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529 :埋めネタ [sage] :2007/10/24(水) 00:34:49 ID:MCAGqZ0B
 うふふ。今日もお弁当を片手にして、来ちゃった。
 名無し君の、お・う・ち。
 あ、ちょっと訂正。――私と名無し君のおうち。もしくは2人の愛の巣。
 やだもう、私ったら。まだ結婚もしてないのに……エッチはしちゃったけど。
 しかし、愛の巣とは言うけど、私と名無し君はまだ同棲していない。
 もちろん私だって名無し君と一つ屋根の下に暮らしたかった。

 私は、今は向かいのアパートの2階、名無し君の部屋を窓から一望できる部屋に住んでいる。
 名無し君は私がどこに住んでいることまでは知らないみたい。
 だから、部屋のカーテンは開けっ放し。私の部屋からは名無し君のライフスタイルが丸見え。
 朝、寝ぼけ眼でベランダに出て伸びをするところとか、可愛くって仕方ない。
 抱きしめて押し倒して服を脱がして唇を奪って体中を撫でて局所的に執拗に舐めてあげたい。
 名無し君が部屋の中を歩き回りながら歯磨きをするとき、私はいつもあの歯ブラシ役を買って出たいと思っている。
 もちろん、私の舌で口内、歯、歯間、歯茎を隙間なく磨いてあげる所存です。
 恥ずかしいからまだ名乗り出ては居ないけど、いつかは……ぅふうふぅふふふぅ。

 おっといけない。つい鼻血を出してしまった。
 だめだめ。想像の中の名無し君で血を無駄遣いしちゃ、もったいない。
 私は名無し君のものなんだから、鼻血で白いセーターの胸元を真っ赤に染めたりしたら怒られちゃう。
 それに、早くお弁当を名無し君に食べさせてあげなくちゃ。
 まだ秋なのにめっきり冷え込んできたから、風邪をひかないよう栄養をたっぷり摂らせないと。
 最近の名無し君、体重の減るスピードが異常に早いからなあ。
 悪い病気にでもかかってなければいいけど。
 うん、決めた。今日は一晩中名無し君に元気を分けてあげよう。
 私がいっぱいご奉仕すれば、きっと元気を出してくれる。
 だって私、名無し君の恋人だもん。

 さ、いざ名無し君の部屋へ!
 ドアノブを掴んで、思いっきり鼻から息を吸い込んで――
「名無しくーーーーん!」
 叫びつつ、全力でドアを開け放つ。そして愛しの名無し君の待つ部屋の玄関へ。
 ん…………あれ、あれれ?なんだか、足の踏み場がないんですけど?
 靴とかスリッパとか、箒とかちりとりとかが一杯玄関に散らばっている。
 どうしたんだろう。もしかして――強盗?!
 そんな!名無し君に強引なことをしていいのは私だけなのに!
 どこの牡豚?それとも雌豚?
 どっちにしても、許すわけにはいかない!
「名無し君! どこっ!?」
 再度叫んで名無し君を呼ぶ。
 すると。
「……いるぞ。部屋に」
 名無し君の声だ。ああ、よかった。
 でもなんだか声に元気がないなあ。どうしたんだろう。



530 :埋めネタ [sage] :2007/10/24(水) 00:36:22 ID:MCAGqZ0B
 物が散乱している部屋をかき分けつつ進むと、たしかに名無し君がいた。
 どうしてかわからないけど、部屋中に段ボールが一杯ある。
 部屋に置いてあったはずの机やテレビ、タンスとかは全部どこかへ行ってしまっている。
 私の腰より背の高い物は一つも置かれていなかった。
「どうしたの? この部屋の惨状は何?」
「ああ。実は俺、引っ越すことにしたんだ」
 …………え?ひっこ、し?引っ越し?
「な、何? よく聞こえなかったよ。もう1回言ってくれる?」
「だからあ、俺は明日この町から引っ越すんだって。だからお前との仲も明日で終わりだよ」
 なん……で?なんでそんな冗談を言うの?
 それに、どうしてそんな軽い口調で、そんな重い台詞を言えるの?

「もう。やめてよ名無し君。そんな、冗談ばっかり……」
「冗談じゃねえよ。本当だ。もうでかい荷物なんかは運び出したし、新居も見つけて契約したし。
 で、悪いんだけど。俺と別れてくんない?」
「別れるって、私が? 名無し君と?」
「ああ。自然消滅でもいいと思ったんだけど、今日来ちまったんならしょうがない。すっぱり別れようぜ」
 今の私は、どんな顔をしているんだろう。
 名無し君は手元にある本を段ボールに入れる作業に集中していて、私の顔を見てくれていない。
 私だけを見てよ。どうして見てくれないの?私の顔を見て、微笑んでよ。ねえ。
 名無し君の肩を掴んで、軽く揺らす。
 それでも名無し君は私を見てくれない。
「何だよ、十子(とおこ)」
「私、名無し君の恋人なんだよ? ちゃんと見てよ。ずっと見ていてよ。目を逸らさないでよ」
 私の必死な問いかけに対して、名無し君は顔を上げずに――舌打ちをすることで応えた。
 チッ、て何。チッて。なんでそんな嫌そうな顔をしてるの?
「お前は俺なんかよりいい男と付き合えるって。だから俺のことなんかさっさと忘れちまえ」

 泣いちゃ駄目。泣いたら、もう声が出せなくなる。
 名無し君と、これっきりで終わってしまう。
 あんなにたくさん好きだって言ってくれたのに。
 私が好き、って言ったら強く抱きしめ返してくれたのに。
 そんな暖かい記憶が、額に飾られた絵画みたいになってしまう。
 名無し君への愛しさや恋しさが全て心の中から出ていって、形のある物になって――いつかは風化してしまう。

「――嫌! 絶対に嫌! 私、名無し君じゃなきゃだめ! 名無し君以外の男となんか、話したくもない!
 私は名無し君が大好き! 名無し君が一緒にいなきゃ、寂しくって生きていられない!
 引っ越すっていうんなら、私も一緒に行く! どこまででも、付いていくから!
 だから……別れるなんて、言わないで……お願い……」
 涙が勝手にこぼれてきた。きっと、言いたいことを全て言ってしまった安堵からこうなってしまったんだ。
 名無し君の手を握る。両手で、絶対には慣れないようにしっかりと握る。
「一緒に……来てくれ、って……言ってよ。じゃなきゃ…………離さない、から……」
 肩のふるえが止まらない。お願い、名無し君。抱きしめて、震えを止めて……ね?
 名無し君の顔を見上げる。涙でぼやけた視界には、名無し君の顔があった。
 彼は――とっても嫌そうな顔をしていた。



531 :埋めネタ [sage] :2007/10/24(水) 00:39:04 ID:MCAGqZ0B
 また、舌打ちの音。名無し君は続けてため息を吐いた。
「はっきり言ってやろうか、十子」
 言って。好きだって。俺の傍から離れないでくれって。
「俺、お前に飽きた。お前、重い。いちいち構ってくるな」
 首を振る。嘘よ、嘘。名無し君がこんなこと言うはずない。
「俺が引っ越そうって思ったのはな。新しい女ができたからなんだ。
 そいつ、俺の会社の後輩でな。かなり大人しい性格なんだけど、すっごい可愛いんだ。
 誰に対しても、新人の初心を忘れないって感じで、礼儀正しいんだよ。俺、ああいう子が好みなんだ」
「そん、なのっ……私だって……名無し君がそうしろって言うんなら、そうするよ……?」
「いや、お前の性格とかとっくに知ってるし、俺。いきなり変えられても困る」
 もうだめなの?私……名無し君と別れなくちゃ、いけないの?
 ――嫌だ。嫌、嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌。絶対に嫌。
 今こうしているだけでも胸が張り裂けそうに痛むのに、これ以上切なくなったりしたら、絶対に耐えられない。
「なんでも言うこと、聞くから。一緒に居て。名無し君」
「……まだわかんないみたいだな」
 名無し君の顔が、正面にある。私の目をまっすぐ見てる。
 いつもみたいにキスしてよ。一緒にいるときは、飽きるほど――1回も飽きたことないけど――キスしたじゃない。
 今ならさっき言ったことも全部許してあげるから。忘れてあげるから。
 だから、キスしてよ。

 突然、名無し君が私のセーターの襟を掴んだ。
 強引にキスされるかも――という期待は、もろくも崩れ去った。名無し君の辛辣な言葉によって。
「もう、お前のこと好きでもなんでもないんだ。嫌いでもない。
 なんとも思ってないんだよ。俺にとってのお前は、あってないような存在なんだ」
 その言葉は、一番言われたくなかった。
 私の育ちは平凡で、変っているのは名前だけ。それでも私は生きてきた。
 誰かの特別になりたくって、ずっと頑張ってきた。
 そして、ようやく見つけられた。私だけを特別に思ってくれる人を。

 名無し君。ああ名無し君。名無し君。
 初めてあなたに会ったのは、繁華街のバーだった。
 お酒も飲んだことがなかったあの頃の私は、人生経験の一環として入ったお店でカクテルを飲んでた。
 頭がグラつくようなほろ酔い加減のときに、名無し君は隣の席へやってきた。
 そして、あなたは私の容姿を褒めちぎってくれた。
 あなたの言葉は私の心に、体の芯に、染みこんでいった。
 チョコよりも甘くて、お酒よりもクラクラして、お風呂に入ったときより気持ちよくて。
 あっという間に私はあなたに恋してしまった。
 あなたに手を引かれてバーを出て、次に入ったファミリーレストランのトイレで、私は初めてセックスした。
 名無し君はとっても乱暴で、強引に私を組み伏せて、一気に私の体を貫いてくれた。
 無理矢理ブラをたくし上げておっぱいを揉んで乳首を吸ったよね。
 私の名前を呼びながら、たっぷり精液を注いでくれたね。
 あの時は言わなかったけど、痛かったんだよ?文句を言いたくても言えなかったから、黙ってたけど。
 だけど、だけど――とっても安心した。ようやく満たされた、って気がした。
 きっと、名無し君が私の運命の人なんだ。そして、名無し君は私を見つけてくれた。
 名無し君はずっと私を探してくれていた。それは、私を本能で求めていたから。
 そう――私たちが出会ったのは、必然のことだったんだよ、名無し君。
 相手の姿を知らなくても、お互いの匂いを知らなくても、出会う運命にあったんだよ。
 出会って、番い(つがい)になって生きてゆくことを宿命づけられていたんだよ。
 名無し君。鳥は片翼じゃ飛べないよね?片っぽだけじゃ、落ちちゃうよね?
 私たちも同じように、どちらかが欠けてしまったら――――死んじゃうんだよ。



532 :埋めネタ [sage] :2007/10/24(水) 00:41:39 ID:MCAGqZ0B
 涙が止まった。喉から痛いくらいに声があふれ出てくる。
 絶叫した。行き場のないエネルギーを全て注いで激しく叫んだ。
 名無し君が、右手で耳を押さえた。左手は私ががっちりと掴んでいる。
「うるせえよ! こんな近くで叫ぶな!」
 名無し君の顔が不快をあらわすように歪んでいる。
 今度は、とってもおかしくなった。だから、私は大きな声で笑った。
 名無し君が嫌そうな顔をしているだけで、他には面白いことなんか何一つ無かったのに、
発作でも起こったように笑いが止まらなかった。
 また、名無し君の顔が変化した。そんな、どぶ川を見ているような目で見ないでよ。
「どうしてそんな目で見るのかな? 本当は私のこと、大好きなくせに」
「てめえ、人の話聞いてないのか? 俺はお前のことなんかなんとも思ってないんだぞ!」
「あ……それ、もしかしてツンデレ? あっははっ――――可愛い! 最高!」
 お互いの体を隅々まで知っている仲なのに、まだ中学生みたいに自分の気持ちに正直になれないんだね。
 でもまだまだ。そういう台詞を言うときは、あさっての方向に視線を向けながら、照れ隠しの表情で言わないと。
 仕方ないなあ。お手本を見せてあげるよ。
「何がツンデレだ! ふざけてんじゃ――」
「べっ、別に名無しの手を握りたい訳じゃないわよ! ただ脈を測っているだけなんだから、勘違いしないでよね!」
「……あ、ああ? なんだそれ?」
 うん、我ながら完璧。脈を測っている時点で相手の体調を心配している――いわゆるデレを見せているのに、
照れながら否定してみせる。ずっと手を握ったままでいるのがポイントね。

 ぽかんと口を開けている名無し君に話しかける。
「わかった? 名無し君」
「――は? 何がだよ。いきなりわかった? って言われてもわかんねえよ」
「もう。だめだよ、名無し君。私たちはこれからずっと一緒に暮らすんだから、心も一つにしなきゃ」
「だから、俺はお前と別れるって言っただろ! ついさっき、こんな近くで!」
「――別れられると、本気で思ってる?」
 ちょっとだけ、名無し君の手を握る腕に力を込める。
「こうやってずっと繋がっていれば、どうやっても別れられないよ? それでも別れることができる?」
「んなもん、お前の手を離せばいいだけ、だ……ろ? あれ?」
 名無し君の腕が私の手から逃れようと、暴れている。
 ぶんぶん手を振っているから、なんだか名無し君がはしゃいでるみたいに見える。
「あは。そんな弱い力じゃ、私との繋がりを断つことなんかできないよ?」
「ちっ…………くそ! おい、いい加減に離せよ!」
 がつん。名無し君が私の顔を殴った。グーで。
 でも、ちっとも痛くない。これに比べたら、指圧マッサージの方がずっと痛い。
 名無し君は立て続けに私の顔を殴ってくる。頬、鼻、唇、目、こめかみ。
 暴力を振るっているくせに、名無し君は怯えた表情のままだ。
 何に怯えているんだろう。あとで頭を撫でながら聞いてあげよう。
 あれ、また鼻血が出てきちゃった。あ、そうだ。
「名無し君」
「んだよ! 早くその手を離せよ!」
「私、鼻血が出てるよね? 見える?」
「ああ? ……ああ、それがどうしたよ」
「えへ。舐・め・て」
 極上のスマイルを浮かべながら、おねだりする。
 けど、名無し君は舌を近づけるどころか、背中を反らして私の顔から距離をとった。
「どうして逃げるの? 舐めてよう。名無し君に綺麗にしてほしいなー。私」
「よ、よせっ……近寄るな……」
「うわ、ひっどーい! 言っていいことと悪いことがあるよ! そんで今のは言ったら悪いこと!」
「やめろ! 手を離せっ! この…………変態!」



533 :埋めネタ [sage] :2007/10/24(水) 00:43:37 ID:MCAGqZ0B
 変態?私のこと?まあ、名無し君は私だけしか見てないから、私のことだよね。
「変態かあ……。でも、名無し君の方がずっと変だよ?
 初めての時も強引だったし、しょっちゅう人の居る場所で興奮して私に襲いかかってきたし。
 恥ずかしかったんだからね、私」
「あ…………ぅ」
「それでも私が変態だというのであれば! 私は、名無し君をレイプしちゃいます!」
 声高らかに宣言する。別に変態と言われた仕返しじゃない。
 名無し君の体を満足させてあげるのだ。きっと、別れ話を持ちかけたことを後悔するはず。
 名無し君に調教された私の体は、すでに名無し君を喜ばせる方法を熟知している。
 どんな喘ぎ声だったら興奮するのか、どこを舐めたらびくってなるのか、そんなことまで知っている。

 油断していた名無し君の体をうつぶせに倒す。両手を後ろに回してガムテープで縛る。足首も同様に。
 そうだ。口にもガムテープを貼っておこう。
「やめろ、とおっ――むぉ! おーお、ああいああえ!」
「いくらあがいたって、無駄だよ。名無し君は、この町でずっと私と一緒に暮らすの。
 どこぞの女狐のことなんかすぐに記憶から消してあげる。私だけで頭の中を一杯にしてあげる」
 ベルトを外して、ズボンとパンツを脱がせる。――あは、縛られてるのに勃ててるの、名無し君?
 やっぱり名無し君の方が変態だね。
 肉棒を右手で包み込んで撫でるように上下させる。
 舌の先で、裏スジを辿っていくように這わせる。カリの手前で、名無し君の体が小さくびくっと震えた。
 亀頭にキスの雨を降らせる。1回する度、肉棒が縦に動く。
「すっごい興奮してる……。そんなに私の舌とキスが好きなんだね。えっちな名無し君。
 でも、それでいいよ。私もいつもよりえっちになるから。一緒にえっちなことたくさんしよう?
 さあ、誰も邪魔しない2人だけの世界へ!」
「ぃああーーーー! ぁえおぉぉぉーーー!」



 その後で、名無し君は涙を流しながら私を一杯突いてくれた。
 私はいつもと違う背徳感に酔いながら幾度も絶頂に達した。
「素敵だったよ、名無し君……さいこお……」
「ぅ…………ぅ……」
 名無し君は疲れ切って眠ってしまったようだ。閉じられたまぶたからすでに涙は流れていない。
 私はバッグからあるものを2つ取り出した。
 2つある錠付きの金属の輪っかと、それを繋ぐ鎖で構成されたもの。簡単に言えば手錠というものだ。
 名無し君の両手首と、両足首に手錠をかける。捕縛、完了。
 今までにない達成感が私の脳を痺れさせる。とうとう私は願いを叶えたんだ。
「これからは、ずっと一緒にいられるね。一生、名無し君は私がお世話してあげる。
 お礼は、今日みたいに激しく抱いてくれたら、それでいいからね?
 名無し君。一緒に、幸せになろうね」

 手錠の鍵は手元にある。さて、どこで捨てようかな、これ?