85 :キレた人々2.5 [sage] :2009/11/23(月) 23:42:39 ID:E5DMIhTn
―神無視点―

彼に惹かれ出したのはいつからだったか。
高校の入学式で何をするでもなく頬杖をついている姿を見て、
何故か同類のような雰囲気とニオイがした。
話しかけることに躊躇いは無かった。
彼の机の前に立つ。
しばらく見上げるが、特に何も面白いことはないといった様子で
再び視線を下げる。
その時の瞳が、自分と似ていた。
周りの奴らとは何かが決定的に違う。
奥の奥まで、真っ暗なわけではなく、中途半端に濁っていて、
どこか、何かを諦めた時の様な色。
その瞳を見たとき、その瞳に見つめられたとき、

彼が欲しいと思った。



86 :キレた人々2.5 [sage] :2009/11/24(火) 00:11:15 ID:uEzENCHu


彼は常人から見て近づき難い雰囲気を放っていた。
その視線、その仕草、その言動、全てが普通のものだったにも関わらず。
多分その全てが失敗に終わったような感じのものが混ざっているのが
原因なんだろう。
彼に積極的に関わろうとする輩は出てこなかった。
きっと、ボクだけが彼を見ていただろう。
ボクはそれで好かったし、それしかなかった。
ボクは彼が欲しい。彼の全てを知り、彼の全てを何処かに仕舞って
ずっと戯れていたかった。

だけど何時からだろう。

同時に彼のものでありたい、と思ったのは。

彼だけがボクの全てを知り、彼だけがボクの全てを蹂躙する。
それがとても甘美なことに思えて身悶えてしまったのは何時からだろう。
その思いは段々と膨らんでいき、遂には自分のたった一つの願望になってしまった。

きっかけは、彼に近寄る女が出てきたことだった。
その女は彼を愛しもせず、体を売って金を巻き上げようとした屑だった。
そんな雌豚に彼を触れさせるわけにはいかない。

その日の夜、雌豚と取り巻きの雄どもを焼き殺した。
調査はされているが解るはずもない。
発火能力じゃあ証拠もなにも残らない。
あの枯れた叫び声は実に醜かった。

ボクのただ一つの願いなんだ。
何人たりとも、邪魔はさせない。



87 :キレた人々2.5 [sage] :2009/11/24(火) 00:30:15 ID:uEzENCHu


そして今に至る。
彼のアパートの隣に住み、毎朝彼と登校し、ずっと彼をみている。
休日には彼が家を出たらそのまま追いかけて無理矢理合流する。

そして日曜日。

「…誰だ、あの女…?」

今日彼のアパートに引っ越してきた女が彼を訪ねた。
彼は驚いた顔をしている。
女はそのまま彼の部屋に入っていった。

ふざけるな!
あの女は彼の何だ?
あの女…障害になるようなら灰にしないと…
こうやって考えている今この時にも彼に何かが…

待ってて、すぐに愛するキミのところにいくよ。
最終更新:2010年02月05日 11:50