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431 :cinderella & cendrillon 8:2010/01/04(月) 17:42:33 ID:3za97h+/
~灰乃side~

「……ごめんね、えねちゃん」
「え?」
「私の所為で向こうへ連れて行くことになって……」
私は自嘲気味に言葉を紡ぎだす。
ここは空港、あの日から2日ほどたった後……
「別に気にしてないよ、向こうに行けば…腕、なんとかなるかもしれないんでしょ?」
「えぇ、ドイツは医療技術では世界でもトップレベルよ、と言っても恐らくは義手をつけることになるでしょうけどね」
これは本当だ、実際ドイツは医療の最先端を行く国だ、えねちゃんの腕も何とかなるだろう。
でも本当なら義手くらい日本でもつけられるし、リハビリだってできる。
この子をドイツへ連れて行くのは私のワガママ。
「また腕が2本に戻るならどこだって行くよ、それにちゃんと動かせるようになってから帰ってくればいいんだしね」
その言葉に私の胸がつらくなる、だって『もう一度』は無いもの。
この子が事故に遭ったと聞いた時、そのうえ左手を失ったと聞いた時、私は目の前が真っ暗になった。
それと同時にものすごい後悔が込み上げて来たことも覚えている。
私がドイツに行くことを決めたとき、本当はこの子も一緒に連れて行こうとした。
でもこの子のことを考えればと思ってそれは諦めることにした……でも。
やはりあの時連れて行けばよかった、私の手元に置いておけばよかった、束縛してしまえばよかった。
だからもう同じ過ちは繰り返さない、この子は絶対私のものにする。
「ごめんね、えねちゃん」
「だから気にしてないって」
……あなたの未来を奪ってしまって……

432 :cinderella & cendrillon 8:2010/01/04(月) 17:42:55 ID:3za97h+/
「そろそろ時間よ、行きましょう」
「あ、うん」
目の前にあるゲート、これをくぐればもう後戻りはできない……いいえ、させない。
もう覚悟はできている、えねちゃんに嫌われることも、あの二人を敵に回すことも。
それでも……それでも私は、えねちゃんが欲しいから。
「依音!」
急に後ろから誰かの大声、振り返るとそこにはよく知った瓜二つの女。
私の代わりに何年もの間えねちゃんと一緒にいた妹たち。
「ひめねぇ、さきねぇ」
「絶対! 絶対帰ってくるのよ!?」
「わかってるよ! ちゃんと戻ってくる! それまでまってて!」
果されることのない約束、その原因は私。
「えねちゃん時間よ、行きましょう?」
「うん、行こうはいねぇ」
そして私たちは、ゲートをくぐった。


433 :cinderella & cendrillon 8:2010/01/04(月) 17:43:27 ID:3za97h+/
~依音side~

日本から約12時間、オレはドイツにいる。
初めての外国がこんなことで来ることになるなんて予想外もいいとこだ。
「はいねぇ、家はここからどのくらいなの?」
「そうね、だいたい1時間ってとこかしら。」
遠いなぁ……合計約13時間の旅とか本気無理。
『本気』と書いて『マジ』と読むくらい本気で無理。
飛行機の離陸の時のグワッとくる感じで酔ったし、車酔いするし……
……まぁここで愚痴っても仕方ないんですけどね……

~1時間後~

……もう……飛行機の後に車には乗らない……
「大丈夫、えねちゃん?」
「あ、うん……大丈夫……」
結論から言うと、酔いました。
『飛行機+車=とてつもなく酔う』という悪魔の方程式が完成しましたとさ。
「ここが…はいねぇの家?」
「そうよ、なかなかいい感じでしょ?」
「一軒家……ですか?」
目の前にあるのは2階建て庭付き大きめの一戸建て。
恐らく都心で建てたら億はするんじゃないかっていう位の大きさだ。
「うん、1ヶ月くらい前からここに住んでるの」
「今の仕事、そんなに給料いいの?」
「そうね、なかなかの額をもらっております」
ニコッという効果音とともに素晴らしい微笑みを向けてくるはいねぇ。
何年も会ってなかったせいか妙にドキドキする。
「ささ、入って頂戴♪」
「うん、おじゃましま~す」

~更に1時間後~

「ふぅ、やっと準備終わったよ」
「ごめんね、普段使ってない部屋だったから」
「いいよ、オレが使わせてもらうんだから」
到着から1時間後、オレはずっと使わせてもらう部屋の掃除をしていた。
「飲み物入れるわね、紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「じゃあ紅茶ちょうだい」
「ん、じゃあ淹れてくるわね」