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599 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/08/27(木) 13:28:21 ID:x3JaSI/T
『ヤンデリ専童話』
一回目

僕は昨日初めて、「ヤンデリヘル」というものを体験した。
出向先で、出先の先輩の半ば強引な勧めに乗ったのだ。
なんでも、ヤンデレキャラでサービスしてくれるデリヘルらしい。
いやはや、童貞脱出をこんな形で迎えるとは思ってもみなかったZE、羽蛾。

来たのは25歳くらい、僕と同年代の娘だった。
先輩が勧めたとおり、スレンダーで色白、黒髪のかわいい人だ。
「こんにちは、アヤナです。本日はご指名ありがとうございました。」
仕事を始めて日が浅いらしく、どこかぎこちなかった気がする。
部屋に入れて、二言三言話したあとだった。
アヤナは「それじゃ、はじめますか。」と言うや否や、突如狂ったように笑いだした。
「アハハハハハハハハハ。○○君があたしのこと見てくれないからだよ・・・。」
「ねぇ、責任とって。とりなさいよぉ!!」
そう叫ぶと彼女は服を脱ぎ捨て、僕につかみかかろうとした。
僕はデリヘル自体、初めてなうえに突然の展開についていけず唖然としてしまった。
その瞬間、彼女も過ちに気づいたようだ。
蒸気でも吐き出しそうな勢いで顔を真っ赤にし、ついで土下座した。

「アハ、ハハ、あたしまだこの仕事始めたばかりで・・・。新人なんです。」
ヤンデリヘルでは、最初に、客が好みのシチュエーションを選ぶ。
それに沿って、即興で嬢がヤンデレを演じて客を楽しませるわけだ。
しかし焦った彼女は、勝手に「嫉妬する幼馴染み」型でいきなり進めてしまった。
しかも、嬢がそれなら客は童貞だ。なんだか可笑しくなってしまった。
「いや、なんていうか、ぶっちゃけ僕なんか、童貞、だし・・・。」
なんだか間抜けな会話に、どちらともなく笑い始めてしまった。
改めて、「嫉妬する幼馴染み」型でお願いすると、彼女は小さな声でお礼を言った。
リラックスすると、ガチガチだった体が緩んで、あまり焦らなかった。

「お客さんはお仕事でこちらに来られてるんですよね。」
事後、身繕いをしながら、アヤナがそんなことを尋ねてきた。
迎えが来るまで部屋で待つらしい。
サービスは終了しているので、ヤンデレキャラではないのが何となく惜しい。
タバコも吸わない僕は所在なげに枕に手を置いていた。
「うん。それがどうかした?」
なんだか親近感が沸いてしまった。これはきっと童貞の悪い癖だ。
「いや、やっぱりこの辺の人とは違うなぁって。」
「そうかな?どんなところが?」
これが所謂ピロートークというやつだろうか。手に力がこもり、今更ながらに緊張してくる。
アヤナは乱れた髪を整えながら、時折こちらを覗き込むように見ていた。
「うーん。なんか優しいとことか。」
「へぇぇ。そうかなぁ・・・」
営業トークなんだろうな。そう思いつつもほだされそうだ。
僕は自分のなかの童貞を殴りつけるように、枕を強くベッドに押し付けた。
「あー。今、営業トークだって思ったでしょ?」
バレとるがな。
「え?あ、いや~」
焦った僕にクスッと微笑んだ彼女は付け加えた。
「本音兼営業。あんまり焦んないでください。」
参った。新人とはいえプロなんだなー。ていうかホントに新人か?
赤面した僕を見て、アハハと彼女は笑った。

その後も好みのタイプについて聞かれたりとさんざんからかわれてしまった。
料理が出来る、とか亜麻色の髪が・・・とか口走った気がするが。
アヤナは、去り際に店のカードを置いていった。血痕の模様の、なかなかニクイ演出だ。
『またのご利用をお待ちしております。』
予定はあと一週間。ふたたび利用する気は無かった。






605 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/08/28(金) 02:29:29 ID:xlKohyhL
『ヤンデリ専童話』二回目 2レス消費

へ?いまなんて?
「ですから、真に申し訳ありませんが、部品の関係で納期が一ヶ月遅れそうなんです。」
出向先、玉屋(株)の担当がそう答えた。困っているようだがこちらも時間が無いのだ。
思わず声が大きくなりそうだが、さりとてこんなところで怒っても仕方ない。
そう思い本社の上司に相談した僕は、結局この街にあと一ヶ月もいることになってしまった。
必要な書類はFAXで届いた。仕方ない、こういうこともあるさ。

「猿」というのはよく言ったもので、一ヶ月の滞在が決まると僕はまた頼んでしまっていた。
「こんにちは。アヤナです。ご指名ありがとうございました。」
戸口に立ったアヤナを見ると、一週間しかたっていないのに少し雰囲気が変わっていた。
垢抜けたというか・・・。業界の慣れというのはこういうものなんだろうか。
「どうかしました?」
ずいっと入ってきたアヤナがこちらを見る。
「あ、いや。なんだか雰囲気変わったかなーって。一週間しかたってないケド。」
「・・・。」
ほんの一瞬、アヤナの顔が寂しそうに見えた。
しかし、次の瞬間には彼女は頭を指差しながら苦笑いしていた。
「それは、コレですよ、コレ!髪の色変えたんですよ。」
確かに、黒かった彼女の髪は亜麻色になっていた。
「あ。ホントだ」
僕の間抜けな返事に、彼女は僕をじっと見つめた後、ふっと俯いた。
一瞬、「なによ。せっかく○○が・・・」とかなんとか呟くのが聞こえる。
なぜだろうか、拳を握っている。一体どうしたんだ?
「え?いま何て?」
なんだか緊張した雰囲気が漂っている。
なにか悪いことでも言っただろうか。僕は空気が読めないところがあるし・・・。
一応、冷房を入れておいたので室内は涼しいはずだが、それ以外の寒気を感じた。
重い雰囲気のなか、アヤナは黙っている。
「・・・。」
「どうかした?」
そう尋ねると、彼女はハッとしたような表情をみせてこちらを向いた。
「え、あ。なんでもないです。あたしどうしちゃったんだろ、あははは」
黙っていたかと思えば苦笑して、何でもないと答える。
なにか気になることでもあるのだろか。
所詮、嬢と客の間柄、突っ込むこともままならず黙っていた。
すると、彼女が「じゃあ、始めますね。今日のジャンルは何にしますか?」と始めてしまう。
先程の雰囲気も演技だったのだろうか。だとしたらたいしたものだ。
彼女のテンションが戻ってきたので、僕もその気になってしまった。
「じゃ、じゃあ今日は『素直クールなストーカー』型で。」

606 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/08/28(金) 02:35:57 ID:xlKohyhL
>>605続き 

慣れてきたのだろうか。浮気したら殺すとか、今日は随分と情熱的でストレートだった。
しかもこの前は事が終わると、すぐ話しかけたりしたアヤナだが、今回は黙って体を寄せてきた。
時計を見ても、あと5分ほどでサービスは終了する。どうしたんだろうか。
黙っていると、彼女は耳元に口を寄せて囁いた。
「なあ。○○、君は私のことを本当に好きか。いや、愛してくれているか?」
まだロールプレイングは続いているらしい。ヤンデレキャラとピロートークというのはおいしい状況だ。
「うん、もちろんだよ。」
うぇー、やっぱり僕は童貞だ。こんな馬鹿な台詞をプロに言うなんて。
顔から火が出るかと思った。前言撤回。やっぱこういうのは普通が良いな。
「そうか、もう○○は私だけのものだ。愛している。」
そう言うとアヤナはより一層くっついてきた。
オイオイ、ノリノリだよ・・・。誰か助けてください。
「う、うん。あ、ありがとう。」
もう勘弁してくれ。悲痛な叫び声を心があげるが、アヤナは止めてくれない。
「ふふ。ところで、○○はどんな料理が好きなんだ?」
料理とか・・・。普通に恋人同士のトークじゃん。
嬢相手の甘いピロートークがこんな恥ずかしいものとは思ってもみなかった。
ベッド際においてあるピエロの人形が僕を嘲っているようにしか見えない。
顔がひきつりながらも一言「唐揚げとか茄子料理、かな・・・」と答えた。
アヤナの顔を見ると、じっとこちらを見つめていた。さっきからそうしていたのかも知れない。
なんだか居づらくなって、また僕は黙り込んでしまう。
すると、彼女はやおら起き上がって「ハイ、ここまで。サービス延長いたしますか?」と聞いてきた。
口調も雰囲気も、いつもの快活な感じに戻っている。
あ、クソ。またやられた。

結局、この日も僕は延長を頼まなかった。
アヤナは「そう。」と一言呟き、「また今度ね。あと一ヶ月いるんでしょ?」と聞いてきた。
正直、もう一度頼むか分からなかったが、熱心さとどこか不安げな雰囲気にうなずいてしまう。
やっぱり僕は騙しやすい良い「鴨」もといお客なんだろうなぁ。思わずため息をつきかけた。
しかし、本当に不安なのか商売熱心なのか、ドアの前でも彼女は念を押してくる。
「ねぇ。今度はもっとうまくなるから。また呼んでね!」
彼女はそう言って出ていった。
そう言えば、彼女、なにか途中でメモを書いていた。あれは何だったのだろうか。
営業上の作戦、とかだったら嫌だなぁ、などとまた青臭いことを考えていた。