401 名前:天使のような悪魔たち 第5話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/10/27(月) 13:20:52 ID:m4u6lA7+
翌朝、俺は拘束しっぱなしだった結意を迎えに行っていた。
明日香はまだ部屋から出てこない。俺に拒絶されたことでかなりのダメージを負っていたようだ。
…正直、とても心配だ。できるならそばについていてやりたい。だけど俺がそばにいたって傷は癒えないだろう。むしろ抉るようなものだ。


「ねぇ飛鳥くん、ごほうびは?」
「…今やるよ。」

こういうときでも結意は結意のままだ。逆に救われるよ。…事情を知らないから当然だけどな。
とりあえず、結意に"ごほうび"をあげた。といってもただのキスだけど。

「ん…飛鳥くん、もっとぉ…」
「悪いが今日はここまでだ。」
「えぇっ…そんなぁ…」
「俺の身にもなってくれよ。これ以上シたら使い物にならなくなる。」

昨日から立て続けに抜かれたからなあ…本気で辛いんだ。わかるだろう?なんつうか…そういうときに勃つと痛い。

「そう。飛鳥くん、そうなんだ。」
「わかってくれたか?」
「うん…昨日は使い物にならなくなるほど他の女としたんだ…。」
「っ!?」
「いったでしょ?飛鳥くんの事ならなんでもわかるって。相手は…あの生意気な妹ちゃん?」
「ち…ちが…」
「今日はもういいよ。使い物になんなくなったら困るから。だから、明日は…ね?」

相変わらずのエンジェルスマイルでなにやら恐ろしいことを言う結意。こいつと付き合うにはそれ相応の覚悟が必要そうだな…と、今になってそれを実感した。

402 名前:天使のような悪魔たち 第5話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/10/27(月) 13:21:57 ID:m4u6lA7+
朝のホームルームを終えた俺は、隼と屋上に来ていた。
一時間目は数学。聞いてて眠くなるようなこの授業をサボるのはもはや日課だった。同じ眠るならうるさい教師がいないほうがいい。

「で飛鳥ちゃん!昨日はあのあとどうしちゃったのかなー?」
「…なあ隼。遺書の書き方、知ってるか?」
「―――飛鳥ちゃん!?早まるなよ!?」
「いや、書くのはお前だ。」
「って俺かよ!勝手に死なすな!…で?」
「なんだ。手短に済ませ。ただし昨日のことは訊くな。」
「じゃあ単刀直入に…」

一拍置いて隼は切り出した。

「飛鳥ちゃん…結意ちゃんとデキたな?」
「…ああ。」

反論はしない。朝学校に一緒に来た時点で俺たちを知る大勢はそう思った筈だからな…今更無駄な抵抗、だ。

「そーかそーか。これで俺の努力も…」

ん?何か今、聞き捨てならない言葉を聞いたような……
それをいった本人はなにやらばつの悪そうな顔をして、こう続けた。

「…いや、何でもないよ?」
「隼。今度は俺が詳しく話を聞こうか…。」
「まてっ!俺が何をした!?」
「それを今から訊くんじゃないか…ふふ、はははははっ!」
「ひぃぃぃぃっ!?」

―――なんてこった。隼の野郎…結意と裏でグルになってやがった。俺の趣味やら食べ物の好みやらその他色々全部結意にリークしていたんだ。
問題は……なぜこんな真似をしたか、だ。

「さあ隼…なんでこんなことしたか言ってもらおうか。」
「…わぁったよ。でも、結意ちゃんに言うなよ?」
「わかってる。」

俺の返事を聞いた隼はとうとう諦めたような顔をし、語り始めた。


403 名前:天使のような悪魔たち 第5話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/10/27(月) 13:22:42 ID:m4u6lA7+
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


今から2ヶ月…いや、もうちょい前かな。結意ちゃんを見かけたのは。
結意ちゃん、泣いてたんだよ。空の弁当箱を持って。それこそ、今にも死んでしまいそうなくらい絶望し
ていた…そう見えた。気になったから、俺は次の日朝早く来て様子を見てたんだ。そうしたら…

「えへへ…今日は肉団子と卵焼きとね、うさちゃんりんごも入れてみたんだ。たくさん食べてね?」

そう言いながら、飛鳥ちゃんの下駄箱に弁当箱を入れてたんだ。
それだけでもうわかったよ、前日の涙のわけを。

それから一時間後くらいかな、飛鳥ちゃんはいつものように登校し、いつものように下駄箱を開け…もうわかるだろ?

「飛鳥くん、肉団子きらいだったの?ごめんね…気づかなくて……ごめん…ね…」

結意ちゃんはただ泣いていたよ。飛鳥ちゃんを恨むでもなく、ただひたすら自分を責めてた。
普通に考えたら、結意ちゃんの行動はあまりに的外れだよな。でも、俺は知ってたからさ。そうまでして好きな人に尽くしたいっていう気持ちを。たとえ何度踏みにじられよ
うと、な。

だから俺は結意ちゃんに協力したんだ。飛鳥ちゃんの情報を教えたりしてな。…弁当はやめとけって言ったんだけど、

「飛鳥くんにどうしても食べてほしいの。」

と言って聞かなかったよ。そして毎日、あまりにきれいすぎる弁当箱を抱えて泣いてた。さすがに我慢できなくてな、明くる日ついに切り出したんだ。

「なあ…あいつの友人である俺がこんなこと言うのもなんなんだけどよ…もうやめたらどうだ?」
「…なにいってるの、隼くん?」
「もう見てらんないんだよ。そうやっていつまでも裏切られて、それでも尽くして尽くして…結意ちゃん、あんなやつのどこがいいんだよ?」

そうしたら結意ちゃん、なんて言ったと思う?

「飛鳥くんはね…私のすべてなの。飛鳥くんになら何度踏みにじられても、たとえ乱暴に犯されても、たとえ殺されたとしても…私はそれで幸せ。だからいっぱい尽くすの。

そしたらいつか、私の方を見てくれるよね?そして、ありったけの汚い言葉で罵ってくれるのを待ってるの。本当に、それだけでいいの…。」

そう、笑って言ったんだ。目にはたっぷり涙を溜めてな……。ほんと、見てらんなかった。だから言ったんだ。
俺がなんとかしてやるって。

それがついこないだ。飛鳥ちゃんのゲイ発言の少し前くらいかな。


404 名前:天使のような悪魔たち 第5話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/10/27(月) 13:24:17 ID:m4u6lA7+
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

そこまで話して隼は一息ついた。
…何も言い返せなかった。結意を諦めさせるために今まで俺がしてきたことがどれほど残酷だったかを思い知らされたからだ。

「察しの通り、昨日のアレは俺のアイデアだ。飛鳥ちゃんは昔から鬼ごっこのときも隠れるくせがあったからね。」
「隼…。」
「おっと…俺を殴りたきゃ好きにしろ。だけど…わかってるだろうな?飛鳥ちゃんが今までしてきたことを……それでもあの子は飛鳥ちゃんを慕ってるんだ。…もう結意ちゃんを傷つけるなよ?」

わかってる。俺は結意を選んだんだ。だったらそれは当然のことだ。

「…その時は、俺を殺せばいいさ。」
「…しっかり頼むぜ、俺のぶんまで。」

それだけ言い終えて隼は屋上を去った。……あいつはほんと、昔からいいやつだよ。

放課後、俺と結意は一緒に歩いていた。それだけでも結意は本当に幸せそうだった。俺と今こうしていられることがそんなに嬉しいのか…。
正直なところ、未だにわからないんだ。どうして結意はこんな俺を好きなんだ?

でも、とりあえずひとつだけ決めたことがある。

「なあ…明日さ、弁当作ってくれないか?」

今度は、俺が結意に応える番だ。

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

夜の帳が落ち、星が見え始めたころ、少女はようやくこの街に降り立った。

「やっとみつけた。アスカ、待っててね?今すぐ行くから。」

再び歩みを進める。もう追っ手を恐れる必要はなかった。やつらはこの街では問題を起こしたがらない。それに、行く先もおそらくわかってるはず。
たぶん、隠密に先回りしてる。それでも行かなきゃいけない。虎穴に入らずんばなんとやら、だ。

「待っててね…お姉ちゃん、もうすぐ帰るから、ね?」

少女の名は、亜朱架といった。

405 名前:天使のような悪魔たち 第5話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/10/27(月) 13:25:18 ID:m4u6lA7+
終了です。

406 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/27(月) 15:29:17 ID:acnBg5GE
GJ!!
ククク、面白くなって来たじゃないか・・・。

407 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/27(月) 15:32:26 ID:oIHvn4cg
ポケモン黒まだー?

408 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/27(月) 17:30:06 ID:mC+1Tb6N
GJ

409 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/27(月) 22:07:23 ID:hX51jk+G
ポケモン黒は11月までお預けかのう
早く草香さんの蔓でゴールドを・・・

410 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/27(月) 22:09:44 ID:R7Z9QTuB
>>409
気持ちはわかるが作者さんの気を急かす書き込みは自重しようや

411 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/27(月) 23:36:44 ID:guXcT6hM
>>405乙、おらぁワクワクしてきたぞ。特に最後のセリフ

412 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/10/27(月) 23:56:43 ID:hdpC8mI/
GJ!!
え?お姉ちゃんって・・・今後の展開にwktk

413 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 01:06:50 ID:gph/h7Wi
やべえ続きが気になってしょうがないw

414 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 02:02:08 ID:pr05ysaE
短編が読みたい…


415 名前: ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:39:07 ID:gifGW32h
>>405 三人目の『アスカ』の登場など、いろいろと加速してきましたね。
期待度高まってきました。GJ!

投下します。こちらもひと段落……(?) とにかくキャラの顔みせは大体終了です。

416 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:39:49 ID:gifGW32h
第十三話『ネクストステージ・始動』

道場の中心で向かい合う千歳と理科子。二人の周囲には誰にも踏み込ませないほどの強力な闘気の壁がある。
見物に回ったイロリと、隣に座るここあももはや言葉を発することができず、ただ見ているのみ。
もはや、この勝負は向かい合った時点から始まっていた。
「(すごい……これがちーちゃんの『清水拳』)」
理科子の微妙な視線の変化と、脚の筋肉の収縮。次の動きへの予備動作。千歳はその全てを見切り、微細な牽制を繰り返していた。
おそらく、かなり修業をつんだものか、感覚の鋭いものにしか見えないであろう、その牽制。
この場では、イロリと、この道場でもトップクラスの実力を持つ数人の門下生達――ここあを含む――にしか気づけなかっただろう。
「(完全にりっちゃんの動きを『殺している』)」
攻めを重視している『炎雷拳』の理科子が攻められない。この時点で理科子は有利な点を全て剥奪されたようなものだ。
膠着状態。
このままにらみ合っていては互いに攻められない。
「(ちーちゃん……どう攻める?)」
と、千歳は急に一歩前に進んだ。
「……!」
理科子が一歩下がる。
牽制から急激に前進に転換した千歳の攻めに動揺したのだ。これがただのハッタリであり、『ただ一歩歩いただけ』だというのにも気付かない。
いや、気付いた時にはもう遅い。
「隙ありだ」
千歳の二歩目はさらに加速していた。理科子はさらに後退する。
戦闘において、近距離での逃げは自殺行為。相手から距離を取れるように見えて、それは防御としての役割を果たしていない。
重心がどうしてもぶれるために相手の攻撃を耐えられなくなるし、そもそも隙ができて絶好の攻めどころを相手に与えている。
千歳はそれを逃がさず、縮地法で間合いを詰め、拳撃を腹部に叩き込む。
上半身を逸らしても避けることはできない。動くなら、左右。
千歳の拳は右から繰り出されている。ならば逃げる時、理科子も自らの右側に動くのが最善だろう。


417 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:40:21 ID:gifGW32h
「ところがぎっちょん!」
理科子はその読みを無視して、『前進』した。拳を跳ね除けながら、千歳の突き出した腕の内側。懐にまで身体を小さくして飛び込む。
この場所には攻撃はできない。少なくともとっさには。自分に近すぎると、攻撃に勢いがつかない。
しかし、この距離では理科子もたいした威力の攻撃はできない。少なくともイロリの常識ではそうだった。
理科子の炎雷拳の攻めは、それすら可能にする。
「っふぁ!!」
呼気を入れながらの突き。予備動作は殆ど無い。腕を伸ばしきってもいなければ殆ど引いてもいないショートパンチ。
「がっ……!?」
千歳は腹部にそれをまともにうけ、後ろに大きく後ずさる。
――後退した!
ここぞとばかりに理科子が大技の構えを取り、無防備な千歳に飛び込む。
「蒼天院炎雷拳奥義! 石火煉空迅拳!」
空気を切り裂きながらの超高速の突き。『拳が直接当たる前に衝撃波が相手に当たる拳』。
その衝撃が千歳を襲う。
「(――決まった!)」
「……あめぇな、理科子」
両腕を身体の前に円状に回した千歳。驚くべきことに、その円状の動きに衝撃波がかき消された。
「(けど、この技は二段構え……こっちが本命の拳!)」
直接千歳を殴りに行く。
その瞬間、理科子は確かに見た。
超高速の闘いの中だったが、確かに見えた。
千歳が、ふっと優しげに笑みを浮かべたのだ。

418 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:40:52 ID:gifGW32h
――お前の拳は優しすぎる。
そう言っているかのように、優しく相手を見守る目。
理科子は、一瞬その目に目を奪われていた。
「蒼天院清水拳奥義……。金剛柳湖陣」
はっとした頃にはもう遅かった。千歳の奥義は既に理科子を捉えていた。
理科子の渾身の攻撃は千歳の手のひらに止められ、完全に衝撃を吸収されていた。
「(まずい……!)」
「破っ!」
吸収し、倍化し、逆流させる。それが蒼天院清水拳。
静かなる水の力。水面に撃った銃弾がひしゃげるように、水はときに相手の衝撃を全て跳ね返すダイヤモンドとなる。
理科子の拳の力が全て理科子自身に跳ね返り、理科子の身体を道場の端の壁にまで吹き飛ばした。
「うあっ!」
どしんと派手に壁に背中を叩きつけられ、理科子はうめいた。
「っつ~……千歳め、本気だすこと無いじゃん」
理科子では千歳に勝てない。それは理科子自身が一番良く分かっていた。
武道家としての実力は大体同じだが、相性が絶望的に悪い。というより、千歳の清水拳は流派自体がほとんど最強なのだ。
攻撃系の型の拳法でそもそも勝てる相手じゃない。
「ま、こんなもんか。今日はこれで終了ってことで」
千歳が背を向けた。
理科子が呼び止める。
「ま、待ってよ千歳! あたしはまだ……」
「無理だな。ゆっくり風呂入ってマッサージやらストレッチをしろ。でないと明日たぶん立ち上がれなくなる」
「……わかったよ」
もともと常人では耐えることのできない威力である炎雷拳のダメージをその身に受けたのだ。
いかにタフさのある理科子でも、これ以上の無茶はできない。
この勝負は千歳の勝利だった。


419 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:41:22 ID:gifGW32h
「んじゃ、これお礼のアンパン」
「まいどあり。じゃあ、身体に気を付けろよー」
「言われなくても!」
つんとした態度で、理科子が扉を閉めた。何をそんなに怒っているのか。千歳には分からなかった。
門下生達もぞろぞろと各々の家への道を歩き始める。千歳とイロリもそれに交じって帰路を進む。
「じゃあちとせおにーちゃん、イロリおねーちゃん、ばいばいきーん!」
無意味にハイテンションなここあと大げさに手を振って別れたときには、イロリと千歳の二人きりだった。
「ねぇ、ちーちゃん」
「ん?」
「りっちゃんとずっと修業してたの?」
「まあ、そうだな。最近はサボってるけど。あいつメール癖悪いんだよ。やたらとメールしてくるから、定期的にいってやらないとキレて大変なことになる」
「そうなんだ……ねえ、りっちゃんって、ちーちゃんのこと好きなのかな?」
「はぁ? 何年も一緒の道場だが、そんな素振りは見せたことが無い! 断じてないな!」
「そうかなぁ……?」
「そうだっての」
千歳はむすっとして早足になり、理科子からもらったアンパンの袋を指の上でくるくると回す。
「そういえば、ちーちゃんって、昔からアンパン好きだったね」
「ああ、そうだな。母さんの好物だったからかもな。それに、理科子のつくるアンパン、美味いんだよ」
「そうだ! ちーちゃんのご両親に挨拶まだだったね、おじさまとおばさま、元気にしてる……?」
「……」
千歳は答えない。


420 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:41:52 ID:gifGW32h
「もしかして……」
「死んだよ。母さんはな」
「! ……ごめん、なさい」
「あっ、いや、気にすんな! 悪かったよ。ちょっとシリアスすぎた。お前が悪いことなんてないから!」
「……ちーちゃん、優しすぎだよ」
「そうでもないっての」
「……おじさまは?」
「……元気だ。と、思う」
「思う?」
「……。単身赴任ってやつ」
「そう、なんだ……」
たぶん、もっと違う。何かがあった。
イロリは敏感にそれを感じ取ったが、聞くことはできない。
千歳が傷付いてしまうかと思った。
たぶん、聞けば千歳は答えてくれるだろう。しかし、それに甘えてしまっては、いけないとイロリは思った。
――愛してるから、近づけない。
イロリは千歳を何よりも大切にしている。だからこそ、知らないままがいいことを知った。
「(でも、そんなの悲しいな……)」
――でも、いつか。
「いつか、さ」
千歳が小さく呟いた。聞き取れるか聞き取れないかの瀬戸際の声。
たぶん、聞こえるようには言っていない。独り言。
しかし、イロリには聞こえた。
千歳の声がなによりも大切な、今のイロリには、はっきりと聞こえたのだ。
「いつか、お前とも親父とも、百歌とも……××とも、一緒に笑って過ごせる日が来るかもな。楽しかった、あの頃みたいに」
一部は、千歳がわざと濁していったようで、全く言葉になっていなかった。
しかし、意味はイロリにもわかった。


421 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:42:23 ID:gifGW32h
――何かが、あった。
千歳の未来を奪ってしまうなにか。イロリがいなくなってから、確実に何かが変わった。
ナギの言うとおりだ。
変わらないものなんてない。
変わってしまうのが自然で。
今の千歳だって、イロリの好きだった、あの頃の記憶の千歳とは違う。別の存在なんだって。
「(でも……)」
しかし、イロリは諦めることをしないと誓った。
前に進む。それしかできない。
「でも、私は、ちーちゃんのこと好きだから」
「……お前」
「きっと、また幸せになれる。そんな未来が来るから。だから、三つ目の約束、しよう」
イロリは手を差し出し、小指を上げた。
千歳は黙って自らの小指を絡める。
「三つ目の約束。『私は、何があってもちーちゃんを好きでいる。裏切らない。一緒に、幸せな未来を目指す』」
「……その約束、俺の役割がないぞ」
「ちーちゃんの約束は、ちーちゃんが決めて」
真っ直ぐな瞳で千歳を見るイロリ。
それを見ていると、千歳にもまた、過去を打ち破る活力が出てくるかもしれないと感じられた。
そう感じさせる。やはり、イロリというやつは不思議だ。
昔から、そうだった。


422 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:42:54 ID:gifGW32h
「そうだな。俺の約束は……すまん、思いつかない」
「な、なにそれー! 台無しだよー!」
「いや、こういうとき格好いい演説ができたら俺も良い男なんだろうがな……なかなか難しいもんだ」
「ちーちゃんは既にスペース級の良い男だけど、そりゃないよー!」
「わかったわかった。じゃあ今の約束は、『絶対に次の約束を交わす。それまでお前との縁を切らない』だ」
「えー……ずるいよぅ」
「悪いとは思ってるけど、お前みたいに頭の回転は速くないんだ」
「ちーちゃんに褒められた……。うれしい! ……じゃなくて! ……でも、これは逆に言えばチャンス?」
「どうしてだ?」
「次の約束が『無ければ』、つまり私達の縁は一生続くんだよね」
「ああ、まあ、条件はそんな感じだな」
「縁があるなら、私の努力でちーちゃんに愛されるようになるチャンスがいっぱいある!」
「……そうだな」
千歳が苦笑する。イロリは何か言いたげにしていたが、このとき二人の帰路の分岐点に立った。
「じゃあ、今日は付き合ってくれてありがとな、イロリ」
「そんな、付き合うだなんて……ぽっ」
「馬鹿! ……ま、怪我しないように気をつけてさっさと帰れよな」
「うん。ちーちゃんも気をつけてね。明日、学校でまたね!」
「ああ、また明日」
イロリは手を振ってから背を向け、とてとてと家に走っていった。
「また急いで……こけんなよ」
背中を見送りながら、千歳はふと昔イロリに抱いていた心配事を今更思い出した。
さて、千歳は家に向かって歩く。
ふと、途中にあった公園を見た。
意識的にではない。適当に視線を移していたらたまたまうつっただけだ。
「なんだあれ……?」
人のような、ゴミのような何かが倒れていた。


423 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:44:06 ID:gifGW32h
案の定人間だった。気絶しているだけのようで、命に別状は無い。
ベンチに寝かせて介抱しているが、この浮浪者(仮)は、わりといい服を来た外国人だった。
十字架をあしらったそのマントなどからして、聖職者なのだろうか。千歳はその辺り、よく知らない。
寝顔を観察する。
金髪に白い肌。整った顔の美少女だった。年齢は同じくらいに見える。
「ん……?」
と、金髪の少女は目を覚ました。
「起きたか」
「あなたは……?」
「通りすがりの人。あんたが倒れてたから介抱してた」
「そうか。かたじけない」
難しい日本語も普通に放している。発音も完璧だ。日本に長くいるのだろうか。
「どうして倒れてたんだ……? 病院に連れて行ったほうが良いか?」
「いや、かまわない。腹が減っていただけだ」
「そりゃまたどうして」
「無一文だからだ」
えっへんと、少女は腕を組み、胸を張った。
そんな誇らしげに言うことじゃないだろうと、千歳は内心あきれる。


424 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:44:37 ID:gifGW32h
ぐきゅるるるるるるるるる。
凄まじい音に、千歳の思考は吹っ飛んだ。
「なっ……?」
見ると、少女が目を輝かせてアンパンの袋を凝視していた。
指をくわえて、ヨダレを垂らしている。ばっちい。
おそらく、腹の虫も、金髪の少女のものだ。相当腹が減っていたのだろう。
「……」
突如アンパンの袋を上に上げる。ささっと追随して、少女もアンパンを見た。
さらに右に移動させる。つられてアンパンを見る少女。
「……欲しいのか?」
こくっこくっ。少女はさらに目を輝かせながら頷いた。
「やらねーぞ。飯ならいくらでも奢ってやるが、これは俺の大好物で……」
きらきらと輝く眼は、そんな言葉もまったく跳ね返してアンパンを見る。
ただひたすらに、輝く純粋な瞳がアンパンを向いていた。
「……ちくしょー」


425 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:45:07 ID:gifGW32h
「♪」
もふもふとアンパンをかじる少女。ベンチに座って脚をぶらぶらさせて上機嫌だ。
結局、アンパンをあげてしまった。特大サイズの理科子特別製『リカコスペシャル』だというのに。
千歳はそれがたまらなく好きで好きでしかたがないというのに。
月数回の楽しみだというのに。
涙をのんで、隣の少女を恨めしく見つめる。
「うん、うまいぞ! こんなもの初めて食った!」
「ああ当たり前だよ。アンパンはうまいんだよ! 人間なら誰だって知ってる!」
「そうか……ならば私はここで初めて人間になれたというのか……!」
少女は素直に驚愕した。
ずいぶんと単純……失礼、天然ボケのようだ。
「あなたはいい人だ。私はこの国でクラゲのようにくだらない人間ばかりを見てきたが、あなたは違う!」
金髪の少女は屈託のない笑顔を千歳に向けた。
「ありがとう!」
――ああ。
千歳は思考を百八十度転換した。
――この言葉が聞けただけでも、アンパンの価値はあったかもな。
だれかに感謝されるというのは気持ちのいいものだ。それは誰だって知ってる。
千歳もそれが好きだ。だから、この言葉さえあれば、大抵のものは失ってかまわない。
「じゃあ、もう行くぞ。さっさと食うあてを探すんだな」
もう満足だと、千歳は立ち去ろうとする。
「アリエスだ」
「え……」
「私の名だ。この街にいるのだから、縁もおそらくあるだろう。私はアリエス。あなたは?」
「俺は……千歳。鷹野千歳」
「千歳殿、か。いい名だ。また会えることを祈ろう」


426 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:45:38 ID:gifGW32h
「(今日もいろいろあったが、まあいい一日だったかもな)」
人助けもけっこうできたし、イロリとまた仲良くなれた。イロリと理科子を再会させることもできた。
「(このまま、みんなで幸せになれればいいんだけどな)」
イロリも、家族も、委員長も、彦馬も……そして、ナギも。あのアリエスという少女を加えてもいい。
千歳の目の届かないところでもいい。あかの他人でもいい。
幸せになって欲しかった。
笑っていて欲しかった。
生きていることに感謝して欲しかった。
隣にある幸せに、気付いて欲しかった。
「……あの人も」
京都にいるであろう、『あの人』を思い出す。

♪~愛が愛を 重すぎるって理解を拒み 憎しみに 変わってく前に~♪

携帯が鳴った。
「ん、理科子か?」
家族と理科子と彦馬以外、アドレスは知らないはず。
ナギはメールそのものを使用しないため、知っていても使わない。
「差出人……!?」
――『鷹野 万里(たかの まり)』。
「そんな……万里……姉……」


427 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:46:08 ID:gifGW32h
一体なんの用だ。
あけるのが怖かった。
しかし、見なければならない。
イロリに、自分の過去と向き合う勇気をもらった。
だから、逃げてはいけない。
よし、あけよう。決心した。
「……ん?」
そのとき、千歳は画面に何か光るものを見つけた。
「(何だ……これは、画面の中のもんじゃない……画面の表面に反射して……)」
――矢!?
「うぉ!!」
とっさに身体を最大限ひねった。さっきまで千歳の頭部があった場所を拘束の『矢』が通過し、そのまま携帯電話に当たる。
矢が携帯を貫通し、それごと地面に突き刺さる。アスファルトに突き刺さるほどの、スピードと威力。そして精度。
「(なんだ、一体これは……ボウガンか!?)」
この際、何が起こっているのだとか、命を狙われているのかとか、誰が狙ってきているかとかは関係ない。
自分の身を守ることを最優先に。今は防御に専念すると決めた。


428 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 15:48:16 ID:gifGW32h
「……やるね」
メア・N・アーデルハイドは、目標の予想外の反応速度に感嘆した。
「ボクの第一射をかわすなんて」
手にもっているのは、大型の弓。西洋で使われていた大型の物。
メアが持っていた『骨董品』であるが、その力は『オーバーテクノロジー』。失われた技術の結晶。
名を『アルバレスト』。石でできた、メアのような中学生の少女には到底扱えない代物である。
しかし、メアはこれを軽々と使用していた。信じ難い筋力だった。
なぜボウガンではなくわざわざこんなにとりまわしの悪い弓を使うのか。その答えは簡単だ。
「目標まで3キロメートル。……狙い打つ」
アルバレストの射程は通常の弓やボウガン、いや、拳銃などとは訳が違う。
使う人間にもよるが、最大射程は5キロメートルあり、現在のメアの力でも3キロまでは米粒に命中させるほどの精度をだせた。
さらに、メアはスコープなど使っていない。
目視である。
その視力と腕力と集中力は、もはや通常の人間のそれを遥かに上回っていた。
「……覚悟しろ、鷹野千歳」
人知れず目覚めた狩人は、今まさに、猛獣達の王に挑もうとしていたのだった。
――百歌のために……ボクは、お前を倒す。

そして戦いは始まった。

429 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 16:01:26 ID:rSrP051k
支援?

430 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 16:05:54 ID:gifGW32h
あ、一応十三話は終了です。
これで第一章は終わりって感じですね。
こっからはおまけ。キャラ紹介に入ります。

431 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 16:28:17 ID:gifGW32h
注:このSSのヒロインは「全員ヤンデレ」です。今は違えど将来的には絶対に変質します。

レギュラーヒロインズ

西又 囲炉裏(にしまた イロリ)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1067.jpg
:千歳にはじめて出来た友達であり、幼稚園時代の大親友。ある時、イロリの家の都合(詳細不明)でイロリが京都へ行ってしまったため、離れ離れになるが、イロリは千歳を思い続け、ついに帰ってきてしまったところからワイヤード本編が始まる。
一応はメインヒロインであるが、未だヤンデレの片鱗を見せてはいない。しかし初登場時の口調や性格、行動などを見たナギが「吐き気がする邪悪だ」と認識した事実があり、その根本には何か怪物が潜んでいるのではないかという疑いもある。
どうにしろ今のところは千歳への強い愛を原動力に動く純粋な少女であり、安全株と言える。知識が時代錯誤なところがある。

野々村 ナギ(ののむら ナギ)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1069.jpg
:小学二年生のときに千歳とであったとき、互いに運命を感じたというほどの存在。
現在の千歳からの高感度が最も高い人間であるが、千歳もナギも互いにツンデレっぽく振舞ってしまうため表面上はそうでもない。
千歳が好きだというのになんらかの過去の事件から、千歳をあきらめてしまっている。今はイロリの恋路の応援をする立場に回る。ヤンデレの片鱗はほぼ見せず。
実は重度のオタクであり、家のガラクタはフィギュアやゲーム、漫画などオタグッズがほとんどを占めている。スクールデイズで鬱になった経験あり。

鷹野 百歌(たかの ももか)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1070.jpg
:千歳の妹。おとなしく従順でちょっとぼけているがしっかりしていて可愛いというキングオブ妹であり、千歳からも溺愛されている。
……のだが、その心の病みは深く、あるトラウマから世界の全てを「悪夢」だと認識し、兄以外の人間すべてを憎んでいる。
兄の千歳のみを唯一の現実だと思い込み、徐々に依存を強くしていく。千歳に触れることや、千歳の匂いを嗅ぐこと、声を聞くことなどを欠くと「発作」が起こるために、一日一回は千歳を思って自慰行為をしなければならないという制約がある。
また、夜になるとときたま千歳を眠らせてフェラをするという習慣も持つ。最初からクライマックスのヤンデレ。


432 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 16:29:18 ID:gifGW32h
サブヒロインズ

井上 深紅(いのうえ ミク)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1071.jpg
:学級委員長であり風紀委員であり、生徒会役員でもある、生粋の委員長。
学校のいたるところに盗聴器やカメラを仕掛けており、あらゆる人間の弱みや情報を握っているらしい。ナギの盗撮写真をちらつかせて千歳を脅し、千歳を何度も強姦する、こちらも最初からクライマックスなヤンデレ。
だが、一度も「好き」「愛している」のたぐいの言葉を千歳にはかけておらず、また、千歳に対し「なにもわかっていない、わからなくてもいい」というように、その行動理由には単純な好意とは違う思惑があるように見られる。
官能小説オタク。

蒼天院 理科子(そうてんいん リカコ)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1072.jpg
:千歳の二人目の幼なじみ。蒼天院道場の一人娘。出てきたばっかりでよく分からないが、実は結構ストレートなヤンデレだったりして、これから出番が増える。
巨乳。一応現時点では千歳に次ぐ高い戦闘力を見せるが、かませ犬になる可能性は高い。

御神 枢(みかみ カナメ)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1073.jpg
:千歳に助けられて、いきなり一目ぼれしたお嬢様。愛犬スティーブをこよなく愛するが、優先順位はすでに千歳が上になっているらしい。
ただの旧華族だった御神家を一気に大財閥になりあがらせたといわれる、裏社会の女。登場時の高圧的な態度も、そのときの顔である。
素の状態だと照れ屋なのだが、状況が切羽詰ると性格が強引になる。

九遠寺 久遠(くおんじ くおん)
:今日からヤのつく自営業の親分の娘。昔千歳に助けられて以来、千歳が好きらしい。未登場。

鷹野 万里(たかの まり)
:千歳の姉。京都にいるらしいが……? 未登場。

アリエスttp://wktk.vip2ch.com/vipper1074.jpg
:飢えて倒れているところを、千歳にアンパンを与えられ、助けられた「金髪の少女」。「ワイヤード」という存在を捜し、その先にある「コントラクター」を求めているらしいが……?

メア・N・アーデルハイド
:真っ白い美少女。百合ヤンデレであり、百歌のために百歌を苦しめる元凶だと判断した千歳を殺そうとする。

433 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 16:32:51 ID:gifGW32h
キャラ紹介終了です。
メアと千歳も描いたのですが、諸事情により次回に見送ります。
ヒロイン多いですが、誰が需要あるんでしょうね。
ではまた。

434 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 16:34:21 ID:fOLBGM3V
乙!
しかし、ヒロインこんなに出しちゃって収拾付くのか…?

435 名前:ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 16:38:19 ID:gifGW32h
あ、誤字が……久遠は、正式には「九音寺」です。すいません。

あと、百歌の項目で「心の病みは深い」って書いてますが、「心の闇」のつもりでした。
でもあってるので良いです。

436 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 17:18:35 ID:6hGgjOGP
ロックオンがいる……。

続き、楽しみにしてます。

437 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 17:29:54 ID:vxKd7gPc
GJ!!
フフ……役者はそろったな…

438 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 17:35:32 ID:o2w1R0YQ
乙。
続きが楽しみだぜ・・・

439 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 18:16:26 ID:xapGNrN0
GJなのですよー


13話が投下されるまでの俺の千歳vs理科子の勝手なイメージ

千歳「>∩( ・ω・)∩<」
理科子「ちにゃ!」
テーレッテー

いや…流派名からして柔の拳vs剛の拳みたいなイメージがですね…
読んだ後はマ・ワ・シ・受・ケになってしまいましたが

んでここあタソもヤンデレ化するのでしょうか

440 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 19:29:07 ID:o2w1R0YQ
ロリコン自重汁!




いや、俺のことだ。

441 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 20:10:45 ID:rF8C6lZg
GJ!と言わせて貰おう!
後一言だけ言わせてくれ

















お前がガンダムだ!!

442 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 20:14:53 ID:9kw7BJJl
>>433
これだけキャラが居るって事は、かなりの長編に
なるって期待していいんですか? でも最後の方で超急展開で一気にヒロイン
を消化していくのだけは勘弁して欲しいかな。

443 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 20:15:41 ID:TfscZwQ2
作者自演乙

444 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 20:34:22 ID:9kw7BJJl
>>443
いや、自演じゃないからww

445 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/28(火) 20:43:48 ID:GJNcbOWE
頭のおかしい奴に構うな

446 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 00:13:20 ID:5ggwrk49
GJ

447 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 01:54:43 ID:qZtAhQAl
すげー今更だが止まない雨ニを初めてやったが

みそぎで勃起した

448 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 03:12:42 ID:d6QsmyIY
それは報告しなくていいです

449 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 09:45:36 ID:qmTd2du8
ここはSSスレだと納戸入れ歯

450 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 11:22:19 ID:8XbFCZk8
真上から急降下手刀のどこで勃起するんだ

451 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 13:09:34 ID:G+EotEW3
豪鬼乙

452 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 13:44:39 ID:Bv8I2587
急降下爆撃ハァハァ

453 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 17:22:14 ID:yqa6DRHZ
休校、縛劇ハアハア…

よし、監禁されてくる…

454 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 23:05:17 ID:zf5o7tl7
ところで香草って何て読むんだ?
こう・・・くさ・・・?

455 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/29(水) 23:26:41 ID:zf5o7tl7
自己解決
第一話に書いてたわ

456 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/30(木) 18:53:05 ID:hzEn403/
ヤンデレの名前を間違えるのは平和で数え役満するくらいヤバい
ってじっちゃが言ってたって誰かが言ってた

457 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/30(木) 20:25:45 ID:sELFqYmn
そもそも、一介の雌猫がヤンデレと敵対する時点で負けは確定しているよな。
セガールに銃を突きつけるのと同じ、修羅場シリアスというよりもギャグ

458 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/30(木) 21:19:55 ID:gyNSiT/d
>>456
なぜか、金婚式で
「この人と離婚しようと思ったことは一度もありませんでしたよ。
殺してしまおうと思ったことは何度かありましたけど」
と微笑むばっちゃの話を思い出したw

459 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/30(木) 23:16:22 ID:aLNxRfs9
>>458
素晴らしく微笑ましいな

460 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/30(木) 23:37:12 ID:hfYlU9GY
明日はハロウィンだな。彼女らにとっては、大義名分を以って
好きな人に好きなことが出来る日って感じになるのかね
Marriage or treat!ってな勢いで

お菓子? 男は用意してたんだけど、多分当日には一個もないんだよ

461 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/30(木) 23:44:58 ID:Cslbd1iy
Marriage or bride! って勢いだろう

462 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/30(木) 23:55:29 ID:GSjP94nZ
まさかの義姉強襲フラグ

463 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/31(金) 21:55:18 ID:9WN+KCr7
そいえば弩って3000メートルも飛ぶもんなの?

464 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/31(金) 22:31:04 ID:PBi3Q+98
英語版Wikipediaによれば「strongest arbalest」で500mまでは正確に狙い打てる

465 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/10/31(金) 22:31:41 ID:dDGtEpj/
>>463
文章読む限り、弩じゃなく固有名「アルバレスト」の弓っぽい
調べてみたら、3000mは狙撃銃や対物ライフルレベル
ちなみに狙撃銃だと1k以上で当てるのは困難。アルバレストまじパネェ

466 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:07:53 ID:SmTe1Fw1
投下します。どっかで双子ネタの影響受けてからほとんど勢いだけです


467 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:08:57 ID:SmTe1Fw1
路面には桜の花びらが散りばめられている。日差しは暖かく、心地よい。まさに春の始まりにふさわしい光景だ。
時刻は午後12時。入学式を終えた新入生たちはわれ先とばかりに校門でひしめき合い、徐々に外へとはけていく。
そんななか、その男 ―七瀬 翼― は1人音楽室を訪れていた。

部屋の中には一台のグランドピアノが置かれている。七瀬は椅子に腰掛け、ふたを上げて鍵盤を弾き出した。
お世辞にも広いとは言えない、ちょうど一般的な教室およそ二部屋ぶんの空間に旋律が響きわたる。―――が、1分ほどで七瀬は指を止める。

「…はぁ、やっぱり鈍ってんな、指。」

七瀬の唯一の趣味であるピアノ。しかし彼の家はけして裕福とはいえない。七瀬は中学時代、学校のピアノでひたすら欲求を解消し続けてきた。
彼の技術はアマチュアのそれにしては優れていたものだった。教師にも、コンクールに出てみないかと何度か誘われたことがある。が、彼は断り続けてきた。
あくまで、趣味は趣味。弾くのは楽しかったが、プロを目指す気持ちはまったくない。しかし中学卒業から今日までの期間、七瀬がピアノに触れる機会はなかった。
多少は鈍っているのも当たり前といえよう。
七瀬はため息をつき、部屋をあとにしようとした。そのとき、音楽室の入り口から声がした。

「―――最後まで弾かないの?」と、少女の声。
「とっても上手でしたよ。」さらにもう1人。

七瀬は、声の主たちに目をやる。
1人は、肩の長さに切りそろえられた真っ赤な髪の少女。もう1人は、青い髪の少女。どちらもそっくりな顔をしている。
髪の色さえ同じなら区別がつきそうにない、双子だった。

「……ああ、今日は調子が悪いんだ。」七瀬は言い返した。
「明日もここに来るの?」といったのは赤髪の少女。
「そうだな…たぶん来る。」

少女たちは互いに目を合わせたあと、自己紹介を始めた。

「僕は、藤堂 朱音(あかね)。こっちは、妹の浅葱。よろしくね。」
「…ぼく?」
「ああ…癖なの。気にしないで。君は?」
「俺は七瀬 翼。よろしくな。」

468 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:09:18 ID:lseGmKG0
1km先まで照準がついてる「拳銃」があるよ、とプチミリオタが発言して消える。
ヤンデレ娘さんに愛されたくない。でも愛したい。

469 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:10:23 ID:SmTe1Fw1

* * * * *


それからというもの、昼休み、放課後と彼らは決まって音楽室に集まっていた。じきに梅雨に入る。ピアノの知識を持つ七瀬ならその管理もぜひ、と担当教員に頼まれてい

た。それによってこうしてほぼ自由に出入りできるようになったのだ。
七瀬は簡単な曲を弾き、姉妹はそれを聴き入る。時には楽しく漫談も織り交ぜる。それが彼らの日常だった。

ある日の昼休み、彼らは同じように集まっていた。

「…ねぇ七瀬、プロは目指さないの?」質問をしてきたのは朱音だ。
「同じことを中学の先生にも訊かれたよ。ピアノは俺にとっては単なる趣味だ。そんなやつが出たところで意味はあるまい?」七瀬は、二人にむけてそう説いた。
「…そういううものなのかな?」
「いいじゃない。」と、浅葱が口を開いた。「七瀬くんのピアノはすごくきれいな音だもん。それを二人じめできてる私たちは幸せ者よ?」
「うん…そうだよね!七瀬のピアノは僕たちだけが知ってるんだよ!」負けじと、朱音が続ける。
「…なんだか、恥ずかしいな……。でもまあ、お前たち聴いてくれるだけで十分だよ。」

ぽんぽん、と双子の頭をたたいてやる七瀬。姉妹はなにやらくすぐったそうに顔をはにかませた。

「そうだ、今日は七瀬のぶんも弁当作ってきたんだよ!」
「……ここ、飲食禁止じゃなかったか?」
「? そうだっけ。ま、いいや。でさ、浅葱ったら妙にはりきっちゃって。今日なんか5時起きだよ?」
「朱音ちゃんっ!そんなこといわなくていいよっ!もう…」

といいつつ、床に広げられる弁当箱。三つあるうちのひとつ、一回り大きい箱はどうやら七瀬のためのものらしかった。
早速、箸をつける七瀬。それを追って姉妹も食事を始める。

「うん…うまいよ。これならいつ嫁に行っても大丈夫だな。」と、七瀬は率直な感想を述べる。
「よ 嫁!?七瀬くんっ!?」浅葱は顔を真っ赤にしてうろたえている。
「浅葱は七瀬らぶだもんね、そのままくっついちゃえば?」
「馬鹿いうな。こんないい娘、俺なんかにはもったいないよ。」

こうして、いつまでも楽しく過ごしていられると、このときは誰も信じて疑わなかった。

470 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:11:50 ID:SmTe1Fw1

* * * * *

夏が過ぎ、秋も終わりかけた、とある寒い日にそれは起きた。

音楽室には七瀬と、赤い髪の少女の2人。

「…今日は浅葱はいないのか?」七瀬が問う。それに対し朱音は、こう答える。
「あの子は今日は委員会の仕事なんだ。だから、今日は僕だけだよ。それとも、浅葱がいなくて残念?」
「いや…珍しいな、と。お前と二人きりなんて初めてだからな。」
「そうだね。僕は嬉しいよ?七瀬と二人っきり。」

朱音はひと息つき、こう続けた。

「僕、七瀬のことが好きだから…二人っきりになれて嬉しいんだ。七瀬は嫌?」

いきなりの告白に驚く七瀬。が、それも一瞬のこと。次の瞬間、七瀬は朱音の唇を奪っていた。

「嫌じゃないよ。俺も、朱音が好きだからさ。」
「七瀬っ…!」

互いの気持ちを知り、それを噛み締めるかのように抱きしめあう2人。だが、それを見ている人物に気づくことはなかった。

ドアの隙間からこっそり中を覗いていたのは青い髪の少女―――浅葱。
彼女は涙を流していた。目を背けたい。今すぐここから逃げ出したい。なのに、足が動かない。

「朱音ちゃんっ…七瀬くん…どうして…?」

その場にへたりと座り込んで、声を殺して泣きたかった。だが、予鈴がなるまであとわずか。
どうにか壁伝いに立ち上がり、おぼつかない足取りで音楽室を離れた。

それから浅葱は音楽室を訪れなくなった。行けばまた現実を見せつけられる。そのことへの恐怖が、彼女をそうさせた。
しかし家に帰れば朱音と顔を合わせることになる。そうなれば当然訊かれる。どうして来ないんだ、と。
今の浅葱にとって心休まる居場所はなかった。正確には、それらはすべて自分の半身である朱音に奪われた。そう思っていた。
それでも、彼女なりに気を遣い、応援しようとした。…祝福しようとした。
そして2週間が経ったその日、浅葱は再び音楽室を訪れた。

ドアに手をかけ、中に入ろうとしたそのとき、声が聞こえた。

「―――っ ――――! ―――!!」

もはや限界だった。自分と同じ声の、まるで発情した猫のような嬌声。その猫の名を呼びながら荒い吐息をもらす思い人の声。浅葱が聞き取ったのはまさにそれらだった。
浅葱は逃げるようにトイレへと駆け込んだ。これ以上なにもないというまでに吐き、涙が枯れんばかりに泣いた。狂ったように自慰行為もした。
そんな彼女に唯一…いや、ふたつ残ったのは張り裂けそうなほどの七瀬への愛。そして自らの半身への狂いそうなほどの憎しみだけだった。

471 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:13:22 ID:SmTe1Fw1

* * * * *

翌朝、七瀬は音楽室に来ていた。朱音と愛し合うようになってからは朝にも会うようになっていたのだ。
彼女をを待つあいだ、ピアノで曲を弾きこなす。それはいつの日か朱音が教えてくれた、彼女のお気に入りの曲だった。
ひととおり弾き終わり、ふたを下ろす。ふと、ドアのほうから声がした。

「相変わらず、とっても上手だね。」

声の主は赤い髪の少女。だが、七瀬はすぐ違和感に気づいた。

「おまえ…浅葱か?髪染めたんだな。まるで朱音みたいだ。」
「そう…髪染めたの。七瀬くんが好きなのは朱音ちゃんだから、このほうが喜ぶかなぁって思ったんだ。ほら、見て?真っ赤でしょ。」
「ああ…でも、不思議ないろだ。朱音の髪よりももっとこう…まるで血みたいだ。」

浅葱の髪色に対してそう表現した七瀬。浅葱はこう返した。

「よくわかったね。そう、これは朱音ちゃんの血で染めたの。どう、似合う?」

一瞬、その言葉の意味がわからなかった。が、よく見れば彼女の手もまた髪と同じいろの何か…血で染まっていた。

「まさか……お前、朱音を…」殺したのか、と続けたかった。だが、それは言葉にならなかった。
浅葱は、七瀬の唇を自らのそれで塞いだ。数十秒、当事者である彼らからしたら数分にも思える時間だった。
やがて唇は離され、浅葱がこう言った。

「七瀬くん…翼が好きなのは浅葱じゃないんだよね?僕だよね?」

たどたどしいながらも、彼女の言葉遣いはまるで朱音のものそっくりだった。このとき七瀬は理解した。
浅葱は、"朱音"になることで自分に愛されたかったのだ、と。
七瀬は、自分に愛されたいがために自分自身を"殺そうと"している彼女を哀れに思った。しかし、浅葱のこの悲痛な思いをないがしろにすることはできなかった。

「…浅葱。お前がそこまですることはないんだ。だから…もうやめろ…!」

浅葱を抱きしめてそう訴えた七瀬。だが彼女はすでに―――――

「…なにいってるんだい?僕は朱音だよ。浅葱は死んじゃったんだよ。…もうどこにもいない。だから、気にすることないよ。浅葱なんか忘れて、僕と愛し合おうよ、翼。」

すでに、壊れていた。彼女はもはや浅葱であって、浅葱じゃなくなっていた。
今にも泣きそうな瞳で必死にすがりついてくる浅葱。その体は震えていた。
拒否されることへの恐怖からか…?拒めばきっと…いや、間違いなく今度こそ……。七瀬はそう思った。だからこそ、彼女の願いに応えてやるべく、こう言った。

「…ああ。愛してるよ、朱音。」




472 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:15:19 ID:SmTe1Fw1
終了です。

473 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:22:40 ID:awU976Vq
>>472
gj

474 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/01(土) 01:23:36 ID:Sp/0MzHD
GJです

475 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:24:55 ID:SbzJ2g/1
いいねぇ、双子って
かなりのGJ!
しかしヤンデレものって、結構主人公は墜ちるね。やはり意志薄弱だからヒロインにストレスがたまるのか……?

476 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:26:24 ID:lseGmKG0
正直すまんかったorz

>>472
GJ!マジごめん。

477 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/01(土) 09:20:44 ID:g9qMDXo5
>>472 双子が二人ともヤンデレだったらもっとよかった。そうすれば、双子で骨肉の争いが始まりそうなのに……。
まっ、いっか。GJ!!

478 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/01(土) 11:40:06 ID:YiMR8LSp
>>472
これは萌えたw
テラGJ

479 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 00:15:36 ID:Xqeh1fmP
♪ヤンヤンヤン ヤンピューター 男を離さぬヤンピュータ
今日も懲りずに 開いてみようかな

ヤンピューターとはコンピューターの究極形の一つ。
男のパソコンが受信する女の情報を全てウイルスと見なして削除する。
また、男を監禁するかのように中毒性のあるコンテンツをプレイさせようとする。

エロ画像・動画保存→自動削除
PCでエロゲー→ヒロインの顔がジャック・ニコルソンになる。
女性アーティストの音楽ファイル→クリス・バーンズ(元カンニバル・コープス)並のデスヴォイスに
女からのメール→自動で受け取り拒否
ウイルスが侵入→女のパソコンへ転送
オンラインゲーム→超ハイスペックになる、滑らかな動作で男を離さない
携帯性→持ち運びに便利な大きさ。どこでもネットに繋がる
USB端子→なんかの液で濡れてます。あなたのUSBメモリを挿入してください


480 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 00:39:44 ID:fdqEvqBE
ネトゲで自キャラの性別を♀にしてたり他の女性プレイヤーと仲良くなったりしたらどうなるんだろうな?
そのネトゲ友がキャラ♀中♂・キャラ♂中♀・キャラ&中共に♀とかでも反応変わるかも

481 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 00:51:46 ID:dLEEBN0D
>>479
お山の狐か。

482 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 06:52:16 ID:ekT8L5up
病んでるコンピューターといえばパラノイア

コンピューター「市民、幸福は義務です」

483 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 15:17:00 ID:1KAeMP8h
健康のためなら死んでもいい

484 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 15:19:14 ID:XwinDT3F
>>482
スレチ

485 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 15:28:48 ID:1KAeMP8h
誤爆した。すまない。

486 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 16:16:10 ID:m+9sl9vF
デレの表現がフライパンで殴るとかそういうのはヤンデレになるの?

487 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 16:17:45 ID:XwinDT3F
デレ故に病んだ行動をとればおk
デレ関係ないのとかは違う
曖昧なのは荒れるもと

488 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 16:19:29 ID:NOvoU8bm
>>486
それは普通DVって呼ぶと思うよ

489 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 16:19:45 ID:be6LQtcX
>>483
なつかしい
タモリ倶楽部ですね

490 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 22:41:50 ID:24WTXqTj
投下が無い・・・だと・・・?

491 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 22:46:51 ID:VE9aOcKn
銃なんて捨てて、かかってこいよヤンデレ!!!

492 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 23:14:42 ID:h3feFgYg
ヤンデレが男を見つけました!一体、何が始まるんです?

第三次世界大戦だ。

493 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/02(日) 23:37:14 ID:Xqeh1fmP
・とんでもない、待ってたんです
・ヤンデレはギリシャ(メデイアな)で生まれました。日本の発明品じゃありません
・一番気に入ってるのは貞操だ
・何でこの歌手が女なんだ?女が私だけならすっきりするのに
→もー、ヤンデレったら古いんだ(フリーセックスの風潮てきな意味で)
・無事帰りたければに彼と別れろ!OK?→OK!(グエーッ!
・追ってくるぞ、あの馬鹿
・誰が忘れるものか、この糞野郎
・ツンデレ!死んだはずじゃ…?
・残念だったなぁ、トリックだよ
・くたばりやがれ
・必ず戻ってくるぞ
・ヤンデレ、楽しみに待ってるぞ
・彼女が生きていればまだ死体は増えるはずだ!
・面白いやつだな、気に入った。殺すのは最後にしてやる
・手荷物はございますか?→いや、これだけだ
・今度余計なことを言うと下の口を縫い合わすぞ
・彼女を起こさないでくれ。死ぬほど疲れてる
・おたくみてえな卑しい雌はもっと慎んで生きなきゃだめだよぉ。やめて!あたしにかまわないで頂戴
→ケッビッチが!
・だめよ7時半に男とデートがあるの。→今日は休め
・すいません、むこうに黒のトレンチコートを着た女が居るんだけど、彼女まともじゃないの、SASTUGAIされかけた
わ。助けてください!
・クール聞こえるか。頭のイカれた女がいる。ひとりでは手に負えん。応援を頼む
・男君への愛を見せましょ
・容疑者は少女、150㎝、髪は黒、やたらと目が黒くて濁ってる変態だ
・携帯だ!携帯を出せ!

494 名前:わいやーどみにまむ  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:12:44 ID:mo1fLUoX
投下します。
ワイヤード本編はイロリが来た後の話なので、これは補足です。
一話完結の外伝だと思ってください。

495 名前:わいやーどみにまむ1  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:13:14 ID:mo1fLUoX
みにまむ1『たちどまったとき』

千歳とナギが、小学六年生くらいだったころのお話。
六月のこと。ナギと千歳は、ナギの部屋で二人遊んでいます。
まだこの時期のナギの部屋は、今と違い普通の整頓された部屋でした。
「なぁ、お前さ……」
「なんだ?」
千歳の呼びかけに、ナギは振り向きもせず答えました。
「さっきから卑怯じゃね」
「だから、なにがだ」
しらばっくれるナギ。千歳の怒りゲージが少しずつたまっていきます。
「いや、だからさ、さっきからナギナギ言い過ぎなんだよ!!」
「何を言っているんだ。ナギは私だ」
「違う、こっちの話!」
千歳は二人の前のテレビ画面を指差します。
「いや、ただの北斗の拳だろう」
「トキだよトキ! トキ使いすぎなんだよ! ナギナギうるせーって! まじ勝てないから!」
二人は、仲良く並んでゲームをしていました。
ゲーム画面には、ナギ操るストロングな病人にいたぶられる千歳の聖帝様のお姿が移っていました。
哀れなことです。ほとんど無理ゲーダイヤに等しいこの対戦をひっくり返すプレイヤー性能は千歳にはありませんでした。
ナギナギと小うるさく瞬間移動を繰り返す白い病人は柔の拳とは名ばかりの剛拳でまた、聖帝に有情破顔拳を繰り出しました。
テーレッテー。
フェイタル・ケー・オー。


496 名前:わいやーどみにまむ1  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:13:44 ID:mo1fLUoX
「鳳凰の夢は潰えたか……お師さん……」
感慨深くナギはつぶやきます。
「お前、マジ卑怯だっつの……」
「卑怯もクソもあるまい。大体、中野TRFのとある修羅はトキすらフルボッコだと聞く」
「そりゃ全一の話。俺は普通の人間。そしてこのゲームはお前の持ち物。接待プレイを覚えるか、もしくは強キャラの使用を控えるくらいしてくれないと」
「千歳、お前ともあろうものが、なにを甘えている」
「はぁ……?」
「トキの柔拳のパクリのような拳法を使うくせに。お前とリアルファイトしたらどうやっても正統派の拳法では勝てんぞ」
「清水拳のことか……?」
――ありゃお前のために……。
そうは思いましたが、照れくさくて千歳にはとても言えませんでした。
「つまりだ、世の中には格の差なんてあって当たり前なんだ。平等じゃないのが当然なんだよ。いちいち下の基準に合わせていたら、世の中悪くなる一方だ」
ナギが得意げに言います。
「そりゃ屁理屈だろ」
むっとして千歳が言い返しました。
千歳は差別なんて大嫌いです。純粋な正義感から、ナギの理論に嫌悪を覚えたのです。
「そうか? なら、男と女のどうしようもない差はどうだ?」
ナギは千歳の怒りなどまるで無視して、続けます。
「男女平等などと、フェミニストは口にするがな。実際男と女じゃ生物としての性質が全く違う。男は力を使って社会を形成し、女や子供を護るようにできている。対して女は、子孫を育てるために出来ている」
「そりゃそうだけど……」
「つまり、社会的格差があると女は男に文句を言っているが、女はそもそも社会のなかで男に勝れるような構造をしていない。女って言うのはな、『生む機械』なんだよ。極端な表現をするがな」


497 名前:わいやーどみにまむ1  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:14:15 ID:mo1fLUoX
千歳は目を丸くしてナギを見ました。
こいつは本気なのだろうか、と。しかしナギの表情は巧妙に本心を隠すもの。よくわかりません。
「お前だって女だろ。そんな不平等じゃだめだって思わないのかよ」
「私には、盲目的な平等の狂信こそがむしろ危険に見える。『違い』があるから、それを埋めるために人は努力するんだ。だから、違いを認め、前に進まなければならない。なのに……」
――完成された平和が目の前にあったとして、それが長く続いた先の未来、人はまだ平等を保てるのか?
ナギはくっくっと笑いながら、そんな質問を千歳に投げかけます。
「答えは、『NO』だろう? 人は忘れる。目の前に完成されたものがあれば、そこで成長を止め、また間違いを犯す」
「……だったら、どうしたっていうんだよ」
「学ばなければならない。私は未来などというものは全く信じてはいないが、人はそれを信じるという。だから変わってゆき、忘れていく。ならばそのつど、学ばなければならない。それが――」
ナギはゲームのコントローラーを手放し、千歳に飛びかかりました。
とっさのことで、千歳も反応が遅れます。
床に組み伏せられてしまいました。ナギは千歳よりも遥かに力があるので、振りほどくことはできません。
「――前に進む、ということ」
「お前……。離せよ」
「いやだ、と言ったら?」
「くっ……」
「何も出来ないだろう。なぜなら、この体勢では私は『絶対的強者』だからだ」
ナギはのしかかったまま、顔を近づけます。
「ナギっ、お前……あぅ!」
ぞくぞくっと、千歳の頭を刺激が駆け抜けました。
ナギが、千歳の首筋を舐めたのです。
「千歳、このまえ学校で性教育を受けたよな。覚えているか?」
「あ、ああ……」
「なら、いくら鈍いお前でももう分かるよな。私は『生む機械』とやらになってみようと思うんだ。これが私の、女としての『学び』だろう」
「――っ!?」


498 名前:わいやーどみにまむ1  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:14:45 ID:mo1fLUoX
そのとき見たナギの表情は、小学生とは思えないほどに大人っぽく、艶やかで、そして……。
「怖い、か?」
がくがくと震える千歳。どう見ても普通の状態ではありませんでした。
そう――千歳は昔、姉から受けた仕打ちのことを思い出しているのでした。
その記憶が、今の千歳を縛り付ける鎖なのです。
ナギは、そんな事情つゆも知らずに千歳の上着を脱がし始めました。
「……」
「なんにも喋らないんだな。つまらない」
目がうつろになっている千歳を全く歯牙にもかけず、今度は自分の上着を脱ぎます。
ほとんど膨らんでいない胸があらわになりました。
「なに、ちょっとした子供の遊びだろう。ほら、性的な遊びと言うやつは、幼いうちはよくあるらしいからな」
そう言うと、馬乗りになったまま下にいる千歳のからだに、ぴったりと身体を重ね合わせました。
あらわになった上半身同士が触れ合います。
「ほら、聞こえるか、心臓の音が。これが、私の今の気持ちだ」
とくん。とくん。
確かにナギは今、ただの女の子でした。しっかりと生きて、そして学ぼうとしていました。
しかし、千歳は答えません。
ナギがぴったりとくっつけ合った身体をすこしずつ動かしてすり合わせても、反応がありませんでした。
「(ああ……気持ちいいな)」
互いの体温を感じあい、肉感から実在を確認しあう。ナギにはとてつもない快感でした。
「はぁ……はぁ……」
だんだん息が荒くなってくるナギ。
「(乳首、すれて……気持ち、いい……)」
だんだん強く、速く、激しく身体を擦り付け始めるナギ。


499 名前:わいやーどみにまむ1  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:15:16 ID:mo1fLUoX
千歳は、そんな光景にも反応せず、ただ虚ろな目で天井を眺めているだけです。
「はぁ……はぁ……ちとせぇ……好きなんだ、本当は……私は、ただの女だ……」
たぶん、こんなことしか出来ない。
ナギは、自分にあまり自信を持っていません。
だから、女としてこうして千歳に近づいています。
「でも、これしか出来ないから……お前には……」
独りよがりな自慰を続けるナギ。千歳の姿など目に入っていませんでした。
「……まりねぇ」
「――っ!?」
不意に、ぽつりと千歳がつぶやいたのに驚き、ナギは身体を止めました。
「万里姉……もう、やめて……」
虚ろな表情の千歳から、一筋の涙が流れ落ちます。
「ぁ――」
ナギは、ようやく気づきました。
千歳が今まで抵抗しなかった原因。
全て、理解してしまったのです。
「千歳……」
「万里姉……万里姉……」
呪文のようにつぶやく千歳。
「千歳……お前は……」


500 名前:わいやーどみにまむ1  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:15:46 ID:mo1fLUoX
千歳を家まで送っていったナギは、はれた頬を押さえながら家に帰っていました。
無気力になった千歳を送り届けると、妹の百歌はそれを見て「お兄ちゃんになにしたの!」とナギを殴ったのです。
異常に強い力でした。
ナギが素直に「すまない」と頭を下げていなければ、たぶん殺されていたでしょう。
すくなくとも、あのときの百歌の剣幕だと、そうなってもおかしくはありませんでした。
家につくと、心配そうな表情をした母、頼さんが迎えました。
「ナギ、もしかして、千歳君に……?」
「……私は、なんであんなことを……」
「……ナギ、あなたは、やっぱり私と同じなのね」
頼さんの暖かくて柔らかい手が、ナギの赤い髪を撫でました。
「ナギはね、大人になったの」
「大人に……?」
「発情期っていうのかな……。お母さんもね、昔そんなのがあって」
「発情……?」
昨日受けた性教育には、そんなものありませんでした。
人間にはなくて、動物にあるもの。そう思っていました。
「そう。無いわね。『ホモ・サピエンス』にはね」
頼さんは、優しい目でナギを見つめます。
まるで、昔の自分を思い出し、重ねているようでした。
「いつか、全てを話してあげる。その時がきたら、全部……。だから、今は。千歳君には会わないほうがいいわ」
「母さん……。うん、わかった」
素直にこくりとうなずくきます。
「しばらく、学校はお休みしなさい。わかった?」
「うん……。わかった」
千歳に会えないのは残念でしたが、、ナギは母の言葉には逆らいません。
母も千歳も、同様に大切だったからです。


501 名前:わいやーどみにまむ1  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:16:17 ID:mo1fLUoX
「ふぅ……」
ぱたんと、ナギは自分の部屋の扉を閉めました。
「しかし、発情期とは。……私は、一体……。ん?」
部屋を見ると、千歳の上着がおいてありました。二枚着ていたうちの、一枚を着忘れて帰ったようです。
「忘れ物か……」
――いや、私が着せるを忘れたんだ。過失は私にあるな。
自己嫌悪しながら、上着を拾い上げます。
「(……なんだ?)」
妙な違和感を感じます。
「(なんで……。なぜ私は、今)」
――匂いをかいでみたい、なんて思った?
頭では、そう思っています。
しかし、その思考は既に行動にまで移されていました。
ナギは無意識のうちに、千歳の上着に顔を押し当て、大きく息を吸っていました。
「(なんだ……私は、なぜ……)」
そう戸惑う間に身体が勝手に動き始めます。
千歳の上着を顔に押し付けながら、千歳がさっき座っていた自分のベッドに倒れこみました。
「(おい、なにが……一体、どうして)」
わけもわからないままに、身体だけが暴走してナギはいつの間にか下着を取り去っていました。
千歳の上着を、まるで千歳自身のように抱きしめ、匂いを嗅ぎます。
「千歳の匂いだ……」
ここで初めて、思考と行動が一致しました。


502 名前:わいやーどみにまむ1  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:16:49 ID:mo1fLUoX
ナギのさっきまでの戸惑いは千歳の匂いの認識と共に完全に崩れ去りました。
股の間に手を伸ばし、むき出しのそこに触れます。
「……ぁ……んっ」
くちゃ。と、液体が糸を引いて指に絡みつきました。
まるで小さな子供のようなその一本筋は、今は一人前の女のようにいやらしく湿っていたのです。
「どうして……こんなに」
思い返せば、千歳に身体を擦り付けたときには既に股間に疼きがあった気がしました。
なら――千歳とただ一緒にいただけで?
ある種の恐怖と、それを超える背徳への興奮がナギを襲いました。
ナギは指でしばらく秘所をこすったあと、我慢ができなくなりました。
「……千歳、ごめん」
千歳の上着を、股に挟み込みました。
その上から指で秘所にこすりつけます。
千歳の匂いが染み付いていくようで、快感はもうどうしようもないほどに加速します。
「う……あぁ、ちとせ……ちとせぇ……」
だらしなくあけた口から漏れる言葉は、その全てが快楽への嬌声か、千歳を呼ぶ声でした。
「私は、生む機械なんだ……」
そういいながらも、更に指を速くします。
「あっ、あぁ……! ちとせ! もうっ……なんかくるっ!」
びくんとナギの身体が跳ね、ぞくぞくと快感が全身を貫きました。
「はぁあ……んぁ……ちとせ……私は……」
初めてのその感覚に、若干の戸惑いを覚えましたが、ナギはもう分かってしまっていたのでした。
「私は、最低だったんだな……」


503 名前:わいやーどみにまむ1  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:17:20 ID:mo1fLUoX
数日後。
自慰行為ばかりをして過ごした『発情期』も終わり、千歳と会ってみると、案外千歳はいつもどおりでした。
変わらない、優しい千歳でした。
しかし、このときからナギは変わってしまったのです。
部屋は、千歳が触れたもので埋まっていきました。
気づいたら、服を脱いで千歳の触れたもののコレクションの山の中で寝ていることが多くなりました。
千歳を思い、衝動的に自慰をしてしまうことが多くなりました。
だから、ナギは変わってしまったのです。
――私は、千歳にふさわしくないんだな。
幸せな未来を捨ててしまったのでした。

ナギはこの日から、少しだけ立ち止まってしまったのです。
それは小さな一歩だと分かっているのに。
その一歩が、踏み出せなくなってしまったのです。

504 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:19:25 ID:O+5yoh2T
そろそろ華分と朝歌分補給したいお
上書きもずっと待ってるお

505 名前:わいやーどみにまむ1  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:20:28 ID:mo1fLUoX
終わりです。
キャラは多いですし、これからかなり急速展開なワイヤード本編ですが、たまにこういう息抜きをいれていきたいと思います。
誰かがいっていましたが、ヒロインの急激な切捨てとかはやはり良くないので。
これでイロリ以前のキャラクターの掘り下げもできたらいいと思っています。
では、本編は明日にでも。
みにまむ2もお楽しみに。次は理科子の予定ですが、リクエストがあればそのキャラの過去編もやりますので。
では、また

506 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:24:42 ID:O+5yoh2T
うお更新しなかったせいで嫌みみたくなってしもた
そんなつもりはなかったっす

507 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:36:52 ID:uBg+A8TZ
>>505
GJ!こうやって補完していくのも良いです

>>506
ドンマイwまあ、分かってくれるさ


508 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:49:18 ID:5GoqKhQu
長編が多いんだけど、短編って需要ないの?
短いのなら何個か書けそうなんだけど

509 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:52:57 ID:ok2LXcss
>>508
全然OK

510 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 01:59:07 ID:EM7CMAuN
>>508
需要ありまくり
楽しみにしてる

511 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 03:05:40 ID:I1WTUF9V
>>505
やはり北斗プレーヤーだったかw
もしかして有名人だったりして、違ったら一度中野に来てください僕の汚物でレイプして(ry
ともかくGJでした

512 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 09:46:48 ID:xbJizSBo
>>505
てかメインヒロインだけで良いから、それぞれにルート作って欲しい・・・


513 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 11:28:57 ID:0PDTDIm9
ナギッナギッ激流に身を任せナギッ

514 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 12:21:08 ID:kAHgc3gM
ジョインジョイントキィ

515 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 12:31:56 ID:4gXIqeD9
最初に話題振った俺(>>439)が言うのもアレだけど程々にな~
ついていけない人の事も考えないといかんのだぜ

516 名前: ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 12:54:50 ID:mo1fLUoX
ttp://up2.viploader.net/pic3/src/vl2_068294.png
イロリに色塗ってみました。他のキャラにも色塗ろうかと思っています。

>>512 まさか北斗ネタがここまで話題になるなんてこちらも予想外でした。
自重します。

短編のアイデアを思いついたので、今日は短編にしようかと思っています。夜にまた来ます。

517 名前: ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/03(月) 13:00:50 ID:mo1fLUoX
ミス、>>515です……。

>>512
最後の最後でルート分岐あるかもしれません。

518 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/03(月) 13:41:27 ID:DzrUaObQ
GJ!!
たまには逝きぬきもいいね~。
イロリ胸でけぇwだがそこがイイ!

519 名前: ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:22:27 ID:Z1lt/1ae
予告どおり、短編投下します。
ちょっとながいかもです。

520 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:23:01 ID:Z1lt/1ae
『二人なら』

嘘ばかりついているから、みんなに見放されたんです。
どうしても正直ではない私は、生まれてから一度も本当のことを言ったことがありませんでした。
だから、誰もが離れていく。
私が誰も信じていなかったから。信じられていないみんなは私を信じない。
分かっていました。でも、分かっていてもどうしようもないことでした。
正直な気持ちは私の中にしかなくて。口に出してしまえば幾つかの意味はもう失った、ただの言葉になってしまうのです。
本当のことをいえないと分かっているから、本当のことを言おうともしない。
誠意が無い。
こうして、私は少しずつ孤立していき。
今は、もう一人だけのただの孤独な動物でした。
物語をする存在『人間』とは、もはやとてもいえない、ただの有機物。
それが今の私でした。
「またあの子ボーっとしてる……気持ち悪い」
「放課後なのにね。いっつも最終下校までああして座ってるのよ」
「……ほら、見てよ。やっぱりまばたきしてない……。やばいんじゃないの?」
「クスリとか、やってるのかもねー」
「やだ、最近大学とかでも流行ってるらしいから、ウチらの高校も……?」
「ありえるー」
クラスのみんなは、いつもこうして私を不審者のように扱います。
ただ、こうして座っているだけ。
なにもかもがおっくうで、誰かと関わることも、誰かを観察することも。ただ面倒で。
こうして流れ込んでくる言葉の意味も、本当には分からなくて。
ただ、私は見放されたんだと、そんな自覚だけが心の中に残って。
「あ、チャイム鳴っちゃった。帰らなきゃ」
「あたしもー」
「そうだ、スイーツ食べに行こうよ!」
「マジ、おごりー?」
「んなわけあるかって」
「あたっ」


521 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:23:34 ID:Z1lt/1ae
二人はチャイムを聞くとすぐさまカバンを持ち、教室を出ました。仲がよさそうで、何よりです。
私は立ち上がることすらもう面倒で、そのまま座っていました。
このまま、この場所で石になってしまえば良いのに。そうすれば、何も変わらないまま。
『過去』になれる。本当になれる。本物になれる。
でも、それは許してはくれない。
たぶん、あの人が来ます。
「はいどうも、風紀委員ですよー。この時間になっても残っているお馬鹿さんはここですかー?」
がらりと勢いよく扉を開けて入ってきた人。
井上先輩。二年生の、風紀委員。
黒のショートヘアに眼鏡の、一見真面目そうな女性。
実際、生活態度も真面目そのもので、統率力やリーダーシップ、能力が高くて、学校でも優等生。
でも、私は知っている。この人は、私と同じだって。
嘘ばかりついている。
「やっぱり、希望(のぞみ)さんですか。いつもお勤めご苦労様です」
特徴的なくすくす笑いとともに、井上先輩は私に歩みより、肩にぽんと手を置いた。
「でも、このままここにいたら、石になっちゃいますよ。帰りましょう」
優しい手。でも、とても冷たかった。
服の上からでも分かる。とっても、冷たかった。
たぶんそれは、心が冷たいから。
「どうして……?」
「なにがです?」
「どうして、私にこんなにかまってくれるんですか?」
隣に並んで歩く井上先輩に、私は以前からの疑問をついに投げかけた。


522 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:24:05 ID:Z1lt/1ae
「かまってるって、そんなに執着しているように見えますか、私は」
井上先輩は、小ばかにしたような笑みを浮かべる。
実際は、穏やかな笑みだった。けど、私にはその心の中にある邪悪が見えるようでした。
「なら言いますけど、私はあなたのことなんて虫けら程度にも気にかけていません。ただ、たまたま帰る方向が同じで、帰る時間が同じだという、ただそれだけです」
「……そう、ですか」
「怒らないんですね。女の子なのに。女性はえてして感情的です。ここは怒る所ですよ、希望さん。そうすれば楽になれます」
「楽……?」
「いつか、分かりますよ。楽に生きるということがどういうことか」
井上先輩は、気分がよさそうにカバンをぶんぶんと振って歩きます。
その姿が、私にはどうしようもなく輝いて見えました。邪悪なのに、なぜか美しく見えたのです。
「私は、あなたの生き方でも悪くないとは思いますけどね」
「え……」
井上先輩が急に放った『好意的な言葉』に、私は一瞬反応できませんでした。
「私は、食虫植物が好きなんですよね。だから、『花』みたいに生きることを目標にしていますし、たぶん成功しています。あなたは、たぶん『石』ですかね」
「石……」
「花も石も、あんまり動かないところは似てますよね。でも、石のほうが、たぶん楽に生きる可能性があります」
――だって、もともと生きてないんだから。
生きていることも、死んでいることも同じでしょう? くすくすと、井上先輩は笑った。
よく見ると、その顔は整っていて、美しいといっても過言ではありません。
いえ、美しいと呼ばなければ、たぶん間違いになるでしょう。
私は、やっぱり井上先輩は嫌いです。
私と同じなのに、違う。決定的な何かが違う。


523 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:24:35 ID:Z1lt/1ae
「ただいま……」
家に帰ると、いつもよりにぎやかな声が聞こえてきました。
「お父さん。帰ってるの……?」
「希望。おかえり。さあこっちへ来なさい」
お父さんに連れられて、客間へ向かいます。
この時点で、これ以降がどういう展開になるか、大体予測はついていました。
「よぉ希望ちゃん、久しぶりやなぁ。美人になったやないか!」
「ほほぉ、これはこれは。とんだ上玉ですね」
二人の男。一人はガラの悪い関西人。もう一人は、キャリア風の男。
どちらも、たぶんお父さんの仕事相手か『オトモダチ』。
関西人の方は、以前も会ったことがある。目的は明白。もう一人も、たぶん同じでしょう。
「悪いね、希望。いつも父さんのために……」
お父さんは申し訳なさそうに私に言った。嘘つき。
私の事情になんて蓋をして、この人は被害者ぶって私に自らのエゴの反動を押し付けてくるだけなのです。
でも、もうこれは帰られない現実です。
だから、受け入れてしまうことしかできませんでした。
「じゃあ、ごゆっくりお楽しみください」
お父さんが客間に鍵をかけ、私と男二人が取り残されました。
制服が汚れるからいやなのですが。まあ、これも『仕方の無いこと』なのかもしれません。
「ほらさっさとその制服、ぬぎぃや」
「はは、まあまあ。もう少し楽しみましょうよ、西野さん」
「東郷はんがいうんやったら……」
東郷というエリートサラリーマン風の男は、にやにやといやらしい目で私を見る。
上から下まで、舐めまわすように。
汚らわしいです。えさを目の前にした、豚のよう。
まるで、社会そのものの家畜。
世界の歪み。


524 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:25:10 ID:Z1lt/1ae
「そうですね、まずは、スカートを自分の手であげてください」
「……」
無言で従う。両手で、のろのろとスカートをあげ、下着を男に晒しました。寒い。
「ピンクですか。可愛らしいものを。これも、お父さんに頼まれたんですか?」
「……」
「そう言えば、始めましてでしたね。私は東郷、お父さんと、そこの西野さんのお得意さまみたいなものです」
東郷は、礼儀正しく挨拶をしたかと思えば、また下衆な顔にもどって私に近づく。
スカートの中身をまじまじと観察して、顔を近づける。
域が当たってくすぐったい。
「君のお父さんはひどい人ですね。仕事を取るために、可愛い娘さんを売春婦にするだなんて……。もともとあの取り引きはお受けするつもりだったのに、これはとんだ儲けものです」
べろりと、私の太股を舐める。不快感が前進を走り、びくりと震えた。
「敏感なんですね。本当に、上物ですよ」
勘違いをしているようです。
あなたのような人に性感なんて抱いたことはないんですよ。
例えば、今後ろでマヌケ面をして見ている西野。
この男は幾度となく私を汚しつづけましたが、この男の独り善がりなセックスは、もうセックスではありませんでした。
ただの自慰行為。
私の身体を玩具にしているだけ。
この東郷も、たぶん同じ人種でしょう。自分に正直すぎるから、他人のことなんてまるで見えていない。
こういう極端な生き方をする点は、私と同じなのかもしれません。
「さて、下着をおろしてください。ゆっくりと、じらすように……。私にこびながら、ね……」
「……」
ためらいはない。
下着に手をかけ、指示どおりにおろしていく。女の大切な部分があらわになってゆく。
もっとも、私にとってはもうただの穴に過ぎませんでしたが。
さて、今日の夜も長くなってしまいそうです。何時間くらいで飽きてくれるでしょうか。
二人相手だと、しばらくは終わりそうにありません。
獣のように私の身体をむさぼる男達のことなど既に脳内から消去されていて、私はただ今夜の深夜にあるマイナー映画を見られるかが気がかりなだけでした。


525 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:25:40 ID:Z1lt/1ae
次の日も、同じです。
睡眠時間が三時間にも満たない私は、授業中も殆ど目を開けたまま寝ていました。
休み時間も、同じ。
寝ていることも、起きていることも、私にはほとんど同じ状態になっていました。
それはたぶん、生きていることと死んでいるということが同じだと、そういう私の現状と同じなのだと思います。
しかし、その日は違いました。
「ねぇ、なんてあんた目を開けたまま寝てるの?」
「――ぇ?」
「あれ、寝てたんじゃないのか。いや失敬。あたしはてっきり目をあけたまま寝ているのかと」
「いえ、寝ていました……」
何故、わかったのですか?
「なんとなく。だってさ、起きてるといろいろ考えちゃって、あんたみたいには静止できないよ。だから、寝てるんだって思った」
「それは……そうですね」
「あ、あたし、同じクラスだけど一応自己紹介しとくね。涼子(りょうこ)。涼ちゃんって呼んでいいよ」
「涼……さん?」
「ちょっと違うんだけどなぁ。まあ、いっか。じゃあ、こんどはあんたの番。クラス同じだから知ってるけど」
「私は、希望(のぞみ)といいます」
「ニックネームをつけるのが難しそうな名前だね」
あはは、と、涼さんは笑った。もしかしたら、生まれて初めてみたのかもしれません。こんな笑顔を。
純粋で、なんの邪悪も無い。
本当に、綺麗な笑顔。
「あの、涼さん」
「ん、なに?」
「私に話し掛けたりして、いいんですか? 見られていますよ……。もしかしたら、あなたも……」
「あんたと同じになるってか?」
先読みされてしまいました。あたりまえでしょうか。
こういうときのいじめられっこのセリフは、大抵同じです。
手を差し伸べて欲しいのに、強がって。誰かの優しさに甘えて。
そんなに弱いから、味方がいないんだって、分からなくて。


526 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:26:10 ID:Z1lt/1ae
「ないない! んなわけないって!」
「え……」
涼さんは元気良く私の机の上に座ると、私の顔の前に顔を持ってきました。近いです。
目と目が合う。
一瞬、どきんと心臓が跳ねました。
「ねぇ、希望。あんた、いじめ、止めて欲しい?」
「……私は、いじめられてなんか」
「いないって? 嘘だね。私は知ってる。あんたの体操服ずたずたにされたり、あんたの下駄箱にゴミが入ってたり、お弁当捨てられたり……。全部、知ってんだから」
「……私は」
「ま、ただじゃないんだけどね。先に言わないと詐欺だから言うけど」
「え……」
「あたしの『おもちゃ』になりなさいよ。そうすれば、いじめ、止めてあげるわ。あたし犯人知ってるから、そいつらシメちゃえばいいんでしょ?」
「でも、そんなこと……」
女の子には、無理です。
私の敵は、結構多いんです。
「だいじょーぶだいじょーぶ。あたしはこう見えて、『オトモダチ』がいっぱいいるんだ。こわーい、『オトモダチ』がね」
「……」
「で、あんたは、この状況で立ち止まるか。それとも前に進むか、どっち?」
もう、答えは決まっていました。
いえ、この人に会ったときから、すでに全ては私のなかで決まったのかもしれません。
私は、涼さんのその綺麗な笑顔に、心奪われていたのです。
だから、迷わず首を縦に振りました。
「じゃ、今日からあんたはあたしの『おもちゃ』。あたしはあんたの『御主人様』。わかった?」
「……はい」


527 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:26:41 ID:Z1lt/1ae
そうして、その日は放課後、すぐに涼さんに誘われて一緒に帰ることになりました。
「ねぇ、あたしの家、こない?」
「え……」
「いいじゃん。あたし、一人暮らしなんだよね。だから家族はいない。誰にも迷惑かかんないし」
「あ、はい。わかりました」
「えらいえらい」
涼さんは私の頭を優しく撫でました。
気に入った玩具を磨く子供のその手に似ていて、私は心地よくて。
顔を真っ赤にしてしまって、涼さんに笑われました。
「ほら、そんな緊張しない」
「はい……」
フローリングに正座してしまった私をソファに導き、涼さんも隣に座りました。
「お菓子とか、好き?」
「あの……それって、スイーツっていうやつ、ですか?」
「へっ……?」
ぽかんと、涼さんは目を丸くしました。
「あの、私、なにかおかしなことを?」
「あはっあははは! 希望おもしろい! あんたの口から、『スイ―ツ』って! こりゃ傑作すぎる!」
「え、そんなに変なことを……?」
「いやぁ、あんたも女の子なんだなって。機械みたいな奴だから興味沸いたんだけど、こんな可愛いやつなんて! ……こりゃ、とんだ拾い物だね」
「そ、そんな……」
――可愛い。
先日、あの男達に散々言われたことでした。
でも、それはただの言葉。なんの意味ももっていないと、そう思っていました。
なのに、涼さんの口から出たその言葉は。
「可愛いよ、希望。あたし、ずっとあんたのこと見てたんだからね」


528 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:27:11 ID:Z1lt/1ae
――可愛い。
その言葉が、意味のあるように思えて。
「ロボットみたいに動かなくて。可愛いのにいじめられてて。なんだか、ほっとけなくてさ」
「涼、さん……?」
涼さんは、持ってきたお菓子をひとつ口にくわえます。
チョコレート。たぶん、手作りのトリュフでしょう。とてもとても、甘そうで、綺麗なんビーダマみたいに光っていました。
「涼さん……あっ」
涼さんは突然私の身体を掴んでソファに押し倒すと、私に覆い被さって唇を重ねました。
強引に、チョコレートを私の口の中にねじ込んできます。
「ん……んぅ」
焦って呼吸困難になる私を、冷静にくみふせたまま、舌で攻め立てる涼さん。
私の口の中にねじ込んだチョコレートを舐めとり、私のしたと絡ませあいます。
食べ物が口の中に入ったことで自然に沸いて出た私の唾液を強欲に吸い取り、ずるずると音を立ててむさぼります。
ああ……。その甘美な感触は、すぐに私の脳を沸騰させて機能停止させました。
「んぁ……ん……」
目を閉じ、舌の感触に集中し、正直な気持ちに身をゆだねました。
涼さんの舌にこちらからも絡ませ、涼さんの口の中にも、私達の舌の温度で溶けたチョコを流し込みます。
甘い、甘い。キス。
唇の間から、チョコの混ざった唾液が流れ出て、下にいる私の制服を汚します。
「はぁ……んっ……」
吐息が漏れる。
涼さんは興奮した様子で私をさらに攻め立てます。
私の、チョコで甘くなった舌を一気に涼さんは自身の口の中に吸い上げます。
むさぼるように、互いに顔を近づけ、唾液で口の周りがぐちゃぐちゃになっても気にしないで、長い長いキスは続きました。


529 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:27:41 ID:Z1lt/1ae
「……ぷはぁ……。どう、希望。スイ―ツの味」
「……涼さん」
「ん」
「キスって、こんなにも甘いんですね」
「あたしも、今初めて知ったよ」
「そうですか……うふっ」
「あ、あんた、初めて笑ったね」
「そうですか?」
「そうだよ」
「そうかもしれませんね」
「……やっぱ、可愛いんじゃん」
涼さんは、私の上に重なったまま、私の服を脱がし始めました。
昨日の男達と、同じ。
でも違う。
独り善がりじゃない。
「……希望、いい?」
「何を言っているんですか。私は涼さんのおもちゃですよ?」
「そうだったね……。可愛いよ、希望……」


530 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:28:12 ID:Z1lt/1ae
それからは、まるで夢のような日々が続きました。
私のいじめはなくなり、私は放課後になるといつも涼さんの家でえっちをしました。
とっても気持ちよくて、いままで男達にされていたものはただの自慰行為の手伝いのようなものだと、本当に実感しました。
それでも、私は何度も男達に犯されました。
時には、お父さんにさえも。
処女だって、お父さんに奪われた覚えがあります。
でも、私は抵抗しませんでした。だって、そんなもの私の生活の中では通過点に過ぎなかったからです。
涼さんと一緒にいれば、そんなもの乗り越えることができました。
しかし、そんな夢はたぶん、ただの幻想で。
永遠では、ないのです。
「ねぇ、涼ちゃんって、二年の北林と付き合ってるんだって」
「え、知らなかったの? 有名だよー。涼ちゃんに逆らったら、北林にぶっ殺されるって」
「やっぱり……だから最近涼ちゃんが気に入ってる、あの子。いじめられてないんだ」
「まあ、いい傾向じゃん。あいつ変な奴だからあたしはそんな好きじゃないけど、いじめって言うのはね。短絡的っていうか」
「そうだけど、やっぱり……」
「気にし過ぎだってば。あいつらの問題。あたしらはいつも通りでいいの」
「うん」
そんな会話を耳にしてしまいました。
……恐怖が、私を支配しました。
――付き合っている?
涼さんに、彼氏?
そんな……。
「その話、くわしく聞かせてください」
私は思わず二人に声をかけていました。
あまり性格がよくは無いし、私を好いてくれているわけではありませんが、他の人よりよっぽど正直で、信用できたからです。
案の定、私の剣幕に押されて、詳しい説明を聞くことができました。


531 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:28:42 ID:Z1lt/1ae
二年の北林。
悪名高い不良。ごつくて、人相が悪く、見た目は最低最悪。
しかし、その腕っ節で逆らう人間はいません。
こんな類人猿のような男と、あの涼さんが、付き合っている?
ありえない。
涼さんは、天使のように綺麗な人です。
それが、あのゴリラと?
話を聞いてから、私は何度か北林を遠くから観察しましたが、酷いものでした。
威張りちらし、教師すら見下し、本当に、根元から腐った男だと、一目でわかりました。
弱点も、同時にわかってきました。
二年の鷹野先輩を見ると、急に威張った動作を少し緩和する傾向にあります。
鷹野先輩のことは良く知りませんが、たぶん正義感のある人間なんだろうなと思います。
北林が必要以上に威張り散らすのをみると、鋭い眼光を浴びせ掛け、止めさせるのです。
しかし、この弱点を知っても特に使い道はないだろうと思います。私は鷹野先輩と知りあいではないのです。
――弱点?
なぜ、私は弱点なんて調べていたのでしょうか。
わたしは、涼さんのおもちゃであって、親兄弟、ましてや、恋人でもないのです。
涼さんの彼氏――愛した人――を、なぜ私が審査しているのでしょうか?
それどころか――私は北林を倒そうとしていた気がします。
なぜ、そんなことを。
分からない。
分からないんです。
私は、私自身のことすらわからないんです。


532 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:29:13 ID:Z1lt/1ae
「涼さん……涼さんっ! 気持ち良いですぅ!」
「あたしも……一緒に、一緒にイこうっ、希望!」
イくのはいつも同時です。そんな些細なことさえ今の私にはうれしいことでした。
「はぁ……希望ぃ、よかったよ……」
「はい、涼さんも……」
ベッドの上で、手と手を重ねあう。
「ずっと、二人でこうしていられればいいのにね……」
「……はい」
ずきん。心に皹が入る。
涼さんは、私のことはおもちゃとしか思っていない。
気に入った玩具で、一生遊べると勘違いしている子供と同じ気持ちなんだ。
それは、人間に対する愛の形じゃない。いつかは、飽きてしまう。終わってしまう。
涼さんが本当に愛しているのは、あの北林。
私は、それに口出しすることは許されません。
なぜなら、私はおもちゃだから。快楽を与える道具だから。
おもちゃは、持ち主を傷つけた瞬間にはただの不良品。
スクラップで、ジャンク。
私は、そこで立ち止まってしまう。
でも、それが正しいと、分かっているんです。
涼さんを愛してしまったから、傷つけたくないんです。
「では、今日は失礼します」
「うん、じゃあね。また、明日」
「はい」
ぺこりと頭を下げ、涼さんの家をでる。
ふりをして、さっき涼さんがシャワーを浴びている好きにあけておいたトイレの小窓から再進入する。
どうしても、黙ってはいられませんでした。
これが現実だと、認めることができませんでした。
だから、確かめようと思いました。

533 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:29:43 ID:Z1lt/1ae
トイレから物置に移動し、中に入ってじっと待つ。
北林を調べていたとき、偶然、今日涼さんの家に来るという情報を手に入れました。
それが本当なら、あと少しで来るはずです。
……インターホンが鳴りました。
すきまから、少し覗くと、涼さんの顔が見えました。
何故か、悲しそうな顔をしていました。
私には笑顔ばかり見せていた、あの明るい涼さんが、こんな悲しそうに。
何故?
「おう、涼子。来てやったぞ」
北林は偉そうに上着を脱ぎ、涼さんに渡しました。
「うん……シャワー、浴びてきて」
「面倒くさい。今すぐ脱げ」
「え……でも」
「いいから早くしろ!」
北林は涼さんの服に手をかけ、一気にびりっと破ってしまいました。
乱暴に涼さんをベッドに放り投げ、上から覆い被さります。
ベッドは私の角度からは良く見えません。声を聞くしかないみたいです。
「お前、もう濡れてんじゃねえか」
「これは……」
そう、私とさっきまでしていたからです。
「淫乱女が。俺が来るからって、オナニーでもしてたか?」
「ちが……んっ!?」
「はぁ……はぁ……もう我慢できねぇ、ほら、脚開け」
「んっ、やだ、そんな乱暴に……きゃ!」
「ははっ、てめぇなに抵抗してんだ。俺のおかげでいじめられなくなって、俺のおかげでお友達のいじめも止まったんだろうが! その分ご奉仕しろよ!」
そんな……。
北林の力で、私は助けられたんだ。
そんな真実に放心する間に、涼さんの声は大きくなってきました。


534 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:30:31 ID:Z1lt/1ae
「いたい……いたいよぅ……」
「ほら、もっと泣けよ!」
「うぐっ……だ、だめ、中は……今日は駄目ぇ!!」
「ほら出すぞ!」
「やだ、やだぁ!」
……もう、いや。
耳を塞いでも聞こえてくる声。
涼さんが、苦しんでる。
これは、私とあの男達の時と同じ。
独りよがりな自慰行為。
もう……。
いつの間にか、涙が流れていました。
いつからだったでしょう。でも、もしかしたら。
生まれたときから、ずっとずっと、泣いていたのかもしれません。


535 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:31:02 ID:Z1lt/1ae
――終わった?
気がつくと、北林は帰っていました。もう、深夜。
物置の中で、ずっとすすり泣いていました。
耳を物置の壁につけてよく聞いてみると、外では涼さんのすすり泣きが響いていました。
「希望……希望……」
――私の名前を、呼んでる?
「うぅ……希望……」
すすり泣きながら、私の名前を呼んでいます。
……ここで私は、出て行きたい衝動に駆られました。
でも、ここで出て行ったら、私はただの不法侵入者。救世主ではないのです。
私はおもちゃ。
決して、恋人じゃない。
……。
――また、ここで立ち止まるんですか?
突然響いてきたのは、井上先輩の声。
でも、私は……。
――そうやって言い訳して、ばつの悪い事情に蓋をして。そうして生きてきたから、あなたは孤独だったんです。
分かってる。分かってるけど、どうしようもないよ……。
「希望……」
――聞こえているんでしょう? あなたを呼ぶ声が。
それでも、私は戦う人間じゃありません。涼さんを守れないんです。
――あなたは、今の自分を守るために逃げているんじゃないんですか?
そうだけど……でも、私は、それ以外できないから。
今の、夢見たいな幸福を逃がしたくないから。
だから、何もできない。
――戦うのは、いつだって自分のため。
……でも。
――人間は、自らのエゴのために生き、そしてそのために戦っています。
……でも、私は。
――それを綺麗な言葉で否定して、誰かのために今の世界を守るんだって、変わっていくことから逃げて。
……私と、涼さんは……。
――自分の引き金くらい、自分で引かないと。
……恋人じゃないのに。
――その『覚悟』があれば、たぶん。
……なのに、なんで……。
――もっとちゃんと、自分の足で前に進めると思うから。
「希望……助けて……」
私は――っ!

536 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:31:32 ID:Z1lt/1ae
「希望……どうして……?」
物置を飛び出して、とうとう涼さんにかけよって抱きしめてしまった。
恋人じゃないのに。人間を気取って。
「涼さん……いえ、涼ちゃん! 私は……私は、涼ちゃんを愛しているから……!」
「希望……」
「だから、その涙を、止めてみせます……!」
「希望……!?」
押し倒し、唇をむさぼる。
あの男の精液を流し込まれたその口の中に舌をねじ込み、あの男の残滓を、掠め取っていく。
「んっ……希望、汚いから、そんなっ……」
「汚いものは、私にこそお似合いなんです」
そう言って、全身を舐めまわす。北林の薄汚い汗や精液を舐めとり、きれいにしていく。
そして、秘所にたどり着いた。
「ん……あ、あぁっ!! だめぇ!!」
涼ちゃんが、感じてる。
北林の時とは違う。もっと大きな快感に身体を震わせている。
「そこは、だめっ、だめ……汚いよぅ……」
「涼ちゃんの身体に、汚いところなんてありません……。それに、あの男の――」
――あの男の残りかすを、全て取り除かないと。
中に放たれた精液を、舌を奥までいれてかきだしていく。
そのたびに快感で涼ちゃんがびくびくと振るえる。可愛いです。
北林はしらない。涼ちゃんがどうすれば感じるか。どうすれば喜んでくれるか。
私は知ってる。私は、涼ちゃんのおもちゃだから。
「あっ、だめ、そこはぁ……! のぞみ、のぞみぃ、そこ、だめぇ!! んあぁあ!!!」
何回目かも分からない絶頂に涼ちゃんは叫ぶ。でも私は、やめない。
綺麗になるまで、バター犬みたいに、機械的に、ずっと、ずっと。


537 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:32:02 ID:Z1lt/1ae
「はぁ……はぁ……希望……なんであんたは……」
「すみません……。私、涼ちゃんに彼氏さんがいることを知って、いてもたってもいられなくて……」
「そっか……」
「余計なことをして、すみませんでした……。あの人が、涼ちゃんの愛した人なんですよね。なのに、私はその間に入ろうとして……」
「愛、ねぇ。そんなもん、あんのかなぁ」
「え……」
「聞いてたんでしょう? あたしと北林、利害一致してんの」
「それって、一体……」
「あたしね、本当はバイじゃなくて、レズなんだ」
「……」
「でも、昔そのことがばれて、気持ち悪いって、執拗にいじめを受けるようになった。そのとき、北林が現れてね、あたしにあるセリフを言ったの」
「もしかして……」
「そう、いじめを止めてやるから、おもちゃになれってね」
「そんな……」
「そういうこと。わかった? ……つかれたから、今日はもう寝よう、ね?」
「はい……」
その夜は、綺麗な月の夜でした。たぶん、もう少しで満月になる。
もう少しで。
そして、私達はいつしか手を繋いだまま眠りに落ちていました。
繋いだ手は、互いに強い力で結ばれていて。
決して放さない。
そんな夢物語も、今なら信じてしまえそうでした。


538 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:32:33 ID:Z1lt/1ae
「……」
起きると、涼ちゃんはもういませんでした。
先に学校に行ったのかと思いますが、学校にはまだ早い時間です。
見ると、机の上に書きおきがありました。
'ちょっと体調悪いから、病院行ってから学校行くね。先に行ってて。また後でね"
しょうがないと、私は制服を着ました。
置き手紙の横には、私に作ってくれた朝食がありました。
おいしい。
不思議です。涙が流れていました。
ただのサンドイッチなのに。
こんなに……。こんなに、心に染み込んでくるなんて。
そうして、私は学校に行きました。
いつ涼ちゃんが来るか、ずっとどきどきしながら待っていても、涼ちゃんは現れませんでした。
「……涼ちゃん」
ぽつんと、呟く。
でも、誰もいない教室に響くだけです。
放課後になっても、結局姿を見せなかったのです。
涼ちゃんと出会う前と、同じ。まばたきもせず、ただ、石のように固まっていました。
と――がらりと扉が開きました。
「お久しぶりですね。シンデレラさん」
井上先輩は、くすくすと花のように笑いました。


539 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:33:03 ID:Z1lt/1ae
「そうですか。あなたは、恋人じゃないから迷っているんですね」
「はい……。私は涼ちゃんの恋人じゃないから」
「で、それに何の問題があるんですか?」
「え……?」
「私は、今とてもとても手に入れたい人がいます」
井上先輩は、とてもきらきらした目をして放し始めました。
まるでそれは、無垢な乙女のように。
似つかわしくない、夢見たいな心で、ふわふわと、楽しそうに。
「その人のことが好きなのかは、私自身にもわかりません。でも――」
「……」
「――私は、後悔しない生き方のために、嘘をついてきたんです。だからこの正直だけは、絶対に逃がしたくないんです。彼を手に入れたいという気持ちだけは、絶対に……」
「井上……先輩……」
「だからっ」
にっこりをこちらを振り返ると、いつもの先輩でした。
「楽に生きるって言うのは、努力を放棄することじゃないんです。欲しい未来のために努力するのも、それは楽に生きてるってこと」
――自分を押さえつけるんじゃ、その嘘は嘘の意味、ないじゃないですか。
くすくすと、井上先輩は笑った。
「……はいっ!」
私は、決心した。
井上先輩のおかげだ。
そういったら、彼女は「なにがです?」と、とぼけていた。
けど、私は知っているんです。井上先輩は、たぶんいろんなことを知っているから。
だから――知らない振りしているんだろうなって。
それが、楽に生きるということ。
悲しい未来にならないために、努力するということ。
強くなるということ。
他人に嘘をついても、自分には嘘をつかない。そんな生き方。
だから――。


540 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:33:07 ID:1W2weFdT
支援

541 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:33:34 ID:Z1lt/1ae
「ねぇ、北林先輩」
「あぁ……? なんだよお前、涼子のダチ……うごっ……?」
マヌケな声をあげて、北林はうずくまりました。
「てめぇ……いきなり……ナイフ……」
おなかを押さえていますが、黒い血がどんどん流れ出ています。
放っておけば、もう、死ぬのも時間の問題でしょう。
でも、楽には死なせません。
「まずは、目です……」
「う、あ、まて、待ってくれ……おい……ああ、あぎゃああああああああああああああ!!!」
「うふっ」
何故だか、笑いがこみ上げてきます。
楽しい。
何故でしょう。私は今、返り血を一杯浴びて、不快で。
でも、楽しい。
「うふっ、うふふふ」
楽しい。楽しい。
涼ちゃんに褒めてもらった笑顔を、今浮かべているんだろう。私は。
この笑顔を、涼ちゃんに見せてあげたいくらいです。
「あはっ、あはははははははははははははははは!!!!! 楽しい、楽しいよぉ!!!!!!」


542 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:34:05 ID:Z1lt/1ae
「うふ、ふふふ……」
壊れたオルゴールみたいに笑いながら、私は山に死体を捨てに行きました。
誰かに見られてもかまわない。
返り血を拭かないまま、乱暴に北林を袋に詰めて、お父さんの車を勝手に運転して山に入り、引き摺っていきます。
できるだけ、人に見つかりそうにない場所……。
そう思って探していると、おあつらえ向きに誰も入らなさそうな険しい場所を見つけました。
……ん?
人影。
まずい、隠れないと。
「ねぇ、ちょっと!」
見つかった……! でも、この声は……。
「涼……ちゃん……?」
「うん。こんなとこで会うなんて、奇遇だね」
「はい……。涼ちゃん、その袋は?」
「ああ、これね」
袋をめくると、見知った顔が現れました。
「お父さん……?」
「うん。そうだよ。あと、西野っていうひとと、東郷っていう人は、既に埋めちゃったから」
涼ちゃんは、いつもの純粋向くな笑顔でえへへと笑いました。
「褒めてよ、希望」
「涼ちゃん……」
「ま、いいや。で、それは?」
私の引き摺っている袋を指差す涼ちゃん。
「これは……」
――涼ちゃんの、彼氏。
いえるわけが無かった。彼は涼ちゃんを守るもの。
おもちゃの私がそれを壊してしまった。なら、私は……。


543 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:34:40 ID:Z1lt/1ae
「じゃあ勝手にみるね」
「だ、だめ……」
「ご開帳ー! ……へぇ、北林じゃん。昨日ぶりー」
「え……?」
のんきに涼ちゃんは、北林の死体に挨拶をしました。
「いやぁ、相変わらず、死んでもこいつは仏さんっていうよりゴリラだよね。希望もそう思うでしょ……?」
「希望ちゃん、どうして……?」
「そりゃ、あたしのおもちゃを勝手に使う馬鹿は駆除しないと」
涼ちゃんはちらとお父さんを見て言った。
憎悪のこもった目。
でもお父さんのことなんてどうでもよかった。
「この人、涼ちゃんを守ってたんだよ……?」
「いいよ別に。私は、もっと大切なものを手に入れたんだから」
「もっと、大切なもの……?」
――何、それ?
涼ちゃんの大切なもの?
もしかして、おもちゃの私はもう、次の何かにとってかわられて……。
「それはね、希望だよ」
「え……私……?」
「そんなに意外そうにしないでよ。気付いてるとおもったんだけどなぁ、あたしが希望のこと、本気で愛してるって」
「でも、わたしはおもちゃで……」
「おもちゃだけど、代わりはいないでしょ。希望っていう名前の、ひとつだけのおもちゃ」
――だったらそれ、人として立派に生きてるってことでしょ?
涼ちゃんはそう言って私に微笑んだ。やっぱり、この笑顔はすごいです。
私の、皹の入ったこころを一瞬で潤わせてくれます。


544 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:35:11 ID:Z1lt/1ae
「ねぇ、希望……。あたしね、ずっと前からあんたのこと、見てたよ。前にも言ったでしょ」
「……でも」
「あたしがレズだからとか、あんたが好みだからとかじゃない。あんたのこと知りたくなって、調べてみたら、なんかあんたのことが、何よりいとおしくなって……だから、あたしは」
涼ちゃんは。
「あたしは、嘘ばっかりついてきた。でも、あんたはそんなあたしを許してくれた。だから、希望には、もう少しだけ正直になろうと思って……」
涼ちゃんは。
「だからさ、この殺人の罪は全部あたしが引き受けるからさ。ばれるまで、ちょっとだけ時間を稼いだから……その時間だけは、一緒にいさせて欲しい」
涼ちゃんは、最初から私を救うつもりだったんだ。
私をただの人形から、人間に変えるために。
でも、それは。
涼ちゃん自身が義性になるということ。
「涼ちゃん、私は……」
「三人も殺したあたしと一緒にいたくないのはわかる。でも、今あたしは正直になったから、だからお願い……!」
「私は、涼ちゃんのこと、誰より愛しているんです。これは、本当の気持ちです」
「……!」
「私も、涼ちゃんと同じ。嘘ばかりついていました。でも、涼ちゃんと二人なら……変われる。前に進める。そう、思ったんです」
これは、私の本当の気持ち。
嘘じゃない。
この気持ちは、絶対に嘘じゃないと、確信しているから。
「だから、涼ちゃんだけが罪を背負うんじゃなくて、二人で……。二人で、ずっと一緒に」
「希望……」
歩みより、涼ちゃんの手を取ります。
小さくて、柔らかくて、暖かい手。
本当のぬくもり。
これは、嘘じゃない。


545 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:35:41 ID:Z1lt/1ae
「今夜は、月が綺麗ですね。涼ちゃん」
「うん、そうだね、希望」
見上げると、山奥の森の木々の間から、満月が見えていました。
まるで私達を祝福する光のようで。今の私には、その光すら心地よくて。
「旅に出ましょう。永遠の旅に」
「そうだね、二人なら……」
「死ぬまで……。いえ、私達なら、死んでも手を繋いで……」
「行こう。ここから、また生まれたんだ。あたしたち」
こうして、手を取り合って私達は歩き始めました。
月明かりが照らし出す新たなる旅路。
人としての人生。人として生きられないかもしれない人生。傷付いてしまった人生。
変わっていくこと。それは自然なこと。
変えていくこと。そえは傷付いていくこと。
私達は、変えていくことを選んだ。
それは、前に進むということ。
強くなるということ。
またここで、生まれるということ。

ここでまた、二人の生命を確かめるように、私達は唇を重ねました。
――それはまるで、チョコレートのように。

甘い甘い、約束の味がしました。

546 名前:二人なら  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:37:42 ID:Z1lt/1ae
>>540 支援ありがとうございます。

終了です。ちょっと哲学ちっくになりましたが、退かずに読んでくれると嬉しいです。
短編はまとめるのが難しいですね……。
では、また。

547 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:39:40 ID:Mby792yb
>>546
引くなんてとんでもない。リアルタイムGJ

548 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:40:31 ID:1W2weFdT
リアルタイムGJ!

切なくてかわいくて悲しくてきゅんと来たぜ…

549 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 01:47:25 ID:CtUU7hgN
>>546
GJ
いいぞ、もっとやれ

550 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 02:00:02 ID:DQD0l2Wd
とりあえず百合って注意は必要じゃなかったか?
しかしさすがにヤンデレってより、普通に欝系百合話って感じがするな・・・

551 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 03:08:11 ID:F9uCo0ps
・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。

552 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 07:21:47 ID:ATNfGRSf
具体的基準はないから個人裁量だろうが、まあ予告した方がベターかな
次からは気をつけた方がいいと思われ

話は良い! ちゃんとヤンデレだし、二人ともかわいい!

553 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 09:40:28 ID:wAcvtCNp
GJ!!
百合?イイヨーイイヨー

554 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 14:03:16 ID:i+oGE3yK
注意書きはつけてほしいな。
百合苦手な人間も少ないないんだから。

555 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/04(火) 17:33:03 ID:W1q3m/+j
・・・・・。

556 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 18:11:12 ID:onJ3mvkK
>>554
イヤなら来るなよ、クソ野郎が。

557 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 18:32:25 ID:ATNfGRSf
>>556 まあまあ、気持ちは分からんでもないが、そう怒りなさんな
ここは百合スレじゃなくてヤンデレスレだから、百合に対してはそういう意見の人もいてしゃーない
来るなとは少なくとも言えない

>>554 あんたも気持ちも分からんでもないが、上の方で作者氏への忠告は完結している
せっかくへの力作にねぎらいもなくまた話題を掘り返して愚痴るのは、あまり好印象じゃない
作者氏も、もしかしたら面白くなかったかもしれないと不安になるかもしれない

ここは小説スレであるから、本来は作者本位のはず
気持ち良く作品を読むためにも、読者もいい雰囲気で作者を迎えるべきだと思う

何度も書き込んですまん
最近多かったから…

558 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 18:39:59 ID:dgW/u7OM
>>556と>>552がとても同一人物とは思えん

559 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 18:40:34 ID:9OcYWsjC
>>556
テンプレに書かれていることを守ってないんだから言われるのも致し方ないかと
まあ、他の人も注意してるし何度も言うことではないと思うけどね

560 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 20:07:17 ID:3sSacoPP
ガチホモ耐性は無いが百合は想像もつかないから大丈夫な俺は勝ち組

561 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 21:50:21 ID:Mby792yb
>>560
なんとなく分かる

562 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 22:01:09 ID:/HmeOot3
ちょっと前のキモ姉キモウトスレの惨状を見たばかりに少々不安だ

563 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 22:08:38 ID:CpGc4m0X
まぁあっちは姉・妹っていう性別の縛りがあるからな

564 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 22:19:52 ID:uN5a6A7w
他スレの事情をここに持ち込むな

565 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 22:36:01 ID:DqfIoM1e
いちいちケンカ腰なのはどうにかならんかね

566 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:39:19 ID:NWqJVb6T
ハロウィンss投下します
おかしいなあ、今日は十月三十一日のはずだったのに
というわけで、十月三十一日のつもりでお読みください

567 名前:Trick or! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:40:29 ID:NWqJVb6T
ガンガンという音が響いてくる。
うるさい。
何なんだ、人ん家の玄関を乱暴に叩きやがって。せめて呼び鈴押せよ。いや、迷惑度

は呼び鈴のほうが高いか?
俺は布団から体を起こすと、寝巻きのまま着替えもせずドンドンという音を立ててい

る玄関に向かう。
来客か? だとしたら俺の名前を呼ぶはずだ。宅配便? だとしたら呼び鈴鳴らすだ

ろうし、「宅配便でーす」のような感じのことを告げるはずだ。となると……宗教勧誘

か新聞か? もしそんなことで俺の安息の時間をかき乱したなら、俺は決して許しはし

ない。ドアを即閉めてやった後、ネットにお前らの悪口、というか事実を書き込んでや

る。覚悟しやがれ!
俺はそんな陰湿な思考をしつつ、玄関ドアについている魚眼レンズを覗いた。が、真

っ暗で何も見えない。誰もいない?
とりあえずドアを開けてみる。すると何か硬いものにぶつかる感覚と、ガン、という

音とともに「痛っ!」という可愛らしい声が聞こえてきた。
恐る恐るドアを引いてみると、そこにはデコを抑えた、黒いトンガリ帽子とマントを

羽織った、顔が見えないから断言は出来ないが、多分少女がうつむいて立っていた。お

そらくうつむいているのは俺の所為。
「うわっ!」
つい驚きが声に出てしまう。誰もいないかと思って開いたのにこんなおかしな格好し

た少女がいたら普通驚くとは思う。というか、冷静になって考えてみれば人がいないな

ら真っ暗じゃなくて外の景色が見えるはずだ。多分この少女がドアにかなり近付いてい

たので、この帽子がちょうど魚眼レンズをふさいでしまっていたから真っ暗になってい

たのだろう。
「だ、大丈夫?」
結構強く開いたからな。そこそこのダメージだろう。
俺はとりあえず少女に声をかける。事情を聞くのは後だ。
「は、はい」
少女の声は若干かすんでいる。両手をデコからどかすと、確かに目の端には涙の粒が

あった。
……というか、涙とかそういう以前に、なんだこの確定少女の可愛さは。
パッチリと開かれた目に、すっと整った鼻。そして柔らかそうな唇! ほのかに朱が

さした頬と潤んだ瞳のコンボはまさしく反則! ドアぶつけてよかった! さらにボブ

カットの黒髪が黒の衣装とあいまってどこかミステリアスな雰囲気を出していて最高だ


と、いかん、あまりの可愛さにテンションが明らかにおかしくなってしまった。しか

し、本当に五年後が楽しみな逸材である。

568 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:41:35 ID:NWqJVb6T
すいません、手違いで改行がおかしくなったので、初めから投下しなおします。上のは見なかったことにしてください

569 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:42:08 ID:7VCCD1G+
うむw頼むぞよ

570 名前:Trick or! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:44:08 ID:NWqJVb6T
ガンガンという音が響いてくる。
うるさい。
何なんだ、人ん家の玄関を乱暴に叩きやがって。せめて呼び鈴押せよ。いや、迷惑度は呼び鈴のほうが高いか?
俺は布団から体を起こすと、寝巻きのまま着替えもせずドンドンという音を立てている玄関に向かう。
来客か? だとしたら俺の名前を呼ぶはずだ。宅配便? だとしたら呼び鈴鳴らすだろうし、「宅配便でーす」のような感じのことを告げるはずだ。
となると……宗教勧誘か新聞か? もしそんなことで俺の安息の時間をかき乱したなら、俺は決して許しはしない。ドアを即閉めてやった後、ネットにお前らの悪口、というか事実を書き込んでやる。覚悟しやがれ!
俺はそんな陰湿な思考をしつつ、玄関ドアについている魚眼レンズを覗いた。が、真っ暗で何も見えない。誰もいない?
とりあえずドアを開けてみる。すると何か硬いものにぶつかる感覚と、ガン、という音とともに「痛っ!」という可愛らしい声が聞こえてきた。
恐る恐るドアを引いてみると、そこにはデコを抑えた、黒いトンガリ帽子とマントを羽織った、顔が見えないから断言は出来ないが、多分少女がうつむいて立っていた。おそらくうつむいているのは俺の所為。
「うわっ!」
つい驚きが声に出てしまう。誰もいないかと思って開いたのにこんなおかしな格好した少女がいたら普通驚くとは思う。
というか、冷静になって考えてみれば人がいないなら真っ暗じゃなくて外の景色が見えるはずだ。多分この少女がドアにかなり近付いていたので、この帽子がちょうど魚眼レンズをふさいでしまっていたから真っ暗になっていたのだろう。
「だ、大丈夫?」
結構強く開いたからな。そこそこのダメージだろう。
俺はとりあえず少女に声をかける。事情を聞くのは後だ。
「は、はい」
少女の声は若干かすんでいる。両手をデコからどかすと、確かに目の端には涙の粒があった。
……というか、涙とかそういう以前に、なんだこの確定少女の可愛さは。
パッチリと開かれた目に、すっと整った鼻。そして柔らかそうな唇! ほのかに朱がさした頬と潤んだ瞳のコンボはまさしく反則! ドアぶつけてよかった! さらにボブカットの黒髪が黒の衣装とあいまってどこかミステリアスな雰囲気を出していて最高だ!
と、いかん、あまりの可愛さにテンションが明らかにおかしくなってしまった。しかし、本当に五年後が楽しみな逸材である。
しかし、こんなおかしな格好をした美少女に俺は一切の覚えはないのだが。
ハッ! もしかしてこの子は魔界からの使者で、実は俺が魔王の血を引く唯一の存在とかで、魔王が崩御したため俺が時期魔王に就任することになって、そのことを伝えに来たとか!? 
うはーーーーー!! 俺始まった! 始まったよ! もしかして魔界にはこんな可愛い子がゴロゴロ!? うひょー! ハーレム作っちゃうぜえええええええええ!!
……ねーよ。アニメの見すぎだカス。
「あ、あの」
「は、はい!!」
いかん、妄想にふけっていて目の前の景色を認知していなかった。
少女に声をかけられたことで俺は正気に返る。
「とりっくおあとりーと!」
少女は先端に星を模した――厳密に星を模しているのなら五角形などではなく円であるべきなのだがそれは置いておいて――構造物のついた長さ三十センチほどの棒でビシッと俺を指しながら、とても可愛らしい声でそう言った。
トリックオア……なんだって?
俺はしばし静止し、少女の言った言葉の意味を考えてみる。そして十秒ほどの思案の後、ようやく今日はハロウィンだった、という事実に突き当たる。
ああ、ハロウィンだから、こんな安アパートにまで回って菓子を掻き集めているというわけか。……この西洋かぶれめ! 非国民め!
日本にハロウィンを祝う風習など存在しない! なんでもかんでも祝えばいいってもんじゃねーぞ! マスゴミに踊らされるな! 自分の脳で考えて判断して行動しろ!
俺は脳内でどこか的外れなツッコミを高速で展開する。が、無論口に出したりはしない。こんないたいけな少女にこんな罵声を浴びせるのはあまりにも酷に思われたからだ。これが男だったりしたら思いっきりにらんで罵っていたことだろう。可愛いは正義!
「お菓子……ねえ」

571 名前:Trick or! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:46:20 ID:NWqJVb6T
トリックオアトリート。つまり「お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞ、てへっ」ってことだ。なんという恐喝。でもこの少女にならいたずらされるのも悪くな……悪いに決まってんだろ。俺はロリの趣味はないんだ。
ならば菓子を与えて追っ払うしかないが、家に菓子なんていうそんな非経済かつ無駄なものはない。お兄さんには金がないんだ! パソコン買う金はあるがな! 出せそうなものは作り置きのカレーくらいしかない。先生、カレーはおやつに入りますか!
「か、カレーならあるけど」
「カレー? もしかしてカレーがお菓子に分類されるとでも思ってるんですか?」
おほう! なんとクールなツッコミか。お兄さん傷心! 先生によると、やはりカレーはおやつには入らないそうだ。つーかカレーを一体どうやって持ち帰らせる気だよ。
マントにでもかけるか? それなんて嫌がらせだよ。警察呼ばれるよ。まあ俺みたいな人間失格者がこんな国家によって保護さるるべき天使と会話してる時点で、人によっては十分通報モノだと思うだろうけどね!
「お菓子、ないんですね」
ゾクリとするくらい、少女の声が冷たくなった。帽子の広い鍔に隠れて、表情が伺えないのがより一層恐怖を助長する。
お前どんだけ菓子好きなんだよ! このスイーツめ! 括弧と笑を付けてやろうか!
こんなバカなことを考える余裕もまだあったが、俺は内心かなりビビっていた。可愛らしい容姿を持つ少女なだけに、シリアスになったときのギャップはでかい。
「そ、そういうことだから」
いたずらをされてはたまらん、と俺はドアを閉めた。が、締め切る前に少女はスルリと玄関に滑り込んだ。予想外の行為と素早さに、俺はまんまと少女に俺の城、いや、絶対守護楽園サンクチュアリ! という名のボロアパートへの進入を許してしまった。
どのくらいボロいかというと、幽霊がビビッて近寄らないくらいボロい。なんということだ。これでこの少女がちょっと大きな声を上げようものなら、きっと公僕が一ダースも飛んできて、俺は未成年者略取の疑いで手が後ろに回り、「
刑事さん……なんで俺、こんなことになっちゃたのかな」とか言いながら熱々のカツ丼を顔面に押し付けられ、独房でスタンドの光と刑事の禿頭のコンボによりで蒸し焼きにされてしまうんだ!
完全に支離滅裂な思考で頭が埋め尽くされる。しかし彼女は冷静そのもの、といった様子で、マントから目と口がギザギザに切り取られた橙色のかぼちゃを取り出した。
ヘタがあるべき部分からは、見事な導火線が伸びていた。ハロウィン定番のキャラクター(?)、ウィル・オー・ウィスプをともすジャックさんのランタンである。
ウィル・オー・ウィスプはあくまで種火程度のはずだろ! 爆発とか種火ともいたずらともスケールが違うだろうが!
俺は完全に恐怖し、思わず後ずさる。しかしここは玄関。そしてこんな古アパートにバリアフリーが施されているわけもない。玄関の縁の段差に足を引っ掛けて、そのまま仰向けで転倒してしまった。
「お菓子がないなら、いたずらしちゃいますね」
少女、いや美少女は俺のそんな様子を見てクスリと微笑み、かぼちゃの顔を俺の顔に向け、頭の導火線を引き抜いた。
やられる!
かぼちゃの目と口から噴き出した煙を見て、俺は死を確信した。なんてことだ! ああああよ、しんでしまうとはなさけない! そんなクソッたれな王様の台詞が脳裏をよぎったのを最後に、俺の思考は停止した。おい走馬灯よ、話が違うぜ……。

ガンガンという痛みが響いてくる。
頭が痛い。あの世でも身体感覚はあるのだろうか。
そんなことを思いながら、恐る恐る薄目を開ける。
まず目に入ったのは木の天井。
やたら暗いことから、今が太陽が沈みきった後の時間だということが分かる。ずっと目を閉じていたため、闇に目が慣れていなければおそらくまったく何も見えなく暗さだ。

572 名前:Trick or! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:47:20 ID:NWqJVb6T
そして次に目に入ったのは床に乱雑に置かれた――ばらまかれたわけではない。他人から見たら散らかり放題に見えるだろうが、俺にとってはこれがデフォルトなのだ。
別に俺以外の人間の入ることのない家だ、別に構うまい?――紙やビニール袋、食べたまま放置された食器類。
ここまでは何の異常もない、平時の俺の部屋の光景だった。あの世ってのが気を利かせてくれて普段と変わらぬ状況を再現してくれているのか、それとも、というかやはり、というか俺は普通に生きていて、なぜか布団の上に安置されているのか。
そもそも、俺はあのかぼちゃから煙が噴き出してきたのははっきりと見たが、爆発したのを見たわけではない。まあ爆発なんて見たら死んでるだろうけどさ。
となると、あの煙は催眠ガスか何かと考えるほうがつじつまは合う。……どうして少女がそんなものを持っていて、なぜ俺は昏倒させられたのか、という説明を無視すれば、の話だが。
「あ、目が覚めたんですね」
あの少女の声が聞こえてきた。これで確信できた。俺はまだ生きている。
「おい、いったいこれはどういう……」
そこまでいって起き上がりかけて、俺は初めて気づいた。俺の両手は畳に突き刺された棒と手錠によって固定されている。足も同様だ。「刑事さん……俺、なんでこんなことになっちゃったのかな」が冗談ではなく事実として起こってしまった。
いや、事実ではない。刑事が俺を逮捕したのであれば拘置所の床に、あの少女と一緒ではなく、俺一人で転がっているはずなのだから。
というかどうすんだよ、ここ賃貸物件だぞ!? いくら古いからといって、「ある日突然地面から四本の柱が伸びてきて……」なんて言い訳が通用するとはとても思えん。
「うふふ、とっても素敵でしょう、それ。ホントはクリスマスにサンタクロース姿で乗り込もうと思っていたんですけど、ハロウィンでもなんとかなるんじゃないか、と思っちゃったらもういてもたってもいられなくなっちゃって……。
でもよかった。うまくいって。もし失敗したらどうしよう、って、胸が張り裂けそうだったんですからね」
彼女はどこかおどけるような、責めるような調子でそう言った。
これが素敵とは、いい趣味してんな。同じ目に合わせてやろうか。ロリっ娘地獄の監禁調教! ……うへへ、俺のほうがよっぽどいい趣味してるぜ。
そもそもクリスマスとかハロウィンとか、彼女が何が言いたいのかがいまいちよく分からない。
唐突な状況。かみ合わない会話。もしかしてこれが巷で話題のいわゆるヤンデレという奴なのだろうか。ええい、俺はクーデレ派なんだ! クーデレこそ至高! ヤンデレなんて興味ないんだ! 流血沙汰なんてごめんだぜ!
「なんで、こんなことをした?」
悲しきかな、いまや俺の生殺与奪はすべてこのいたいけな少女に握られている状態だ。俺は媚び諂わないながらも、言葉を選びながら彼女に尋ねた。
返答に彼女の意識をそらさせながら、俺は状況を確認するために首を起こして彼女の声のするほうを見る。すると俺の目に映ったのは、闇に浮かび上がるむき出しの彼女の白い肢体だった。
彼女の体は本当に白くて美しく、まるで光を発しているようですらあった。どこか生者離れした、静物染みた白さと美しさ。目をそらしたくない。触れてみたい。そんな欲望が頭を擡げる。
ああ! 床に詰まれた本が邪魔で女の子の大事な部分がよく見えん! 糞、誰だこんなに散らかしやがった奴は! 俺だった!!
待て! 落ち着け俺! 紳士の方ですらYesロリータ、Noタッチ! だ。紳士ですらない俺がこんなガキに欲情してどうする!
必死に葛藤し、何とか意識を彼女の体から引き離す。部屋は彼女の乱雑に脱がれた服以外に増えたものは見当たらない。おそらく今俺を拘束しているこれらの道具はマントに隠してあったのだろう。

573 名前:Trick or! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:47:57 ID:NWqJVb6T
「ごめんなさい、こんなことをする子は嫌いですか? どうしても気持ちが抑えきれなくなっちゃったんです。ホント、あたしって駄目な子ですよね……。でも安心してください! すぐにあなたを私なしでは生きていけないようにしてあげますから」
そう言って彼女はくねくねと恥ずかしげに身をよじらせる。
うーん、彼女の返答を聞いても、いまいち理由がよく分からない。何せ俺は彼女に対して一切の心当たりがないのだ。こんな可愛い子と面識があったら、例え子供でも忘れるわけがない。
「あの、もしかして人違いじゃない?」
人違いでこんな目にあっているのならそれはそれでえらい話だが、とりあえず彼女にそう尋ねてみた。
失敗だった。俺はいわゆる地雷という奴を寸分違わず正確に踏み貫いてしまったらしい。
「ふざけないで!」
彼女は突然激昂し、俺の上に飛び掛った。
思ったより衝撃は少なく、俺は内臓破裂の憂き目に会わずに済んだ。しかし、俺はようやく、俺自身も服を脱がされ、全裸にされている、ということを彼女の肌の感触で気づかされた。
「ふ、ふざけてません!」
俺は慌てて否定する。全紳士の皆様! これは不可抗力でございます! 私めにはどうしようもなかったのであります!! ですから私めは無罪なのであります!
「あ、ああああなたもしかして本当に私のことがわ、わわ分からないっての!?」
彼女は激しく取り乱している。細い腕で俺の肩を掴み、揺さぶる。なんて滑らかな肌だろう。
「わ、分かりません!」
彼女の勢いに押され、俺は取り繕うこともせず、正直に答えた。
その返答がよっぽどショックだったのだろう。彼女はピタッととまったかと思うと、仰向けに俺の上に倒れた。
ああ、俺の息子が彼女の背中に密着して! 彼女の滑らかな背中に圧迫された所為で、我が股間に鎮座している邪気棒――ダークネススティック――が膨張を開始してしまった。鎮まれ……鎮まれ俺の邪気棒よ……。
「ホントに……ホントに私のこと、覚えてないの?」
彼女は明らかに泣いているようだった。こんな美少女を泣かせてしまったというのは、俺に過失がなくても罪悪感を感じる。
「毎日……毎日すれ違っていたのに……毎日あなたに会うことだけを楽しみに生きていたのに……」
毎日すれ違っていた? そんなバカな。何せ俺は自宅を守る使途。休みがちの学校に行く以外は人のまったくいない夜中に食料の買出しやゴミ出しに出かけるほかに一切の外出を行っていないのに、毎日すれ違っているわけがない。
「ほ、ホントに分からないの? 私、毎朝あなたのことを眺めていたって言うのに!」
「……ごめんなさい、分かりません」
「バスからあなたの部屋の窓越し私の視線、感じなかったって言うの?」
……ちょっと待て。

574 名前:Trick or! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:49:40 ID:NWqJVb6T
「今なんていった?」
「だから、私の視線が――」
「その前」
「バスからのあなたの部屋の窓越しの――」
「そこおおおおおおお!! 毎日会っていたってバスの中から見ていただけかよ! 分かるかよ! まさか家から一歩も出ずに見ず知らずの人間と毎日会うことができるとか考えもしねーよ!
つーか俺ほとんど常にカーテン閉めっぱなしで、開けてることすら滅多にねーよ! ふざけてるにもほどがあるだろ!」
思わず怒鳴る。しかし、俺に非はないだろう?
が、正論だの何だのが通じる相手ではなかったのが俺の不幸だ。
「なんで分かってくれなかったんですか? 私はちゃんと分かっていたんですよ? その他大勢に混ざっていても、窓越しでも、カーテンが閉まっていても、あたしは一目であなたのことを見つけることが出来ます。それなのに……それなのに!」
彼女は体を起こすと、そのまま俺の口にキスをした。
そのまま唇を舌でねじ開けられ、舌をねじ込まれる。
なんとか拒否しようと首をそらすも、俺の首のふりに彼女も合わせてきて、それを拒むことが出来ない。
どれだけの時間、くちづけをしていただろうか、息が詰まるような長い時間の後、彼女は頬を紅潮させ、うっとりとした表情で俺から唇を離した。彼女の舌と俺の舌の間に銀の橋が架かる。
「は、初めてだったのに……もうお婿に行けない!」
「ホントに!? あたしも初めてだったの! 嬉しいなぁ」
愛想を尽かさせようと空気を読まずに冗談を言ったのに、まったくの逆効果だ。
「……まだ今なら引き返せるぞ。お前が俺の両手両足の手錠を解いて、服を着てそのまま帰るなら見逃してやる。だからもうこんなことはやめろ」
「やめるくらいなら、最初からこんなことしません、私だって、これが犯罪行為だってことくらい分かってます。でも、あなたのことを思うと、抑えられなかったんです」
「……お前は俺のことなんて何も知らないだろ。ただバスからほんの一瞬見ていただけだ。悪いことは言わない、もうやめるんだ。俺は人の下だぞ」
「うふふ、あたしがそんな考え無しの子に見えるなんて、ちょっとショックだなあ。あたしはただ見た目だけで人のことをここまで好きになったりなんかしません。
初めて見たあの日、なんとか人ごみからあなたを見つけ出して、そのままずっと後をつけたんです。そしたら毎日バスで前を通る家に住んでいたって分かって! あたし、これは絶対に運命だって確信したんですよ。
それからあなたのパソコンの情報を見せていただいて、どんなものが好きなのか調べたりとか、買い物の様子を観察させていただいて、
どんなものが好みなのか調べたりとか、ゴミを回収させていただいて、一体どんなものを買っているのか調べたりとか、ちゃんとしたんですよ?
そしたらますます好きになっちゃったんです。合鍵を作れなかったのはあたしの及ばぬところだったと反省していますが、でも、ちゃんとあなたの趣味も分かるし、あなたの好みも分かります。あたしには、あなたを幸せにしてあげられる自身があります!」
気が遠くなった。おいおい、一体何してやがる。アパートの共同回線がこんな形で裏目に出ることとなるとは、夢にも思わなかった。
というか、一目見ただけでこんな行動に出てる時点で、十分好きになりすぎてるというか、狂っているというか。そもそも、俺を詳しく知ってなおさら好きになるとか、脳に致命的な障害を持っているとしか思えん。
俺は彼女の体温を感じているのに、寒気を感じた。邪気棒も、先ほどよりもしょんぼりとしている。
「だから、あたしは引き返すつもりなんてこれっぽっちもないんです。だって、あなたが好きだから」
彼女はそう言って、俺の邪気棒に手を伸ばした。
「ちょ、待てまずいってそれは!」
彼女の思惑を理解した俺は慌てて彼女と止める。
彼女はおそらくこのまま既成事実を作る気だ。そうなっては俺がいくら言葉を並べ立てようとヤムチャほどの価値もない。
この国の司法はただでさえ女性に甘いのだ、この天使を救うためなら、俺みたいなゴミ虫の一匹や二匹、なんの逡巡もなく平気で牢屋でも火山の火口にでも放り込もう。
逆レイプ、ダメ! ゼッタイ!

575 名前:Trick or! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:50:13 ID:NWqJVb6T
しかし俺の邪気棒は彼女の愛撫の前にあっさりと陥落した。彼女の細く柔らかく、ひんやりと冷たい手の前に、俺の理性はあまりにも無力だった。邪気棒は邪気を先端ににじませながら、起き上がって天を睨んでいた。ええい、それでも貴様それでもワシの息子か! 情けない!
「早まるな、君にはまだ未来がある!」
「はい、あなたと一緒に過ごす未来です。そのために、今やらなきゃならないんです」
あああああああ。ダメだ、彼女のフィルターを通したら、どんな言葉も彼女の行動を肯定するものになってしまう!
少女は腰を浮かせると、俺の邪気棒の真上に据えた。彼女の局部は俺も彼女も触れてもいないのに、すでにテラテラと濡れていた。
「毎日この日のことを思って一人で慰めてたけど、こんなに大きいの、入りきるかな……」
頬を一層紅潮させ、そう呟いたかと思うと、彼女は腰を一気に落とし、俺の邪気棒に貫かれた。
「ああああああああああ!!」
悲鳴とも嬌声とも付かない声を上げ、体を仰け反らせた。
同時に、俺の邪気棒に衝撃と強い快感が走る。
接合部からは、彼女の白い肌との対比で、かすかに黒いものが見えた。
「もしかして、初めてだったとか?」
俺は状況的には正しいが、脈絡的にはすっ飛んだことを彼女に尋ねる。
「はい……初めてはあなたで、って決めてましたから……」
なんとか搾り出すように、少女はそう答えた。
なんともったいないことを。また地球上から貴重な処女が喪われたというのか! ……いや、別にこの場合はいいんじゃないか? 俺から見たら、だが。
彼女は荒い息をしたまま、俺の上にしな垂れかかってきた。ちなみに、繋がったままである。
ああもうダメだ、可愛すぎる。こんな状況で、自分を抑えられるはずがないだろう。
幸いにも、というか、これが彼女の狙いだったのかは分からないが、拘束されているのは両手両足のみ。つまり胴部はある程度動かすことが出来るのだ。
「動くぞ」
俺はそう告げると、腰を上下に動かし始める。
「あっ! まだダメです、まだ動いちゃあああああ!!」
彼女は俺を止めようとするが、後半は言葉にならなかった。中はかなりきつい。きっと痛いのだろう。だが、止まりたくない。それに、彼女のほうからこんなことをしてきたんだ、俺に罪はないさ。
俺は夢中で腰を打ちつけ続ける。彼女は息も絶え絶えで、悲鳴ともあえぎ声ともつかぬ声を上げている。彼女のよだれで、俺の右肩付近がベチャベチャになってきた。
次第に彼女の声は獣染みたものになっていき、眼の焦点が合わなくなっていく。ときおり不意に締め付けが強くなり、ひときわ大きな悲鳴を上げ、ガクガクと崩れ落ちそうになる。おそらく、そのたびにイッているのだろう。一体何回イッているのか、数える気も起きないほどだ。
一方の俺の邪気棒は一人プレイによって鍛え上げられていたので、すぐに邪気を発するようなことはなかった。しかし、この五感に訴えてくる攻撃は強烈で、ほどなくして俺も絶頂を迎えた。
しかし、彼女の中に邪気を放っても、俺の邪気棒はまったく衰える様子を見せず、精神のほうも、虚脱感も腰の疲労も感じずに、すぐに注挿運動を再開してしまう。手を使えないのがもどかしくてしょうがない。
そうして俺達は、カーテンを通して強い光が差し込み、俺が意識を保てなくなる時間まで、互いの体を貪りあった。

576 名前:Trick or! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:50:46 ID:NWqJVb6T



これは俺の腰折れたかも分からんね。
腰に走る激痛で目を覚ました俺は、まずそんなことを考えた。同時に、この痛みで、今までのことが夢ではなかったことを嫌でも自覚させられる。
「おはよう、あなた」
ゆっくりと右を向くと、少女が幸せそうな顔をして添い寝していた。
俺は俺の両手足の手錠が外されていたことに気づく。
「だって、もう必要ないですよね。もう逃げられませんよ」
俺がそのことを彼女に言うと、彼女は手をいとおしそうに腹部に伸ばし、笑顔でそう言った。
やっちまった。
さあっと血の気が引いていくのがはっきりと分かる。彼女の体温で暑い位のはずなのに、歯の根が合わず、ガチガチと歯が鳴り始める。
「寒いんですか? なら、私の体で暖めてあげます」
そう言うと彼女はただでさえ密着状態である体をさらに密着させ、俺に痛いほどの力で抱きついてきた。こんな少女の細腕なのに、俺の力ではどう頑張っても解けそうにない。
「うふふ、もう絶対に離しません」
そういとおしげに言う彼女を見て、俺は自分の今後の人生がどうなるか確定したことを理解した。

その後?
監禁フラグや心中フラグを何とか回避し、幾千の修羅場と死線を潜り抜け、ずっと二人で幸せ……に暮らしましたとさ。

577 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:52:23 ID:NWqJVb6T
終わりです
ミスやら明らかに遅れたネタやら、申し訳ないです

ぽけもんのほうは「今月暇だろうし普通に楽勝だろwこれ週間更新も夢じゃないんじゃね」

578 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:53:30 ID:NWqJVb6T
のように調子こいていたらむしろ普段より忙しくなるという罠が発動し、まったく進んでおりません。こんなチラ裏が操作ミスにより分割されてしまったことも重ねてお詫び申し上げます

579 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/04(火) 23:56:17 ID:YNrC8Zf+
一行が長い・・・

580 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 00:30:10 ID:XlGSIppu
>>578
テンポ良いねえ!
GGGGJ!

581 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 03:08:35 ID:fBrifMKf
>「あ、ああああなたもしかして本当に私のことがわ、わわ分からないっての!?」

なぜかここに激しく萌えたw

582 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 05:18:29 ID:yGUxDgx2
>>581
そこだけ何故か釘宮ボイスで再生されたオレガイル

583 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 08:40:29 ID:1nEEPQgs
>>581
某兄の名前を呼んでもらえない人を思い出した
しっかし、Trick or Treatなんて日本じゃ滅多に聞けない台詞だよな

584 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 12:36:45 ID:jIRdftQ0
(*´Д`)ハァハァ
GJ!!

585 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 14:40:37 ID:7X7G5xpG
>>578
GJ!!

586 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 16:12:52 ID:zQ9dk1vD
>>583
昔の日本人はトリックオアトリートを
チッカチーって言ってたらしいぞ
まぁ親から聞いた話だが

587 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 17:36:17 ID:mgkFwDZO
イングリッシュのことをエンギリシって言ってたのと同じようなもんだな

588 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 19:01:05 ID:MC3/uzGw
何かエリンギについて語ってると思った俺はキノコ中毒

589 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 19:26:03 ID:jxbcvVAb
安心しろ、俺もだ

ヤンデレ茸ってあったらいいなぁ……

590 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 19:33:44 ID:Kjkm+NxG
メインに据えた料理を作ると良い味を出すけど他の食材をメインにした料理に入れると毒素を出すんだな

591 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 19:39:00 ID:imcLNr+X
ある意味タンパク質みたいなものだよな
アミノ酸までで熟成がとまればいいが・・・

592 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 20:36:25 ID:QYKTlTBg
そういった食材か。
俺はてっきりセイカクハンテン茸みたいに食べると病み化する茸だとばかり。

…いや、むしろ食べると病みを受け入れる思考になる茸とか面白いな。

食べる前
「ちょ、やめてよ!血入り料理なんて食べないし両親に恋人ですだなんて嘘つくなよ!」
食べた後
「毎日美味しい料理ありがとう貧血には注意してね。あと両親への挨拶は何日が都合がつく?」

593 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 21:17:47 ID:zQ9dk1vD
>>592
それどこに売ってるの?

594 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 21:24:10 ID:XRhrfHiB
そんな茸を料理してくれる子がいない・・・

595 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 21:40:45 ID:jIRdftQ0
>>594
まだそんな事言ってるのか。
居るじゃないか、俺たちの脳内に!
( ゚∀゚)アハハハ八八八ノ ヽノ ヽノ ヽ/ \/ \/ \

596 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 21:41:31 ID:PfQzKRmz
>>594今もヤンデレの子がどこかでお前のことを見てるさw

597 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 21:50:58 ID:uOFHLT/v
>>595
ヤンデレの脳内に男がいるのと同様にな

598 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 22:22:39 ID:XRhrfHiB
なるほど そういう発想か、ありがとう
そう思えば元気も出てくる・・・あれ誰かが窓をノックしてるな

ここ二階なのに

599 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 22:25:49 ID:Kjkm+NxG
胞子吸い込んで幻覚見せられてねえか?

600 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/05(水) 23:49:03 ID:uOFHLT/v
「私は>>599くんがいないとダメなの」
「>>599くんは私がいないとダメなの」

601 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 02:37:20 ID:67sfSmFX
きのこ、の~こ~のこ ヤンきのこ

ギブ。思いつかん

602 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 03:19:20 ID:R+Qb8FmQ
ワイヤードまだー?

603 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 03:23:04 ID:4kZGyvbu
作者自演乙

604 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 03:28:29 ID:R+Qb8FmQ
>>603
お前ずいぶんヤンでるな・・・

605 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 10:03:05 ID:6fkPUS5E
そんなあからさまな釣り針に引っかかってちゃいかんぜ

606 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 12:28:00 ID:SqNzCPD/
真のヤンデラーならば釣り針がどれだけ大きかろうが飲み込んでやるさ。

見せてやれ、ヤンデラーの諸君。

607 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 14:00:57 ID:sLo1jjwm
ヤンデレの罠にはまりたい

608 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 14:03:21 ID:ZYB/o3nT
>>606

トライヤンデラー

609 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 14:14:02 ID:H3id0D0Q
ヤンデレの手の平で踊らされたい

610 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 15:40:56 ID:/IFHqj4g
二人ならを読んでたらなんか寒気がした。俺はヤンデレというモノを見誤まっていたらしい。

611 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 21:14:11 ID:ZItjdu86
ヤンデレの仕掛けた罠が見え透いた物でも
あえて掛かりに行く。本当のヤンデレ好きとはそう言うものだ。

612 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 21:54:06 ID:jS88+BWO
いや、本当のヤンデレ好きは見え透いた罠をわざとすり抜け、
安心したところを巧妙な罠に引っ掛り、ヤンデレに「あなたの事は何でもわかるわ」
と、言わせるだろjk

613 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 21:54:40 ID:LoxQ0s2u
漢だな

614 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/06(木) 21:59:23 ID:7q3lx91z
投下カモン!

615 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/07(金) 00:14:46 ID:kPSbnlRN
映画、小説、漫画、ゲームなどに登場するヤンデレを観て「これくらい私も人を好きになってみたい」

616 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/07(金) 00:27:37 ID:NVzm9AFG
映画、小説、漫画、ゲームなどに登場するヤンデレを観て「ぬるいな~私ならもっと……」

617 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/07(金) 08:33:49 ID:LVnr4EsD
小説に登場するヤンデレ代表 ヤン提督監禁したいなあ ハアハア
フレデリカはヤンにデレです 
少女時代に出会った青年を追いかけて、職場に乗り込み正妻に納まる。
きっと天然のヤンがフラグをそこらじゅうに立てまわって、それをへし折り続ける毎日が報われたのだろう。

618 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/07(金) 12:14:36 ID:m7+2GNDj
え!?フレデリカってヤンデレに分類されるの?同じ職場に就くのだって単に一途なだけじゃない?
それにもしヤンデレだったら、ヤンが暗殺されたきに敵陣に突っ込むぐらいのことしてるんじゃ?

619 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/07(金) 13:43:02 ID:r0VJWDOn
心じゃなくて身体が病んでるフレデリカなら知ってるんだが当然スレ違いだな

620 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/07(金) 16:22:37 ID:CKV1voGD
このスレなんかスゴいな

621 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/07(金) 19:46:24 ID:kPSbnlRN
>>619
あのゲームではエカテリーナが該当するだろう

622 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/07(金) 23:04:59 ID:YQG1RQzy
>>618
ヤンにデレなので、名誉ヤンデレ(名誉市民みたい感じで)ってことでひとつ。

623 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 00:07:31 ID:F8DS3ZC0
男が喧嘩とかボクシングの対戦相手の反則攻撃とかで頚椎損傷して、全身麻痺になった。

こんな体になって生きたくないから、安楽死させてくれとヤンデレに頼む

ヤンデレ断る

男が舌を噛み切って自殺未遂

薬漬け、口には詰め物をされた男を見て、ヤンデレは男の希望に沿うことにした

夜、病室へ、人工呼吸器を外して致死量のインスリンを注射して楽にしてやる

その後のヤンデレの姿を見た者はいない

ミリオンダラー・ベイビー的な話もいいかもしれませんね

624 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 00:25:20 ID:mqtSKJZR
ミリオンダラー・ベイビーってそんな重い話だったのか……

625 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 00:36:18 ID:F8DS3ZC0
>>624
男と女の立場は逆ですが


初心者におすすめ元気が出る映画

ミリオンダラーベイビー:女版はじめの一歩。ボクシングで成り上がるサクセスストーリー!!
ダンサーインザダーク:弱視の女性と息子との日常を描いたほのぼの感動作!!
ジョニーは戦場へ行った:戦争でのランボーの如きジョニー活躍を描いた痛快アクション!!
レクイエムフォードリーム:夢見がちな4人の若者の生活を描いた笑える能天気コメディ!!
ディアハンター:鹿狩りのオラが戦争に連れて行かれただ、田舎の男たちが巻き起こすはちゃめちゃ大騒動!!
震える舌:娘が風邪をひいた!?お父さんと娘の爆笑闘病記!!
ソナチネ:沖縄の大自然を描いた心洗われる感動作!!
真夜中のカーボーイ:田舎から出てきたカーボーイが都会とのギャップにドジするコメディ!!
ジェイコブズラダー:ジェイコブが梯子に登るただそれだけの作品!!
ファニーゲーム:凸凹コンビが幸せな家族に巻き起こす大騒動コメディ!!
\(^ν^)/
\(^ν^)×(^ν^)/ | |\(^ν^)/
| |     | |  <>  | |
< >   />      /\
だまされちゃ、ダメ

626 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 00:39:31 ID:DRnTPY3I
>>625

/\___/ヽ   ヽ
/    ::::::::::::::::\ つ
. |  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::| わ
|  、_(o)_,:  _(o)_, :::|ぁぁ
.   |    ::<      .::|あぁ
\  /( [三] )ヽ ::/ああ
/`ー‐--‐‐―´\ぁあ


627 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 02:08:40 ID:lE5gywHZ
たまにはこちらからヤンデレのお尻を触って逃げたい

628 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 02:12:47 ID:ZEMcre8K
しっかり愛してあげて他の女性と殆ど縁が無ければ無害な気もするが…
何か穴がある気がする

629 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 07:56:57 ID:3Xu0cTpo
>>628

穴だらけだろw
ヤンデレの妄想力にかかればコンビニとかでレジ対応してくれた女性店員すら泥棒猫。

監禁されて家から一歩も外に出ない、衣食住全て管理してもらえば、良いと思うの。

630 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 10:04:48 ID:Bgy4gUA4
近幼馴染の様子がおかしい。
いや・・・おかしいのは以前からだったのだが最近は特におかしくなっている。
具体的に言えば通学途中に電柱の陰に隠れながら後をつけてきていたのが最近では毎日玄関で待っていて無理やり一緒に登校させられる。
なぜこんなことになったのだろう。
俺の腕に自分腕を絡ませながら歩く幼馴染の横顔を見ながらふとそんなことを思う。
大体俺とその幼馴染は一緒に登校するような仲ではないはずだ。
確かに小学生低学年まではよく一緒に遊んだりしたが、高学年に入ってから女子と話すという行為がなんだか恥ずかしくて意図的に避けるようになった。
そして中学にあがってからもそんな状態が続き会うことも会話を交わすことも無くなっていった。
だから二人の進んだ高校が同じだったのも偶然だったのだろう。
しかしいつからか登校中に視線を感じるようになった。
そして振り返ってみると必ず電柱の横から学校指定の制服を着た肩や長い黒髪の端が飛び出ていたりする。
とりあえず声でも掛けてみようかと思ったがやめた。
ストーカー紛いの行為をしている人間と積極的に関わりたい人間などいない。
少なくとも俺はそう思っている。
確かにいい気はしないが特に被害があるでもなし別にいいだろう。
それに相手は女のようだし万が一なにかあっても全力で逃げれば何とかなるだろう。・・・とかそんなことを思っていた。
その女が幼馴染だと気づいたのはもう少し後で、通学中に俺の後姿を見て走ってきた友人の
「電柱の陰に3組の~~~がいたぞ?」
とゆう目撃証言があってからだった。
幼馴染だと分かったものの、もう5年以上もまともに話してない相手になんて声を掛ければいいのか分からなかったので、そのまま放置していた。
そしていまに至る。
いま彼女は何を考えているのだろう・・・?




631 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 10:05:24 ID:Bgy4gUA4
続き

自分でもちょっと大胆だったと思う。
いままで陰で眺める事しかしていなかったが今では彼と腕を組みながら一緒に登校している。
心音がどんどん加速していく。
ひょっとしたらこのまま私の心臓は破裂してしまうんじゃないかと本気で心配になってくる。
だがこれでよかったのだ・・・。
手遅れになってしまってからでは遅い。
最近彼と同じクラスの女子が彼の事が好きだという噂が流れていた。

私の~~~君を奪おうとする泥棒猫・・・事故にでも遭って死ねばいいのに・・・。

いざとなったら私の手で殺してやってもいい。
むしろ殺してやりたいくらいだ。
だがそれはあくまで最終手段。
だから私はそんな最終手段を使わなくてもすむ様に行動を始めた。
中学生の頃、彼に避けられるようになってから嫌われたのではないかと思い、怖くて話しかけることもできなかった。
電柱の陰からコッソリと後をつけて眺める事しかできなかった。
しかしいまはそんな事を言っている場合ではない。
泥棒猫は顔立ちもよくスタイルもいい為男子達から人気があった。
もしその泥棒猫が彼に色目を使ったりしたら流されやすい性格の彼は過ちを犯してしまうかもしれない。
想像しただけでも心の奥底から憎しみが這い上がってくる。
愛しい彼に獣姦なんて真似させるわけにはいかない。
だから私が彼を安全な場所に連れて行ってあげなくては。
そのためには少しずつ以前のような仲に戻り普通に会話できるようにならなくては。
そしてさり気なく家に招き私の部屋に用意してある手錠で拘束する。
きっと彼は嫌がるだろう。私の事を嫌いになるだろう。
しかしそれは一時的な事だ。
じっくりと時間を掛けて私の事を好きにさせる。
きっとうまくいくはずだ。
彼が私の事を好きにならないなどあるハズがないのだから。
私と彼は生まれたときから結ばれる運命なのだから。
そして永遠に私と彼との二人だけで幸せな毎日を送るのだ・・・。

フフフッ・・・楽しみだね~~~君・・・。
きっとこの為に・・・たパパとママも喜んでくれるよ・・・。
二人で世界中の誰よりも幸せになろうね・・・。

続かない

暇だったので勢いで書いてみた。
ちょっとだけ後悔している。
公開して後悔・・・
いや・・・忘れてくれ。
こんな駄文投下して本当にスマンかった。

632 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 10:39:09 ID:uliTbE+t
良いじゃないの。萌え萌えだぜ
ヤンデレの基本形って感じだよね

633 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 11:40:57 ID:WFRw/m9C
かなりいいんだぜ、是非とも続きを読んでみたいさ

634 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 13:06:40 ID:ky9NMaSx
病んでるねぇ~、GJ!!

635 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 15:47:17 ID:RejzSR0o
GJ!

636 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 18:18:07 ID:VdcObOiX
良い感じGJ!


637 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 20:51:15 ID:UZaYy+YW
>私と彼は生まれたときから結ばれる運命なのだから。
>そして永遠に私と彼との二人だけで幸せな毎日を送るのだ・・・。

ああ素晴らしい。
見事なヤンデレの様式美だ。



638 名前: ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 22:56:01 ID:1vyrf8ck
投下します。
注意書きをつけないと散々注意されてしまいましたが、これは僕自身の基準の甘さが原因です。
自分で書いたものは自分では見えにくいので、これからは1レス目に内容をある程度予告することにします。
お騒がせしてすみません。

わいやーどみにまむ2、投下します。
なんで本編じゃなくてみにまむかは、まあいずれわかることかと。
ロリ注意。北斗ネタ注意。

639 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 22:56:33 ID:1vyrf8ck
みにまむ2『磐宝典論争(ボアソナード)』

ワイヤード読者のみんなー、ここあこと、『磐宝典 心愛(ばんほうてん ここあ)』でーっす!
今日は、作者が本編の書き溜めを全てデータ消失させちゃった悲しみから、ロリ注意の短編になっちゃった。ごめんね!
でもそのおかげでここあが主役になれたんだから、その運命に感謝すべきかもね。
え? データ消去したのお前だろって?
んふふ~。ここあ子供だからわかんないなー(暗黒微笑)

ここあは、今小学五年生。
ここでは、イロリおねーちゃんが出てくる、ちょっとだけ前のお話を紹介するね。
だいたい、私が小学四年生のときの冬かな。風邪が流行ってた頃だから。
何度も言うけど、ロリ注意だよ。
ロリコン死ねって言う人は、見ちゃだめ! めっ!
この先は、『こどものじかん』なんだからね。


640 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 22:57:30 ID:1vyrf8ck
ある日、珍しく蒼天院道場のお稽古にちとせおにーちゃんが来たとき。
「……ぢどぜー。よぐぎだねー」
理科子おねーちゃんは鼻水をずるずるにしながらちとせおにーちゃんを出迎えた。
「お前、風邪ひきまくってんじゃねえか」
「いや、ぞんなごどわ……げっほ、ぐほっ」
「バカだろお前。ちゃんと寝てろ。今日の稽古は俺が代わりにやってやるから」
「……でも、あだじが休んだら……じばんだいのあだじが……」
「そんな気負うなって。俺も師範代だ。任せろ」
「……ありがど」
ちとせおにーちゃんが優しく説得すると、理科子おねーちゃんは真っ赤な顔をして奥に引っ込んじゃった。
「さてと……今日は、お前だけか?」
ここあを見てちとせおにーちゃんは言った。嫌そうな表情。
「うんそうだよー。みんな風邪ひいちゃったんだってさ!」
「なんつーか、個人稽古ってのは、あれだな。めんどいなぁ」
「じゃあ、別にお休みでもいいよー」
「いや、理科子に約束した手前そういうわけには」
ちとせおにーちゃんは変なとこで真面目だなぁ。まあ、そこがいいところだけど。
理科子おねーちゃんも、そういうところを好きになったんだろうなぁ。
それに、ここあも……ね。
「じゃあ、お稽古の時間だけ、ここあに付き合ってよ!」
いいこと、思いついちゃった!


641 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 22:58:00 ID:1vyrf8ck
「だからって、お前を連れて遊びにいくとか。……なんでそうなるって話だよな」
「そんなこと言っちゃって、ちとせおにーちゃん、ちゃんとついてきてるじゃん」
「そりゃ、今はお前の保護を任されてる立場なんだから、当然だろ」
「話がわかるぅ!」
ここあとちとせおにーちゃんは、繁華街に出て二人で遊び歩いていた。
「えへへー。理科子おねーちゃんには何度か連れてきてもらったけど、ちとせーにーちゃんとはなんか新鮮だねー」
腕にしがみついてみる。
「お前、なにしてんだよ」
「ここあ子供だもん。こうしないとダメダメでしょー」
「まぁ、そうだけど。……お前は年の割りに賢いから、いらんだろ」
褒められちゃった。うれしい。
でも、ちとせおにーちゃんも薄々感づいてたんだね。ここあのこと。
せっかく、バカっぽい喋りかたしてるのにね。
「あ、ちとせおにーちゃん、スイーツ食べようよスイーツ!」
「スイーツって……」
ほら、バカっぽいと思った。
でもこれが、楽に生きる秘訣だもん。
「別に、いいけど。なに食う?」
「んっとねー。おいしいクレープ屋さんがあるから、そこに行こうよ!」
クレープ屋さんで二人分のクレープを受け取って、ちとせおにーちゃんが片方をここあに渡した。
「おいしー」
「ああ、予想外に美味い。初めてだ。洋菓子が美味いと思ったのは」
ちとせおにーちゃんは結構古風だね。


642 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 22:58:30 ID:1vyrf8ck
「理科子おねーちゃんのアンパンより?」
「それとこれとは別。譲れないものってのはあるもんだ」
「愛だねー」
思わず笑っちゃった。
「なにがだよ」
「ちとせおにーちゃん、理科子おねーちゃんのこと、好き?」
「お……おいおい、なに言ってんだよ。そりゃ、幼なじみだし好きだけど、別に変な意味じゃ……」
困った顔。
たぶん、本当にそうなんだ。理科子おねーちゃん、報われないね。
でも、一生そのままでいいんだよ。
「そっか。なら、ここあのことは好きー?」
「……犯罪臭がする質問だな。黙秘権を行使させて貰って良いか?」
「だめー!」
不意をついて、ちとせおにーちゃんのクレープに噛み付いた。
「あっー!!」
「答えてくれないのが悪いのー!」
うん、ちとせおにーちゃんと、間接キス。
おいしい。
クレープより、おいしいよ。ちとせおにーちゃん。


643 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 22:59:02 ID:1vyrf8ck
「ゲーセン行こうよゲーセン」
「ガキが行く所かよ……」
「これでもトッププレイヤーなんだからね!」
「さいですか」
ちとせおにーちゃんの手を引いて、とっておきのゲーセン『シューティングスター』に入った。
古臭い建物だけど、各ゲームのトッププレイヤーが集まる場所で、レベルは高い。
「やあ、『魔法少女CCA』ちゃん。今日は、お兄さん連れかな?」
山田さんが声をかけてくる。
山田さんは、この『シューティングスター』にある全ての筐体のランキング一位を取っている猛者。
眼鏡をかけた、インテリ風のお兄さんだった。高校三年生で、ちとせおにーちゃんとは違うところにかよっているらしい。
「お兄ちゃんじゃないよ。ここあ一人っ子だから。……んーとね、彼氏だよっ!」
「はぁ!?」
ちとせおにーちゃんの声が裏返る。可愛いなぁ。
「ははっ、羨ましいね。僕は全然もてないから」
そう言うと、山田さんは挑戦者の呼びかけに答えてぱたぱたと小走りで筐体に座った。
山田さんを打ち負かそうとする人は多い。けど、いまだに成功した人は見たことが無い。
「おいおい、あの人にロリコンだと思われたかも……」
「ロリコンじゃないの?」
「断じてない!」
必死で否定するちとせおにーちゃん。やっぱり、かわいいよね。


644 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 22:59:33 ID:1vyrf8ck
「つーかお前、魔法少女だかなんだかって、なんだよそれ」
「ここでの異名だよ。意味は、たぶんすぐわかると思う」
「異名? お前はトッププレイヤーなのか?」
「うん。そうだよ」
「信じられんな……」
ちとせおにーちゃんは小さい女の子がゲーセンで上位になれないと思い込んでいるみたいだった。
差別的というか、釈然としないなぁ。
「ま、いいや。ちとせおにーちゃんも対戦しようよ!」
「別に良いけどな。……できるゲームはあんまり無い」
「北斗は?」
「それならまあまあ」
「じゃ、決まり!」
とりあえず、ここあの実力を見せてあげるのが一番早いよね。


645 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 23:00:07 ID:1vyrf8ck
「ばかな……俺の聖帝がこんな汚物に……」
対戦前に「汚物は消毒せねばならんな」と言ったにも関わらず、ちとせおにーちゃんの聖帝様はここあのジャギ様に消毒されていた。
「27は大魔法の数字だよ!」
ブースト小パン連打からのラカンから、大魔法が発動して、バスケ開始。
最後はさらにラカンでドリブル。さよーなら。鳳凰の夢はついえたか、お師さん……。
ちとせおにーちゃん涙目だね。
「馬鹿な……ナギに散々いたぶられて鍛えた俺が……」
自信を喪失するちとせおにーちゃん。
かわいいけど、かわいそうだからそろそろ慰めてあげないとね。
……?
ちとせおにーちゃんの肩にポンと手を乗せる人。
女の人。
「……ナギ?」
ちとせおにーちゃんがぽつりと漏らした。
ナギ。知ってる。
ちとせおにーちゃんと話していると、たまにその名前を聞くことがある。
ちとせおに―ちゃん自身は「腐れ縁だよ」といっていたけど、その目は輝いていた。
たぶん、ちとせおにーちゃんはこの人のこと、好きなんだ。
「千歳、おちぶれたな。こんなガキに負けるとは」
「ナギ、お前何故」
「こんなところに、とでも聞くつもりか? 愚問だな。ここは私のゲーマーとしての本拠地だよ、千歳」
赤い髪に鋭い目付き。ここあと変わらないくらいの幼い体。
ナギという人は、ちとせおにーちゃんをどかすと、筐体に五十円を入れた。
このシューティングスターにある殆どの筐体は五十円で稼動する。


646 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 23:00:37 ID:1vyrf8ck
「おい、そこのお前。噂には聞いたことがある。『魔法少女CCA』だな。ロリコンゲーマーには天使扱いすらされているそうじゃないか」
「ナギ、お前知っているのか?」
「ああ。一度戦ってみたいと思っていた相手だ」
キャラクター選択。……何を選ぶ?
ジョインジョイントキィ。
「……なるほどね」
思わずナギさんに話しかける。ここはプレイヤーのマナーがいいから、規則として口プレイは禁止されていない。
「どうした? まさかキャラ性能程度で諦める程度の『魔法少女』ではないよな?」
にやりと、意地の悪い笑みを浮かべるナギさん。
「……ちとせおにーちゃんは、今はここあのものだもん……!」
小さく呟く。
闘いは始まった。
ジャギ様とトキが対峙する。
「(……これは)」
戦闘の中で、気付いた。違和感。
これは……。
「気付いたようだな。お前の思っているとおりだ。キャラ性能がでかいからな、ナギ無しでやっている」
「(くっ、ナギって名前のくせにぃー! 金返せ!)」
そんなこんなで、ナギ無しトキに一ラウンド取られた。

647 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 23:01:08 ID:1vyrf8ck
怒りすら覚える。
手加減されている。この盤宝典ここあが。
こんな……こんなやつに……!
「(……もらった!)」
ブーストは溜まっている。ここで中段が入れば、永久コンボ、通称バスケに移行できる。
星も溜まっている。ここでワンチャンとれば、次のラウンドは有利。ここあの勝ちは近い……!
中段がトキに迫る……!
「激流では勝てぬ」
トキとナギさんがシンクロして呟いた。
「えっ……」
――当て身!?
中段に反応した『神の1F当て身』が、ジャギ様を画面端に吹き飛ばしていた。
トキが悠々と胡座をかき、両手を上げてビーヌを放つ。
北斗有情破顔拳。
ちにゃ。天国を感じた。
ジャギ様は死んだ。スイ―ツ(笑)


648 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 23:01:39 ID:1vyrf8ck
「そんなぁ……」
ここあの唯一の得意なものであるゲームで負けるなんて……。
ナギさんは、ちとせおにーちゃんに愛されててしかも、ここあより強いんだ。
理解はできる。でも、納得はできない。
……。
なんでだろう。
「こらナギ、子供に本気出すな。あと、そのキャラ差はナギ無しでも結構でかいだろう」
「馬鹿か。やつが自分で選んだキャラだ。性能うんぬんで文句を言うなら、レイでも使えばいい」
「そういう問題じゃねーっての!」
ぽかりとちとせおにーちゃんがナギさんの頭を小突いた。
ちとせおにーちゃんが怒っているのは、ナギさんに対して。ここあは擁護されている。
でも……。ちとせおにーちゃんの心は、ナギさんに向いている。
ここあじゃない。
理解はできる。
でも……やっぱり、駄目。納得できないよ……。
なんでなんだろう。わからない。
ここあは、ちとせおにーちゃんのこと……。
もしかしたら……。
「もう、やだ……」
いつの間にか、走り出していた。
ナギさんとちとせおにーちゃんが仲良くしてるのを見るのが耐えられなくて。
ここあがちとせおにーちゃんの心の中にいないなんて、思いたくなくて。
もう、見たくなくて……。


649 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 23:02:09 ID:1vyrf8ck
そうだ、なんで気付かなかったんだろう。
今までは、かわいくてカッコイイおにーちゃんへの親近感かと思ってた。
年上の人に憧れるなんて、女の子だったら普通のことだと思っていた。
一過性で、いつかは離れてしまうものだと思ってた。
でも、そんなもんじゃなかった。
気付いちゃったんだ、ここあは……。
ここあは、ちとせおにーちゃんのこと愛してるんだ。
本当に好きなんだ。

それを知ったから、今までのここあが全部潰れてしまって。
今のここあは、ただ空虚なここにいるだけ。
それを知ってしまったから。
消えてしまいそうなほどに……。

だれもが交じり合って消えてしまいそうなほどに危ういこの街のなかで。
ここあは、孤独以上に狂おしい、『愛』を噛み締めていた。

続く

650 名前:わいやーどみにまむ2 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 23:04:12 ID:1vyrf8ck
これもちょっと長いので、一旦きります。続きは深夜にでも。
ワイヤード本編、続きは長いのでデータ消失はかなりこたえます……。

とりあえず、バトル展開ばかりになると思うのでそのあたりは注意、ということで。

最終更新:2009年03月14日 07:21