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90 :ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] :2009/01/16(金) 00:11:15 ID:OWRYLE9i
TIPS
金城康二 保菌形態β 主人公
金城さとる 保菌形態α ヤンデレ好きのキ▲ガイ科学者。
金城篝 αの感染者。
佐藤亜麻 βの感染者。

蒲公英:該当情報、皆無。

外見的にちょっと背が伸びて精神年齢↑なとらドラの大河・・・ロングヘアーが好きなだけですサーセン。




誰だってハレムの夢を抱くことが、ある/あった/あるかもしれない。
だが、このウイルスの保菌者は墓穴を掘ることになりかねない。
俺だって好きで何股してる訳じゃないんだ。
人は問うだろう。「ならば何故なんだ」と。

単純明快。ハーレムを築きたいから。

感染者を一人でも放置プレイすることは、悲惨な結末を招くからだ。
異性とは彼にとって爆弾。感染者の扱いはさながら無数のリード線。
ただ爆発を解除することができず遅延させるだけの効果しか意味を成さない。
それしか期待できないのは、映画と違い皮肉ではあったが。

『運命に、邂逅する夜』英訳の如く結末が転がりかねる状況で彼は生きる。
「え?結末ってデッドエンドのことですよ。」


金城康二のとある独白。




91 :ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] :2009/01/16(金) 00:12:10 ID:OWRYLE9i
「はははぁー、やぁ蒲公英ちゃん。お久しぶり」
「・・・どうも」

金城夫妻の家にして、悟の研究所であり、康二の実家。
研究室を彷彿させる長方形型な白の建物の目前には、悟と篝二人、それと年頃の女性がいた。

たんぽぽ、タンポポ、蒲公英。
可憐だとか、飾り気のない栗色の髪は色艶やかなものではなく、
むしろ粗暴な様を際立だった顔立ちに、肩口に掛かったくせっ毛の少女だ。

「しかし、蒲公英さんも変わりましたね」微笑む金城篝。
「・・・いつまでも子供では要られませんから」ぷいっと顔をそらす蒲公英。

目は吊り上っており、そこはかとなく猫か虎を連想させた。
全体的な体つきはパーカーによって遮られるが至って平均的に見える。

「ささっ、とりあえず入ってよ」手招きする悟。
「ぇ? 」吃驚した様子で開口したままの蒲公英。
「ささ、どうぞ」篝に背を押され、仕方なく玄関へと。

おっとりとした容姿と雰囲気の篝だが、
意外にも押しが強いことを今更ながら蒲公英の脳裏に浮かび上がる。

「あ、ちょっ・・・えっ?」
「ははは、いっつもギャップで驚かれるんだよねー」

白のコントラストな病院ちっくな外見とは打って変わって和風な作り。
彼女が悟を訝しげな表情で睨めば篝がお盆を持って開口一言。

「ふふ、悟さん。でもこれ以上感染させたら八つ裂きにしますよ」
「ははは、母さんや。果物ナイフが首に当たってるんですけど?」
「当ててるんですよ」「さよですか・・・あ、一応定員にはなってるけど」



92 :ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] :2009/01/16(金) 00:13:25 ID:OWRYLE9i

まったく顔の笑ってはいない伴侶に、苦笑いしつつも悟はコーヒーを啜った。

「なら、今回勘弁してあげますね、あなた」
「さて、こんかい呼んだのはだね・・・」

かなり使い込んだ様子の大学ノートを取り出す悟。
その表面にはでかでかと"にっき。かねしろこうじ"と明記してある。

「実は、我が息子に面白いことを発見してねっ。まぁノートなのだけれども」
「古ぼけた日記帳じゃないですか?それがどうしたと?」

したり顔で悟は少女の眼前でプラプラと左右に振らした。
案の定に蒲公英は顔こそ伏せれど、目はノートを追っている。

「昔、うちの息子が君を不用意に傷つけたことはなかったかい?
 遠ざけたことは? 嫌悪したことは? 無視したことは?」

思い当たる節があるのだろう、彼女の瞳は意識的にとある方向へと向く。
眸には明らかな困惑と、一握りの焦燥の色が浮かべられた。
半ば奪い取ろうとする蒲公英の手から逃れると、
悟はさらにはもったいぶるような素振りで。

「その事実は、ここに入っている。
 もっとも、私が知ってはいるのだけれども君が見たほうが面白いだろしね」
「も~悟さんったら悪趣味ですね~♪」

万年バカップルの二人を見やって蒲公英は訝しげな表情。

「精々面白い展開に発することを祈るよ。そろそろ、かn」
「あいつ、・・・いや、そんなわけ、・・・でも・・・」
沈黙が場を制すること数分、少女の顔には驚愕、焦燥、恥辱、安心、様々なモノが入り混じっていた。



93 :ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] :2009/01/16(金) 00:14:33 ID:OWRYLE9i


「さて・・・」

悟が眼鏡を掛け直し、口を開いた瞬間。
蒲公英は茶渋の立たない茶に眸を写すと呆然とした少女の顔が浮かんだ。
湯飲みを包み込むと振動を表す波動が起きていた。
上方を見上げようとして顔を上げると勢い良く和室の戸が開く。
バタンッと地を振るわす轟音が和室に響く。

「おいっ、親父。なんなんだっ、バイト先に電話までして呼び出して!!
 今日給料日だってのにッ!」
「おお、当事者が来たことだし、失礼するよ」

ノートの持ち主が現れたのだ。
当の本人は息子の心情などそ知らぬ様子で離れへと移動する。
息が荒くなった青年は、久しい幼馴染を視線の端に捕捉して。

「っ!? お前、それは俺の」なにやら拙い事だけは理解し。
「ふぅ~ん、そんなに見られたくないのか」

長らく顔を合わせなかった彼方の顔が驚愕のあまり目を見開く。
その様子に満足してか見せびらかして蒲公英はニヤつく。

「ッ!!!てめぇ、人んちに入って何をしているっ!?」

彼は、蒲公英に近寄って手ごとノートを掴む。
蒲公英の手からノートを弾いたことに安堵して前のめりで畳みにぶつかる。
足を払われたことに気づくのは世界[しかい]が九十度変わってから。

畳の上に無様な受身を取る康二に対して、蒲公英はすぐ馬乗りになって彼の両手を塞いだ。
こころなしか、彼方の表情が崩れ、朱色に染まっている。



94 :ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] :2009/01/16(金) 00:14:58 ID:OWRYLE9i

彼の心臓は、ドクッ、と少し異常な速度で鼓動を早めた。
ドクッ、ドクッ、ドクッと異常動作を繰り返す臓器に、
ハッと我に返って康二は蒲公英を振り払おうとする。

幾ら中肉中背の青年とはいえ、馬乗りになって両手を封じる少女に。
否、少女の真実を知りたいという決意に、青年は勝てないのだ。

「この感覚っ!! たんぽぽっ、どけっ!」

自らの体[たいえき]がうごめくような感触。
わだかまる不可思議な感触、感覚を、彼は理解っている。

ヤンデレ、ウイルス、タイプβ

だが突き放そうとするも、鍛える筈の身体でも暴力幼馴染の方が腕力で勝っていた。

「おいっ、これ以上近寄るなよっ!!」
「なんだって、こーじ君? え、どけたらいいじゃ、ぐすっ、ないか」

彼女から雨が降ってきた、ぽつり、ぽつりと。
次第に、どしゃ降りへと変わり、康二自身は辿りそれが何なのかを知る。

「お前、泣い――――」
「―――泣いてなんかないっ!」
「大体、なんなんだよっ! あの日記。
お前はあの時も、オレ様の思いを踏みにじってっ!!」
「仕方ないじゃないかっ!」
「人の想いを切り捨てることが仕方ないっていうのかよ、テメェは!?」


(あの時は愛おしかった君が歪むのを恐れて。
でも、不器用な助け方しか俺にはできなかっんだよっ)

金城康二の事情を知らない。だからこそ、よりあの行為は最低最低だった。



96 :ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] :2009/01/16(金) 00:19:04 ID:OWRYLE9i

いつの間にか彼女の手からノートが零れ落ちていた。

『○月△日、キチガイからおしえられた。
 ぼくのからだはへんだって。だれかをふこうにするって。
 たんぽぽをきづつける? いやだ、いやだ。そんなの。
 それぐらいならっ』

「なぁ、オレ様がどんな思いしたと思ってんだッ!?
どれだけお前のことを考えていたと思ってるんだ!?
幾星霜の月日がお前への告白で埋め尽くされたっ!

オレ様がどんな思いでお前からの告白を、
待ち望んで、渇望して、あの日をになったと思う!?

思いもしなかったさ!

拒絶をこめたものだなんてよっ!」

目を逸らそうとした俺に覆いかぶさるようにしながら。
蒲公英は一度言葉を切り、口調を変え―――否、戻した。

それは、青年が過去に知っていた、少女そのものの貌。

興奮した様子の少女は、むしろ幅を狭めるように。
近づく唇、高鳴る鼓動、うごめくウイルス。

馬乗りになった幼馴染を俺は、
振り払うことなんて出来るはずもなかった。

「ボクは君の事とても好きだったよ。今でも愛しています。
君が遠ざけた理由なんてもうどうでもいい。

君がたとえ亜修羅の道を、悪道の道を進もうとも、
私はあなたのためだけに、尽くし続けます。

だから、ボクに誓いの口付けをさせて下さい」






97 :ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] :2009/01/16(金) 00:20:41 ID:OWRYLE9i
そして少女からは自らの花言葉を篭めて永久の誓言となる、
青年からは好いているからこそ危惧した最悪の口づけを交わした。

無垢な生娘のぎこちない仕草のまま、
だけども濃厚で、淫妖に貪るように。

接吻を終え、たらり引いた銀糸を拭うと彼は独白するように、口を滑らす。

「俺は、お前をまきこみたくなかったのに・・・」
「なんで?   ボクなら君のウィルスに掛かってもいいよ。
ねぇ? 知ってる、ボクの、蒲公英の花言葉って」
「どーでもいいっ、お前はコレの凶悪さを知らないからいえるんだよ」


生を享けてから、四捨五入して二十年。
彼はウイルスを自意識である程度抑えることは可能になった。
だが、自意識を制御できない条件下、それも粘膜接触となれば感染を免れない。

頭が蕩けたように、視線が定まらない表情で蒲公英は虚空を見つめていた。
目が濁ったように、どろどろした何かを以って少女は彼方を睨んでいた。

「はーい。おめでとー。」クラッカーを鳴らす馬鹿が登場する。
『カップル誕生おめでとー☆』と掲げる母親、篝もいた。

「ッ!? ・・・糞親父ぃーーー!」
「あらあら、大変わねーあなた。でも、お腹を痛めた子と旦那がするなんて母さんうれし泣きしちゃうわ」

どうにも今回の主犯格だと確信し、蒲公英を押しのけて。

「蒲公英良く聴け。ここ、数日。多分胸が心理的に締付けられるような感覚になるが、気にするな。
 それはまやかしだ。いつわりだ。何一ついい事などない」



だが、遅かった。

すでに彼女の胸には感染が相乗して、恋慕が募り、そして―――.






98 :ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] :2009/01/16(金) 00:21:45 ID:OWRYLE9i
ヤンデレウイルスとは感染者にとってみれば麻薬そのものだ。
母さんたち慢性的な感染者になれば異なるが初期の感染は重い。
躯の芯まで蕩ける快感、保菌者への緊縛する一筋の喪失感。

一度感染すれば保菌者との接触を是が非でもしたくなる。
だが、感染者が一定期間距離を保つことで死滅させることができる。
だが一定期間保菌者との接触を行えば定期的な菌の育成が出来てしまう。

次第に、想いは黒く冥く、濁った想いが拡張させていくのだ。
そこが恋患いと違う最大の点である。

金城さとるの効果は十人というリミッターが掛かるが、
金城康二の場合は無尽蔵に感染を広めていくことが可能だ。

先天性遺伝子 ・・・固体値によった誤差。
金城康二が安全に暮らすには感染を最小限に留めておきたいのだ。
それだから洗脳ともいえる選択肢の誘導や心理学で亜麻を左右させた。
善悪を置いてなお、彼が生き残るためには仕方の無いことであろう。



少なくとも行動を起こすのは彼の目の届く範囲だけと確約させている。
むしろだからこそ亜麻一同のようなに過激行為を起こす場合があるのだが。

「あなたの体の一部ホルマリン漬けにさせて」とか
「私の体(もしくは体液)入りのご飯食べて」とか
「あの、・・・その、私いじめられたいから切り裂いてください」
とか

自己主張をやんわりと趣向を改悪して、正して。
とりあえず血液の見ない方向へ回避している事実はあったりなかったり。





99 :ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] :2009/01/16(金) 00:22:13 ID:OWRYLE9i
感染が一次症状となった幼馴染を押しのけて。
白衣姿の父親を鷲掴みにして外へと連れ出した。

「てめぇ、好い加減にしろよ」
「お父さんに向かっててめぇはないでしょぉ♪」
「・・・もう一度繰り返す、好い加減にしろ」
「なーんのことっかなー♪」
「とぼけるな。何故だっ!てめぇ、あんなモノ模造しやがった!」

金城康二に日記を綴るメルヘン染みた趣味はない。
ならば、だ。巫山戯たことを仕出かす人間に検討が付く。

「何故、お前があんなもの書きやがった」
「おやおや、僕は嘘をついた覚えは無いよ?
 蒲公英ちゃんには『ここに事実が入っている』とはいったケド、
 でもしかし康二自身が書いた日記だとは言ってない」

「それが僕お手製の悪戯でもネ」すっ呆けた様子の実父。
「はハHA、葉刃派ハhaは。ふざけ」

渾身の一撃を見舞おうとして康二が躯を捻ると、
的確な掌底が水月へと間髪なく打ち込まれる。

「かハッ!?」肺から消費するはずだった空気が吐き出され膝を突く。
「やっぱり君は理解してないね・・・」
「はぁっ、何がだ、糞親父」強がる位みせるのが男の意地だ。

達観した眼差しで、眼鏡を押し上げる
光が乱射する硝子の向こうで覗くのは漆黒の眸。

「君は我が愛しのヤンデレ篝との息子だ。
 だが、それと同時に君は永遠の研究材料なんだよ」

否。漆黒と云うには違和感がある。

濁り。

精神を摩耗しきったような、
濁りきった濁流のようなその眸――――深淵[ふかみ]に覗きこまれ。

それはそう、実験対象を見る冷静な/冷徹な/冷酷な瞳で。
にこやかな表情とは裏腹に感情の篭ることを知らない。






100 :ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] :2009/01/16(金) 00:22:52 ID:OWRYLE9i
背筋に伝う冷気と、何かを感じた康二は悪態をつく。

「ほざいてろ、キチガイマッド」
「うん、ありがと~♪ 天才とキチガイは紙一重なのだよー」

自らが望むのは振り切れた所だ、と称すキチガイ。


燦然たる夕日から逃げる吸血鬼のように、
混濁とした闇黒へ生者を誘うかのように、

白衣を翻して玄関の戸をゆっくりと開ける。
悟の背中からは何も察することはできない。

「本当にね、人間って二種類しかいないんだよ。
 異常を許容するか、それとも異物と知りながら奥底に仕舞うか」

世界一大嫌いで、異物である筈の親父の背中が、
扉の向こう側へと消えていった実父のそれが、
何故か少しだけ寂しく感じ取れたのだった。





金城康二、つまり俺は已むに得ない状況で、遺憾なくヤンデレウイルス送信中。
なお公共電波では感知できないので無視してよろしい。
拝啓、天国に逝って欲しいお父様、蒲公英は真心の愛を意味するらしいです。