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796 :最高!キネシス事務所☆ ◆mGG62PYCNk [sage] :2009/07/17(金) 17:18:41 ID:j3Krv84h

俺たちは、『サイキッカー』、いわゆる超能力者だ。
超能力者というのは簡単に言うと物体を浮遊させたり、物体を止めたり、物体を燃やすことができる、そんなキチガイの人間の事を言う。
俺やエリーやその他の連中はその才能を達人の島田さんに買われ、雇われている。
俺は力のコントロールを教えてもらった。感謝はしている。嫌味がなければもう少し感謝してやってもいい、あと給料も。
事件が起きれば目撃者は島田さんへ相談しに行く。彼は元警察官らしいので、顔が広いのだ。
ちなみに『出勤』するメンバーはランダムで、島田さんの気まぐれにかかっている。……最近は俺がお気に入りのようだ。


事務所の外へ出、階段を降りたところでチラッと気づかれないようにエリーを見た。……いつものように、見開いた目は前だけを見ている。
おそらく階段を降りるときも足元は見ずに前だけを見ていたんだろうな。この子を知らない人がこの子を見ると、ホラー少女としか思わないだろう。

早くも気まずい空気が流れている。だってこんなに無愛想だもん………。仲良くもないし………。

目的地へはどう行けばいい。俺は停めている自転車を見つめた。
「エリー。」
「はい。」
「悪いんだけど俺自転車で来てるんだ。後ろに乗ってくれるか?」
「自転車の二人乗りは道路交通法に違反します。私はバスに乗り目的地に一番近いバス停で降り徒歩で目的地へ向かう事を提案します。」
「……くそ真面目なこというのな。道路交通法て」
「普通の事だと思いますが。」
………エリー先生は留守番電話のような血の通ってないような声で即答してくださった。
「……じゃあそうする?」
「その方が賢明だと思います。」
「……じゃあ急ぐか、もうそろそろ5時だし。早く行かないと暗くなるぞ。」
「あっ………。」
俺はエリーの手を取り、やや早歩きで足を進めた。ここから一番近いバス停を目指すことにする。
急に手を掴んでしまったからびっくりしてしまったのか、一瞬声を上げた。その時少し後悔したが、彼女は手を握り返してくれた。
……さっきまでの気まずさは少し去ってくれたようだ。
俺の中で暖かい安心感が生まれた。




797 :最高!キネシス事務所☆ ◆mGG62PYCNk [sage] :2009/07/17(金) 17:21:42 ID:j3Krv84h

安心感が生まれたついでにここは冗談でも言っておくか。もう少し心を開いてくれるかもしれない。
「気持ち悪いからってこの人ちかーんとか言わないでくれよ。」
冗談半分で、歩きながら彼女を見て言う。
「………。」
………………ん?バグか?彼女は何も応えないまま俺を見つめている。いつもの、何を考えているかわからない奇妙な顔で。
もしかしてあなたは気持ち悪いけど言えませんとか思っているのか……?!俺は恐怖した。妙に手汗が出てしまった。
「………す、すんません。」
俺は彼女の沈黙の迫力に押し負け、謝ってしまった。こんな小さな少女に。
どうやら俺は生み出した安心感を即殺してしまったようだ。同時に気まずさがただいまと戻ってきた。

それでもなんとかバス停へ到着した。
時刻表を確認すれば、数分でバスは着くようだ。小走りしなければ過ぎ去っていただろう。俺は急いで正解したと思った。
バス停にはささやかなベンチに日除けがある。
「ここでバスを待とう。」
「了解しました。」
答えてくれた。俺達は手を離し、ベンチに座った。

ふーっとため息した。疲れたな。学校も最後の時間までいたし、おっさんに嫌味言われたし、小走りしたし。


………今、ふと気になったことがある。この子は俺が目を見たら目を合わせる。なら……
ずーっと見つめ合うとどうなるんだ?何か表情に表すのだろうか。俺はこの子のことをよく知らない、ゆえに試したくなった。

さりげに顔をエリーに向け、目を見た。
するとエリーも俺の目を見た。見開いた目玉をぐるんッとして。
………………俺は心の中で10秒数えた。いまだにお互い見つめ合っている。彼女は顔の一切の筋肉を動かさない。
……俺はおかしくなって、笑ってしまった。

「どうして笑っているのですか?」
「え、え?だって、こんだけ見てんのに無反応ておかしいじゃん」
「?」
俺は深く考えずに応えた。けっこう笑ったみたいだ、息が少しだけ切れてしまった。彼女は不思議そうにしている。もちろん目を見開いたまま、だ。
俺は顔を反らした。

バスが見えてきた。俺はエリーに声をかけ、立ち上がった。