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601 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 01:10:28 ID:C4C0s5QV
>>599
頼む。是非頼みます

602 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 01:14:16 ID:6wPXJHrm
定義系は全力でスルー
さもなければしまわれる、っておじさんが言ってた。

>>599
超期待しています

603 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 01:20:16 ID:qzSnjebq
ヤンデレ初心者な上に
携帯サイトに投下したものなので見づらいかもしれませんが
短編をいくつか書いたので貼らせて頂きます。
スレ汚しになってしまったらすみません。
エロを書くのが苦手で、あまりエロくもないです。
すみません。本当にすみません。

『一生一緒だよ、私が守るもの。』

「お帰り○○くん♪」
「ただいま。ホント、課題が多くて疲れるよ…」
「何の課題だったの?」
「演習の課題だよ、もう数式が複雑すぎて嫌になるよ…」
「じゃあ、課題があってこんなに遅くなったんだね。」
「ああ…疲れたよ。ご飯はいいや…ちょっと横になってもいいかな?」
「○○くん。」
「ん?」
「嘘だよね?」
「え…」
「う・そ・だ・よ・ね?」
「え…いや、課題だ、だったよ…」
「…見てたんだよ?」
「あ、いや、それは…その…」
「いいの、もう…ただ、せっかく作ったんだし私の料理もちゃんと食べてね?」
「え?ああ、うん、もちろん…」

「ごめんなさい、ごめ、ごめんなさい、ごめんなさい、許して…ごめ…むぐっ…」
「約束したんだからちゃんとお口開けて食べて…?特製のシチュー…いっぱい私のものが入ってるんだから…」
「おぇっ…げぼっ…げぇっ…」
「ふふふ…ちゃんと全部出してね…私がお腹の中から○○くんを綺麗にしてあげる、雌豚の料理に汚された○○くんを綺麗にしてあげる…」
「えうっ…げぇっ…無理…ごめんなさい、ごめんなさい、許して、もう食べれませ…むぐっ…ごぼっ…」
「大丈夫わかってるよ○○くんは雌豚の料理なんか食べたくなかったよね、汚いしきっと臭いし気持ち悪いもんねわかってるよ食べたくなかったよね、今私が綺麗にしてあげてるんだから全部出しきって楽になろうね…」
「ごべんなざい…ごべ…」
「泣かないで…暴れないで…もうすぐ楽になるから…安心して…だって」

「もう雌豚はこの世にはいないし、もう心配ないからね…」
「一生私が守ってあげるからね…♪」

604 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 01:23:01 ID:qzSnjebq
『そうだ僕も病もう』

女「○○くん…危なかった…」
男「いや…な、縄が食い込んで痛いからはずしてほしいんだけど…」
女「だ、だだだダメだよっ!今ほどいたら○○くん外に出ちゃうもん!外に出ちゃったらあの雌豚に殺されちゃうんだよ!?だめっ!」
男「雌豚って…○○先輩のこと…っ…!か…は…」
女「○○くん、あんな女の事を名前で呼んじゃ…嫌。」
男「が…あ……げほげほっ…げほっ…がっ…ごほっ…」
女「○○くんの首って細くて白くて綺麗だよね、力を入れて捻ったら折れちゃいそう…」
男「げほっ…」
女「…ごめんね、○○くんの首が綺麗だからつい…締めすぎちゃった…♪」
男「…」
女「ねぇ、私の事好きだよね?」
男「…」
女「ねぇってば…」
男「…」
女「疲れちゃったのかな、ごめんね、今ご飯にするからね」
男「…いらない」
女「一生懸命作ったんだから食べてよ、口移しであげるから…」
男「く、口移しって…もが!?んー!ん、んんんn!?」
女「口が閉じられないようにする器具。食べないと体に良くないんだから…
無理矢理でも食べてもらうからね…?」


~一週間後~
女「○○くん、おはようのちゅー!」
女「○○くん…私の事、好きだよねっ?」
男「大好きです。」
女「どんなとこが好き?」
男「全部、○○の全てが好きです。」
女「そうだよね、私も○○くんの全てが大好きだよ…」
女「今日もずーっと一緒にいようね、○○くん…♪」
男「大好き…○○大好き…愛してる…」


彼の首には生々しい跡が
互いの身体にはおびただしい傷が
床や互いの身体には綺麗な血の痕が

お互いの目には、ただ闇が…

605 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 01:24:10 ID:qzSnjebq
『マジでBD3日前』

ヤ「あ、今お茶入れてくるから待っててね。」
男「お、ありがとう。手伝おうか?」
ヤ「い、いいよ。○○くんは座ってて。」
男「そう?」
ヤ「うん、せっかくうちに来たんだしゆっくりしてて♪」
ヤ「あ、そうそう。今日怪我したところはもう大丈夫?」
男「絆創膏貼ってるし大丈夫、もう血も止まったみたいだし…」
ヤ「そっか、じゃあ、絆創膏も血がついちゃってるだろうし新しいのあげるから交換しなよ。」

~男帰宅後~
「○○くんの髪の毛みっけ…♪」
「座布団も○○くんの匂いがする…♪」
「絆創膏…○○くんの血がついた絆創膏…○○くんの血…綺麗な赤色…♪」
「一回私が口に含んだ紅茶も、暖めなおしたら何の違和感も持たずに飲んでくれたし…成功♪」
「まだ恋人同士じゃないけど…未来の結婚相手だもん…♪」
「もうすぐバレンタイン…それからはずっと一緒いられるもんね…えへへ♪」

彼女「おそいよー!10分も遅刻!○○どこいってたのー!」
男「ごめんごめん、ちょっと知り合いの家でCD借りてきたんだけど、お茶出されちゃって中々抜けられなくてさ。」
彼女「もー、もうすぐバレンタインだし、一緒におっきいハートチョコ作る約束じゃん!今日材料買いにいくはずでしょー?」
男「ま、まあまあ、まだ時間はあるし、ちょっと遅れたけど今からいこうよ。」
彼女「まあ、10分だしそこまで気にしてないけど…ちゃんと今度からは先に言ってよね。」
男「もちろん言うよ、今回は…なんていうかあんまり親しくない人の家だったから帰るの言い出しにくかっただけで…」

ヤ「えへへ…バレンタインが楽しみ…プレゼントも○○くんが喜んでくれそうなもの調べないとね…♪」

606 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 01:27:24 ID:qzSnjebq
『そうだね、ヤンデレ姉だね。』

ゆっちーとは、幼いころからずっと一緒にいた。
私は姉で、ゆっちー…ユウヤは私の弟だったから。
ゆっちーと私は、生まれた時からずっと一緒。

姉「それで、ゆっちー、今日の夕飯だけど…」
ユウヤ「なんでもいいよ…別に…」
姉「…グラタンとかどう?」
ユウヤ「グラタン…?別にいいんじゃない。姉ちゃんが食べたいもん作れば。」
姉「…そっか、で、でもゆっちーのために一生懸命、作るからね!」

と、一拍おいた次の瞬間、弟の身体が私の胸に飛び込んできた、あわてて私はミトンをはめた手で弟を支える。
高校生とは言っても、文化部に入ってるゆっちーの身体はまだまだ小柄で、華奢だった。

ユウヤ「ごめん…お姉ちゃん。今日さ、告白したんだ。でもフラれちゃって…イライラしてて…姉ちゃんに対しての態度が…あんなんなっちゃって…んっ…」

”オトウト”を強く抱きしめる。上半身をゆだねてくるゆっちーの頭に、ちょうど私の胸が押し付けられたのだろう。
…下半身も預けられたのを感じる。
少し身体を離して、恥ずかしがっているゆっちーに向かって微笑みかける。

姉「いいよ、気にしないで。失恋したら誰かに当たりたくなる気持ち…わかるからさ。」

両親とも、仕事が忙しくて帰宅が遅いことが多い。そんな私たちの家での、秘密の約束。
姉弟二人だけでご飯を食べるときは、私が口移しでゆっちーに食べさせてあげる。

猫舌なゆっちーがまだ小学生の頃にはじめたものだった。
しっかり食べさせるためにふざけ半分ではじめたものだったけど…
今も続ける理由は…

ユウヤ「やっぱりさ…俺には姉ちゃんしかいないのかも。」

照れくさそうに笑うゆっちーを強く抱きしめてあげる。
そんなこと言ってくれるなんて、すごくうれしい。
それでこそ、女の子とゆっちーを近づけないように手を回している甲斐があったというもの。だね。

ゆっちーと私は、生まれた時からずっと一緒。
そう

死ぬときまで…

607 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 01:38:03 ID:9Lu1g3Eq
半年ROMれ。マジで

608 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 01:51:36 ID:5wDW2Oup
プロットだろ…? これ…?

609 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 01:54:16 ID:PjemUyCL
努力は認める
だがもう少しがんばっていただきたかった

610 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 02:01:30 ID:WJAsR4J0
投下します

611 名前:ヒマ潰しネタ2―儀式観察―[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 02:04:14 ID:WJAsR4J0
彼女の『それ』を見たのは、些細な偶然からだ。
その日、自分は日頃の夜更かしのせいかうっかり部室で眠り込んでしまい、目が覚めた時はすでに真っ暗闇だった。
暗い部室の中、ポケットを探り携帯電話を取り出すと、時刻はすでに下校時刻をはるかに回っていた。
部室から廊下に出ると、月明かりが校内を照らしている。窓枠の細長い影線が一定の間隔で廊下を区切り、
自分の影もそれに添って長く伸びている。
日常の裏側――本来なら決して居合わせない空間。校舎内の静けさが不気味に感じ、それと
同時に神秘的な空間にも思えた。

いつまでも学校に残っていてもしょうがないので、急いで帰ることにした。
急ぎ足で廊下を歩き階段を降りて下足箱まで辿り着き、靴を履き替えようとしたところで、
教室に忘れ物があることを思い出した。
どこまで間抜けなのだと自分を呪った。再び校舎内に戻るのには抵抗があった。
薄暗い校舎内を明りも無しに戻るのは肝試しに近い。それに教室までが遠いから面倒なのだ。
どうして思い出してしまったのだろう。外に出てから、いや、家に帰ってから思い出したのなら
取りに戻ろうかどうしようかなんて悩まなくて済んだのに。
教室に行かないための言い訳を探すが、明日のことを考え、ほんの少しの我慢だと自分に
言い聞かせ、結局諦めて戻ることにした。

薄暗い階段を上り、二階の廊下を急いで歩いて自分の教室に向かう。
二つ隣の教室を通り過ぎ、あと少しで辿り着くというところで、廊下の先の方から渇いた音が
聞こえてきた。
聞きなれた音――黒板にチョークで書く時の音が自分の教室の方から聞こえた。
誰か残っているのだろうか? それでも教室は明りがついていない。
誰も居ない時間に暗い教室の中で黒板に何かを書いている――疑問と恐怖が足を地面に縫い付けた。
恐怖と好奇心――僅差で好奇心が勝った。何も見ないで逃げ帰れるはずがない。
足音を立てずにゆっくりと静かに教室の扉に近づき、扉の窓からこっそりと中を覗きこんだ。
暗い教室の中に人影が一つ。黒板の前で細いシルエットが立っている。心音が跳ね上がった。
黒板に向かって右手を動かしている人物。目が暗闇に慣れて、それが誰であるかわかった。

椿姫 玲(つばき あきら)先生。クラスの担任の先生だ。



612 名前:ヒマ潰しネタ2―儀式観察―[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 02:05:46 ID:WJAsR4J0
相手が誰であるか分かり、ほっと安堵した。
教室の中に入り、何をしているのか尋ねようと扉に手をかけ――ある疑問が自分の手を止めた。

こんな時間に教室の明りも付けずに、先生は黒板に何を書いているのだろう?

そんなのは中に入って直接先生に聞けばいい。聞かなくても、黒板を消すより先に見てしまえばいいのだ。
見られてはまずいものでも書いているのなら隠すだろうし、そうでなければ見せてくれるだろう。

だが――直感的な何かが教室に入ることを躊躇わせた。
少し悩んだ後、教室に入らずにしばらく様子を窺うことにした。
椿姫先生は黙々と黒板に何かを書いている。手の動きはひたすら同じ動作の繰り返し。
黒板は手が届かない上のスペースを残して、びっしりと隅から隅まで一つの漢字が書かれている。
自分は視力が良いから、ある程度の字の大きさでもそれがなんという漢字かがすぐにわかった。

晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃
晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃晃
晃晃晃晃晃晃――――。

――『晃』。それが誰の名前かはすぐにはわからなかった。
しばらく先生の後ろ姿を眺めていて、先生の手が黒板の右端から左端に折り返したとき、ようやく思い当たる人物が頭に浮かんだ。

久我 晃(くが あきら)。クラスメイトの名前だ。

椿姫先生は久我晃の名前をひたすら書いている。それに気付いたとき、全身の肌が一瞬で粟立った。
心臓が全力で走った後のように激しく脈打ち、喉が渇き、手足が細かく震えた。
恐怖――見てはいけないものを見てしまった。知ってはいけないものを知ってしまった。
不思議なことに、頭の中だけは落ち着いていた。
どうして先生がこんな事をしているのか、理由は分からない。
だが、先生の行動が異常であることだけははっきりしている。





613 名前:ヒマ潰しネタ2―儀式観察―[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 02:07:38 ID:WJAsR4J0
翌日、先生は昨日の事が嘘であるかのように教壇の前に立っていた。
いつもと変わらない表情。いつもと変わらない授業風景――昨夜の異常な行動は夢だったのでは
ないかと思うほど、普段通りの先生がそこに居た。
もしかしたら、あれは夢だったのだはないか、あれは先生ではなかったのだはないか、と思ってしまったが、
昨日見た後ろ姿は椿姫先生であることに間違いはない。
長い髪を束ねる銀色の髪留め――昨日と変わらず身に付けているそれが、昨日の事が夢ではなく、先生であった
ことを証明している。

それからしばらくの間、先生のことばかりを考える日々が続いた。
先生を穴が開くほど見続け、網膜に焼きつくほど見続けた。目を瞑れば先生の顔が浮かぶほどだった。
居眠りしている久我を注意する椿姫先生。久我に黒板に数式を書かせる椿姫先生。久我を見つめる椿姫先生。
観察をすればするほど、椿姫先生が久我に好意を寄せていることがはっきりと分かった。
そして、ある考えが頭に浮かぶ。

もしかしたら、あの日の事は一回きりではないのかもしれない。
あの日だけではなく、繰り返し行っているのかもしれない。
――見たい。もう一度見たい。

妄想と願望。風船のように膨張し続けるそれは、あっという間に限界まで膨れ上がり、自分では
制御することができないまでになった。
気がついたら、部室で夜になるのを待っている自分がいた。
もう一度、もう一度――もしかしたらまた見れるかもしれない。
どうしてそれほど見たくなったのか、理由は分からない。だが、興味を持ったことに対していちいち理由は必要ない。

宵闇が過ぎ、生徒達の声が聞こえなくなる。教室の明りが次々と消えていき、見回りの教師も
帰っていった。
時刻はあの日と同じ。暗闇の中、心臓の鼓動だけが大きくなっていく。
先生が居ることを祈りながら教室に向かう。雲が月を隠し、月明かりのない廊下を静かに歩く。
廊下を歩き、階段を上り、教室に近づくにつれて緊張が高まる。
教室の手前まで行くが、物音は聞こえてこない。
半分諦めながら、それでも祈るように教室を覗き込む。



614 名前:ヒマ潰しネタ2―儀式観察―[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 02:09:17 ID:WJAsR4J0
黒板の前には誰も居ない。何も書いてあるものもない。落胆してため息がこぼれる。
ふと、窓際の席に動く影が見えた。慌てて扉の窓枠に隠れて、視線を移す。
そこには、下半身だけ裸で久我の席に座り、机の上を舐めながら自慰に耽っている椿姫先生がいた。
ストッキングは履いていない。多分下着と一緒に床に置いてあるのだろう。
色白の艶かしい足をくねらせ、右手で股間を弄っている。
愛おしそうに机に頬ずりをし、キスをして、舐めている。
扇情的な光景に思わず息を呑んだ。全身が熱くなり、血液が沸騰しそうになる。
小さな喘ぎ声が教室の中から聞こえてくる。手の動きが早くなり、喘ぎ声の間隔が狭まり、大きくなる。

悲鳴とも嬌声ともとれる小さな悲鳴をあげ、先生が大きく痙攣する。絶頂したのだろう。
全身を何度も痙攣させ、長い間細かく震えていた。
余韻に浸っているのか、荒い息づかいのまま、机に頭を預けて座ったまま動かない。
目を瞑り、幸せそうに余韻に浸っている先生を見て、目を開いたときに自分が見ていることを
気付かれてはいけないと気付き、慌てて扉の窓から離れた。
名残惜しいが、いつまでも見ているわけにはいけない。気付かれてはいけない。
それに―――多分これから何度でも見れる。
椿姫先生に気付かれないように、静かに教室から離れる。
いつの間にか、廊下を月明かりが照らしていた。





615 名前:ヒマ潰しネタ2―儀式観察―[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 02:10:47 ID:WJAsR4J0
その日から、自分に日課ができた。
宵闇が過ぎて人が居なくなった時間、教室で先生が行う『事』を静かに観察し続けるだけの
秘密の日課。先生と自分だけの秘密。
先生が行う事を『儀式』と名付けた。自分はそれをただ観察するだけの傍観者だ。

儀式を行う日は決まっていない。週に二回、三回のときもあれば、週に一度のときもある。
先生の儀式は日によってその内容が違った。
黒板に名前を書いたり、久我の席で自慰をしたり、久我の荷物を漁ったりなど。
体操着が無くなったと久我が言っていたことがあったが、先生がそれを着て自慰をしていることで
謎が解けたこともある。
儀式は最終的に先生が自慰をして満足すれば終了する。先生が帰るのを見届けて、気付かれないように帰る。

時に先生は、日によってその痕跡を残した。それは久我に自分の想いを気付いてほしいからなのかもしれない。
だが、それは翌日に残ることはない。先生が帰った後の後片付けを自分がするからだ。
儀式の残滓――それは黒板に書いたものだったり、先生の涎や愛液だったり様々だ。
先生が帰った後、自分がそれを丁寧に処理する。それが終わってやっと儀式は終了するのだ。
先生が行い、自分が後始末をする。観客なりのサービス。先生は気付いていないだろう。
この儀式をいつから続けていたのか、そして、いつ終わるのかは分からない。
ただ、私は儀式を静かに観察し続けるだけだ。いつか先生がしなくなる日まで。





616 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 02:13:20 ID:WJAsR4J0
投下終了です
一応続編はあります。前編・中編・後編で書いてるネタです
クールな美人教師が病んで壊れていくとか素敵じゃないですか!

617 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/25(日) 03:20:16 ID:WKKXpJO/
.∧_∧
( ´・ω・`)   乙である
_, ‐'´  \  / `ー、_
/ ' ̄`Y´ ̄`Y´ ̄`レ⌒ヽ
{ 、  ノ、    |  _,,ム,_ ノl
/\ ̄ ̄ ̄ (;;゚;;) ̄ ̄旦 ̄\
/◇◆\_________\
\\◇/◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆\
\(ニニニニニニニニニニニニニ)

618 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 06:32:46 ID:yxTsl9DX
>>616
GJ!っす
次回をwktkしながら裸待機してます

[クールな美人教師が病んで壊れていくとか素敵じゃないですか!]には禿同
ク-ルだった人間が見せる、激しい感情はゾクゾクするモノがあるぜ!



619 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:02:35 ID:IOZZopMK
GJ!
主人公の立ち位置がどうなっていくのか楽しみです。
病んで行く様を見詰める第三者視点ってのも良いな。

620 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:25:04 ID:RXIiPa7U
こんにちは。
十四話を投下します。

621 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:26:45 ID:RXIiPa7U
注意:NTR的表現あり。ただし描写はありません。

622 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:27:26 ID:RXIiPa7U
***

昔話をしながら、思う。
本当に、アタシは何をやっているんだろう。
自分でもよくわからない。
昔の話を先輩にしたところで、何か特別なことが起こるわけじゃない。
あんなに痛くて、惨めで、気持ち悪くて、涙も枯れて、まるごとまとめて最悪な過去を話して、先輩が慰めてくれるとでも?
そんなわけない。アタシの昔話を先輩が聞いたところで、傷を癒せるはずがない。

――あ、そっか。だからか。
アタシは自分でも気付かないうちに、そのことを理解していたんだ。
何を話したところで、先輩は何も変えてなんかくれない。何も言ってくれない。
それが良かった。話し相手として最適だった。
彼にも話せない、彼と出会う前のアタシの有様。
もし彼が知ってしまったら、一体どんな気持ちになるのか。
もともと彼はアタシのことなんか知り合いの一人ぐらいにしか思っていないだろうけど、それを計算に入れてもあの話は重すぎる。
彼は、きっとアタシを嫌ってしまう。
嫌われるのが怖い。
嫌わないで。アタシは何も悪くない。
悪いところがあるというなら、誰かに話す勇気を奮わなかったこと。
でも、仕方ないじゃない。
思い返すのだって嫌なのに、それを言葉にして誰かに話すなんて、絶対に無理だよ。
今ならともかく、昔の――中学の頃のアタシには、難しすぎた。
それに、知られたくもなかった。
誰かに知られたら、そこから周りに伝播していって、もっとひどい目に遭わされそうな気がした。
あの男以外だけじゃなくて、他の見ず知らずの男に好きなようにされるのを想像したら、死んでしまいたくなる。
あの頃に死なず、よく今も生きているな、なんてよく思うのに。
嫌われてしまうかもしれないなら、いっそのこと内緒にして、一切気付かれないよう封印した方がいい。

そのガードを先輩の前で解いてしまったのは――見下していたから、かな。
これじゃちょっと失礼だし、語弊があるか。
もう少し正確に言うと、アタシは先輩をゴールデンレトリバーみたいな感じで見ている、って感じ。
うーん、これもちょっと違う? …………柴犬が一番近いかも。
レトリバーと日本犬じゃ全然違うじゃないか、とか先輩なら突っ込みそう。
でも日本人だから、やっぱり柴犬の方が似合うとアタシは思う。
ぱっと見た感じでは大人しそうで人畜無害。
でも、いざというときには頼りになりそう。
……なんだけど、いざという時以外には使えそうにない、分度器みたいな存在。
実際、アタシが彼をさらおうとした去年の文化祭の時、誰にも見られずに体育館に彼を連れ込んだ今回のケース、
両方とも先輩は自分の弟を捜して、かなり近くまで接近した。
本当に犬みたい。先輩には特殊な嗅覚が備わっているんだろうか。

さて、先輩の話はこれぐらいにして。
そして、先輩とのお話もこれぐらいにしておきましょうか。
明日アタシは、先輩に限らず、これまでに築いてきた人間関係を全て清算する。
だから、こう見えても実はアタシは忙しいんです。
この辺で話を切り上げたいから、どうか先輩、そんな呆気にとられた顔をしないでくださいよ。
友達の話だって、最初に言ったじゃないですか。
変な勘違いしてアタシに同情なんかしたら、とても表現できない効果音を立てつつ、先輩の額に穴を空けちゃいますよ?
そうなったら、先輩は彼のお兄さんという重要なポジションにいるのに、アニメ化されてもビジュアルの問題で登場させてもらえませんよ?

思いやりの心なんて、アタシは欲しくありません。
彼の、それ以外は。


623 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:29:24 ID:RXIiPa7U
***

澄子ちゃんが去り、またしても一人きりで閉じこめられた暗闇の中で、思考を巡らせる。
澄子ちゃんの友達の話について。
初めて聞かされる、彼女の友達のこと。
かいつまんで言うならば、その子は過去に暴行を受けていたという。
それも、性的な。
俺が考えていたのは、その話の真偽についてではない。
澄子ちゃんがそんな話をどうして俺に聞かせたのか、そして、俺は話が終わった後になんと言うべきだったのか。
澄子ちゃんは友達の話だと言っていたが、嘘だろう。聞かせやすくするための方便だ。
では誰の話なのか、というと、それは。
「…………信じたくないけど」
澄子ちゃん本人のことだろう。
もちろん確認をとったわけじゃないから俺の誤解かもしれないけど。でも、俺の勘はそう判断した。

中学時代――少なく見ても一年以上前に、ストーカーされ、ある日の帰宅途中に自分の家まで追いかけられ、
そして、未成熟な体と、穢れを知らぬ心に取り返しのつかない傷を負った。
なお悪いことに、同じ目に遭ったのはその時だけでなかったという。
相手は男。逮捕後に分かったらしいが、同じような犯罪を同じ時期に、数件も重ねて犯していたらしい。
そんな外道は死んだ方がいいと思う(澄子ちゃんも同じ事を言っていた)のだが、裁判で男は懲役十余年の刑に処され、今でも服役しているそうだ。
被害者の中には、男と遭遇してから人生を狂わされた人間が多く居た。
世の中の男の全てが恐ろしくなり引きこもった人間。
二度とその男に見つかるまいと自分の顔を跡形も残さず整形した人間。
この世に救いなどないと言い、遺書を残して自ら命を絶った人間。
ほとんどの被害者は女性。中には小学生ぐらいの男の子も含まれていたという。
その中で今でも社会生活を営んでいるのは、親友や恋人や家庭、人でなくても自分を支えてくれる何かを持っていた人。
あと、事件に巻き込まれてしまったせいで希望を失い、悪い意味で諦観してしまった人だった。
誰も信じられないなら、生きていても仕方がない。意味がない。
でも、死んでしまいたくても、死に方が分からない。
自分の家にトラックが突っ込んできて、あっという間に死んでしまえば楽なのに。
そんなことばかり考えて過ごしていたと、澄子ちゃんの友達は言っていたそうだ。
いったいどれほどの絶望感だったのか、想像できない。
こうして一人地下倉庫に閉じこめられ暗闇を見つめていても、だ。
「……いや」
そもそも比べるべくもない。
俺のこの状況はまだ救いがある。校内であれば大声を聞いて不審に思った人がやってきて、地下室から抜け出せる可能性がある。
けれど、話に出てきた男に対して被害者が覚えた恐怖はどんな時でも消えはしない。
手足が自由であっても、どこかで男に遭ってしまえば、また恐ろしい目に遭わされる。
それか、男の方から近づいてくるかも知れない。そして、欲望を満たすためだけの玩具にされる。
そんなのは、覚めない悪夢そのものだ。

あんな傷ましい話を、どうして俺に聞かせたんだろう。
澄子ちゃんが言うには、今の俺を見ていたらその子を思いだした、とのことだったが、はたして本当だったのか。
聞きたかったけど、深く詮索するのも気が引けてしまい、結局はろくなことを言えなかった。
聞きたいことを除いて、思いついた疑問を慎重に選び、おそるおそる聞くだけだった。
友達は今どうしているのか?
事件が終わってから自殺してしまった、止めることも出来なかった、という答えが返ってきた。
警察は動かなかったのか?
友達は怖くて相談していない、自分が事実を知った時には手遅れで、翌日に友達はもう……、という答えが返ってきた。
話に出てきた友達が澄子ちゃん本人なのかどうかは聞いていない。
聞いても応えないだろうし、聞いたら傷つけてしまうだろうし。

澄子ちゃんが去る時、俺は何か言うべきだったのかもしれない。黙っていることはなかったと、なんとなく思う。
本当のところ、俺は話につられて暗い気分になっただけで、かけるにふさわしい言葉なんか何一つとしてなかった。
それでも何か言うべきだと、からっぽの頭の中を探ってはみた。
探してもひと欠片の言葉さえ浮かばず、澄子ちゃんが地下倉庫と校庭を遮るドアを閉めるところを見ているしかできなかったのだけど。


624 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:32:27 ID:RXIiPa7U
嘆息し、一旦思考を止める。
すでに澄子ちゃんはいない。だからさっきの話について考え込んでも詮無いことだ。
一応頭の中に疑問のひとつとしてストックしておく。
澄子ちゃんがどうして俺にあんな話をしたのか。また顔を合わせることがあったらタイミングを見て聞き出そう。
――と、思ったのも束の間。
あることに気付いた。遅いぐらいだけど。

「放置かよ、俺……」
澄子ちゃんを引き留めていればよかった。せっかくの開放されるチャンスだったんだから。
弟を二人きりの理想郷とやらに連れて行ったら解放すると言っていたが、逆に言えばそれまではこのまま、ということになる。
理想郷って、外国とか南の島とかじゃないだろうな。
もしそうだとしたら、二人分のチケットを手配して、いやその前にパスポートを取って……ふうむ、弟を強引に連れて行くのだろうから、
でかい入れ物に梱包して、一人は貨物室、一人は座り心地の良いシートに乗って空の旅を満喫するのか?
というより、澄子ちゃんなら弟と二人で木箱の中に梱包されても文句言わなさそう。
いやいや、移動手段はどうでもいいのだ。
問題は、俺がいつ解放されるのかということだ。あまり時間がかかりすぎるとまずい。
まだ腹は減っていない。トイレに行きたい欲求もない。少しだけ眠くはある。
しかし、いつまでもこのままでは必ず破綻する。
具体的にどうなるか脳内でイメージできるが、あえて表現して形にしたくない、そんな有様になるであろう。
自分で突っ込むのもなんだが、ちっとも具体的じゃない。
しかし、何かの光景に喩えたら最初に浮かぶのが動物園の檻の中なんだから、思い浮かべたくもなくなるってものだ。


625 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:35:14 ID:RXIiPa7U
自分が置かれている状況を作った原因は、俺にはない。
悪いのは澄子ちゃんである。そして同じくらいに、デリカシーに欠けることをほざいた弟が悪い。
弟がもう少し配慮をしていれば、こうしていることはなかったかもしれない。
最初から澄子ちゃんは弟をさらうつもりでいたらしいから、弟が変なことを言わなくてもこうなった、とも考えられるが。

しかし、弟があんなことを言うとは。
本当は好きじゃないんでしょ、か。……これ、弟に先んじて俺が口にしていたかも知れない台詞だな。
去年、まだ数回話を交わしただけの関係だった葉月さんに告白された時に。
葉月さんが俺に弟のことしか聞いてこないから、てっきり葉月さんは弟が好きなんだろうと思っていた。
あの時に変なことを言わなかったのは――言いたくなかったのは、告白に関する過去のトラウマをほじくり返したくなくて、
早く葉月さんの前から立ち去ることしか考えてなかったからだ。
だから、俺は黙って葉月さんの前から立ち去った。
もしも強引に引き留められ、理由を話すまで返さないと言われていたら。
おそらく、俺はここで二つの選択を迫られたはず。
一つ、振った理由を言える範囲で説明する。二つ、きついことを言って突き放す。
俺は一つ目の選択をするだろうが、澄子ちゃんに迫られた弟が選択したのは、二つ目の選択だった。
わざと傷つけて、自分への興味を失わせようとした、というところだろう。
だけどそれは誤りだった。澄子ちゃんに対しては、最悪の選択肢だった。
もっとも、一つ目の選択をしていたところで無事に済んだとは言えない。
むしろ、相手が悪かったということこそが、さらわれた原因なのかもしれない。
失礼かもしれないが、こう思う。
弟の奴も、タチの悪い女に惚れられたものだ。

「ま、そこに関しては弟は悪くぁ……にゃい、か」
独り言にあくびが混じった。
我ながらなんとも緊張感のないことだが、眠いものは眠いのだ。
暗闇の中は静かだ。やりすぎなくらいに。周囲を囲む壁や天井が外部からの音を全て吸収してしまう。
この分だと俺が叫んでも外にいる誰にも聞こえやしないんじゃないかとも考えられる。
時計がないから現在時刻はわからないが、やはりそれなりに夜は更けているのだろう。
寝よう。起きてても退屈なだけだ。
まだここにぶち込まれて数時間しか経っていないから、脱出不可能な状況を嘆いて舌を噛むには早すぎる。

誰かが見つけてくれないかななんて、他人の手を借りて脱出するしかないこの状況で抱く希望。
叶えてくれる人がいるとして、それは誰になるのだろう。
俺は、誰に助けて欲しいと思っているんだろう。
一番最初に浮かんだのは警察だった。警察にはお礼を言いやすい、という理由で。
では他にはいないのか、と自分の頭に検索をかけてみたものの、これといった相手が決まらない。
誰の顔を浮かべても、この人は巻き込みたくないと除外してしまう。
それ以外に、こいつには助けられたくないということも選別の基準に入れていた。だから誰か決まらないのだ。
我ながら贅沢なことだ。


626 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:37:19 ID:RXIiPa7U
*****




「ねー、三人とも、好きな人、いる?」
突然聞こえてきた声に総毛立つほどびっくりした。
次に、同じ空間内に人間が居ると思い至り、瞬間だけ安心したのも束の間、幽霊か何かかと思い直して今度は鳥肌が立った。
しかし状況把握に努めると、ただ声が聞こえてきただけであって恐ろしいものが見えていた訳ではなかった。
不気味ではあるが直接的な恐怖はないという、ホラー映画のDVDのあらすじを読んだ後のような気分になった。

聞こえたのは子供の声だった。
高校生が子供だとするなら俺もまだ子供であるが、その前提があったとしてももっと子供っぽいと言える声だった。
声変わりするにはまだまだ遠い、数年はかかりそうな高い声。
推考。――――ふむ、どうやら俺は夢を見ているらしい。
小学生が高校の敷地内に入るわけがない。しかも人の立ち寄らない体育館の地下倉庫に入り込むなどあり得ない。
俺が小学校の頃は高校生なんて、得体の知れない分両親やその他の大人たちより怖かったものだ。
いや、中学生と高校生の区別すらついていなかったかも。
ともかく、俺が聞いた声は小学生のそれであった。そして俺は夢を見ているのだ。

「好きな人?」
「うん、そう。おんなじクラスに居るんじゃないの?」
「えっと……それは……うーん」
また違う子供の声。こちらも高い声だったが、響きが男の子を思わせる。
今のと比較すると、最初の声の主は女の子のような感じがする。
仲の良い友達同士なのだろう。なにせ暗闇の中で会話を交わしているのだから。

――待て。
何か変だぞ。どうして暗くて一寸先の見えない状況でこの子達は会話をしているのだ?
それに、俺の体の上に柔らかな感触がある。適度な重さに、好ましいこの暖かさ。
布団だ。布団が俺の体の上に乗っている。そして俺は敷き布団の上で横になっている。
体が軽く感じられる。溜まっていたものがなくなった感覚と、ちょっとした喪失感。
足を伸ばすと、膝や踵がコンパクトになっているのがわかる。体が相当縮んでいる。おそらく小学生サイズまで。
ということは、今回は夢の中の人物にとけ込んでいるわけか。精神年齢が十七の小学生が誕生だ。
布団に、暗闇に、女の子と男の子と俺。
――あ、三人が同じ部屋の中で床についているのか。暗いということは夜だから、就寝前だ。
仲の良い三人が集まって、お泊まりをしているわけだな。
これが荒唐無稽な夢じゃなく、過去を体験しているなら嬉しい。
俺にもこんな昔があったわけだ。ちょっとだけ嬉しくなる。

さて、女の子と男の子が誰なのか、であるが。
「はっきり言いなよ。さとみちゃん? みうちゃん?」
「ううん、ちがうよ」
「じゃあ、だれ?」
「えっと…………も、もくひけんを」
「そのけんりはみとめられておりません」
「うー…………ね、ね。兄ちゃん起きて。なんとかしてよ。花火がへんなこと言うよお」
……女の子は花火で、男の子は弟である、と。
弟は俺に頼ろうと、俺の肩を掴んでいた。弟の手が小さいのも、俺の肩が細いのも変な感じだ。
まあ、なんだ。小学生の俺がどう思っていたかは知らんが、今の俺からすれば、弟にこんな風に甘えられても嬉しくない。
気色悪いと言ってもいいな。
しかしながら、今の俺は小学生。間違っても変なことを言ってはならない。
試しに、高校生になった弟が好きになる相手が誰であるか言ってみたかったが、
この夢がこれからどんな展開を見せるのか気になったので、水を差さないことにした。


627 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:39:07 ID:RXIiPa7U
「アニキにたよろうなんて男らしくない。いいから、はくじょうしなって」
「じゃ、じゃあ、言い出しっぺの花火から言ってよ。そうしたらぼくも言うよ」
小学生だから許容できるヘタレぶりである。逃げる気満々だ。
まあ、これぐらいの手なら俺も取るからお互い様か。
あれ、今自分で自分が小学生並のヘタレだって言ったか? そうなのか?
自覚してたのかよ、俺。
「私は、三人」
「三人?」
三人? とちび弟と心の中で台詞をシンクロさせた。
「お前と、アニキと、ちっさい妹。三人とも同じくらい好き」
「ず、ずるいよそれ!」
そうだそうだ、とつい口走ってしまいそうになった。いかんいかん、黙っとけ。
「そういうんじゃなくって、その、もっと、もうちょっとちがう……」
「けっこんしたい相手、とか?」
「……そういう話じゃ、ないの?」
「どうかな? でも私はそういう意味でも好きだよ。三人とも」
えらいませたお子様だな。ちび花火。
仲の良い相手だからこそ言えるんだろうが、まさか小学生の時分で言うとは。超小学生級だ。

「さて、私は言ったから答えてよ。誰が好き?」
「ぼ、ぼくは……」
「んー? ん、ん、んー?」
花火の意地悪な声が聞こえる。明かりを点けたらにやにや笑いの顔が見られるであろう。
「ぼくもは、花、はなはな、花火が、す、す……すき……で…………」
「へー、私のこと好きなんだあ。……じゃあ、けっこんする?」
「え。え、え?」
「う、そ、だ、よ。…………っぷ。あはははっ、おもしろい!」
こやつめ、ハハハ! ハハハ!
いやはや、ちび花火は上手だな。弟が手玉に取られているじゃないか。
小学生男子らしい純情な心を持っている弟からすれば、花火の台詞にはどぎまぎさせられっぱなしだろう。
しかし、それは俺にも言えるわけで。遊ばれているのがちび弟じゃなく小さい俺であっても同じ目にあっているはずだ。


628 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:40:43 ID:RXIiPa7U
「じゃあ、次。ちっさい妹は? 誰が好き?」
妹? 妹もこの場に居たのか? 全然気付かなかった。
それに、今――夢の時間軸から数年経った頃にはとてつもないブラコンになっている妹が、今のやりとりに入ってこないのもおかしい。
昔と今は違う、ということか。
幼い頃ならば、一年あれば性格が変わるには十分だものな。
妹は物心ついた時からブラコンだった訳ではなく、なんらかのきっかけでああなったのだろう。
それは、この夢の一つ前に見た夢で妹が虐待される光景も関係していたりするのか。
しかし、二つ夢にあまり共通する部分がないからわからない。俺と妹が登場するところしか重なっていない。
「ほら、早く言いなって。……それとも、ねちゃった?」
「……ううん、きいてた」
「じゃあ答えられるよね。ちっさい妹の好きな男の子はだれ?」
「ちょっとまってて。すぐに、いうから……」
ちび妹の声は小さくて、人や草木の眠る時間でなければ聞き逃してしまいそうだった。
中学三年生の妹の声とはまるっきり違う。喋るのを躊躇っている節さえある。
そのせいでどこにちび妹がいるのかわからない。
左を向きながら寝そべっている俺の前には、花火と弟がいる。
その二人の声は聞き取りやすいから位置もわかりやすいが、妹の位置はつかめない。
肩を掴んできたのだから、弟は俺の前にいる。すると、俺から見れば弟、妹、花火の順。もしくは弟、花火、妹の順か。

ふと、息を吸う音が聞こえた。背後から。
え、と? 左を向いている俺の前に弟と花火がいるわけだから、その二人以外、つまり――妹?
なんで俺の後ろにいるんだ。妹は俺より、弟のことがずっと、ずっと好きなはず。
だったら、弟のすぐそばで眠りたがるはずなのに。
どうして?
「あたし、おにいちゃんのことが好き。いつも、まもってくれるから」
パジャマの背中の部分を引かれる感触。妹が、俺のパジャマを引っ張ったのだ。
おにいちゃん。妹にとってのそれは、弟のことであるはず。
でも、それは中学生になった妹の話で、もっと幼い頃の妹の事実とは限らない。
じゃあ、もしかして、弟じゃなくて、もう一人のおにいちゃん。
それは――――――――


629 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:43:49 ID:RXIiPa7U
「それじゃあ最後。アニキの番。アニキは、だれが好き? 
ごまかしはダメだよ。好きな女の子のこと、ちゃあんと教えてね」
話を振られ、思考を止められた。
いいや、頭の中で整理のつかないこの不愉快な感じは止められただけじゃない。
流れを変えられていた。話の流れに遅れないよう、頭が勝手に思考を開始していた。
ちび妹にとってのお兄ちゃんより、花火の問いかけが気になる。どうしようもなく。
かつての自分、小学生の頃の俺が好きだった女の子。今では欠片も思い出せないけど、夢の中とはいえ小学生になっているならわかるはず。
口が勝手に開いた。誰かに操られているように、ぱくぱくと動き出す。
「……同じクラスの、藤原」
と、素っ気ない感じで俺は言った。吐き捨てるようでもあった。
今の答えが、本心からのものではなかったから。夢の中の自分と心がシンクロしているから、そのことがわかる。

俺は誰も好きじゃなかった。

それが真実。同じクラスの藤原という女の子も好きじゃなかった。
嘘でも、無難に妹とか言っておけば良かったのに。
だって、小さい俺は妹を第一に思っていたんだから。
今こうして妹を背にしているのは、守るためだったんだから。
でも、守りたいとは思っていたのは好きだったからじゃない。
妹が傷つくのが、自分のことのように痛くて、悲しくて、辛かったからだ。

妹をいじめるあいつが憎かった。
お父さんとお母さんに挨拶して当たり前のように家に入ってきて、二人の味方でいる振りをして、二人が居なくなった途端に本性を現わす。
力じゃ敵わないことを知ってて、大人のくせに大人げなく、憎たらしそうに弟と妹を見て、殴って、蹴って、わめき散らした。
あいつは言ってた。あなたたちのお父さんとお母さんに似ている、あなたの弟と妹が憎いって。お父さんとお母さんのことも憎いって。
私の気持ちに応えなかった、裏切った。だから憎いんだって。
たったそれだけの理由で、あいつは妹を泣かせていたんだ。

この時に本当に言いたかったのは、俺には大嫌いな人間がいるということ。
だけど言えなかった。だって、お父さんにもお母さんにも、弟にも花火にも、もちろん妹にも言ったことはないんだ。
一度口にしてしまったら、全てを吐き出してしまいそうだった。
バットでめった打ちにして、骨ごとちぎれるまで手を噛んで、動けなくなるまで殴りたいなんて、絶対に言えない。
殺してしまいたいなんて、そんな怖がらせるようなこと、口が裂けても言いたくなかった。

「ねえ」
背中をつつかれた。続けてパジャマをくいくいと引っ張られる。
妹が俺を呼んでいたのはわかっていたけど、今振り向いたら怖がらせてしまいそうだったので、返事の代わりに小さく身動ぎした。
布団の中を移動する音。俺の布団の中に妹が入り込んでいた。
肩に手の感触があらわれた。うなじの辺りに妹の息がかかる。
無反応でいると、やがて妹が小さく呟いた。
「ふじわらって、だあれ?」
聞こえていたが、俺は返事しなかった。何度か肩を揺すぶられたけど、無視した。
この話が早く終わりますようにと願いながら、ただ目を瞑って呼吸を繰り返した。


630 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:45:43 ID:RXIiPa7U
*****

「――――て」
ん?
「起きて。起きて」
おや珍しい。寝ている俺を起こしに来る人間が弟以外にいるなんて。
声からして、俺の肩を揺すぶっているのは女の子らしい。
貴重だ。あまりに貴重すぎる。嬉しすぎる。もう少し幸福感を噛みしめていたいので狸寝入りしよう。
「お願い、起きて。……お願いだから、起きてよおっ!」
なんだなんだ。やけに逼迫した感じだな。俺が起きないのがそんなに珍しいのか? 
――ふうむ。必死になって俺を起こそうとする女の子。可愛いじゃないか。
これは意地でも起きはすまい。この先二度と経験できないかもしれないから。

首をがくがくと上下させられても、まぶたを閉じ続ける。
すると、女の子の声が震えだした。
「いやあ……いや。嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! 絶対に、やだよ、そんなの! 
まだ、まだ私、返事してもらってないんだから! 認めないんだから!」
胸の中心部分に手を乗せられた。仰向けに寝そべっていたから、胸は天井を向いている。
「あなたは、死なせない。助けてみせる。絶対に!」
ここまで俺のために必死になってくれる女の子がいることに感動した。そして同時に罪悪感が芽生える。
ちょっとやりすぎたか。そろそろ起きた方が良さそう。
紙一重ぐらいにまぶたを開く。差し込んでくる光に目を慣れさせる。
あれ、光? ってことはひょっとして、地下倉庫から脱出できたんじゃ――――――

「ふっ!」
ぼっ!? 
「ふっ! ふっ! ふっ!」
ぢょ! ごべ! ぶが!
胸が、胸が沈んでる! 死ぬ! 肋骨折れる! 心臓破裂! 声が出ねえ!
「死なせ、ないから! ずっと一緒に、いるんだから! お願い、起きて!」
死んでません意識はありますちゃんと呼吸も出来ます、お友達になりましょう!
だから、胸を、押さないで。やめ、て…………。
――あ、思い出した。
昔、学校に救急隊員の人が講習に来て、心臓マッサージのやり方を実践してくれた時に言ってた。
心臓マッサージは意識のある人には絶対にしないでくださいね、って。とっても危険ですから、って。
そっかあ。こういうことだったんだ。
危険すぎる。ここではないどこかにとんでしまいそうだ。たとえば、三途の川のほとりとか。

ほどなくして、祈りが通じたのか、胸への圧迫が止まった。止めてくれたのだ。
だけど、脳とか内臓とかが穴からはみ出しそうだ。はみ出すというより、皮膚を突き破って飛び出しそう。
今のはきっと、欲望に忠実になって狸寝入りした罰なんだろう。むべなるかな、むべなるかな。俺が馬鹿だったようだ。


631 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:49:35 ID:RXIiPa7U
混濁する意識の中、女の子の独り言を耳にした。
「マッサージの次は、たしかこう……首を上に持ち上げて……い、息を…………」
額に手を添えられ、顎を指先で押された。額から手が離れ、鼻をつままれる。いわゆる気道確保。
その次は……………………人工呼吸?
「し、仕方ないよね。時間は大事だから、それにこれは救助なんだから。しっかり、やらなくちゃ」
だめだダメだ駄目だ! 絶対駄目! やっちゃ駄目!
人工呼吸だから、この子から息をもらう。マウストゥマウス、いわゆる口と口が繋げるかたちで。
たしかに、嬉しいよ!? 嬉しいけど、俺の心に邪な気持ちがあったら、またさっきみたいになってしまう。
これまでの経験からして、予想を裏切らない結果になることはわかりきっている。
今度こそ昇天してしまう。嫌だ、まだ俺は死にたくない!
お願いだ。心音と呼吸の確認を! 返事できないだけで意識はありますから!
「い、いくよ。いくからね。初めてなんだから、なんだから……責任、よろしく!」
ちくしょう、冗談じゃなく体が動かない。頭をがっちり掴まれてる。

――もう、俺は駄目だ。
手遅れになってしまった。
ごめん、皆。
父、それと母。先立つ不幸を許してくれ。
高橋、篤子女史とお幸せに。
澄子ちゃん、君がいつか自分の過ちに気付くことを願うよ。
花火、傷つけてしまって、済まなかった。もう一度、ちゃんと謝りたかった。
妹、頼りないお兄さんで済まない。結局弟を連れ帰れなかった。
葉月さん、返事できなくって、ごめん。君のこと、俺は大事な人だと思ってた。
最後に、弟。死ぬんじゃねえぞ。

唇を極上の感触で包み込まれた。予期せぬ形で入り込んでくる息に合わせ、吸気する。
長く長く長く――――――嘘みたいに長く、息を吹き込まれる。
いつまで待っても唇が離れない。入り込んでくる息が強すぎて、吐き出せない。


女の子との初めての接吻は、空気の味がとっても濃厚で。
あっという間に俺の意識は霞み、重さを無くし、たいして強くもない風に吹かれて飛んでいった。


632 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:52:35 ID:RXIiPa7U
次回に続きます。

ちなみに、この兄貴はしぶとく生きていますので、ご心配は無用です。

633 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:53:17 ID:Rmw34sXC
リアルタイムGJじゃ

634 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:54:55 ID:Rmw34sXC
ファンブックまだ読んでないんだがそんなに強いんか…
最初のころの説明では拳で岩砕き下駄はいてフルマラソンするとかだっけ?

635 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:55:25 ID:Rmw34sXC
誤爆スマソ

636 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 10:55:55 ID:lXyiXplG
リアルタイムGJ!

637 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 11:10:18 ID:5LMpwYoo
GJ! すばらしいGJ!
過去がっ!!

か・・・片やm(ry
いえなんでもないです。

638 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/25(日) 11:20:35 ID:mrqmnujh
GJ!
冷静に考えたら、この化け物集団で一番の化け物は兄なんじゃないかと思えてきたw

639 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 11:21:25 ID:mrqmnujh
sage忘れた。スマソ

640 名前:saga[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 12:03:11 ID:8nVVXk3y
GJ 兄貴のしぶとさに期待します!

641 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 12:24:31 ID:u2StUsk2
GJ おや?、妹にもデレ期があったようですね?

642 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 14:25:24 ID:o1l/+qNz
GJ!!
過去が気になるなぁ

643 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 15:46:58 ID:qDiVDmtO
前の回想で兄貴が殺したのが児童虐待犯?
じゃあ花火にも傷が残ってるのは何で?
マジで気になる。
話も盛り上がってきたし、いい感じだなあGJ。

644 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 16:51:48 ID:MQqtxrOv
花火の親が虐待犯とか

645 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 18:55:30 ID:mhpgGQYj
GJ!
兄貴のしぶとさに感動しました!

646 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/25(日) 18:56:03 ID:E4i7eVDc
明らかに勘違い
そして、それを利用する人間が一人?

面白かったぜ、GJ!
定期的に投下してくれるから嬉しいな


647 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 00:48:07 ID:LrgQZvdy
病んでる妹はこっちかキモウトスレか

648 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 00:49:26 ID:Dvyx4VZ1
妹メインならあっちじゃない?

649 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 00:51:35 ID:kVKQfjwj
妹に愛される主人公が兄ならキモウトスレ、ってのは聞いたことないからキモ姉&キモウトを書こう!スレか?
兄以外の男を愛してヤンデルならここだな

650 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 01:02:39 ID:LrgQZvdy
把握した。つまりは近親相姦の有無かどうかか。
別に何か書き終わってるわけじゃないが逝ってくるノシ

651 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 01:06:55 ID:kVKQfjwj
ここじゃあないんだな・・・・・・

652 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 04:20:47 ID:a3cr66et
ヤンデレなら別にここでかまわんよ。
そもそもあっちが立った経緯は……って書くとまた荒れるからやめとくが。
明確に区分けされてるわけじゃないんだ。

653 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 05:52:28 ID:TZL1pd9N
>>650兄さんのSSはいもうとの物なんだから!
絶対他人になんて渡さないんだから!!

654 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 08:20:07 ID:0eqScccJ
>>653
それはキモ姉妹スレで言うべき発言ではなかろうか……?

655 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 10:37:24 ID:tNGhjqop
敏感すぎだ
自治厨呼ばわりされるぞ

656 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 11:14:54 ID:aZojNhzS
キモ姉&キモウトできた経緯は荒らしを島流しするためと
立てた俺が言ってみる

657 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 11:58:20 ID:OskDL870
知ってる
だから必要があってスレが分離した訳じゃないから、
内容は重複してるし分けようとする方が無理なんだよ。
あまり細かく考えても仕方ない

658 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 12:52:29 ID:Dvyx4VZ1
まぁいまのとこ特に問題もないわけだし現状維持でいいんじゃない

659 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 17:43:36 ID:Fehm/06Y
>>656
それガセって聞いた。どちらにせよ既に完全に分離した感じだけどな

まあ現状維持でいい。嵐も分散して薄れるし、あっちはあっちで楽しく殺ってる

660 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 18:47:14 ID:KN/hC0zf
どちらも好きな俺的にはまぁ別に良いんだけどな。

661 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 19:07:57 ID:e/TEH+FR
荒らしが建てたスレっていう認識だったんだが

662 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 21:01:28 ID:zW0IZdqP
今はあのスレ結構な良スレになっちゃたけどねー

663 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 21:34:57 ID:OskDL870
いやあ…上で書き込んだ俺が言うのもなんだが、この流れ止めない?
そろそろスレ違いって怒られそうだ

664 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 22:27:58 ID:5WfteFni
>>663
いいか、俺たちは、そろそろスレ違いって怒られそうだ、なんて言葉は使う必要がねぇんだ
なぜなら怒られそうだって思ったときにはもう既にッ
怒られちまってるあとだからだ








ごめんなさい

665 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 22:44:42 ID:0lRUa3zO
キモ姉とキモウトとキモ馴染みに囲まれて代わる代わる逆レイプされたい

666 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 22:58:17 ID:uhLV2ZPy
それ以前に奪い合いにならないか?

667 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 23:06:18 ID:xqMuKKWf
問1 以下の事態が起った場合を想定せよ。

主人公が記憶喪失に陥った場合、
ヤンデレヒロイン達はどのような行動を執るか?

668 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 23:24:20 ID:zW0IZdqP
答 あること無い事吹き込む。
模範解答 「赤ちゃん出来たの。責任とってね(はあと)」

669 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 23:50:22 ID:HvvIb7d1
>>668
ちょっと待て。
ヤンデレヒロイン”達”
つまり複数形になってないか?

670 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 23:50:50 ID:sBwZj5bB
A、原因にもよるが、共通する点としては、自分が主人公の彼女、もしくはそれ以上の存在だとして、ヒロインの妄想を事実として吹き込む

671 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/26(月) 23:57:57 ID:Vs+Ercse
答2
入院中であるのをいいことに、純粋培養状態でシナリオどおりに手なずけて行く。
「男くん、私たち恋人同士だったんだよ。忘れちゃったの?」

もちろん、主人公に目を付けた看護士や若い女性患者たちは密かに抹殺する。
並行して既成事実を重ね、ゴールインへ。

672 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 00:02:09 ID:MlKmuWHo
ヤンデレになるには戦闘力と頭脳と金がいるよな






もちろん愛もだが

673 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 00:22:23 ID:weRoSdgz
たわけ! 愛さえあれば十分だ

674 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 00:44:51 ID:JWnvoiUQ
ヤンデレとは1%の行動力と99%の愛である。

675 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 00:51:09 ID:bcNrjOmO
ヤンデレって、純粋な愛だよな

676 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 01:05:32 ID:MlKmuWHo
>>674
全エジソンが泣いた

677 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 01:20:28 ID:nsnUYumR
ヤンデレってあれでしょ
ちょっと幼馴染の女の子と喧嘩して、主人公が1週間無視すると
幼馴染がどんどんと病んでゆくんでしょ

まあ、大好きな主人公に嫌われたかもしれないと思っただけで本当に病むからな
幼馴染という人種はw

678 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 01:27:25 ID:nsnUYumR
しかし、ボタンを掛け違えた幼馴染がどんどんとヤンデレになる姿はスレ住人としては生唾もんでしょうね
気軽に会話していた主人公に無視されるというのは幼馴染的にどれだけの精神的なダメージが……


679 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 01:48:49 ID:1E6J3+RT
金以外は愛の結果だろ。誰だって自分の好きなものに対しては平時以上の能力を発揮できる
愛ゆえに肉体のリミッター解除
愛ゆえに脳の超高速回転

680 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 01:58:33 ID:AWWcYhsK
女性でも痛覚取り除けば五百円玉を指で挟んで曲げられると言うからな
ましてやヤンデレ娘の愛ならば筋力の完全使用なんざ朝飯前だろう

681 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 02:32:28 ID:zi+eiYjm
最近ほのぼの純愛の女さんはもはや化け物だからなぁ
そこまでいくとなんか、あれだな、ほどほどが一番だな

682 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 02:46:45 ID:WI1jFD4O
男「今日こそ女さんに見つかる前に逃げるぞ!」
女「くすん、逃げ出すなんて酷いです男くん…」
男「お、女さん、ちょ、なにも泣かなくても…そこのギャラリー!俺は無実だ、なにもしてない!
認知してやれとかゴムつけろとか大きな誤解だ!女さんも泣き止んでくれよ」
女「…泣くのやめたら手をつないでくれますか?」
男「結婚とか監禁とか駆け落ちとかでないのなら、俺に張られつつある外道男という
レッテルを剥がすためにそのくらいは妥協しよう」
女「それじゃあ失礼して…ぽっ、男くんの手暖かいです」


>>681ほどほど純愛?

683 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 04:31:06 ID:OpNXv5nD
財力で思い出した
ナデシコのアクアマリンってヤンデレにカウントできない?

684 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 05:09:49 ID:OpNXv5nD
>>667
病み子からすりゃピンチでありチャンスだろうね
とりあえず、面白そうなので「他に主人公の面倒を看てくれる(まともな)幼なじみがいた場合」。

初手を取られてるので、刷り込みじみた洗脳は不可能。正攻法では二人きりになるチャンスもなかなかこない。
下手に動けば幼なじみが主に警告しちゃうだろうし。かといって時間が経ちすぎるとHAPPY ENDフラグ(幼なじみ視点)が成立しそう。
要は水月における雪さんと犬耳を、同時に敵に回さなきゃならんわけだ。やばい。難しいってレベルじゃない。

やっぱりここは二人の信頼関係を破壊するところから始めなきゃならない。
幼なじみ(や恋人同士)でもナイーブな問題はあるだろうし、偽善者スマイルでその話題を出せば短時間なら二人の仲を裂けるはず。
そこから二人きりの時間を作りだし、「誰にも言えない二人だけの秘密」の過去をでっちあげる。
「主人公が相談出来ないことがある」ってのは幼なじみのアドバンテージを奪うことに繋げられる。
とりあえず続きは次回

685 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 07:16:17 ID:OxDMXy3J
記憶喪失を良い事に色々吹き込み、体の関係へ。
「●●君、いつも私をこんな風に突いてたんだよ。」
「いつも激しく私を求めて来て…」
みたいな感じ。

686 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 09:03:02 ID:UpIK35r2
>>682
今のほの純スレはそんな感じだよ

687 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 10:23:09 ID:mwnjwBtM
計画的純愛
……純愛?

688 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 12:43:07 ID:1E6J3+RT
>>686
URLくれ

689 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 14:32:37 ID:WI1jFD4O
>>688
板検しようよ

690 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 14:34:17 ID:CFCqsWms
>>688
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1195144091/
はい。

691 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 17:33:59 ID:xVWLrCaw
>>685
ひでえwww

692 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 18:30:34 ID:1E6J3+RT
>>690
thx
これはいい純愛

693 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 19:35:27 ID:Y2PT3eJU
>>690
こんな良スレがあったなんて…

694 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 19:47:03 ID:pVmKBoPx
宣伝すんなVIPPER
死ね

695 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 20:35:07 ID:OxDMXy3J
ヤンデレの子と結婚しました。
その結婚生活は一体…?
妄想・想像してみてくれ。

696 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 20:36:40 ID:WNjtBfdW
男がしっかりしてたらただの仲の良い夫婦だろうな

697 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 21:13:06 ID:W5utGCcg
だめ夫だと臨時保管庫の病み妻みたいになるのか

698 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 22:50:23 ID:/nPTySul
>>696
しかっりしてる→夫に惹かれた雌猫が擦り寄ってくる→妻発狂
つまりどう足掻いても波乱は起きると

699 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 22:50:44 ID:/nPTySul
しっかりだ、すまねぇ

700 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 23:01:43 ID:mV7VhGDd
だめ夫がやる夫の一種かと一瞬でも思ってしまった。

701 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 23:08:45 ID:N2BRC4he
>だめ夫がやる夫の一種
素晴らしくうざそうな奴だな、もしかしたら誠に勝つかも試練

702 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 23:39:55 ID:lVT66CFL
ちょっと待ってほしい、ヤンデレの夫ということは何年もヤンデレの熱烈な求愛行動から生き残り続けた
対ヤンデレのエキスパートといえないだろうか

ヤンデレな現妻の危険性を認知して、生命の危機を巧みにかわし、すかしつつ
刺激を与えず、絶妙なタイミングで飴を与えるような綱渡り的な技能を持ち
その人生のほとんどをヤンデレに対する対処に費やすような人物でなければ

って、あれ… これヤンデレじゃね

703 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/27(火) 23:46:03 ID:8KHBX789
奥さん一筋なら幸せな生活送れるな>ヤンデレの夫


夫に手を出そうとする泥棒猫を牽制するヤンデレ
そんな事に全く気付かずのほほんと暮らす夫


理想的だ…

704 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/28(水) 00:46:45 ID:XQB+Owqs
娘の存在はどうした…?

705 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/28(水) 01:32:59 ID:G0zvWEK6
娘 「おおきくなったら、おとーさんのおよめさんになるの」
父 「ははは、待っているよ」
娘 「……ええ、アノ女を始末するまで、もう暫くお待ちくださいね」

706 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/28(水) 01:56:06 ID:TMB5fGxl
漢字増えすぎワロタ

707 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/28(水) 17:05:36 ID:uzq9Fd+u
>娘 「おおきくなったら、おとーさんのおよめさんになるの」
可愛いな~(*´∀`)和む
>娘 「……ええ、アノ女を始末するまで、もう暫くお待ちくださいね」
ゾクッ(lil´Д`li)

708 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/28(水) 18:44:27 ID:o5Lh2cQG
「こんばんは●●さんの旦那さん、この間のお礼に今度ウチに遊びに来ない?」
「いやいや▲さん、町内会長としての勤めを果たしただけですよハハハ…」
数日後…
「ニュースです、▲芳恵さん(32)の遺体が■港で発見されました。警察では自殺と事件の両面…」
「最近、事件多いわね~」
「お前も気を付けろよ~最近変質者多いし。」
(そんなのが来ても逆にバラしてやるわ)
「うん、気を付けるわ。あなたこそ襲われないようにね。」

709 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/29(木) 07:49:20 ID:eLHn8LZ9
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080529-00000017-nnp-l40
ババアという点が非常に残念

710 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/29(木) 14:25:54 ID:DuzjBxtI
想像力が貧困だな
58歳の幼女に決まってるだろう
異論は認めない

711 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/29(木) 17:28:40 ID:MwPkgDsq
さくらさんなんか70近いしな。
ババァ可愛い

712 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/29(木) 18:30:37 ID:UqDM1zrA
>>710
58歳の幼女って二通りあるよな、幼女にしか見えない58歳、58歳にしか見えない幼女。
どっち?

713 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/29(木) 18:45:17 ID:MwPkgDsq
屋久島の千年杉からしたら58など幼女も幼女、赤ん坊だわな

714 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/29(木) 19:17:48 ID:wuzCme46
お前らせめてデモンべインのアル位は言ってやれよ

715 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/29(木) 20:23:25 ID:zndQ21Nn
人間だったのか、人間に扮装した人外の存在だったのか。それが問題だ。

716 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/29(木) 22:02:39 ID:MRACkAXA
雑談なら他でやれやクソ共が!!

717 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/29(木) 22:09:19 ID:LmZp+KXG
と、ヤンデレが申しております

718 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/29(木) 22:10:21 ID:C5/WS/V2
いやいやこういう雑談から
インスパイヤされることだってあるんだから

保守代わりにもなるし

719 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 00:04:53 ID:Eku9+eSo
>>716
まあまあ、ヤンデレのお友達を探してみたが見つからなかったからってここで爆発させることはない。

720 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 01:31:00 ID:F3e64BP7
問2 以下の事態が起った場合を想定せよ。

主人公に飲ませようと用意した惚れ薬を
誤ってヤンデレヒロインの方が飲んでしまった場合、
どのような反応が起こる?

721 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 02:44:10 ID:vGBcozYQ
>>720
そういえばそういうSSあったような希ガス

と、言うか一昨日俺のPC(4代目・愛称弐号機)がお亡くなりになった。
それと共に、書き溜めていたSSもお亡くなりになった。
スレのみんな!オラにヤンデレ分をわけてくれ!

722 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 02:46:01 ID:u+njfJQa
>>721
おまえ前日にPCショップかショップのHPに行かなかったか?
もし行ったのなら、そういうことだ。

723 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 07:04:33 ID:15NZbi1E
>>720
映画の1941年版「奥様は魔女」
(魔女っ娘がヴェロニカ・レイクで、監督がハリウッドへ亡命中だった巨匠ルネ・クレール)
では、お間抜けな魔女っ娘が
ターゲットのフレドリック・マーチに飲ませようとした惚れ薬を、間違えて自分で飲んじゃって、
散々騒動を起こした末、マーチの婚約者をドタバタで排除して自分が妻に納まってしまうんだよな……

これはかなり古い例だが

724 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 07:41:55 ID:betx3oFo
ごく普通に泥棒猫を排除しちゃったのか

725 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 08:34:58 ID:ABI1Tq06
もともと愛で動く人だしねぇ。

ヤンデレヒロインが、ターゲットとは別の男も好きになってしまったらどうなるんだろう。
全くあり得ない話ではないと思う。

726 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 09:00:45 ID:m5ll++w0
>>725
それは惚れ薬を飲んだときの話だよな?
それならば確かにありえない話でもない。まったく想像もつかないな

727 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 10:16:16 ID:ABI1Tq06
よく考えてみたら素ではほとんどあり得ないな……。
穏やかな病みを持ちながら衝動的な愛情を覚えたタイプならあるかな、とは思ったんだ。
揺れ動く心の間で病みの素質を開花させた、とか。……例がないな。

もちろん我妻由乃あたりだと全くあり得ないな。惚れ薬ですら無意味になるかも

728 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 10:30:46 ID:m5ll++w0
>>727
素で心移りするってのはヤンデレってより狂デレだな
ヤンデレとは異なる

729 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 11:55:05 ID:jiC4OdD6
ふと思ったんだが、ヤンデレを止めたり正気に戻すことは出来るのだろうか?
一度発症したら治らないってイメージあるが「病む」ってことは不治でない限り治るのではないか?

730 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 12:38:17 ID:m5ll++w0
>>729
軽度ならば満たされてる間は正気だろうよ
ただ、不治の病もあるわけで

731 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 12:42:50 ID:+D2jD5vF
恋は不治の病とか言うが。・・・まあどうでもいいや。
確か前に彼が治して元に戻った作品もあった。
どっちにしても二人はハッピーエンドになるというのも
ヤンデレ話の特徴。

732 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 14:23:01 ID:yKgaZX2g
>>703のネタに萌えて書いた。今は反省はしている。
エロ無し小ネタでごめん。


12月某日 晴れ

夜、仕事を終えアパートに着くと、家の戸の前で音もなくうずくまっている妻を発見。
声をかけるとパッと顔を上げて抱きついてきた。恥ずかしいが思わずにやける。
この寒い中健気に外で待っていてくれていたらしい妻を連れて帰宅。
戸を開けると、とたんに妻お手製の手料理の匂いが鼻腔をくすぐって思わず腹が鳴りそうになる。
着替えを手早く済ませてさっそく食事。酒のつまみ程度のものから豪華なディナーまで、種類を問わず妻の作る料理は何でも美味い。
確か初めて食べた時は美味いと感じるだけだったのに、何度も食べているうちに妻の料理を食べると妙に気力が湧いてくるようになって、
今ではすっかり舌が肥えて妻以外の作った料理が美味しく感じられなくなってしまったんだっけ。美味すぎる料理というのも考えものだ。
中毒症状ってこんな感じなのかもしれない。冗談交じりに薬でも入ってるのかと訊いてみる。
「あなたはとってもじょうぶですし、わたしの愛情とまぜればどんなおくすりだってへいきですよ」なんて返す妻。
勿論怪しげな薬なんかが入っている訳はないけれど、こうして毎日妻の手料理を食べられる俺は本当に幸せだと思う。

料理を食べ、しばらくのんびりとテレビ鑑賞。人気アイドルが精神衰弱で入院、というニュースが流れていた。
そのアイドルはつい昨日見たバラエティ番組で笑顔を振りまいていて、
やっぱり可愛いな、人気あるのもわかるななどと妻と話したばかりだったので驚いた。
ほんとうですね、と洗い物を終えていつの間にか背後に立っていた妻が言う。
「でも、あのくらいのおしおきでまいってしまうようではあなたの目にうつる資格なんてありませんよ。
5分もたたずに泣きだしちゃったんですから、あのひと」そう言ってぶちりとテレビの電源を消す。
…どうやら妻は俺よりもずっと詳しい事情を知っているようだ。
野次馬根性で訊いてみようかとも思ったけど、微笑む妻を見つめているうちにそんなアイドルのことはどうでもいいような気がしてきた。
それに何故だかひどく眠い。満腹なせいかな…
どうかしたんですか?と不思議そうに小首をかしげる妻に眠気を訴える。
「ここのところあなたは残業ばっかりでしたから、おつかれなんですよ。いちどぐっすりねむったほうがいいです」
妻に支えられながら寝室へ。上手く足が動かず、ふらふらしながらベッドに倒れ込む。
こんなに急に眠くなるなんて…自分では気付かなかったけど、妻の言うとおり俺は相当疲れていたようだ。
明日は会社も休みだし、今夜は二人で存分にいちゃついてやろうと思っていたのに…無念。
どうやら添い寝をしてくれるらしい妻を抱きしめて悔しさを紛らわせる。
妻はさきほどからずっと俺の顔ばかり見つめている。無言で。
照れくささを覚えつつ気絶するように就寝。明日は二人で買い物にでも行こう。



733 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 16:27:31 ID:l9Rv08uo
>>732
まさか何気なく書いた妄想を形にしてくれるとは…
GJ!!と言う言葉を贈りたい


734 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 18:36:14 ID:CD0hglGv
>>732は天才

735 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 18:47:01 ID:068ruAIx
1月某日まだー!!!!

736 名前:732[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 23:19:47 ID:vwlxpr91
>>733-735
ありがとう
でもこういうの書いたの初めてだから全体的に日本語でおkな文章で読みづらくて申し訳ない
あとタイトル付け忘れてた
「ヤンデレ妻と私の姿(平凡な日常編)」です

737 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/30(金) 23:53:40 ID:xUJUDCxO
>>736
あんた最高だぜ

738 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 00:13:24 ID:XkZBFsYE
>>736
出来ることなら続き書いてください。ヤン妻好きなんですハァハァ

739 名前:732[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 00:18:57 ID:NYFrnUgn
>>737
ありがとうあんたも最高だぜ

そしてタイトルが保管庫の作品とちょっと被ってしまって恥ずかしくてうわあああ(ry
なので「ヤンデレ妻と平凡な日常」にかえますそうします

740 名前:732[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 00:22:57 ID:NYFrnUgn
もたもたしてる間にありがたいレスが…何度も書き込んでごめんね
>>738
妄想だけはひろがりんぐなので、形に出来たらまた投下します

741 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 01:08:06 ID:zugEAURX
>>739-740
これからも書くことになるかも知れないから言っとくけど
そういった書き手のレス返しは、叩きの原因になるから以降自重した方がいいよ
俺にも分かったとかレスは返さなくていい、おせっかいかも試練が理解してくれ

742 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 02:59:17 ID:rRCLXnef
>>736
初めて書き手になったヤツの宿命よな
まあ落ち着け。そしてGJだ。

しかし人妻のヤンデレとか良いな。夫に尽くすヤンデレとか超興奮しますよ


743 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 08:16:57 ID:SVJ9SO3y
そして伝説へ……

744 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 12:49:41 ID:6uLbWqOH
問3 以下の事態が起った場合を想定せよ。

DV男にヤンデレヒロインが惚れてしまった場合、
どのような展開になる?

745 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 13:11:15 ID:EXG6Rie0
壮絶なマゾになって環境に適応する。

746 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 14:30:15 ID:tujUXeFJ
‘お仕置き’と言う名目で壮絶に痛め付けた後、濃厚に愛する。
強烈な飴と鞭で男を調教。
三週間の監禁生活が終わった時、男の威勢(虚勢)は消え従順な雄がそこにいた。         

747 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 14:32:29 ID:3Ex/kr1V
参考までに
カルタグラの由良様は主人公に拳銃で撃たれたときに
「彼の男根で貫かれてるみたいで興奮する」って考えてたらしいです

748 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 18:39:28 ID:igstcr0M
とある女は男に斬りつけられながら絶頂に至ったらしいぞ

749 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 21:00:20 ID:tujUXeFJ
ネタ ヤンデレブートキャンプ。
初日。 「私は、先任軍曹の闇輝音那だ。貴様等は厳しい私を嫌う!」大部屋にズラリと並んだ訓練生の前を練り歩く闇輝。
「あの人、二十歳前かしら?」一人の少女が呟く。
「誰だ!喋ったバカモノは!…答え無し?魔女のババアか!」声のした方に歩いてくる闇輝。
「貴様か?そんなにイヤなら帰れ。」適当に当たりを付け冷酷に言い放つ闇輝。
「私です!」横の少女が名乗りを上げた。
「名前は?」「三沢志那乃です。」
「気に入った、家に来て弟をファックしても良いぞ。」言いつつ志那乃の腹を一発殴る闇輝。
「泣いたり笑ったりできなくなるまでタップリ可愛がってやる!」
「いい話だ、よく聞け。ウチの食堂では巨乳定食はださん。」
胸が大きめの娘の前で止まる闇輝。
「お前の名前はビックバスト二等兵だ。良い名だろ?」
「ちょ…はい。」抗議しようとしたが眼光に負けた。
「口からクソ垂れる前と後にsirと付けろ!」


750 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 21:17:41 ID:lNWX82AQ
主人公を誘惑したニコ目の先輩を微笑みデブ呼ばわりするんですね。わかります

751 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/31(土) 21:27:22 ID:PwJe5d+/
傍観者まだ?

752 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 21:32:30 ID:0W/Q+DsD
ヤンデレ広まってきてるけど確実にメンヘラと混同されつつあるね

753 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 22:03:43 ID:SVJ9SO3y
やっぱり、スクールデイズの鮮血エンドの影響かね。
刃物持って、輝きのない目をして、高笑いすればヤンデレと思われるのは。
スクールデイズは悪くないけどね。
イメージが先行しているのかも。
そう考えると、ひぐらしのレナも誤解されているわけだから、ある意味被害者ではある。

754 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 22:18:39 ID:ylhKRMSg
>>752>>753
もうその手の話は…

755 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 22:23:23 ID:P3YavxTL
俺は説明するとき、ヤンデレのヤンはすなわちデレと説明することにしている

756 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 22:56:55 ID:duUdBFhS
>>752.753.755
その話はもうお腹いっぱいなんだぜ

757 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 23:10:29 ID:BZU0geLa
>>751
まだっていうほど期間開いてないだろ
楽しみなのは分かるが、作者のことも考えようぜ

758 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 23:16:39 ID:vVp89UsD
やんぱんまん

759 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 23:23:52 ID:BZU0geLa
愛と狂気だけが友達なのか

760 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/31(土) 23:42:13 ID:Ts6tlCE6
今現在、臨時保管庫のスポンサードリンク
「ヤンデレ大全」「ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD」「ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCDぎゃーーーっ!」
こればっかり出て来る、完璧だがちょっと怖い

761 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 00:26:36 ID:HivnVanM
何となく続き。ヤンデレブートキャンプ一週間目。
ここは某県山中、病み女とキモ姉妹気取りが通う十二週制海兵隊式訓練所だ。
「アイツに届けよこの想い!」
「「アイツに届けよこの想い!」」まずは基礎体力を付ける訓練から始まった。
闇輝の後に続いて歌う訓練生達。軍曹ソングに乗せて今日も走り続ける。
その後、障害突破訓練に移行する。
「何やってる!上で彼が泥棒猫に襲われてたら登るだろ!」一段目の障害に跳び付けない少女に向かって叫ぶ闇輝。
四週間目、格闘訓練が始まり、銃剣道の訓練開始と共に銃の訓練も始まった。
「諸君、加藤鷹を昇天させた、ピンクパンティー越しの冒険はもう終わりだ。」
就寝前に訓示を行う闇輝。
「今日から貴様等が使えるオモチャはM14だけだ。」
こうして訓練生達は眠りに付く。  

762 名前:注意書き ◆AO.z.DwhC. [sage] 投稿日:2008/06/01(日) 01:07:18 ID:IVExRprK
男視点とヤンデレ視点の日常話です。
エロは仄めかす程度にあります。
よろしければお付き合いください。


763 名前:日常[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 01:08:34 ID:IVExRprK

夕日が空を真っ赤に染めて、遠い地平へとすべり落ちていく。
教室はその光を受けて濃いオレンジ色に包まれていて、まるで見知らぬ場所のようだ。
ぼんやりと机に肘をついて見るとも無しに運動部連中が忙しなく動き回るグランドを見下
ろす。

ふと、昨日やっていたロードショーの悪役を真似して呟きたくなったので、こっそりと口
に出してみる。
「みろ! 人がゴミのようだァー! ははははは!」
勘でやってみたら、似ても似つかないものになったので、誤魔化すように口笛を吹いてい
ると、教室の引き戸がガラリと開いた。
「涼ちゃん、帰ろ! 待っててくれたなんて嬉しいな。今日おばさんいないんだってね、
料理作ってあげてって頼まれちゃった」
引き戸を開けてから、一息に言い切った少女は嬉しげに俺に近づいてくる。
セーラー服のスカーフを靡かせながら小走りにこちらに向かってくる様子は、まるでどこ
かのアイドルのグラビアめいて可愛らしい。

少女――小山内恵美(おさないめぐみ)は俺の幼馴染にして、校内一の栄誉をほしいままにす
る美少女である。
栗色の長い髪はあくまですべらかに美しく、ミルク色の透明感に溢れる肌にはしみ一つな
い。
顔の造形は可愛らしさと美しさを絶妙に兼ね備えていて、完璧な造りの二重瞼はすっきり
と美しく、しかし肉厚の唇はふっくらと可愛らしかった。
すらりと伸びた手足は、一見して華奢に見えるが、つくべきところにはきっちりと肉がつ
いた、素晴らしいプロポーションであることを、恵美は水泳の授業で証明してみせた。
その所為で、途中から選択水泳ではなく必須に取り入れてくれと男子生徒が血涙を流した
らしいが。

ともかくも、実に麗しい幼馴染どのは、今日も今日とて、俺の腕を取ると無理やり机から
立ち上がらせた。
「涼ちゃん、なに食べたい? やっぱりハンバーグが好き? グラタンにする?」
「あー……なんでもいいや。恵美のはなんでも美味いしな」
立ち上がらされたまま、鞄に適当に荷物を詰め込みながらそう答えると、恵美きもじもじ
と身体を揺らす。
「りょ、涼ちゃんてばー、もう!」
「痛っ! おま、叩くなよ。痛いよ」
バシバシと背中を叩く恵美に抗議すると、彼女はえへへ、と笑ってそれを誤魔化した。
なにやら照れているらしい。褒め言葉なんか聞きなれているはずの恵美が、どうしてまた。
不思議に思ってマジマジと顔を眺めると、どう考えても人種が違うとしか思えないような
美しい顔立ちが仄かに赤く染まっている。


764 名前:日常[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 01:09:03 ID:IVExRprK

「恵美、顔赤いぞ? 熱でもあんのか?」
「う、ううん……大丈夫。それより涼ちゃん、また絡まれたんだって? お昼休みいない
と思ったら、なんか怖い人たちに連れてかれてたって佐々木くんから聞いたよ!」
ぶんぶんと首をふった後、恵美は一転して心配そうに眉を寄せる。
「また絡まれた」というのは、言わずもがな、恵美という美少女の隣にどう見ても釣り合
わない俺みたいな男がいる所為だ。
所謂やっかみなのだが、どうにも俺への風当たりは強い。
蹴りつけられて痛む腹を抱えながら、頭に手を乗せると、恵美はぴくりと頭を振るわせる。
「あれなあ……恵美、俺たちそろそろ一緒に帰ったりすんのやめないか? そもそも……」
ため息まじりにそう言うと、食って掛かりそうな恵美の顔に二の句が告げなくなる。
美人が怒ると怖いと聞くが、美少女の怒りはものすさまじい。
般若のように顔を歪める恵美は、白い頬を朱に染めてこちらをにらみつけた。
「お、落ち着けよ……。べつに、俺だってお前といたくないわけじゃないよ。恵美は大事
な幼馴染だし」
「…………誰?」
「へっ?」
「涼ちゃんに、そういうくだらないこと吹き込んだの、誰? 涼ちゃんが私とのことそう
言う風に考えるのって、昔から絶対誰かに言われてからだもん! 誰?」
宥めるように肩を抱くと、恵美は低い声で俺を問い詰め始める。
しどろもどろになって弁解を試みるが、実際に恵美の推理どおりであるからして、なかな
か難しい。
なんとか名前を出さずに誤魔化そうとするが、恵美は追及の手を緩めない。
思えば、昔からこうなった恵美には逆らいきれた試しがなかったなあ、とため息をつきな
がら、俺は遠い夕日を見つめた。


***


まだずっと幼い頃だ。
まがりなりにも高校生になった俺が、今の半分も身長がなく、恵美よりも低かったときの
こと。
小学生だった俺らはその頃から変わらず仲がよく、いつも一緒に遊んでいた。
俺はその頃から恵美との関係に対する認識を、お隣さんというだけの繋がりから、大事な
幼馴染だという認識に変えていったように思う。
恵美は昔から綺麗で可愛かったが、その頃はずっとお転婆で勇敢で、一緒にいて飽きるこ


765 名前:日常[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 01:10:11 ID:IVExRprK
とが無かった。
「涼ちゃん! 今日は探検だよ!」
可愛らしい声で誘いにくる恵美を、ランドセルを放り出して追いかけるのが楽しかった。
一緒に泥だらけになって叱られたこともあった。

小学校も高学年になると、それまでのように全く男女の隔てのない付き合いというのは難
しくなる。
なにしろ恵美は美少女だったので、クラスの色気づいた男子は彼女にちょっかいをかけて
はあっさりと玉砕し、その八つ当たりに俺を怒鳴りつけた。
「なんでいつまでも女なんかとつるんでるんだよ! お前も女なんじゃねーの?」
その言葉に反論しつつも、俺は心のどこかに棘が刺さったような気分になった。
それは恵美との純粋で楽しい関係が崩れてしまったことへの悲しみかもしれないし、ただ
単に侮辱されたのが悔しかっただけかもしれない。
ともかくも、俺はその時初めて恵美との関係に疑問を差し挟むことになった。

幼い俺は幼いなりに必死に考えて、泣きそうになるのを堪えて恵美に言った。
「俺、もう恵美ちゃんと遊ばない」
「…………なんで?」
俺が一大決心をして望んだ、絶交宣言に恵みは茶色い目を見開いてそう答えた。
その透明な眼差しに怯みながら、俺は聞きかじった知識で恵美に畳み掛ける。
「男と女が2人だけで一緒に遊ぶのは、いやらしいんだってさ。俺は恵美ちゃんに迷惑か
けんのやだから、もう一緒に学校行くのもやめるし、遊んだりしない」
「涼ちゃん、それ誰が言ったの? 恵美は迷惑だなんて思ったことないし、涼ちゃんと一
緒にいると楽しいから一緒にいるんだよ? 
恵美は涼ちゃんと一緒にいたいの。涼ちゃんはもう恵美と一緒にいるのヤになった?」
「……………そんなこと、ないよ」
必死に言い募る恵美の目に、みるみる透明な膜が張っていくのに気づいて、俺は恵美の肩
を叩いて囁いた。
「俺、恵美ちゃんと居るの楽しいよ。ずっと一緒にいたいくらい」
「…………うれしい。恵美も涼ちゃんとずっと一緒がいいな」
一転してにこにこと笑い出した恵美に、ちょっと騙されたような気分になったが、その笑
顔が非常に可愛らしかったので俺はなにも言わないことにした。
ずっと一緒、と指きりをした、恵美の小指がびっくりするほど小さくてすべすべで、なん
だかドキマギしたことを今でも覚えている。

その後、恵美曰く「俺に間違った知識を吹き込んだ」クラスのリーダー格だった男子は見
るも無残にクラスの頂点から転落し、いつのまにか転校していった。


766 名前:日常[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 01:10:52 ID:IVExRprK

恵美は終始ソイツを、まるでゴミを見るような目で見つめていたが、その度にどこか切な
げに目を伏せる彼の姿は妙に印象に残っている。
彼なりの初恋だったんだろうなあ、と同情が沸いたが、俺も少しは例のことを根に持って
いるのでなにも言わなかった。
恵美とは結局、小学校を卒業して中学に入学し、同じ高校に通う今日に至るまで、ずっと
学校への行き来をともにしている。


***


「で……涼ちゃんは一体誰にそんな馬鹿なこと吹き込まれたの?」
「落ち着けよ、恵美。いいからそろそろ帰ろうぜ」
「……ふぅん。ま、いいけど」
食い下がる恵美をなんとか宥め、後ろから肩を抱いて教室の出口へと押し出すと、恵美は
少しだけ楽しそうに笑った。
くすくすという鈴を鳴らすような声は無人の廊下に響き渡り、どことなく不気味だ。
「それで涼ちゃん、今日はなにがいいの?」
「なんでもいいよ。恵美が作るってくれんなら。でも洋食がいいな。ここんとこ和食ばっ
かだったし」
「いいよー」
先ほどまでの烈火のような怒りを綺麗に消し去り、恵美は口元に手を当てて楽しそうに笑
った。
並んで歩くとよく分かるが、俺は恵美より頭一つ分以上に高くなっている。
恵美の頭に手を乗せると、彼女はどことなく悔しそうに(多分身長を抜かされたのが悔しい
んだ)、しかし嬉しげに頬を染めた。
「なんか腹減ってきた。早く家帰ろうぜ、恵美」
「ちょっと! 廊下は走っちゃ駄目なんだからね!」
「おいてくぞー?」
走り出した俺の背中に、風紀委員らしい注意が降りかかるが、無視して走り続けると、後
ろからパタパタと駆け出す足音が近づいてくる。
いくらスタートの差があるとはいえ、相手は市の陸上記録持ち(中学生の部)だ。
昇降口までにはかなりその差を詰められ、デッドヒートが繰り広げられた。




767 名前:日常[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 01:12:03 ID:IVExRprK

***


涼ちゃんの家は、なかなかご両親が帰ってこない。
小さいときからそうだったらしくて、私もよく夜遅くまになるまで涼ちゃんの家で遊んで
いた。そんな家庭環境にもかかわらず、涼ちゃんはしごく真っ当に育って、変に捻くれた
りもしなかった。

私は私自身がちょっとばかり捻くれているところもあって、そんな涼ちゃんが眩しくて大
好きで仕方ない。涼ちゃんも、最近は照れて言ってくれないけれど、昔はよく私のことを
好きだといってくれた。

ずっと一緒にいようと約束した日のことは忘れた事がない。
涼ちゃんの真剣な眼差しがまるでプロポーズのようで、今でも夢に見て頬を染めているくらいだ。
「ん~~んん~~ん~~ん~~」
幸せな空想に浸りながら、鍋をかき回していると、涼ちゃんがリビングでテレビのチャン
ネルを変えながらこちらを見つめた。
多分、シチューの煮える匂いが気になっただけだろうけど、なんだか自分の考えを読まれ
たような気分になって、私は思わず顔が赤らむ。
「おーい、大丈夫か?」
そんな私の様子を不信に思ったのか、涼ちゃんはテレビから離れてキッチンまでやってきた。
こんな風にやさしい所は昔から変わらない。
嬉しくてドキドキして、更に顔を赤くした私の額に手を当てた涼ちゃんは難しい顔をする。
「熱はないみたいだな……俺がかわろうか?」
「だ、だいじょーぶ! 涼ちゃんはゆっくりしてて!」
心配そうに覗き込んでくる顔の近さに、胸が高鳴るのが分る。
心臓の鼓動がうるさいくらいに鳴り響いて、自分の声を聞き取るのにも一苦労なほどだ。
至福だけど辛い試練のような時間は、永遠のようにじりじりと過ぎていくように思えたけ
ど、次の瞬間にそれは一気に霧散した。
「分った。辛かったらちゃんと言えよ?」
「うん! ありがとね、涼ちゃん」
涼ちゃんの眉がほんのりと下がり、口元は小さく歪められていて、私を気遣っていることが分る。
嬉しくて嬉しくて、弾んだ声でそう応えると、涼ちゃんは頷いてリビングに戻っていった。



768 名前:日常[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 01:13:12 ID:IVExRprK

***


涼ちゃんと私が出会ったのは、お隣さんなだけに物心つく前だった。
ほとんど生まれたときからずっと一緒にいた涼ちゃんは、そのときからずっと私の特別だった。
小さく光る星みたいに、強くはないけど確かにきらきらとした光を纏った涼ちゃんは、あ
まり何かに興味をもてない性質だった私の、色々な感情を掘り起こしてくれた。
両親にすら特別な思い入れがなかった私が、唯一執着を覚える涼ちゃんは、けれど私のこ
となんかてんで気にしていないようで、平気で私以外の子とも仲良くしていた。
それが面白くなくて、何かにつけて涼ちゃんの好きそうな遊びに誘い、連れ回して、よう
やく本当の涼ちゃんの隣という位置を手に入れることができたのだ。

だから、私が涼ちゃんの隣にいることと、涼ちゃんが私の隣にいることは、その時から当たり前のことなのだ。
何しろ、滅多に努力しない私が珍しく努力に努力を重ねて手に入れた場所なのだから。


ある日のこと、小学校の高学年になった涼ちゃんは、背負ったランドセルをカタカタと揺らして私に言った。
「もう、恵美ちゃんと一緒にいるのやめる」
頭が真っ白になるかと思った。
ようやく手に入れた、涼ちゃんの隣というスペースにすら不満を抱きはじめていた私にと
って、それは死刑宣告にも等しいものだったのだ。
真っ黒い目で真っ直ぐにこっちを見つめる涼ちゃんは、なんだか見知らぬ男の子のように
見えて、無意味に胸がドキドキしたのを覚えている。
「なんで?」と聞いた私に、涼ちゃんはいっぱいいっぱいな顔で「男と女がふたりきりで
一緒にいるのはいやらしい」と力説してくれた。
それを聞いた私は、なんだかちょっとだけ嬉しくて、それ以上に涼ちゃんにいらない事を
吹き込んだ馬鹿が許せなくて彼に詰め寄った。

本当のところ、早熟だった私は涼ちゃんと「いやらしい」ことをしたかったのだが、どうにも身体が
ついていかなそうだったし、涼ちゃんに嫌がられたら立ち直れないのでそれを誤魔化した。
代わりのように涼ちゃんに馬鹿なことを吹き込んだ男に殺意を燃やしつつ、涼ちゃんと指きりをした。

触れ合った小指の先に感じる涼ちゃんの熱い体温に無性に興奮して、家に帰ってから疼く
下半身をその指で慰めたものだ。
その日の夜は布団の中で涼ちゃんを思い出しながら一人の行為に耽った後、いらないこと
を吹き込んだらしいクラスメイトの猿をどうしてやるか、悶々と思い悩んだ。
結局転校していった、根性ナシの馬鹿の顔は未だに思い出せないが、涼ちゃんと私の愛の
確認のために多少は役立ったことを認めてやってもいい。


769 名前:日常[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 01:14:03 ID:IVExRprK
***


ついつい零れ落ちる意地の悪い笑みを抑えて、沸き立つ鍋の火を落とす。
もうもうと立ち込める湯気が視界を覆って、柔らかなクリームの匂いが鼻腔をくすぐった。
「涼ちゃーん、できたよー」
「おお、お疲れ。皿出すわ。盛り付け俺がやるから先休んどけ」
「ありがとー」
リビングに向かって声を掛けると、涼ちゃんは私をいたわるようにそう言って、食器棚か
らシチュー皿を取り出した。
まるで夫婦のやりとりみたいだ、と口元を緩めながら、涼ちゃんの後姿を見つめる。
にまにまと笑いながら、細々しく働く大きな背中をリビングから眺めていると、本当に涼
ちゃんと結婚したみたいで、嬉しい。
「ほら、恵美のぶんな。あと水と……サラダ作ってくれたんだな。ありがと」
「気にしないで! パンもってくるね」
「いいから座っておけ」
マメに動く涼ちゃんは、まさしく理想の旦那さまってかんじだ。
ますますにやにや笑いが止まらない。背が高くて、顔もカッコイイってほどじゃないけど
それなりの涼ちゃんは、普通だったらそれなりにモテる。
けど、どうにも涼ちゃんは普通以上にモテる性質みたいで、どの女も涼ちゃんを狙いまく
っている。
今日の体育の授業の時に涼ちゃん話しかけていたあの女だって、涼ちゃんを狙う女狐に決
まっているのだ。
はしたなく涼ちゃんにすりよりやがって、あの売女、どうしてくれよう。
……いやいや、それよりも、涼ちゃんにいらないことを刷り込んだ阿呆のほうが先だ。
昼休みに涼ちゃんを呼び出して私たちの仲を裂こうとした、どうしようもない馬鹿をはや
く特定して、相応の罰を与えないと。
目まぐるしくそんな事を考えている間にも、涼ちゃんは手際よく食卓を整えていった。
飴色のテーブルの上には私が作ったサラダとシチュー、それに涼ちゃんが切ったフランス
パンが並んでいく。


770 名前:日常[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 01:15:28 ID:IVExRprK

座ったままぼんやりとしていた私に、涼ちゃんはにこりと微笑んで言った。
「ほら、準備できたぞ。本当にだいじょぶか?」
「うん平気―。ありがとね」
「おうよ」
にこにこと笑いあってスプーンをとり、頂きますの言葉ともに夕食は開始された。
ちょっぴり考え込んでいた私を、具合が悪いと勘違いしている涼ちゃんは、いつもより優
しくて、私はときめいてしまう。
凄まじい勢いで皿を空にしていく涼ちゃんの食べっぷりを見ていると、こちらがお腹一杯
になってしまいそうだ。
ため息交じりにその様子を眺めていると、なかなか進まない私の食事に涼ちゃんは不信そ
うに眉を顰めた。
いけないいけない。慌ててスプーンを動かすと、涼ちゃんは納得したように一つ頷いてグ
ラスを煽り、お替りをよそう為に席を立つ。
「………………」
それを見守りながら、私は無性に腹が立ってフランスパンをむしった。
こんなに仲が良くて理想形ともいえる私たちの仲を裂こうとする全てのものが厭しい。
私たちは私たちだけで完結していて、それが自然なのに、どうしてみんなそこに割り込も
うとするのだろう。
おかしいと思わないのだろうか。恥ずかしいとは思わないのだろうか。
つらつらと考えている間に、むしったパンくずが皿から零れ落ちているのに気付いて、私
はそれをあわててシチューに沈める。
シチューの汁気を吸って膨張したパンをスプーンで掬って口に運びながら、胸に蟠る殺意
をなんとか宥めた。
別に人を殺すのが嫌なのではない。涼ちゃんと一緒にいられなくなるのが嫌なのだ。
もし殺人が罪でなかったら、私は私たちの為にとっくに何人かは殺しているだろう。
「パンにシチュー浸すのって美味そうだな。俺もやろ」
「美味しいよー。涼ちゃんもやってみなよ」
私がシチューからパンを掬い上げているのを見て、いつのまにか席に戻ってきていた涼ち
ゃんは楽しげに笑った。
それに微笑みを返しながら、私はスプーンでシチューの中のパン屑を追い掛け回し、掬い
上げて口に運び、それをかみ締めた。



771 名前:終わり ◆AO.z.DwhC. [sage] 投稿日:2008/06/01(日) 01:17:19 ID:IVExRprK
以上、お付き合いありがとうございました。
途中で文が切れて次レスに繋がっているところは仕様だと目をつぶってやってください。

772 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 01:21:35 ID:RsJVMurO
GJ!!
続編期待!!

773 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 03:25:15 ID:GJt2JfuV
何とも正統派で安心してヤンデレに浸れる作品ですな
続き期待してます!

774 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 04:39:19 ID:4WOduGyi
すんなり読めて面白かった、GJ!

最近、狙いすぎた文章を見ると駄目だ
それは良くない傾向だよな……


775 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 09:42:30 ID:b4CT+weV
>>771
王道だな。いい感じです。転向した男の子にいったい何をしたんだ

776 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 13:05:58 ID:9vPPiWmh
>>771
神作品の予感!

777 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 13:14:25 ID:LnH+vpt0
>>759
ワロタww

>>771
GJ!!

778 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 14:25:10 ID:czdUIMgZ
>>774
ヤン、というより狂を前面に押し出された作品のことか?
大丈夫だろう。ヤンと狂は別物だし

>>771
GJ! ぞくぞくするw

779 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 21:13:18 ID:mS5B6/wL
>>771
王道ktkr GJだぜ!

780 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2008/06/01(日) 21:20:00 ID:9IbQiTfu
投下します。真夜中のよづりの続きです。

781 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2008/06/01(日) 21:20:49 ID:9IbQiTfu
さっすがにこの季節は日が落ちるのが早いこと早いこと。
ナイター施設のないグラウンドで練習していた織姫高校野球部(夏の県大会にて初戦敗退)は早々に解散したようで、校門からはブレザー下ジャージ姿の男子生徒がわいわい叫びながら排出されている。
遅くまで残っていた図書委員と図書室の住人のような、メガネの文学少女(一部腐文学)たちも黙って校門から抜けていく。
後は冬でも夜8時まで練習という俺には考えられないほどハードスケジュールを組まされている吹奏楽部と毎日残業ご苦労さんな先生らがだけが校舎内に残る。
チューバの音が音楽室から廊下まで響き渡る。そんな闇の帳がかかった教室で、俺は頭を抱えていた。
「さってと、どうするかなぁ……」
「えへへへへ、へへへ、えへへ」
俺が自分の机に腰かけ、よづりは俺の椅子に座っている。二十八歳とは思えないほど無邪気に俺を見つめるよづり。何が楽しいのだろうか、俺の手に自分の手を重ね合わせ、肌のぬくもりと手触りを感じ取るようになでなでしている。

「かずくん……。かずくんのおてて、おっきくて素敵……、ざらざらで元気な男の子みたいで素敵……、爪の形がとてもワイルドで素敵……。こんな素敵な手を持ってるかずくんがとっても素敵……」
俺の目を見ながらうっとりした表情を浮かべ、俺の手の甲から手首周りまで撫で回すよづりの細い指。
普段ならこんな美人に恍惚とした表情で肌を撫で回されば、モテない系思春期まっさかりである俺の心臓はどっくんどっくん血液を流動させはち切れんばかりに動悸が酷くなるんだろうが、
さすがに何時間もこんな行為をされたらハートも落ち着いてくる。
あー、うん。つまりだ。
俺が逃げたよづりを追いかけ見つけて、なんだかんだで慰めてから。よづりはずっとこの調子だった。
よづりの手を引いて、教室に戻った俺たちは先生に一応の事情を話し、ようやくよづりはうちのクラスメイトの一員となった。
「今日からまたみんなと一緒に勉強することになった榛原さんです。みんな、仲良くしてね」
担任の高倉先生は自分よりも年上の生徒に少し戸惑っているようだったけど、それをうまく隠してごくごく普通に紹介していた。童顔で背の低いスーツ姿の高倉先生と制服姿で血色の悪い大人びた顔立ちのよづりが並んだ風景は結構シュールだった。
「……榛原よづりです。……よろしくおねがいします」
俺の前ではふにゃふにゃの甘えたがりになるくせに、こういうときは大人しい。ぎょろりと動く目で教室内を見渡し、一言だけ簡潔に自己紹介を述べると、あとは黙る。
教室には委員長が居たため、俺はよづりが反応して暴れださないか心配だったが、よづりは委員長のことなど綺麗さっぱり忘れているようだった。
身構えた委員長のすぐ横をおぼつかない足取りで通り過ぎる、俺の横を通るとき、一瞬だけ俺ににたぁとした背徳的な笑顔を浮かべ、よづりは俺の列の最後尾の席に座った。
そのあとは、何事もなかったのように授業は続けられた。
授業中、俺は背中でよづりの視線を感じていた。背後から明らかに依存しきった瞳が2つ俺に向けて注がれていることがわかる。俺がちらりと振り返り様子を見ると、案の定よづりが俺のほうを見つめていた。
俺と視線が合ったことが嬉しかったらしい。ぽわぽわっと頬を赤らめて笑う。しかし、目の奥の光はぎらぎらと怪しく、その笑顔になにか寒気みたいなものを感じ慌てて視線を黒板へ戻した。
授業が終わると、よづりは真っ先に俺のところまでやってきた。
「えへへ、かずくん。ようやく授業終わったね。えへへ。これで一緒に居られるね」
そして、抱きつかれる俺。よづりはすりすりと俺の頭に自分の顔を押し付ける。
これにより、見事にクラスメイトたちは関わりづらい状況になる。俺とよづり、クラスから隔絶。
「「「………」」」

782 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2008/06/01(日) 21:25:40 ID:9IbQiTfu
ああああああ! すみません。 書いていた中盤部分が何故か消えていました。
申し訳ありません。日を改めて投下させてください。


783 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2008/06/01(日) 21:28:50 ID:9IbQiTfu
すみません。以下何事も無かったかのように続き↓。

784 名前:真夜中のよづり ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2008/06/01(日) 21:29:35 ID:9IbQiTfu
「よづり、そろそろ帰るか」
「………」
「よづりっ?」
「んっ、なあに、かずくん?」
俺の手の甲にまだ夢中なのかよ。
「いやな。そろそろ帰ったほうがいいんじゃないかな…って」
「帰る? おうち。帰るの?」
「おう」
「うんっ。かーえろっ!」
無邪気すぎる笑顔でよづりはにっこりと頷いた。

よづりの家に入った瞬間、俺は何かの違和感を感じた。玄関をとおり、靴を脱いでリビングへ案内される。
リビングは相変わらずのソファと小さな木製テーブルのみの殺風景な部屋だ。よづりは俺をソファまで連れて行くと、腰かけるように薦めた。
ふかふかのソファに座る。ようやくよづりは腕を離してくれた。
「待ってて、飲み物。持ってくるから」
「あ、ああ」
ふらりふらりとよづりはおぼつかない足取りでリビングから出て行く。出る瞬間にくるりと俺のほうを振り向いて、きちんと俺が居ることを確認するように微笑むと、そのまま台所へ消えた。
うーん、昨日の初訪問と似た感じなってるな。ちょっと違うのは昨日は俺が自己紹介するまでベタベタしてこなかったことか?
……しかし、なんだろう。この違和感は。部屋全体に何か違和感がある。
「あれ……?」
そうだ。わかった。違和感の正体は。つーか、すぐに思い浮かべよ自分!
「おかしいぞ……、たしかこの家は……、よづりが暴れてメチャクチャになっていたハズだ……」
そうだよ。なんで、わからなかったんだ。今日の出来事だろ!? あまりに完璧に元に戻りすぎて気付かなかった。
今日、俺が朝委員長を助けにここへ来たとき。俺は家の中の惨状に唖然としたんだ。壊され床にぶちまけられた装飾品の数々、コードごと引きちぎられた電化製品、床中に散乱する調味料類。
それが玄関からリビング、台所にいたるまで散らかってたんだぞ。それなのに、それなのに!
なんで、全て元通りになってんだよ!?
俺は台所に眼をやる。えへへ、えへへと笑うよづりの姿が見える。
「落ち着け、落ち着け俺……」
よづりは今日ずっと俺と一緒だったのだから、よづりが自分の惨状を全て元通りにした可能性は限りなくゼロ。
じゃあ普通に考えれば、俺ら以外の奇特な誰かさんがサニクリーンも顔負けのこの片付け&掃除をやったことになる。
え、誰!?
……って待て待て。俺は初めてきた時と今日の朝来た時、よづりだけしか居なかったから勘違いしてたが、よづりが一人暮らしということは聞いていない。
つまり、よづり以外の誰かがこの家に住んでいて、この惨状を綺麗にしてくれたってことだよな。お手伝いさんでもいるのか? そのわりには掃除の仕方が綺麗過ぎる。だいいち装飾品まで戻すってのもオカシイしなぁ。
もしくは、この家に住むポルターガイストとかバンシーとかが勝手に超常現象みたいなので直しているとか。だから、RPGじゃないっての。
うーん、しかしこんな家によづり以外の誰が住むってんだ?
一番考えられるのはのは、よづりの身内だよな。たしか一人っ子って言ってたから、姉妹とかじゃない……母親とか父親とか……。
そういえば、ウチの母親も勝手に部屋に入って、掃除してくれたよなぁ。ベッドの下の金具に挟んでいたエロ本の配置が変わってて焦ったことあったっけ。
あの惨状をなんとかしてくれる母親もすげぇな。俺の母親だったらあんなに散らかしてたらぶん殴ってくるぞ。
「かずくん」
「うぉっ」
いつのまにかよづりが俺の近くまで来ていた。気配が薄いからいきなり目の前に来たような気がしてびっくりした。
金色で縁どられた和風のお盆の上には、白いコーヒーカップが乗っかっていた。
「はい。どうぞ……」
そう言うと、テーブルにカップを音もなく置く。カップにはシナモン色の液体が張っている。コーヒーだよな? うん、匂いからしてコーヒーだ。
一口口をつける。香り豊かな甘みが口の中に広がる。うげぇ、砂糖何個いれてんだ。全国発売されたマックスコーヒー並みに甘いぞ。


785 名前:真夜中のよづり ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2008/06/01(日) 21:30:38 ID:9IbQiTfu
「おいしい……?」
「甘い」
「うん。わたし、甘いの好きだから……」
「そ、そうか」
こいつ見た目からして甘党っぽいからな。まぁ、いいや。これを飲み干して帰ろう。
「ねぇ……かずくん」
「なんだよ」
「今日、なに食べたい?」
「はぁ?」
何言ってんだ。飲んだら俺は帰るつもりなんだよ。
「晩御飯、かずくんの好きなもの作ってあげるから……えへっ」

……恥ずかしながら、この一言で俺の心が揺れた。

メシ、メシ、メシだと!?
親からの仕送りのみで一人暮らししている俺にとって、毎日の食事ほど面倒かつ苦手なものはなかった。
、夕時なれば親が食事を用意してくれていた優良家庭に育った俺は、一人暮らしをするまでメシなぞ作ったことがなかった。
一人暮らし初日に、味噌汁の作り方を間違えて、ただの味噌湯を作って思いっきり挫折して以来(ダシ? なにそれ)、俺の自炊生活はご飯を炊くのみで後は近所のスーパーの惣菜で誤魔化しているのが現状だった。
ときどきとなりの鈴森さんがお裾分けしてくれたこともあったが、鈴森さんは洋食しか作ってくれないので(しかも、フランスパンで食えといわれる。かてぇよ)ここ何年かは温かみのある家庭料理とやらはほぼ口にしていない。
俺は、今朝台所に転がっていたあのぐちゃぐちゃになった料理を思い出す。
和・洋・中、肉から野菜までふんだんに使ったあの美味しそうな料理たち。ぐちゃぐちゃになっていてもあの時鼻孔をくすぐった匂いはしっかりと覚えてしまっていた。
………やっべぇ。めっちゃ食べたい。思い出しただけで涎が口に溜まってくる。しかもちょうどいいぐらいに俺の腹の虫がぐぅぅ~っと鳴った。タイミングよすぎな自分の身体に俺は情けなくなった。
「えへへへへへ……」
よづりは俺の腹の音に、ニヤけた笑顔を向けて笑った。

(続く)


786 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2008/06/01(日) 21:31:35 ID:9IbQiTfu
久しぶりの投下な上に短い上さらにヤンデレ分少な目で申し訳ありません。
もう少しで、次のステップに進ませます。

787 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 21:44:59 ID:XUripLix
>>786
ちょw
懐かしい、でもよづり可愛いよよづり

788 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 23:23:39 ID:soYm1eq1
>>786
おお! よづりだ。
お久しぶりです。
相変わらず可愛いよ、よずり。

789 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:09:10 ID:+hzIGdaV
続きが気になる!
GJ!

790 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:49:15 ID:LzUN6Ghd
こんばんは。
ヤンデレ家族です。今回で十五回目になります。

791 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:49:55 ID:LzUN6Ghd
*****

「あなた、起きてくださいな」
いまだかつてない起こし文句をささやかれ、目が覚めた。
あなた、とな?
その呼び方をする人間は俺の身の回りでは葉月さんしか居ない。
しかし、『あなた』に含まれているニュアンスが少し異なる。
普段葉月さんが口にするのは、は『君』とか『お前』とかいう、聞き手を指す二人称的なものだ。
いわば、代名詞である。俺の名前を呼んでいるのと変わりない。
「あなた、いくら休日だからって寝坊はいけませんよ。ほら、早く起きてください」
だが、今の呼び方はどうだ。
まるで俺の名前が『あなた』に事実上なってしまったようなふうではないか。
それ以外の呼び方などありえない、とでもいうのか。

女性の声はやけに落ち着いている。
穏やかだ。上がったり下がったりしているところがない。波打っていない。
葉月さんの声はここまで大人びていなかったはずだ。
「今日は一緒にお出かけをする約束でしょう?
私、あまりに楽しみだったものだから、早起きしてしまって。もうお弁当まで作ってしまいました。
朝ご飯もできてますから、いつもご一緒できない分、今日は……ね?」
二人でご飯を食べましょう、ってか。
ふうむ、なんというか。いいな、こういうのも。
けど……これ、夢だろ。幸せすぎるもん。
朝から幸せがたっぷり入ったふりかけをたっぷりかけられた気分になるなんて、俺の生活じゃありえない。
女の人が俺を起こすシチュエーションからして嘘だ。リアリティがなさ過ぎる。
声をかけてきたのが妹で、無理矢理布団を引っぺがされたとかならまだ納得はできるが、残念ながら妹は優しくない。
母も同様。母は父にしかデレないのだ。
だから、この声は俺の想像力が作り出した嘘なんだ。

しかし、俺はこの嘘をありがたく思う。
いいじゃないか。夢の中ぐらい、俺の好きなように変えてしまっても。
女性がみんな俺に優しくする夢を見て何が悪い。
俺だって男だから、ハーレムに憧れがないわけじゃない。
しかもこれは夢。面倒なこともない、後腐れもない。最高だ。
だから、俺は夢を満喫する。

「……昨日は徹夜だったんだ。だから眠らせてくれ……」
「ああ、そうでしたわ。ごめんなさい。昨夜は一緒に寝てくれると言うから、
つい嬉しくてあなたにおねだりを一杯してしまったんでした。
あなたも私も、眠る暇ななんか、なかったですものね」
…………なにそれ?
昨夜はプラモデルを作ってたから徹夜した、っていう設定を構築してたんだけど。
「ですけど、おかげで……私、今日はとても調子がいいんです。
ごめんなさい。こんなことを言ってしまったら、まるではしたない女のようですね」
へえ、そうなんだ。俺の体はとても重いんだけど。
体がだるさを訴えて布団から出ようとしない。頭まで布団に潜ってる。
ううん? 自分の体を触ってみたら、変なことに気付いた。
俺、下着しか身につけてない。
バカな。俺は春夏秋冬寝る際は下着の上にもう一枚着込んで寝ているはず。
暑さで寝苦しくなりだした頃にはシャツとジャージ、布団だけじゃ寒くて眠れない頃は長袖のニットとジャージ。
つまり年中ジャージを着ている。ジャージ愛好家ではないけども、とにかくジャージを愛用する。
これは、一体…………?


792 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:50:45 ID:LzUN6Ghd
「ですけど、あんなに激しく、あなたが求めてくれるものですから、ついつい私も……。
もう、あなたのせいですよ。普段はあんなに冷たいのに、昨晩はあんなことまで…………」
「なあ、いや、あのさ」
「はい、なんです?」
「もしかして俺、昨日すごいことした?」
「ええ」
「具体的には?」
「…………………………それはもう、朝の時間には口にできないような、激しいものでした」
うん。……ええ?
あ、あ!
ああ――――――そういうこと。

いわゆる、夫婦の営み、というやつのことか。
性に開放的な傾向のある現代の若者ならば十代半ばでも経験済みというアレね。
つまり、性行為ですか。英語に変換してカタカナで書くと、セックスだね。
うわあすごい。
いつの間に初体験を済ませたことになっているんだろう。夢の中の話だけどさ。
なんだかショックだ。お前はもう経験している、と言われても何の感慨も湧かない。
どうせ夢を見るなら昨晩のシーンからにしろよ。
今からでも遅くないから、巻き戻し。
はい、スタート!

「も、もうあなたったら! 恥ずかしいことを言わせないでくださいな」
布団の上から軽く叩かれた。夢の中の時間軸は巻き戻っていない。
いくら自分にとって都合の良い夢でもできることとできないことがあるってことか。
なんだか、ものすごく損した気分だ。
「あなた、いい加減に起きないと、私も強硬手段に出てしまいますよ」
と言いつつ、俺と大人の関係を結んだ女性は、布団を剥がそうとしてくる。
この場で簡単に布団を奪われないよう抵抗するのは、慣例、もしくは通例と言えよう。
しかし今の俺は演技ではなく、本気で抵抗をしている。今、絶対に顔を出したくない。
だって、怖い。
間近にいる女性の正体がわかってしまうのがとても恐ろしい。
相手が葉月さんでない可能性はとても高い。ならば、当然他の誰かということになる。
夢の中にまで出てくるということは、俺にとってそういう目で見ている相手ということだ。
誰だよ。こんな馬鹿丁寧な言葉遣いで話しかけてくる知り合いは。
…………待て。もしかしたら見たことはあっても話したことはない、テレビに出てくる女性タレントかもしれないぞ。
好きなタレントがいないから希望はないが、それは誰であっても構わないということでもある。
もしそうだったら、別に顔を拝んでもいいかな?

とか考えた途端、布団の中に女性の手が入り込んできた。
俺の腕は布団で顔を覆うようにしていたから、下からの侵入には無防備だ。
女性の腕が俺の腹に回り込み、左右から包み込んでくる。
そして、抱きつかれた。
「あなたが悪いんですよ。いつまで経っても起きないから。
だから、私はこうやって眠りの邪魔をしてしまうんです」
女性の頬がシャツの上から腹を擦り、触覚を甘噛みする。
なんだなんだなんだ。この体の芯からゾクゾクさせる幸せな津波。
こんな幸せがあっていいのか。
世の恋人達って、皆こういうことしてるのか?
――いや、皆はしてないか。でもうちの両親はしてるだろうな。たぶんこれ以上のことも。


793 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:51:25 ID:LzUN6Ghd
「うう……ん、暖かい。それに、とても安らぎます。私この匂いが好きです。
どうしましょう。なんだか、むずむずしてきました」
「……くしゃみ?」
「いいえ。あなたに、あなたに……………………優しくして欲しく、なっちゃいました」
かつてここまでストレートなデレに巡り会ったことがあっただろうか? いや無い。
いいのかな、優しくして。というか、女性の要求通りにして。
しかし、優しくするとはなんぞや?
頭を撫でればいいのか? 思いやる言葉をかければいいのか?
それとも。
「わがままを言って悪いとは思いますけど、でも、私は今、あなたが欲しいんです。
お願いです、あなた。私に……………………」
首に手を回された。
おもむろに女性の体が近寄ってくる。
布団の中の薄い闇の中に、女性の顔があらわれた。とっても近い。
「どうか、お願いします……………………」
何をお願いされているんだ、なんてわかりきっている質問を浮かべて飲み込んだ。
経験無くてもわかるよ。十七年の間に見てきたもののおかげで、こういう空気になったらどうするか知ってるよ。
キスするのが、正しい選択。
目をつぶった方がいい。最中に目を開けてはいけない。舌をどう使えばいいのかは知らない。
どうせ夢なのだから、失敗しても誰にも迷惑はかからない。
女性は夢の産物なのだから、嫌われたところで構わない。
これはシミュレーションだ。実践ではない。繰り返す、これは実践ではない。
意を決し、いざ。

「いく、ぞ」
「…………はい」
自分の動きがスローになる。鼓動が早まっているせいだ。
耳に届く音が鼓動だけになると、一拍が大きくなる。ドクンドクン、じゃなくて、ドックンドックン。
動きまでがそれに合わせてコマ送りになる。
鼻息が荒くなっているんじゃないだろうか。もはやそれすらわからない。

唇まであと三センチ。
というところで、布団の端から光が差し込んだ。
女性の顔の輪郭、目を閉ざした表情、髪の色、全てが明らかになる。
飾りっ気が無く、清潔な印象のあるこの人、どこかで見た気がする。

唇まであと二センチ。
なんとなく目を閉じる。女性の表情が映像となって脳裏に浮かぶ。
うん、この人と直接会ったことある。はっきり思い出せないけど見覚えがある。
確か学校の、教室に居て、地味な格好をしてて、年齢にふさわしくない整った顔で、だいたいいつも無表情。
チャイムが鳴ったら教壇へ上がり、……ってこれ、教師? そして傍らに……本?
そうか、わかった。

おそらく唇まであと一センチ。
この人、篤子女史だわ。
どうりで見たことがあるわけだよ。
近くで見ても美人は美人なことに変わりないんだ。
新たな発見を――してる場合じゃないね、この状況。ハハハハハ。

多分唇まであと一センチもない。
触れてもいないのに、篤子女史の熱が感じられる。主に唇で。
あまり嫌じゃないのは、きっと寝起きのせいだ。そうに違いない。

唇がくっついた。
そして、俺は唇の感触を味わ――――うことなく、脳内で悲鳴を上げた。




794 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:53:11 ID:LzUN6Ghd
*****

飛び起きた。口を開いたままで。喉の奥から酷使された痛みが伝わってくる。
何気なく喉に手を当ててみる。異常があるのは外側ではなく、内側だった。
気道の壁の喉付近をひりひりさせるこの痛みは、体育の授業で野球をして、その際に声を張り上げたせいで、
授業が終わった頃に襲いかかってくるものに酷似している。
つまり俺は何かを叫んだ。しかし、一体何を叫んだんだか、わからない。
寝ている場所は保健室らしかった。白いベッドと掛け布団が常備されていて、馴染みのない薬の匂いがする場所は校内で保健室だけ。
誰かが室内にいる可能性は十分にある。
先生とか、他には本当に具合の悪い生徒が別のベッドで寝ているかも。
右には中庭を望める窓。まだ昼のようだったが、校舎の影のおかげで室内に日光は差し込んでこない。
反対側に首を向けると、空のベッドと――その上に足を組んで座っている女性が目に映った。
濃いめの色合をしたジーンズの上には文庫本が乗っていた。距離があるせいでタイトルはわからないが、文字だらけの本であることはわかった。
だから、聞いてみた。

「その本、なんてタイトルですか?」
「武者小路実篤、友情。古い言葉や漢字の使い方は、近頃は見られないものもあります。
お話は長く、じっくりと人物を掘り下げていくものもよいのですが、
そうすると小説と馴染みのない方には手に取りにくいものになりがちです。
その点、この本であれば心配ありません。そのくせ、中身も詰まっている。おすすめですよ」
「どの辺が面白かったですか?」
「……わかりませんね、いえ、面白くないという意味ではないです。
読む度に誰かに共感し、誰かに反感を覚える。対象がころころと変わっていってしまうんですよ。
でもそれは、おそらく私だけのことでしょう」
そこまで言うと、二年D組の担任である篤子女史は立ち上がり、俺のいるベッドの傍らに立った。
しおりを先頭のページに挟み、差し出してくる。反射的に受け取る。
「ですが、作家という職業に人並みの興味を覚える人なら楽しめます。
貸しますから、読んでみてください。返しに来たときに感想を伺いますから、そのつもりで」
「あの、別に読みたい訳じゃないんですけど」
「これは宿題です、と言えばやる気になるのではないですか?」
「まさか、クラスの皆にも同じ宿題を?」
「まさか。あなただけですよ」
篤子女史の一言にときめいたりすることはなかったが、高橋あたりなら都合の良いように解釈するんだろうと考えた。
安心した。俺を呼ぶ、『あなた』という単語に親しみが籠もっていない。
起きた瞬間にとっさに距離をとらなかったのは、本とセットになっている担任の姿が普段通りだったからなのだ。
やはり篤子女史には本が似合う。高橋よりも。
一種の記号だ。コーラと缶のパッケージの赤が切り離せないものであるのと同じ。
俺と大人の関係になっているなんて、あり得ないし、夢だとしても篤子女史に失礼というものだ。


795 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:53:55 ID:LzUN6Ghd
「宿題ならやりますけど、どうして俺だけ読書感想なんです?」
「今日の一時間目の授業は何か、知っているでしょう」
「国語、ですね」
「そういうことです」
結構容赦がないのな、この国語教師。
俺は体育館の地下に閉じこめられていたんだから、授業に出られなかったのだ。サボったわけではない。
たしかに無断欠席ではあったが、あの状況では連絡しようがないのだから見逃して欲しい。
「不満そうな顔ですね」
「……別に、そんなことはないです」
「事情は知っていますよ。体育館の地下倉庫で、手足を縛られてぐったりしていた、とか」
「誰にそんなこと聞いたんです?」
というより、ぐったりさせられたというのが事実。
助けてくれた感謝と誤った処置をした叱責、どちらを先にすべきかわからないから、ぜひとも相手が知りたかった。
「葉月さんですよ。
朝のホームルームが終わって、すぐに飛び出して行って、授業が終わってからようやく戻ってきました。
理由を聞いたら、あなたを発見して保健室に運び込んだから、と。
ですから、この宿題は葉月さんのためにやるものだと思ってくれて構いません。
それで二人分のマイナス点はチャラにします」
「ありがとう、ございます。それで、葉月さんは?」
「今はタオルを水に浸しに行っていて……結構時間が経ちますけど、遅いですね。
まあ、程なくして戻ってくるでしょう。
昨日何があったのかは、後日聞くことにします。それと、ちゃんとお礼を言っておくように」
「うぃっす」
片手をチョップの形にして持ち上げて、返事した。


796 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:55:18 ID:LzUN6Ghd
担任が去った後、葉月さんを待つために俺はベッドに腰掛けていた。
とりあえず体に異常はない。手首に巻かれていた拘束具の跡ももう消えている。
昨晩着ていたはずの制服は、いつのまにか学校指定のジャージへと変化していた。
ハンガーに掛けられて、ベッドから離れた位置にある開いた窓のそばで、吹き込んでくる風にその身をゆだねていた。
ジャージの裾をめくってみる。裏面に縫いつけられた小さな白い布に高橋、と書かれていた。
後で高橋にもお礼を言っておくとしよう。

葉月さんが来たらまず――助けてくれて、いや、見つけてくれてありがとう、と言おう。
地下倉庫を発見して来てくれたことには感謝しているが、その後についてはなんとも言えん。
そりゃ、まずいと思ってやってくれたのだろうが、さすがに心臓マッサージはきつい。
昨晩体育館で澄子ちゃんに会ったときと比べても、段違いに死の危険を感じた。
加えて、その後の人工呼吸には、もう。
「あれ、絶対にくっついてた、よな。……唇」
まあ、そうじゃなきゃ空気が漏れてしまうから、やっぱり隙間無くくっついたのだろう。
唇と、唇がくっついちゃったんですか。
そっか、そうか、そうなのか。
あれは…………キスとしてカウントしていいのか?
あまり思い出したくないけど、さっき見た夢の中のラストシーンみたいな流れでやったなら、キスとして成立するんだろうな。
片方が迫って、もう片方がそれを拒まない。
葉月さんは、果たしてキスのこととか、考えていたのか?
よしんばそうであったとして、俺が自律動作できない状態は拒んでいないと言えるか?

…………不謹慎だな。助けようとしてくれただけなのに、いかがわしいことと結びつけようだなんて。
俺のことを好きだったから人工呼吸しただなんてことはないはずだ。
きっと、葉月さんは助けたい人がいたら同じ事をする。そういうことにしておく。
唇の感触がどんなものだったのか堪能する暇も余裕もなかったが、一応、自分の唇と合わさったという事実は覚えておこう。
やっぱり、嬉しいものは嬉しいし。


797 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:56:04 ID:LzUN6Ghd
手持ち無沙汰だ。
読書感想の宿題の名目で渡された本に目を通してみたが、いつ葉月さんが来るかわからない状況ではいまいち頭に入らず、
結局は膝の上に留まる形になってしまった。
ここから出て探しに行こうにも、はたしてどこへ葉月さんを探しに行けばいいものか。
ついさっき鳴ったチャイムは、今日の最後の授業が終了した合図。今日は土曜日だから、三時限目でラスト。
帰りのホームルームは、担任のことだから手短に終える。もう終わっている頃だ。
それでもやって来ないということは、もう葉月さんは帰ってしまったのか?
…………するかなあ、そんなこと。
でも、タオルを濡らしに水場へ行って、戻ってきてないのは事実だし。

とりあえず様子見に、廊下へ出てみることにした。
本を反対側のベッドに投げ出して、ベッドから腰を浮かす。
その瞬間、保健室のドアが開く、ガラリという音がした。
まるで立ち上がることで自動的にドアが開く仕組みみたいだった。
しかし座り直して今度はドアが閉まるかどうか試してみる気にはならない。
シューズを脱ぐ音、続けてスリッパと床のぶつかるパタパタという音。
金具に掛けられたシーツが壁代わりになって入り口方向が見えないので、このへんは想像である。
音はだんだん大きくなる。保健室にやってきた人物は、すぐにベッドへと向かってきた。
対面。
「あ、あ…………」
やって来たのは両手で洗面器を持った葉月さん。
口から小さな声を断続的に出し続ける葉月さんは、じっと俺の目を見つめている。
洗面器が震えて水が縁から零れている。
近づき、洗面器をなかば奪うつもりで抜き取る。
透明な水には白いタオルが浸されていた。風邪を引いた時みたいに額に当てるつもりだったのかもしれない。
葉月さんは両手を胴の前に固定し、透明な洗面器を持つようにして固まっていた。
これがフリーズという状態なのであろうか。俺は何も言っていないのだけど。

凍結状態を解くため、声をかける。まずは助けてくれたお礼から。
「葉月さん、心配させてごめん。見つけてくれてありがと――――」
あと一文字というところでタックルされた。
ベッドに背中から着地する。ほぼ同時に洗面器の水が俺の体目掛けてダイブを敢行。
数秒空けて染み込んでくる水が冷たい。だけど、すぐに別の熱が肌を覆う。
「よかった、良かった。良かったよお…………死んでなく、生き、ててくれた。
う……ううう………………」
より強く抱きつかれる。嗚咽を殺そうとしているみたいに。
ジャージ越しでも、ダイレクトに震えが伝わってくる。
背中をきつく握られた。
存在を確かめるような動きが、より一層、彼女の受けた切なさを伝えてくる。
「ごめんね、本当に、悪かったよ」
「ううん、そんな、こと、ないから。無事だったら、いいの。私は、それだけでいいの。
こうして居られるなら、もう、何にも…………いら、ないよ」
俺はそれ以上は何も言わず、心の中で謝罪を続ける。
空の洗面器は頭上で俺の両手に掴まれていた。
葉月さんの頭を撫でるとか背中に手を回すとか、そういったことに頭が回らないのはきっとこいつのせいだ。
でも、有り難くもあった。
結論として葉月さんの気持ちに応えられない俺には、抱きつかれている今の状態が後ろめたかったから。


798 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:57:23 ID:LzUN6Ghd
葉月さんが落ち着くのを待って、水に濡れていないベッドに座って話を伺う。
本当は俺が濡れたベッドに、葉月さんが反対側に座る形で話したかったのだけど、
葉月さんの無言にして断固たる意志により一つのベッドに収まる形になった。
左手を両手でがっちり掴まれ、抵抗しても見事に体勢を崩され続ければ抗議する気も失せる。
座ったら座ったでお互いの膝がぴったりくっつく。
このまま距離をとれば、いずれ追い詰められベッドから落ちてしまうので、あえて維持する方向で固めた。
こんな時しっかりした男なら上手いことを言って距離をあけたりするのだろうか。
しかし、今の葉月さんの前では健常な性的嗜好を持つ男なら誰でも意志を曲げる絵が浮かぶ。
結論。男は所詮美少女の要求に弱いものなのだ。

「電話しても出なかったのは、やっぱりあそこに連れて行かれてたから?」
「……ああ、あれ。丁度捕まる一歩手前ってところだった。まだその時は体育館の中。
でも、そっか。あの時の電話はやっぱり葉月さんだったんだ」
「うん。何回コールしても、掛け直しても出ないから、あの時はもう帰っちゃったのかなと思ってたんだ。
居なくなったのに気付いたのは、今日の朝。
あなたの家に行ってもあなたは待ってなくて、ようやく出てきた妹さんに聞いたらあなたも帰ってないって言われて。
だから、授業をサボって探しに出かけたの」
「そう、だったんだ」
「電話を掛けながら歩き回ってたら、あなたの携帯電話の着メロが聞こえたの。体育館の近くで。
見に行ったら、地下倉庫の前に携帯電話が置かれてて。もしかしたらと思って扉を開けたらあなたが居た。
手足を縛られて、目が開いてなくて、返事しても起きなくて。
本当、手遅れにならなくて良かった」
「……感謝してるよ、ありがとう」
含みのない言い方を出来たか、自分でも心配になった。

携帯電話が地下倉庫の前にぽつんと置かれていた。
俺の携帯電話を持っていて、そんなことができるのは澄子ちゃんだけだ。
解放するという言葉は嘘じゃなかったのか。
でも、そうすると弟はすでに理想郷とやらに連れて行かれているはず。
手遅れの心配をしなければいけないのは、弟の方だ。
葉月さんと俺はそっちに関しては何も出来ていないから、花火の動きに期待するしかない。
花火のことだから俺みたいに捕まるような失敗をやらかしはしないだろうが、どうなったことやら。


799 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:58:15 ID:LzUN6Ghd
「あのさ、花火の姿を見なかった?」
「花火って、あの金髪の子?
そういえば見てないな。弟君を捜しに行ってるんだろうけど」
「ふうん…………」
「あの子まであなたみたいな目に遭っていないか、心配?」
「してない、って言えば嘘になる。でもその必要がないからさ、あいつには」
「信用してるんだね」
「信用してるのと心配しないのは別だと思うけど」
「ううん。一緒だよ。
誰かのことを心配しないのは、どうでもいいからか、もしくは、評価してるから。
あの子の名前を知ってて、どんな子か知っていて、それでも心配ないって言えるのは、信用してる証拠だよ。
よく知らない人間なら、どうなったところで知ったことはない、なんて言えるもの。
それに、どうでもいいならあの子がどうしているかなんて考えないでしょう?」
「嫌っている相手でも?」
「嫌っているなら、まず口にすることを躊躇うはずだよ」
ふう――む、たしかに。
言われて気付いたが、俺は花火のことを嫌っていない。妹にも日頃から色々と言われちゃいるが、嫌いだなんて思わない。
そもそも、二人とも嫌えない。
花火を傷つけた俺が、あいつを嫌いになるなんて許されない。妹は家族の一員として大切に思ってる。
そういえば、最近は心から人を嫌いになった覚えがない。
テレビに映る人間なら嫌いなのもいるが、周囲の人間となるとさっぱりだ。

「なんか一つ賢くなった気がするよ」
「あ、あはは。…………実は今の、お父さんの受け売りなんだ。
小さい頃、小学四年生ぐらいかな。
よその道場の子供と組み手をして、負けちゃって、もう武道を習うのやめちゃおうかと思ったことがあったの。
そのことをお父さんに言ったら、一週間後にもう一度言いに来なさいって。
引き止めないのがなんだか悔しかったけど、一応、一週間考えることにしたの」
「でも、やめなかったんだね」
「うん、やっぱり負けたままは悔しかったし。それに――稽古は楽しかったから。
で、お父さんに続けるってを言ったら、最初から心配していなかったぞ、って笑いながら言われたの。
その時に聞いたんだ、さっきの考え方」
「かっこいいね、お父さん」
同性でありながら、不覚にもそう思う。
「んー……真剣な顔して教えてくれる時はかっこいいな、なんて思うけど、それ以外はどうかな。
…………お母さんのことだって、おかしいもん。絶対に」
「お母さん?」
「あ! ううん、なんでもないない! 気にしないで。私のお母さんすごく元気だもん」
「なら、いいんだけど」
しかし、葉月さんの口調には陰りがあった。
父親とは違い、母親について葉月さんはあまり語らない。
仲、悪いのかな。
なんだか笑顔の葉月さんが無理して笑っているみたいに見えてきた。
この話題は置いて、別の話を振ってみるか。


800 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/02(月) 00:59:56 ID:LzUN6Ghd
「ねえ、葉月さん」
「なあに?」
「弟の知り合いなんだけど、知ってるかな。木之内澄子っていう名前の女の子」
「木之内……………………ですって?」
ですって?
何、今の。今の台詞は葉月さんが言ったか?
普段こんな喋り方なんてしないのに。それこそ、怒ったときぐらいしか。
もしかして俺、地雷踏んだ?
「その子が、どうかしたのかしら?」
怖い。葉月さんに怒りを向けられた人間って、皆こんなプレッシャーを感じているのか。
これは、以前俺の家で暴れた時の比じゃないぞ。
「う、うん。怒らないで聞いて欲しいんだけど」
「怒ってないわよ。いつ私が怒ったっていうの?」
「そ、そうだね。葉月さんは怒ってないよね」
葉月さんの言葉を信じるんだ! 
「今日、姿を見かけなかったかなー……って」
「見てないわよ」
「そうなんだ、それならいいんだ。忘れて」
「お断りするわ」
うあ、忘れてくださらない。
「もし、見たとしたらどうだっていうの? どうするつもりだった?
居場所を聞いて、会いに行くつもりなのかしら。私を放って置いて」
「いいえ、そんなつもりはございません。断じて」
「敬語はやめて。嫌いだから」
ご、ご無体な!
なぜそんな私の神経をグラインダーですり減らすような要求をなさるのです?
敬語を使えないのがこんなに苦しいなんて知らなかった。
……敬語って、目上の人の威圧から自分を守るために必要なんだ。今度、真面目に勉強しよ。
「会いに行くとか、そんなつもりはござ――なくて、ただちょっと気になったんだよ。
弟がいなくなったと同時に、その子まで居なくなったから。だから――」
「会いたくて仕方ないのかしら?」
「違う!」
「弟君が居なくなってもあまり心配していなかったのに。へえ、そう。
可愛い可愛い、後輩の女の子が居なくなったら心乱すのね。
知っているわよ。黒のショートヘアーで、身長が私の顎ぐらいで、ちょっと普通じゃないところがある子、でしょ?」
へけっ、という音が口から漏れた。
俺の顔、おかしくないよな? 動揺をこれ以上ない形で表現してないよな?
間違いなく、葉月さんは澄子ちゃんを知っている。
それどころじゃなく、すでに会っている。
去年の文化祭で遭遇してはいたが、あの時は澄子ちゃんが覆面を被っていたからバレていないはず。
とすると、それ以外のどこかで。
いつだ。澄子ちゃんがペンを投げて大暴れしたのは最近じゃいつだ?
――もしや、クリスマスイブか?! というか俺の記憶が正しければ、あれしかない。
じゃあ、葉月さんが十二月二十四日に、俺を呼び出したコンビニで澄子ちゃんとミニスカサンタが戦っているところを
見物しに来たギャラリーに葉月さんも混じっていたのか。
とんだ失態だ。その可能性を考えていなかった。
だからあの日、いつまで待っても葉月さんが来なかったんだ。
ギャラリーが解散すると同時に、葉月さんまで帰ってしまっていたのか。