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803 :狂っているのは誰? [sage] :2009/05/21(木) 01:11:48 ID:Y8ESVoAU
「君が小野田春香さん?どうして?この番号を?」
「友美です。私の事を探してくれている刑事さんがいるってメールで教えてくれたんです」
「生憎、私は刑事じゃないよ。君のご両親から君を探すようたのまれた探偵なんだ」
「・・・パパが私をさがしているの?・・・嫌、もう私の事はほっといて・・・」
「ああっ、電話を切らないでくれ!落ち着いて聞いてほしい。
君と君のお父さんの事を私は知っている。藤原君から預かったビデオを見たんだ」
「!?あれを見たんですか?私、もう生きていけない・・・
どうして藤原君が・・・信用してたのに」
「大丈夫!!このことは誰にも言わない。
もちろん君のご両親にも報告はしない。
藤原君はきっと君のことを心配して、私にビデオを託したんだと思うよ。
だから、私も君を助けたいんだ。
君も本当は助けを求めてるんじゃないのかい?
だから、こうして私のところに電話をしてきた。そうだろ?」
「私を助けてくれるの?本当に?」
「ああ、もちろんだとも。実は私にも君と同じ年齢の娘がいてね。
だから、同じ親として君のお父さんが君にしたことは絶対に許せるものじゃない」
彼女は電話ごしでも判るほど、嗚咽まじりの涙を流していた。
「今から君を助けにいくよ。
もちろん私1人でだ。会ってこれからどうすればいいか二人で考えよう。
今、どこにいるんだい?」
「探偵さん、ありがとう・・・」
彼女の居場所は、呆れるほど近かった。
両親の建設会社が建設を依託されたが、
依託をした会社が倒産し、建設途中で工事が止まっている
雑居ビルの建設現場に彼女は身を隠していたそうだ。
私はその建設現場へ急いだ。
その道中に私は不謹慎ながらも、なぜか満足感に満たされていた。
探偵の自分ではなく、
本当の娘にはなにもできなかった不出来な父親の
私が始めて娘に近い「小野田春香」になにかできるのでないか?
いや、今こそ娘にできなかったことをしてあげたい。
そう感じていたからかもしれない。



805 :狂っているのは誰? [sage] :2009/05/21(木) 02:03:23 ID:Y8ESVoAU
息を切らしながら建設現場の階段を駆け上がる。
そして、最上階にたどり着けば
「小野田春香さん、いるのかい?私だ。さっき電話で話した探偵だ」
なるべく彼女を刺激しないようにやさしく声をかける。
「探偵さん・・・・?」
最上階の暗がりから彼女の声がした。
月明かりが差し込み、彼女の姿が露になる。
その姿は写真よりも数倍美しく感じた。
私の姿を確認した彼女はその綺麗な表情まま、
大きな瞳に涙をためて私の方へ駆け寄ってくる。
そして、私の胸に飛び込み、子供ように大きな声で泣き叫んだ。
「わたしっ・・・怖かった・・・わたし、怖かったよ~」
己の胸で泣きじゃくる彼女を、私は無言なまま抱きしめていた。
彼女を宥め、落ち着きを取り戻すまで・・・・
ようやく落ち着きを取り戻した彼女は、色々と初対面である私に打ち明けてくれた。
父親の性的虐待は幼少のころから続いており、その事を母親は知らないこと。
その事実を知っているは、藤原太志と坂上友美だけということ。
「パパは私を取り戻すためならなんでもするわ。
たぶん、藤原君の怪我はパパの仕業だと思う。私達の関係をよく思っていなかったしね」
「私には理解できない。自分の娘を性の対象にみるだなんて・・
つらかったんだね。でも、もう大丈夫だよ。あとはおじさん任せて」
「どうすれば私、パパから逃げられる?」
「君には少しつらいと思うけど、この事実を君のお母さんに報告するよ。
君のお母さんなら冷静で、いい解決方法を見つけくれるさ」
私は所詮この子の他人だ。ならば頼み綱は母親しかない。
あの母親ならきっと大丈夫だ。
きっと私に依頼しにきたのもあの母親の案に違いない。
今から思い返せば、あの父親の不安げな表情も納得がいく。
父親はこのことがばれることを恐れていたのだ。
私を藤原君ように脅すのとはわけが違う。
大人は大人なりの戦い方というものがある。
「あ~ぁ、おじさんが私のパパだったらよかったのにな。
ねぇ、パパから逃げられたら、私、おじさんの事「パパ」ってよんでいい?
あっ、でも、おじさんの本当の娘に怒られちゃうか」
「おじさん、娘とはもう10年もあってないんだ。だからかまわないよ」
「やったぁー、じゃあ、私、おじさんの娘になってあげるね」
その時のくったくのない彼女の笑顔は涙がでそうなほど輝いていた。