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779 :血濡レノ願イ(読み切り):2009/09/07(月) 23:13:10 ID:M7LP0iNX
血濡レタ願イ

やっと今日は年に一度、織姫に会うのを許された日。
天気は心地いい、雲一つ無い青空。川も穏やかに流れていて、安全に渡れる。
「元気にしてるかな?織姫。早く会って抱きしめたいなぁ」
自然と頬が緩む。朝からそんな調子の自分が、少し恥ずかしくなった。

今日はやっと彦星さんに会える日だわ。一年間ずっと待ち続けたんだもの、楽しみだわ。
朝からずっとドキドキしてるの、大好きな彦星さんと会えるんだもの。
なのに…如何してお父様は、雨を降らせて川を増水させ様とするの?やっぱり私達の仲をまだ認めていないのね……。
「酷いわ、お父様…」
涙が零れてきた私を、見ないフリをして呪文を唱え始めた。

相変わらず空は晴れ渡り、まるで僕達の再会を祝福しているみたいだ。
少し早足で、織姫の屋敷に向かう。高鳴る鼓動に釣られる様に早足で。

もうすぐ此処に彦星さんが来る。大丈夫、お化粧はちゃんとしたわ。
ふふっきっとこの“贈り物”気に入ってくれるわよね?楽しみだわ!!

…?屋敷に着き、中に入ると妙に静かで嫌な予感が頭を過る。
「織姫っ!!何処にい「ふふっそんなに慌てなくても、此処よ。彦星さん」
背後で何処か何時もと違う声がして、勢いよく振り向いた。
其処には…血塗れの、織姫が妖艶に笑い、立っていた。

「ふふっそんなに慌てなくても、此処よ。彦星さん」
私の声に振り返った彦星さんの安堵した顔が、一瞬で驚愕に染まり俯く。
「貴方に“贈り物”お父様さえ居なければ、私達毎日会えるでしょ?名案でしょ?ねぇ愛しい彦星さん」
チラとお父様だったモノに目を向けてから、すぐに彦星さんに抱き付き頬に手を触れれば、貴方は震えていた。
どうして?どうして怯えるの?貴方の為にやったのに、なんで褒めてくれないの?どうして喜ん「やっと…堕ちてくれたんだね?織姫。可愛いよ」

血塗れで抱き付いてきた織姫から視線を外せば、原形を留めぬ肉塊があった。
クク…あぁ此処までやっと
「やっと…堕ちてくれたんだね?織姫。可愛いよ」
やっと僕と同じ所まで堕ちてくれた。親殺しという大罪を犯しても、罪と思わず妖艶に笑う織姫。
待ち望んでいたよ…その、最高の笑みを。

ぎゅっと私を抱き締めた貴方は、何時もの穏やかな笑みじゃなくて妖しく笑う。
でも、その笑顔の方が素敵。やっぱりお父様を消して正解だったわ。
「これでずっと…ずっと誰にも邪魔されず一緒にいられるのね?」
「うん、ずっと一緒だよ織姫。僕達は永劫一つになるんだ」
いきなり彦星さんにに唇を奪われた。口づけはとても甘くて、酔ってしまいそ?!
な…に…?身体に力が入らない…意識が…遠く…どう…し……

織姫に口づけて、無味無臭の劇薬を飲ませる。虚ろな意識の中、涙を流し見上げてくる目が、愛おしくてたまらない。
「アハハ!どうしたの?僕は織姫を食べて、織姫と永劫一つになる。血液や髪の毛も何一つ残さずにっっ!!そうすれば誰も織姫に触れられない!!!僕だけのモノ!!!アハハハ!!!!!」
もう、死んだ織姫を大鍋に入れる。その白い肌には紅がよく映えるだろうなぁ。
目玉を抉り出し、口に入れて転がす。それは、何時か織姫と食べた砂糖菓子よりとても甘くて、うっとりする。ゴクリ、と飲み込んだ。
口づけて、舌を噛み切り咀嚼する。上質な肉に齧り付く様な陶酔感。
先ずは、一滴も零さない様に血抜きをした。まるで紅葉の鮮やかさだ。
終わった身体を解体して、鍋で煮込める大きさにぶつ切りにして火にかける。
ハハッ!織姫のごった煮だね。血を飲みながら、完成を心待ちにして時間を過す。
暫くして、とても芳しい芳香が漂い始め完成を告げた。
「いただきます。これで僕達は永劫一緒だよ、愛しい織姫」
彦星は、うっとりと妖艶な…見る者全てをゾッとさせる満面の笑みを浮かべながら、最愛の存在を喰らっていた…。