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518 :胡蝶病夢 ◆YOLz5qIxQc [sage] :2009/02/01(日) 20:55:52 ID:GuZQVk1C

夢。
夢はいつか終わる。
朝になれば人は起き、そこで夢は終わる。
しかし、目が覚めてもそこが現実だとは限らない。
それが『目が覚めた夢』でないとは限らない。
今の俺は『夢』と『現実』どちらにいるんだろう……





最近、妙な夢を見る。何が妙なのかというと『分からない』のだ。
その夢は、俺の日常をそのまま映したかのような世界。
朝起きて学校へ行き、退屈な授業を受け、放課後に友人と遊ぶ。
夢の中の人々は皆、現実と同じ人だし、通っている学校も一緒。
まさに、もうひとつの『日常』だった。
なのに、何かが違う。
朝起きるたびに俺は夢の内容を思い出し、モヤモヤとした気分になっていた。

「どうしたの? 迎えにいった時から冴えない顔してるけど」
「どんなシチュエーションでお前に告白しようかと一晩中考えてた」
「へー、わたしに告白……ってえぇえええぇぇ!!
 こっこ告白だなんてそんなだめだよ急にいやでもわたしは別にいいんだけど
 できればわたしからしたかったというかなんというか計画が台無しとか」
「いや、嘘なんだけど」
「へ? ……いや分かってたよ? そんな簡単な嘘にこの奈菜様は引っかかりません」
「嘘つけ」
「う、嘘じゃないもん!」
「じゃあ…… 奈菜、好きだ。俺と付き合ってくれ」
「え!? え、えっとあのよよよろこn……はっ!?」
「思いっきり引っかかってんじゃん」
「うぅ、ひどいよ祐介……」
朝から俺とアホアホトークをしているコイツは恩田奈菜。俺の幼馴染である。
ちょっと頭が抜けているが、容姿は良いほうで、けっこうモテてるらしい。
肩まで伸びた茶髪を頭の横で二つに縛っている。いわゆるツインテールってやつ。
毎朝迎えに来てくれるコイツをからかいながら登校するのがこの俺、清水祐介の日課だ。
「で、なにかあったの? 話してくれれば相談に乗るよ?」
「ああ、最近、変な夢を見るんだよ」
「変な? なにが変なの?」
「それが分からないんだ。だから変なんだよ」
「?? うーん……よく分からないや。それより、その夢にわたしも出てる?」
「分からないってお前……出てるぜ。夢の中でもお節介な幼馴染ってな」
「むぅー……祐介はいつも一言多いんだよ」
「それが俺だ。ま、早く行こうぜ。ゆっくりしてると学校遅れちまう」
「うぅー……」
「あ、そういやさっきお前俺の告白に『よろこんで』って言おうと……」
「わぁー!! い、言ってない! そんなこと言ってないよ!!!
 ほら早くしないと学校遅れちゃうよ!!!」
「ちょ、おい、わかった! わかったから押すなって!」


(ふぅ、あぶないあぶない、ばれちゃうとこだった。でも、私のこと
すきって言ってくれた……うれしかったな……ふふふふふふふふふふふふ……)


519 :胡蝶病夢 ◆YOLz5qIxQc [sage] :2009/02/01(日) 20:57:17 ID:GuZQVk1C
「つっかれたあ~~!」
部屋に入るなり鞄を傍らに投げ捨て、ベッドにダイブする。あ~気持ちいい。
この行為をするためだけに俺は学校に行ってるな、うん。
「さて、晩飯まですることないし……寝るか」
そこで勉強という単語がでないのかよ俺。と一人ごちるも、
溜まっていた疲れからか、結局すぐに夢の中へ落ちていった。


――ぇ

夢。

―ぇ――――?

これは夢。

―――てば

夢って自分が認識できるのって確か…明晰夢……だっけ?

ねぇ、だい――ぶ?

まあどうでもいいか。ここは夢、現実じゃないんだし。
「ねぇ!聞こえてるの!?」
「そんな大声で呼ばなくても聞こえてるよ」
「だって祐介、さっきからずっと空返事ばっかりなんだもん」
そう、ここは夢。現実じゃない。だったら思いっきり楽しまなきゃ損だ。
「悪い悪い。さ、早く学校行こうぜ。由紀」
そう言って俺はお節介な幼馴染――松本由紀へ手を差し伸べた。