくるからあんまり好きじゃないんだけど。
ちょっと悔しいのは、妹の方が僕より胸がおっきいことだね」
知りたくもない情報は教えなくていい。
どうなってやがる。いったいいつから弟は弟になった? 妹から弟になった?

「僕が男の格好をするようになったのは、小学三年生のころから。そのころは当然兄さんは四年生だよね。
あの頃ってどういうわけか男の子が女の子と一緒にいるのを避けようとするでしょう? 友達にからかわれるから。
もちろん兄さんも例外じゃなかった。僕が兄さんと一緒にいたら、兄さん、逃げるんだもん。
そこで、僕は考えたんだ。男の子になれば、兄さんは遊んでくれるはずだって」
「なんだよ、その短絡的思考は」
「あの頃はそれが一番のアイデアだと思ったんだもん」
もん、とか言うな。女の子みたいだからやめろ。
お前は確かに女だが、俺にとっちゃ弟のままなんだよ。いや……確かに、体は女だけどさ。
「……男の格好をしたお前を見て、当時の俺はどうしたんだ」
「驚いてはいたよね。だけど、前みたいに露骨に避けるようなことはなくなった。
そうやって過ごしていくうちに、兄さんは僕が女だってことを忘れていった。
プールに行ったときには、男子更衣室に連れて行こうとまでしたんだよ。覚えてる?」
覚えてない。が、ついさっきまで弟を男扱いしていた。
俺は以前からそうしていたはず。つまり弟の言うとおりなんだろう。
俺、昔はとんでもなく馬鹿だったんだなあ……。妹が弟になったらさすがに怪しむだろ。大雑把すぎだ。

「ま、そんなわけで引っ込みがつかなくなった僕としては、弟のままでいることにしたわけ。
……でもね、辛かったんだよ。兄さんに男として扱われるの。男だからって理由で、厳しくされるから。
今日だってそう。保健室で冷たくあしらわれた時は泣きそうになったよ。
さっきは兄貴の在り方、みたいなことを説かれたし」
「いや、でも……役には立っただろ?」
「ううん。全然。だって僕、兄さんの妹だから。兄さんだけのモノだから、知る必要のないことだよ」
「自分で自分をモノ扱いするな。それに、俺はお前なんか欲しくない」
たちまちのうちに、弟の顔が悲しみに歪む。
「ひどいよ……どうして、そんなこと言うの。僕、なんでもするよ。兄さんのためだったら、何にも怖くない。
兄さんが僕のそばに居てくれるんなら、どんな危険だってくぐり抜けてみせる」
「んなもん迷惑だ、って言ってるんだよ」
「僕が妹だから嫌なの? 妹とは付き合えないから? 父さんや母さんみたいになりたくないから?」
「それ以前の問題だ。妹なんて、恋愛対象にはならないんだよ。絶対に」
「そんなの、嫌だよ。僕、兄さんじゃなきゃ。兄さん以外の男の人なんか、絶対に好きになれない」
「そういうのな、錯覚っていうんだよ」
目の前にいるこいつは、弟だ。たとえ性別が女であっても、俺にとっては弟そのものなんだ。
だから、俺に好意を抱かせないように、説得しなければならない。
同級生から慕われる人物に育った弟に対して、俺がしてやれるのはこんなことだけだ。


587 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:42:34 ID:jRR78z+M
「お前は男という存在を、俺一人だけだと思ってる。俺以外の男を見ようとしていないのがそもそもの間違いだ。
面倒見がいいとか、勉強を教えてくれるとか、優しいだとか厳しいだとか、まともな男なら持っているものなんだ。
そして、まともな男は探せばちゃんといる。どんな場所にでもいるとは言わない。けど、駄目な奴や悪い奴が
いるように、まともな奴だって絶対に存在している。
そういう奴のことを深く知れば、俺のことなんかすぐに小さく見えてくる」
「兄さんは小さい男じゃないよ。そりゃ、一番大事なことを忘れたりはするけど」
「ほれ。大事なことを忘れている兄貴、ってだけでアウトだ。デリカシーなんかあったもんじゃない。
俺みたいな奴のことを、駄目な男って言うんだ――」
「黙って!」
眼前で弟が叫んだ。脳全体が震える。耳の中で声が響く。
「それ以上言わないで! 兄さんが自分のことを自分で悪く言っていると、僕まで悲しくなる!
兄さんを好きになった僕のことまで、駄目な奴って言うつもりなの?!」
「人を好きなるのは悪い事じゃない。俺だって兄貴として慕われているんなら嬉しく思う。
だけど、お前の場合は、そういうものとは種類が違うんだろ?」
「うん。僕は兄さんが欲しい。兄さんに全てを奪って欲しい。兄さんのこと、愛してるんだ」
愛している、か。
そんな台詞を言われたこと、前にもあったな。
――そうだ。俺は、他でもない葉月さんに好きと言われているんだった。

「俺も、お前のことは好きだけど」
「好きだけど、……なに?」
「異性としては好きになれそうもない。この状況を元にして想像してみろ。押し倒されているのがお前で、
上に乗っかっているのが妹――末っ子の妹だとして、お前はどんな気持ちになる?」
「……早く逃げたい」
「それと同じだ。俺は今、お前に押し倒されても嬉しくない。襲いかかってきた人間と同じ気分になんてなれない。
つまり、俺のはそういうタイプの好意だってことだ」
相手のことが好きだけど、欲しくない。抱き寄せて抱きしめて、ひとつになりたいと思わない。
家族や兄弟とは、そういう関係にある時点ですでにひとつになっていることと同じ。
そう考える俺にとって、これ以上深い関係になることは、心と体を重くさせるだけの結果しかもたらさない。
簡単に言ってしまえば、一緒に暮らしているんだからそれで十分だろ、という感じだ。

俺の言葉にショックを受けたのか、いや、受けたんだろう、弟は首を振っていた。
認めたくない、とでも言うように。
「僕のどこが駄目なの? 言ってよ。どこでも直すから。口調も、女の子らしく戻しても構わないし」
「そういうんじゃない。お前自身の容姿や行動に原因があるんじゃなくて、生まれた時から駄目なんだよ。
同じ家族の一員という時点で、深いところで繋がっているんだ。兄妹ってのは、そういうふうにできてるんだよ」
「じゃあ……家族じゃなければいいの? 家族以外の他人なら、誰でもいいってこと?」
「誤解を招く言い方だが、おおむねそんな感じだ。もちろん誰でもいいって訳じゃないけど」
「――葉月先輩」
弟が、ぽつりと声を漏らした。
「葉月先輩なら、兄さんはいいの?」
「……ああ。理想的だな。ベストな選択肢だ。男としては、葉月さん以外の選択肢を選びたくない」
「つまり、それは葉月先輩がのしかかってきたら流されるままに抱くっていうことだね」
「そんなの当たり前だろう」
俺は、据え膳食わぬは男の恥、という言葉が嫌いだ。来るもの拒まず、という姿勢が好かん。
だが、葉月さんは据え膳ではない。彼女の味を知ってしまったらそれ以外が劣って見えてしまう、
相手をする気も失せてしまう、というタイプの中毒性の薬物だ。
もちろん味わったことなんかないけど、葉月さんはそれぐらい言っても大げさではない、素晴らしい女性だ。


588 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:43:48 ID:jRR78z+M
「……ふっ、あは、はははっ……ははははは! 兄さん、嘘はいけないよ」
「何だと? 嘘なんか吐いていないぞ」
「また、嘘の言葉を言った。知っているんだよ、僕は」
弟はポーカーでジョーカーを使用するときのように微笑むと、悠々と口を開く。

「兄さんが、本当は葉月先輩を好きじゃないってことを、さ」

言葉を聞いて、カチンと来た。知ったような口を利く弟に対して、怒りが沸いてきた。
「あれ? 怖い顔だね、兄さん。もしかして図星だったりした?」
「お前のその態度がむかつくんだよ。挑発なんかしてきて、そこまでしても俺を怒らせたいのか?」
「ふうん。……その怒りは、何に因るものなの? 単純に、僕の態度に対して起こっているだけ、じゃないの?
――葉月先輩に対する想いを侮辱されたのが原因、ではないんでしょ?」
「ふざけんな! お前に何がわかるってんだよ!」
「なんでもわかるんだよ、僕には。さっき兄さんが自分で言っていたでしょう? 僕と兄さんは繋がっているって。
今日、葉月先輩と話しているときの兄さんを見て確信したよ。兄さんは葉月先輩の外面しか見ていない。
綺麗な黒髪や造りのいい顔立ちや女性として理想的に育った体に欲情して、それが恋だ、愛だと勘違いしてる。
葉月先輩の心のうちや、考えてること、知ろうとしていない。理解しようとしていない。そうでしょう?」
「うるっ……さい。黙ってろ!」

腹が立つ。とにかく腹が立つ。
ここまで怒りに我を忘れそうになったのは、いつ以来だろうか。
覚えていない。こんなやり場のない怒りは初めてだ。
もしも俺の腕が自由だったら――俺は弟の顔面ではなく、自分のこめかみを殴りつけただろう。
どうしてそうしたいのかは、わからない。ただ殴るべきは俺自身だった。そのことが直感でわかる。
忘れろよ。弟はあてずっぽうに言っているだけなんだから。
俺は、葉月さんのことが好き。何度心の中で繰り返しても、その気持ちは変らない。

「ねえ、兄さん」
喋るな。今の俺は耳をふさげないんだからお前の戯れ言を断てないんだ。
「僕は兄さんのことが好き。この言葉を、僕は兄さんに向けて言える。自分に言い聞かせるために口にしたりしない。
だって、もったいないもん。相当昔から心に刻んでいるから、自分に言ったって今更なんだ。
いつどんなときだって兄さんのことが好きってことなんだよ。僕の言ってること、わかるよね?」
「わかるかよ。そんなこと聞かされたって、俺は」
「つまりね、兄さんは自分に向けて、葉月さんが好きだって言い聞かせているんだよ。自分を納得させるために。
そしてそれは、まだ本当の意味で好きになっていないってことだよ、って僕は言いたいんだ」
「…………」 

弟の、俺の感情に対する洞察は、実に鋭かった。
弟の言葉に流されてしまいそうなほど、心に思い当たることがあった。
葉月さんが告白してきたとき、彼女が俺にどんな想いを抱いているか、どんな種類の想いなのか考えようともせず、
昔経験した出来事と照らし合わせて葉月さんを振った。
あの時は、屋上にたどり着く前から、相手が誰であっても振るつもりでいた。
それから色々と、痛みを覚えるようなことをして、ようやく葉月さんの本当の想いを知った。
だけど知っただけで、俺が想いに応えようとしていたかというと、否だった。
俺は、葉月さんが俺にアプローチしてくるみたいに積極的になっていない。
ただ俺は、葉月さんに好意を向けられていることに浮かれているだけだったのだ。
本当に葉月さんのことを好きだったら――屋上での告白だって、真実だと思って疑わなかったはずだ。

「兄さんが女の人から告白されるのを嫌っているのは知ってたよ。
中学時代に兄さんを振って、僕に告白してきたあの女の子が、兄さんにトラウマを植え付けたんだもんね。
それを知っていたから、葉月先輩が兄さんのことを聞いてきたときだって、怒りを抑えられた。
告白は失敗に終わるだろう、って確信があったから。
その後、葉月先輩が家に来て妹と兄さんを投げたとき、僕は喜んだ。これで、兄さんは葉月先輩を嫌うだろうと思って。
けど、そうはならなかった。兄さんは葉月先輩を許してしまった。葉月先輩は、毎朝家に来るほど積極的になった」


589 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:45:08 ID:jRR78z+M
弟は俺の頭を横から挟むように、両手をついた。その体勢のまま、口を開く。
「あそこで、兄さんが僕を助けてくれたのは嬉しかったけど、ああならなかったほうがよかった。
兄さんと葉月先輩がもっと仲良くなってしまうなんて。
葉月先輩に、嘘を言っておけば――兄さんには彼女がいるんだって伝えていれば、こんなことにはならなかったのに」
そういえば、葉月さんは俺に内緒で、弟に俺のことを聞いていたんだったな。
もし、弟が嘘をついていたら葉月さんはどうしただろう。
屋上で告白する決心をつけられなかったか、それさえ無視して告白したか。
いや、葉月さんだったらそれでも告白していたかもしれない。あの人の積極的な性格なら、きっと。
たぶん、俺だったら好きな人に彼氏がいたら断念するだろう。

――なるほど、この違いか。
上手くいかないとわかっていて、告白しない俺と、告白する葉月さん。
相手のことを本気で好きかどうか。
俺は、葉月さんの純粋な強い想いに対して、本気で応えていない。
本当に葉月さんに恋していて、欲しいと思っているなら、今みたいに中途半端な関係を続けているわけがない。
まったくもって、弟の言うとおりだ。後輩の女子生徒たちの視線が語る思いは外れていない。
真剣な想いをはぐらかし続ける俺は、誠実さという点で、葉月さんと釣り合いがとれていない。
もちろん、その他諸々もだけど。

弟は俺と目を合わせたまま、引き結んだ視線のラインをずらすことなく顔を近づけてきた。
視界一杯に、泣く一歩手前の弟の紅潮した顔が広がった。
「もう、あんな失敗は犯さない。いつ兄さんを奪われるかわからない不安に苛まれるなんて、もう嫌だ。
兄さん。僕は我慢するのを、やめるから」
弟のまぶたが微妙に、しかしはっきりと閉じていく。同時に、その顔がだんだん近づいてくる。
逃げようにも、頭は左右から動きを抑えられている。仰向けに倒れた状態では首を反ることもできない。
必然の結果として、俺と弟は唇を重ねた。
最初に感じたのは、弟の唇のふにっとした柔らかさだった。
唇同士が重なり合うことで、相手の体に宿る熱を感じさせられる。
弟は一度唇を離し、また口づける。俺の上唇、下唇を啄むように自身の唇で甘噛みする。
「んん、ん……ふ……ん、はぁ、ぅん……兄さんと、キス……兄さんの唇……」
柔らかい、と弟が言った。俺も、不覚にもそう思っていた。
俺の記憶には、今まで誰かとキスをし合ったというものがない。
つまり、俺は弟によって人生で初めての唇を奪われたのだ。
相手は女ではあるが弟。キスの相手が女であるというのは変じゃない。
妹とするのが初めてというのは、兄妹の仲によっては起こりうるかもしれないがやはりおかしい。
しかも俺の場合、弟的存在の妹である弟が相手だ。
道理に反している。兄妹の仲が破綻している。恋愛のキスなんて家族とやるものじゃない。

体の上で切なげに身をよじりながら、弟は唇をむさぼり続ける。
ついには、舌までが上下の唇の間を割って入り込んできた。
気づいたときには遅かった。歯を食いしばる反応をする前に、弟の舌は俺の舌に絡みついていた。
荒い吐息と、唇が離れたときに漏れる水音と、口腔を舐めとられる音を聴覚と触覚が拾う。
俺の頭は、弟の唇で床に強く押しつけられていた。
逃れようにも、弟の舌は目隠しをした獲物を弄ぶかのように俺の舌を捉えるばかり。


590 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:46:16 ID:jRR78z+M
舌を動かすことに集中していた俺の背中に、弟の左手が回った。
背中から強く押され、弟の体とより密着する。胸の上に不快でない違和感。
それは、人のものにしては奇妙なまでに弾力があった。
この目にしたときに覚えた慎ましさからは想像できないほどの、極上の感触を味わわされた。
その刺激に、股間が反応する。むくむくと欲望がもたげてくる。
女を知らない俺にとって、弟の持つ女性の体は、未知のものだった。
自分の体とは全然違う。この柔らかさはまったくの異質なものだ。

下腹部に冷たい手の感触があらわれた。だんだん足の方へ下っていくもどかしさに肌が粟立つ。
自然と、弟の手は唯一身につけていた下着へとたどり着いた。
唇をむさぼっていた弟の動きが止まる。代わりに手探りで下着をずらされていく。
固くなり出した性器がむき出しになったところで、冷たくて小さい指先の感触に撫でられる。
弟の顔が離れる。ただし、すぐにでもキスできそうな間を空けて。
「あ……本当に、熱くなるんだ。僕のキスとおっぱいで、兄さんが興奮してくれた……」
「……もう、やめろ。こんなことしたって、なんにもならない」
「意味はあるよ。もちろん。兄さんが興奮したら、その分僕だけを見てくれるようになるから。
最中だけは他の女の人を忘れてくれるでしょう? それは、男扱いされてきた僕にとって一番嬉しいことなんだ。
女として見られてこなかった反動だよ。……兄さんには、責任をとってもらわなきゃ」

弟の指が、一物を根本から先端へとなで上げていく。
先へ行くにしたがって切なくなり、物足りなくなる。
端へ着いたところで最も気持ちよくなる――が、そこで指が離れて、不満を覚える。
弟は俺を焦らしていた。指の動きに合わせて小さな反応を返す俺の体の上で、満足げに微笑んでいた。
「気持ちいい? 気持ちいいよね。ほら、さっきよりも固くなって、大きくなってるもん、ね。
それに、暖かいよ。ここから、兄さんの子種がいっぱい出てくるんだね」
「いい加減にどけよ……重いんだよ、お前の体は」
俺にはこれが今できる最大の暴言だった。言葉が見つからない。
案の定、弟は止めるはずもなく、とうとう俺のものを手で包み込んだ。
身をゆだねてしまいたくなる快感を、痛みの残る腹と肛門に力を入れて抑え込む。
ここで達するわけにはいかない。一度でも達してしまったら、そこから終わっていってしまう。
兄としてのプライドも、弟のリミッターも。そんなことぐらい、経験がなくたってわかる。

弟にも経験がなかったのか、幸いにも擦りあげる動きは稚拙そのものだった。
強めの力加減、手を触れさせる箇所、ゆっくりな上下の運動。頭は冷静さを取り戻し始めていた。
弟の顔色に疑いの色があらわれた。
「さっきより、柔らかくなってる……? なんで?」
「そんなやり方で、俺を達せさせるなんてできるわけがないだろ」
「じゃあ、いいよ。やり方を変えるまでだから」
そう言うと、急に手の動きを止めた。
代わりに、体を浮かせて体位を入れ替えた。
頭は俺の下半身へ。下半身は俺の頭部へ。
「お前、何を……? まさか……」
「ふふふ、ふふ。兄さんの、だ……。僕の兄さんの、兄さんのもの……」


591 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:47:06 ID:jRR78z+M
先を、舐めあげられた。
続けて鈴口を割り、舌が尿道の入り口から入ろうとする。
見ていなくても、弟が肉棒を舐めているのがわかる。
ペニス全体をまんべんなく刺激する舌は、弱点を探そうとしているようだった。
「やめっ、ろ……きもち、わ、る…………くぁ……」
ぴちゃぴちゃ、という卑猥な音が止まり、弟の声が聞こえてくる。
「嘘ばっかりだ、兄さんは……口ではそう言ってるのに、下半身は正直……んん、おいしい……」
間断なく、舌が動く。敏感な部分が反応して、びくびくと震える。
「わ、動いた……すご。もっと、もっと……」
弟は舌を動かしながら、腰もせつなげに捩っていた。
白くてしみのない太ももと尻、水気によりわずかににじみを見せるショーツ、全てが目の前にある。
一度も目にしたことのない、女の部分が息のかかりそうなところにまで来ている。
その自覚が、容赦なく肉欲を盛らせ、下半身を疼かせる。
「先っぽから……ねばねばしたのが出てるよ、兄さん。これが精液……じゃないよね。精液なら白いはずだもん。
まだ、もっともっと……いっぱい、いっぱい……」

肉棒を舐める舌の動きがさらに活発になる。それに合わせて、腰まで激しく揺れる。
はずみで、顎の先が弟のショーツに触れた。
「! ……っは、あ……?! な、何したの、兄さん……今、僕のあそこを……」
途切れ途切れだった弟の声がさらに小さくなる。
感じているのか……? 軽く触れただけで?
「もっと……して」
ねだるような、女の声。
「触って……いいよ。僕は今の……気持ち良かった」
「いや、今のは」
お前の方からぶつかったんだ、と言おうとしたら、口を塞がれた。弟の手によって、ではない。
口の上に、濡れたショーツが乗ってきたのだ。弟が自ら腰を下ろしてきた。
「ふぁ……あぁ、ああ……これ、だめ…………駄目になっちゃう……でも、いい、よ。
僕の恥ずかしい部分、兄さんの好きにして……」
俺は何もする気はない。そう思っても、口は開けない。
首を振っても弟には見えないだろうし、何よりそんなことをしたら弟の思う壺だ。

鼻で呼吸しながら、舌でペニスを舐められ、濡れた秘所を顔に押しつけられる状況に耐える。
だが、バランスが崩れた。俺の忍耐力に限界が見え始めた。
裏筋に舌が這うだけで、カリをなめ回されるだけで、体の奥から波が寄せてくる。
「兄さん、また……大きくなったよ? ねえ、どうしたの? もしかして、出そう?」
その通りだ。だから、早くこの状態を抜け出さなくてはならない。
足でもがく。しかし、弟の手が邪魔でどうにもならない。体をひっくり返すことも不可能。
頭は弟の太ももに挟まれたままで、動かせない。
それでも抜け出せるかもしれないと考え、首を捻る。
「あっ、やっ……兄さん、な……にするのぉ……やあ、ぁ……」
無駄な動きだった。ただ弟に切ない声をあげさせるだけ。
「や、や……きてる……あ、だめ! だめだってば! 我慢、してっ……」
弟の声が大きくなった。太ももの力が、一層強まる。限界が近づいているように、見て取れた。
それでも、弟は口に含んだ肉棒を放さない。それどころか、でたらめに舌が動き出した。
滅茶苦茶なその動きは、今の俺の気分をあらわしているよう。
出したい、楽になりたい、という思い。絶対に何があっても我慢しろ、という考え。
両者のせめぎあいは、本能の勝利に終わってしまった。
もはや俺のペニスの律動は、抑えられるような状態ではなかった。


592 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:47:49 ID:jRR78z+M
先端から、勢いよく精液が迸る。
弟の口内に入り込んでいたため、白濁した液体の全てが中へと吐き出された。
「ん、んん、んーーーーーーーーーっ!」
遅れて、弟も達した。
ただでさえ初めから濡れていたショーツが、さらに湿り気を増す。
俺の顔は弟の愛液ですっかり濡らされていた。
精液を吐き出したことで少しだけ冷静になると、部屋が静まりかえっていたことに気づいた。
静寂に、水を吸い上げる音と、喉を鳴らす音が響く。すぐに消えて、頭に音の輪郭だけが残った。

弟はしばらく脱力して動かなかった。俺も、疲労とは別の理由で動かなかった。
兄妹で卑猥なことをしてしまったという、取り返しの付かない罪悪感と慚愧が沸いてくる。
体が軽くなった。弟が体を浮かせて、また向きを入れ替えたのだ。
腰の上に乗った弟は、唇の端を右手の指で撫でていた。

「兄さんの精液、飲んじゃった。口の中のも、こぼしそうになったのも、全部」
「……そうかよ」
「気持ちよかったかな? ……気持ちよかったよね。僕も一緒にイって、とっても気持ちよかった」
「射精に快感が伴うのは当然だろ。生理現象だ。別にお前が相手じゃなくても、あんなことをされたら、ああなる」
「つまり、僕にされたから射精した、ってことだよね」
「……」
口惜しいが、そういうことになる。
「じゃあ、兄さん。もっと、気持ちいいことしよう? 二人で、繋がろうよ。本当の意味で」

弟はその場で立ち上がると、ショーツをおそるおそる脱ぎ始めた。
露わになった弟の秘所には、当然のように男性器などついておらず、ただ少なめな毛があるだけだった。
最初に左足から、次に右足から。下着をまで脱いだ弟は、まさに生まれたままの姿だった。
細い肩と腕、膨らんだ胸、くびれたウエスト、弱そうな腰まわり、すらりとした脚。
不覚にも見とれていた自分に気づいた俺は、右に視線を向けた。
「今の兄さんの顔。すっごく良かった。女の子を見る目で僕を見つめてた。
ずっと、そんな目で見て欲しかったんだ……小学生の頃から、今まで。五年以上の間、ずっと」
「……悪かったとは思ってるよ」
「今さら謝られても遅いよ。もう謝っても許してあげない。――僕を抱いてくれるまで、絶対に許さない」
そう言うと、弟は俺の体の上にまた乗ってきた。
膝を床につき、俺の胸に右手をつき、体を起こす。
左手が、肉棒を掴んだ。
未だに衰えていなかった肉棒の先端が、濡れそぼった弟の――淫裂に触れた。
「お前……それは駄目だ! 絶対に!」
「ふふふ、ふふふふふ……っはは。遅いよ。兄さんは何もかも遅い。
僕の正体に気づくのも、僕の思いに気づくのも。無防備すぎるよ……兄さんは」
「頼む! それ以外ならなんでもしてやる! だから、やめろっ!」
「だからぁ……もう手遅れなんだよ。兄さんが今まで僕にしてきたことの、罰さ。
それじゃあ…………挿れるよ。兄さん」

秘所に肉棒が飲み込まれていく。
きつい入り口をペニスがこじ開けて、緩やかに弟の体を貫いていく。
「あ、あ、あ、あ……僕の中に、兄さんがあ……はぅ……、刺さっていってる……」
途中、先端部分に何かが当たる感触がした。
それがいったい何であるのか、女性にとってどれほど大切なものであるのか、俺は触りだけであるが、知っていた。
なのに、弟はそんなことはなんでもない、というふうに微笑むと、急に腰を沈めた。


593 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:49:07 ID:jRR78z+M
「う、ぅああああああああ、ああ、あああっ!」
女の体をした弟は、背中を仰け反らせながら、絶叫した。
首を持ち上げて下半身へ目を向けると、俺と弟の体は隙間も無くぴったりとくっついていた。
俺のペニスは、弟の体を貫いていた。真っ赤な血が、俺の腰と弟の腿を濡らしていた。
超えてはならないラインを、俺と弟はあっさり踏み越えていた。
「……ああ、気持ちいい……頭がヘンになりそうだよ。こんなに、兄さんに犯されるのが気持ちいい、なんて」
「お前、自分が何したか……」
「知っているよ、もちろん……兄さんに処女を奪ってもらった。抱いてもらってるんだ……今の、僕、は。
は、ああぁぁぁぁぁ……もう、痛くないから。動くね。兄さんも、好きなだけ突いていいから」

水音と共に、弟の腰が浮く。離れるとき以上に大きな音を立て、腰が落ちる。
弟から動くその行為は、言うなれば逆レイプのようなものだった。
押し倒され、唇を奪われ、性器を舐められ――貞操を失った。
初めてする相手が誰、とは決めていなかったけれど、まさか弟、しかももとは妹だった人間とするなんて。
もうめちゃくちゃだ。思考も、欲望もぐちゃぐちゃで、体までぐちゃぐちゃで。

――いいや。なにもかも。
俺が悪いんだ。今まで妹のことを弟だと思いこんでいたのが悪いんだ。
弟を、いや、妹を気持ちよくさせてやろう。
俺の腰の上で卑猥な笑みを浮かべている女は、俺が欲しいんだ。
望むものをあげてやりたい。
腰は動く。ほら、こんなに簡単に。
「ふっ!? あ、ひゃあっ! に、さん……急に、しちゃだめ……だめぇ……僕、感じやすいの……に。
は、やぁ、ひぃん、あぅんっ、ひっ……い、やぁぁぁぁぁ…………」
ああ、この女は、気持ちがいい。
どうして今まで放っておいたんだろう。こんなにいい体を持った女を。もったいない。
俺は馬鹿だ。妹だと知っていたら、もっと早くに手をつけていたのに。

「い、く……いくいく、い、ひぃぃぃぃいん……」
「出すぞ。いいな」
こんな台詞、妹に言うべきものじゃないだろ。
ああ、でももう、遅いな。
こいつの言うとおり、俺はなにもかもが――遅い。
「うん、うん! 赤ちゃん、産むから! っふ、ああっ! 兄さんの、子供、欲しいからあっ!
だめっ! も……ぅ、あああああ! イク、イクっ! ああ、ああああああぁぁぁぁぁぁっ!」
自分がなにをしているのかわからなくなるほどに、絶頂した。同時に、妹も。
迸る精液が、肉棒がたどり着けないその奥までも犯していく。
俺は、妹を抱いてしまった。
近親相姦を認めないという考えを持っていたのに、そんなもの、いざというときには何の役にもたたなかった。
もう俺は、兄貴失格どころか人間として失格だ。
このまま、堕ちていってしまえばいい――――――――。






594 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:51:56 ID:jRR78z+M
*****

「兄さん! 兄さん! 起きて!」
「む……?」
後頭部に感じるのは固い床の感触。腰から背中へ向けて流れ込むのは室内の空気。
そして目の前にいるのは、同級生の女子に大人気のプレイボーイである弟であった。
「大丈夫? うなされたりごめんなさいって謝ったり嬉しそうに笑ったりしてたけど」
「ん……ああ。平気だ」
「本当に? どこか体が悪いんじゃ」
「心配するな。寝てただけだ……っと、ここ、どこだ?」

床にあぐらをかいて周囲を観る。
洗濯機、洗濯かご、タオル専用の小型タンス、足ふきマット、バスルームへ続くドア、などがある。
ふむ。ここは我が家の脱衣所らしい。
俺は、どうしてこんなところで倒れていたんだ? これじゃあまるで弟みたいじゃないか。
いや、弟は誰かに眠らされたんだったな。
「いつまで経っても来ないと思ってたら、兄さんが床に頭をぶつけて気絶してるんだもん。びっくりしたよ」
「そうか……。いやなに、気にするな。どうせなにかで転んだだけだ」
「なら、いいけど。気をつけてね」
弟が困ったような顔で笑う。
相変わらず中性的な顔をした野郎だ。まるで女の子――――だ、って。

「う、ああ! うわあああああ!」
「ちょ……兄さん?」
「おま、近づ、何が目的、だっ!」
「……大丈夫じゃなさそうだね。今日は寝た方がいいよ。風邪ひいたら面倒だっていつも兄さん言ってるでしょ?」
「そ、その思いやりの心! 誠かっ! 何か隠しているのでは?!」
「隠すことなんか、特にないよ。僕にはね」
「嘘を吐け! お前が! 本当は――」
女だって事を俺は知っているんだぞ!
「言え! 白状しろ! お前は一体誰が好きなんだ! 正直に言わねば、殴る!」
「え? えー……っと」
弟が俺から目を逸らして、頬を掻いた。
この、はっきりとしない態度。もしかして……正夢?

「妹じゃ、ない」
「……おう」
それは知っている。
「葉月先輩や、同級生の子たちでもない」
おいおい。それ以外で、お前が好きになりそうなやつなんていないだろ?
「まさかお前……男が」
「それはない。絶対にないよ」
毅然とした態度で言う弟だった。
もしこの台詞が嘘だったら、こいつの文化祭での衣装は悪の組織側のやおい大好き副官にしてやる。

「うん、ヒントをあげるよ。ひとつめ、年上の人。ふたつめ、同じ学校の女の人。みっつめ、兄さんも知っている人」
なんだそれ。ひとつめとふたつめなら二年女子、三年女子、女教師、ということになる。
けど、その中で俺が知っている人間となると……俺のクラスの担任になるじゃないか。
こいつ、文学オタで年増で博識な失言家が好きなのか。
妹以外の女なら誰でもいい、って昔の俺が言ったかもしれないけど、あの担任だけはやめとけ。
「ま、ともかくお前は男が好きなわけじゃないんだな」
「当たり前でしょ」
「そうか。……よかった。その言葉を、俺はずっと待っていた……!」


595 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:53:42 ID:jRR78z+M
心の中で感涙にむせぶ俺の横で、弟は首を傾げていた。 
「変なの。あ、そうだ。もう妹は帰ってきてるよ」
「早いな。遅くなるんじゃなかったのか?」
「うん。僕も気になったから聞いてみたら、途中で抜け出してきたって言ってたよ。
帰り道で冷えたから、ご飯より先にお風呂に入りたいとも言ってた。いいかな? 先に入って」
「ああ。いいぞ。俺は先に飯を食べておくから」
「ん、わかった」

弟はきびすを返して脱衣所から出て行こうとする。
ふと、思いついたことがあったので、弟を呼び止める。
「なあ、一言、言っていいか?」
「いいけど。何? 改まって」
「ああ。あのな……」
お前は本当に男なのか? と、聞いていいものだろうか。
あんな夢を見てしまった今の心境では、是非とも確認しておきたい。
しかし、どんな手段で弟の股間にアレがついているということを確認すればいいのだろう。
もし直接触って、真っ平らだったりしたら……俺は立ち直れないかもしれない。
何か、弟の体に触れることなく、それでいて最悪の場合だった時に受けるダメージが少ない、そんな方法はないか?
風呂に入っている弟の体を覗き見るなんて冗談でもやりたくない。家族にばれたら冗談という言い訳じゃ済まない。
弟に軽蔑され、両親に見放され、とどめに妹に凶器を向けられてジ・エンドだ。
一言でいい。一発で男であると確認できる一言があれば。

「後でもいいかな。妹を呼びに行かなきゃ」
「ああ、ちょっと待ってろ」
腕を組み、首を前に倒し、床を見つめながら眉をひそめて考える。
アレのことを考えていたので、ついつい自分の股間へと目がいく。
そうか――これがあったか。
「おい、チャックが空いてるぞ」
どうだ。これなら、さすがに男なら反応せざるをえまい。
「あはは、やだなあ、兄さん。僕をはめようっていうんなら、もっと上手いこと言わなくちゃ。
僕はチャックだけは閉じ忘れないよう、確認を怠らないんだから」
「え……おい、あれ、れ?」
この反応は、どうとればいいのだ?
慌ててチャックが閉じているか確認しないから、アウト?
それともチャックを必ず閉じる、つまり人並み以上に意識しているからセーフ?
「終わりなら、僕は妹を呼びにいくよ? いい?」
「あ、ああ。悪かったな、変なこと言って」
「いいって。じゃね」
弟は脱衣所の扉を開けて廊下へと出て行った。今度は、俺は呼びとめなかった。

あれは、夢……だよな?
でも、やけに弟の言葉には説得力があった。
俺が葉月さんに抱いている気持ち。
告白しないのは、勇気がないからではなく、本当に好きになっていないから。
本当に好きになるって、どういうことなんだ?
自分で自分に対して、俺は葉月さんが好きだ、と言い聞かせるのとは違うんだろう。
俺だって、それは違うと思う。

葉月さんの想いに応える方法。俺はそれを見つけられるんだろうか?
見つけられるまで、実践できるまで、葉月さんは俺のことを好きでいてくれるのだろうか?
あ――違うか。相手がどう思っていても、自分の好意を伝えるのが好きだってことなんだもんな。

「葉月さんのこと、好きになりてえなあ」

もう二度とあんな夢を見ないために。なにより、葉月さんのために。
今日は、ご飯を食べて風呂に入って、早めに眠ろう。


596 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/12/01(土) 06:54:54 ID:jRR78z+M
という感じです。
>>512氏の話を聞いて思いつきました。
長くてすいません。

では、また。

597 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 07:10:49 ID:YAmgIDVu
超GJ!

598 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 07:36:17 ID:uZEciyex
>>596
ちょwwwこれはwww
NGワードでオチ分かってたけど途中でモーニングコーヒー吹いたwww

599 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 07:36:38 ID:D+CNLM3D
>>596
GoodJob!!
兄さんの最後の一言がなぜかは知らんが心に響いた。

>>568
蝶ネクタイを着けてみたら
首もとが暖かくなった気がするようなしないような感じなんだぜ。
シルクハットと付け髭は給料入ったら買いにいってくるよ。

>>572
貴方のやさしさに全俺が泣いた。

600 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 08:04:53 ID:916X6SK5
>>596
GJ!
女体化ってのは苦手なんだけど、読みながらずーっとニヤニヤしてたw
面白かったですよー

601 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 09:50:27 ID:hAeEk25N
>>596
弟が妹というのは予想GUYですた
そして完全には否定せずに含みを残してるところ、いい味出てます

602 名前:512[] 投稿日:2007/12/01(土) 12:57:50 ID:FFE/d49P
>>596
ありがとう! ありがとう!
ヤバい。夢落ちでも嬉しい
GJ!

603 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 13:47:41 ID:DEsJRDt3
>>596
いいな、このシリーズで一番よかった
こういうのって、話の最後に実はあれは本当では・・・?みたいな終わり方がよくあるし
ボーイッシュな女の子が大好きな俺にはクリーンヒットだぜ

604 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 13:58:03 ID:2Ge+NiFc
自分は逆にお兄ちゃんは傍観者でいて欲しく、弟に群がるヤンデレを楽しみたい方だから、
どちらともとれる番外編で嬉しかった。
どちらにせよ、GJ!

605 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 21:07:19 ID:6RGZ0pze
GJ!……って、なんばしよっとかきさん!(博多弁)
いやー堪能させてもらいました、本編の続きも期待してます。

606 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 21:31:32 ID:dIsmIAvi
未来日記の由乃はヤンデレ?

607 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 21:45:37 ID:mNeJxpnq
超ヤンデレ

608 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 22:02:25 ID:hDlCREXK
ヤンデレの教科書みたいな奴じゃないか
まぁ『未来日記』は、まだ完結してないから
今後、評価が変わるかもしれないけど

609 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 22:41:34 ID:Cgx1ijTy
確実にヤンデレなんだが、依存成分も大量に含んでいるよね。

610 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/02(日) 00:28:27 ID:JzYQw/N7
そんなに病んでないお姉さんかもしれません。
初投下です。よろしくお願いします。




611 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/02(日) 00:30:19 ID:JzYQw/N7
鏡の向こうの自分は、自分と同じ顔をして、自分と同じ行動をする。
私が笑えば笑うし、私が泣けば泣いて、私が怒れば怒る。
私と同じ顔をした私は、それでも別人。


「みなきはこうたくんを甘やかしすぎじゃない?」
友達が笑いながら言う。
「まあ、浩太くんくらいカッコいいと自慢でしょう?」
友達が笑いながら言う。

だから、笑いながら私も答える。
「うん、すごいでしょう。私よりしっかりしすぎてるから、心配なんてしないけど」
と。

白石 浩太は、私の従弟。でも、本当は、弟。
お母さんは、姑であるお祖母さんと争って負けて、お父さんと離婚した。私が3つの時。
その時、お腹にいたのがこーた。
お腹の中のこーたが男の子とわかった時に、お母さんは、絶対、お父さんのお家に知られない
ようにしようと決心した。
お父さんのお家は旧家で、お父さんは長男だったから、知られたら、絶対に姑にとられてしまう。
だから、自分のお兄さん夫婦に相談して、お兄さん夫婦の子供として籍に入れてもらった。
だから、こーたは私の従弟。子供のできないお兄さん夫婦は、こーたを自分の子供として、
可愛がって、可愛がって育てた。
家が近かったから、私達は、ずっと一緒にいた。
お母さんが死んでからは、1年だけだけど、一緒に暮らした。
でも、私が高校生、こーたが中学生になるまで、私達はお互いを姉弟だと知らなかった。

知っていればよかった。従弟だって思ってたから、ずっと…。
最初から姉弟だって知ってたら、きっと、こんな思いは抱かなかった。

612 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/02(日) 00:31:25 ID:JzYQw/N7
こーたが東京の大学に入学した時に、叔母さんから、こーたと一緒に住まないか、と言われた。
イヤだった。
こーたと一緒に暮らすなんて。こーたが毎日私の側にいるなんて。
弟なのに側にいるなんて、ずっと見るだけなんてつらすぎる。
でも、私は、東京の大学に進学していて、もう大学院への進学も決まっていた。
お祖母ちゃんとお母さんの残してくれたお金はあるけど、それでは足りない。
優しい叔父さんと叔母さんには、いっぱい迷惑をかけている。
仕送りの問題もあるし、私にそれを拒む理由なんてなかった。

私とこーたは一緒に住むことになった。3年ぶりに会ったこーたは、背も伸びて、信じられない
くらいにカッコよくなっていた。
こーたは優しかった。たまに友達と飲みに行く時以外は、私の料理を食べるために、毎日早く
帰ってきてくれた。友達と遊びに行く時も、必ず連絡をくれて、どんなに遅くなっても家に
帰ってきた。
「水樹一人だと、危なくて心配だから」
なんて言われた時には、嬉しくて死にそうになった。

でもわかってる。それは姉だから。
叔母さんが言っていた。こーたは私のことが小さい頃から大好きで、姉だと知ったときには、
本当に喜んだって。
こーたの「大好き」は「きょうだい」としての大好きなんだ。
私と一緒に住むのが嬉しそうなのも「姉」との絆を深めたいからなんだ。
だから、私は、大好きなこーたのために、ずっと「優しい水樹お姉ちゃん」でいる。
世話焼きで、ちょっとドジで、こーたが大好きで優しい、普通のお姉さん。
こーたに恋人ができたって、こーたが結婚したって、ちょっと泣いて喜んであげる、普通のお姉さん。
でも、今だけ夢を見させてね。毎日、料理を作って、お洒落をして、こーたに甘えて、世話を焼いて
あげる。お弁当だって作る。朝は優しく起こしてあげる。
まるで、恋人みたいな生活を、楽しませてね。


613 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/02(日) 00:32:51 ID:JzYQw/N7
こーたが酔って帰ってきて、ソファで寝ている時も、そっと毛布をかけてあげる。
こんな時は、本当は苦しい。
触りたいな、キスしたいな。こーたは眠っているから気づかないかな、といつも迷う。
でも、こーたが気づいたら、姉でもいられなくなってしまう。
だから、頭だけ、優しく撫でる。我慢する。ずっと、ずっと、撫で続ける。

あ、でも、頬ならいいかな。頬を撫でるくらい、姉でもするよね。
ゆっくりと、こーたの頬をなでる。すべすべしてる。男の子だから、ちょっとあぶらっぽいかな?
ゆっくり、顔を撫でる。小さなニキビが額にある。耳たぶも柔らかい。
唇に、ちょんと人差し指を当てて、我慢した。あんまり唇をゆっくり撫でるのは、姉じゃないよね。
顔だけじゃなくて、手とか、肩とかも、いいかな…。大丈夫だよね。変じゃないよね。
頬からゆっくりと肩へと手を滑らせる。細くてスタイルがいいけど、がっしりしてるんだ…。
肩をゆっくりとさすって、迷いながら、胸へと手を滑らせる。愛撫するようにではなく、ただ
確かめるだけのように、ぺた、ぺた、と触る。これなら、変じゃないよね。大丈夫だよね。
お腹をパンチするように小突いて、わき腹へと抜ける。くすぐったら、起きちゃうかな。ふふ。
ちょっとだけ、声が出ないように微笑んで、そのまま、手を握る。
ぎゅっと握ってから、指と指の間をゆっくりと撫でる。手の甲に指を滑らせて、もう一度、ぎゅっと
握る。
顔を、ゆっくりと手に近づけて、ほお擦りする。少し、変かな…。でも、お母さんも、小さい頃
こうしてくれた気がする。じゃあ、大丈夫だよね。
両手でこーたの手を握って、顔をあげ、こーたの肩に近づける。このままだと、ぴったり寄り添う
形になる。
そうしたい。でも、駄目。
こーたにキスしたい。でも、駄目。自分の息が乱れているのが、わかる。もうやめないと…。
ゆっくり、こーたを起こさないように手を離すと、立ち上がる。足早に自分の部屋の扉を開け、
飛び込む。
息が荒い、全力疾走したときみたいにハアハアしている。
こーたに触れた手。これがこーたならいいのに。
こーたの手が、私の体を触ってくれたら、私の手を肩を胸を全てを触ってくれたら…。
「ん…ちゅ…」
自分の手をゆっくりと舐めてみる。こーた、こーた…こーた…。
その手で自分の胸を触る。乳首をころころと弄ぶと、それだけで声が出そうになった。
クリトリスがじんじんする。私はまだ処女だから、中までは怖くて入れられないけど、ここの
快楽はすでに自分の指で知っていた。
こーたの指だったら…こーたが、私のここを、ゆっくりと触って、こんな風に…愛液を絡めて
ゆっくりと触ってくれたら、ああっ、ゆっくり…ゆっくり…ああ駄目、声を出しちゃ駄目、でも
ああ、溶けそう…こーたの指が、こーたに触れた指で、こんなことしちゃいけないのに、いけない
のに…。


ごめんね、こんなお姉さんで。でも、姉でいるから許してね。
そう思っていた、あの日までは。


「水樹、久しぶりだね」
こーたが、家に連れてきたのは、こーたのバイト先で一緒になったという、私と同じ顔をした
私じゃない女性。
21年間会っていなかったけど、すぐにわかった。
みずき。
高崎 瑞希。
だって、私達は、一卵性双生児だから。

614 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2007/12/02(日) 00:35:46 ID:JzYQw/N7
以上です。
コンセプトとしては、常識との狭間で悩むヤンデレお姉さんということで。

615 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 00:53:06 ID:hY1MIFqz
超GJ!!
もうこの時点で萌え死にそうなのに
双子姉の登場でwktkが止まらない。

616 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 00:57:08 ID:Boz6sSRd
>>614
GJ!!


617 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 03:00:59 ID:+7fk5EaB
ラノベの作家目指しています。下のスレに感想ください。

【ラノベ】自分の作品を晒し感想を貰うスレvol.7
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1194683066/

【アドレス】 http://wannabee.mine.nu/uploader/files/up1156.txt
【ジャンル】 殺殺殺痛痛痛殺殺痛殺殺殺痛殺殺痛殺痛痛痛痛痛殺殺殺殺痛
宜しくお願いします。

618 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 11:58:30 ID:7pWdJkPs
昔週間ストーリーランドで
ヤンデレの彼女が彼氏の腕斧で叩き斬っちゃう話あったなぁ…

今思うと時代先取りしてたな

619 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 12:10:08 ID:MPKr3J+8
週間ストーリーランドおもしろかったな

620 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 12:54:32 ID:0oW1eNWv
あれ、もう473KBか。
次スレ立ててきますよ?

621 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 12:58:54 ID:0oW1eNWv
立ててきますた

ヤンデレの小説を書こう!Part12
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196567848/

622 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 13:01:29 ID:MPKr3J+8


623 名前:このお姉さんはヤンデレ?[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 13:05:32 ID:sMTf3PYX
>>599

「もしもし、警察ですか?路上で全身タイツの>>599が股間をもっこりさせてます素早くタイーホしてくれ!」

「把握」

パトカーがきますた。

「やべぇ、逃げなきゃ!っうわ!?」

タイツマン(>>599)はいきなり腕をつかまれ路地裏にひきこまれる。

「なんだ?」

腕をつかんでいたのはショートヘアーのお姉さん巨乳だ。

「あなたのもっこりに一目惚れしたわ、守らせて」

腕にしがみつかれて胸があたって話に集中できず適当に相づちした。

「わ、わかった」

当然もっこりはスーパーモッコリンに変身、お姉さんもそれに気付くとうっとりした顔で

「ハァハァ、ねえ私と良いことしない?」

「喜んで!」

と、いきなり警察に見つかる。

「見つけたぞ!タイーホする!」

すると何かがブチキレル音がした。お姉さんがキレたのだ。

「こんの糞ポリが――!!」

そのポリたちは全員皆殺しさらに増員逃げながら邪魔するやつらは皆殺しにされた。お姉さんは血だらけ>>599はひたすら萌えて(*´д`)ハアハアしていた。
おわり

624 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 13:21:23 ID:0oW1eNWv
>>623
ただDQNでビッチなだけではないか。

625 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 13:52:37 ID:Mjgo5433
>>614
|ω・`)b GJ!
この姉、焦らしプレイとは・・・やるな
どう病んで行くのか楽しみにしてます

626 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/12/02(日) 14:59:11 ID:zJbpD5RI
ヤンバカねぇちゃんの続きも見たい
あんなヤンデレなら付き合いたい

627 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 15:19:00 ID:9VkwD3Bz
>>619
藤子Fのモロパクリが出てきて吹いた記憶がある

628 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 21:41:13 ID:WtQldRkP
美川べるの先生の『学園天国パラドキシア』を読んでいたら用語解説で。
ヤンデレ:病んでるデレ。サイコさんすら萌えの対象となる、この業界の懐の深さよ。
と、あったんだがヤンデレって=サイコなのか?
教えて偉い人。

629 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 21:49:05 ID:Bm3lPaQ3
サイコさんも含む、って意味と解釈すればいいんじゃないか。
実際サイコさんなヤンデレ娘だっている訳だしさ。

630 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 23:50:30 ID:XGJ1B+eh
サイ姑クラッシャー!!

631 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 00:27:49 ID:1D32OzRw
>>628
俺もそれが気になった。
ミカベル好きなんだけどね。

632 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 08:42:13 ID:Os24RyBN
ヤンデレお姉さんがショタを拉致監禁する話みたい

書くか?俺

633 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 10:33:26 ID:lZMg7uNp
どうぞどうぞ

634 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 11:31:37 ID:f4xl4rKw
ヤンドジマダー?

635 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 15:08:27 ID:PIAMpt06
>>465
亀レスだけどGJ!
愛ゆえに病む、基本に立ち戻った名作でした

636 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/04(火) 14:25:03 ID:14wAmf49
今日、ヤンデレに追いかけられる夢を見た。しかも、2回目。どういうことだろう。

637 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/04(火) 16:18:40 ID:PXP7NpQ5
>>636
ヤンデレの女の子を二股したいとゆう願望さ

638 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/04(火) 16:39:30 ID:hk7Q8nkP
なんという迂遠な自殺願望。

639 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/04(火) 16:47:47 ID:hGGlq5i1
しかし刺される瞬間つい(・∀・)ニヤニヤしてしまった>>636であった

640 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 12:43:40 ID:WOJJiBgU
>>638
その前に女VS女の壮絶な血みどろ&修羅場が

641 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 18:39:42 ID:yk6c4yEG
636だけど、2回とも同じ娘だったよ。次見るときは、殺されてしまうのだろうか。

642 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 19:53:21 ID:0JNnIq+C
三度目見るときは刺されて死んで
現実じゃ心臓麻痺とかで死んでしまうんだよ

643 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 20:54:13 ID:xi7MXefz
しかし胸には傷跡が…

644 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 21:08:38 ID:yk6c4yEG
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

645 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 21:58:58 ID:ksmzNDx2
つまりヤンデレ夢魔ということか……これは新しい!

646 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 22:15:01 ID:QOukftdQ
そこへ 修道院に入ったはずの妹が……!

647 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 23:09:55 ID:WOJJiBgU
埋めるためにもヤンデレ女を二股する男の話を誰か書いて欲しい
ちなみに俺には無理だ(´・ω・`)


648 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/06(木) 16:40:03 ID:JX8wSKgJ
無理じゃないだろ、お前がヤンデレ女と二股しているところを脳内シュミレーションしてみろ。

649 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/06(木) 21:48:52 ID:EtQZh+DO
>635
感想有難うございました、時間はずれていましたがとても嬉しかったです。
というわけで、うれしいがてらに月輪に舞うの弧太郎を描いてみました、急ごしらえの上に下手
な絵ですがよろしかったら見てください。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org8191.jpg.html

650 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/06(木) 23:27:16 ID:JX8wSKgJ
乙!

651 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 13:01:00 ID:fhqEA2cU
>>648
妄想できてもそれを文章にできなきゃ意味ねえんだよ(´;ω;`)

652 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 15:23:17 ID:0vFUe6EJ
上手く抽出するんだ!
出来ればシュミレーションするのではなく実際にヤンデレと触れ合ってだな(ry

653 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/08(土) 04:46:09 ID:nPE9JFOx
未だにシミュレーションをシュミレーションと誤読まま
居るのは相当アホなIME使いの証拠

654 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/08(土) 11:16:35 ID:tG+LNY3E
>>652
身近にヤンデレ居ねえよw
ヤンデレの薬欲しいな…

655 名前:ヤンデレの薬[sage] 投稿日:2007/12/08(土) 12:16:08 ID:PIiB+h1R
「つ、ついに出来たぞ…」
俺は薬学部の6年生。卒論も落ち着いたしなんだか面白いことはないかなと思って
ヤンデレの薬なるものを開発した。
理論はあかせないが、是を飲んだ女の子はたちどころにヤンデレになる。
あとは臨床をするだけ。ちなみに中和剤も同時に開発した。
これを友達の彼女に飲ませて、あとは楽しむことにしようか…
ふふふ、あいつがこれから困る姿を想像するとにやけてしまうぜ…
どうなるのかな…リアルで空鍋とか見れるのかな…
そうかそのためには誰かけしかけないと…
俺の頭の中では壮大なドッキリ大作戦を遂行するかのような感じで考えていた。
そう、これは壮大なドッキリなのだ。そう考えると悪いなという意識が薄れていくから恐ろしい。
「修君ー♪」
「うお、加奈かよ…」
俺の彼女加奈。すんごい可愛いがちょっと天然すぎるところがある。
だが勉強で疲れた俺を癒してくれる自慢の彼女さ。
「あれれー修君なにしてたの?」
「うん?ちょっと暇だったからね、将来のためのお勉強」
「へー新しいお薬」
「そー言うこった。ま、学生の作ったものだからな、効果とうは保障しないがな」
「どういう効果が出るの?」
「相手のことがたまらなく好きになるんだ。もう周りが見えなくなるくらい」
「飲むー♪」
そういうと加奈は薬(が溶けた液体)が入ってるビンを音速と見まごう速さで掠め取り、
おれが止める前に…飲み干した。
「加奈ーーーーーー!?」
「あー別に何にも変わらないよ」
すぐには効果は現れないようだ。だが万が一ということもある。中和剤を…
「加奈!早くこれを飲むんだ!」
「えー?」
「いいから!」
俺は急いで中和剤を飲ませた。
これで一安心のはず。いやー参った、参った。やっぱ悪いことは出来ないねと。

…あれ、俺はたしか中和剤は右に置いたんじゃなかったっけ…
加奈は確か右のほうを最初に…!!!!!
そうういえばさっきから加奈のふいんき(←なぜか変換できない)が変わってる気がする!?
「やばい!加奈!しばらくは俺のそばから…」
そのとき運悪く誰かが研究室にやってきた。
「やっほー修君♪」
手遅れ。ゲームオーバー。
俺の研究室仲間の女の子が元気に入ってきた。
そして加奈の目が変わった。


656 名前:ヤンデレの薬[sage] 投稿日:2007/12/08(土) 12:17:50 ID:PIiB+h1R
その後、修君と呼ばれる男の簡易的な日記には。
12月3日
ヤンデレの薬を加奈に飲まれてしまった。その後入ってきた研究室仲間一人がショック症状で病院にいくことになった。
すまん、俺のせいで…
12月4日
中和剤の複製を開始。早くしなければ被害が…
12月6日
クリスマスの予定について聞かれた。まるで2人きりじゃないと殺あれるような勢いで。
当然空かす。まだまだ死にたくない。
12月11日
あれからいろいろあったが、何とか中和剤が完成。これでなんとかなる!
3日3晩こもりきった甲斐があった!
12月12日
やばい。研究室にこもってたことを誤解された。
とりあえず部屋に逃げ込む
12月13日
激しく部屋のドアをノックされる。だが出たらいけない。出たらそれこそ命が危ない。
12月16日
ノックされる時間が日に日に長くなっていく。俺も発狂しそうだ。
食料も切れかけてる。篭城はもはや限界か
12月17日
なんだか加奈が目の前にいるような気がする。
実際はドアをノックしているのが加奈なのに…
なんでだ。目の前でなんで、なんでとずっと言ってる感じがする。消えろ、消えてくれ。
12月18日
悪かった俺が悪かった、謝るから、謝るから…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…
12月18日
あぁぁぁぁぁぁ帰れよぉぉぉぉぉ。
悪かった、俺が悪かったからぁぁぁぁぁぁぁぁ
いいかげんにしてくれよぉぉぉぉぉぉぉ
12月19日
かゆ、うま

ここからは途切れている。
この日以降修君と呼ばれる男の所在は確認できていない。



勢いでやってみた。反省はちょっとだけしている。


こんなことやってないではやく続き書けとね俺orz

657 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/08(土) 12:50:16 ID:ACxZtOji
>>656
まあなんだ、とりあえず
テラGJ! イイヨイイヨー

658 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/08(土) 13:49:33 ID:Z2h6+RRC
かゆうま吹いたwwww
GJ!!

659 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/08(土) 15:12:51 ID:Ub07/L4I
人を陥れようとすると、すべて自分にかえってくるという教訓だね

660 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/09(日) 13:52:36 ID:IMKXoQxb
正直>>656の方が面白い同じ題材
もっと精進するために旅に出ます。探さないでください。

661 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/09(日) 23:20:25 ID:I06dmWf7
ただの人間には興味ありません。
この中に、依存系幼馴染み、キモ姉妹、粘着ストーカー同級生、
被害妄想系先輩、腹黒系後輩がいたら、俺のところに来てくれ。

662 名前:埋めネタ[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 01:01:20 ID:hBhhQk/5
十二月上旬。僕の勤める会社ではボーナスが支給された。
支給されたとはいっても、ただボーナスの明細が書かれた紙をもらっただけで、手渡しされたわけじゃない。
ボーナスは給料と同じ口座に振り込まれているのだ。そんなことは当たり前だけど。
この時期、純粋に僕はうきうき気分になれる。
欲しかったアレやコレを買えるから、というのがその理由だ。
とはいえ、全額、欲しいものに費やせるわけじゃない。

僕は去年中古車を買っていて、そのローンの支払いがまだ残っている。
それ以外にも税金や貯金などにいくらか割り振るので、せっかくのボーナスも半分以上使えない。
それでも、数万円は手元に残る。
残された金額の使い道は決めていない。
使い道がないのなら貯金しなさい、と母さんなら言うんだろう。
でも、生憎僕は母さんほど倹約家なわけでもなく、また貯金通帳の明細を見ながらティータイムを
楽しめるほど稀有な性格をしているわけでもない。
よって、冬のボーナスは全て使い切ることになる。
毎回そうやっているのだから、今回もいつも通りにやらせてもらおうと思う。

仕事を定時退社の時刻までに済ませた僕は、賞与明細を鞄の中に突っ込んで、
同僚に挨拶をしてから職場を後にした。
夕方と言うには少し遅い、午後七時。
ボーナスが出たのだから、同僚と一緒に飲みに行くのが会社員としての一般的な行動なのだろう。
しかし、僕は行かない。なぜなら、飲みに行きたくないから。
もちろん行きたくない理由はある。
同僚に嫌われていたり僕が同僚を嫌っていたりするわけではなく、単に、お酒の席で絡まれるのが嫌なのだ。
絡まれるにしても、仕事でミスをしたことについて軽く説教されるならいい。
もしくは未だに彼女がいないことについてからかわれたりするのでも構わない。
お酒の席で、皆が僕のあだ名を呼び出すのが気に入らないのだ。

僕のあだ名は、名前の漢字の読み方を変えただけのものである。
皆があまりにあだ名の方で呼びかけてくるので、あだ名が本名だと僕自身が錯覚してしまう。
僕の親は明らかにウケ狙いで僕の名前をつけたに違いない。
最近、漫画やアニメに出てきそうな名前を子供に名付ける親が増えているというが、実に嘆かわしい。
僕は変な名前を名付けられたせいで損することはあっても得することはなかった。
いい名前だね、という言葉は嫌みにしか聞こえない。慰めだったとしても要らない、欲しくない。
子供をひねくれさせたくなければ、親は真っ当な名付け方をするべきだ。

タイムカードを押し、会社の建物を出る。
寒さをしのぐためにコートの襟を立て、歩き出したその時だった。
「名無し君。今帰りかい?」
正門近くに停めてあった車を通り過ぎたところで、突然女性に声をかけられた。しかも、あだ名で。
聞き覚えのありすぎる声だったので、不機嫌を七割ほどむき出しにして返事する。
「ええ、そうですよ。十一子さん」
そして聞こえてくる、ぎり、ぎりりりり、という歯ぎしりの音。やはり相手を怒らせてしまったようだ。
だけど、この場合は彼女が悪い。いきなり僕のあだ名を呼んだのだから。
仕返しに、彼女が嫌っている彼女のあだ名を言ったって構わないはずだ。

右を見る。彼女は腕を組みながら僕を睨んでいた。
「ひどい人間だな、君は。私の嫌いなあだ名を言うとは」
「ひどいのはどっちですか。僕の名前の読み方を知っているくせに」
「ちょっとした冗句のつもりだったのだがな……。いや、すまない。やはり失言だったよ。七詩君。
謝る。この通りだ。だから――君も私を本名で呼んでくれないか?」
頭を下げてくる彼女に、僕は返事する。
「謝らなくてもいいですよ。もう機嫌悪くないですし。……文子さん、なにか用ですか?」


663 名前:埋めネタ[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 01:03:18 ID:hBhhQk/5
そう言うと、文子――フルネームは入文子(いりふみこ)――さんは頭を上げた。
僕と文子さんは、不幸にもおかしな本名を持ち、不愉快なあだ名で呼ばれる同士である。
僕の名前、七詩。読みは『ななうた』だけど、漢字をぱっと見たら『ななし』と読んでしまう。
文子さんの本名、入文子。名字を『いれ』、名前『ぶんこ』と読めば、『いれぶんこ』になる。
次に『いれぶん』を『イレブン』にして、さらに日本語に変換すれば『十一』となる。
しかして、『入文子』は『十一子』となり、文子さんは『十一子』というあだ名を付けられた。
名無しと、十一子。どちらも、本名をもじったあだ名だ。
そして、あだ名を付けられた当人はどちらともそれを快く思っていない。
会社ではさすがに名字で呼ばれているけど、仕事以外ではあだ名で呼ばれることが多い――いやむしろ、呼ばれる。
だから、僕は会社の外で同僚と会うことを極力避けるようにしている。

たかがあだ名ごときでそこまでしなくても、と人は言う。
けど、僕にとって、あだ名で呼ばれることは最大級の侮辱になるのだ。
それは小中学校時代の経験が原因だろう。
思い出すのも嫌になる。僕はあだ名のせいで、避けられたはずの災難に数多く遭った。
僕も傷ついたし、他人も傷ついた。悪意の有無に関わらず、僕は人を避けた。
大学生になってようやく毎日話す相手ができたくらいだった。
文子さんが僕と同じ経験をしたのかは知らない。知るべきではない、踏み込むべきではない領域だと知っているから。
文子さんは変なあだ名を付けられた者同士という理由で馴れ馴れしくされたくないはずだ。僕だってそう思っている。
僕が文子さんと仲良くしているのは、彼女が僕との距離の取り方と付き合い方を弁えているからだ。
どちらからも会いに行かない。たまたま会ったときにその場の空気で話すだけの関係。
それが僕にとって最も嬉しい、人との関係の持ち方だった。
そのことを自覚させてくれたのは、文子さんだ。
――もっともそれは、僕の人付き合いの技術がいかに低いかを自覚させてくれたということでもあるけれど。

「七詩君、ボーナスをもらったか?」
返事を分かっている問いかけ方だった。それでもあえて問うたのは確認するためだったのだろう。
「ええ、いつも通りに。ちゃんと増えてましたよ」
「うん、それは良かった……で、だ。今から、使ってみる気はないか?」
「今からですか? まあ、いくらか使う予定のない分がありますけど」
「なら、今から付き合わないか?」
「……?」
首を傾げてしまった。
だって、初めてだったのだ。文子さんから誘いを持ちかけてくるなんて。
「付き合うって、お酒にですか?」
「うん、そうだ。もちろん、これから用事があるというのなら今度でも構わないが」
「この後で用事は、ないですけど……どうしたんですか、突然?
文子さんから飲みに誘ってくるなんて一度も無かったのに」
それどころか、正門で僕を待っているのも今日が初めてだった。
今日の文子さんは、どこかがいつもと違う。
「あー……七詩君は忘年会に出ていなかっただろう?」
「ええ。文子さんもそうでしたよね」
「うん、だからだ」
「だから……? どういう意味です?」
文子さんがちょっとだけ眉根を寄せた。


664 名前:埋めネタ[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 01:04:50 ID:hBhhQk/5
「察しが悪いな、君は」
「いえ、二人でこれから忘年会をやろうって言いたいのは察してますよ。
わからないのは、忘年会に出ていなかったって理由で、どうして文子さんと飲まなきゃいけないのかってことです」
「君は察しが悪いんじゃないな。冷たいんだ。部屋の空気を入れ換えるときに触れる窓枠と同じくらいに」
「ああ、最近のは特に冷たいですよね。手袋が欲しいくらいですよ」
「ということは、七詩君に触れるときは手袋をしなければいけないということか」
「論理的に解釈すればそうなりますけど、僕は窓枠じゃないので、触れるときに手袋は不要です」
「おお、それは良かった。もし手袋が必要だったら、色々不都合が出てくるからな」
どんな不都合が出てくるんだろう。
もしかして、僕と直に手を繋ぎたいとか? ――まさかね。

「七詩君、同僚と酒を飲むのはそんなに嫌か?」
「ええ。酒が入ると、普段はまじめな人でもおかしくなりますから」
そうなったら、僕の過去に踏み込んでくるから嫌だ。
「でも、文子さんと飲むんならいいですよ」
「ぇ?」
文子さんの切れ長の目がちょっとだけ大きくなった。
「文子さんなら、その――ちゃんと分かっていると思いますし。忘年会もやっておきたいし。
それに、初めてじゃないですか。文子さんと飲むなんて。もちろん、誘われるのも初めてですけど」
「じゃあ、いいのか?」
「いいですよ。飲みに行きましょう」
「なら、なら……場所は、私が指定していいか?」
「はい」
「そうか、そうか……よし!」
文子さんは両手を握りしめた。おそらくガッツポーズをとろうとして、やっぱり人前でポーズをとるのは恥ずかしいと
思い直したけど、それでも衝動が抑えきれず拳が反応してしまった、みたいな感じだろうと推測する。

文子さんが顔を近づけて、耳打ちしてきた。
告げられた飲みの場所は、駅の近くの繁華街でもなく、会社が忘年会でよく利用する料亭でもなかった。
その、場所は――――――。

*****

時刻は十一時。ふと、文子さんのことを禁断のあだ名で呼びたくなったけど我慢する。
文子さんはテーブルの向かい側の席についている。両肘をつき、前傾姿勢のまま話しかけてくる。
「だからぁ、泊まっていけって、言ってるじゃないかあぅっ……っく!」
返事はしない。面倒だからではなく、何度も同じ返事をしているから。
ここ――文子さんの家で一晩明かすつもりはない、と言っているが、文子さんはどうしても譲らない。
帰り道で買ってきたお酒をあらかた飲み終わり、残りの分でちびちびとやり始めてから数時間、ずっとこの調子である。
「なんで泊まっていかないんだ! お酒、入っているんだろう……?」
ハイとローを行ったり来たりの文子さんに返事をする。
「入ってますけどね、確かに。でも歩けない訳じゃない。つまり僕が帰ることは不可能とは言えないわけですよ」
「否定を連続するな! 聞いてる方は、混乱するんだよ……」
そう言われても、酔ったときにこんなしゃべり方に変わるのは僕の癖なのだからどうしようもない。
「そろそろお暇しますよ。遅くまでお邪魔してすいませんでした」
一方的に告げて、床の上から立ち上がった。
「あ……れ」
そして次の瞬間、僕の視界は九十度回った。
右腕に走った痛みで、何が起こったのか分かった。僕は、床に倒れたのだ。


665 名前:埋めネタ[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 01:06:07 ID:hBhhQk/5
「あー、ははははは、っはは! ……ようやく、効いたんだ。遅いよ、まったく」
文子さんが四つん這いで倒れた僕のもとへやってきた。僕の体を仰向けにして、上に乗ってくる。
「何をしたんですか、一体」
「うん、ちょっと七詩君のお酒に睡眠薬をね、入れたんだ」
どうりで眠たい……わけだ。
「なん……で、こんなこと、するんですか」
「決まっている! 君に今夜泊まってもらって、眠った君をじっくりと料理するつもりだったんだよ」
「りょう、理……?」
文子さん、料理できるのか? 一人暮らしの女性って、やっぱり料理するんだ。
ちなみに僕はやってない。毎日麺類か惣菜だ。――いや、料理するかしないかなんてどうでもいい。
「僕は、理由を聞いているんですけど」
「わからないのか?! わからないんだな。そうか……ハア。まあ、気づくはずもない、か。
いいよ。教えてあげよう。私は、君が好きだから、こうしたんだよ」

文子さんの顔が近づいた。かすむ視界の中に文子さんだけが映っている。
唇に、わずかな感触があらわれた。いや、頬だったかもしれない。
体表感覚の麻痺した今の状態では、はっきりと自覚できない。
「君が欲しい。君の熱が、体が、全部が欲しい。どうしても、強引な手を使ってでも手に入れたかったんだ。
――嗚呼、キスしてしまった。これが、君の味なんだね。うん、チョコレートみたいな甘さだ」
それは僕の味ではなく、本物のチョコのものです。さっき残ってる分を全部食べましたから。
「この分だと、七詩君の体はもっと甘いのかもしれないね。人と関わるのを極力避けて、自分を守ってきた七詩君。
誰にも手を付けられていないに違いない……そう、青い果実だ!」
ごめんなさい。期待を裏切って悪いのですが、キスだけは済ませています。
大学時代、酔っぱらった女の子にキスされたことが一回だけあった。
その後に色気のある展開を繰り広げたりはしなかったけど。

「さて! ……さて、これから七詩君は私のものになるわけだが」
そうなるのが当然、みたいに言わないでください。と言いたいのに言えない。
眠い。口を開くのが億劫だ。五感の内でちゃんと働いているのは耳しかない。
聞こえてくるのが文子さんの声だけだから、世界の中に文子さんしかいないみたいな気になる。
「その前に、私のプロポーズを聞いてくれ」
――プロポーズ。
結婚の申し込みのことか。僕の方からは一生することはないと思っていたけど、まさか女性からされるなんて。
なんだか夢みたいだ。いや、もしかしたら夢なのかもしれない。
眠いし、ふわふわするし、やけに気分がいいし。
なにより、文子さんが僕のことを好きでいてくれたなんて――嬉しすぎる。
だって、僕も文子さんのことを好きだったから。
いつから好きだったのかはわからない。
もしかしたら出会ったときからかもしれない。もしかしたらたった今、恋したのかもしれない。
でも僕にとって、家に遊びに行けるほど仲良くなれた異性なんて、文子さんが初めてだった。
じゃあ、これが初恋なのか。そして、初恋の相手にプロポーズされる。
なんだ、僕の人生も、そんなに悪いものじゃないみたいだな。

文子さんの声が聞こえる。頭の中に響き渡る。
「あなたに、私のボーナスを全て管理して欲しい」
どこの銀行のポスターに書かれたキャッチフレーズだろうか、と考えさせられる台詞――もとい、プロボーズであった。
でも、それもいいかな。家計簿をつけるのは得意だし。
プロポーズに対して、僕は頷きを返した。
本当は文子さんの体を抱きしめたい気分だった。けど、眠いからどうしようもない。
文子さんが睡眠薬なんて盛ったのが悪いんだ。

――明日起きても、文子さんを抱きしめるのは無しにしよう。


666 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 01:10:07 ID:hBhhQk/5
ちょっと強引にまとめてしまった。スマソ。
とりあえず、いつも通りに、



埋め!

667 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 04:04:40 ID:npjyKNGK
どこかずれた二人だけど( ;∀;)イイハナシダナー

では埋めええええええええ


668 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 10:20:25 ID:4w4X9/sO
そうだ今日ボーナスだ…

669 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 16:37:19 ID:VgzQ79dP
>>666
GJ!

埋めてあげるわ
あはははははははははははははははははははははは
あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは

670 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/12/10(月) 19:11:45 ID:/njrQAOW
>>669
ヤンデレさんうるさいですよ。  by隣の部屋の男

671 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/10(月) 19:38:37 ID:zUmWkgcA
久々に投稿&埋めネタします、今回もまた変化球ですのであしからず。

「ヤンデレ観測者」

大人になってからは時間の流れが速くなるとは言うが、よもや自分がそれを経験する日が
来るとは思っていなかった。
気がつけば私ももう二十代後半を過ぎ、更に季節はもうクリスマスに程近くなっている。
一人身にとっては心身ともに大変辛い季節だ、だからこそ早く家に帰りたかった、それに
家に帰ればモニターの中で…こんな私でも微笑んで手をとってくれる少女たちがいるからだ。
いつからだろうか、現実の女性に興味をもてなくなったのは…高校一年の夏、ようやく告白
が実って付き合い始めた女の子に、実はキープ扱いされて手ひどく振られた日からだろうか?
それとも職場恋愛で結婚寸前まで持ちかけられた同僚を出張中に上司に寝取られた日からだろうか?。
それでも、そんな日でも…少女たちはモニターの中で微笑を絶やさないで私に愛をささやいてくれた
あるものは恋敵を殺し…またあるものは邪魔になれば肉親すらも殺し…あるときは私の分身である少

年を監禁し、そして私を殺して…捕食までしてくれた。
怖くはないのか?怖いわけがない…こんな私をそこまで思ってくれるのだ、愛のある殺意の
どこにおびえればいいのだ…そんな考えが普通に浮かぶ。 
まあ自分でいうのもあれだが、私は精神を少々病みながらも…ヤンデレというものの魅力に
完全に取り付かれていたのだ。
そんな事を考えながら自宅である安アパートに向かう。急ぎ足で入り組んだ路地を抜けて
アパート近くのバス停前にたどり着いたとき…私は変なもの…いや、人を目撃した。
その女性は深夜、こんなに遅い時間に大荷物を持ってバス停に腰をかけているのだ…
間違いなくバスを待っているということはないだろう、しかもその服装ときたら…
メイド服ときているのだ。
異常だ、明らかに何かおかしい、でも…ゲームとの天秤が揺らぐくらいに興味を引かれた
のは事実だった。

672 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/12/10(月) 19:43:45 ID:zUmWkgcA
「こんばんは…バスを待っているんですか?」
私は彼女に話しかけてみることにした、こういうことは仕事柄よくなれている。
空ろな目をした彼女はいきなり話しかけられたことに対して動揺したようだったが
それから作り笑いを絵に描いたような表情を浮かべるとこう切り替えした。
「いえ、少し疲れたので…眠っていたんです」
「そうですか…ああ、それじゃあこれをどうぞ…体が温まりますよ」
「あ…はい、ありがとうございます」
そういって彼女は私が手渡したコーヒー缶を受け取ると、念入りに缶の
尻の部分を観察して…それからプルタブをひねってコーヒーを飲み始めた。
「…あったかい、ありがとうございます」
「いえいえ、この程度…しかしあれですねぇ、どうしてまたこんなところで
こんな格好を?」
私はどうしても気になっていたことを尋ねてみた、よくよく見れば臭いこそし
ないが…そのメイド服と、大荷物である巨大なスポルディングバッグには、どう見ても
血にしか見えないシミがところどころについていたのだ。
「…私のお話、信じてくださいますか?」
「ええ、どんな話でも信じますよ…たとえば…そうですね、そういえばこの前は
彼氏の生首を持って海外逃亡をする、なんていってる血まみれの女の子がここに座っ
てましてね…私、不憫になったのでいくばくかお金と食料を上げちゃいまして…まあ
そんな感じなので大丈夫ですよ、それに誰にも絶対言いませんし…何でも言ってください、
どんな話でも信じますから」
「ふふ…お優しいんですね、大変失礼ですが…馬鹿なくらいに…」
「まあ、そうですねえ・・・」
そういって彼女は少し笑う、どうやら私の話を信じていないようだ。
実際私はその彼氏の生首を見せられたと言うのに、それにそんな経験は一度や二度ではないと
言うのに…。
そもそもこの街はなんだか治安がよろしくない、そのせいなのか何なのかこのアパート周辺だけでも
かなり変な人が多い分…わたしはこのバス停で幾度となく、そんな少女や女性たちの話を伺う羽目にな
っていたのだ。
あるときは彼氏だと言うミイラを背負った少女に出会い、明らかに変質的な馴れ初め話しを聞かされ
た、またあるときは彼氏を殺してしまい、泣きながら包丁を持っている少女と対話して、彼氏の事を悔いる少女を諭した事もあった…酷いときには明け方まで監禁した彼氏の写メを見せて自慢話をしてくる
少女もいたくらいだ…そして三度目くらいにわたしはこう仮定した、どうやらここには何かヤンデレを
集めるオーラか何かがあって、わたしはそれらから上手く話を聞きだせる条件を有している、と…どう
せ暇人だし、命もあんまり惜しくはない…それになにより彼女たちは愛する人がいる分…絶対にほれら
れる事もない。
そんな少々悲しい仮定をして大体月に一度、わたしはこうしてヤンデレてしまった人たちの観測を
行っていた。
「…私、出身は東北の貧しい魚村の出でして…」
少々押し黙った後、彼女はそういって語り始めた。
「家は六人兄弟で…十歳のときに父が事故で死んでからますます生活が苦しくなって…とうとう
奴隷として売りに出されそうになったときに…偶然拾われたんです、ご主人様に…」
そういう彼女の目は空ろだったが、顔は必死に作り笑いを浮かべていた…そしてその視線の
先は、大きな大きなスポルディングバッグに…いや、違う、コレはどこからどう見ても…死体袋じゃないか
…ストラップついてるから気づかなかったなぁ…に向けられていた。
「ご主人様はさる貴族の末裔の大金持ちだそうで…たまたま村の再開発部分を視察しに来たときに私をみて
…一目で気に入ってくれたらしくて…そのまま私をメイドとしてお雇いになってくれたんです…勿論、凄く
うれしかったですよ、私…ふふふ」
「一目ぼれ…だったんですか?」
「ええ…でもそれはあの人も同じだったみたいですね…暇なときに私を呼びつけてはよくお話してい
ましたよ…私は早逝された妹さんにそっくりだとかで…ふふ、きっと恥ずかしかったんでしょうね
そんな事をいって照れ隠ししていたんですよ…」
私は頷きつつもそのご主人様とやらに少し嫉妬した。