795 :1レス小ネタ『病んでる姉』 [sage] :2009/11/12(木) 01:26:47 ID:bmwzbhth
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 人生最大の決断は、僅か十五歳にして訪れた。
 空には綺麗な星と月。そして目の前には、既に幻想の域にまで達した女性が一人。
「ほらっ、どうするんだ弟?」
 蛍光灯も消えてる薄暗い場所。明かりは窓から差し込む差せ明かりのみ。
 自宅の二階、ボクの部屋で、ボクの姉が、ボクを見下ろす。
 キャスター付きの椅子に座って足を組み、その前でボクは正座するだけ。
「奴隷なんて……イヤに決まってるよ」
 黒く、黒く、闇の中でさえ一層に栄える黒。長い髪は黒く、切れ長の瞳は黒く、制服も、穿いてるタイツも、下着も、心も、全てを黒で統一してる。 
 ボクの姉は、羽衣 狐子(はごろも きつねこ)は、そんな黒で男を恐れさせ、魅了して行く。たった一人……弟のボクを除いて。
「な、なっ、なんでだっ!? 奴隷になれば、毎日ご飯を作って食べさせてやるぞ? 掃除も洗濯もしてやるし、ち……チューだって、いっぱいしてやるんだぞっ?」
 ボクだけはこんな姉に頭を痛め、普通の姉になってくれと土下座までして頼み込む。
 発端は十分前、二人きりの夕食の時、頬を赤く染めた姉から貰った物。




 『 奴隷契約書
  わたし、羽衣狐子は
  奴隷として弟に尽くす事を誓い
  弟は見返りとして、姉だけを愛する事を誓います


  ※一生涯有効 』




 紙にはそれに加え、姉の名前と拇印が押してあり、後はボクが足しておしまい。だけどさ……

「だからボク、奴隷なんていらないってば」
「イヤだイヤだっ!! 弟の奴隷になるんだもんっ!!」

 結婚できないから、ボクの奴隷になるらしい。あぁ、ほんと……頭が痛い。
最終更新:2010年01月23日 00:11