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801 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 00:53:41 ID:3rbgvnB7
自分の過去を誇りに思えるようになったら、さ。

802 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 03:00:30 ID:j4aiOlCh
>>790
GJ!
お幸せに!おしあわせにぃぃぃ!!
すばらしい作品をありがとう!

803 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 10:21:41 ID:fzJ0BhlG
>>790
楽しかったぜ、ありがとう。

804 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 13:14:09 ID:uV+Syx63
>>326
奇妙な世界に目覚めるといいよ

805 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 13:17:41 ID:uV+Syx63
誤爆

806 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 13:20:11 ID:yV5q0CXL
あながち誤爆でもない
ってなりそうだなw

807 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 15:41:29 ID:m/UHRph0
凄い誤爆だ

808 名前: ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:07:49 ID:r9yyjKLi
たぶん長編『ワイヤード』
投下します。

809 名前:ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:08:53 ID:r9yyjKLi
第一話『コントラクター・再会』

ある意味では予知夢というものだろうか。
鷹野 千歳(たかの ちとせ)は、何の超能力も持たない普通の高校生だったが、この夜、確実に彼の夢は過去と現在を、そして未来を繋いでいた。
「ねぇちーちゃん、ちーちゃんのゆめはなに?」
「おれのゆめか……まだ、ないなぁ。そういういっちゃんはどうなのさ」
「え~。おしえてほしい?」
「いや、いいたくないならいい」
「ま、まってよぅ! いうからおいてかないで!」
「べつにおいていこうとしてるわけじゃない。いっちゃんがもったいぶるから、きかないほうがいいかとおもった」
「ぅ……ううん……。いいたくないわけじゃないよ。でも、ちーちゃんのこたえがこわかったの」
「おれがか? おれにかんけいすることなのか?」
「うん……。あたしね、あたしのゆめはね――」
――ちーちゃんの……に。ちーちゃんと一生……に。
それは、過去の記憶。幼い日々の記憶。夢になってよみがえっても、起きたらもう、消えているだろう。
そして、夢の情景は不定形になり、また別の過去を映し出した。

810 名前:ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:09:33 ID:r9yyjKLi
「うぐっ……ひっく……ちーちゃん……ちーちゃん……やだよあたし……」
「なくなよ、いっちゃん」
「だっでぇ……ちーちゃんとの……やぐそく……まもれな……」
「なにいってんだよ、いっちゃんらしくないぞ。ひっこしくらいなんだよ。そんなもんでやくそくはきえない」
「でも……ぐすっ……でも……りょうってところにいれられて……きびしくて……それに……とおすぎて……ちーちゃんにあえないよぅ……」
「とうきょうからきょうとにいくくらいでおおげさだよ。いつでもあえるよ、おなじせかいにいるんだから。おなじにほんだから、なおさらだ」
「ほんと……? また、あえるかな……」
「ああ、またあえる。やくそくってのはことばじゃない。こころがうみだすんだ。おれたちがわすれなければ、みらいのおれたちがきっと……」
「きっと……あえるんだよね……」
「ああ、しんじろよ。おれをしんじろ、おれはおまえをしんじる。だから……」
「あたしも、あたしをしんじるちーちゃんをしんじるよ!」
「お、おい! いきなりだきつくな!」
「やだね~、ちーちゃんはぜったいはなさないってちかうよ! こうやってあたしがつかまえる! はなれても、きっとこころがつながる! だから!」
「だから……?」
「だから……そのときは、やくそくまもってね」
「……ああ。……やっと、えがおになったな。いっちゃんはそれがいいよ」
「うん……いままでありがとう、ちーちゃん……それと、さきにいっとくね。みらいのちーちゃんに……よろしくね」
そうして約束を交わした二人は別離した。十年以上たった今もまだ再会は一度も無い。
もはや、幼稚園の頃の記憶など千歳には遠い遠い、外国の事のように思われた。
時折、夢魔のように床に顔を出し、約束を歌う。それだけの虚構と化した。
それが、今まで。
そして、これからは……。


811 名前:ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:10:15 ID:r9yyjKLi
また、よろしくね。
ああ、よろしく。
……お兄ちゃん。

……お兄ちゃん?

目が覚めた。

「お兄ちゃん、ねぇ起きてよお兄ちゃん!」
「百歌(ももか)……なんで」
「なんでって、もう朝だよ。学校だよ?」
「ああ……そりゃあ、そうだな。すまん、すぐ起きる」
妹に起こされるなんて情けない兄だ。千歳は起きて早くも自己嫌悪した。まあ、そうはいっても朝弱いのはどうしようもない。諦めよう。
そう思って掛け布団を押しのけ、上体を起こした。
「お……お兄ちゃん……」
百歌が顔を赤くして後ずさる。顔を手で覆い隠しているが、指の間からある一点をバッチリ凝視している。
千歳も視線を追って見た。
「……」
そこには、『男の生理現象』が猛々しくそびえ立っていた。
「も……百歌。これはな……」
「お兄ちゃん……」
「なんだよ」
「『いっちゃん』って、誰?」
「いきなり何を……」
「いいから答えて!」
百歌は今までに無い剣幕で千歳を睨みつけ、怒鳴った。
兄である千歳も知らない。こんなことは初めてだった。
「いや、まてよ。なんのことやらさっぱり」
「そう……お兄ちゃん寝言で『いっちゃん』って言ってたんだよ。覚えてないの?」
「寝言……?」
千歳には、寝言の自覚は勿論、夢の内容の記憶すらない。答えようがない。
が、妹の激しい追求は続いた。
「いっちゃんって、誰?」
「だから、わからないって……がっ!?」
激痛が走る。
「百歌……! やめっ……」
千歳が兄の股間を掴み、凄まじい力で圧迫していた。

812 名前:ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:10:51 ID:r9yyjKLi
「じゃあなんでこんなにおっきくしてるの……? いっちゃんって人のこと考えてたんじゃないの……?」
「う……が……」
「ねぇ、べつにその女が誰だっていいけど、隠し事はいやだよ、お兄ちゃん! お兄ちゃん! 私たち兄妹だもん、嘘ついたらだめでしょ、お兄ちゃん!!」
「やめっ……ろぉ!!」
痛みが限界に近くなったところで、やっと身体が動いた。百歌の軽い身体は簡単に吹っ飛ぶ。
「はぁ……はぁ……百歌、お前一体……」
「ごめんね、お兄ちゃん……いたかった?」
急に普段通りの大人しい態度に戻った百歌は、優しい手つきでさっきまで握りつぶすつもりだっただろう股間のモノを、優しく撫でた。
千歳の身体が若干震えた。
「(妹にさわられてこんな……やばい)」
できるだけ乱暴にしないように気を付けながら、百歌の手を掴み、やめさせた。
これ以上触られたらいけない、そんな予感がした。
「お兄ちゃん、いいの……? いたくない?」
「いや、いたいけど」
「手はだめ……? じゃあ舌で、舌で舐めたら痛くなくなるかな……」
「いや、それはもっとだめだ。ってか、痛かっただけで傷なんてないんだからそんな心配しなくていい」
「うん……ごめんね……」
「ああ、わかったら、さっさと下に行っててくれ。着替えるから」
「うん。あさご飯用意するね」
百歌が出て行ったのを見送ったあと、千歳は服を抜いた。
股間のフレンドも確認する。傷付いてはいなかったが、締め上げられて赤くなっていた。
「いてぇ……こんな状態でなんかにぶつけたら……いや、考えないほうがいいな」
それにしても……。千歳は考える。
それにしても、妹のあんなに起こった姿は珍しい。いや、始めてかも知れない。温厚で従順で優しいあの百歌が。
寝言で女の名前をいっただけで。
「いやまて。女なのか、そもそも『いっちゃん』って……」
なんだか、こころあたりがあるような、ないような。そんな微妙な状態。
「ま、いいか」
百歌ももう元通りなんだし、夢は夢ででたらめってこともある。そう千歳は見切りをつけ、制服に着替えた。

813 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:12:11 ID:8+AIP0lS
>>790
GJ

814 名前:ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:12:43 ID:r9yyjKLi
「お兄ちゃん、はいお弁当」
「ああ。ありがとな」
「お兄ちゃん、さっきは……」
「もういいって。怒ってないし、もういたくなくなった」
「うん、ごめんね……男のひとが朝ああなるって、しってたのに……ちょっと混乱しちゃって」
弁当を受け取り、妹とともに家をでた。まだ七時過ぎ。学校の近さとそぐわない早さだ。
「今日も、ナギちゃんの所にいくの?」
「ああ、お前は?」
「……今日は、いいや」
そういうと、百歌は自分の中学の方向に走っていった。
千歳は方向を変える。高校へではない。幼なじみの、ナギの家にである。

「あら、千歳くん。今日はちょっと遅かったのね」
ナギの母、頼(より)さんが出迎えてくれた。あいも変わらずの爽やか美人である。
「今日はちょっと……妹と一悶着ありまして」
「あら大変。百歌ちゃんとケンカしちゃったの? いつも仲が良いのに」
「いえ、もう大丈夫なんで」
「そう……なら、いいのだけど」
「で、今日はナギ、起きてます?」
「いつもどおりよ」
「ああ、いつもどおりですか」
「頼むわね」
「おまかせください」
二回のナギの部屋に向かう。
「おい起きろー」
どんどんと扉を叩く。まれに。ごくまれに起きているときは、開くはずだ。そんなに都合の良いことは一年に一回くらいだが。
もちろん、今日も反応は無かった。
無言で蹴破る。
「……」
いつもどおり、見慣れた地獄絵図。


815 名前:ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:13:18 ID:r9yyjKLi
「今日はどこだ? 本棚か? それとも天井裏か?」
物の山。パソコン、本、ガラクタ、倒れたタンス、ベッドのようなものの残骸、各種ゴミ。それらが部屋の中で自由奔放に山積みされていた。
この中のどこかにナギは埋まっている。いつものパターンだ。
「今日は……そうだな、ここだ!」
本の山におもむろに手を突っ込む。
「捉えた!」
そして、引いた。
ゴミの海から全裸の女が釣れた。
「よう、ナギ。おはよーさん」
全裸の女こと、ナギ半分目を開け、うつろなまま答えた。
「誰だ……」
「千歳だっての」
「ああ……そんなやつもいたな。なんのようだ……」
ナギの朝のボケかたは半端ではない。わりと朝に弱いほうである千歳ですら比較対象にもならない。
「学校だろうが。ってか、服きろよ」
「……全裸じゃないと寝れんのだ。察しろ……」
そんなことまで察することができるほど千歳は大人ではなかった。いや、ナギとの付き合いはもう何年にもなるのだが、それでもだ。
というより、ガラクタの中で全裸睡眠する女を起こす風景を普通だと認識しろと言っているのだろうか。できるわけがない。
「おい千歳……服をよこせ。タンスの中にパンツがあるだろう」
ぐったりと床に倒れながらナギが千歳に命令した。依然全裸。もはや色気のカケラすらない全裸。
しかし慣れっこだ。千歳は素直にナギの言うとおりにパンツをゴミ山のなかのタンスから引きずり出し、ナギに渡した。
「穿かせろ」
「はいはい……」
「(しかしこれ……まるみえなんだよなぁ……毎回見すぎて、興奮すらしねぇ)」
ナギはもはや、妹である百歌よりもディープに妹っぽい。それほどに世話をした覚えがある。
そのまま手際よく制服を着せた。ブラは必要なかった。ナギの胸の大きさ的に考えて全く必要がないし、それに……。
「(傷、まだ治ってねえんだな)」
背中の傷を締め付けて痛いだろう。


816 名前:ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:13:49 ID:r9yyjKLi
「どうした、千歳。なにを考えている」
「俺、ボーっとしてたか?」
「ああ、ひどいマヌケ面だった」
傷のことを考えると、しかたがないのかもしれない。この傷は……。
「おい、千歳。お前まさかまだ……」
「い、いや、大丈夫だ。大丈夫」
「そうか? 私にはそうは見えんがな」
「大丈夫だっての。さっさと朝飯食え。下で頼さんが待ってんぞ」
「母さんが……ああ、そうか。まだ生きてるんだな」
「おいおい……母親を勝手に殺すな」
「……何を言っているんだお前。昨日生きていたやつが、今日まで生きているという保証があるのか? 現在と過去と未来の世界が、同じだと思っているのか? 自分の手の中にあると思っているのか?」
「いや、そういうわけじゃないけど……信じろよ。大切なもんだろ。家族なんだから」
「それもそうか……。なら、母の存在くらいは信じるとしよう」
「俺はどうなんだ?」
「お前もだよ、千歳」
ナギはやっとはっきり目が覚めたようで、千歳の顔を見上げ、イジワルそうな笑みを浮かべた。

「いってらっしゃい。千歳くん、今日もナギをよろしく頼むわね」
「はい、確かに」
頼さんが笑顔で送り出してくれた。俺も釣られて笑顔になる。
「……さっさと行くぞ、千歳」
「お、おいおいいきなりっ」
すると、ナギが急に千歳をにらみつけ、肩を掴んで歩き始めた。
「……ふふっ、仲が良いのね」
頼さんは、そんな二人を見て微笑む。――娘と同じ、意地の悪い笑みで。


817 名前:ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:14:22 ID:r9yyjKLi
「よー! 千歳にナギちゃん!」
「彦馬(ひこま)か。今日は遅刻しないんだな」
教室に入ると、珍しく早く登校していた彦馬が二人を出迎えた。
「いや、今日は張り切っちゃってさあ」
「張り切るって、何をだ」
「いや、それがさ……って、ナギちゃんは聞かないの?」
ナギは彦馬を華麗にスルーし、自分の席に座ってだらりとしていた。
「興味ない」
「そ、そっか……まあ話半分に聞いてよ。そこからでいいから」
「BGM程度にはな……」
ナギは手入れのされていないぼさぼさの真っ赤な長髪をくしゃくしゃと掻いた。ゴミ山の埃がぱらぱらと落ちる。不潔だ。
「で、なんなんだよお前の張り切りの原因ってのは」
「それがさ……このクラスに転校生が来るんだ」
「へぇ。こんな時期に珍しいな。……で、それがどうしたんだ? っていうか、なんで知ってんだよ」
「僕、転校の手続きをしに来たその人を案内したんだよ。そのとき事情とかいろいろ聞いちまって」
「ふーん」
「でさ! その転校生って、すげー美少女なんだよ! まさに天使! 案内した俺に女神のように微笑んでくれたんだぜぇ~! どうよ、うらやましいか!?」
「いや、見たこと無いし、どんなもんかわかんないから」
「さめてんなぁ……三次元の女に絶望して二次元に走った僕が言うんだから間違いない、あれは2,5次元の存在!」
興奮した彦馬はいろいろとその転校生の魅力を語りだす。うざったいので、千歳は右から左へ受け流した。
「田村ゆかりですら2,5次元だろうが……」
ナギは、あまりテンションの上がらない様子で彦馬にツッコミを入れた。
あんまゆかりんをバカにしないほうがいい。と、作者は怒りを覚えた。
「おーし、お前ら席につけやー」
柄の悪い女性教師が入ってきて、皆を席につかせた。
「おでましだな」
ナギは口ではああいっていても、なんだか興味を持ったようだ。小声で千歳に語りかけてきた。
彦馬はというと、目を輝かせて椅子の上で正座していた。
「今日は転校生を紹介する……君、入って」
女性教師の呼び声に、扉を開ける人影。それを目の当たりにして。
全員が、息を呑んだ。


818 名前:ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:15:18 ID:r9yyjKLi
言葉を失う。
「転校生の西又 囲炉裏(にしまた イロリ)さんだ、お前ら仲良くしろよー」
「よろしくお願いします。西又イロリです」
教卓の隣に立った転校生。その姿は、女神と語るのももはや仕方が無い。おそらく熱心な宗教家でさえ、女神と認めるかもしれない。
艶のある黒髪ロングヘア。制服の上からでも分かるバランスの良いスタイル。目が大きくくりくりと丸い瞳は、黒曜石のように黒光りしている。
安い電灯で照らされた教室のなか、唯一ひだまりの中にいるように輝いていた。おそらく、その背中に翼の幻覚を見たものもいただろう。
西又イロリは、第一印象だけで教室全員の心を奪った。いや、二人を除き。
「(あんな感じのフィギュア持ってたな……どこになおしたっけか)」
ナギは、真面目に見てもいなかったし、他人の容姿にも、そもそも自分の容姿にも無関心だった。
目に見えるものなんて大体まやかしだったと知っているからだ。
そして、二人目は千歳。
「いっ……ちゃん……」
小声で呟く。すると――
「うん、久しぶり」
――声は出していない。ただ、目が合った。イロリがこちらをむいた。
それだけで、分かってしまった。
「えっと、みなさん、簡単に自己紹介をさせてもらいますと……」
イロリは少し恥ずかしそうに、しかし幸福そうに頬を赤く染め、顔を上げて宣言した。
「私、西又イロリは、このクラスの鷹野千歳のお嫁さんです!」

――ちーちゃんのお嫁さんに。ちーちゃんと一生幸せに。

819 名前:ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:16:29 ID:r9yyjKLi
一話終了です。もうちょっとしたら二話も投下します。

820 名前:ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:23:48 ID:r9yyjKLi
第二話『ナイトメア・侵食』


授業が終わった瞬間、イロリは千歳の席までダッシュし、腕を掴んで千歳を連れて教室を出た。
されるがままに、男子更衣室に連れ込まれる。体育の時は男子は大体教室で着替えるため、部活の時間に使用されていない。
なぜその事情をイロリが知っていたかは不明だが、とにかく邪魔者はいない。
あのまま教室に残れば、二人はクラス全員の好奇心の的として質問攻めに会っていただろう。
「イロリ……」
「どうしたの、ちーちゃん?」
「お前なんで……」
「そんなことより、他に言うべきことがあるでしょ?」
「あ、ああ……おかえり」
「ただいま、ちーちゃん。会いたかったよ。もう十三年になるね……」
「そうか、お前が京都の学校にいってから、もう十三年か……長かったな」
「でも、その分はこれから取り戻せるよ。だって私は……ちーちゃんの」
――およめさんだから。
声には出さなかったが、やはり千歳には伝わる。
無言のままイロリは千歳の両頬に手を添え、顔を近づける。唇と唇が触れ合う――
「おまえ達、何をやっているんだ」
――声。イロリが静止した。
「誰?」
イロリが聞くと、声の主は物陰から姿をあらわした。ナギだった。ただでさえ赤い髪の色が、いつもより深い、血のように染まっている。
これは、ナギが怒っていると気の特徴だ。千歳だけはそれを見分けることができる。
「……野々村ナギ。お前と同じクラスだぞ、一応な」
「そう……よろしくね、野々村さん」
「ナギでいい」
「ナギさん、ね、よろしく」
イロリは千歳から手を離し、ナギに近づく。手を出し、にっこりと微笑んだ。
「なんだ、この手は」
「何って、握手よ?」
「なぜ、お前と握手するんだ」
「え、仲良くして欲しいから……せっかく同じクラスになった人なんだから、仲良くしないと損でしょう?」
「……お前、それは本気で言っているのか?」

821 名前:ワイヤード 第二話 上のやつも二話ですorz… ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:26:09 ID:r9yyjKLi
ナギはイロリをにらみつける。普段の力のない半目とは違う。視線だけで大型動物ですら殺せそうな眼光。
イロリはそれに対し全く表情を変える事無く、ナギに微笑み返した。
「そうだけど……気に障ったらごめんなさいね」
「ふん、まあいいだろう。それで、最初の質問に答えろよ西又イロリ」
「なにかしら?」
「何をしているんだ、ここで、千歳と」
「何って、久々に夫にあったのよ? することがあるでしょう」
「まどろっこしいぞお前。私は『質問』をしている。私自身を考えさせようなんて言う妙なクイズ精神はいらないんだよ」
「そう……なら、答えるわ。さっきも言ったように、私はちーちゃんのお嫁さんだから、キスしようとしてたんだよ。ただいまのキス」
「キス……だと?」
「そうだけど、なにか問題があるかしら?」
「お前、自分を客観的に見れないらしいな」
「どういうことかしら」
「お前の『質問』に答える義理はない。それより、だ。千歳、お前、なに固まっているんだ」
ナギはイロリを無視して千歳に歩み寄り、すねを蹴った。
「いてっ……なんだよ」
「なんだよじゃない。お前、唐突に現れた電波女に何いいようにされているんだ」
「(そうだ、なんで俺は……イロリのされるがままに……)」
千歳は、完全にイロリを受け入れようとしていた自分に戸惑っていた。
しかし何故か、イロリに迫られると断れなかった。まるで、何らかの『拘束力』があるみたいに、身体が動かなかった。
「まあ、事情は後でじっくりと聞こう。とにかく、千歳に無闇に手を出すなよ、西又イロリ」
「なぜかしら」
「お前、自己紹介で千歳と幼稚園の時結婚の約束をしたと言っていたな……」
「そうよ。その約束が、私たちを結んでいるのよ。あなたには分からないわ、私たちの約束なのよ」
「お前の知っている千歳はもういないんだ。人間は変わる。過去なんで、存在しないんだよ、それを理解しろ」
「な……なにを……」
ナギはイロリの質問には答えず、千歳のを引っ張って更衣室を出た。
チャイムが鳴る。次の授業が始まるのだ。イロリも引き下がらざるを得なかった。


822 名前:ワイヤード 第二話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:26:44 ID:r9yyjKLi
しかし、ナギは授業には戻らなかった。身体に力の入っていない千歳を保健室にぶちこむためだ。
「おい、来たぞ」
「あら、ナギちゃん、どうしたの?」
保険医は慣れた口調で対応する。ナギの乱暴な口調にももはやなんの意見も無いようだ。
「今日は私じゃない。こいつだ」
ナギは乱暴に力のない千歳の身体を保健室に放り込んだ。
「あら大変、ベッドに寝かせるから手伝って」
ナギはコクリと頷き、千歳の足を持った。保険医は千歳の上半身を抱え、ベッドに運ぶ。
「ナギちゃん、鷹野くん、どうしたの?」
「知らん。軟弱だからこうなったのだろう」
「そっか、原因不明か……なら、これは真面目な話だから、聞いてね」
「なんだ」
「コントラクターって、知ってる?」
「なんだ、それ」
「知らないなら、いいけど……もし、その言葉があなたと鷹野くんの間に立ちはだかったら、私に相談してね」
「ああ」
「まあ、一応身体自体に重大なダメージとかはなさそうね。疲労みらいなものだから、昼休みまで寝かせていれば大丈夫だと思うわ」
「……」
ナギは、保険医の目をじっと見詰めている。
「わかった、あなたも付き添いしてていいわよ。担任には私が言っておくから。大野先生ね」
「……感謝する」
「別に良いわよ。そういうの、応援したくなるじゃない」


823 名前:ワイヤード 第二話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:27:36 ID:r9yyjKLi
「おい、千歳。いつまでくたばっているつもりだ、この軟弱者」
「すまん、意識ははっきりしているんだが……体が重い」
「保険医は心配ないと言っていた。さっさと治れ。気合いで治れ」
「無茶言うなっつーの。ってか、先生はどこいったんだ?」
「しばらく職員室に行くらしい。鍵をかけていった。だから保健室はしばらくお前の貸しきりだ」
「そうか。お前は、授業サボっていいのかよ」
「……」
「どうした?」
「イロリという女、お前の何だ」
「あいつは、俺の最初の友達だよ。幼稚園の頃、兄妹みたいに仲良くて、いつも一緒にいた。で、幼稚園の終わりごろにわかれちまった。それだけ」
「本当に、それだけか? 結婚の約束とやらは、本当なのか?」
「ああ……子供ごころながらに、結婚の約束までしたな。それを、あいつは律儀に覚えていたみたいだ。俺は今日まで忘れてたよ」
「それが自然だ。人は変わる。それが子供ならなおさらだ。それを……あいつは執着で動いている」
ナギの言葉には、表情には、髪には、怒りが明らかににじみ出ていた。
「お前、なんで怒ってんだよ。イロリはいいやつだぞ。最初からケンカ腰になるなよ」
「お前も過去の情報からそう言っているだろう。……私は昔の西又イロリは知らないが、少なくとも客観的にアイツを見ていると、吐き気がするな」
「なに言ってんだよ。そんなこと全然」
「お前は目に頼りすぎなんだよ。千歳」
「どういう意味だよ」
「お前、あの更衣室のなかでレイプされるところだったぞ」
「は……?」


824 名前:ワイヤード 第二話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:28:33 ID:r9yyjKLi
「分からないのか? あの更衣室、放課後まで誰もこない。それに、鍵がかかっていたぞ。お前が拒んだ場合、お前が逃げないようにだ。約束だのなんだの言っていたが、アイツの拘束力は執着から生まれている」
つまり、ナギは鍵を破ってイロリの手から千歳を救出したと言うことになる。
「お前の嫁であることは、あいつにとってはさっさと肉体関係を結ぶと言うことなんだよ。短絡的だな、全く」
「お、おいおい。でも、それはお前の推測だろ。だいたいレイプなんて犯罪だ。誰も好き好んで……」
「それは男の場合だろう。女なら、レイプだって有利に運べる。例えばお前の携帯電話を奪い、ハメ撮りでもするとする。どうなるかわかるか?」
もし人を呼んだり、抵抗したりしたら、この画像を出して「レイプされた」と言う、と、脅迫する。そんなビジョンが千歳の頭に浮かんだ。
「アイツほど男受けする見た目なら、レイプされても不思議じゃない。誰もお前の言い分なんか聞かんぞ」
「でも、そんな無茶苦茶な」
「まあそうだな。確証などどこにもない」
「なら、信じろよ。イロリを」
「あいにく、私はお前のようにお人よしじゃないんでね。私が信じるのは、母さんと、お前だけだ」
「お前……」
「とにかく、お前は今日はそこで寝てろ。昼休みくらいまで休めば大丈夫だと保険医も言っていた」
そう言うと、ナギは千歳の頭を撫でた。不器用でぎこちない手つきだったが、優しさがこもっていた。
「(気持ちいいな……)」
今は亡き母に頭を撫でられた時のことを思い出す。こんな時は、母は……。
「(こもり……うた……ナギが……?)」
母の歌っていた子守唄が聞こえる。そしてそれは、他でもないナギの声だった。
誰よりも優しい声。いつも粗暴な言葉遣いをするナギのイメージとは違っていた。
しかし、千歳は知っていた。
これがナギの本当の姿なのだと。

夢を見ていた。
「千歳。お前は未来を信じているのか?」
「なんで、そんなことを聞くんだ?」
「幸せは、未来にしかないんだよ。それを知って、絶望したんだ。未来には、永遠にたどり着かないんだ」
「ナギ、それは違うんじゃないのか?」
「何がだ」
「希望とか、確かにこの現実では信じにくいし、怖いもんだ。未来もそう。だけどな、それでも幸せになるために、俺らは『信じる』ってことをするんだろ」
「……そうだな、私は、それを言って欲しかっただけかもしれないな。感謝するよ、千歳」
夢を見ていた。

825 名前:ワイヤード 第二話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:29:10 ID:r9yyjKLi
「……なんで、あんな夢を」
最近、過去のことを夢に見ることが多い。イロリに会ってやっと思い出したが、朝見ていたのはイロリとの約束と別れ。
今見ていたのは……。
「ナギ……」
「呼んだか?」
「おわっ!」
「結局、放課後まで寝ていたんだな」
「まじでか……なんか、最近寝起き悪いんだよな。お前のがうつったか?」
「知らん」
「だよなぁ……あーあ。なんか一日中ねてると、損した気分だよな」
「昼飯のことなら、私がお前の分も食ってやったから安心しろ」
「そういう話じゃねぇよ」
「じゃあどういうことだ」
「俺も『今の時間』が大切なんだって思い始めたんだよ……お前が言っていたようにな」
「何を言っているのやら、さっぱりだな」
ナギは特徴的な意地の悪い笑みを浮かべた。
「ってか、ナギお前、放課後までずっとここで……?」
「別に、授業をサボる口実ができたから盛大にサボっていただけだ。お前が心配だったとかじゃない」
「そうかい」
千歳はなんとなく嬉しくなる。長い付き合いだから、分かるのだ。口は悪いが、ナギは心優しい。たぶん心配してくれたのだろう。
「なあ、ナギ……おれさ、やっぱり」
「ちーちゃん!!」
凄まじい勢いで進入者が現れた。鍵は、昼休み以降は開く寸法だったようだ。
「またお前か」
ナギは鋭い目付きでにらみつける。強烈な威圧。先ほどよりもかなり力を増している。
千歳の過労の原因を、イロリに押し付けようとしているように見える。
「イロリ……さっきは……」
「ごめんなさい!」
「え……?」
言葉を遮られ、あっけに取られる。ナギも少し動揺しているようだ。

826 名前:ワイヤード 第二話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:29:51 ID:r9yyjKLi
「やっぱりさっき、強引すぎたというか、焦りすぎだったって言うか……。私、ちーちゃんに会えて、その……興奮しちゃって、わけわからなくなって……
。やっぱり、いきなり結婚とかそういうのは、ダメだよね」
イロリはもじもじと顔を赤くさせながら、しどろもどろになりつつもしっかりと謝罪をしていた。
「(やっぱり、イロリは悪い奴じゃないよな。さっきのナギとの衝突も、いろいろ急いじゃった結果なんだ)」
千歳は『最初の親友』の変わらなさに安心した。それに、結婚とか妻うんぬんについても、考え直してくれると言うのだ。
大丈夫、もうトラブルは起こらない。
「ちーちゃんとは十年以上会ってなかったし、戸惑いとか、ギャップとか、行き違いもあると思うの……。だから、ちょっと距離を置いて、ゆっくりね……」
「ああ、そうだn――」
「だから、結婚を前提に、まずはお付き合いからにしよう! いいよね、ちーちゃん!」
「は……?」
驚きのあまり、言葉を出せない。単純な声しか絞り出せなかった。
隣にいるナギも同様のようだ。目を見開いて口をぽっかりとあけていた。
「ちーちゃん、私頑張るから……ちーちゃんにちゃんと愛されるように、がんばるから。だから、恋人から始めよう」
「な……」
「大丈夫、昔と同じに戻るだけだから。簡単でしょう?」
「(いつ、俺はイロリの恋人になってたんだ……?)」
どうしようもない理不尽と戸惑いが千歳を襲う。もはや、イロリの思い込みは抑制不可能ではないのか?
そんな諦めすら頭に浮かぶ。
「ふっ……ふはっ、ははははははははははははははははははは!!!!」
ナギが、唐突に笑い始めた。
「な、なによぅ、ナギさん、また私の邪魔を……」
「いや、失礼。お前は面白いやつなんだな。気に入った。第一印象を改めないとな」
千歳すら、ナギがこれほどに楽しそうな所を見るのは珍しい。いや、そもそもナギが母以外を褒めることなど、完全に初めてかもしれない。
「おい、イロリ。いろいろと邪推してすまなんだな。お前は本物みたいだ。逆に、応援してみたくなったよ」
「あ……ありがと、う?」
今度はイロリが戸惑う番だった。今まで敵対心丸出しだったナギが、いきなり友好的になったのだ。
「だが、千歳はそうは思っていないらしい。千歳、お前はイロリと付き合うのがいやか?」
「俺……?」
千歳はやっと気付く。周りに引っ張られっぱなしでなんだかついていけていないが、これはもともと自分の問題だと。
「俺は……」


827 名前:ワイヤード 第二話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:30:22 ID:r9yyjKLi
「ちーちゃん……」
「俺は、友達からくらいがちょうどいいと思う。イロリがキライになったとかじゃなくて、やっぱり、人間関係とかさ。いろいろ急ぎすぎると、擦り切れることがあったり、壊れることがあったりするだろ? だから、ちょっとずつ、な」
「それは、結婚を前提に友達になるってこと?」
「いやいやいや、そんなのねーよ。どこの世界の友達だっての」
わざとやっているのかと疑わざるを得ない。
が、思い出してみると昔のイロリもこんな感じだった気がする。思い込みが激しく、天然ボケの自覚もなく間違った認識を押し通す。
そんなタイプ。決して頭自体は悪くないのだが、性格の問題かもしれない。
「でも……ちーちゃんがいいと思う関係で、いいよ。今はそれで我慢する」
「(よかった……一時はどうなることかと)」
「でも……」
「?」
「さっきも言ったけど、いつかちーちゃんから『愛してる』って言わせるよ。それは『約束』。私たちの二つ目の約束。ね?」
イロリはにっこりと笑った。ナギとは違う。なんの含みもない。思い込んだこと、決意したこと、すなわち『未来』に真っ直ぐ向いた、純粋な希望。
「――っ」
ドキリ。一瞬、心臓が跳ねた。不覚にも、こんな簡単にイロリを女として認識しなおすことになるとは。思いも寄らなかった。
「まあ、そんなもんだろうな。今は。だが……」
ナギは、イロリに近づき、肩をぽんぽんと叩いた。
「悪かったな。分かっていなかったのは私のほうだ。お前は、いい女らしい」
ナギはそう言うと、保健室を出ていった。珍しく、軽快な歩調だった。
「……ナギさんって、ぱっと見よりいい子だね、ちーちゃん」
「ああ、そうだな」
「ねえちーちゃん。ナギさんって、ちーちゃんとどういう関係なの?」
「どういうって……お前と同じだな」
「え……浮気?」
「ちがうっつーの。っていうか俺らは『友達』だからな。浮気とかそういう人聞きの悪い単語を出すな」
「あはっ、ごめんごめん。つい、ね」
「お前と同じ、昔からの友達だよ。小学校の……二年くらいかな」
「そっか……ねえ、聞かせて、私が引っ越した後の、ちーちゃんのこと。私の知らないちーちゃん……。知れば、今よりもっと近くにいられると思うから」
「近くに……か。悪かったな」
「なにが?」
「俺も、ちょっとお前を避けてるみたいに動いちまった。なんか、久しぶりだし……お前が昔のお前か自信なくて、その……遠慮した」
「ううん。悪いのは私。ちーちゃんの気持ちも考えずにお嫁さん宣言して、そのままキスしようとしちゃった……今考えると、あんまりいい子のすぐことじゃないね」
「でも、そういうのがお前だったって、なんか安心したかもしれない。案外、そう遠くないかもしれないな」
「え、なにが?」
――約束を果たす日。


828 名前:ワイヤード 第二話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:30:53 ID:r9yyjKLi
そんなこと、言える分けないか。恥ずい。
「それより、昔の話だったな……」
「うん」
「あの……」
急に声がして、見ると大人しそうな少女が保健室の扉を開けた向こうに立っていた。
「もう下校時間ですから……鍵、閉めます」
いかにも内気そうな、長い前髪のショートヘアと眼鏡の少女は、消え入りそうな声で二人に呼びかけた。
「あなたは確か……私たちのクラスの委員長さんだよね? えっと……井上 深紅(いのうえ ミク)さんだっけ?」
イロリは早くもクラスメイトの名前と顔を一致させたようだ。
「はい……気軽に、ミクと呼んで下さい」
「なら、私もイロリって呼んでいいよ。よろしくねっ」
「はい……こちらこそ、よろしくおねがいしますね。イロリさん」
イロリとの対話を終え、ミクは千歳の方をむいた。
「鷹野君、先生が用事があるから来てって……」
「あ、ああ。わかった」
「あの……イロリさんは、先に帰っておいたほうがいいと思います。……長くなるそうですし、本来なら下校時間ですから」
「そっか……じゃあちーちゃん、また明日ね」
「ああ、また明日」
そうしてイロリは保健室を出た。
残されたのは、ミクと千歳のみ。――と、突然ミクが保健室の鍵を閉めた。
「……? どうしたんだよ、委員長。職員室に行くんじゃ……」
「鷹野君……見せたいものがあるんです」
「……なんだ?」
「これ……」
ミクは千歳に封筒を差し出す。中身は……写真のようだった。
「これは……!?」

829 名前:ワイヤード 第二話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:31:32 ID:r9yyjKLi
「どうですか? よく取れていると思いません?」
「お前……何故……これは、ナギ、だと……」
写真は……全てにナギが写っていた。とは言ってもスナップ写真などという域ではない。
トイレ、着替え……そして、自慰行為に至るまで、あらゆるナギの痴態が克明に写されていた。
「これは……一体だれが」
「さあ、誰でしょうね」
「……お前じゃ、ないよな? お前、盗撮事件があったのを発見して、先生とか俺だけに知らせてるとか、そういうのだよな……?」
「……」
「なあ、なんとかいえよ委員長!」
「あはっ、鷹野君おもしろい顔してる♪」
「なんだよお前……こんな時にのんきな……盗撮があったんだろ!? 犯人はどうなってんだ。掴まったのか!?」
「必死に現実逃避して……かわいいですねぇ」
「な……」
「私ですよ。鷹野くん。この私が全て撮ったものです」
「……なにが。なにが望みだ」
委員長は、ナギと同じく小学校時代から同じクラス。そしてずっと委員長の女。
ナギの写真を持ち出したということは、ナギか妹の百歌を人質にとられるとなにも抵抗できないという千歳の性質を知っているということなのだ。
「同じですよ」
「なにがだ!?」
「イロリさんと同じ……あなたが、欲しいです」

がしゃんと盛大な音を上げて、皿が割れた。
「……お兄ちゃん?」
百歌は、なんらかの違和感を覚え、料理の手を止めた。
「……今日は、なんだか、おかしいよ……お兄ちゃん、早く帰ってきて……」

830 名前:ワイヤード 第二話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:32:35 ID:r9yyjKLi
二話終了です。
三話は今夜にでも

831 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:45:15 ID:PlALM64A
イイヨイイヨー

832 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 20:57:01 ID:AsUge7yr
構わん
もっとやれ


すみません調子に乗りました
もっともっとやって下さい

833 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 21:51:05 ID:odrbzz5f
GJ!!

>>832
お仕置きが必要みたいね・・・フフフフフフ。

834 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 22:11:59 ID:/X8Z8rjV
>>830 GJ!!登場人物(女子)がみんなヤンデレなんですね。これは、主人公に死亡フラグが……。
次話も楽しみに待っています。



835 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 23:29:43 ID:Pt+oO9bd
何かセリフに兄貴がいてふいたw
GJ!続きまってます。

836 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/10(金) 23:43:46 ID:07/+J+rg
wktk wktk
全裸で待機するとしよう

837 名前:ワイヤード 第三話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:10:41 ID:vM+W356W
ゆっくりめにですが、第三話投下していきます

838 名前:ワイヤード 第三話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:11:20 ID:vM+W356W
第三話『深紅・猛攻』

「とりあえず、ここじゃなんなのでトイレにでも」
「何をするつもりだ……」
「すぐわかりますよ」
ミクは千歳を連れて保健室を出た。ミクは下校時間の生徒の追い出しと、施錠を役割としている。
これは本来教師や用務員の仕事なのだが、ミクは自らその役がしたいと買って出た。
学級委員長、風紀委員、生徒会などなど、他人の上位に立つのが好きな人間である。
「(最初からおかしいと思うべきだった……)」
わざわざそんな役を買って出るなど、常人のすることではない。真面目な委員長と言う印象でごまかしていて分からなかったが、今なら分かる。
井上ミクは……。
「お前ここ、女子トイレ」
「つべこべ言わずに、入ってくださいよ。拒否権はありません」
――そもそも、女子トイレじゃなかったら、私が男子トイレに入らないといけないじゃないですか。私は変態じゃないんでそんなのしませんよ。
くすくすと笑いながらミクは小声で言った。
千歳は、盗撮をしている人間がなにをほざくのかと不快に思うが、今は言わないことにした。
「……わかった」
ナギの写真をばら撒かれるくらいなら、と、千歳は素直に従う。
「その個室にしましょうか」
一番奥の個室。ぐずぐずとしていたら、ミクが強引に押し込んできた。鍵をかけ、そのまま千歳を壁まで押し付ける。
「おいっ! お前一体……うぐっ」
口がふさがれる。ミクの唇によってだった。

839 名前:ワイヤード 第三話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:13:07 ID:vM+W356W
「んっ……ふぅぁ……」
ミクは興奮したように口の端から吐息を漏らす。千歳には振り払えなかった。ミクの腕力が異常に高い。
ミクの身長は、ほとんど小学生のナギと比べると大きいほうだが、150センチと少しくらいで大きいとは少なくともいえない。
それが、男としては標準的な体格と運動能力を持つ千歳を完全に封じ込めている。信じがたいことだった。
「ぷはぁ……。鷹野君、『どう』ですか?」
ミクは唇を離すと、依然千歳を押さえ込み、したから覗きこむ視線で聞いた。それはもはや真面目な委員長の姿ではない。
――雌。ただの発情気の雌。
しかしこの雌は、人間なんかよりずっと性質が悪い。知恵をつけた野獣。
「黙りこくって……。この状況、わかりませんか?」
千歳はもはや状況に脳がついていっていなかった。話すことも、動くこともできない。
「簡単なお話です。鷹野君の大切な幼なじみであるナギさんがですね、ある日の放課後、教室でオナニーしてたんです」
「オナ……ナギが?」
なんとか搾り出した言葉も、ただの反射。内容は無かった。
「そうですよ。はしたないですよね。教室でオナニーだなんて……。いつも巡回している私に見つかる可能性を考えなかったのでしょうか。それとも、誰かに見つかるかもしれないという状況に興奮したのか……」
楽しそうにミクは語り続ける。
「誰かさんの机に必死でおまたをこすりつけて、その人の名前を呼ぶんです。汚いなぁって、ちょっと私も人事ながら怒りを覚えました。本人にはもっと苦痛でしょうかね。あんな臭そうなおまんこ汁をぐちゃぐちゃにして、よだれたらして、馬鹿みたいな顔して」
「な……一体、ナギはなんで……」
「さあ。その人のことが好きなのか、それともただ性欲が強いのか。――おそらくは後者ですがね。とにかく、それを気に私はナギさんという人間に興味を持ちまして、いろいろと調べてみたんですよ」
千歳の手の中にある、ナギの盗撮写真。いたるところから撮影されている。
ミクはそれを奪い返し、ぱらぱらと中身を確認する。
「簡単でした。だって、私はほとんどこの学校の部屋の支配権全てを握っているみたいなものですから。いわば、放課後の王様。カメラを仕掛ける時間なんて腐るほどありますし、回収する時間もあります。鍵を締めれば自由に作業できるんですから」
「そんな、めちゃくちゃな……」
「そうですよね。確かにこの作戦には不備があります。発見もされやすいし、不確定要素も多いですが……。なんにでも、用意周到な人間は切り札を隠し持つものです」
ミクの特徴的なくすくす笑いは加速する。

840 名前:ワイヤード 第三話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:18:35 ID:vM+W356W
「まあ、説明はこんなところでしょう。ナギさんの写真、私が持っていたら不安じゃないですか?」
そりゃあ、そうだ。
千歳は一瞬その物言いに。当たり前のことをわざわざぬけぬけと言ってくるミクに対し怒りをあらわにしかけたが、直前で押さえた。
「千歳君、この写真は、合計で20枚あります。ネガや元データも既に処分しました」
――そんなわけありませんけど。
「これ、全部千歳君にあげようと思っています」
「ほ、ほんとうか……!」
手を出す。ミクはさっと手を引いてかわした。
「もちろん、ただじゃありません」
「どうすればいい……?」
「これ一枚につき一回、私の言うことを聞いてください」
「わかった」
千歳は全く迷わずに答えた。その速さは若干以外だったが、ミクは動揺を表に出さない。
迷ったら負ける。犯罪を犯しているのは、こちらのほうなのだ。そんな覚悟と自覚がミクにはあった。
――それに、これで切り札をとっておいたまま計画が進行しますしね……。
どんなものにでも切り札は必要。当たり前の話だ。この『脅し』だって、千歳の冷静さとナギへの思い次第。正直不確定。
だから、必要な情報はもっとたくさんそろえた。
例えば。あくまで例だが。
――ナギが昔殺人を犯していたり、とか。
――千歳が昔、親に暴行を働いた、だとか。
そんな、過去の傷をえぐるような、そんな『甘い知識のリンゴ』。すばらしいじゃないか。
「じゃあ、今日は報酬は一枚です。よろしくお願いしますね」
「……何時までかかる?」
「そうですね、今が六時半くらいですから……。だいたい一時間くらいいただきます。七時半まで、この写真で買いますね、いいですか?」
「……交渉できるたちばじゃないみたいだな。それでいい……」
「さすが、ものわかりが良いですね」
がちゃり。ミクはどこからともなく手錠を取り出すと、千歳の両手後ろに拘束した。

841 名前:ワイヤード 第三話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:26:02 ID:vM+W356W
「おまっ、なにを……」
「さっきから思ってたんですけど、鷹野君って鈍いんですか? それとも、これから起こるであろう未来のことも予測できないほどに馬鹿なんですか? おそらくは前者でしょうけど」
「鈍い……だと?」
「歴然としているでしょう。男女逆の立場だとわかりやすいですかね。そう、強姦ですよ。わかりますか?」
ミクはくすくすと笑い、手錠をされ無抵抗の千歳を押し倒した。この女子トイレ、個室がわりと広い。十分に千歳が座り込み、その上にミクが覆い被さることができるほどのスペースがあった。
「くっ……」
「あはっ、やっとくやしそうな顔になりましたね。今ごろになって状況が完全に飲み込めたようですけど、ご感想は?」
「この……」
「この、何です? 怒らないから言ってみてくださいよ」
「(……だめだ、不利になることは避けないと)」
ナギのため、ここは個人的感情は押さえる。千歳は抵抗も何もしないと、内面的に超然主義を取り入れることにした。
「だんまりですか。まあいいでしょう。こういう素直じゃない子を調教するのが、強姦の醍醐味ですから」
「――っ!」
「だから、ちょっとずつ、声ださせてあげますね」
ミクの小さく華奢な手が千歳の股間を掴んでいた。
「あれ……? 鷹野君、なんでこんなにおっきくしてるんですかぁ~?」
「……」
「答えないでいいですけど、これはちょっと面白いことだってこと、わかりますよね。さっきキスしたとき、鷹野君も興奮したんですね」
そう言うと、ミクはスカートを穿いたまま下着だけに手をかけ、脱ぎ去った。飾り気のない、真面目っぽいものだ。
そう、ミクは家族にも完全に本来の凶暴性を隠して生きてきたのだ。やましい要素など、よほどの粗探しをしないと見つかりはしない。
「ほら、鷹野君、みてください」
座り込む千歳の眼前に立ち、スカートを上げる。
「……!」


842 名前:ワイヤード 第三話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:31:24 ID:vM+W356W
「こんなに、濡れちゃったんですよ。鷹野君とキスしたとき……。私、処女なのに。こんな……」
千歳の目の前に現れたミクのそこは既に洪水状態で、脚を伝って液が流れていた。毛が薄く、割れ目が見えている。
なんとも、艶やかな光景だった。
びくん。
「ふふっ、鷹野君が興奮してる。……じゃあ、鷹野君、舐めてください」
「うぶっ!?」
ミクがおもむろに千歳を床に叩きつけ、その顔にまたがった。千歳の鼻に甘い匂いが飛び込む。あまり良い匂いではないという印象があったのだが、ミクのものはそうでもないようだ。
むしろ、確実に千歳の性欲を刺激していた。
「舐めてください」
最初はためらっていた千歳だが、よく考えると、屈辱的ではあるがたいした被害はない。この程度でナギが救えるならと、従うことにした。
ぺろりとミクの秘所を舐め上げる。処女らしく、まったくと言って良いほどに清潔なピンク色をしているその場所は、千歳がひとなめした瞬間にびくりと跳ねた。
「んぁ!」
ミクの体全体もびくりと跳ねる。秘所からはさらに液体が流れ出、千歳の顔にだらだらとかかった。
千歳はさらに舐め上げる。ちろちろと、牛乳の皿に慣れない子犬のように、ゆっくりと優しくだ。
「んふっ……あ……あぁ……ん、いい……いいです、よぉ……」
ミクの感度は非常に高いらしい。なら、このままさっさと終わらせることができるかもしれない。
一気にスピードを上げる。刺激しまくって疲労させれば、早いうちに消耗して今日は見逃してくれるかもしれない。
くちゃくちゃと、激しく舐め上げる。割れ目を舌でこじ開けて舌を挿入する。
「ふぁ……あぁん……んんぁあ!」
ミクが身体を逸らし、痙攣した。
「(まさか……イッたのか? こんなに早く?)」
そう考えていると、頬を赤く染めたミクが息を整え、声を絞り出した。
「……はぁ……はぁ……お上手ですね、鷹野君。私、実は自慰行為というものを実行したことがなくて……今初めて、軽くイッてしまうという経験をしました」
「(ならさっさと解放してくれ。満足だろ……)」

843 名前:ワイヤード 第三話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:31:58 ID:vM+W356W
そうは思えど、独裁者は下僕の要求や感情など受け入れない。「支配されている気持ちの側が気持ちが分かってない」と、弱者はいつも主張する。
しかし、違う。狡猾なまでの『弱者の感情への理解』こそが、支配者を支配者たらしめる。
労働者は、支配される側は常に冷静さを奪われ、感情に生かされる。ミクも千歳の冷静さを奪いコントロールするため、あえて強引さを保っていた。
深紅は他人の気持ちを誰よりも深く理解できる頭脳を持つ。それゆえに、千歳の要求など、聞かないのだ。
「でも、まだ軽いです。もっと……もっと気持ちよく……!」
ミクの口調が荒くなる。興奮が加速している。
ミクは乱暴に千歳の頭を掴み、自らの秘所に押し付ける。
「うぐっ……」
「鷹野君……もっと、舌……ください……」
何がなんだかわからないほどに乱暴に顔に擦り付けられている。混乱状態のまま、千歳も要求通りに舌を出すしかなかった。
「はあぁん! ……いい、いいよぉ……舌、あったかい……ぬるぬるしてて……」
大洪水どころか、もうダム決壊レベルか。わけのわからない汁やら液やらが千歳の顔をどろどろにぬらしていく。
なめあげるたびにミクの股から溢れ出す。
「奥に……舌、奥に……これ、命令……です」
言われた通り、再び差し込んだ。こんどはミクが千歳の頭に押し付けてくるため、さっきより深くまで舌が入る。
「ひぁ……」
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ。リズミカルに水音を立たせ、ミクの膣内を舌でかき混ぜる。
「あっ、あああっん……んんぁ……ふぅっ、ふあ……これ! ……いいですぅ!!」
再び加速させる。これだけ感じやすければ、簡単に終わらせることが出来るだろう。
「くはっ、うん……は、ぁあああ!!! きちゃいます!!! なんか……なんかでちゃうぅう!!!!」
「っ!?」
ミクのひときわ大きな叫びと共に、秘部から液体が勢いよく噴出され、千歳の顔にかかった。
それだけではない、第二波。
「ふあぁああ……鷹野くぅん……すみません、全部……」
「……?」


844 名前:ワイヤード 第三話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:32:31 ID:vM+W356W
「全部、飲んでくださいぃ……これ、命令……ですぅ!!!」
言葉と共に、ミクの尿道から暖かい液体が流出する。独特なアンモニア臭に、千歳は明らかな嫌悪感を覚えた。
が、飲み干さなければ。千歳はあくまで冷静だった。これもミクが千歳を屈服させるための示威行為だが、千歳は図らずも無効化していた。
「うぷっ……ごくっ、こくっ……」
のどを鳴らし飲み込む。その献身的な姿は、その献身の対象が例えナギであれ、ミクを喜ばせた。
「鷹野君、かわいい……♪ 必死に私のおしっこ飲んじゃって。そんなにおいしかったんですか?」
「うぐっ……」
言葉に詰まる。興奮してなど居ない、ミクに対して好意を抱くなどありえない。そう千歳は自分に言い聞かせた。
だが――
「ここ、おっきくなってますよ?」
――身体は嘘をつかない。どうしようもなく自己主張して、ズボンの上からでもはっきりと形状が分かるほどである。
さっきからすでにそうだったのだが、もはや言い逃れはできないレベルにまで成長していた。
「このままじゃ苦しいでしょうから、脱がしますね」
「や、やめっ……!」
「あ、そうですか。じゃあやめます」
「……!?」
正直、苦しい。脱がして欲しいという本音があったことを千歳は自覚した。
どうしようもなくくやしい。ミクはことごとく千歳を上回っていた。
「上から、ちょっとだけ触りますね」
ミクは下着を履いて立ち上がると、今度は靴下を脱ぎ始めた。
「おま、何を……」
「そんなこと言っちゃって、びくびくさせて、本当は期待しているんですよね。素直じゃないんですから」
くすくすと笑い、ミクは足を千歳の股間に乗せた。
そして、自己主張しているモノを足の指で挟み、上下に扱き始める。
「うくっ! ……委員長、おまっ……」
「ミクって呼んでくださいね。これも命令です♪」
「そんなの今関係な……う、うああ!!!」
「関係ないことなんてありません。それを決めるのは私であって、鷹野くんじゃないんですから……いや、千歳君って呼びますね。これから。これでおあいこじゃないですか?」
ミクの足は器用だった。自分の手で慰めるよりはるかに大きな快感を与えてくる。
それは千歳の心を少しずつ削っていった。蝕んでいった。


845 名前:ワイヤード 第三話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:33:11 ID:vM+W356W
「くぁ……が……」
「声をだすほど気持ちいいんですか……。足でされてこんなに喜んじゃって、千歳君、とんだ変態さんです」
「(だめだ……もう……)」
限界が近い。
「……ふふっ」
ミクが足を止めた。
「今日はここまでにしましょうか」
「な……」
「あれぇ~? 千歳君、やっぱり名残おしいんですかぁ?」
「そんなこと……!」
「大丈夫ですよ。明日もありますから」
さらりと明日も同じことをするのだと告げ、ミクは千歳を起こし、手錠を鮮やかにはずして見せた。
「『おあずけ』というやつです。明日までに自分で慰めてきたら……わかってますよ、ね?」
「……!」
下方から覗き込むミクの形相はすさまじかった。ナギにも劣らない威圧感。
しかも、ナギのように純粋な敵意などではない。その感情はあらゆる悪意――善意までもが入り混じった複雑で、不可解なものだ。
それに底知れぬ恐怖を覚え、千歳の足が硬直した。直立不動して動けない。
それを見たミクはふっと優しく微笑んで、千歳の手をつかんでトイレを出た。
「あと十九回、短い付き合いですが、よろしくお願いしますね。千歳君」
そんなミクの声も、まともに脳に入らないほどに千歳は放心していた。

846 名前:ワイヤード 第三話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:34:18 ID:vM+W356W
第三話終了です。第四話は未定です。
早ければ明日(今日)にでも。

847 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:37:20 ID:2SBix5Vh
いいんだけど
スカ系が入ってくるときは、いやがる人もいるだろうから、事前に通知ヨロ

848 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:38:27 ID:zuO3ZkgD
>>846

ふぅ…ふぅ…


GJ

849 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:39:38 ID:vM+W356W
>>847 普通に忘れてました。すみません。
というか、自分の基準って言うのは客観的には見れないものなんですね……orz
反省します。

850 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:46:53 ID:Kjug97dw
>>846
GJすぎてマグナムから涙が出てきたよ

851 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 00:59:04 ID:QiSMKCpy
イロリィィー!!
愛してるーー!!
>>846
GJ

852 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 06:32:27 ID:DDYTK2Ys
果たして1000行くだろうか

853 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 06:48:57 ID:iFiglYmM
行かないだろこれは次スレの季節だしな

854 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/10/11(土) 07:18:11 ID:FbXNmGBJ
行くんじゃない?

855 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 08:03:31 ID:P5HcsEKS
というか次スレにはまだ早いだろ

856 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 10:42:31 ID:VRpXv2Lb
いや、もう450KBだから

857 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 12:17:23 ID:JfO+ZpQV
昔とはスレの速さ違うからなあ、前回も460KB越えで立てたけどずっと前スレ残ってたし。
今だったら480KBぐらいでちょうどいいんじゃないか。

858 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 12:41:19 ID:7dL4JJhm
まだ450じゃん
480くらいになってからでも遅くはないだろ

859 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 17:07:33 ID:FbXNmGBJ
ここけっこう人いるんだな(笑)

860 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 18:05:31 ID:tcwe/FJD
いるよ修羅場スレとヤンデレスレとキモ姉キモウトスレは常駐

861 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 18:16:53 ID:iFiglYmM
ただほの純はのりがあわなすぎるからスルーだが

862 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 18:39:01 ID:58wYalDs
他スレを出すな、スレ違いだ

863 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/11(土) 23:27:59 ID:OE26RXVK
ゆっくり病んでいってね

864 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:09:31 ID:95E+WFMg
投下します。
今回は若干文章適当ですが、展開を早くするためですのでご了承ください。

865 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:10:13 ID:95E+WFMg
第四話『二人の景色・融和』


ナギは歩いていた。ただひたすら、無心に、愛する母の居る揺りかごに向かって。
「おーい」
脳内では、何の思考も働いては居ない。
「おーい、ナギさーん!」
脚を動かす。ルーティンワークに過ぎなかった。
「新手のいじめかなー? 野々村ナギさん?」
ほっぺたをつねられたところで、やっと追跡者の存在に気付いた。
「なんだ、お前は」
「もうっ、西又イロリ、華の十七歳。職業は高校二年生、将来的には鷹野千歳のお嫁さんの鷹野イロリ! 近年まれに見る良妻なんだから、忘れないでよね!」
「ああ、そういうやつもいたな。何もかもが懐かしい」
「十五分前に別れたばっかりだから! ……まあいいとして、ナギさんほっぺたやわらかいね、うらやましい」
「何を言っているんだお前」
「はっ……ほっぺたの柔らかさにごまかされるところだった……。罠ね!?」
「いや、お前が馬鹿なだけだろ」
「……馬鹿とはなによ。ちょっとお茶目なだけじゃない。ほら、賢すぎる女よりちょっと馬鹿な女のほうが安心するっていうでしょ。だから私も、ちーちゃんにかわいいっていってもらえるように、キャラ作りよ」
「そういう馬鹿っぽい負け惜しみを考える奴が馬鹿なんだろうが」
「うわー。正論だからむかつくなー」
「勝手にむかついていろ」
ナギは顔を背け、再び歩みをはじめた。
とてとてとイロリも後ろにつきまとう。

866 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:10:43 ID:4ulifI0Q
「……」
「おい、お前」
「……なにかな。ナギさん?」
「うっとーしいぞ。ついてくるな。嫌がらせか」
「本題、話していい?」
「お前が勝手に脱線しまくった挙げ句のことだろうが。責任転嫁するな」
「うん、じゃあ本題話すね」
会話が微妙にかみ合わない。ナギにフラストレーションが溜まってくる。
「ナギさんは、私の味方? それとも……」
イロリは微笑んだまま続けた。
「……敵?」
「……ああ、そういう話か」
「うん。そういう話」
「なら、さっきも言ったろう。私はお前を応援してやろうと思っている。別にできることはそう多くないが、少なくとも邪魔はしないつもりだ」
「……それ、嘘だよね?」
「……」
ナギはイロリの目を始めてまともに見る。
よどみなく黒光りした瞳。何の邪念も無い。複雑さの全く無い目だ。その中には、たったひとつの感情しかない。
「――愛、か」
「え……」
「西又イロリ。お前は未来を信じているらしいな。目を見れば分かる」
「……そうだね。私は信じてるよ。私とちーちゃんの、幸せな未来」
「そうか。それは良いことだな」
「だから、あなたは邪魔なの――だって、あなたもちーちゃんのこと、好きでしょ?」
「そうだな。そう思うのも不思議じゃないかもしれないな……だが」


867 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:11:16 ID:4ulifI0Q
「だが、何?」
「お前は弱い。それで千歳の一番になりたいなどと思っているなら、とんだ思い上がりだ」
「なっ……」
「私が千歳に好意を、ねぇ……。未来など信じていない私には、その気持ちがどんなものかも分からないな。だが、もしそうだとしたら……もしそうだとしても、だ……」
「……」
「お前には何の関係もない話だろう?」
「!?」
イロリの表情が変わる。怒り。
「関係ないって何よ! 私はちーちゃんの一番になりたいの! ちーちゃんの隣でなら、笑顔でいられるの! 本当の、私だけの未来に……笑顔で……!」
「未来を信じているなら、つらいことも乗り越えられる」
「え……?」
「千歳が私に昔言った言葉だ。お前の知らない時期の千歳がな」
「ちーちゃんが、ナギさんに……?」
「私は未来を信じてはいない。だから、障害を乗り越えて一番になることなど、できない。だが、お前なら……」
「私なら……?」
「お前なら、できるはずだ。私にできないことでもな。……さて、ついたぞ」
「え?」
「私の家だ。門限なんかに問題が無ければ、飯くらいは食わせてやる。なんなら、泊まっていくか?」
「……うん」


868 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:11:47 ID:4ulifI0Q
「まさか、ナギに新しい友達ができるなんてねー。ほら、イロリちゃん、たくさん食べて♪」
「は、はい……」
もう何杯目になるかも分からない白米をかきこむ。横目に見ると、ナギはイロリが今まで食べた量の数倍をすでにたいらげていた。
ナギの母、頼さんはその光景をみてうふふと笑う。
「ナギ、良く食べるでしょ?」
「そうですね……」
「本能に従うタイプなのよ。我が子ながら、良い子に育ったと思うわ」
「そ、そうですか」
ナギはその間も無言で食べつづける。
本能に従うことがそんなにいいことなのだろうか。イロリは疑問に思う。
「良い事よ」
「えっ?」
心を見透かしたように、頼さんはイロリに語りかけた。
「楽に生きるって、こういうこと」
楽に生きる? それって、いいことかな?
イロリには、やはり分からない。
「じきに分かるわ。大人になってもわからない人はいるけどね」
頼さんはふっと笑った。ナギのイジワルな笑いと良く似ていた。やはり親子だった。


869 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:12:30 ID:4ulifI0Q
「お前、帰らなくていいのか」
「うん。家には誰も、いないし」
「家族は、どうしたんだ?」
「ちょっとね……別居中っていうのかな」
イロリとナギは、そのまま一緒に風呂に入っていた。
「……ナギさん」
「なんだ」
「ちょっと、うらやましいな」
「なにがだ」
「ちーちゃんがいて、優しい学校の仲間達がいて、綺麗なお母さんがいて。うらやましい」
「……そう、だろうな」
「でも、これからは私もそう。それが私の望んだ未来。私の勝ち取った現実。だから……」
「……」
ばちゃ。
「つめたーっ!! これ水じゃない! なにすんのよー!!!!!」
「お前があまりにもマヌケ面だったから、ひきしめてやった」
「なっ……」
「お前、もう幸せの隣にいるだろ」
「え……?」
「邪魔者なんて、お前のココロの中にしかいない。お前と千歳の間に阻むものなんて本当はない。約束は、心が生み出すんだ。お前だって、そう知ってるだろうに。お前達二人の約束だ。私には関係ない」
「……」


870 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:13:10 ID:4ulifI0Q
「私や、他の女が千歳を好きになろうが、お前達の間に立てるわけがないんだ。お前が今考えるべきは、千歳が何人の女に心を惹かれてしまおうが、お前が一番になるということ」
「一番に……」
「障害は乗り越えていけ。お前が上回るべきだろう。障害物競走で障害を排除する奴はルール違反なんだよ。勝ちたいなら、身体を鍛える。私はそんなことしたことがないが、お前なら……できるだろう?」
「……そっか。ありがとね」
「なにがだ」
「本当は最初からわかってたんだ。でも、不安になった。だって、ちーちゃんは優しくて、宇宙一カッコイイ男の子だから」
「(それは無理があると思うが)」
「だから、ちーちゃんの魅力に惑わされた女の子達が、ちーちゃんを奪い去っちゃうんじゃないかって、不安だったの……そしたら、ちーちゃんの心のなかから私が消えちゃうんじゃないかって……」
「……でも、お前は未来を信じているんだろう。なら、くよくよしているヒマはない。本当に良い女になるんだな」
「……うん!」
イロリは力強く頷いた。
「ちーちゃんの一番になりたい! ちーちゃんのお嫁さんになりたい! そのために、私……」
「ああ」
「ナギさんに勝つ!」
「……は?」
「私、わかったよ。ナギさんは凄いって。ちーちゃんの一番近くにいるのは、ナギさんでしょ? それだけじゃない、今まで話してて、勝てないなって思った。私より魅力ある」
「そんなことは……って、お前なにを!?」
イロリはナギを後ろから抱きすくめ、胸を掴んでいた。
「すごい……つるつるだ。その手の人にはたまらないね……」
起伏がほとんど無い。若干膨らみかけ程度の胸をもみ始める。
「でも、やっぱり女の子だね……。すっごい柔らかい」
「お前……馬鹿、さわるな。お前のでかいブツでも自分で揉んでろ」
「ひゃ、ナギさん!」


871 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:13:54 ID:4ulifI0Q
ナギは反撃とばかりに反転して、イロリの胸を掴んだ。ナギとは違い、ボリュームがあり、激しい自己主張をしていた。
「くそっ……何が魅力あるだ。嫌味にしか聞こえんぞ。この魔乳が」
「ひゃ、ちょ、だめぇ……胸感じやすいのぉ……」
「知るか。先に仕掛けたのはお前だ」
「そんな……もぉ!」
イロリはナギの胸から片手を離し、下に向かわせた。
「おい! そこは……!」
「すっご……こっちもつるつるだ……。ごくり……」
「この、お前ロリコンか!?」
「違うよ。仮にロリコンだとしても、ロリコンという名の紳士だよ」
「くそ、お前……こうなればお前のも……」
「ひあっぁ!!! ナギさん!!!」
「お前にイかされるくらいなら、先に……!」
互いに性感帯を刺激しあう二人。
なんとも馬鹿らしい勝負である。これで勝ち負けを決めてなんになるのだろうか。それはもはや当人達にすらわかっていないだろう。


872 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:14:24 ID:4ulifI0Q
「ふぁ……あぁん! ……も、もうぅ!」
「くっ……イロリお前、慣れてるな……」
「ひあああ!!! ナ、ナギさんもぉ!!」
互いにグッドオナニストであることを認めあう。
重ね重ねいうが、この勝負の趣旨は作者にすらわからない。
「だ、だめぇ、イっちゃう、イっちゃうぅ!!」
「くっ、私も、もう、だめだ……」
「はぁ、はぁ……一緒に、いってみるぅ……?」
「はぁ……あ、ああ……今回は……ひき、わけに……」
互いに絶頂に上り詰めようとしていた。
――そのときだった。
がらっ。
「石鹸少なくなってるから、これ使って……あら?」
「あ……」
「か、母さん……これは……」
「あらあら、本当に、仲が良いのね」
頼さんはにやりと笑った。


873 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:14:55 ID:4ulifI0Q
風呂を上がり、ナギとイロリは寝ることにした。
ナギの部屋は大惨事であり客人には公開できないと頼さんはイロリに説明し、寝室を用意した。
イロリはそこで寝ることになる。
が、ナギが寝室に帰ろうとしたとき、イロリが呼び止め、強制的にナギを同じベッドに入れた。
こういう経緯で、二人は同じベッドに寝そべっている。
「おい……」
「なに?」
「お前のせいだぞ。母さんにレズだと思われたらどうすんだ」
「な、なによぅ。ナギちゃんだって、途中からはノリノリだったじゃない」
「あれはお前が仕掛けたんだ。仕方が無いだろう」
「本当にそっちの気が無いなら、本気で抵抗するはずだけど?」
「……ああ悪かったな。私はバイなんだよ」
「へー。気が合うねー。私もだよー」
「それは分かる。……というか、お前千歳が好きなんだろ。私にこんなことして、浮気とかじゃないのか?」
「そんなつもりさらさらないよ。男の人には軽々しく触れたりしないし……ナギちゃんのこと、友達として好きになったからだよ」
「友達、ねぇ」
イロリの友達観は若干ずれている。女同士なら、こういうことをしても大丈夫らしい。
結婚を前提にお友達とか千歳にほざいたところを思い返すと、もうこういう人間なのだとなっとくできる。

874 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:15:30 ID:4ulifI0Q
「それに……キスはとってあるよ。私はちーちゃんにしか絶対キスしないから。……実を言うと、もうちーちゃんとのファーストキス、すませてあるんだ」
「へぇ、興味深いな」
「幼稚園のころ、ちーちゃんがお昼寝してるとき、こっそりねー」
「はっ、そんなことか」
「ナギちゃんは……」
「?」
「ナギちゃんは、ちーちゃんともう、キスした?」
「……なにをいっているんだ、お前。何か勘違いしているようだが、私と千歳は、お前の思っているような関係じゃ……」
「またうそついた」
「!」
「私、ナギちゃんのことは好きだけど、嘘ついたら嫌い。ナギちゃん、ちーちゃんのこと好きでしょ。分かるよ。ちーちゃんも、ナギちゃんのこと見てるもん。ちーちゃんのこと、本気で好きだから、わかるもん……くやしいけど、今の私じゃナギちゃんに勝てないよ……」
「……分かったよ。正直に話してやる。私と千歳の、昔の思い出でも、聞いてみるがいい」
「うん……聞かせて、ナギちゃんに、勝ちたいから」
そうして、ナギは昔話を始めた。


875 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:15:40 ID:mT3IDKB9
支援

876 名前:ワイヤード 第四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:18:17 ID:4ulifI0Q
第四話終了です。
この話は一応ヒロイン全員ヤンデレなのですが、この時点ではイロリとナギのヤンデレ度は低いです。
が、これから展開が変わっていくと彼女達も仲良くしてはいられなくなるので……
ヤンデレじゃないとか言わないで、気長にお待ちいただけたら幸いです。
では。また

877 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:19:39 ID:mbsV6Mjt
>>876
リアルタイムktkr!!
GJです!!!

878 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 00:55:24 ID:Iklv+2jD
>>876
GJ
次も期待してるぜ(`・ω・´)

879 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 01:10:23 ID:I/4Ybwib
>>876
勝ちたい。いい言葉だね。続き楽しみに待ってます。

880 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/10/12(日) 03:02:09 ID:hjGSDly/
>>876
激しくGJ!!

第1~4話と連続で読んでしまって何回も俺の性感が逝ってしまった

881 名前:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 11:45:15 ID:y+UJCjSs
<ヤンデレ外交>

「定例協議、ですか」
「そうだ。何事もない、一年に一度の会合だ。
ローレベルの技術協力と協調姿勢を淡々と発表する規定路線の会合。
具体的には、二国間の海上に不法投棄されているペットボトルの除去作業の打ち合わせ、だ。
それ以上のことは何もない。……何一つ、ない」
「とは言え、今の時期は正直……微妙ですね」
「その通りだ。あの国は、国際的な借金の返済に首が回らん。
だから──わが国からなんとしても援助を引き出したい。
たとえペットボトル除去作業の会合でも、なんらかの言質をとろうと必死だ」
「ムリですよ。あの国と、我が国では、通過対策のスタンスが真逆(まぎゃく)です。
あちらが援助を求めてくるにしても、何もできることはありません。こちら的も、あちら的も。」
「だが、連中には「あれ」がある」
上司が唇がさらに歪めた。
「……ハニートラップ、ですか」
隣国の外交官や政治家を美女の接待で篭絡し、脅迫し、言質を取る。
おおよそ、下劣で、そして効果的な一手。
大国の外交官がそれに引っかかり、大幅な譲歩を迫られたことは記憶に新しい。
「だから、君だ」
上司は、その会合に僕を行かせるつもりらしい。
少し話が見えない。
「それはかまいませんが、なんで僕なんです?」
ハニートラップ対策は、女に強く、冷静で、抜け目ない男が適任だ。
自慢じゃないが、僕はその当りは非常に自信がない。
女に弱い──というより、縁がなさ過ぎて体制がまったくない。
何しろ、同期で嫁さんどころか恋人もいないのは僕一人だ。
コンビニの女店員に笑顔でお釣りを手渡しされただけで舞い上がる人間に、
そんな役目は難しすぎるのではないか。
「それについては、心配ない。君には専門家と組んでもらう」
「専門家?」
「知っているだろう、桐山だ」
上司は意味ありげな表情でそう言った。

882 名前:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 11:45:46 ID:y+UJCjSs
「桐山と組むのは久しぶりだね」
「はい。とても嬉しいです」
行きの飛行機の中で、桐山那美(きりやま・なみ)は微笑んだ。
眼鏡とセミロングの黒髪がお似合いの、おとなしそうな娘だ。
僕にとって、かなり年下の後輩の彼女と組むのは、これで三回目くらいか。
地味だけど、非常に有能なサポーターということは覚えている。
僕がまともに喋れる数少ない女性だ。
「しかし、意外だね」
「はい?」
「桐山が、その……そういうのの専門家だっていうこと」
あの後、上司は詳しく説明してくれなかったが、
この仕事で僕と組ませるということは、彼女はそういうことに精通していると言うことだろう。
「ええ、私、専門家ですよ。――こういうことについては、とても。たぶん、世界で一番です」
「大きく出たな」
僕は苦笑した。
おとなしく見える彼女を見ると、とても意外だけど。
まあ、彼女は、とても有能な外交官だ。
そういう技術も隠し持っていてもおかしくはないのかも知れない。
くわばらくわばら。

桐山の有能さは、すぐに証明された。
あちらの指定のホテルにチェックインするや否や、
彼女は、1ダースの盗聴器と3つのビデオカメラを見つけ出し、無力化した。
特殊部隊のような手際のよさに、唖然とする僕を尻目に、
今度は、ルームサービスの料理からいくつかの薬品を検出する。
多量の精力剤と、小量の思考を緩慢にするクスリ。
──翌日の会食でアルコールを入れれば、理性より性欲が勝った状態にされるだろう。
ボーイに気付かれないように料理を廃棄した桐山が、
代わりにバッグの中から取り出してきた手作り弁当は、とてもうまかった。
「本当に専門家なんだな」
「ええ。専門家ですよ。世界で一番の」
家庭的なおかずが詰められた弁当からは想像もつかない彼女の活躍に、
僕は、素直に感心していた──この時までは。

883 名前:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 11:46:16 ID:y+UJCjSs
「それで──何を?」
「い、いえ……その……」

僕の正面に座ったコンパニオンを見据える桐山の目は、冷たい、を通り越して、怖い。
協議会が無事におわり、会食がはじまってから、この状態だった。
僕の隣に座ろうとした美人コンパニオンを突き飛ばすようにして席を取ってから、
二時間、おおよそ、物を食べるという雰囲気ではない。
「それで、ですな。ぜひ我が国との……」
「──そちらの女性は、どこを見ているのですか?」
「い、いえ、私は、な、何も……」
「嘘をおっしゃい。妙な目で──さんを見ているようですが」
「す、すみません」
「謝るということは、認めたということですね?」
「わ、我が国との……」
「少し黙っていただけますか、私、この方とお話をさせていただいていますの」
「いや、その……はい……」
協議会で、さかんに援助をアプローチしてきたなんとか局長氏は、
脂汗をかきながら引き下がった。
無理もない、僕だって逆の立場だったら、こんな雰囲気の接待はゴメンだ。
しかし、桐山のおかげで、変な方向に話を持ってかれなくて済む。
おびえた目のコンパニオンたちは、しきりに席をはずしたがり、ついには帰ってしまった。
「……」
「……」
双方、無言のまま軽食は終わり、結局僕らは何の言質も与えることなく
協議会を終わらせることが出来た。

884 名前:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 11:46:47 ID:y+UJCjSs
「ご自慢のハニートラップも、不発か。よかったよかった」
ホテルに帰ってくつろぎながら僕はつぶやいた。
桐山が調べなおした部屋からは盗聴器とビデオカメラがまた幾つか出てきたけど、
それも彼女が無力化したから、僕は気楽なものだ。
隣の部屋に下がった桐山からもらった薬を飲む。
さっきの会食で出された料理の中に変なクスリを仕込まれていても、
無害化できる解毒薬だそうだ。
桐山が調達してきた飲み物で飲み下してから、
これもやはり彼女が調達してきたサンドイッチに手を伸ばす。
「何から何まで完璧だな。さすが専門家」
帰ったら、なにか奢らなきゃな、とつぶやきながら、僕はソファに横になった。
「あれ?」
なんだか、頭がくらくらする。
何か、おかしい。
身体だけじゃない。
……目の前のソファの隙間に押し込んであるのは、盗聴器じゃないのか?
「しまった。連中、まだ諦めてないのか」
僕は、ふらつく頭を抑えながら、盗聴器を引きずり出し、桐山の部屋に向かった。

「気をつけろ。連中のトラップがまだ生きて……?!」
ドアを開けてくれた桐山の部屋になだれ込んで、僕は絶句した。
部屋の中央、テーブルの上にあるのは、小型の受信機とヘッドフォン。それに最新鋭のジャマー。
荒事に疎い僕も知っている──盗聴の道具だ。
「これ……は?」
「あ、大丈夫です。それ、私のつけたほうの盗聴器ですから」
「え?」
振り向いた僕の目に、はじめて見る女の人が入ってきた。
潤んだ目が焦点を失い妖しく輝き、唇には薄笑いが浮かぶ、怖い女の人。
これは──誰?
「き、きりやま……?」
思わず口からこぼれた誰何の声に対する返事は、
かちゃりという、音。
すでにオートロックで閉められているドアに、さらにチェーンロックを追加する、音。

885 名前:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 11:47:23 ID:y+UJCjSs
「――さん、やっと来てくれたんですね、私のもとに」
桐山──は、ゆらりと僕に近づいた。
「ちょ、まっ……何を言っている?」
向き直ろうとして、僕の足がもつれる。
なんだ、身体の自由が利かない。
クスリを盛られたのか──誰に?
「き、桐山、話は後だ。クスリを盛られた。解毒剤を──」
「え? 解毒剤ですか。持っていませんわ」
「そんな。君は専門家じゃ……」
くらくらする頭で、僕は抗議をした。
そうだ。
彼女はハニートラップ対策の専門家で、だから僕と組まされて……。
「ええ。専門家ですよ。あなたのストーキングの」
「……え?」
「知りませんでした? 私、ずっとあなたのことが好きだったんですよ」
予想もしなかった返事に、顔を上げる。
桐山──いや、僕が今、はじめて「出会った」女性は、
頬を赤く染めながら、スカートの中にさし入れていた手を引き出すところだった。
「ほら、盗聴器から聞こえるあなたの声を聞いているだけで、私こんなに……。
毎日、毎日。こうしてあなたの声を聞いて慰めていたんです」
「き、きり……」
「でも、ほんと、こっちのスパイさんたちってマヌケですよね。
盗聴器って、もっと丁寧に、もっといっぱい、もっと愛情をこめて仕掛けるものなんですよ。
私があなたの部屋に仕掛けている盗聴器とビデオカメラをみせてあげたいくらい。
あ、ソファの間にしかけたそれは、わざとです。見つかるように、しかけました」
「なんで……」
「だって、そうすれば、私を呼ぶか、私の部屋に来てくださるじゃないですか。今みたいに」
朦朧とする頭を振って立ち上がろうとする。
「あ、ダメですよ。さっきのサンドイッチとジュースに入れたお薬、強力なんです。
ルームサービスとか、会食の料理に入っていたお薬よりずっと。
大丈夫、一晩、私とすごせば、全部抜けますから」
にんまりと笑ってのしかかってくる怪物は──。

僕はもちろん、さっきのスパイどもにも手の負える相手じゃなかった。

886 名前:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 11:50:03 ID:y+UJCjSs
「……あの国が破産宣言したな」
「あれから色々と悪あがきをしたようですね」
「ローレベル協議で、何も確約をしなかったことが生きてきた。君のお手柄だな」
「……専門家のフォローがありましたからね」
倦怠感を覚えながら、僕は答えた。
上司は無表情のまま、辞令を渡してきた。
「君と、君のパートナーの対応力を買って、昇進だ。
今度はあの国の駐在大使になってもらおう。再建問題で忙しくなるぞ」
「これはまた、えらい出世ですね」
「これから、色々と物騒になる国だ。
駐在大使にハニートラップをしかけて色々と譲歩をせまるだろうし、
──あるいは、もっと単純な恫喝や拉致なども予想される」
「ひどい話ですね」
「もちろん、護衛はたっぷりとつけるさ。
だが、何より重要なのは、君には、二十四時間君を監視し、
フォローする人間がついているということだ。
しかも、どんなプロよりも熱心な専門家が、だ」
「……ベッドの中までね」
ため息をつきそうになって、あわててこらえる。
どうせ、今の会話も盗聴されてる。
桐山──いや、今は僕と同じ苗字になった女性に、だ。
「もし、あの国のエージェントが、拉致監禁したくても、
──すでに監禁されている男を拉致できるかね?」
「……たぶん、盗聴一つできないでしょうね」
「さらに言えば、君に近づく女性……それもおそらく訓練をつんだプロさえも
「なぜか」突然行方不明になるような完璧なガードを私有する男なら、なおさらね」
「……」
「君には、いや、君たちには期待しているよ。駐在大使どの」
上司は、最後ににやりと笑って手を振った。
協議会からの帰国後すぐにあげさせられた僕と桐山の結婚式で
仲人を務めたクソジジイの顔をひとにらみしてから僕は部屋を出た。
「昇進か。今夜はご馳走だといいな」
ふと、つぶやいてみる。
家に帰れば、多分、食卓には、僕の好物がずらりとならんでいるだろう。
何か、変なクスリとかが、たっぷりと入ったご馳走が。

──駐在先でのスパイや危険など、僕の日常に比べたら、空気みたいなものだ。

fin

887 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 11:57:16 ID:Vq1/fCEe
ゲーパロ専用氏キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

888 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:33:34 ID:4ulifI0Q
そろそろスレが埋まりそうですね。この投下がこのスレの最後か一個前くらいになるでしょうか。
では、ワイヤード第五話、始まります。

889 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:34:22 ID:4ulifI0Q
第五話『百歌・兆候』

帰ると八時前になっていた。千歳はふらふらになりながら扉を開ける。
「おかえりなさい、お兄ちゃん」
「ああ、ただいま」
いつも通り、エプロン姿の百歌が出迎える。家事をしている時はだいたいこのピンクのフリフリのエプロンだ。
もっと小さな頃に千歳が誕生日プレゼントで与えたもので、長年丁寧に使い続けている。
いい加減デザインが子供っぽいから違うのに変えたほうが良いんじゃないのかといったことがあるが、百歌はその提案を受け入れたことは無い。
「遅かったね、何かあったの?」
カバンを下ろし、上着を脱ぐと、百歌が心配そうに顔を覗き込んできた。
「いや、別に……先生に、頼まれごとをな」
「ふーん……ねぇ、なんか妙な匂いしない?」
「! ……そ、そうか? ちょっと身体動かしてたからかな……?」
「いや、この匂いは……」
百歌がさらに顔を近づけて匂いをかぐ。
「お、おい百歌! 今汗臭いからあんまりかがないでくれよ! ってか俺ワキガだから、やめとけ!」
「お兄ちゃんがワキガだった覚えはないんだけど……?」
「最近ちょっと体質が変わって……。さ、先に風呂入ってくる! わいてるよな!」
「お、お兄ちゃん! ……もう」
千歳はさっさと風呂場に走っていってしまった。
「今の匂い……」
残された百歌は念入りに吟味する。経験を想起し直し、分析をする。
「雌犬の匂い……発情気の……」
百歌の表情がみるみる変わっていく。包丁を取り出し、キッチンに置いてあった生肉に刺す。
もともと、兄が帰ってくるギリギリまで冷凍状態にして、その場で調理して温度と鮮度を保とうとしたもの。
すべて、兄のため。

890 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:34:56 ID:4ulifI0Q
ざくざくと、生肉に包丁が刺さっていく。刺して、引いて、何度も刺して、引いて。
「誰だ……お兄ちゃんに近寄る雌犬……あれは、ナギちゃんじゃない……別の……もっとおぞましく、しかし悪知恵の働く……獣」
ザクッ、ザクッ、ザクッ。生肉が少しずつ変形していく。
「誰だ、誰だ……私のお兄ちゃんに……マーキングをした……誰だ……」
気にはなるが、知らない人間について匂いだけで思案しても仕方が無い。
――今すべきことがあるだろう、鷹野百歌。
胸の奥から語りかける何かに従う。
風呂場に向かった。
――お兄ちゃんについた雌犬の痕を、この手で洗い流さないとね。


891 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:35:29 ID:4ulifI0Q
「ふぃー。今日はいろいろ疲れたー……」
百歌の暴走、イロリの帰還。そして――
「――委員長、いったいなんであんな」
思い返しても、ああいうことをするにいたる動機を類推できない。ナギを盗撮して千歳を脅すという発想に至った経緯も理解できない。
何が目的なのか、皆目検討もつかない。
「(まあ、あと十九回だ――逆に言えば、それがチャンス)」
あと十九回は絶対にああいう状況に陥る。それは逆に考えれば、直接対決してミクを出し抜き、逆転に至るチャンスが十九回保証されている。
今日大人しくされるがままでいたのも、ミクに対抗する手段をこちらも準備するための、いわば準備期間を得るため。
「(生半可な相手じゃねえ。……切り札ってのにも、警戒しなくちゃな)」
恐らくミクは情報で武装するタイプだ。なら、千歳やナギの過去をも知ってしまっている可能性がある。
それをばらされるのだけは避けなければ。ナギのために。そして、ナギを守るために生きる自分を守るために。
「(まずは、委員長の行動パターンや人物像を把握しないと見えてこないか。それと、どの程度の情報を握ってるかも――これは本人からしか得られないな)」
とんとん。
扉を小さく叩く音。
「ん、なんだ百歌?」
風呂場の扉の白い窓の向こうに、百歌のシルエットが覗く。
「石鹸は切れてないぞ」
「ううん、違うの、お兄ちゃん……」
「じゃあ、どうしたんだ?」
「……入るね」


892 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:36:08 ID:4ulifI0Q
「え……お、おい!」
問答無用とばかりに、百歌が風呂場に入ってきた。
千歳はとっさに両手で目を塞ぐ。
「おまっ、いきなりなんだよ!」
「大丈夫だよお兄ちゃん。水着着てるから」
「そ、そうか……」
手を降ろす。確かに、百歌は水着を着ていた。なぜかスクール水着だった。
生地が厚くて着にくいだろうに。いや、決してビキニを期待していたわけではない。
「久しぶりに、お兄ちゃんの背中流してあげようと思って」
「な、なんだ。そんなことか……なら、頼もうかな」
――そうだ、何をおそれることがある。相手は妹であって、委員長じゃないんだ。
千歳は自分にそう言い聞かせ、百歌に背中を預けた。
百歌は千歳の背中をゴシゴシと必死でこすり始めた。昔よりは力が上がっているが、やはりか弱い。
委員長とは違う。あんな細いからだで異常な力を出せる、あんな獣とは。
安心する。やはり、妹は唯一の家族であり、信頼できる存在のひとりだ。朝の暴走も、なんらかのストレスだろう。一過性のものだ。
百歌はおとなしく、優しく、兄思いのいい子に育ってくれた。兄として、こんなに嬉しいことは無い。
それに――百歌は兄としての色眼鏡を覗いても非常に可愛らしい姿だというのに、男に全く興味を示さないとも聞いている。男をいくらでも選べる立場なのに。
育ての親としては、複雑だがやはり今は喜ばしいことだった。父が娘の交際を快く思わない気持ちに似ている。――だが、いつかどこかに嫁に行く時は、やはりさびくても嬉しくなるものだろうか。
「ああ、俺、じじくせー!」
「え、どうしたのお兄ちゃん!?」


893 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:36:39 ID:4ulifI0Q
「いや、お前が将来どっかに嫁入りする時のことを考えたらな……淋しいけど嬉しいかなって」
「お兄ちゃん……! そんなのずっと先の話だし、それに私は結婚する気ないよ! こんなだらしないお兄ちゃんほっとけないもん!」
「いやいや、お前みたいないい子が俺にいつまでも束縛されてたらもったいないって。もっとお前を必要にする人がいる」
「……お兄ちゃん、私が必要じゃないの?」
百歌の顔が曇る。
千歳はそれを敏感に感じ取り、失言に気付いた。
「い、いやっ、そんな事はない。俺としては、百歌とできることなら一緒にはいたい。……できることなら」
「なら、できるよ」
百歌の顔がぱぁっと明るくなった。ひまわりみたいだ。そんな笑顔。
「だって、約束は心が生み出すから。だから、信じればかなうよ。それに――」
――家族だから、ね。
「……家族、か」
「そうだよ。たった一人の、家族なんだから。離れちゃだめだよ」
「そうだな。俺が悪かった」
「えへっ。もう良いよ。……で、お兄ちゃん。背中終わったよ」
「ああ、ご苦労だった」
「じゃあ、前向いて」
「は……?」
「は、じゃなくて。前向いて。前洗えないでしょう?」
「お前、さっき背中流すって……」
「百歌のこと、いらないの……?」
百歌は涙目になって首をかしげた。その破壊力に千歳の心は若干のけぞった。
いや、しかしこれは妹だ。委員長じゃない。やましいことじゃない。
それに、百歌を裏切るなんてできない。
「わかった……頼む」
意を決して前を向いた。


894 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:37:10 ID:4ulifI0Q
「うんっ、まかせて!」
百歌は前を洗い始める。首から始まり、腕、胸、腹と、少しずつ下がっていく。
そして……。
「おい、お前なに凝視してんだ」
「だって、今朝傷つけちゃったから心配で」
「そんな見るなって……」
股間のベストフレンドを凝視していた。興味心身だ。そういう年頃だから当たり前だろうが。
「ここも、あらってあげるね」
「却下却下却下!!!」
かたくなに拒否。見られただけでもダメージだというのに、触られたら……別の意味でまずい。
「えー……わかったよぅ。じゃあ、今度は……」
百歌はやっと兄の股間を諦め、今度は兄に背中を向けた。
「百歌の髪洗って」
「ああ、そういうことなら」
髪を洗うのはひさしぶりだ。昔は百歌の髪は非常に長く、毎日千歳が洗ってやらねばならなかったが、ある事件を境に短くした。今はセミロング。洗いやすい。
「ど、どうだ。久しぶりだからな。痛くないか?」
「うん。気持ち良いよ。お兄ちゃん♪」
百歌によれば、千歳は髪を洗うのが上手いらしい。自覚は無いし、そんなに普通と違うとも思えない。
――愛がこもってるんだよ。
そう百歌は説明したが、千歳はそこまで自分が愛に溢れた優しい人間だとは信じがたかった。


895 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:37:54 ID:4ulifI0Q
「……すぐ終わったな。やっぱ短いと楽らしい」
コンディショナーをかけ終え、水で洗い流した。さらさらとまとまった髪になる。小さな満足感を感じた。
「ありがとうお兄ちゃん。じゃあ、次は……」
おもむろに肩から水着を下ろし始める。
白い背中が千歳からバッチリ見える。今前から見れば、百歌の胸が丸見えだろう。
「お、おい……!」
「背中、お願い」
「あ……ああ……」
断ることはできない。
さっさと背中を洗う。流れ作業的に百歌の背中を洗う。それでも、白い肌を傷つけないように千歳の手は丁寧だった。
「じゃあ、次は……前で……」
百歌はゆっくりと姿勢を変え、剥き出しの胸を……胸を……こっちに突き出して……胸を……。
「俺ちょっとのぼせたわ! あとはゆっくり入ってろ、いいな!」
千歳はダッシュで風呂場を抜け出した。
「……惜しかった、かな?」
百歌は残念そうに、しかし幸せそうに頬を掻いた。


896 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/10/12(日) 13:38:28 ID:QDEHSDV4
そうか!外務省に入ればヤンデレ奥さんが手に入るのだな!

897 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:38:31 ID:4ulifI0Q
「ふぃー。成長した妹の無自覚な色気ってやつは、ゴッグでもどうにかなりそうな地獄だぜぃー」
千歳はロリコンではないし、ロリコンという名の紳士でもない。普通の男だ。
だが、成長し、ナギを大きく越してしまった百歌の胸を直視していたら――危なかったかもしれない。
ただでさえ股間のマグナムには大量の弾薬が詰まっているのだ。あのいまいましい変態委員長によって。
そのまま追い討ちをかけられれば、おっとせいさんは天を目指していたかもしれない。
身体を拭き、Tシャツと短パンを身につける。風呂上りはいつもこのスタイルだ。
そのままテレビを見ていると、遅れて百歌も風呂を上がり、パジャマ姿で千歳の前に現れた。
ピンクと白の水玉模様のパジャマ。百歌の愛用品だ。昔千歳が「似合うな」と一言いってからは、同じものを何着も買っていつもきていた。
「お兄ちゃん、すぐご飯作るね」
「ああ、頼むわ」
パジャマの上からエプロンをつけ、料理の仕上げに入る。百歌は下ごしらえなどは先に済ませるが、兄が食べるタイミングでしか料理を仕上げない。
温めなおすと、水分の量もうまみも落ちちゃうと百歌は言っていた。千歳には料理のことなど分からないが、確かに百歌の料理はいつも美味しかった。
「できたよー♪」
その声に誘われ、千歳はテーブルについた。
「いただきます」
「いただいてくださーい♪」
同時に手を合わせ、同時に言った。このあたり、兄妹っぽいシンクロである。
「ん、この肉柔らかいな。うまい」
「えへー♪ それ、念入りに繊維を切り離したんだー。それと、今日は隠し味も入れてあるからね」
「また面倒なことを……」
「大丈夫だよ。お兄ちゃんが喜んでくれるなら♪」
――雌犬なんて、何匹でも切り刻んでやるから。
千歳は見ていなかったが、このときの百歌の表情は憎しみに歪んでいた。


898 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:39:05 ID:4ulifI0Q
「あー、くったくった。くったら眠くなってきたな。早いけどもう寝るわ」
「運動したんでしょう? ゆっくり休んでね、お兄ちゃん」
「ああ、おやすみ」
「うん。おやすみなさい」
階段を上がり、自分の部屋に入る。
我ながら、殺風景な部屋だと思う。ゲームもマンガもない。健康な高校生なら持っているであろうエロ本もない。パソコンは一応あり、別にネタに困るわけではないが。
まあ、ゲームもマンガもエロ本もなんでも、ナギの部屋に行けば発掘できるからいいのだが。それに、千歳はめったに自慰行為をするタイプではない。
なぜか、『溜まってくる』という経験が全然無いのだ。原因は不明だが……。単に、性欲が薄いだけかもしれない。
今日はミクにされて溜まっていたが、手淫への意欲より睡眠への欲求が勝っている。わざわざミクのいいつけを破ってまで抜く必要は無い。
「あーつかれたー。……まじ、眠い。寝る……」
ベッドに倒れこみ、千歳は数秒で寝息を立て始めた。
それから少しして、扉が開く音がする。
「隠し味、効いちゃったね」
百歌の思い通り、千歳は安らかに眠っている。深い、深い、夢の中。もともと眠りの深い千歳だ、薬を盛ればなおさら起きない。
百歌はほくそ笑み、ベッドに倒れこむ千歳に近づく。
「睡眠薬と精力剤の味なんて、普通わかんないよね♪」
なんのためらいも無く、千歳の短パンを脱がした。
「……お兄ちゃん、ごめんね。今朝、ちょっと驚いちゃって」
傷つけてしまった千歳のモノを優しく撫でる。
「舌で、するね」
ぺろぺろと、子猫のように舐めあげる。びくんと千歳のモノが反応し、少しずつ硬さと大きさを増していく。
「わっ、いつもよりおっきい……。溜まってたんだね、お兄ちゃん」
すぐに最大に至った。平均より少し大きいであろうそれあは、天井を指して猛々しくそびえ立っていた。
「お兄ちゃんのが……んぅ」
こらえきれなくなり、兄の肉棒にむしゃぶりつく。


899 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:39:39 ID:4ulifI0Q
「んふっ……むぅ……くちゅ、くちゅ……」
興奮状態にある百歌には、もはやほとんど理性など無かった。
唾液を垂れ流し、実の兄の男根をこの上なく美味そうにしゃぶる。妹としての背徳など、頭のどこにも無かった。
「ふぅ……むっ……ふぁ……」
くちゃくちゃと、唾液をならしながら口の中で兄のモノを刺激していく。
そのうち、顔を上下させ始めた。リズミカルに口内に出し入れする。
「んっ、んっ……ぐちゅ、ぐちゅ……」
兄のほうからも分泌液が出始める。百歌は、これがたまらなく好きだった。
頭を上下させながら舌で器用に舐めとり、一滴たりとも逃がしはしない。
「ふぅぁ……お兄ちゃんの、ぴくぴくしてるぅ……そろそろ、でちゃうのかな?」
いつもより早い。やはり通常以上に溜まっているのだろうか。
「じゃあ、いつもよりサービスしちゃうね♪」
そう言うと、百歌は口内の、さらに奥に男根を突き入れた。
喉。
「うぐぅ……ふぐ……ぐっぅ……」
さらにスピードを上げ、喉で兄のモノを扱く。かなりなれているようだった。
――全ては、兄のためにみにつけた技術。
「ふぐぅ、ぐぅ、うううぅんぁ!!!」
そして、兄の絶頂を感じ取る。兄の男根が肥大し、喉の異物感が増した瞬間だ。
その瞬間を見切り、百歌は喉からモノを出し、唇で勢い良く吸い上げた。
どくっどくっ、どくっ。
濃い精液が噴出される。百歌はそれを全て吸い取り、口の中に収めた。
「ふぅ……お兄ちゃん、いっぱいだしたね」
まだ、飲み込んではいない。口の中で味を足しかめ、口内を兄の香りでいっぱいにする。


900 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:40:10 ID:4ulifI0Q
「美味しいよ、お兄ちゃん……。ごっくんするね」
こくんと喉をならし、ねばねばと喉に絡みつく粘性の液体を食道に流し込んだ。
喉に絡みつくその異物感すら、快感だった。
「はぁ、はぁ……お兄ちゃん、百歌ね、お兄ちゃんのおちんちんくわえて、せーえき飲んだらね……おかしくなっちゃうの」
自分の下半身に視線を落とす。パジャマの上からでも、股間の湿りは確認できた。
「今日も……お兄ちゃんの手、貸してね?」
そう言って千歳の手を掴むと、自らの秘所に導いた。
「……んぁ……お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
遠慮も何も無い。最初からぐちゃぐちゃと乱暴に手を動かす。服の上から刺激を加える。
兄の指で自らを慰める。なんとも豪華な自慰行為だ。いや、もはや百歌には自慰行為ではない。
「は、はげしいよぉ……お兄ちゃん……!」」
ぐちゃ、ぐちゃ、くちゅ、ぐちょ。激しい水音が部屋中に響く。その落とすら百歌の性感と興奮を加速させる。
「指、入れて……」
下着の中に兄の手を差し込み、指を自らの膣内に挿入した。
「ん、ああああ!!!」
指を入れるまではあまりしたことが無い。だいたいは兄の手でこすったり、兄の脚にこすりつけたりだからだ。
希少な快感にのけぞり、息が荒くなる。
「はっ、はっ、はぁっ……。んぅ……」
再び乱暴に動かし始める。


901 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:40:46 ID:4ulifI0Q
百歌は、兄の丁寧さが好きだった。兄が自分に対して常に優しい兄でいてくれることが嬉しかった。
だが、同時に逆を望んでもいた。優しい兄だからこそ、いつか強引に自分を求めて欲しい。
それは妄想に過ぎないが、その妄想が百歌にとっては最高の興奮剤であるのだ。
「ふぁ、あああぁ……あああん、ん、ああ、ふぁ……ふにゃ……」
肺から息が押し出される。
「イッっちゃう……イッちゃう……! お兄ちゃんの指で、イかされちゃうよぉ……!」
――百歌にとっては、これが現実。妄想などではない。未来などではない。夢などではない。これが現実だった。
「っああああああああぁん!!!」
びくっ、びくっ。百歌は上体を逸らして絶頂に至った。上半身が痙攣している。いや、全身が快感で麻痺していた。
秘所から、どろりと液体が流れ出る。
「はぁ……はぁ……」
百歌はそうやって流れ出た自らの愛液を指ですくい、兄の口に差し込む。
「はぁ、はぁ……交換だよ。お兄ちゃん。百歌の女の子汁、美味しい?」
兄は答えない。だが、百歌にとってはこれだけでも満足だった。
「お兄ちゃん……好きだよ。愛してる……」
そういって無邪気に微笑む百歌。迷いも後悔もない。さも当然のように千歳の唇を舐めた。
その後、迅速に後始末をして、百歌は部屋を出た。
「おやすみ、お兄ちゃん……」

そのころ、千歳は、夢を見ていた。

902 名前:ワイヤード 第五話  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:42:14 ID:4ulifI0Q
第五話終了です。
>>ゲーパロ氏
外務省に入りたくなりました。GJ! 超萌えます!

903 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 13:52:22 ID:oSufek0y
GJ

904 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 14:22:40 ID:n7sumb6h
ストーカーな桐山さんもエロい妹もどちらも素晴らしく可愛くてイイ!
495KBになったから次スレ立てられるかやってみる

905 名前:次スレ[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 14:27:28 ID:n7sumb6h
ヤンデレの小説を書こう!Part19
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1223789052/

906 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 14:43:00 ID:Hq98XotA
上手い書き手が投下したら感想たくさんつく前に投下とは腐ってるな

907 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 14:57:33 ID:rDiyXEb1
つられないくま

908 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 15:12:44 ID:xX0J6673
>>902
乙です
俺もあんたくらい早く上手く書けるようになりたいな・・・

909 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 15:45:06 ID:R/SSb4dP
>>886
今更ながらに外交官に転職したくなったじゃないか・・・

>>902
GJ
良いヤンデレに囲まれすぎ吹いたw

910 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 17:08:41 ID:kZ4iIJTh
作品投下直後に、間を開けずすぐ投下ってのは誉められた事じゃないな

911 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 17:18:48 ID:e/fNsqUK
u
















































me

912 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 17:29:45 ID:n7sumb6h
スレで作品が多くて悪いということはない
別に最新の作品にしか感想書いてはいけないということもない
両方の作品に感想を書くという選択肢は普通にある。
てかこのスレが勢いあった頃は二つどころか三連続以上投下が続くこともあったが別になんの問題もなかった。
ssを崇めるというスレでもないし
妙な因縁付けてるとしか思えないぞ

913 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/10/12(日) 17:43:06 ID:cr2eroyY
そもそも一時間四三分あいてるんだから、直後というわけでもなくないか?
実際みんな後から安価つけて感想書けてるわけだし。穿ちすぎだろう。
両方の作者に迷惑だから勝手な因縁はやめるべき。

914 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 17:57:57 ID:2f9cqGcz
ヤンデレ家族投下されてる時のがあれだろ
新しく投下来てもそっちを見事にスルーしてあからさまにヤンデレ家族にだけGJレスつけたりな


とりあえずゲーパロ氏>>902氏共にGJ

915 名前:896[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 18:07:59 ID:QDEHSDV4
>>902
投下中邪魔して申し訳ない。
書き込むときはリロード必須だよねー・・・
ほんとスマンコ

916 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 18:32:12 ID:qHt0Jst+
>>914
つまらないといって叩くよりスルーのほうがいいだろ

917 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 18:34:40 ID:muC9TzYz
毎度毎度のループだろ


918 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 19:02:18 ID:R/SSb4dP
何はともあれ全裸に正座で投下を待とう
ROM専の俺に出来ることといえばそれぐらいだ・・・

919 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 19:33:07 ID:n7sumb6h
こうして18スレと共に埋まったことにも気付かずに
>>918はいつまでも投下を待ち続けるのであった
埋め!

920 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 19:53:36 ID:AxNX2M5t
ワラタ。俺も全裸に懐中時計だけの正装で待つ。

921 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 20:34:31 ID:4ulifI0Q
紳士的な装いで大変結構だと思いますw

922 名前:奏でる旋律は哀しみの音 ◆KG67S9WNlw [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 20:53:01 ID:5QB8COJA
投下します。勢い80%です。
なので、あえてこちらに投下します。
前編、中編、後編となっています。

923 名前:奏でる旋律は哀しみの音 ◆KG67S9WNlw [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 20:53:52 ID:5QB8COJA
僕が音楽を始めたきっかけは、中学時代にとあるバンドとの衝撃的な出会いを果たしたことだった。
そのバンドは90年代でもっとも輝いたとされる有名なグループだった。友人から、余分にとったというチケットをもらい、彼らのライブに赴いた。
そこで初めて聞いた生の音に、力強いヴォーカルに僕は一瞬で魅了された。
それからは、必死に音楽を学んだ。が、当時金がなかった僕はギターなど買うことができず、軽音楽部ではヴォーカルに割り当てられたのもある意味必然だった。
結局、中学時代の僕のバンド活動は高校受験の前に日の目を見ることはなかった。しかし高校入学を果たしてからはひたすらバイトと部活に明け暮れた。
たびたび先輩にカラオケに連れていってもらったこともあった。その時歌ったのはもちろんあのバンドの曲。
先輩曰く、「カラオケの採点なんかあてになりゃしない。お前はいいものを持ってるから、自信を持て」だそうだ。

高校最後の文化祭でようやく僕たちは舞台に立った。コピーバンドとしての登場だったが、オリジナルもいくつか交えた。
観客の反応は僕の予想をはるかに上回り熱狂し、ホールは今までにない最高潮の盛り上がりをみせた。
あの時の感動が忘れられず、僕たちは同じ夢を追い続けてきた。


僕らは皆同じ大学に入り、同じようにバンドを続けていた。コピーバンドはとうに卒業し、オリジナルだけを手掛けた。
そんな中、大学最初の夏にとある無名のレコード会社と契約をした。それからはたびたびライブを行ってきた。
回数を重ねる度にファンも増えていき、初めての単独ライブのころには1万人もの観客を動員した。
その1ヶ月後には念願のメジャーデビューを果たし、シングルは初登場第1位に輝いた。

それから1年が経ったところからこの物語は始まる。
僕の名は、柏木 冬真。ロックバンド"fourth×force"通称「フォース」のヴォーカルだ。

924 名前:奏でる旋律は哀しみの音 前編 ◆KG67S9WNlw [sage] 投稿日:2008/10/12(日) 20:54:34 ID:5QB8COJA
最近僕はあることに悩まされていた。それは、一部の狂信的なファンのことだ。
デビューしてから、ファンレターの量はは何倍にも増えた。量だけじゃなく、質も重く、苦しいものが多々見られるようになった。

マネージャー兼ファーストギター担当で4人の中で紅一点の赤城 羅刹によると、髪の毛入りの手紙やら怪しさ満点の手作り菓子、果ては小瓶いっぱいにつまった
…な液体と、とても僕には理解できない物ばかりだそうた。そういったものはマネージャーである羅刹が処分しているので実際にお目にかかったことはあまりないが…。

「ほんっと、どうかしてるわ。いつもいつも懲りずにこんなもん送ってきて…そう思わない?冬真。」
「…そうだね、羅刹。応援してくれるのは嬉しいけど、さすがにこれはちょっと…」
「ええ。それにしても、あんたって本当にもてるわね…。ファンレターの半分以上が冬真宛てよ?
まあ、冬真は歌うまいし、かっこいいし。なんとなくわかる気もするわ…。」
「おだてたって何も出ないよ、羅刹。」

羅刹とは、中学の時以来の付き合いだ。僕が軽音部に入部したのと同時期に入ってきた子だ。
当時から何度かふたりで話をしたことがあった。彼女もまた、あのバンドのファンだというのだ。
お互いよく気が合い、息も合い、辛いときも支えあった。僕の歌…いや、夢は彼女に支えてもらったと言っても過言ではないくらいだ。
言っておくが、羅刹は恋人とかそういうんじゃない。一応フォースはグループ内の恋愛は禁止となっている。
まあ、ドラム担当のノリトもベーシストのソウジも外に恋人を作ってるからもしそうだとしても問題はないのだが…ちなみにこの事は超企業秘密だ。

「ところで冬真、クリスマスのライブだけどプログラムどうするの?」
「うーん…やっぱノリトたちと相談しないとな…ん?」

ふと僕は、テレビのニュースに気をとられてしまった。
内容は、最近多発している連続殺人。
その事件は半年前から起きている。ターゲットはみな女性だ。そして、もうひとつ共通項があった。
それは、被害者はみんなフォースのファンだということ。これに気付いているのは僕らと、おそらくファン達の同盟だけだろう。
なぜ気付いたかというと、彼女たちはいつも最前列を競っている常連だからだ。だから必然的に顔も覚える。
ニュースは、8人目の被害者が出た事を告げていた。被害者は全員、左耳から右耳に向けて鋭利な刃物で貫かれて殺されていた。今回も同じ手口だそうだ。