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251 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 20:33:14 ID:av6OnJDy
せめて投下宣言ぐらいはしてほしい

252 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 21:35:46 ID:OASF4Pch
GJ
月咲がだんだん暗黒面に落ちてきたな

253 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 21:42:14 ID:mAFOnIuF
>>251
ごちゃごちゃマイルールを振りかざしてうるせーな。

254 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 21:56:21 ID:bLXaxER7
マイルールって。

255 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 21:58:27 ID:oRGY0FaR
>>1
■投稿のお約束
・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
・版権モノは専用スレでお願いします。
・男のヤンデレは基本的にNGです。

256 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 21:58:49 ID:OYUZ/lTu
hgwr

257 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 22:10:47 ID:BplvE7as
さっき久しぶりに修羅場スレのまとめサイトを見たら
SSスレ講和(50)条約とかいうのがあって吹いたw

258 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 22:27:25 ID:4rhSOgRS
修羅場スレとか・・・もう化石だな

259 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 22:48:35 ID:PJP2k+Ej
GJ!

想像以上のハイペース
おそろしい子・・・!


260 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 23:50:33 ID:8D1AVfho ?2BP(802)
コソーリ

ようやく続きかける状態になったので一年ぶりに続き投下できるようになったら
元の物が保存されてなかったり。最初から投下しなおしたほうがこの場合よいでしょうか。


261 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 23:53:15 ID:x+JdfcAf
保管庫は再建中とのことだったと思いますが…

262 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 00:12:27 ID:noIij1SU ?2BP(802)
ん、一行掲示板見てなかった。中の人乙です。

自分も編集できればいいんだけどちょっとよくわからないんですよねぇ。
もう少し勉強しようかな。明日明後日ぐらいに「Versprechung」なるタイトルのSSの続きをあげます。
最後に投下したのはいつだったっけなぁ……自分でテンプレに完結させるようにってのせたのに情けないorz

なんとなくいきなりポン、と続きだけあげるのが気持ち悪かったので告知しました。


263 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 00:55:17 ID:te7rtUvb
ttp://yandere.web.fc2.com/n/ver.html

これかしら


264 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 02:34:49 ID:4zT8xuwF
今さらだが、未来日記って買った方が吉?

今度最終兵器彼女TSUTAYAに返すついでに買おうかなと思ってる。

265 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 02:37:56 ID:KTg/vXcY
よそでやれ

266 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 03:06:39 ID:znPOkyKr
>○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)

未来日記は是非買うべきだ
今月の未来日記は良かったな

267 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 06:56:42 ID:rP5omKLO
未来日記はヤンデレでてこないからスレチだろ。

268 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 09:14:07 ID:S9wG8Cr5
新参はヤンデレだと思ってんじゃないか?

それより歪んだ家はまだ?

269 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 09:15:50 ID:iuqhshaR
>>267
お前はスレ違いじゃなくて勘違いしてるぞ

ゆのの可愛さはかなりのもの
あんな風に可愛く病みを書けたらなあ……最近はワンパターンすぎて何度テキストデータを削除して自分に絶望したことか

270 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 11:08:48 ID:INzwNj33
未来日記のヒロインは最高すぎる
主人公をストーカーしたり、監禁したりなど王道やりまくりだよ

特に主人公が皆の前でヒロインを恋人だと言う場面は顔を赤くしていたりするのが最高
まあ、他の女キャラにあの人といると破滅しますよ

女の勘です

にワロタw

271 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 12:47:37 ID:hb9w2MiZ
>>251
失礼しました!>>1のルールの確認不足、申し訳ないです(汗)
これから気をつけます、アドバイス本当にありがとうございました!

皆さんこんにちは。5分後に野獣とアングレカム第5話彼岸、を投稿致します。
連レスになりますが、宜しくお願い致します。

272 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 12:49:03 ID:y58jeSFe
なんかキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

273 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 12:56:10 ID:hb9w2MiZ
第5話 彼 岸

【高校生時代/昂四郎自宅】

―――深夜2時、携帯のバイブ音で深い眠りから覚めた。
メールの着信とは違うリズムでバイブ音が鳴っている。着信?誰だ、こんな時間に。
寝ぼけていたせいもあってか手をゆっくりと手を伸ばし、充電器に差し込んだ携帯携帯を手に取り誰か確認もせずに着信を取る。

『あ・・・はい。もしもし・・?』
「・・・もしもし?」
『はい・・えっと、誰たっけ・・?』
「・・・夜遅くにごめんなさい。月咲です。」
『・・・・つ・・・月咲・・・・っ!?どうして・・・』
一気に眠気が飛んで、段々意識がハッキリとしてきた。いつもはメールしか送らない月咲からの電話に俺はつい、起き上がりゆっくりとベットに座る。
電話の声が少し違って聞こえてしまって、はたから見るとかなり不手際な電話の対応だった。

「・・・・眠ってましたか?」
『あ・・いや、さっき寝たばかりだし、気にしなくて良いよ・・・」
「そうでしたか・・すいません・・」
『おう、気にするなよ・・・』
「・・・・・・・」
『・・・・・・・』
暫く、沈黙が流れた。電話の沈黙は顔が見えないだけに気まずい。それに昨日の学校の帰り道の事が頭に残っていて更に気まずさが募った。
月咲は黙ってしまったままで、何で電話をしてきたのか分らなく、対応に困ってしまった。
深夜のせいもあって静寂がさらに増す、この沈黙を破る為に俺がゆっくりと口を開く

『月咲、何か急用だった・・・?』
「・・・いいえ・・・その、昨日の事謝りたくて・・どうもせずにいられなくて・・電話しました。メールの事や・・・私感情的になってしまって・・・」
『あ・・・いや、別に終わった事だしそんな謝る事でもないだろう・・・』
「はい・・それと昂四郎君の声が聞きたかったんです」
『ああ、そうなんだ・・・』

「昂四郎君・・・また、今までみたいに笑ってくれますか?」
『え・・・・?』
「・・・今までにみたいに私に向けて笑ってくれますか?」
『あ、ああ。・・・うん。』
「・・・・良かった」

月咲を吐息を混ぜながら電話で呟いた。俺は月咲に笑っていなかったんだろうか。
最近色々な事が起きて余裕が無かったのかもしれない。
そういう面で無意識の内に月咲を傷つけていたのかもしれない。

「・・・それじゃあ、また明日学校で。」
『あ、ああ。お休み電話ありがとう・・』
「昂四郎君、お休みなさい」

――――電話が切れる。時計を見ると15分くらいの会話だったか。体感的にはもっと長く感じた。眠い、最近は月咲の事で眠れない事が多い。
睡眠不足で眠い。
俺はそんな気持ちで再び眠りにつく。

満員電車に揺られ眠い目をこすりながら歩く、学校へと続く上り坂でセミの鳴き声が五月蝿い程、耳に響く。
前よりもセミの数が増えたんじゃないのかな。
席に座ると大沢の事件が少しずつ皆の中から風化されかけていて、いつもの桜花学園に戻りつつあった。
それが正しいのか正しくないのか、そんな事を考えてしまうとまた眠れなくなる。無意識の内に考えないようにしていた。

そんな時、「オッス」と言いながら教室に入り他の生徒からの挨拶も早々にエイジが席に座る事もなく俺に詰め寄る。

274 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 12:58:37 ID:hb9w2MiZ
「オッス、昂四郎、少し話があんだけど付き合えよ」
『何だよ・・朝から。後でいいか、俺ちょっと眠いから寝る―――』
「・・・いいから、ちょっと来いって!」

エイジが俺の腕を引っ張りながら無理矢理席を立たせ渋々、移動する、
学生食堂に向かうと自販機の一角まで連れてこられエイジが、眠気覚ましの為か紙パックの珈琲を俺に投げ渡す。

『なんだよ話って・・・ぐだらない事だったら昼飯奢ってもらうからな?』
「・・・お前さ、月咲と付き合ってんの?」
『いや、付き合ってはねーけど・・・』
「月咲の事好きなのか?」
『な、なんだよいきなり・・・』
「いいから、答えろって」
『・・・気にはなってる・・』
「・・・・ちっ・・・昂四郎、悪い事言わないからあいつは、辞めとけ。他に女なんて沢山いるだろ、ほら、うちの高校には599人の女子生徒がいる、月咲以外のな」

エイジが舌打ちをしながら、頭を掻きつつ紙パックのオレンジジュースのストローを口にしながら言い切り俺に視線を向ける。
俺はエイジの言葉が全く理解出来なかった。再び聞き返す。

『・・・どういう意味だよ・・・それ』
「意味なんかねーよ。とにかく、辞めとけって言ってんだ。」
『・・・だから意味わかんねぇぞ・・・』
「・・ちょっと大沢の事で色々と調べた、大沢が校舎から落ちた時、あいつ月咲と一緒に図書室に入って行ったのを見たって」
『・・・おいおい、冗談だろ、お前俺の事を茶化すのもいい加減に――――』
「悪いけど、今回は冗談なんかじゃないぜ。お前を茶化す気なんかこれっぽっちもねーよ!月咲が大沢を突き飛ばした可能性がある。」
『・・・・・嘘だろ・・』
「昂四郎、あいつ絶対おかしいぜ?何を考えてるかわかんねーよ、だから―――」
『・・け、けれど、月咲が突き落としたって確実な証拠があるわけじゃないだろう!?信じられねぇ・・』
「はぁ・・・お前が月咲に惚れてんの知ってるけどな?俺は絶対に反対だぜ?とにかく、警告したからな!?もう月咲には近づくなよ!・・・・嫌な予感がすんだよ!」

ため息を混じらせ、俺に指を指しながら、強く言い放ったエイジは、飲みきった紙パックの殻を片手で潰しゴミ箱に投げつけ、不機嫌そうにその場を後にした。
エイジから貰った紙パックの珈琲の表面は水の雫が現れていて、手の温もりから既に少しぬるくなっていた。
エイジの言っている事は少しずつ理解は出来ていた。月咲が普通の女子とは、違う事ぐらい俺にだって解っている。

―――自分の気持ちを表現するのが下手。
聞こえはいいが、それを月咲に当てはめるのは無理な部分が多かった。
教室に戻りエイジに視線を向ける、エイジもさっきの言葉を言った手前あまり俺と視線を合わそうとしない。
エイジはエイジなりに俺の事を心配してくれているんだろう。
けれど、当時の俺にとって、それは混乱の種を巻かれている様なものだった。

―――放課後、俺の気持ちは沈んでいた。月咲に対する自分への気持ちと疑問。エイジの助言に対する困惑。大沢の事件の真相。周りの環境が俺を苦しめている様だった。

俺はどうすればいいのか、考えても考えても答えは浮かばない。
とにかく家に帰って寝たい。この睡眠不足を解消すればまた、いつもの元気な俺になれる。
夏休みにもなれば学校にも部活以外では行かないし少し気持ちが切り替わる筈だ。

―――そんな確証の無い希望を託しながら、校門へと向かった。
ふと、中央校舎を見ると見慣れない声に視線を向けた。

275 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 13:01:27 ID:hb9w2MiZ
「あ!昂四郎君だ~!」
「昂四郎~!」
「えっ!どこどこ!ああ~!いた~っ!懐かしい~」

どこからか、女子生徒の声が聞こえ再び視線を向ける。俺に言っているのは間違い無かった。
桜花学園の制服じゃない、あれは・・周辺にある葵海大学付属高等学校の制服だった。
何人か見覚えがある顔・・・あれはチアガール部の生徒か。

―――葵海大学付属高等学校。桜花学園の付近に位置する付属高校だ。
毎年、『葵桜祭』と呼ばれる桜花学園ラグビー部と葵海大学付属高等学校ラグビー部のラグビーの対抗試合が行われる。
創立以来の行事なのだけれど、実はこの試合、ラグビー部を主役としてはいない。
真の主役と言われているのはチアガール部だ。
ラグビー部の試合を応援するチアガール部の実演の美しさと素晴らしさから、毎年多くの両校生徒や観覧者で埋まる。チアガールの専門雑誌に取り上げられる程だ。

つまり、ラグビー部は彼女達の引き立て役にもなる。
特別なルールがあって、桜花学園のチアガール部は、葵海大学付属の応援を。
葵海大学付属のチアガール部は桜花学園を応援するという、なんとも特殊なルールの下で行われる。

その為、試合が近くなると葵海大学付属のチアガール部が、桜花学園のラグビー部の応援をする為桜花学園に足を運び練習をするのだ。
1年の時にレギュラーだった俺は、葵海大学付属の1年と会話をする機会が多かった、その中で1人気が合う女子がいた。

『ああ・・・もうそんな時期なんだな』
「そうですよ~今年も新入生増えたし、チア部はかなり凄いんですよ!期待してて下さいね!」
「昂四郎君久しぶり~♪あ、美園もいるんだよ!」

『おお・・・美園来てるのか・・・?』
「今、顧問の先生と一緒に挨拶に行った~美園はキャプテン代理だからね」
『へぇ・・・偉くなったんだなあいつ』

「誰が偉くなったの?昂ちゃ~ん?」
『・・・そ、その呼び方止めろ美園・・・』
チアガール部のメンバーと話をしていると後ろから、笑い声を混じらせながら、噂の彼女が笑みを浮かべ腰に両手を添えながら俺に向かって冗談交じりに問う。

―――沢村美園。葵海大学付属高等学校に通う、チアガール部の生徒だ。
1年の時に彼女もレギュラーで同じ1年でレギュラー同士だった俺達は、どこか共通点を感じ試合の準備など行動を共にする事が多かった。

「久しぶりねぇ~♪あっ!昂ちゃんさ~暫く見ない内にまた大きくなった!?ってか・・・太ったでしょ?お腹何か出てきた気がする~」
『・・・・ば、バカ!んなわけねぇだろっ!・・・・お前こそちょっと老けたんじゃねぇの?』
「な、何言ってんの!?私のどこが老けたってんのよ!!」
『そうやってガミガミ言ってるとシワが増えるぞ、シワが!』
「し、失礼ねっ!昂ちゃん視力落ちたんじゃないのっ!私みたいな美白、なかなかいないんだからねっ!?」

―――心のどこかでこの言い合いを懐かしむ自分と愉しんでいる自分がいた、久しぶりに心の底から楽しかった。
美園の言い方には棘が無い。酷い悪口を言うわけでもなく人を笑わせる言い方をする。それに美園の目は澄んでいた。俺を、俺を安心させてくれる澄んだ瞳だった。美園も俺と似た感覚だったら嬉しいよな。

そんな事を想いながら笑った、2人は思いっきり笑った。

276 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 13:06:41 ID:hb9w2MiZ
「ま~たはじまっちゃった・・・美園、先に行ってますね~♪」
「え、置いて行っていいの?」
「いいのいいの♪昂四郎君とああいう風に言い合いするのが美園にとって、桜花に来る楽しみの1つなんだから、ほら皆行くよ~!」
「はぁ~い」

チアガール部の女子生徒達が、美園に声をかけながら練習場へと向かって行った。
それを確認しながらお互いは、懐かしい言い合いに笑みを溢し、近くのベンチへと座る。

『相変わらずだな・・おい、他の子行っちゃったけど、行かなくていいのか?』
「ああ~いいのいいの♪さっき桜花の先生に挨拶して私の今日の役目は、終わった様なもんだし。・・・・・ふぅ~でも久しぶりだなぁ、桜花に来るの。もう1年になるんだね~懐かしいなぁ」
『そっか・・・・もう1年なんだな、早いな・・・』
「・・・・昂ちゃん、何か元気ないね?何かあった?」
『うあ・・・・俺、元気ねぇかな?』
「何か、疲れてるって感じかな~・・・何かあったの?友達と喧嘩したとか」

『そんなんじゃねぇよ・・・別に何にもねーから・・・それより、今年の葵桜祭はどういう――――』

気付くと俺の言葉を遮って、美園が俺の胸板に手を添えたかと思うと、次の瞬間、俺の唇に美園の唇が落ちた。
何秒くらいだろうか、柔らかい美園の唇が俺の唇を優しく包み込む様に角度を変えながら2、3度動く。
俺も最初は、驚きのあまり両手を浮かすが、ゆっくりと美園を軽く抱きしめ唇を受け止める。
何故だかとても落ち着く、1年くらい前まではそんな事を想った事なんて一度も無かったのに、気付いていないだけだったのか。
それとも、今の環境が殺伐としているからか。とにかくこの僅かな空間を感じていたい。それだけだった。

「・・ひゃ~・・久しぶりのキスだ・・・。離すタイミング掴めなかった、ハハハ。
・・・昂ちゃん、私さ?口で人に何か言うの苦手なんだよね・・・何に悩んでるかわかんないけどさ、体が大きいんだから何でもぶつかってみなよ。ラグビーやってんでしょ?
ほら、そんな顔しない!また熊とか野獣とか言われちゃうよ!私がキスするなんて滅多にないんだからねっ!」

『美園・・・』

慣れない口付けで、恥ずかしそうに笑いながら美園なりの激励を言いながら、俺の肩を笑いながら叩いた。
最近は、月咲の事で悩んだり苦しい事が多かったが美園の言葉に小さな事と感じながら、俺は美園と久しぶりに色々な会話をし、チアガール部のところまで送って行く。


【桜花学園南校舎】
「ん~?んおぉ!あれ、美園じゃん!ああ、そうか葵桜祭なんだなぁ。と、それに・・昂四郎?な、なんだよぉ!!
そうだ、そうだよ!・・・昂四郎、お前には美園がいるんじゃん。なんだ、俺がわざわざ、心配する必要なかったなー!んじゃあ、俺もちょっかいに――――っ・・・!?」

南校舎の2階から昂四郎と美園が笑いながら歩く姿を見て、エイジは安堵の表情を浮かべながら、2人のところへ向かおうとする。
その時、少し離れた隣の校舎から同じく2人を見つめる人影にエイジが気付く。

―――月咲。窓ガラスに手をつけて、酷く落ち込んでいる様子だった。

「月咲・・・!やっぱりあいつ昂四郎に付きまとってんのか・・何だあいつ、な、泣いてんのか?・・・・気味悪いぜ・・・・」

窓ガラスに手を置き顔を下に向けている月咲に視線を向けながら月咲の頬が水の様なもので滴っているのを確認する。
エイジはその光景に、月咲の異常さと不気味さを確信へと変わっていくのを確かめゆっくりと校舎を後にした。

277 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 13:09:56 ID:hb9w2MiZ
「・・うっ・・ひっく・・・ッ・昂四郎君・・何でそんな顔で笑うんですか・・・?
私以外の人と、何でキスなんて・・・するんですか・・・・?私、貴方のそんな笑顔・・見た事なんか無い・・・私にはキスしてくれないのに・・・・私じゃ駄目なんですか?
・・・・・昂四郎君待って・・・私を置いていかないで・・ッ・・昂四郎君。待って下さい・・・・待って・・・・待って下さい・・・・・ッ・・・・何でですか・・昂四郎・・・・君・・・ひっ・・く・・・皆、私から昂四郎君を奪おうと・・・してるんですね・・
・・・酷い・・許せない・・・・許せない・・・・許せない・・・・許せないッ・・・・・・許せないッ・・昂四郎君はッ!私の、私だけのものなんですよ・・・!」

―――大粒の涙を流し月咲は誰に言うまでもなく、呟き続けていた。
頬から落ちた涙は、廊下の床に何滴も落ちシミになっている、楽しそうに笑う昂四郎を見ながら、「何故、自分にはあんな顔をしてくれないのか」「何故、自分の気持ちに気付いている筈なのにそれに応えないのか」
その答えが頭の中でループし、更に月咲の考えは下へ下へと堕ちていく。

「あ、これこれ、君。もうとっくに下校時間は過ぎて―――っ・・・!」

「・・・・・・」

施錠の確認をしていた用務員が窓に佇む月咲に声をかけると、今までにない形相で用務員に睨む。
焦点の定まらない、月咲の視線に用務員は、思わず言葉を忘れ固まってしまった。
月咲はそのままフラフラと歩き出し、その姿はもう昂四郎が普段見る、月咲ではなかった。目は涙が止まる事はなくひたすら何かを呟き続けている。
廊下を通りかかる生徒は、月咲の不気味さに絶句していた。

校門を出ると辺りは、既に夕焼け空になっていた。グランド寄りの道を歩くと女子生徒の高い声が聞こえる。

焦点の定まらないまま視線を向けると、昂四郎が、大きな樹木の側にもたれながらチアガール部の練習風景を眺めている。

「昂四郎君・・・・っ!!昂四郎君・・・・・」

フェンスに手をかけ弱弱しく昂四郎の名前を呼ぶ月咲、しかし昂四郎の視線の先には、チアガール部の衣装に着替えていた、美園しか見えていなかった。

美園は笑いながら昂四郎に手を振り、昂四郎もそれに答える。普通に見ればどこにでもある普通の光景。
―――しかしながら、月咲にとっては普通の光景ではなかった。


「そうですよ・・・・昂四郎君は・・・私のモノだもの・・・証明だって出来る。きっと昂四郎君も・・・!
いいえ、そうだ・・・昂四郎君は騙されているんですよ・・・絶対に・・・私が助けなくちゃ・・・助けないと・・・・ふふふふ・・・・ふふふふ・・・・」










―――待っていて下さいね、昂四郎君―――



第5話 完 つづく

278 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 13:12:00 ID:hb9w2MiZ
第6話 次回予告 略 奪
美園との再会に昂四郎から、月咲の想いは小さくなり美園への気持ちが大きくなっていく。
離れていく昂四郎と月咲。
―――昂四郎を熱愛する月咲は、昂四郎の想いを遂げる為に最大の禁句を犯す。

次回、第6話、略 奪 お楽しみ下さい。

投稿完了です、いよいよ次回は「高校3年生編」に入ります。
一応、キャラが少し増えたので確認の意味で軽い人物紹介の書き込みを乗せようと思っています。
では、人物紹介をコメントして次回にまた投稿致します。

279 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 13:13:55 ID:y58jeSFe
禁句じゃなくて禁忌では?
とりあえず乙です

280 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 13:18:04 ID:hb9w2MiZ
>>279
うわ、すいません。痛恨のミスですorz
脳内変換お願いします(汗)


【野獣とアングレカム人物紹介】

片桐昂四郎(かたぎり こうしろう)
本編の主人公。桜花学園高校に通うラグビー部員。
身長189センチ体重89キロの筋肉質の巨体。
熊の様な風貌の為「桜花学園の野獣」とあだ名をつけられてはいるが、見た目とは反比例の根は優しく人に対し思いやりを持ち人を引き付けるオーラを持った男。
その為、男女問わず人気がある。
高校2年~卒業するまでの記憶が曖昧になっており、後にエイジから真相を知る事に。
現在は、大学に進学し農学部に在籍しながら勉強をしている。


月咲美代子(つきさき みよこ)
本編のもう一人の主人公ともう言うべき女性。俗に言うヤンデレ。
桜花学園に通う女子生徒。成績優秀、スポーツ万能と全てにおいて完璧であり学年順位では5番以内には必ず入っている。
昂四郎曰く、「フランス人形をそのまんまにした風貌」との事。
昂四郎に階段で助けられた事をきっかけに交流を深めていくが昂四郎の優しさに引かれ、度々、昂四郎を困惑させる行動を重ねてゆく。
後に、昂四郎を熱愛するあまり・・・


元宮エイジ(もとみや えいじ)
桜花学園に通う男子生徒。中学からの昂四郎の親友でもある。バスケット部に所属。
リーダー気質でありグループではみんなをまとめるリーダーシップを発揮する。
昂四郎と月咲の関係を心配している1人。
現在は、昂四郎と同じ大学に進学し工学部にて勉強を続けている。


大沢明美(おおさわ あけみ)
桜花学園に通う女子生徒。2年の時に昂四郎達と同じクラスの学級委員。
校舎から転落し重症を負ってしまう。


沢村美園(さわむら みれい)
葵海大学付属高等学校に通う女子生徒。チアガール部のキャプテン代理(3年時にキャプテンへ)で桜花学園とのラグビー部対抗試合の時に、昂四郎と知り合い仲を深めていく。
サッパリした性格で、自分の気持ちには正直。


簡単にこんな感じです。連レス失礼しました。
誤字・脱字が多すぎて泣けてきます(汗)どうか生温かい目で見てやって下さい。けど、きをつけます!
では次回また投稿します。失礼しました!

281 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 13:47:54 ID:8EaLg036
野獣とアングレカムキタ━━(゚∀゚)━━!!

282 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 14:42:42 ID:77iXQd1x
GJ
次回が楽しみ

283 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 17:12:39 ID:5qcBT0y7
ヤンデレ家族マダー?

284 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/27(日) 17:55:30 ID:XevCDRfb
>>278
なんだか面白くなってきたな。

285 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 18:10:08 ID:iuqhshaR
>>278
GJ!
なんつー投下スピードw
見習いたいぜ


ところでお茶会の人どうしてるかなあ
BAD ENDじゃない方が読みたいぜ

286 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 18:21:52 ID:n5XKmicy
>>285
今は修羅場真っ最中だろうから待てってw

一応途中までなら作者のサイトに行けば読めるぞ

287 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:15:38 ID:rP5omKLO
作者さんのサイトってコテハンでググれば出るか?

288 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:18:48 ID:EWeTGilY
>>280
月咲ガンガレ超ガンガレ(ヤンデレ的な意味で)

289 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:19:20 ID:te7rtUvb
>>287
保管庫からリンクされてなかったっけ?

290 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:39:56 ID:ATsC7agL
こんばんは。入院編その三、投下します。

291 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:41:46 ID:ATsC7agL
***

私にとっての直接的な驚異となる人間は、一人だけしかいない。
それは、お父さんでもお母さんでも、お兄ちゃんの女友達でもない。
姉。
私よりふたつ年上、お兄ちゃんよりひとつ年上の、長女。
表面ばかりを取り繕った、許し難い悪女だ。
まず、お兄ちゃんより先に生まれているというところから許せない。
だって、お兄ちゃんが生まれたばかりの赤ん坊の頃からあの姉は、お兄ちゃんの傍にいたのだ。
長女だからという理由で、両親公認でお兄ちゃんの面倒を見ることができた。
姉が小さい頃からお兄ちゃんを狙っていたかどうかなんてどうでもいい。
今の姉がお兄ちゃんの心を奪おうとしている。
敵視する理由はそれだけで十分だ。

せめて、私がお兄ちゃんと双子で生まれていたらよかったのに。
そうしたら、お兄ちゃんの一番近くにいることが許される。
誕生日が同じ、感じ方が同じ、身の回りのあらゆるものを共有できる。
そして、最大のメリットは、同じ学校の同じ学年に居られるというところ。
去年まで、私は中学三年生だった。
その頃お兄ちゃんは高校一年生。
別々の学校、別々の通学路、違う生活リズム。
お兄ちゃんと離れて過ごすなんて、許し難いことだった。
私がいない間に姉がお兄ちゃんに手を出すんじゃないかって、去年はずっとずっと心配だった。

同じ高校に通うようになった今は違う。
ただ不安になるだけの思考をする日々は終わり、お兄ちゃんの近くに居て、近づいてくる邪魔者を遠ざけることが出来るようになった。
時に遠回しな手段で、時に自分から動き、私はあらゆる女の意志をへし折ってきた。
しかし、唯一どうにもできなかった相手がいる。
それが、私の姉。
いつもいつも、最後の詰めで私を追い抜く最大の敵だ。


292 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:43:34 ID:ATsC7agL
今日もそうだった。
天気予報が大ハズレになった今日の天気は雨。
地面を打つ雨音が会話を遮ってしまうほどの悪天候が、六時間目開始頃からずっと続いている。
今朝家を出るときは、天気予報の通り降り出す気配なんか微塵もなかった。
だから傘は持ってきていない。折り畳み傘まで鞄の中に無い。
きっとお兄ちゃんも忘れているはず。
そんな時こそ、私がお兄ちゃんを助けなくちゃいけないのに。

友達に頼み込み折りたたみ傘一本を借りた後、お兄ちゃんの待つクラスに私は急いだ。
けど、お兄ちゃんは居なかった。
代わりにもならない名前も知らない男子生徒が数人残っているだけだった。
聞くと、お兄ちゃんは数分前に帰ってしまったとのこと。
お兄ちゃんのことだから、雨の中を走って、濡れながら帰るつもりかもしれない。
間に合うことを祈りながら走り、校舎の玄関までたどりついた。
外を見ると、土砂降りの雨の中に、お兄ちゃんの背中がある。
それを目にした途端、声をかけて止めようと口が開いた。
でも、呼び止める前になってあることに気付いた。
お兄ちゃんが傘を差して歩いている。
いいや、傘を持っているのは、お兄ちゃんの左に居る制服姿の女だった。
そう、この雨の中、お兄ちゃんと私以外の女が相合い傘で、濡れないために密着して歩いていたのだ。

もはや傘を差す時間も惜しい。
走った。走って、お兄ちゃんの背中を追いかけた。
激しい雨が体を打つ。一歩踏み出すたびに靴底が濡れる。制服の襟から雨が入り込み、体が冷える。
もうちょっとで手が届く、という距離まで近づいた時、お兄ちゃんの隣で歩く女が振り向いた。
目が合った。
そして、私の足が止まった。
女は――――私の姉だった。
姉は、今日雨が降ることを予知して、傘を用意し、私よりも先にお兄ちゃんと一緒に帰っていた。
姉が再び前を向き、何事もなかったかのように歩き出す。
お兄ちゃんは振り向かない。私に気付いていない。
声をかけることはできなかった。
濡れ鼠になった姿を見せたくない。今更一緒に帰ることはできない。

また、姉に負けた。
無様な私を見ても勝ち誇ることをしない、余裕たっぷりの姿。
傘を少し持ち上げ、お兄ちゃんと会話しながら、楽しそうな顔で笑う。
自分が勝って当然とでも言いたいのか。
私ではお兄ちゃんを手に入れることはできないとでも言いたいのか。
自分が負けないと本気で思っているのか。

この時、私は決めた。
もうなりふり構っていられない。
早急に、確実に、お兄ちゃんを手に入れる手段をとる。
姉にはできない手を用いて、逆転勝利する。

そのために、せっかく友達から借りた折りたたみ傘を差すこともせず、私は帰宅の途に着いた。


293 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:44:55 ID:ATsC7agL
***

「おにいさん、タバコ持ってないかい。なんだか、とても吸いたい気分なんだ……」
屋上にいるわけでもないのにそんなことを言い出したのは、なんと俺である。
ここは一人しか入っていない病室で、半径数メートル以内に誰もいないから、もちろん独り言だ。
吸っていて何かいいことがあるのかわからないタバコなどもちろん吸ったことはない。
ちなみにうちの家族は全員吸っていない。全員肺がピンク色、たぶん。
タバコを吸いたいわけではない。
ただ、なんとなく呟いてみたくなっただけだ。

これで良かったのだ。
葉月さんの告白に対する返事を、数ヶ月を経てようやくしたのだから。
いつかやらなければならないことを、たった今やり終えただけ。
これ以上先延ばししなくて良かったと思うと同時に、どうして今まで言わなかったのだと思う。
きっと俺は、葉月さんとずっと仲良くしていたかったのだろう。
振ってしまったら葉月さんが離れていってしまうと思った。
ならばいっそ、付き合ってしまえば良かったのだ。
そうすれば、ずっととは言わずとも、葉月さんが俺に幻滅するその時まで一緒に居られた。
――――あ、この時点で駄目だ。
幻滅されることを前提に考えている俺が、葉月さんと付き合って上手くいくはずがない。
積極的に好きになったり、絶対に嫌われないようにしようと考えていない。
俺の頭はどうかしているんだろうか。
葉月さんほど容姿のレベルが高くて、一途な性格をした女の子なんて周囲に居ないのに、彼女に惹かれなかった。
中学時代に好きになった女の子は、失礼だが、葉月さんよりは可愛くなかった。
それでも惹かれた。どれぐらい夢中になっていたかは覚えてないが。
「………………………………、わからん」
あのときは何が決め手だったのだろう。
出会ったシチュエーションか、第一印象か、相性か、それともただの気の迷いでしかなかったのか。
あー……弟ならそういうのに詳しいかな。人を好きになる仕組みみたいなもの。
あいつも自分のことならわかるかもしれないし。
なんで花火のことを好きなのか、あいつは自分でわかっているはず。
俺には花火のいいところなんか…………体の一つの部位しか浮かばない。
まさかそこに惚れた訳じゃないよな。
それはそれで、わかりやすくていいんだけど。


294 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:45:57 ID:ATsC7agL
「どうしてその人が好きなのか、ねえ…………」
「誰か好きな人いるの?」
「異性としてとなると、居ない。たぶん」
「たぶん? ずいぶん漠然としてるね。本当は居ないんでしょう?」
「うん、まあ断言してもいいのかもね……って」
いつのまにか病室に入ってきて俺のつぶやきに自然な形で紛れ込んできたのは、ちびっ子、もとい……もとい…………?
「誰だっけ、君」
「それ、本気? 本当に忘れてるの?」
「ああ、思い出した。玲子ちゃんだ」
「覚えてるじゃん。まったく、ボクみたいな可愛い女の子のことをぱっと思い出せないなんてどうかしてるね」
「ごめんごめん。あんまり普通の登場の仕方をしたもんだから。
先々週みたいにこけて部屋に飛び込んでくれたら分かったんだけど」
「違うよ! ボクが来た日、全然違う!」
「あれ、もう一週間前だったっけ?」
「それも違う! 昨日だよ、ボクがここに来て話したのは昨日! だいたい、そんなに長く入院してないじゃん!」
「ん? いつ入院したか話したか?」
「日曜日にここの病室に入ったでしょ。ボク、毎日この病室の前を通るから人が入れ替わったらすぐに気づくよ」
毎日病院に来る? ということは、もしかしてこの子……。
「お母さんがちょっと離れた病室に入ってるんだ。学校が終わったら毎日ここに来てる」
「なんだ、てっきり俺は君が病弱なのかと。
よく考えれば、その元気で病院の世話になってるはずないもんな」
「それ言ったら、ジミーだっておんなじじゃん……」
玲子ちゃんがため息を吐く。小学生のくせにため息を吐く動作に慣れているみたいに見える。
それより、この子が今変なカタカナの名詞を口にしたような気がするのだが。
「あ、ボク、ジミーに聞きたいことあったんだった」
「待て、待つんだ。何を普通に、人の名前をジミーに変更してる。俺の名前は……」
「佐藤太郎?」
「それはミステイク! ありふれた名前っぽいけど、佐藤はともかく、今時子供に太郎なんて名前を付ける親は少数派だ!」
「んー、そんじゃ、やっぱりジミーで。
本名が地味だからジミー。ぴったりでしょ? 感謝してよ」
「君に感謝するぐらいなら毎朝憂鬱な気分にさせる冬の寒さに感謝した方がマシだ!
そんなあだ名をつけられたのはさすがに初めてだよ……」
高校生相手になんて強気なんだ小学三年生。
もしかして、単に俺が舐められているだけ?
いいや、きっと怪我をしていて無理できないと知っているからだ。そうに違いない。


295 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:48:07 ID:ATsC7agL
玲子ちゃんから話を聞いたところ、またしても父親に似た男の後ろ姿を確認したという。
その男のことを何か知らないかと訪ねにきたのだ。
俺が知らないと答えたら、どういうわけか俺の左手を握って病室から連れ出した。
一人で面識のない男の近くに行くのが怖いのだろうか。俺の所には堂々とやってきたくせに。

玲子ちゃんは俺を盾に、背後から付いてくる。
不意に、数メートル先にある病室のドアが開き、車椅子に乗った女性が出てきた。
一旦停止して会釈する。車椅子の女性が微笑み、玲子ちゃんが俺の尻にぶつかった。
「なんで止まるのさ、ジミー?」
「交通ルールを遵守したまでだよ。というか、病院内でのマナーかな」
「……むー」
「並んで歩いたらいいのに」
「駄目だよ。そんなことしたら……ジミー、法律に食べられちゃうよ」
「へ? ………………、ああ。大丈夫大丈夫、ここで俺の格好を見て犯罪者と思う人は居ないから」
九歳児の口から発せられた言葉はボケなのか本当の心配なのかわかりにくい。
法律に抵触する、をひらがなで覚えていたのか?
「ま、そんなわけだから」
「ん? ……なに、その手?」
玲子ちゃんは俺が差し出した手を訝しげに見ている。
「はぐれたらまずいから手を繋いでいかないか、と誘ってみたところだけど」
「ば……馬鹿にしないでよね! そんな子供っぽいこと、誰がするもんか!」
「ふうん。じゃあやめとこうか」
どうせ断られるだろうとは思っていたが。
「……で、でも、ジミーがどうしてもっていうんなら、やぶさかでもないよ。
ボクの手を握りたいって欲求を抑えきれないんでしょ」
「ん、あー、うん。そういうことそういうこと」
「うわ、めっちゃ嘘くさい返事。ま、いいや。繋いであげるよ、感謝しろ」
玲子ちゃんが小さな手を絡めてくる。
手のサイズに差がありすぎるせいでいまいち握りにくい。
最終的に俺が玲子ちゃんの手をぶらさげるように握る形に落ち着いた。
「ジミーの手、おっきいよね。今いくつだっけ?」
「十七。でも体のサイズだけなら、年上の人とあまり変わりないよ」
「じゃ、ボクのお父さんも?」
「君のお父さんの身長次第。でも……」
「でも、何?」
「ううん、なんでも」
でも、弟と見間違えたということは身長は同じかもしれない。
父の身長も同じぐらいだし――――ん?
待て待て。今何か閃いたぞ。
昨日玲子ちゃんは、俺の部屋に父親を捜しにやって来た。
だけど玲子ちゃんが見たのは俺の弟だった。
しかし、弟が玲子ちゃんの父親である可能性は低い。
玲子ちゃんが九歳だから、弟が女性とそういう行為に及んだ時にはまだ五六歳。
無理がありすぎる。
弟イコール父親説はあり得ない。
では、別の可能性。
玲子ちゃんが見た人間が弟であったとして、それが勘違いだったとしたら。
玲子ちゃんが普段自分の父親に会っていないのはほぼ間違いない。
会っていない人間の顔を確認する方法といえば、写真とかがある。
その写真に写った男が弟そっくりでも、実はそいつが弟でなかったら。弟そっくりの人間だったら。
導き出される答えは――――すげえ認めたくないものになる。


296 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:53:29 ID:ATsC7agL
いや、まだ。まだわからない。
否定する材料はある。玲子ちゃんの覚え違い。他人のそら似。
そうさ。そんなドラマみたいな出来事が身近で起きるはずがないんだ。
俺の周囲で起こるのはバイオレンスな出来事だけだ。
あってはならんのだ。これ以上やっかいごとに関わるのは御免だ!
「あ!」
突然玲子ちゃんが背後に回った。
何事かと前方を確認する、と――――居たよ。とんでもないことを隠しているかもしれない、弟そっくりのうちの父親が。
たった今病室から出てきたところで、祖母と母と妹を一緒に連れている。
俺に気付くことなく、一階へ下りる階段へと向かっていった。
「玲子ちゃん、もう隠れないで大丈夫」
「ほ、ホント? さっきの人、もう行っちゃった?」
俺の体を壁にして前方の安全を確認してから出てきた。
「さっきのが、君の……お父さん?」
「ううん。違う、と思う」
「もし良ければそこは断言して欲しいんだけどね」
「だって、実物を見るのは初めてだからわかんないんだもん。……はい、これ見て」
玲子ちゃんがポケットから取り出して渡してきたのは、折り目の付いた一枚の写真だった。
映っているのは男一人に女二人、それと緑の草原と蒼穹。
「そこの真ん中の人が、ボクのお父さん。それで、左にいるのがお母さん」
…………写真中央の男は、髪型と服の趣味以外、まんま弟だった。
写真の中でもハーレム状態にあるところなんか特にそっくり。
この写真を見ただけじゃ、玲子ちゃんが弟を父親だと見間違うのも無理はない。
左の玲子ちゃんのお母さんらしき人物に見覚えはない。
なかなかの美人でにこやかな笑みはいい感じだと思うが、それ以外には何も感想がない。
「右のもう一人の女の人は誰?」
「お母さんの妹。今でもとっても仲良しなのよ、って言ってたよ」
ふうん。妹ね。
なんだか俺の妹にも似ている…………ような?
「――いや、似てねえ! 似てる訳ねえ!」
「わあ! ちょっと、ジミー! 騒がないでよ、迷惑だって!」
「だって、もし似てるとしたら……あの、あの男は…………!」
うちの妹とうちの母は、そっくりだ。うり二つと言ってもよかろう。
女同士で気を遣って髪型で差別化を図っているぐらいだ。
もしも、写真の中にいる妹そっくりの女性が俺の母だった場合、一体どうなるか。
うちの父親は、妹に三人の子供を産ませ、そのうえ、実の妹の姉にまで子供を産ませた――――
「奴は、しまいどんまんだったんだよ、玲子ちゃん!」
「何言ってんの?!」
「しかもその事実を隠している! かくれしまいどんまんだ!」
「さらにわかんない! ジミー、そんな名前の仲間はいないよ、勝手に作らないで!」
「たぶん語尾にござるとかつけたりするんだよ!
つい若気の至りでやってしまったでござる。今は反省しているでござる!」
「ちょっと、あ、ごめんなさい。すぐに静かにさせますから。
もう! ジミーこっちに来て! いい加減にしてよ!」


297 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:55:04 ID:ATsC7agL
嘘だ……。
認めたくない……。
うちの父親が、実の妹に手を出していたと知った時には軽蔑したものだ。
だけど、父親としての役目を果たしていたから、時間と共に自分の中で決着を付けることができた。
それなのに、それなのに。
実の姉に子供を産ませて、その事実を俺ら兄妹に黙っていただなんて。
「もう、俺は……どうしたらいいのか……」
「とりあえず落ち着くところから始めて。はい、ウーロン茶」
玲子ちゃんはどうしてこんなに落ち着いているんだ。
俺の心はかつてないほど動揺しているというのに。
「そうか。まだ、自分のことを知らな…………うう」
「自分を見失っているのはジミーじゃないか。もう……どうしてボクがこんなこと。
ほら、椅子用意したから座って」
後ろからシャツを引かれ、椅子に座らされる。続けてウーロン茶を手渡された。
どうやら俺は玲子ちゃんに連れられてどこかの病室にやってきていたらしい。
個室らしくベッドは一つだけ。スペースが広く取られていて、見舞客のためのソファが窓際にある。
備え付けの冷蔵庫とテレビは俺の部屋のものより大きい。
入り口の傍にはトイレまである。個室の待遇はやはり違う。
「ここはボクのお母さんが入っている病室だよ。
お母さん、この人が昨日話したおもしろいお兄ちゃん。
お母さんにぜひお会いしたいって言うから連れてきちゃった」
「あら、そうなの。具合が良くないみたいだけど?」
「ジミーはいつも頭の具合が良くないから気にしないで。
ほらジミー。自己紹介しなさい」
「仲がいいのねえ、二人とも」
ううむ。仲の良い親子の会話が俺の前で行われている。
いまいち混ざりにくい空気だが、ここで名乗らない訳にはいくまい。
顔を上げ、玲子ちゃんの母親の顔を見る。


298 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:55:57 ID:ATsC7agL
玲子ちゃんの母親は、思わず息を呑むほどの容姿をしていた。
推測では俺の母親の姉だから、もう少し衰えているのかと思っていたのだが、
なんのなんの、篤子女史より若いんじゃないかってぐらいの綺麗さだった。
入院生活を送っている人間はストレスフリーだから肌の衰えが遅いのか?
一応俺の伯母に当たるから、何か言っておいた方がいいのかな。
言葉を探していると、伯母は一度微笑んだ。

途端に違和感を覚えた。
この人と、会ったことがない? ――そんなはずがない。
会ったことがある。絶対。
今の微笑みは、記憶にないけど鮮明に思い出せる。
「緊張してるみたいですね、ええと……ジミーさん?
どう見ても日本人ですけれど、変わったお名前をしてらっしゃいますのね」
「…………あ」
この声も聞いたことがある。
ずっと昔。
記憶を辿る。辿って辿って、壁にぶち当たった。
拒否してる。思い出したらいけないと、必死に俺を止めている。
「私は玲子の母で、冴子と言います」
冴子――――冴子?
知ってる。知っている、覚えている、忘れていない!
記憶の壁が崩壊して、全てがさらけだされた。
冴子。
この名前は、俺が何度も呟き、心の中で浮かべた言葉だった。
死ね、殺してやる、という呪詛の言葉と共に。
――冴子、死ね。いつか殺してやる。
「あなたの本当のお名前はなんとおっしゃいますの?」
もう、耐えられなかった。


299 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:56:44 ID:ATsC7agL
失礼しますとギリギリで口にして病室を去り、トイレへと駆け込む。
スリッパを履くことも忘れ個室へ入り、便器に顔を突っ込んだ。
戻しもしないのに、吐き気だけがずっと続いている。
「さい、悪だ……」
この止まない吐き気も、喉を詰まらせる怒りも。

あの女だ。
体育館の地下倉庫に監禁されたときに見た夢に出てきた女。
妹を痛めつけて、弟まで傷つけていたのに、両親と話す時だけは平然としていた。
俺が妹と弟をかばっていなければ、あいつはいずれ二人の心を壊していた。
それがあの女の狙いだった。
右手に感覚が甦る。人を刺した時の手応え。
俺が、伯母の冴子の腹を、包丁で刺した時のものだ。

は。……ははは、はは。ははははは。
喉が嗄れて、笑い声も出ない。
どうして今更目の前に現れたんだ。
せっかく忘れていたのに。ずっと忘れたままでいられたのに。
あの時で全て終わったことにできていたんだ。俺の中では決着がついていた。
また小学生の時みたいな気分になっても、どうしようもないんだよ。
今の俺はもう、高校生なんだから。


300 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:58:44 ID:ATsC7agL
今回はこれで終了です。
また次回お会いしましょう。

301 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 21:58:59 ID:zHraT6nu
紫煙

302 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 22:01:26 ID:+GNBKZbz
キタキタキタ!!

303 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 22:01:35 ID:wi3/kuDs
GJ
他に言葉はいらない

304 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 22:05:22 ID:QUEKx9C3
GJ
オラ、わくわくしてきた!

305 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 22:08:04 ID:bBIZAjJN
GJ
毎週乙です

306 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/27(日) 22:08:51 ID:gdzpn8zz
入院ネタだるいなぁとか思ってたけど…、この展開にまたwktkしてる俺がいる

307 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 22:16:38 ID:98FQP+zX
今年の誕生日はとても良いものになった
情熱的にGJ!!


308 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 22:20:00 ID:oWUHIHF7
おい、何と恐ろしい展開なんだ……ジミー、あんたって奴は……

309 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 22:21:15 ID:qDf+ocSj
GJ!!
これから兄の過去が少しずつ明らかになっていくわけですね・・・
たまらねぇw

310 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 22:32:02 ID:5qcBT0y7
gj!冴子ってラスボス!?
さぁどうなる兄貴!過去との決着に期待!

311 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 23:09:11 ID:oartdDl8
GJ!
兄貴の過去編も非常に気になるけど、姿の見えない葉月さんの行方も気になる
独り言とか従姉妹?義母兄妹?と手をつないだこととかが何かのフラグに思えて仕方ない

312 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 23:37:02 ID:xEVuOqZH
ヤンデレの血筋をまとめてみた。

祖母─┬─祖父(死去)

┌───┼───┐
│      │      │
冴子┬─父─┬─母
(姉)│ (兄) │ (妹)
│      │
玲子     │

┌──┼──┐
│    │    │
ジミー  弟   妹

つまりジミーは玲子の従兄兼異母兄になるわけだな。
どんなカオスだよ!みなぎってきた!

313 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 23:38:06 ID:qkEbaPXV
GJ!
てれてれってれー
「ジミーはロリにめざめた」になりかねん勢いだなwww


314 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 23:42:11 ID:J/1+VkV0
ジミー先生の次回作にご期待ください

315 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 23:42:34 ID:znPOkyKr
かくれしまいどんまんって一体どんな生命体だよw
GJ!

316 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 23:43:43 ID:ecD67git
GJ!なんとまぁ…
ここに来て兄貴に新たな呼称が生まれるとは。
かつて余裕綽々だった伯母が豹変したのはなぜだったのやら。
玲子ちゃんが生まれたのとその事件とどっちが先だったんだろう。

317 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 23:54:58 ID:NGa1rDa9
>>299
み な ぎ っ て き た

ハイペース投下GJ!
早く続きが読みてぇ…


まだ展開予測を書きこんでるやつがいんのかよ
気持ちは分かるがチラシの裏にでも書いてろ

318 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 23:56:17 ID:IZnnScKa
まぁ作品を批評家気取りで叩くバカよりはいんじゃね?

319 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 23:58:44 ID:NGa1rDa9
マシなだけであっていいわけじゃないだろ


320 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 00:14:44 ID:sx2gDfIp
正確には、隠れセルフ姉妹丼MAN、だね。
クレオパトラ(夫は弟)も、タイの名君チュラロンコーン王(別名ラーマ5世。正室は異母姉と異母妹)もびっくりだぜ。


321 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 00:31:50 ID:riH7qemK
たとえ相手に非があろうとも口汚く罵らないでくだサーイ
場の空気が濁りマース

322 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 00:33:08 ID:M9H6LaF1
マース♪(・∀・)

323 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 03:09:23 ID:QLOyxKll
>>299
GJ!
週刊ヤンデレ家族は相も変わらず引きが鬼だなw


しかしなんか玲子にフラグがたってる気がしてならない
そうしたら弟は妹に、ジミーは異母妹になるな

凄いカオスだ

324 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 07:24:45 ID:hwVEJJAN
なんたるカオス!毎回楽しみにしているがどんだけ俺をwktkさせれば気が済むのだね
もうムカつくからGJだこんちきしょう!!

325 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 18:55:51 ID:TLAEPLN7
>>267-268
お前らは何を言っているんだ?
お前らにとって「病むまでの過程」が書かれてなければヤンデレじゃないとでも?
不思議な事にこういうのがよく「レナはヤンデレ」とか言っちゃうんだよな
それとも何でも批判したい年頃の夏厨?



そもそも未来日記読んだ?

326 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 19:10:59 ID:M9H6LaF1
>>325
お前うるさいな、俺の姉ちゃんヤンデレだからお前に惚れるように言いつけるぞ。

327 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 19:18:27 ID:bkeBRDz3
「あのおんな・・・ユッキーに何を吹き込んでんのよ!殺すわよ!」
の由乃の顔が最高に可愛かった、と言っておく

328 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 19:22:06 ID:Yy/k9mIn
未来日記の最萌キャラはユッキーだろ

329 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 19:47:12 ID:8k5+nmeI
由乃の最萌えシーンは間違いなく「ユッキーが見てくれた♪」と両手をパタパタしてたところ。異論は認める

330 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 19:51:58 ID:pbJHaNEI
>>329
おお兄弟よ

331 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 21:06:50 ID:tCbxAEg9
未来日記の話がしたいなら他のスレでやれ

332 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 21:39:24 ID:G25GqlXv
なんか未来日記の話になると一人だけ過敏な反応する奴がいるのな
まあ気持ちはわかるが

333 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 23:08:40 ID:OCX9Ebor
久しぶりに来たらが流れ早いな、知名度が上がってきたか
しかしちょっと早すぎないか?

334 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 23:44:37 ID:i1Tu2tjI
野獣とアングレカムの続きまだー?

335 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 00:32:12 ID:zlkJEEMI
>>332
お前か?

336 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 01:21:07 ID:Va8rDsgL
最近投下多いから人集まってるんじゃね?

337 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 01:52:56 ID:uhtO7uC1
夏だからな

338 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 03:44:32 ID:DJVg2fh3
何でもかんでもヤンデレ認定 → 否定の流れは昔からあったけれど
一番うざかったのはエヴァンゲリオンのアスカヤンデレ認定野郎だったな……

原作ではこういう流れだったけれども実は●●という裏設定がどうのこうの
同人誌における製作スタッフのインタビューがどうのこうのと
一般人にはあるかどうかすら確認できないものを何の説明もなく当たり前のようにソースとして持ってきやがって

339 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 11:01:04 ID:GfaSw9Cg
あっそ ふんじゃえ!

340 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 11:05:33 ID:6MXFCzzz
ヤンデレもライトノベルの定義みたいに決められたら楽なのにな
そうでない属性だからもめるんだろうが

341 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 12:23:55 ID:9vc5cafP
ラノベの定義も、最近じゃ曖昧になりつつあるぞ

342 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 12:39:20 ID:1OOvrjUC
講談社ミステリーの区分がわかりづらい


343 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 13:38:12 ID:alfKMott
>>340
確か源氏物語も区分としてはラノベなんだよな
そんな定義になったら大変なことになりそうだ

344 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 14:49:26 ID:1OOvrjUC
六条御息所は最高だろjk

345 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 15:57:46 ID:kbUldhCI
>>344
お前とは良い酒が飲めそうだ

346 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/29(火) 16:26:16 ID:IcEhRDlZ
皆さん、こんにちは。
5分後に野獣とアングレカム 第6話略奪を投稿します。
宜しくお願いします。

※注意、6話では濡れ場シーンが存在します。一部表現がアレな為、苦手な方は、見ない方が良いと思います。ご注意を※

347 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/29(火) 16:30:52 ID:IcEhRDlZ
第6話  略 奪
【高校生時代/桜花学園】

―――昂四郎、最近何か元気だな?と、学園の生徒によく聞かれ俺は決まって言う。
『おう、最近調子が良いんだ。頭がスッキリしてるっていうか・・・』

とても暑かった夏が終わり秋になった、もう気づけばすぐに冬が駆け足でやってくる。美園と再会して俺は以前の俺に戻っていた。
大沢明美の意識が戻り、近いうちにエイジ達とお見舞いに行く事になっていた。
部活のラグビーでも、葵海付属のチアガール部の生徒達のお陰で良い刺激となり、練習にも力が入っていた。
美園との仲も1年くらい前よりもお互いが大人になってきたのか、意思の疎通はダントツだった。

こんなに充実した高校生活は今までに無かったかもしれない。毎日が充実し良い思いでが沢山出来ていた。
少しずつだが、月咲で揺れ動いていた俺達は、落ち着きを取り戻していった。
月咲とは、あの夏の電話以降メールや電話はかかってくるものの、通学の途中で出会ったり、弁当を作ってくれたり、一緒に帰ったりする事はなくなった。
最初の内は違和感が起こったけれど、『振られたかな』と少し落ち込みはしたが、美園の影響力が強く、時間が経つにつれて、月咲の事は忘れていった。
エイジは相変わらず、月咲に良いイメージは持っていなくて、月咲の話をすると不機嫌な顔をする。

それのせいか、月咲の話はしなくなり、それが月咲を忘れる要因の1つになっていたのかもしれない。

「・・・ちゃん・・・ちゃん・・・?―――ねぇ、昂ちゃん聞いてるの?」
『・・・ん、お、おう。悪い、美園。考え事してた、どこまで話たっけか・・・』
「だから葵桜祭の時の私の応援見ててね!って話でしょ~?ちゃんと聞いてよも~」
『悪かったよ・・』
逆に美園と会う機会が多くなり、練習が終わってから学園付近のファミレスで、談笑する、これが最近の日課になっている。

もうすぐ葵桜祭だ、俺の気持ちは上がっていた。とにかく楽しもう。高校3年までの僅かな時間これをバネに出来たら良い、そんな風に考えが変わっていった。
―――そして、修羅の道へと繋がるあの日を迎える。

348 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/29(火) 16:34:18 ID:IcEhRDlZ
桜花学園/東校舎、備品倉庫】
―――葵桜祭も近くなり、準備も忙しくなってきた。まるで文化祭の様に2つの高校は賑わい、忙しそうに準備を始めていく。
俺はこの日、東校舎で備品倉庫で備品を探していた。

『んとっ・・・・・おお、これだな。なんでこんな人気の少ない所に置くんだぁ・・?埃で汚れてるぞ・・・さて、戻るか。』

頼まれていた備品の箱を見つけ帰ろうとすると、入り口に人影が見えた。誰だ?逆光でよく見えない、俺は手を翳し影を作ってその人影を確認する。
―――月咲だった、幾分久しぶりに見た為か俺は、懐かしいとさえ思うようになっていた。俺をじっと見る。
何故だか様子がおかしい。焦点の合わない視線で俺を見つめ、何を言うわけでもなく、哀しそうな表情で俺に視線を向けていた。

『・・・月咲?おう、何か・・・久しぶりだな、お前も葵桜祭の――――』
「私、もう我慢するの止めたんです・・・・」

月咲が俺の言葉を遮り呟く、月咲の様子に戸惑いながらも会話を続ける。月咲の両手が握り拳になっていたのを俺は見逃さなかった。

『我慢・・・・・?』
「昂四郎君の事をもう見ているだけなのは嫌なんです・・・あんな女、昂四郎君に相応しくない。私しか昂四郎君は救えないんです。
だってそうでしょう?私達は、愛しあっているんですから。昂四郎君を騙そうとする人は私は許せません。」

『――つ、月咲・・・何言ってんだよ、俺は・・・お前の事は別に・・・』
「・・・・・・嘘っ!!!!!!」
『月咲・・・!?』
「・・・・・なんであの時階段で私を助けてくれたんですか?何で私の手を繋いだんですか?何で私のお弁当を食べて笑ったんですか?
なんで私に笑顔を向けてくれたんですか?なんで私の気持ちに気付いていたのに応えてくれないんですか?・・・私は、昂四郎君以外は、嫌・・・・・他の男なんて・・・・・触りたくもないのに!!」

月咲が俺に近づいてくる、焦点の合わない視線、剥き出しになった感情、俺の知っている月咲じゃない俺はこの状況に不安を覚えた。

『い、いきなりどうしたんだよ・・・悩みとかあれば、聞くから・・・今日はもう帰ったほうが―――っ!!』


気付けば俺は、月咲に押され壁にぶつかった、突然の事に不意打ちを食らい頭を壁にぶつけ近くの備品が床に落ち音が鳴る。
俺は、壁にもたれ、扉の鍵をかけ俺に焦点の定まらない視線を向けて俺を冷酷な瞳で見下ろす月咲に、頭を軽く抑えながら視線を向ける。

『っ・・・月咲・・・何すんだよ・・っ・・』

「昂四郎君、私達は、もう恋人同士なんですから・・・こういう事するのは当たり前でしょう・・・?口で言うのはもう嫌なんです・・・・!!」

―――月咲が俺の上に乗り俺のネクタイを外す、俺が月咲の両手をどけようとすると、月咲をそれを払い、俺の制服のカッターシャツの真ん中を掴むと引き裂きボタンがいくつか外れ床へ軽い音を鳴らしながら散ばる。
露になった俺の上半身を躊躇無く、舌を這わせていく。

『・・・ち、ちょっと!!もう・・・・止めろっ・・・冗談にしては・・・・・お、おい!人が・・・来るっ・・・!』

「来てもいいじゃないですか・・・私達の事・・・見せてあげればいいんですよ・・・」

349 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/29(火) 16:36:55 ID:IcEhRDlZ
倉庫の前を歩く準備をし、忙しそうに走る生徒の気配を感じ月咲にそれを促そうとしても月咲は開き直る様に、俺の腹の辺りで舌を止め、淡々と呟きそのまま下半身の部位に顔を近づけ、俺の制服ズボンのチャックを歯で噛むと下へ下へと下げる。
そのまま雄芯を口へと運ぶと深く口内へ動かし、水音を鳴らし。
俺は、月咲の行動に驚きながら月咲の頭を手で離そうとするが、月咲の力は強く思うように動かない。

『月咲・・・汚ねぇから・・っ!お、おい!止めろっ・・・・!・・うあっ・・・・』

―――月咲の舌の動きで段々とおかしくなっていく、俺の意識とは逆に雄芯は勢いを見せ月咲が片手で掴み愛撫するその姿に俺の体は強く反応していった。

「・・・・ンッ・・・昂四郎君の大きい・・・私、本でずっと勉強したんです、男の子の気持ち良い場所とか、舌の動きとか・・・だから、昂四郎君をビックリさせようと思って・・・・会わずにいたんですよ・・・・あっ・・昂四郎君・・・凄い・・・!」

月咲の手を自分の唾液で濡らすと、俺の股間の下落の部分へ手を伸ばしある部位に近づく。こんな場所へ手を伸ばしてどうする。そう思った。


『・・・な、何すんだ・・・おい、何やってんだそこは、・・・っ!!!うああああっ!ぐぉ・・おぉおお・・・・・っ!!!』

―――月咲が俺の尻穴へ指を入れる。あまりの痛みに思わず低い唸り声をあげ、直ぐにこの場所を回りに聞こえない様、声を抑えようとは、するが初めて経験する痛みに勝てず顔を歪ませる。
指はどんどんと沈み何かを探している感じだった。

「前立腺・・って言う場所があるんです。そこを刺激すると直ぐに気持ちよくなるって書いてました。昂四郎君・・気持ちいいですか?出していいんですよ、ほら・・ほら・・あ、・・・ここです・・・!」

『や・・やめてくれ・・・っ!!こんな事・・しないでくれよ・・・・ッ・・・月咲・・・!うあ、ぐうっ!!!・・・・ぁっ・・・・ぁあ・・っ!!』

月咲の指が、前立腺に達したのか、直ぐ様月咲の口の中で果て、その強い刺激に足の指を内側に曲げる。
月咲は直ぐ様それらを躊躇なく飲み干し残った濁液をも舌で吸い上げ、そのまま下着を脱いだ月咲は、俺の上にのり秘部へ雄芯を上下に擦る。

「昂四郎君は、いつも自分で済ませる時はこういう顔をするんですね・・可愛い・・・・ンッ・・・」

そのまま俺の胸板に両手を置き、腰を沈める。「自分で済ませる」という言葉に違和感を覚えながら、迫る快楽と波と月咲の腰遣いの刺激に、俺の雄芯は刺激に触発され月咲を意識とは関係なく受け入れる。

『はぁ・・・はぁ・・・うあ・・・・はぁ・・・はぁ・・・』

俺は両目を伏せ垂れる汗と共に快楽に耐え続けていた。
すると、月咲が俺の首を両手で掴む。段々と力を強め首を絞める。
―――苦しい、息が出来ない。余計に汗が滲み、俺の両足は苦しさに動く。

350 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/29(火) 16:39:51 ID:IcEhRDlZ
「昂四郎君・・・苦しいですか?ふふ、私はもっと苦しかったんですよ・・?でも、そんな事はもういいんです・・・もう私のモノです・・・私の・・・!!!」

―――意識がゆっくりと遠のき月咲の顔が少しずつぼやける。伸ばし月咲に苦しそうな表情で語りかけるが、ただただ、笑みを浮かべた月咲が俺の上に乗り腰を沈めていった。
見開いていた目は段々と力無く降りていき、意識が薄くなっていった。


―――どれくらいの時間が経ったのだろう。外は静寂の姿になっている。
もうあんなに明るかった外の色が、夕焼け空から濃い青色へと変化し夜になろうとしている。
人の気配は感じない。もしかしたら、俺たち2人しかいないんじゃないのか。そんな事を考え意識が少しずつハッキリとしていく。

汗と埃で乱れた髪、ボタンが何個か外れたカッターシャツ、太もも辺りまで下がった制服のズボン、片方だけ脱げた靴下と靴、腹の辺りが何かベタつく、なんだこれ―――唾液?
指で触ると粘つく、・・・・気持ち悪い。この姿が今の俺なのか。
何かを考えようとすればするほど、頭の中は真っ白になる。力が全く出ない。今の現状が信じられない、信じたくない。
壁にもたれ視線を、ゆっくりと目の前の月咲に向ける。緩んだ制服や下着を着ている。あの時の狂気じみた目ではなくなってはいたが、もうそんな事は関係ない。


「・・・・昂四郎君、もう浮気なんてしたら駄目ですよ・・・・?あの女は私が、言い聞かせます。だから安心して下さい。昂四郎君は私のモノなんですから・・・」


『・・・・・・・ッ・・・』
月咲が前かがみになりながら膝を床に着き、両手で俺の頬に手を添える。達成感に満ちたその笑顔は、俺を絶望という場所へ堕ちていく。
月咲の唇が俺の唇へ慣れた様子で重ね、下を絡め唾液が俺の口元から滴る。

そのまま、俺の首筋で唇が止まり強く吸音を鳴らし吸い上げる。唇の痕を残すのだと直ぐに解った。耳元で唇の吸音が嫌というほど響く。
月咲は、痕が残った首筋に視線を落とし口許に笑みを浮かべながら満足そうに俺と視線を合し何を言うわけでもなくその場を後にした。




『・・・・・・ああ・・・・そうだ、俺も帰らないと・・・・・あれ・・・ボタンが外れてらぁ・・・ネクタイも汚れちまったし・・・・
・・・今日はついてねぇ・・・へへへ・・・そうだな、帰って風呂にでも入ろう・・・・明日・・備品は持っていこう・・・・』

1人になった倉庫で、呟きゆっくりと立ち上がり自分の姿に愕然としながらも脱がされた服装を直し一刻の早くこの場を去りたかった。
家に着くまでの事は、未だに覚えていない。
覚えているのは、気付けば自宅に戻り親に何も言わずに風呂場へ入りシャワーを浴びていた事だ。
風呂から出て着替えると、鏡に写る自分の姿に視線を向ける。
よく見ると頬に爪で引っかかれた後、そして首筋の唇の痕。赤味を帯びて濃く刻まれていた。
破れた制服は部活で転んだと言いそのまま洗濯機の中へ入れる。動き制服を洗い、暫くその動きを眺めながら部屋へと戻った。

ベットに座り足の親指を無意識に視線を向けると、月咲が倉庫で俺の足の指を舐めている光景が頭の中に広がり、両目を強く伏せる。

イジが言っていた「大沢を落としたのは、月咲の可能性が高い」
もしまた月咲を拒めば、美園やエイジ達に被害がいくのか、それとも俺がこうしている間に俺の気付かない間に、回りが被害を受けているのか。
少なくとも月咲は異常だ。
俺の気持ちに正直なればなるほど、俺の周りが壊されていく。もし大沢みたいにされたら。そんな恐怖が頭の中で巡り、美園達が傷つくイメージで汗を滲ませる。

『・・・・・・俺はもう何もいらない。月咲を俺だけに集中させる。もう誰にも傷がつかない様に。もう誰にも迷惑をかけない様に。俺は月咲に尽くす。俺だけしか見えない様に・・・・』

351 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/29(火) 16:41:11 ID:IcEhRDlZ
大学生時代/昂四郎マンション】

『・・・っ・・・・く・・・っ・・』
俺はその事を思い出すと涙が止まらなかった。右手を顔を覆い止らない涙を流す。
思い出したんだ、月咲が俺にした事を。
―――逆レイプ。
エイジの口から言われた言葉に信じる事なんて出来なかった。信じる事の方がおかしかった。酔った勢いでもなく、合意の上でもなく、月咲に襲われる。こんな事あるものか。
エイジは何も言わずビールと煙草を味わいながら俺に視線を向ける。

「ここまでがお前が3年になる前に起きた事だ。・・まぁ、俺はその事、後で知ったんけれどな。昂四郎は~・・・あの時、誰にも言わなかったみたいだし」

『・・・・言えるわけねーだろ・・・もし、あの時エイジ達に言ったら、それが本当になるし、認めたく・・・なかったんだ』

「月咲は、あの時助けるべきじゃなかったんだよ・・・昂四郎」

『・・・・・・・・』

暫く、沈黙が流れ流れていたテレビはもう砂嵐になっており、エイジがテレビを消す。
室内の音はもう、エアコンの冷房の音だけだった。
―――逆レイプの後、卒業までの俺が辿った道はまさに修羅だった。


第6話 完 つづく

352 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/29(火) 16:44:56 ID:IcEhRDlZ
次回予告 第7話  欲 愛

月咲に襲われ、月咲の異常さに周りが被害に及ばない様に勤める昂四郎。
エイジや美園の話にも耳を貸さず、月咲の要望に応え続けそれらは、更なる事件への幕開けになるのだった。
―――大沢明美の退院で物語は加速する。

次回第7話 欲 愛 お楽しみ下さい。

投稿完了です、それではまた次回投稿します。ありがとうございました!連レス失礼!

353 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 16:50:16 ID:hQL9HjM+
おつおつ
続きまってるよ

354 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 16:50:57 ID:rEAW8Nz0
GJ
相変わらずペース早いけど無理せず頑張って

355 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/29(火) 18:05:35 ID:ftBQ+iRh
GJ
ありがとう、楽しみにまってるよ。

356 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 18:37:16 ID:Wtdlg90V
GJ
ペース速いな。体に気をつけなよ?

357 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 21:37:33 ID:JmuXy+z1
>>352
こういう執着心はイイ!
月咲にはもっと狂ってもらいたいw

358 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 23:14:25 ID:wHF3Jt7i
静寂の姿(笑)
まさに修羅(笑)
次回予告(笑)

359 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 00:13:39 ID:m0BSODUE
GJ!
月咲さんが今後がどうなっていくのかますます気になるとこですな
次回も首を長くして待ってます

360 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 00:18:32 ID:aVFcMHV5
評論家(爆)
確かに"ん?"って思う所もあるが、それにしたって言い方ってもんがある。

361 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 01:05:59 ID:/DJCtk0O
確かに"ん?"って思う所もあるが、それにしたって言い方ってもんがある。 (笑)

362 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 01:51:36 ID:yR2BXuSw
これだから夏は……

363 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 03:21:20 ID:gBBi7eaS
夏だなあ

364 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 04:16:54 ID:Joa5Wu/r
「二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた」
「佐藤さんをつかまえるべく鬼の数である」
「ランニング状態で足を止めた」


「俺が辿った道はまさに修羅だった」←New!


365 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 04:29:09 ID:0USQCenR
夏だなあ
作者さん気にしない方がいいよ

366 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 04:57:14 ID:/DJCtk0O
夏だ夏だ言ってる奴は一番厄介。自分は厨じゃないと思い込んでるからな

367 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 07:42:05 ID:RoOY285A
あいちゃん訓練がんばりすぎわろたwww

368 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 07:42:49 ID:yR2BXuSw
まあ、その通りだな
>>360以降の流れは普段だったら発生しない流れだしな


369 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 08:45:46 ID:v57Dsgaz
黙って朝ご飯でも食べてきなさい

370 名前:ヤンデレの娘が作ってくれた朝ご飯が食べたい ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/07/30(水) 09:36:41 ID:2i/SmIf5
朝。
人の気配で目が覚めた。
俺はすぐさま臨戦態勢をとる。
なぜならば俺は一人暮らし。よってこの家にいるのは俺一人。玄関の鍵はキチンとかけてある。だから人の気配はすれすなわち侵入者を意味する。
俺が台所と部屋を隔てる襖を凝視していると、襖が開いた。別に俺が念力に目覚めたわけじゃない。その気配の発生源の人が開けただけだ。
「おはようっ! ダーリン!」
そういって俺に飛びついてきたのはエプロン姿の見知らぬ少女。呆気にとられて俺は応戦も出来ない。
俺が彼女を見ようと視線を下ろすと、そこには若さ溢れる柔肌が。つまり裸エプロンである。
「だ、誰だ! 一体なんでここに……」
俺の言葉は中途で霧散した。唇を彼女の口で塞がれたからだ。
「ふふっ、おはようのキス」
彼女はそう言ってすっかりご機嫌だ。
「朝ご飯食べないと、また会社に遅刻しちゃうよ?」
彼女はそう言って台所から朝食を運んできた。焚きたて御飯に味噌汁、焼き魚と煮物、そして漬物。まさしく模範的日本の朝食である。
うん、日本人に生まれてよかった。
俺は全て平らげた後、しみじみとそう思う。
……ってそうじゃなくて!
「だからお前は一体誰なんだ!」
「誰……って、どうしたのダーリン、変だよ。私はあなたの奥さんじゃない」
少女は平然とそう答えた。裸エプロンの下からですら主張してくるその胸が眩しい。
「お……俺はお前なんか知らない! ましてや妻なんて……」
俺がそう反論すると、彼女の双眸は見る見る潤んでいく。
「酷い! 自分の妻のこと忘れちゃうなんて!」
「じゃあ俺達の出会いは?」
「生まれたときから運命の赤い糸で結ばれていたから生まれたときだよ」
話が通じない。
「……妻っていうなら俺の好物くらい知ってるよな?」
「好きな食べ物はお寿司。でもわさびはダメ。そんなことろも可愛くて素敵よあなた」
……なんで知っている? 正直、恥ずかしいからこんなこと誰にも言っていない。知っているのは俺の母くらい……もしかして母の差し金か?
「じゃあ俺の趣味は?」
これならどうだ。俺の母ですら知らんぞ。
「バイクでドライブ。昨日も後ろに乗せて連れて行ってくれたじゃない。ふふっ、あなたったら方向音痴なのに裏道ばかり走るからいつも迷子になっちゃって」
……なんで知っている! 確かに昨日ドライブには行ったが、俺は一人だったぞ。
「じゃあ俺の三ヶ月前の夜食は!」
「焼き鳥にチューハイ。焼き鳥には普通ビールだけど、あなたは苦いから旨くないって……かっわいい」
……俺ですら覚えていないのに。こいつ、俺以上に俺のことを知っているのか? つまり本当に妻なのか? じゃあ俺は酷く局地的な健忘症にでもかかったと?
「ほら、そんなおかしなこと言ってるからもう時間よ! 急いで!」
彼女に言われて時計を見れば、出社時間が迫っていた。
「あ、ああ」
俺は慌てて支度を終え、玄関をでる。
「あなた」
「うん?」
振り向けばそこには唇が。
「いってらっしゃいのキス。……もう、あなたったら酷いこと言うんだから……罰として、帰ったらいっぱい……シテ、よね?」
そう言われて送り出された。

「……ってやっぱりおかしいだろ!」
俺が正気を取り戻して昼休みに慌てて会社から戻り、アパートのドアを開けると、そこには積んであった未洗濯の俺の服で一人で情事に耽っている妻の姿があった。

371 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/07/30(水) 09:45:46 ID:2i/SmIf5
続きません。>>369を見てついやってしまった

文章内だけ見るとそんなにヤンデレ臭はしませんが、アパートに入れたのは合鍵、三ヶ月前に食べたものを知っていたのは当然監視していたから、好物や趣味も同様に、といったわけで

372 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 09:51:00 ID:NfqxQHzQ
>>371
GJ!
よくやってくれました・・・

373 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 09:55:01 ID:xyVmSWsh
これはいいwww
この後の続きはありますよね?

374 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 12:06:29 ID:2i/SmIf5
>>373
>>371

375 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 17:26:39 ID:3v0HtaPq
>>371
GJ!

こんな妻が俺にも出来るのかな・・・・?

376 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 19:03:04 ID:5Ycs/vv4
いやぁ、頭が腐ってる人なんよ。
今回は姉と同級生の話なんよ。
しかも今回文章中に何故か草が生えてしまっいるからそこは我慢してほしいんよ。
え、空気?読めないんよwwwwwww
∧_∧
( ・ω・)=つ≡つ
(っ ≡つ=つ
./   ) ババババ
( / ̄∪


377 名前:『ハッピーなライフ』[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 19:04:01 ID:5Ycs/vv4
夕方のひと時、辺りは買い物袋を下げた主婦やまだまだ遊ぼうしている子供たちの元気な姿が在った。
そんな中に仲の良さそうな男女の姿が一つ。
片方は小動物をイメージさせるような可愛らしい少女、もう片方は少し目つきの悪い、が決して悪い人ではなさそうな青年。
どうやら二人は家に帰る途中のようだ。
「御波くん、今日の数学の時間居眠りしてて先生に怒られてた」
「おまっ、俺の隣なんだから見てたなら起こしてくれよな。そしたら先生に怒られてみんなに笑われる恥ずかしい思いもしなかったのによぉ」
「ふふ、ごめん。寝てる顔が可愛くて・・・・・」
「止めろよ恥ずかしい・・・・」
「その顔も、ふふ、ふ」
「うるせえなぁ、ったく可愛くない奴だ」
俺の名前は奥寺御波。
口ではこんなことを言ってるけど俺は人生十六年目にして初めて出来た彼女こと清水愛歌のことを心底惚れていた。
彼女はさっきの会話のようにすんごく口下手で、おまけに人見知りという完璧な根暗っ娘だ。
いつもの俺ならそんな女の子などに興味なんて示さないで他の子に想いを馳せていただろう。
しかしだ!!
「あ、その・・・・・。ご、ごめんなさい・・・・・・」
「い、いや今の嘘!嘘だから!可愛いってば!!」
「ほんと?」
「ほんとほんと!」
「わぁ・・・・」
(あぁ、さっきのショボンとした顔が天使みたいに、いや天使の微笑みになって喜んでるよ。か、かわええ!これはもう犯罪だ、うん)
今の彼の反応を見れば解るように口下手だろうが人見知りをする根暗だろうが、それでも十分惹きつけてやまない位彼女は可愛かった。
そんな彼女を狙う男は彼の他にも当然のように学校にいた。むしろはき捨てる程にだ。



378 名前:『ハッピーなライフ』[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 19:04:27 ID:5Ycs/vv4
しかし彼女も甘くはない。
相手が告白してきても持ち前の『人見知り』というスキルをいかんなく発揮し、告白してきた男性全てを撃沈させていた。
そしてそんな撃墜王の愛歌に今年の春、彼は自分の気持ちに我慢できず無茶を承知で彼女に告白したらなんと二つ返事で了承してくれたのだ。
しかも相手も自分のことが好きで今まで彼氏など作ったこともなかったという奇跡的で素敵なこともその時わかった。
(あぁ、こんなめちゃくちゃ可愛い彼女を自分のモノに出来た俺は三国一の果報者だ。ありがとう神様。
去年までは彼女持ちの男は全員死ね、氏ねじゃなくて死ねなんて願ってた俺にこんなプレゼントをくれるなんてあんたやっぱ最高だ!!)
「ガッツポーズ・・・・・?」
「あ、いや何でもない。こっちの話だよ」
「変な、御波くん」
苦笑いをする御波を愛歌はにこにこしながら彼の手を握る。指と指を絡める、俗に言う恋人握りというものだ。
(うぉぉぉおお・・・・・)
この心地いい胸の痺れが萌えなのかと彼は小さな指で握ってくる彼女の手を見て素直に感嘆した。
「・・・・・」
「どうしたの?手に、何かついてる?」
「あ?うん。何かさ、愛ちゃんって指を絡めてくるの好きだよなぁって思ってた」
「好きじゃ・・・・・ない?」
「いやぁ、むしろ大歓迎であります大佐」
「よかったぁ。嫌いなら、どうしようかと思った」
私ね?と一言置いてから彼女は言った。
「こうやって、人の手を握るのが好き・・・・」
「どうして?」
「なんかね、こうしてると相手と心が繋がってるって感じがして・・・・・・、とっても安心するの。
それに・・・・・・」
「それに、何さ?」
「こうやって、御波くんとくっつける、でしょ?」
むにゅっとお世辞にも大きくないが十分服の上でも柔らかさを感じ取れるほどある胸を彼の腕にすり寄せる愛歌。
腕から伝わってくる甘美な感触は御波の頭脳を破壊することは造作もないことだった。


彼は死んだ(笑)


379 名前:『ハッピーなライフ』[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 19:04:53 ID:5Ycs/vv4
その後、御波と愛歌は彼の家の近くに来るまで誰が見てもラブラブのバカップル状態でいた。
「あ、俺ここを右だからもうバイバイだな」
「・・・・・そうだね」
(ああ、去年は糞長い帰り道だと思ってたのに彼女が出来てからはこんなにも短いなんて・・・・)
御波は嬉しいような哀しいようね溜息を小さくした。
「あ、そうだ御波くん。私ね、こうやって手を繋ぐよりも、もっともっと大好きなことがあるの。
何だと思う・・・・・?」
「え、何?わかんないよぉ~(←wwwwww」
「ふふふ、じゃあ・・・・・、教えてあげる」
「教えて教えてぇ~(←wwwwwww、wwwwwwwww」
「これ・・・・・」

ちゅっ

「・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・へっ!?」
いきなりの不意打ちで唖然とする御波を彼女はふふふと微笑む。
「正解はね、好きな人とキスすること・・・・・。私、本当に御波くんのこと大好きだよ」
顔全体をほんのりとさせながら愛歌は上目使いで彼に言った。
その大きな瞳で自分を映し、形の整った唇の端を持ち上げた彼女に御波の心臓は大きく跳ねた。
「あ、はい・・・・・」
突然の事件に彼の頭の中は空前絶後の大パニックを起こしていた。
パニック具合を例えるならば海を泳いでたつもりが実はそこは空だったとか、
竹を切りに行ったおじいさんが竹を切ったら中にはゆで卵が入っていたというか。
まあとにかくパニクっていたのだ。世界が止まり、思考も止まり、文字通り石化していた。
「・・・・・・・・・・」
逆にこの状態だったからこそ、これから彼女が言う実に不穏で、かつ危険な言葉を彼は聞き漏らしてしまうことになる。
「私、御波くんのこと大好き・・・・。うううん、愛してるよ。御波くんは私のことどう思ってるの?」
「だいすき・・・・・」
「愛してる?」
「あいしてる・・・・・・」
「うふふ、よかったぁ。相思相愛だね御波くん。でもね、御波くんがもし私を裏切ったら・・・・・・、私・・・・。
御波くんのこと殺しちゃうかも・・・・・、ね?」
ビルに沈み行く太陽の赤い光がが彼女を赤く染めていく。それは見方によれば赤い血を全身に浴びているようにも見えた。
「わかった・・・・・・・・」
「うん、わかってくれて、よかった。それじゃあね、御波くん」
「さよなら・・・・」
季節的にはそろそろ夏だというのに、何故か彼の周りには冷たい風が流れていた。



380 名前:『ハッピーなライフ』[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 19:05:18 ID:5Ycs/vv4
愛歌と別れてから家に着くまで御波はまるで高熱を出したかのように意識がまとまらなかった。
ふらふらしながら家に到着する御波。
「ただいま」
変な浮遊感を感じながら彼は自分の部屋へ向かい、ベットへ着替えもせずに寝転ぶ。
「愛ちゃんとキス、したんだよな俺・・・・・」
自分の唇をなぞるとさっきまで夢みたな感じだったのものが急に現実味を帯びてきたのがわかった。
「・・・・・・・・っ!、やったぁぁああああああああああああ!!!!」
そして現実だったのだと頭が理解すると同時に彼は雄叫びを上げた、いや上げずにはいられなかった。
自分の好きな女性とキスが出来た(正しくはされた)のだ。もう制服がしわくちゃになろうとお構いなしに御波はベットの上で転げ回って喜びの雄叫びを上げた。
「やった、やった、やった!やっほぉぉぉおおおおお・・・」
「うるさい、黙れアホ」
ドゲシッ
「ぱぉっ!?」
しかしその雄叫びは突如として頭上に繰り出された鋭いチョップとハスキーなボイスで遮断された。
「いってぇな~、帰ってきてたのかよ千代姉。それと勝手に俺の部屋に入ってくるな」
「お前のうるさい声に癇癪を起こしそうだったんでな。すまないが勝手に入らせてもらった」
そう部屋の入り口でけだるそうに女性は言った。彼女の名前は奥寺千代音、彼の姉にあたる存在だ。
今の彼女の姿はタンクトップと短パンというルーズな格好している。普段はしっかり者なのに家の中でだと妙にずぼらだ。
「そっちはもう夏休みかよ千代姉」
御波曰く『千代音姉さんなんて呼び方は面倒くさいので千代姉だ』とのこと。
彼より二つ程年上で大学生だ。
スタイルは出るところは出て、締まるところは締まっているという部類で、しかも身長が175cmある御波より10cmも大きいものだからまるでモデルのようだ。
そんな姉が家の中でああいった格好で普通に過ごしているのは正直目のやりどころに困るというのが御波の意見(勿論姉には言ってない)なのだが、
姉曰く「この格好が一番楽だ、胸も苦しくないしな」だそうだ。
全くもってけしからん姉である。
「そうだ、テストが少なかったんでな。その・・・早くお前の顔が見たいと思って急いで帰って来たというのに・・・・・。
大体何なんだあのアホみたいな叫び声は?貴様は猿か」
「うるせぇ、アホアホ言うな。俺だって叫びたいほど嬉しいことがあるんだよ」
「嬉しいこと?何かあったのか?」
頭を傾げる千代音に御波は不敵な笑みを浮かべながらびしりと人差し指を姉に向けた。


381 名前:『ハッピーなライフ』[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 19:05:38 ID:5Ycs/vv4
「いいか?聞いて驚け!俺に彼女が出来た!!」
「・・・・・え。・・・・・・・・・え?」
おおう、驚いてる驚いてる。
あのポーカーフェイスで有名な千代姉が顔を歪めてびっくりしてるぜ。何てったってこのネタに関しては何度千代姉に馬鹿にされたことか、正直数え切れん。
しかし、これでもう二度と馬鹿にされないと思うとなんと清々しいことか。ビバ☆彼女だぜ!!
「う、嘘だな。お前みたいな男に彼女なんて・・・」
「嘘じゃねえよ。ほらこの子だよ、清水愛歌ちゃん。愛の歌なんて可愛い名前だろ?あ、顔もやばいくらい可愛いいんだぜ!」
携帯の待ち受けにしてあるプリクラで撮った写真を御波が見せると姉の表情はますます険しくなっていった。
そんな姉の状態を見ていると今までの復讐が出来ているみたいで御波は段々と興奮していった。
「しかも、だ。今日その女の子とキスしちゃったんだよ~ん。へへぇざまwwwwwww」
「なん、だと・・・・・・?」
「あっはっはっはっは!もう千代姉に彼女がいないって馬鹿にされないもんねwwww。悔しかったら別れさせてみろwwwwwww。
まぁwwwww無理wwwwwwですけどwwwwwww」
それにしてもこの男ノリノリである。
「・・・・・・・・・どこ」
ギシリ
姉の顔はいつも間にかいつもの何を考えている分からない、ポーカーフェイスに戻っていた。
「おぅふww、・・・・・・・へ?」
(今俺の耳がおかしくなければ空気がギシリって鳴らなかった?しかも何かすごく寒くなってきた・・・・・。
うわ、千代姉の顔やべぇ。無表情っていうか嵐の前の静けさ的な状態になってる。や、やりすぎたか?)
「どこ・・・・・・、いる、の」
「どこって、その、五丁目のスーパーの近くだよ」
「そぅ。じゃあ・・・・・・・、別れさせて・・・・・・・・・。・・・・・・・くる」
御波からそう聞くや否や千代音はスタスタと部屋から退出した。
彼はそれを間の抜けた顔で見送った後、事態の重さを理解した。
彼の姉、奥寺千代音の座右の銘は『有言実行』。
彼の記憶が正しければ彼女がやると言ったことは良くも悪くも全て実行してきたのだ。
「ち、千代姉ぇえええええええええええええ!?」
この瞬間、彼は風になった。



382 名前:『ハッピーなライフ』[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 19:06:04 ID:5Ycs/vv4
「アイス・・・・・」
「あぁぁぁぁ、わかったわかったから」
「これ二個ね・・・・・」
「へいへい」
死ぬ思いで何とか姉を捕まえた御波。風になった彼でも死ぬ思いで走らなければ危うく姉の姿を見失うところであった。
捕まえてからは彼の必死の弁解により何とか姉に『彼女と別れさせる』という行動を止めさせられた。ただし代償付きで。
そしてその代償というのは姉を捕まえた近くにあるスーパー(因み場所は五丁目。本当にヤバかった)でアイスを好きなだけ奢るということだ。
(くっそぉぉ、まさかここに来るまで捕まえられなかったとは。結構走りには自身があったのになぁ、畜生全部あの無駄に長い足のせいだ!!)
「聞いてるのか御波、あとこれと、これ・・・・・」
「わかった。わかったから離れろ、くっつき過ぎなんだよ」
「うるさい」
うわ、今俺すごく大切なこと(顔に当たる胸とか胸とか)を言ったのにたったの四文字で跳ね返しやがったぞこいつは。
「あのな千代姉。千代姉は俺より背が大きいんだよ?そんな千代姉が俺にこんなにくっつくとどうなるかわかるか?
更にそれが顕著に分かっちゃうだろうが!俺、男なのに女より小さいことを他人に見られてると思うとすっげえ恥ずかしいんだよ!!!」
「うるさい、うるさい!!これは罰だ!!!」
「何のさ!?」
「うるさい!!!!」
ああ、今月は金がないのに、と御波は見えない涙を流しながら大量のアイスをレジに持っていった。
金を払い終わる頃姉は既に外で御波を待っている状態だった。
「ほらこんだけ買えば十分だろ?帰るぞ」
「・・・・・うん」
むぎゅぅ
「・・・・・・あのな千代姉、何故抱きつく」
「さっき言ったろう。これは罰だ」
「つかぬ事を聞きますが、貴女にはこれだけアイスを買ってやったという弟を許す寛大な心がないんですか?」
「ない(キッパリ」
本日二度目の姉の冷たい態度に御波は本当に涙を流しそうになった。
「絶対に渡すものか、御波はワタシノ・・・・・・」
「ん?なんか言ったか?」
「・・・・・なんでもない。早く帰るぞ」
ギリギリギリ
「ほっふぇが痛いほっふぇが痛いぃぃいいい」
姉に千切れそうな勢いで頬をつねられる御波は今度こそ泣いた。




383 名前:『ハッピーなライフ』[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 19:06:26 ID:5Ycs/vv4
ふん、ふん、ふん♪
今日はついに御波くんとキスしちゃった。
御波くん、すっごくびっくりしてたなぁ。あはは、かぁわいい。
このまま順調に行けばいずれ御波くんと、ミナミクン・・・・ト・・・・・・・・。
(The・妄想中)
~二分後~
えへへぇ、御波くぅん・・・・・はっ!いけないいけない。こんなお惣菜コーナーの前で涎垂らしてちゃまるで私がお腹を空かせてるみたいじゃない。
まぁ違う意味で空いてるけどね・・・・・。
あぁもう、早く御波くんと繋がりたい!御波くんをもっと深く感じたい・・・・。
そのためにも明日の彼のためのお弁当は気合を入れなきゃ。
彼の好物は勿論チェック済み、抜かりはないわ。
もう材料は揃ったことだし早く家に帰って下ごしらえをしよう。御波くん、美味しいって言ってくれるかな?
明日が楽しみだな・・・・・・。
「あぁぁぁぁ、わかったわかったから」
え?今御波くんの声が後ろから聞こえたようなって、本当にいたぁ!?どうして!?
よ、よし、声をかけてみよう。
御波・・・・・。
「これ二個ね・・・・・」
「へいへい」
く・・・・・・ん・・・・・・・?
あれ?え?誰、その子?その女?御波くんが私の知らない女と一緒に歩いている?
何で何で、何であんなにべったりしてるの?私が御波くんの彼女だよね、私以外の女はあんなことしちゃいけないんだよね・・・・・・・?
まさか裏切った・・・・・・?
ミナ、ミクン・・・・・・・・。

384 名前:『ハッピーなライフ』[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 19:06:51 ID:5Ycs/vv4
「聞いてるのか御波、あとこれと、これ・・・・・」
「わかった。わかったから離れろ、くっつき過ぎなんだよ」
本当は私がそこにいるのに・・・・・、何で他の女がそこにいるのよ御波くん。そこは私の居場所でしょ・・・・・・・・・・・ッ。
今日私言ったよね、私のことを裏切ったら殺すって。私言ったよね!?
それともこれは何かの冗談かな?だとしても私、笑えないなぁ、笑えないよ御波くん。
もしかして御波くん。
ワタシトノカンケイハアソビダッタノ・・・・・・・・・・・?
「お、そこのお嬢ちゃん今日はから揚げが安いよ、一つどうだ・・・ひぃっ!?」
「ウふ、あハハはは、いいのおじサン。ワタシ、これから薬局ニ行かなキャいけなクナったから。うふ、うフフフフフ」
「そ、そうかい。し、失礼したね」
「エェ、全くよ」
・・・・・・いいよ、御波くんが悪いんだからね?私の忠告を無視した御波くんがいけないんだからね?
御波くん、私は御波くんのことが大好き。愛してるよ。
だから・・・・、本当は殺してやりたいけど殺しはしないよ・・・・・・・・・。
でもキツぅいお仕置きをしなきゃいけないよね。だって御波くんが私を裏切ったんだもん。
だからお仕置きをしなきゃね。御波くんの身体にキツぅいお仕置きしなきゃいけないね?ね?
「どうシようかナ。何をしてアゲヨウかなァ・・・・・」
あは、あはははは。
くはははははははははははははははははははははははははは!!!!!
「くふ、くふふふ、あ、明日が、楽しみぃだなあぁぁああああ」



385 名前:『ハッピーなライフ』[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 19:07:22 ID:5Ycs/vv4
異常なんよ。

_, ._
w  ( ・ω・ )  ・・・
(~)、 /   i  )
\ ` |_/ /|
`ー_( __ノ |
(  `(  、ノ
草のことはごめんなさいなんよww w_ノ`i__ノwwwwww



386 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 19:20:41 ID:ZO9L2nb1
Gj!
実にいい腐り加減ですね
あ、明日が、楽しみぃだなあぁぁああああ

387 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 20:24:39 ID:GCKpxHXi
>>385
恋人も(・∀・)イイ
しかし姉スキーの俺にとってはこの姉はど真ん中ストライク!
もっとお姉さんの暴走を読んでみたかったり

388 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 21:33:15 ID:qBJd/T2s
まさにハッピーすぎる生活だwww
こういう生活憧れるなぁw

389 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 22:27:41 ID:3v0HtaPq
>>385
醗酵と腐敗は違うんよ?ひとまずGJなんよ。

390 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/30(水) 23:00:59 ID:Y13GKI0Z
姉か…、彼女か…。
問題はそこにある。
どっちかを選ぶなんてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。





あ、GJ

391 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/07/30(水) 23:01:31 ID:O4xrNF9j
では久々に投下致します

392 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/07/30(水) 23:03:45 ID:O4xrNF9j
第2話『霊感商法』

古ぼけた狭いアパートの一室には部屋の持ち主ではない坊主の男たちが三人が目を閉じて集中していた。
上半身は裸であり、背中や胸には派手な刺青が彫られている。頭を剃っているのか、髪の毛はない。
微かに頭上は電球が必要のない明かりを灯していた。
その坊主達は近所で雇った凄腕の坊さんらしいので、部屋にいる幽霊を除霊してと依頼をしたら、快く承知して来てくれた。
そして、坊主の男たちによる除霊作業が始まろうとしていた。
幽霊の彼女は……尋常じゃない邪気を撒き散らしながら俺を睨んでいたが、気にしないでおこう。

「らんらんるー!! らんらんるー!! 坊主は嬉しくなるとお兄ちゃんのためにしちゃうの 」
「はぁぁぁぁぁぁぁ。ちょっとゴリちゃうぞ」
「大胆不敵!!電光石火!! 除霊はワシらの金のためにある!!」
と、坊主は意味わからん単語を天井に向かって叫び続けていた。それから、同じ事を繰り返して30分ぐらいで除霊作業は終了した。
「これでYOUを脅かす悪霊は完全にホロビマシタ。依頼料は期日までに口座へ振込んでクダサイ」
「振込まないと地獄に落ちるわよ!!」
「霊感商法に気を付けてな」
坊主さん達は奇妙な事を言い残して去っていた。高い除霊料を払ったことだし、肝心な幽霊は成仏したはず……。
振り返ると奴がいた。
「こ・う・い・ち・さ・ん」
「そ、その、あれだ。
ごめんなさい」
俺は宮野由姫にひたすら謝るしかなかった。


「光一さんは最低です。どうして、除霊なんてするんですか? 私のことを飽きてしまったの?」
「だって、部屋に幽霊がいるとさ。アニメやゲ-ムとかできないじゃん」
「生身の女の子がいるんですから、そんなものは必要ありませんよ!!」
「アンタは生身じゃなくて、幽霊だろっ!!」
当たり前の話だが、24時間中幽霊がいるという異質な状況は俺のプライベ-トな生活に色んな支障を起こしていた。

朝から光一さん光一さんと叩き起こされてはテレビを付けてください、私とお話をしてくださいと頼み事をしてくる。
秘蔵のお宝のゲ-ムをプレイしようとしても、俺の背後から光一さんは生身の女の子に興味はないんですねと泣き言を言って来る始末だ。
我慢の限界に来た俺は怪しげな坊主に除霊を頼んだわけだが。
結果は見ての通りだ。
宮野由姫は幽霊として存命している。憎いことに。

「ふふっ、私がいないとこの部屋の空間は暗くなりますよ」
「暗くなる云々の前に幽霊がいる時点で充分に先行きは暗いと思うんだが」
「大丈夫です。浪人しただけで光一さんは充分に将来は暗黒ですから♪」
ああ。やっぱり、成仏させておくべきだったかもしれん。ボケェ幽霊。
「黙れ、実年齢35才。本来ならさっさと成仏して、転生先は畜生道一直線の
お前が人の人生をとやかく言われる筋合いはない」
「女の子に本当の年齢はタブーですよ。
20才のアイドルで売り出しても、実年齢は35才だったというオチもあるので、本気でタブーですからねぇ。
今度、言ったらタコ殴り刑ですから」
幽霊にタコ殴りにされる浪人生の運命は想像するだけでとても情けないように思えるのは何故だろうか。
実年齢35才に殴られるぐらいなら、もっと若い女の子に殴られた方がマシかもしんない。
ともあれ、同居している幽霊は日々が経つのにつれ自己主張が激しくなるのであった。


393 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/07/30(水) 23:05:57 ID:O4xrNF9j
そんな俺の唯一の癒しの空間は現在通っている予備校にしかなかった。
毎日意味不明な授業内容を聞きながら、安らかな寝息を立てる。周囲は必死に授業内容を聞いているのに
俺だけが寝ているのはなんと言うか、予備校教師をも畏れぬ所業じゃないだろうか。

家に帰ると幽霊が朝から晩まで懐いてくるし、寝られる時間はほとんどないに等しい。
高い授業料を支払っているんだし、予備校は俺に安眠場所ぐらい提供してもよさそうだ。
まあ、予備校教師はさっきからこっちを睨んでいるように思えるが、気にしないでおこう。

休憩時間になると俺は欠伸しながら、周囲を見渡すとすでに本日の予備校の営業は終了したそうだ。
居残っている生徒達がこっちを奇妙な動物のような視線で見つめてやがる。
そんなもんは無視するのに限る。

「あっ。起きたんだ。松山くん」
「藤寺さん?」
「もう、松山くんがずっと寝ていたでしょ」
「ちょっと、睡眠不足で」
「睡眠不足って夜遅くまで起きているからじゃないの」
「それだったらどれだけ良かったか」

藤寺 音梨沙 (ふじてら ねりさ)
同じ予備校に通っている予備校生。この予備校に通ってからの知り合いで、大学入試でカンニングして見事にばれたらしい。
そして、女の子ながらも不憫な浪人生として予備校に通っているわけだが。

彼女も居眠りの常習犯であった。

予備校教師が注意しても、あまりにも幸せな寝顔に教師はおろか、ここに通っている予備校生ですら起こすことができない。
ここまで自分と似た人間がいることに驚きだったので軽く口を聞いたら、何だか意気投合してメルアドを交換などしたが。
予備校で会話することは滅多にない。
だって、寝てるもん。

「松山君はちゃんと起きて勉強した方がいいよ。じゃないとまた試験に落ちて、辛くて厳しい浪人生活を送ることになるよ」
「あんたも寝てるだろ」
「私の場合は睡眠学習だよ。寝れば寝る程、私の頭は賢くなるんだよ。
そう、無駄な雑学は覚えても、わけわからん方程式とか単語は脳内じゃあ処理しきれないけど」
「藤寺さんももう一度浪人生活を送りそうだな」
「いえいえ、松山君の方が結構危ないです。日本人全員がそう思ってますよぉ」
やっ。睡眠学習するような頭のおかしい人に言われる必要はないと思う。てか、日本人全員が俺は2浪すると思っているのかよ。
「同じバカ同士。親交を深めるために松山君の家で一緒にお勉強しましょ」
「何でそうなるんだ」
「私の本能がそう告げているのよ」
どんな本能だよ。
「というわけで松山家に行きましょーー!!」
俺の意見などお構いなしに藤寺は俺の腕に自分の腕を組んで、予備校は飛び出した。


394 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/07/30(水) 23:09:02 ID:O4xrNF9j
友達の仲である藤寺音梨沙という女の子を自分の部屋に連れ込むのは男の子としては嬉しい出来事である。
勉強会は建前上のことであり、本来は彼女が言った通りに親交を深めるためにやって来たのであろう。
彼女は初めて出会った時から自分と同じ匂いがしたのだ。

一般社会には溶け込めない独特な価値観に、周囲の人間とは必ず違う道を突き進む突進力。
大事な大学入試の時にカーニングをして、浪人生活に転落しても弱音を吐かない図太い精神など。
いろいろと波長が合う女の子だと思う。
ともあれ、何の準備なしに一人暮らし男の部屋に女の子を誘うのは俺の部屋は散らかり過ぎていた。

お宝のヤンデレゲーなど女の子が余裕で引いてしまう物々を見られると俺自身がちょっと発狂してしまう。
更に藤寺が予備校の皆にこの事を喋らないと限らないので
部屋を掃除するから家の前で待ってくれと待機させている。
家に帰るまで俺は奴の存在を忘れていた。

当然、幽霊の宮野由姫のことだ。

「へぇ、光一さんは可愛い女の子を自分の部屋に連れ込んで、いやらしいことをしようと企んでいるんですね」

機嫌が悪いのか、少し冷笑を浮かべて嫌味をたっぷり含んだ口調で掃除中の俺に言い放ってくる。
当然、俺は幽霊を軽くスルーして自分の部屋の掃除を続けていた。

「私という可愛い女の子がいるのに。どうして、他の女の子を連れて来るのかな?」
「同じ大学入試試験でカンニングした馬鹿同士。気が合った仲間が一緒に勉強するのは当然じゃないか」
「ダメです。世界破滅の大危機です。テレビで生電話の相談室の司会の人が言っていました。浮気する人間は背中から包丁で刺されると……」
「どんな番組だよ。しかも、ただの浮気だけで刺すのかよ。恐いって」

「心が壊れた女の子は正常な判断ができないんですよ。たまたま、
そこに準備していた包丁で愛しい人を殺してもそれは仕方ないことです」
「ヤンデレ症候群感染者か。その女は?」
「いえいえ、愛しい人の愛に飢えている女の子の構って欲しくて胸を刺して、愛の一突きです」
「ど、どちらにしろ、その女は牢獄の中で閉じ込めておけ……」

「はい。そうですね。私はドラマのヒロインになったつもりで光一さんを……」
「刺すなーーー!!」
「だって、どこの馬の骨かわからない女の子に光一さんを取られるのは面白くないじゃないですか。ぷんぷん」
「もしかして、嫉妬しているの?」
「そ、そ、そ、そ、そういうわけじゃないですよ!! ええっ。光一さんにちょっと気があるなんて嘘ぱっちですからね」

ツンデレ風味の幽霊が顔を真っ赤に染めていた。その仕草は幽霊らしからぬ甘い雰囲気を周囲に漂わせる。
俺的には掃除の邪魔もとい、個人的なお宝コレクションを隠そうと狭い一室の中で必死に考えているというのに。
由姫のヤキモチにいちいちと反応している時間はないのだが。


395 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/07/30(水) 23:09:30 ID:O4xrNF9j
「わかりやすくねぇ?」
と、俺は小声で呟いてから苦笑してしまった。
その時、ドアを叩く音が聞こえてきた。
「松山くん、まだぁ?」
「後、もう少しだけ待ってくれない?」
「私の気のせいだと思うんだけど、松山君って独り言とか多いのかな? 
それとも、誰かいるの? さっきから誰かと喋っている風に聞こえるんだけど。
もしかして、松山くんの彼女?」
藤寺さんが悲しげな声に俺は思わず意味がわからずに首を傾げた。
鈍い頭をフル稼働させて彼女の言葉の意味を理解しようと考えて、
何故か勝ち誇っているボケ幽霊の姿を見るとようやくわかった。
宮野由姫は幽霊である。
霊感のない一般人が彼女の姿を見ようと思ったら、この古ぼけたアパートの部屋を契約した者だけがすでに故人となり、
幽霊になっている彼女の姿を見ることができる。
つまり、先ほどの会話に関しては周囲から見ると頭おかしい学生が延々と独り言を喋っていたのに過ぎない。
松山光一は病院に連れて行かれる寸前……アホ幽霊のせいで。
「( ̄ー ̄)ニヤリッ」
「顔文字で勝ち誇らないでください。友人に俺はちょっと頭のおかしい人と誤解されて、精神病院に連れて行かれる5秒前なんですよ」
「もう、光一さんの鈍感。女の子を待たせると豆腐の角で頭をぶつけて死んでもおかしくないですからね。
早く彼女をこの部屋に入れて上げて下さい。ふっふっふ」
思い切り、何かを企んでいる顔だった。犯罪者が犯行計画の段取りを考え、
完全犯罪が成立することを完璧に確信したような表情を浮かべている。
俺は嫌な予感がしつつも、藤寺さんを我が家に招き入れた。


396 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/07/30(水) 23:10:55 ID:O4xrNF9j
以上で投下終了です

前回の投稿から半年以上が経っていますが
頑張って完結まで書くので楽しみに待ってください

それでは。

397 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/30(水) 23:15:35 ID:Y13GKI0Z
GJ
楽しみに待ってます。

398 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 23:29:01 ID:GCKpxHXi
>>396
これはまたナツカシス
一話読み返してきたよ

399 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 02:04:32 ID:3/FoRIoS
>>385
久々にいいキモ姉を見た。GJ!

400 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 10:07:40 ID:p1bEsZEu
ヤンデレ少女が鋸を携帯するのがお約束になってきたな

401 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 13:05:02 ID:C33iIaaM
そろそろトンファーを携帯する時代が来てもおかしくないな

402 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 16:08:33 ID:u8z1I4X4
素手で十分だな

403 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 17:47:04 ID:ig8+SuAT
ヤンデレ少女が携行するのは愛だろ

404 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 19:11:54 ID:3TIQQrOk
もうすぐヤンデレ婦警がサイボーグ化されるはず!デトロイトあたりで

405 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 22:01:49 ID:TOPCCKXv
バタバタ走るよ バタコさん

406 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 22:43:28 ID:dPSopbNz
>>403
何か感動したw

407 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 23:23:51 ID:t7Uf4dDU
お久しぶりです。前回の続きを投下します。
前回の話はだいぶ前に投下したので覚えている方はいないと思います。
申し訳ありませんが忘れている方は前回のまとめウィキをご覧ください。


408 名前:儀式観察――中篇――[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 23:26:52 ID:t7Uf4dDU
椿姫玲は笑わない。
自分の知る限り、生徒の中で椿姫先生が眼鏡を外したのを見たことがない。
感情を顔に出すことがないから喜怒哀楽が分からず、近寄り難い雰囲気のせいもあってか
周囲の評価はあまりよくない。一部の生徒達からは『鉄仮面』とも『アイアン・メイデン』
とも呼ばれている。担当教科は数学。
美人ですらりとした体型で、モデルにも芸能人にも見えるが、自分の中では社長秘書が一番しっくりくる。
いつも白いシャツに黒いスーツという服装で、ストッキングもヒールも黒一色。
切れ長の瞳に縁無しの眼鏡。化粧が薄いから元の顔が綺麗で整っていることがよく分かる。
キリッとした印象はできる女とも、クールな女性とも思わせるが、それ以上に冷淡さを感じさせる。
授業以外でも必要なこと以外は口にしないという、口数の少なさもその印象に拍車をかけている。
椿姫先生の誰にも見せない顔を知っているのは恐らく自分だけだろう。

一方の久我はなんというか――変な男だ。
芸能人のように格好良いわけではなく、かといって不細工という部類でもない。しかし、第一印象は
誰が見ても「良い男」という。自分の評価を抜きにして一般的に見ると上の下といったところか。
スポーツが好きらしいが、部活には入っていない。中学時代はバスケ部だったらしい。
髪型はしょっちゅう変わるが、不思議とどれも似合っているように感じる。今は少し短くした髪を
茶色に染めてワックスでいじくっている。鏡の前で髪をわしゃわしゃと弄くっている姿が目に浮かぶ。
どんな相手にも良い印象を与える不思議なところがあり、どこか憎めない。おかげで授業中に居眠りをしても
教師怒鳴られることはない。毎回「久我だからしょうがない」で済んでしまうのだ。
人当たりが良い性格と、温かそうな雰囲気のおかげで男女共に友人が多い。
授業中によく居眠りをしたり、授業をサボったりする事が多いが成績はそこそこ良いらしい。
人望もなく、友人も少ない自分としては少し、いや、けっこう羨ましくも腹が立つタイプの男だ。


先生と久我――対極の二人だが、二人の関係はなかなか見ていて気持ちが良いものだった。
久我は椿姫先生の授業に関してだけは何故か居眠りをしない。それどころか、授業中はおろか授業が
終わった後に、授業で分からなかった所を聞きに行くのだ。
あまり関わりあいたくないと思って近づかない生徒が大半の中、久我だけは普通に接しようとする。
まあ、冷静に考えれば、数学が苦手で毎回赤点ギリギリの久我が、ただ必死になっていただけなのかもしれない。
椿姫先生にとっての久我がその時どう映ったのかはわからない。しかし、久我が聞きに来るときの
椿姫先生の表情は、少し柔らかく感じていたのが記憶に残っている。
例えて言うなら、手間のかかる猫を世話する飼い主というか、出来の悪い子を躾ける母というか、
自分から見た二人はとにかくそんな感じだった。
教師と生徒の友好な関係――クラスの中でも、他のクラスでも、久我と椿姫先生の噂が立つのに
そう時間はかからなかった。



409 名前:儀式観察――中篇――[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 23:28:33 ID:t7Uf4dDU
儀式を観察し始めてしばらくが経ったある日、久我に彼女が出来たという噂が聞こえた。
噂の出所は不明。しかし、久我は否定することなく、そして相手が誰であるかもすぐに判明した。
隣のクラスの遠峰晶(とおみね あきら)。
彼女は才色兼備の美人として有名だ。噂ではかなりのお嬢様らしい。
今時にしては珍しく大和撫子を感じさせる印象で、おしとやかで静かな雰囲気を持っているからお嬢様
といった印象を与えるのだろう。
そんなお嬢様と久我が付き合っている――噂はその日のうちに瞬く間に校内に広がった。
きっかけは? いつから? どっちから告白を? 
昼休みの食事中、クラスメイトからワイドショーのリポーターのような質問攻めを受けている久我の
ところに椿姫先生がやって来た。
椿姫先生の表情は普段と変わらない。だが、その雰囲気から内面恐ろしいくらい怒っていることが
はっきりとわかった。
クラス中の注目が集まる中、椿姫先生は久我の前に来ると、しばらくの沈黙の後、何かを
押し殺したかのような声で「あとで生徒指導室に来るように」と言って帰っていった。
椿先生が教室から出た後、クラスの皆は呆気にとられ、久我は困ったような顔をしていた。

結局、久我は生活指導室には行かなかった。本能的な恐怖を感じて逃げたのかもしれない。
昼休みが終わるのを待たずして、久我はこっそりと帰ってしまった。
昼休みの間、生徒指導室の中で椿姫先生はずっと待っていたようだ。昼休みが終わる前にこっそり様子を
窺いに行くと、椿姫先生は般若の如き形相だった。
表面は冷静を保っているつもりなのだろうが、目はつり上がり、口元は怒りを堪えるために歯を
食いしばっているのか固く結ばれている。こんな表情の椿姫先生を見るのは初めてだった。
生徒指導質の中をぐるぐると歩き回り、椅子に座ってもしばらくもせずにまた立ち上がって歩き回る。
いつもの冷静沈着な椿姫先生の面影はどこにもない。落ち着かない様子でせわしなく動いている。

多分先生は、久我を生徒指導室に呼び出して、別れるように言うつもりだったのだろう。
先生の気持ちに気付いている私には分かっている。
先生がどれほど久我のことが好きなのかを。どれだけ愛しているのかを。
恋というよりも、愛という表現があっている。
狂おしいほど、病的なほどの愛。本当に人を好きになった人の感情は熱く、暗く、そしてドロドロとしている。
激しい恋愛をしている女性には修羅が宿る――昔読んだ小説に書いてあったのを思い出した。
なるほど。だとしたら、椿姫先生はとっくの昔に修羅になっていたのかもしれない。
椿姫先生に気付かれないようにそっと生徒指導室から離れ、教室に戻りながらこれからのことを考える。
椿姫先生と久我のこと。久我と遠峰晶のこと。椿姫先生と遠峰晶のこと。
いくら考えても想像ができない。この三人の中に自分が入り込むことはない。関わることもできない。
それどころか最初から関わる気はない。これは三人の問題であって、自分はただの観察者なのだから。
予測の出来ない事態は流れに身を任せるしかない。下手に逆らうと溺れてしまう。
ふと、変な疑問が頭をよぎった。馬鹿馬鹿しい疑問。家で飼っている熱帯魚が頭の中で泳いでいる。
――魚は溺れることがあるのだろうか?


410 名前:儀式観察――中篇――[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 23:29:57 ID:t7Uf4dDU
次の日から、久我と椿姫先生の関係は崩れ始めた。
険悪な雰囲気を身に纏うようになった椿姫先生の授業は、常に緊張感に包まれることになった。
何度もチョークをへし折る椿姫先生を見ていると、どれだけ機嫌が悪いのかがよく分かる。
黒板の字も普段とはうって変わって汚く乱暴になっているし、久我の席の方向を見ようともしない。
いつもと違う椿姫先生に、クラスは異様な雰囲気に包まれることになった。
久我も先生の様子に気づいているのか、黒板に書かれた数式をノートに写すだけで、先生への質問をしなくなった


授業のペースは上がり、時にはついていけなくなるほどになった。先生に何かを言おうにも、
反応が恐ろしくて誰も言うことができない。必然的に予習をしなければならなくなり、授業が終わると
クラス中では分からない所を教えあう光景が至るところで目につくようになった。
あれから遠峰晶は久我に会いに来ることはなくなった。その代わり、久我のほうから出向くようになり、
休み時間や昼休みに教室で久我を見ることは極端に少なくなった。
今まで久我と一緒にいたクラスの男子は羨ましそうに久我をからかい、久我もまんざらではなさそうな顔で
笑っていた。
私は弁当を食べながら思う。久我は先生の視線に気づいているのだろうか。

椿姫先生の授業が終わると、クラス全体が安堵したように大きく息を吐く。肉食動物から逃げ切った
草食動物の心境とはこんな感じなのだろうか。
いつまでこんな辛い状況が続くのだろう。クラス中にはそういった絶望感にも似たものが流れ、そもそも
どうしてこんなことになったのかという疑問が囁かれだした。

ある女子A曰く、付き合っている男に振られたのではないか。
ある女子B曰く、生理が来なくて苛立っているのではないか。
ある男子C曰く、久我を遠峰に奪われて怒り狂っているのではないか。
ある女子D曰く、クラス全体の成績が下がり、学年主任に叱られているのを職員室で見た。
ある男子E曰く、体育教師の田村からのセクハラで精神的に不安定になっている。

いろんな憶測が飛び交い、やがて噂になり、その噂には背びれや尾ひれがついてくる。
数匹の立派な魚になった噂は、やがてクラスを飛び越えて学校中を泳ぎ回りだした。
数匹の魚は生徒の口から吐き出されて別の生徒の耳に飛び込み、そして口から出て行くときには
大きく成長していく。魚は口から出て行くたびに成長していく。想像したらちょっとしたホラーだ。
しかし、ある男子のC君。君が冗談で言ったのであろう憶測は間違っていない。だが、先生の怒りが
どれほどのものかまでは君も想像できまい。君の発言を先生が知ったらどうなるかわからないぞ。




411 名前:儀式観察――中篇――[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 23:31:29 ID:t7Uf4dDU
暗くどんよりとした厚い雲が空を覆い、湿気とむし暑さで校内中の自動販売機は売り切れ続出になった。
つい先日までの快適な環境から拷問のような日々。先生の機嫌が悪くなって10日目の夜。
久我と遠峰の関係が公になったあの日以来、先生は毎日のように儀式を繰り返していた。
儀式の時間は日に日に長くなっていき、先生の行為もエスカレートしていった。
たまに目を覆うようなこともやってのけ、今までは使用していなかった道具まで持ち込んでの儀式は
私の好奇心を激しく刺激した。時には私も先生を観察しながら自慰を行ったが、それは好奇心旺盛な
成長過程の学生の衝動的な行動であって、けして自分がいやらしいとかそういうわけではないのだ。

その日も先生の儀式は遅くまで続いた。ちなみに、見廻りに来る教師が現れることは今まで一度もなく、
忘れ物を取りにやってくる生徒も一人も来たことはない。多分運が良かったのだろう。もし現れたときには
自分が物音を出して先生に知らせ、それから逃げようと考えていた。これでも足の速さには自信がある。
陸上部に誘われたこともあるのだ。
儀式が終わり、全身の力を抜いて久我の机にもたれ掛かる先生を見ていると、今までと少し様子が
違うことに気がついた。
机の上に両手を乗せ、その上に顔をうずめているのだが、ときおり肩を揺すっているのだ。
教室の中から聞こえてきたのはすすり泣く声。
耳を凝らして聞いていると、かすれた小さな声で「どうして……どうして……」という声が聞こえてくる。
蚊の鳴くような小さな声。耳を澄ませないと聞こえないほどの小さな声だが、聞こえてくるその声は
痛々しく、胸に小さな針を刺されているかのよう感覚がした。
嗚咽を漏らしながら、その声はひたすら同じ言葉を繰り返す。
「どうして……どうして……どうして……どうしてよ……どうして私じゃないの……? どうして
あんな女なんかを選ぶの? 私の方が晃を愛しているじゃない……」
深い悲しみが声になって教室に響く。消え入りそうな声はしかし、呪詛のようにも聞こえる。
長い旅をしてきた旅人が力尽きて倒れ、水を求めて呻くような、今にも死にそうな声。

(ああ、この人は弱いんだ。誰も気付いていないだけで、この人は誰よりも心が弱いのかもしれない)
今にも崩れ落ちてしまいそうなその姿を見て、私はやっと気がついた。
どうして今まで気がつかなかったのだろうか。先生を見ていれば一目瞭然じゃないか。
弱いからこうして毎晩自分を慰めているんじゃないか。
弱いから素直になれずに、一人でこんなところでこんな事をしているんじゃないか。
弱いから、自分の心を守るためにこんなことを―――。


412 名前:儀式観察――中篇――[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 23:34:00 ID:t7Uf4dDU
普段は誰も気がつかないだろう。もしかしたら、先生自身も気がついていないのかもしれない。
勇気があれば、久我に自分の気持ちを伝えることもできる。
心が強ければ、身分違いの恋を胸に留めて諦めることもできる。
それなのに、勇気がないからどっちもできずに諦めることもできないから、こうしてここで泣いている。
しかし、私にはどうすることもできない。私はただ、先生を――儀式を観察しているだけの人間なのだから。
ただの傍観者――手助けをすることはすなわち、私の存在を先生に教えることになり、この観察が
終わることを意味する。そして、それは私が先生を観察していたことも知られてしまうこと。
私にはどうすることもできない。先生を慰めることも、先生の恋を手助けすることも。
(なんだ、結局弱いのは私も一緒じゃないか)
軽い自己嫌悪に目眩がしそうになる。私も先生とある意味同類だ。先生のことをとやかく考える
権利も資格も持ち合わせていない。

ふと、教室からすすり泣く声が聞こえなくなっていること気がつく。
先生の様子をこっそり窺ってみると、先生は窓の方を向いて立っている。
窓からは月の光が差し込み、先生の後ろ姿がぼんやりと光って見えた。
先生の長く細い影が床に伸び、それがまるで禍々しいものに感じる。全てを飲み込んでしまいそうな
漆黒の影は、べったりと床と机に張り付いている。
ふいに、小さな声が聞こえた。
「――ふふふ、ふふふふふふ……」
肩を小さく揺らし、先生が笑っている。
「ふふっ、うふふふ。な~んだ……こんなことに気がつかなかったなんて……。ほんと、どうしてこんな簡単な
ことに気がつかなかったんだろう……」
今までとはまったく違う様子に、背中の肌全体が粟立つ。
なにがそんなにおかしいのか、なにがそんなに楽しいのか――先生の声は無邪気な声で、どこか異質な
ものにしか聞こえない。
嬉しそうな、楽しそうな、おかしそうな声。少女のような声で、先生は言葉を紡ぐ。
「そうよ、どうしてこんな簡単なことに気づかなかったのかしら? 本当に馬鹿だわ、私って……。
どうして我慢していたのかしら。私が早く晃に気持ちを伝えていればこんなことにはならなかったのよ。
別に我慢する必要なんてないじゃない。晃も私も気持ちは同じなんだから……。晃が悪いんじゃないのよ、
悪いのは全部私とあの女よ。いえ、私はそんなに悪くないわ。……うん、そうよ、悪いのは全部あの女。
あの女が悪いのよ。私と晃の間に割り込んできて、私の晃を誑かすなんて……。本当に許せない」
冷たい汗が流れ、心拍数が跳ね上がる。粟立った背筋に重くて嫌なものが圧し掛かる。
先生の呟きが聞こえなくなり、嫌な沈黙が流れる。海の底に沈んだとしても、こんな沈黙は感じないだろう。
軽い頭痛と吐き気を感じだした頃、やがて、先生の口から呟くような声が聞こえた。
「――あの女が消えれば、晃は気がついてくれるかしら? それとも、私が教えてあげれば良いのかしら?」

宵闇よりも深い闇。全てを飲み込んでしまいそうな暗黒。淡い月の光が頼りなく教室を照らしている。
昼間、空は厚い雲に覆われていたことに気づく。外に出て空を見上げれば、星が見えるかもしれない。
くすくすと笑う先生の声だけが、教室に響き渡った。




413 名前:儀式観察――中篇――[sage] 投稿日:2008/07/31(木) 23:37:06 ID:t7Uf4dDU
投下終了です。考えたら次で終わる気がしません。

414 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/01(金) 01:12:14 ID:JLa1VpGH
GJ
一話目を読み返してきた。

415 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/01(金) 12:26:40 ID:M3e2qWS9
>>413
乙~
先生かわいいよ先生

416 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 00:58:38 ID:52fdLHrs
ヒマ潰しネタを投下します。一応続編です

417 名前:ヒマ潰しネタ[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 01:00:38 ID:52fdLHrs
祐美の三度目の監禁から奇跡の大脱出を果たし、三日ぶりの我が家に辿り着いた。
築15年の我が家の玄関が愛しく感じる。将来は玄関職人になろうと思ったのは祐美と付き合ってからだ。
鍵を開け、薬で重く感じる身体を滑り込ませるようにして家の中に入る。
後ろ手でドアを閉め、ふと足元を見ると、玄関には三足の見知らぬ女性用の靴が並んでいる。
おやおや珍しい。滅多に友達を連れてこない栞が三人も連れてくるなんて。
これは兄として一言挨拶でもしに行かなければと玄関に座って靴を脱いでいると、階段をバタバタと下りてくる
足音が聞こえてきた。
おやおや、愛しい兄が心配でお出迎えですか。これは兄として喜ばしいですなあと振り返ると、来月16歳
になる栞(しおり)が慌てた顔でやってきた。

「おう栞、ただいま。珍しいな、栞が友達を連れてく」

「お、お兄ぃ! どうしたの? 祐美(ゆみ)さんに監き……デートしてたんじゃなかったの?」

……おかしいなあ。どうして監禁されてたって知ってるような口ぶりなんだ?
確かに栞には祐美とデートに行くって言ったけどさ。そういえば、今回は珍しく栞の方から
祐美とのデートを勧めてきたな。
『映画のチケットが偶然二枚あるから祐美さんと行ってきたら?』
そんな裏がありそうな誘いを断る理由もなく二人で行ってきたのだが、普段なら栞の方が
自分と一緒に行こうと言ってくるのに。

「ん? ああ、祐美に殺されかけてさ、命からがら逃げ帰ってきたわけだよ」

いや~まいったまいった。まさかあそこで鉈を持ち出すとは思わなかった。あれほど死を覚悟したのは
初めてだった。今度からは俺も何か用意していかなければな。

「チッ! 祐美さんも役立たずね……」

んんん? どういうことだ? どうして不満そうな顔をしているんだ?
もしかして祐美は俺にずっと監禁されていてほしかったのか? ゆっくりしていってね!! なのか?

「……まあいいや。お兄ぃ、今日はあたしの友達が来てるから部屋から出ないでね」

「まあいいやって……兄として挨拶の一つくらいしておかないと失礼なんじゃないか?」

「いいから! お兄ぃは部屋で静かにしていてよ。あの子たちに見られたら――」

焦った表情で捲し立てるように言う栞。これは珍しい。しかし一体何をそんなに慌てているのだろうか?

「しかしだな、俺もシャワーを浴びてスッキリしたいし……」

「栞ちゃん、もしかしてその人が栞ちゃんのお兄さんなの?」


418 名前:ヒマ潰しネタ[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 01:02:18 ID:52fdLHrs
声が聞こえた階段の方を見上げると、二人の少女が興味深そうにこちらを見ている。

「ああっ! 部屋から出てこないでって言っていたのに!」

栞がしまった! とでも言いそうな表情で二人の少女に向かって怒鳴る。

「え~、だって栞が必死になって隠すからさ~。なんか私達に見られないようにしてるっぽいから
気になるでしょ?」

「へぇ~、思ったよりもカッコイイよね~。栞ちゃんと全然似てないけど」

少女達が動物園のパンダを見るかのようにじろじろと俺を見る。これはなかなかに気恥ずかしい。 

「はじめまして、栞の兄です。いつも栞が世話になってありがとうね」

ドブ川が一瞬できれいな川に生まれ変わりそうなスマイルで二人に挨拶をする。
せめて栞の兄らしい姿だけは見せておかなければならない。幻滅させて「栞のお兄さんってダサいよね」
なんて言われたりしてイジメに発展するかもしれない。それだけはなんとしても防がねばならない。

「はじめまして~、わたしは栞のクラスメイトの藤川彩音(ふじかわあやね)です~。彩音って呼んで下さいね」

「はじめまして、高崎理緒(たかさきりお)です。 理緒って呼んでください」

まばゆい笑顔で挨拶をしてくる二人の少女。礼儀正しいし可愛いし、さすが自慢の妹の友人達だ。
彩音ちゃんは試写会の挨拶で不機嫌そうにしていたアイドルに似ているし、理緒ちゃんは
弟が犯罪者になったアイドルに似ている。かなり可愛いではないか。
どうして栞は俺を会わせたくない様な口ぶりだったのだろうか?

「ああ、彩音ちゃんに理緒ちゃんね。よろしく。これからも栞と仲良くしてあげてね」

にっこりと笑って挨拶を返し、栞への配慮も忘れない。ゆっくりしていってね!!

「そういえば靴は三足だったけど、もう一人は栞の部屋にいるのか? その子にも挨拶を……」

「ほらほら、二人とも部屋に戻って。兄さんも疲れてるんでしょ? お風呂なら私が準備しておくから
兄さんは部屋に戻ってて」

に、兄さん? 呼び方がいつもと違うぞ? なんか心なしかいつもと態度が違うぞ?
これはアレか? 人前では仮面を被っているわけか? ガラスの仮面か? 栞…恐ろしい子……ッ!!
彩音ちゃんと理緒ちゃんの背中を押し、階段を上って部屋に戻っていく栞の背中を眺めながら、
どうしたもんかと考える。いや、別に普通に風呂に入ってさっさと寝たいだけなんだけど。



419 名前:ヒマ潰しネタ[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 01:03:35 ID:52fdLHrs
シャワーを浴びるだけで済まそうと思っていたが、予想外にも栞が風呂を入れてくれたのでゆっくりと
体の疲れを汗と一緒に流すことができた。薬もどうやら抜けてくれたらしい。
風呂から上がり、冷蔵庫からコーヒー牛乳を取り出してパックごと一気飲みをする。やはりビンでないと
風呂上りの一杯としてはもの足りない。たまに勢い余って鼻の穴に入るのが困るのだ。
来客が居ることもあって、ジーンズとシャツを着ている。ジャージの方が落ち着くのだが、
部屋に居るとき以外は我慢しよう。格好悪い兄を栞の友人達に見せて幻滅させるわけにはいかない。
もし俺が原因で栞がイジメられることになったら申し訳がない。栞のことだ、イジメを苦に自殺は
しないだろう。むしろ、教室内で釘バットを振り回し、ガソリンを撒いて火をつけかねない。見た目とは違って
意外とデンジャーな性格をしているのだ。申し訳ないのはイジメの加害者達に対してだ。

ふと、栞に監禁された時のことを思い出す。
あの時は大変だった。祐美よりも丁寧に縛られて逃げることができず、バットで脚を折られそうになるは
変な薬を打たれるは。祐美が助けに来てくれなかったらどうなっていたことやら。まあ、祐美も俺を襲いに
家に侵入してきただけなんだが。その後のことはあまり思い出したくない。とにかく大変だったのだ。

あの子達は栞のそんな危うい一面なんか知る由もないだろう。『YanYam』なんて雑誌で新作の斧を
うっとりと眺めたり、今月の呪術占いで一喜一憂しているなんて知っているはずがない。
しかし、どうやら今回の流れがなんとなくだが読めてきた。
多分だが、栞は友人達が家に来ることを断りきれなかったのだろう。
そして、どうしてかは知らないが(うすうすは気づいているが)栞は俺を友人達に合わせたくないのだ。
そこで、俺に映画のチケットを渡して祐美とデートに行かせ、しばらく帰って来れないように仕向けたのだ。
思い出すと、祐美との会話の節々に変なところがあった。なにやら嬉しそうに「私、これからは栞ちゃんの
良い義姉になれるように努力するわ」とか言っていた。
今になって思うと、なんとなくだが二人の会話が想像できる。

小さく溜息を吐いて、これからのことを考える。
とりあえずは部屋に戻って寝ていれば問題はないだろう。栞もそれを望んでいるんだし、俺も監禁から
逃げるためあれこれとしていたから疲れているのだ。
自室に戻ろうと階段を上がりかけ、その前にトイレに向かう。我が家は二階にトイレがないから困る。
そそくさと済ませ、さっさと部屋に戻ろうとトイレのドアを開けると―― 

便座に頭を挟まれて、便器に頭を突っ込んでいる少女がいた。

ドアを閉める。
もう一度開ける。
やはり便器に頭を突っ込んでいる少女が一名。

………う~ん。とりあえず助けておこう。このままだと小便ができないしな。
便座を開けて頭を持ち上げて顔を見る。鼻血を垂らして白目を剥いている彩音ちゃんだった。 
どうして彩音ちゃんがトイレに頭から突っ込んで白目を剥いているのだろうか?
もしかして我が家のトイレの前世はミミックだったのか? 来客の頭を食べるのが好きなのか?
様々な疑問が脳裏をよぎるが、とりあえずはトイレから出て廊下に寝かせておこう。事件解決は
トイレの後でも間に合うだろう。ゆっくり寝ていてね!!


420 名前:ヒマ潰しネタ[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 01:05:27 ID:52fdLHrs
小便を済ませ、彩音ちゃんを放置したまま階段を上る。栞に報告しておく必要があるし、担いで階段を
上るのは危険だからだ。あとちょっと汚いし。
階段を上ると、妙な物が目に入る。栞の部屋の前で誰かが倒れているのだ。
そろりと近づいて見てみると、何故か大鍋に頭を突っ込んでうつ伏せに転がっている少女が一名。
服装を見ると、先ほど挨拶をした理緒ちゃんであることが分かる。手が後ろに回されて縛られている。
スカートがめくれ上がって、ずり下げられたパンツ。尻の穴にきゅうりが深々と刺さっている。

………SM?

最近の高校生は女の子同士でSMをするのだろうか? それにしてもシチュエーションが分からない。
そもそも自分の部屋でするのならともかく、廊下に放置するとはどういうことだろうか。放置プレイ?
いったい何が起きているというのだ? どうして肛門にきゅうりなのだ? 痔になるぞ。
どうしたものか……。痛々しい姿で転がっている理緒ちゃん(故)を眺めながら考える。
とりあえずきゅうりは抜いてやるべきなのだろうか。でも汚いからやだな。
このまま放っておくと風邪を引くのではなかろうか。布団でも掛けておこうか。
しかしどうして鍋を頭に被っているのだろうか。『私を召し上がれ』って意味か?
唸りながら首を捻って考えていると、栞の部屋のドアが開いた。

「あっ、もうお風呂から上がってきちゃったの?」

俺を見て少し驚いた表情の栞。運動後の後のように少し肩で息をしている。

「ああ、長風呂だと寝ちゃいそうだったからな。それよりも」

彩音ちゃんと理緒ちゃんが大変なんだが、と言いかけて言葉がつまる。

「栞よ、その手に持っているのはなんなんだね?」

右手に持っているものを見て、分かっているけれど、とりあえず質問をする。

「ああ、これ? さっき挨拶しなかった友だ……メス豚よ」

右手には、靴下を履いた右足が抱えられている。まさか女の子を足の裏から紹介されるとは思わなかった。
そもそもどうして友達の足を抱えているのだろうか。なんで友達と言いかけてメス豚と言いかえたのだろう。

「ホント、これだから嫌だったのよ。お兄ぃを見るとメス豚が寄ってくるから。始末するの大変なのよ」

げんなりとした顔で栞が溜息を吐く。友達にメス豚はないだろう。

「……彩音ちゃんと理緒ちゃんは栞がやったのか?」

「ええ、だってしょうがないじゃない。「お兄ぃを紹介して」だとか「犯してぇ~」とか言うのよ。
私のお兄ぃってことを知らないのは仕方ないけど、屠殺されても文句は言えない暴言よね」

そう言って、手に持っていた足をずるりと廊下に引きずり出す。
目の前に現れたのは、やはり白目を剥いて口から泡を出している見知らぬ少女。額には「豚」と書かれている。

「この豚なんて最悪よ。お兄ぃの部屋に勝手に入ってたのよ。おまけにお兄ぃのアルバムを勝手に持ち出して
私しか知らないお兄ぃの昔の写真を……」

ブルブルと栞の肩が震え出す。両手は強く握り締められ、表情は般若の如き形相である。スカウターで
今の栞の戦闘力を測ったら多分壊れるんだろうな。多分俺の戦闘力は5くらいだろう。ゴミである。
こめかみに青筋を立てている栞が、右足を上げる。足元には見知らぬ白目の少女ことカニ子ちゃん(命名)
の顔が転がっている。


421 名前:ヒマ潰しネタ[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 01:07:18 ID:52fdLHrs
いかん。これはいかんですよ。踏み潰す気マンマンやないですか!?
慌てて栞を止めに入る。我が家で殺人事件なんて起こされたらたまったもんじゃありませんよ。

「待て! 落ち着け栞!」

「どいてお兄ぃ! そいつ殺せない!!」

栞……恐ろしい子ッ!!
普段の愛らしい栞からは想像もつかない。鬼の所業を必死になって止め、栞を部屋に押し込む。
ベッドに押し倒し、近くにあった荒縄でがんじがらめに縛り上げる。どうして荒縄があるのだろうか。

「ムキーッ! ムキャーッ! ムッキョ、あんっ! そこはもっときつく……もしかしてこんな状況で?」

ジタバタと暴れながら奇声を叫んでいた栞がとたんにおとなしくなる。色っぽい声をだすな。
何を期待しているのかは知らないが俺は猛獣を捕獲しているだけだ。妹を縛る趣味はない。
ぐるぐると全身を荒縄で簀巻きにして、ついでにベッドに縛る。これなら抜け出すこともできないだろう。

「ふぅ……。これでもう大丈夫だろう」

「お兄ぃ? もしかしてこれって愛情表現? 私を縛って監禁プレイ?」

頬を赤らめるな。嬉しそうな顔をするな。期待した目で見るな。

「ああ、そうだ。俺も最近縛られ慣れてきてな。こういうプレイは嫌か?」

「ううん。わたし、お兄ぃがどんな変態プレイをしてきても受け入れるよ。だって、わたしの身体は
お兄ぃのものだから……」

栞が目を潤ませて恥ずかしそうに言う。言っておくが、俺は変態ではない。少し変態なだけだ。

「そうか、栞は本当に良い子だな。よし、それじゃちょっといいかな?」

そう言って、栞に目隠しをして、口の中に近くにあったハンカチを押し込む。
ヘッドホンを耳に掛けて音楽を大きめにして流す。これで栞は何もすることは出来なくなった。
仕方がなかったんだ。だってこうでもしないと殺しかねなかったんだから。誰が好き好んで愛しい
妹を縛ることなんてしようか。誰だって妹を殺人者にするわけにはいかないだろう。
そう、これは愛ゆえの行動なのだ。けっしていやらしい気持ちなんて微塵もないのだ。人を縛るときの
手に残る荒縄の感覚が良いとか、そんなことは断じてないのだ。

目の前には未だに頬を赤らめてむーむーと唸っている妹が一名。
部屋の入り口には気絶した少女が二名。一階のトイレの前に一名。ゆっくりしていってね!!
倒れている少女達を踏まないようにして部屋から出て、自室に入る。三日ぶりの我が聖域は主人の帰り
を待っていたかのように温かく迎え入れてくれた。
ベッドに倒れこみ、大きく息を吐く。急速に全身から疲れが出てくる。それと同時に、眠気がやってきて
目蓋が重くなる。

栞の友人達はどうしようか。起きたらそのまま帰ってくれていることを願いたい。
祐美はどうしようか。今回も三日間くらい放っておこうか。食事くらいは食べさせに行くべきだな。
栞はどうしよう。さすがに妹をこのまま放っておくのは忍びない。明後日くらいには解いてやろう。
うつらうつらと重たくなった思考で考える。
良かった。今回は縛られることも監禁される心配もなく眠ることができる。
久しぶりの安心感を味わい、夢の世界に旅立つ。今日はぐっすりと眠れそうだ。

夢の中、顔まんじゅうになった栞と祐美が、なにやら叫んでいた。




422 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 01:09:44 ID:52fdLHrs
投下終了です。

423 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 01:24:48 ID:PRIwZbcZ
GJ!!
続きを全裸で待ってるわ

424 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 02:04:00 ID:52fdLHrs
>>423
すみません。「前回投下した物の続編」という意味です。これの続きはありません。
これはただのヒマ潰しネタですから、全裸待機は他のSSのためにしてください。

425 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 02:10:58 ID:muokfxUo
>>424
前回投下したものって?

426 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 02:43:16 ID:52fdLHrs
>>425
保管庫ウィキの短編SSに置いてある「ヒマ潰しネタ」の続編なんです。
言葉足らずで投下後に何度も書き込みをして申し訳ありません。

427 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 10:19:23 ID:ICQz0jgZ
出番のない彼女カワイソス……しかし兄貴脳天気だなw

428 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 18:12:20 ID:wlyz6FFD
こっちの兄貴の話も投下します。
今回は普段よりちょっと短いです。

429 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 18:14:14 ID:wlyz6FFD
***

雨の日の翌日、見事に私は風邪をこじらした。
体温は三十九度。自分でもやりすぎたかと思うぐらいにひどい。
そんなわけだから、私はその日から学校を欠席することになった。
しかしお兄ちゃんは私とは違い風邪を引いていないので、もちろん学校に行く。
行ってくるよ、と言い残し部屋を去ろうとする。
そうはいかない。
ここから作戦を実行する。
立ち上がったお兄ちゃんの、制服のシャツの裾をつまみ、弱々しい声で言う。
「おにいちゃん、出かける前に……私の寝汗、拭いていって?」
自分でもびっくりした。演技するまでもなく、声が小さい。喋るのも辛いぐらいだった。
予想を大きく外し本物の病人になってしまった私を見て、お兄ちゃんは悲しげな顔を浮かべた。
やっぱり優しいお兄ちゃん。だから好き。だから、こんな単純な作戦にも引っかかってくれる。

濡れタオルを使って、顔、首、腕、足の順にお兄ちゃんは私の体を拭いていく。
だけどそれ以上拭こうとはしない。困ったように頭を掻く。
それはそうだ。私の体で他に拭くべきところはまだある。
すなわちパジャマの下。体中が汗に濡れているのだ。
お兄ちゃんだってそれをわかっている。だからこそ、手を出すことを躊躇っている。
私は高校一年生、十六歳。
まだ成長する余地はあるけど、今でもそれなりにところどころが育っている。
ブラはこの間一回り大きいサイズのものに買い換えた。
食事を制限し、さらに運動を欠かさなかったこともあり、お腹にたるみは一切なし。
もうちょっとお尻と足の肉付きが良ければ言うことはない。
でも、同級生の女子と見比べても優っていると思う。
全てはこの作戦のために、今日のこの日のために。

左手でお兄ちゃんの手を握る。
目を合わせたまま、右手を使って上のパジャマのボタンを外す。
ゆっくりとした手つきで、下着と肌を隙間から覗かせるように、一つ一つ外していく。
たちまちお兄ちゃんの顔は焦りを浮かべ、あらぬ方向を向いてしまう。
しかし、それも予想済み。
「見て、いいんだよ、おにいちゃん」
左手に力を込め、おにいちゃんの手を軽く引く。
恥ずかしいよね。なんたって、女の人の肌をこうやって見るのは初めてなんだから。
私の体を見るのだってお兄ちゃんは初めてのはずだ。
小さい頃はともかく、中学に入ってから私はずっと肌を見せないようにしてきた。
決して見慣れることのないように。妹の体は神聖なものだと思わせるために。

「ちゃんと見て、拭いてくれないと。私、今から寝られないかも……」
半分冗談、半分本気のお願いをする。
なんたってこれ以上風邪が悪化したら今後の行動に影響が出てしまう。
そのためにもここはぜひお兄ちゃんに頑張って貰わないと。
ボタンを外し終えたあと、肩に乗ったパジャマを落とす。下も膝まで下ろしておく。
そして、両腕を広げた状態でベッドに仰向けに倒れる。
お兄ちゃんは私の体と天井を何度か交互に見て、ようやく決心がついたように私に手を伸ばした。


430 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 18:15:09 ID:wlyz6FFD
首、お腹、ふともも、背中の順に拭き終わると、お兄ちゃんは離れようとする。
ここで逃がす訳にはいかない。まだクリアしていない課題がある。
お兄ちゃんの腕を掴もうと手を伸ばす。空振った。
いや、まだ。まだ声は出る。
「ねえ、まだやってないところあるよ」
うつぶせの状態で、ブラのホックを外して、言葉を続ける。
「胸も、拭いていってくれない?」
そう、これは誘惑。
「恥ずかしがらなくても、すぐに終わっちゃうから、平気だよ」
お兄ちゃんの心の中にある枷を解き放つため。
私の体でお兄ちゃんを墜とす。
背中の肌をさらけだした状態。お兄ちゃんの前では私は無防備だという意思表示。
「何されても…………見られても恥ずかしくなんかないから」
困惑しているお兄ちゃんへ微笑みを向ける。
むしろ、見て欲しいというのが本音で、そう言いたいところだけど、それじゃこの作戦が台無し。
あくまで、病気にかかった妹が兄にわがままを言う感じでなくてはいけない。
露骨に誘惑するのはバツ。遠回しに攻めるべし。
「あ、パジャマとブラが邪魔だよね。待ってて、すぐ外すから……」
うつぶせのままで、パジャマを脱ぎ、ブラの肩紐を外そうとしたところで、お兄ちゃんは背中を向けた。
今から学校に行くと言い残し、部屋から出て行った。
あとに残されたのは私だけ。

……ちぇ。
この場ではお兄ちゃんの心をかき乱す程度で終わらすつもりで、実際にそうなったけど、やはり物足りない。
ここまで脱いだんだから、していって欲しかった。
でもまあ、作戦は成功と言っていいものだったし。
あとは次の段階に備えて、寝ることにしようか。



431 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 18:16:16 ID:wlyz6FFD
***

今から十年ぐらい前の話。
俺と弟と妹と、幼なじみの花火は兄妹同然の関係にあった。
俺が七歳から八歳ぐらいの間で、花火が俺より数ヶ月誕生日が後、弟がひとつ下で、妹がふたつ下。
順序でいえば上から俺、花火、弟、妹という感じ。
花火は俺を仕方なく兄扱いしていた。弟と花火は対等。花火と妹は姉妹みたいだった。
俺が小学二年生ぐらいのころだろうか。
弟が小学校に上がってきて、妹が一人幼稚園に通うようになり、一悶着あった。
妹が幼稚園に行くのを拒むようになったのだ。というか、小学校に行きたがった。
そのせいで俺が小学校に来た妹を幼稚園まで連れて行ったりするようになった。
たぶん弟が居なくて寂しかったのだろう。
その頃から妹にはブラコンの素質が芽生えていたわけだ。
最終的には、花火の最初は優しく、最後は怒鳴り声を交えた厳しい説得によって、妹が諦めるかたちに落ち着いた。
よくありがちな、甘えん坊の子供のエピソードである。

今頃になってようやく思い出せるようになった小さい頃のエピソードは全部で二つ。
まず、今の妹のエピソードが一つ。
残るもう一つが、怒りとか悲しみとか涙とか痣とかが耐えない、とにかく良い覚えのないもの。
おそらくはこの時から俺の周囲に暴力的な要因がとぐろを巻いているのではないか、なんて思ってしまう。
家に遊びにやってきた伯母が、両親の前では穏やかだったのに、俺ら兄妹を相手にしているときは暴力に手を染めるだなんて、
年相応に世間知らずで純粋だったはずの子供にとっては辛い体験だった。
大人って怖いと、当時の俺が思ったかは知らない。
ただ、伯母は怖い人間だと理解していたはずだ。

一度家にやってきて以来伯母が弟と妹を虐待し、どういうわけか比較的手出しされなかった俺は、
当たり前のように伯母を止め、弟と妹をかばうという行動をとるようになった。
そんな日々が続いて、小さな子供の心に何の変化もないなんて、ありえない。
妹は幼稚園に通えなくなり、夜は突然泣き出すようになった。
泣きやませるために、俺か弟が一緒の部屋の中で眠るようになった。
弟に訪れた変化は、俺に対して強く出られなくなった、言い換えればとにかく下手に出るようになった、ということ。
兄弟間の上下関係というものなんて俺は意識しないし、弟に対して無理矢理いうことを聞かせるようなことはしなかった。
それなのに、弟はあらゆる場面で俺の後に続くようになった。
そして、その頃から弟は謝るのを癖にしだした。
俺よりも朝早く起きた、夕食の量が同じだった、俺よりも早く自転車に乗れたなど、どうでもいいことでも謝るようになった。
きっと自分をかばい続けてくれる兄に負い目を感じていたのだろう。今の俺なら気付ける。
昔の俺には気付けなかった。そんなことに気付くよりも、伯母を憎むことが大事だった。


432 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 18:17:56 ID:wlyz6FFD
それぐらい憎んでいた相手が同じ病院内に入っている。
昨日まで忘れていたのに、こうして昔のことをはっきり思い出せるようになってしまった。
どうするもこうするも、俺が伯母の冴子に対してやることは一つしかない。
このまま黙って病院から出る。今後一切関わらない。
絶対に許せない相手だからこそ、こちらから身を引かなくてはならない。
だって、あんな女でも子供がいるのだ。
入院していて、玲子ちゃんの父親がうちの父親と同一人物で、一体どうやって生活しているのか怪しいものだが。
あの親子とこのままお別れするのが最善だ。
そもそも俺が入院さえしなければ一生出会うこともなかったのだ。
退院してしまえばきっかけなど生まれない。
だから、退院予定日の今日、一刻も早く出るために手早く準備を固める。
そう決心して朝食をあまり噛まずに食べているところに、部屋をノックする音が飛び込んできたから驚いた。
誤ってご飯を一気に飲み下してしまい、喉を詰まらせるところだった。
しかし、驚愕の事態はまだ続く。
病室に入ってきたのは看護師さんではなく、俺の妹であった。

「……食べるか、病院食」
「お兄さんの食べかけなんか要らない。それにもう食べてきたから」
そうか、と返す言葉も出ないぐらいに空気が悪い。
間が持たないというか、ギスギスしているというか。
レタスを噛む音がこんなにうるさいとは今まで気付けなかった。
妹の視線は病室のところどころに向けられている。
やることがなくてそうしているというより、単にあまり縁のない場所だから、興味があって観察しているよう。
もしかして、空気の悪さを感じているのは俺だけ?
妹は割と自然体だし、それに普段は見せない私服姿だし――――って、あれ?
「今日木曜だろ? なんで学校に行ってないんだ」
「ん、それは……ちょっと、気になることがあって。今週は病欠することにしたの」
「なんだよ、気になることって」
「……後で話すから、早くご飯食べちゃって。今日はお兄さんに聞きたいことがあるからここに来たの。
本当は昨日話すつもりだったんだけど……」
「ああ、それについてなんだが」
「それも後で聞く。早くご飯食べて、出て行く準備しよ」
「……ああ」

それから朝食を食べ終え、食器を片づけたあと、持ち込んだ私物をまとめにかかった。
一週間程度の入院だから、せいぜい下着と着替えの服と小物ぐらいしかない。
スポーツバッグに全部入れ終え、着替えを終えたら準備完了。
その後は医師にリハビリの仕方や生活するうえでの注意を受けただけで病院から出ることが出来た。
久々に受ける二月中旬の空気はまだまだ冷たい。
暖かいのはギプスに包まれた右腕だけだ。
俺の左前を歩く妹についていく。
自宅へ向かうにはバスを使わなければいけないのに、どういうわけか妹は病院近くのバス停をスルーして、さらに歩を進める。
「おい、どこ行くんだ。バスに乗らないのか? 誰かが迎えに来てるとか?」
「違う。……話があるって言ったでしょ。どこか落ち着いた場所を探してるとこ」
妹が選んだ場所はファミレスだった。
入ってみると、平日の九時前ということもあって客は少なく、ガラガラに空いていた。
禁煙席に座り、ドリンクバーを二つと、俺だけが唐揚げとフライドポテトを店員に注文した。
十七歳の男にとっては病院食など腹の足しにならない。
それに早く退院したという実感を覚えたかったのだ。
「何にする? コーラか、コーヒーか?」
「いいよ。私がするから、お兄さんは座ってて。自分が片手しか使えないの知ってるくせに」
なんということだろう、妹が俺に気を遣っている。
戻ってきて、俺の前にドリンクバーでは定番の炭酸飲料ではなくウーロン茶を置くところなんて、
体のためを考えているとしか俺には思えん。


433 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 18:19:19 ID:wlyz6FFD
「それじゃ、早速だけど、いい?」
「お、おう。なんでもこい」
正直なところを言うとかなり緊張しているのだが、気張って返事する。
なにせ妹から話を持ちかけてくるなんて初めてのことなのだ。
頼るなら俺ではなく弟。相談する相手ももちろん弟。俺に話があってもあえて持ちかけない。
そんな妹がここまで積極的になるからには、相当重大な問題が発生したとしか思えない。
先日、花火が弟と妹の部屋をひっくり返したような、あれぐらいの事態である可能性あり。
妹が真正面から俺を見つめてくる。
まばたきすることなく見つめ合うこと数秒、妹が口を開いた。
「……やっぱり、こっちを先に聞く。昨日のことなんだけど」
「あー、あれか……」
気になるよな、兄が入っている病室を訪ねて、ベッドの上で兄が顔見知りの女に被さっているのが見えたら。
「お兄さんはどこかヘンだけど、それでも世間の常識ぐらいは知っているものだと思っていたのに」
「常識を知らないわけでも、状況に流されて強引に忘れさせられたわけでもないぞ。……いつのまにかああなっていただけだ」
「ふうん。まあ、いいけど。じゃああの時に言ってた、自分に正直になったって、どういう意味?」
なんと答えようか迷った。
正直に言おうか、ごまかそうか。
言うべきほどではないからあまり言いたくない。されど、別に口にしたって構わないんじゃないかとも思う。
結果的に、妹の顔を見ていてごまかすのが悪いように思えたので、煙に巻くのはやめた。
「葉月さんに告白の返事をしたんだよ」
「押し倒していたってことは、付き合おうって言ったの?」
「順番は逆。ああいう体勢になって、それから返事をしたんだ。付き合えないって、返事したよ」
「え?」
妹が忙しくまばたきを繰り返す。
「な、なんで? 言いたくないけど、同性から見てもあの女は綺麗だよ? お兄さんにはもったいないぐらいに」
「好きになれなかったから断った。……ってだけだよ」
そこでこの話は終わりとばかりに、ウーロン茶を口にする。
妹はまだ聞きたそうにしていたが、それ以上は追求してこなかった。
「ごめんね、お兄さん」
「なんで謝る。聞いて悪いことでもないぞ、今の。俺の場合はだけど」
「お兄さんが辛そうにしているから謝ったの」
「別に辛くなんか…………ないぞ」
そもそも、告白されてすぐに返事せず、先延ばしにしてきた俺が悪いのだ。
先延ばしにしたことを後悔しているが、辛くはない。
「変なこと聞いちゃったね。もう聞かないから」
「ああ」
「……じゃあ、次。こっちが本当に聞きたいことなの」
ここで、妹が視線をテーブルに落とした。
予想した通り、重い話題らしい。
「真剣に答えてね。絶対に嘘吐かないで」
「約束するよ」


434 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 18:25:29 ID:5AKPzwE+
ん? 支援かな?

435 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 18:27:43 ID:wlyz6FFD
妹がおもむろに頭を持ち上げ、俺を見た。
その目に浮かぶのは、普段妹に向けられているようで実は違うもの。
「どうして、黙ってたの?」
「……何をだよ」
「昔のこと。私が勘違いしてるのに気付いていたんじゃないの?」
「昔って、お前……いつのことを言ってる」
「私が今よりずっとずっと小さいころ。
私がいっぱい泣いてて、お兄ちゃんも辛そうにしてたころ」
「……まさか」
「やっぱり覚えてるんだ。
忘れてるはずないもんね。お兄さんは私をかばって、いつも怪我をしていたから。
この間、葵紋の花火ちゃんが来て、やっと思い出した。
そして、すぐに疑問に思った。
どうして…………お兄さんは、私がお兄ちゃんとお兄さんを間違って――入れ替えて覚えていることを言わなかったの?
もう、どうしたらいいのか、わからないよ。
私の気持ちがどこにあるのか、…………自分でもわからなくなった」
妹の目に浮かぶのは――――俺への非難だった。
泣き出しそうなほど目を潤ませて、俺を視線で責めていたのだ。

違うんだよ、妹。
俺は、小さいお前が俺のことをどう思っていたのか気付いていなかったんだ。
あの日、花火を傷つけた俺をお前がどう思ったかなんて、気付かなかった。
余裕が無かった。
妹のことをすっぱり忘れるほどに、あの日の俺は頭に血が上っていたんだ。


436 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 18:29:03 ID:wlyz6FFD
投下終了です。

すでに退院してますけど、一応次回までは入院編ということで、よろしくお願いします。

437 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/08/03(日) 18:29:45 ID:ciAOQZ+R
リアルタイム北ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

438 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 18:31:08 ID:5AKPzwE+
>>436
乙乙
まさかの妹フラグktkr?

439 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 18:40:20 ID:F1yRqLfk
>>436
GJ!
戦闘経験がないのって、妹と先生だけか

440 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 21:08:05 ID:GIm1ZlFf
>>436
いやぁ、今回も非常にGood Job!!
妹でハナヂ出そうです。

441 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 21:25:59 ID:l/vUM0pC
GJ!
兄貴退院おめでとう

442 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 22:18:56 ID:BMbxGczD
>>436
なんというか凄くなってきたな、GJ

しかしコレは弟に対する前振りからいって、兄貴を使った揺さぶりを弟にかけようとしてるのかね
だとしたら兄貴がフったっつー伏線から、揺さぶりに兄貴を使ったばっかりに誤解で妹アボンな展開が……

443 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 22:30:17 ID:hvPGiwQ0
>>442
お前が何を言わんとしているのかいまいちわからん

444 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 22:42:57 ID:BMbxGczD
>>443
あーようするに兄貴になびくふりをして弟の気を引こうとしてるかもってこと
で、その様子から兄貴にフられた葉月さんが妹のせいで自分がフられたと思い込む
最後に兄貴をダシに使ったばっかりに葉月さんの嫉妬☆逆鱗に触れて誤解から妹アボン

445 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 22:43:07 ID:6+mabNkE
>>443

・442が予想している妹の思惑

お兄ちゃん(弟)は花火に傾いている。このままでは勝ち目が無い。そうだ、お兄さん(兄)
と仲良くしているところ見せつければお兄ちゃん(弟)がヤキモチ焼いてくれるかもしれない。
お兄さん(兄)を使ってお兄ちゃん(弟)を揺さぶろう。

・442がそこから予想している展開

兄に振られたことでショックを受けている葉月さん。兄と妹がいちゃいちゃしているの
をたまたま目撃してしまい、大激怒。「この泥棒猫が!」と葉月さんによる妹殺害フラグ。

こういうことじゃないか? 多分。

446 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 23:14:43 ID:9ohwu8ZD
はいはいこれ以上は作者さんの邪魔になるからやめような
夏だからといって調子のりすぎだろ

447 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 23:24:16 ID:IViEnm9f
葉月さんを幸せにしてくれーーー!!!

448 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 23:49:00 ID:hvPGiwQ0
>>444
兄になびくフリをするなら「自分の気持ちがわからなくなったどうしてくれる」的な詰問はしないと思うが

449 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 23:49:09 ID:wlI6VjqP
何だかよくわからなくなってきたが、
俺たちのジミーの周囲にヤンデレと愛と狂気と因縁がカオスとなって渦巻いていることはわかった

450 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 23:51:05 ID:Gi4yqHDE
>>444
>>448
チラシの裏でやれ、な?

451 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 23:58:06 ID:IhnSTG3b
ああそうか、あまりのシリアスで兄貴にはジミーという立派な名前があることを忘れていたw

452 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 23:58:16 ID:9ohwu8ZD
>>448 きちんと説明しないとわからないのか?

作品の展開とかについて話すと、もしかすると当たってるかも知れないし
外れていても作者は気を遣わないといけないと思う人もいるから
遠慮しろといってるんだよ・・・

どうして展開を読みそれをスレ内で言いたがるのかがわからない

453 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 00:17:00 ID:fmTLD9Sh
ああああ
俺の貧相な脳みそじゃ
これからどんな風に展開していくのかまったく想像できねww
次もwktkで待ってます!GJ!!

454 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 00:25:04 ID:AC4YwVWU
俺は傍観者ジミー 常に大ピンチ!
俺は傍観者ジミー なんだかんだ死なない~

俺は傍観者ジミー ピンチには強い!
俺は傍観者ジミー 時々のびちゃう~

24のCMが実はピッタリな件

455 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 00:33:26 ID:ahl2FkbE
ジミー(CV:小山力也)
いや、合いそうで合わないわ

456 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 01:00:59 ID:9sxshC3I
傍観者、アニメ化されたらキャスト誰になるんだろう?

今回もGJ!!!!!!  

457 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 01:35:32 ID:fYw6vJoc
一人称だけに描写されないジミーの外見がなぜか某下がる男で固定されてるのはきっと自分だけ。

妹は自分を守ってくれた(と思ってた)という一点において弟を慕ってたのか…?
だからって今さら好意をシフトできるわけないし複雑だなぁ。

458 名前:sage[] 投稿日:2008/08/04(月) 03:06:35 ID:VWbxdlOg
最初の回想みたいなのは母親のことってことでおk?

459 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 03:10:21 ID:D1yS1jrm
sageてないのは釣りかどうかしらないが母親のことだろう
ただし展開の深読みはしてもそれをスレで発表するなよ
邪魔だから

460 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 10:51:48 ID:SPuaY9qB
一人だけことごとくスルーされてる人が居る

461 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 17:10:51 ID:RixRvwKB
>>460
>>422の作者?

462 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 18:07:43 ID:ZwPGpNsB
>>457
ジミーも妹が好きなんだし
ラブラブでおk

463 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 19:08:48 ID:BFupTiLg
弟ならともかく基本妹から兄貴への言葉は信用出来ない

464 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 20:25:52 ID:I8VgfePE
それにしても、弟は何で妹に「僕たちをいつも守ってくれたのは兄さんだよ」って教えてやらなかったんだ?
妹の好意に応える気がないんなら教えてやってもよさそうなもんだが。
妹の方が信じなかったんだろうか?

465 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 22:54:34 ID:8qOIgJaK
>>461
違うよ。

466 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:01:39 ID:7rT0vu1R
では投下致します

467 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:04:02 ID:7rT0vu1R
第3話『偽りの予備校生』

同じ予備校生の藤寺さんは男の子の部屋に興味があるのか、いろいろと意味ありげな視線で観察していた。
秘蔵のヤンデレコレクションはすでにドリルで穴を開けた場所に隠した。
更にバレないように3重の仕掛けを施しているのでそう簡単に見破れない。

千里眼とか特殊技能さえ身に付けていなければ、ほとんど大丈夫のはず。
ともあれ、人生で初めて女の子を自分の家に来てくれたことで俺は舞い上がっていた。
普段は飲まないお茶を即席で用意したり、新品のコップに取り出したりと色んなことに気を遣った。
背後で幽霊が『いつもの光一さんじゃない!!』とウサギさんのぬいぐるみに八つ当たりしていたが、

そんな些細な事はこの際はどうでもいい。
幽霊の姿がどこかに消え去ろうとも、俺は気にしないさ。
ところが俺は……
女の子が男の子の部屋に来るという意味を俺は全然理解していなかった

「男の子の部屋って、何か寂しいよね」
と、俺が入れたお茶を軽く飲み干してから藤寺さんはぼそりと呟いた。
確かに俺の部屋はヤンデレコレクション以外の物は特に置いてない。
狭いアパートに引っ越す際に必要な家具と日常品ぐらいしか持ってこなかったのだ。
そのせいか、部屋の風景は地味で殺風景になっていた。特に気にもしなかったが、女の子から見れば寂しく見えるんだろうか。

「まあ、女の子のようにぬいぐるみやキモ可愛い系を部屋に飾るわけにはいかないし」
「そうかな。私のお気に入りの猫のぬいぐるみとか松山君がよければあげるよ」
「悪いからいいよ」
男の友達に俺が少女趣味だと思われたら、末代までからかわれるし。
「じゃあ、私が松山君のために女運がなくなりそうな藁人形とかプレゼントします。
飾っていると異性から全然モテなくなるの。いいと思いません?」
「微妙だな」
異性から全然モテたことがない俺にとっては不必要なアイテム。
いや、更に全然モテなくなるので女運が某IT会社のように暴落する可能性すらあるのでやっぱりいらない。
藤寺さんは残念そうな表情を浮かべていた。しばらく落ち込んでから、両手の拳に握り締めて彼女は目を瞑って叫んだ。

「ま、光一さんは、そ、そ、その、彼女とかいるのかな?」
「はい?」
唐突な出来事に俺は目を丸くしていた。
女の子が男の子に彼女とかいると聞くのは大抵は女の子の親友に頼まれて、

想い人に付き合っている異性がいるのか調査するためによく使う手だが。
顔を紅潮させて、俺と視線を合わさないように藤寺さんは顔を下に向けた。


468 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:06:29 ID:7rT0vu1R
何かがおかしい。
当初の目的は俺の家で勉強会することがじゃなかったのか。
そもそも、藤寺さんって俺に気があるような素振りとか見せていたのか? 

目の前にいる彼女の様子を伺うが特に変な様子は見当たらない。
考えろ。松山光一。
仮に藤寺さんが俺に好意を持っていた場合はどうなる? 
藤寺さんは予備校生の中でも1、2を争うほどの容姿の持ち主。そんな彼女が俺を好きと言うならば、俺は喜んで付き合おう。
負け続けた人生の暗闇の中の光明の一筋が見えてきた。

「お、俺はこの世に生まれてから今まで彼女なんていないんだけど」
「そうなんだ」
小声で良かったと安堵の息を藤寺さんは漏らした。
「じゃあ、今はお付き合いしている人はいないんですよね。光一さんはどんな女の子がタイプなんですか?」
「好きな女の子? うーん」
今まで好きになった女の子は顔はいいけど、実は性格はとんでもない我侭で傍若無人のような振る舞いをする人ばっかりだったような気がする。
慎重に品定めをするようになってからは特に好きな異性は現れていないのだが。

「光一さんは、年上で性格は少し和やかで相手を想いやることができる優しい女性がお似合いと思います。
その人は間違いなく心拍停止している人ですが、種族を超えた愛は奇跡だって起こせると私は思っていますけど」

心拍停止? 年上? 
物凄く嫌な予感は現実になりそうだ。今まで藤寺さんと話をしていて、違和感というものを感じていた。
それが何かわかった時、俺は今まで静かだった幽霊の名前を叫んだ。

「由姫さん。あんた、何やっているの?」
「光一さん。未来のお嫁さんの名前を間違わないでください。
私は藤寺……藤寺……藤寺エリスですよ」
「うわっ。名前違うし!!」
ずっとおかしいと思っていた。予備校の時は常に授業中を昼寝している藤寺さんと会話する機会は少ないとは言え、
藤寺さんが俺の事を光一さんなんて呼ぶはずがない。
更に自分の名前を間違っている時点で目の前にいる藤寺さんはアホ幽霊と確定。
俺は嘆息まじりでにっこりと微笑している由姫さんに睨みつけた。

「これは一体どういうことなんだよ」
「光一さんが私達の愛の巣にどこの馬の骨かわからない女を迎え入れるから悪いんですよ!!」
「その愛の巣の家賃を払っている俺が招待した友人なんだが」
「同居人の私の許可なく私以外の女の子を家に入れる事は私が許しません!! 
というわけでその藤寺という泥棒猫の体を乗っ取りました♪」

いや、乗っ取ったって……。

「そんな何処かの幽霊モノの漫画やライトノベルのように普通の人間の体が幽霊に乗っ取られるわけが……」
「ふっふっふ。幽霊歴の長い私は甘く見てはいけませんね。
このアパート内の敷地に入った若い女の子限定なら余裕で体を乗っ取ることができます。
五感を共有でき、その人の頭の記憶や女心まで手に取るようにわかるんですよ」

「何でもありじゃん」
SF映画に出てくる寄生虫みたいな奴だな。
「私も久しぶりの生身の女の子の体を借りると、何だかいい気分です。藤寺という女が光一さんに好意を抱いていることもわかったりと」
「はい? 藤寺さんが俺に好意を抱いている?」
「別に体を借りなくても、あの女が年頃の男の子の部屋に来る時点で気付くでしょ?」
「ううん。わかるはずないじゃん」

469 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:08:15 ID:7rT0vu1R
「戦いにおいて、大切なのは戦術よりも戦略なのですよ」
「はい?」
「自分の想いに気付いてもらえない女の子が相手をストーカーのように毎日観察して。
自分が嫌われずにどうやって大好きな彼にアプローチを仕掛けるのか。
恐らく、この泥棒猫は適当な理由を付けて、光一さんと私の愛の巣にやってきた。
ここでフラグの一つや二つぐらい立てておけば、後は女の子の誘惑で光一さんを落とすことができると考えていたようですね。
何気なく忘れ物をして、またここにやってくるように仕組んでいたようだけど」

と、幽霊は藤寺さんの体を借りて、俺の腕を胸元に強引に押し付けた。

「光一さんは私だけのモノです。他の女なんかに渡しません」
そして、由姫さんが俺の首に手を回してから、俺の唇を奪う。
一瞬の出来事に俺は何が起きたのか理解する前にキスの行為は終わっていた。
俺と由姫さんの唇にはたっぷりと唾液の糸を引いていた。
残念ながら俺には幽霊とキスした感覚はなく、あくまでも体を借りているであろう藤寺さんとキスをした錯覚に襲われる。
いや、これは錯覚ではなくて。

「藤寺さんとキスしたら意味ないじゃん」
「はうわ!! しまった。生身の体じゃないと光一さんに触れらないから忘れていたけど。
この世界で最も穢れている汚物に光一さんの唇を奪ってしまったよ!!!!」
「由姫さん? とりあえず、幽体離脱してくれないかな。1億年と2千年辺りまで」
「ええっ、いつまで」
幽霊なら余裕で存在しているだろうな。

「藤寺さんをさっさと解放してやってくれ。
俺は藤寺さんと一緒に親交を深めることが今日一番の楽しみだったのに!!」

「がーんー!! 光一さんって、私の事がお嫌いですか?」
「嫌い以前に、すでに死んでいるんだから結ばれないじゃん」
「そんなことありませんよ。ほらっ、私が転生して赤ん坊に生まれ変わりますので、
最低でも16年ぐらい待ってくださったら、結婚できると思いますよ」
「16年も待てないし」
「大丈夫ですよ。転生した10才の幼女に手を出した幼馴染の小児医の方もいますし。恋に歳の差は関係ありません」
「却下!! そんな、性犯罪者に落ちぶれたくないわっ!!」
「だったら、もう、私のところに来て下さい」
「わたしのところって?」


470 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:08:32 ID:z+fZmqvo
紫煙

471 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:10:36 ID:7rT0vu1R
「さっさと未練のない人生を断ち切って、幽霊になってください!!」
「なれるか!! まだまだ、ヤンデレゲーをプレイするという未練がたっぷりあるわ」
「大丈夫です。今流行している硫化水素自殺でたっぷりともがいて、苦しんでから死んでくださいね。
そして、私と未来永劫の幽霊ライフを楽しみましょう」
「藤寺さんの体と口で自殺を強要するな!!」
「むぅ。我侭さんですね。そんな人はめっですよ!!」

藤寺さんの身体を借りた幽霊が俺の額にデコピンした。
由姫さんが体を動かしているとは言え、透き通った声と喜怒哀楽に変わる表情は藤寺さんの物だから、
滅多に見れない彼女の仕草に見惚れていた。さすがは予備校で可愛い女子の1、2を争う容姿の持ち主である。
彼女は吐息だけで全ての男性を自分の虜にすることができるかもしれないと思っているが、
中身は年増幽霊だと思い出すと自然と胸の高鳴りは収まった。

「何か失礼なことを考えてませんか?」
「気のせいでしょう」
「そうですか。では、そろそろ、身体のレンタル使用期間が終了する頃なので私は延滞料金を払う前に退散しますね」
「待て、レンタル使用期間ってのは何だ?」
「今の時代は何でもレンタルできる時代なんですよ。伝説の聖剣、伝説の槍、伝説の魔王、伝説の楯、
伝説のプロ野球選手もレンタル料を払えば誰にでも借りられる世の中ですよ。
幽霊が人間の体をレンタルできるのは当たり前じゃないですか」
死人ごときが生身の人間の体を借りるのは100年早いと思うのだが。
由姫さんの言動にいちいち腹を立っては俺の胃袋は自分の胃液で溶けてしまうだろう。
だから、俺は何となく炊飯器の蓋を開けた。幽霊を封印するために。

「これが何かわかるか?」
「さて、ただの炊飯器のように思えるけど」
「いいか。これでお前を封印しよう。わが師匠が命懸けで得た秘術。年増幽霊を炊飯器に封印してやろう」
「そ、そ、そ、そ、れ、れ、れ、れ、れ、は?
「魔封…………」
「一体、何ですか?」
「いや、幽霊を封印するための秘術って……」

「松山くんって、頭がおかしい人だったんだね」

「何をほざく……アホ幽霊」
「ん? 幽霊? 松山くん。一体、どうしたの?」
何だか幽霊がレンタルしている藤寺さんの様子が明らかにおかしかった。
俺を精神異常者のような人だと言わんばかりな目でこっちを見ている。
もしかして、正常な藤寺さんに戻ってしまったのか。
炊飯器を開けながら、何だか幽霊を封印してそうなポーズを決めている人間を目撃したならば。
あえて、言おう。さっさと通報しろ。そんな人間。

「ついに三浪が決定した事で色々と壊れた。壊れたのよね?」
「まだ、あんたと同じで一浪目だ!! 不吉なことを言わんでください」
三浪が決定したら、あまりの衝撃に危ない国の境界線を破って、新たな油田の発掘して独り占めするために
地面をひたすら掘り続ける自信はある。自爆テロなんて恐がる暇なんかねぇよ。
「でも、今の松山君の異常な行動の説明が……」
「持病なんです。むしろ、年増幽霊の呪いと言っても過言じゃない」
「年増幽霊の呪い? そんなもんで誤魔化されると思っているんですか? 
きっと、松山くんは値上がりして品切れになっているバター不足のせいで
ケーキ屋を廃業しそうな店長さん並に精神が病んでいるんだよ」

「男のヤンデレはキモいだけです」
「ううん、大丈夫。私が癒してあげる」
「あんた、そんなキャラじゃないだろ!!」
と、俺は力なく叫んだ。


472 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:11:35 ID:7rT0vu1R
その後、藤寺さんに俺はまともな正常者であることを2時間ぐらい論争していたら、
陽が落ちてきたのであっさりとお流れになってしまった。当然、勉強会なんてやっているはずもなく、
藤寺さんを駅まで送り、家に戻ってくると倒れた。
そして、由姫さんが言っていた事を思い出す驚愕な事実だけが残された。
「幽霊が忘れ物をしてフラグを立てるようなことを言っていたけど……さすがにこれは」
藤寺さんがフラグを立てるために忘れた物は。

鋸だった。
「鮮血な予感がするぜ」

473 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:12:42 ID:7rT0vu1R
以上で投下終了です



474 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/04(月) 23:59:47 ID:P8Zh+Hyy
一番槍GJ
このシリーズ大好きだわw
続きもwktk
明日から合宿だけど帰ってくるのが楽しみだぜ

475 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 01:25:46 ID:7G6wynCO
自分語りうぜえ

476 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 01:28:14 ID:7QCCc5FD
トライデント氏って、文章が下手糞だからどこ行っても
嫌われているよな というか、ウザいです

477 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 01:55:34 ID:gbK5IYcY
>>476 マイナス方向の感想は思ってもなるべく書き込まないようにしようぜ。
荒れるし、投下しづらくなるから。
ウザかったらスルーすれば良い、わざわざ波風立てる必要は無いと思うが…


478 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 01:59:43 ID:K/46eleO
夏厨だからしょうがない

479 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 03:12:02 ID:I5IHa+Pa
おーっと、俺の悪口はそこまでだ
とりあえず、gj


480 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 06:57:32 ID:CNKV+OIU
>>476はトライデント氏に嫉妬してるだけ。
気にすることは無いですよw

481 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 08:04:23 ID:dNAjGown
>>473
幽霊が可愛すぎるwwwww
もう、GJですよ

482 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 08:27:02 ID:z9N4uFyG
>>473
年増幽霊GJ!

483 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 11:21:33 ID:CboU3lx2
>>473 GJ!!年増幽霊もヤンデレぽいが、藤寺さんもヤンデレぽい。
だって忘れ物が鋸だぜ……。その鋸をどうするつもりだったんだ?

484 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 12:07:53 ID:vP3l3mYf
>>480
自演にマジレスする暇があるんだったらヤンデレ娘探そうぜ!

485 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 12:08:25 ID:vP3l3mYf
ちなみに作者が自演してるって言いたいわけじゃない。
誤解を招くために言っておく。

486 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 14:04:56 ID:bc0BxDbp
| /              \
|/;| ‐-              \
//;;/≠≡      ‐‐      ミミ  
ノ/;;;/   ~ヽ    ≠≡=× :::::::::::   
i;;;/ /f二!ヽi    r  __    ::::::::   ←病んでいません
i;;| ´ヽ--‐´|    ∠`ー´ゝヾ::: ::::::   これは彼女の素の顔です wwww
i;;|   /  |    ヽ ̄~´    :::  
Ⅵ     /       ̄´   :::::   
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∧  \i__i__i__i__i フ        / 
∧   ヽ||||||||||||/       /;;;   
∧   (二二ノ||      /;;;;;;
∧       ||    /;;;;;
∧      | |  /;;;


487 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 17:46:55 ID:XXgqSile
>>484
自演にマジレスする暇があるんだったらヤンデレ娘探そうぜ!

488 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 18:37:34 ID:G/NufleH
>>487
幸せの青い鳥の話を知っているか?

489 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 19:28:07 ID:pyNYDa55
「ヤンデレ娘なんているわけない!」っていじめられてる幼稚園児に俺はなんて言ってやればいいのだろう?
「ストーカー娘なら時々いるぞ!」「ヤンデレはお前の中ある!」どっちにしよう?


490 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 19:51:39 ID:OwBF67or
「俺がヤンデレだ」

491 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 20:08:29 ID:wBiay6lj
TURN2 「ヤンデレよ、私は還って来た!」
TURN3 「ヤンデレを探すための駒になってもらう」
TURN4 「ヤンデレ、お前は正しい」
TURN5 「お前はホントに、ヤンデレが好きなんだなぁ」
TURN6 「実は今日、ヤンデレを言いにきましたの」
TURN7 「間違っていたのは、ヤンデレじゃない」
TURN8 「病みすぎるとその先にはヤンデレが待っているから」
TURN9 「あの女はヤンデレという記号を神にしようとしている」
TURN10 「なぁ、ヤンデレ、俺の監禁場所ってまだ決まらないのかよ」
TURN11 「ヤンデレさん、少し調子に乗りすぎではないですか?」
TURN12 「体力がないヤンデレに、こんなハードスケジュールを……」
TURN13 「たとえヤンデレでも、剥き出しの股間なら!」
TURN14 「僕は思うんだ。ヤンデレて、この世界でもっとも美しい関係なんじゃないかって」
TURN15 .「ヤンデレは、僕が引き受けるよ」
TURN16 「ヤンデレに手を出したんだから覚悟はしてる」
TURN17 「君は奇跡を起こす女、ヤンデレなんだろう!」
TURN18 「病まない覚悟も必要なんだ」
TURN19 「ヤンデレは元から壊れているからね」
TURN20「あなたが今でもヤンデレの味方なのか知りたくって」

ヤンデレギアス

492 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 20:57:52 ID:iwnhzRAG
>>491
だから、そーゆーのやめろ。うるせえのが来るから。

493 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 20:59:25 ID:pyNYDa55
ヤンデレとか関係なく、誰がなんと言おうと1行目はコードギアスは関係ない!

494 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 21:55:10 ID:G/NufleH
>>492
お前とかな

495 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 22:37:44 ID:smoht9lH
死者に鞭打つような発言ヒドイですwww

496 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 22:38:11 ID:smoht9lH
誤爆したorz

497 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 23:13:23 ID:FRbgey+5
神聖なるコードギアスが汚されたと聞いて飛んできました

498 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 23:43:46 ID:gbK5IYcY
夜道で追って来る病み娘から逃げる主人公。
その病み娘をストーキングする奴。
そのストーカーを濁った目で見つめる病み姉
その病み姉を見つめるストーカー(主人公の兄)
といった連鎖ヤンデレ・ストーカーネタを考えた。 

499 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/06(水) 00:02:16 ID:vyhNLOfu
てことはその流れだと主人公はブラコンでヤンデレなのか

500 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/06(水) 02:56:18 ID:1qSHjqHY
ギアス厨うぜえ