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690 :名無しさん@ピンキー [sage] :2010/02/14(日) 02:49:41 ID:6ZMHYmyA
二月十四日。
それは圧制の影で密かに愛し合う者たちの結婚式を挙げたというセント・バレヌンティウスが処刑された日である。
今日この日は、その素晴らしきバレヌンティウス様の死を悼む日であるべきなのだ。
そう、決して女子がモテル特定の男子にチョコレイトなどをあげる日であるはずがないのだ。
まったく今日という日に本命だの義理だの友だのとまったく日本は商魂逞しい国だな呆れるぜ。
おいそこの男子。そわそわしてんじゃねぇよ。何一抹の望みを待ってるんだよ。
いや、もういいや。どうせ俺には関係ねぇ。

朝起きて真っ先に思い浮かんだものがこれじゃあ、今日一日憂鬱になってもおかしくないな。
まあいい。それよりも今日は日曜だというのに登校しなければならない。
半ドンらしいが、なんでも新型インフルエンザの影響で学校閉鎖になった分授業が遅れているそうだ。
せっかくの日曜なのに。仮面ライダーが見れないじゃないか。
最近の、平成ライダーシリーズだっけ?あれはいいよな。昔のものはバトルばっかりだったけど今のライダーはストーリーが深い。
まあ最後は結局暴力で解決するのは変わってないが。
閑話休題。
何時もより早く高校に着いた俺は、ありえないものを発見してしまった。
俺の上靴の上に、綺麗に包装された何かが置かれているのだ。
いや、そんなにありえないことじゃないのか。何せ今日はバレンタインディなのだから。

まったく、誰だ?こんな悪戯をしたのは。中学の頃からそうだったが、人間を精神的にいたぶるのはそんなに楽しいのか?今度俺もやってみようか。
しかし残念だったな。この手はなれてる。今の俺の心の壁はルガーランスでも壊せはしない。
ふと、赤いリボンの間に紙が挟まっているのに気付いた。
二つ折りになっているそれを開いて見る。
『今日の放課後、一時に屋上で待ってます』
おお、なんてベタな。しかしこれで確信した。これはドッキリだ。

放課後。
恐らく待っているだろう女子になんて言おうかを考える。
ドッキリは引っかかった方がいいのだ。以前ドッキリ企画を真っ向から否定したら訳もなくボコにされた。
なんというジャイアニズムだろうか、と当時は思ったが、それもしょうがない。ああいう人種には既に真っ当な思考をすることは願っていない。
そうだ!新しいリアクションを試してみようか。
罰ゲームかなんかでしょ、とか言えば否定したことにもならないし、一応は騙されたことにはなるだろう。うん、一度これでいってみよう。どうせ後二年同じことが続くんだろうし。
対処法を決めて屋上のドアを開ける。
そこには案の定クラスメイトの女子の顔が・・・って、え?
そこにいたのは女子でなく、いや女子だけど生徒じゃなくて、何故か担任の教師が立っていた。
常日頃から黒いパンツスーツで艶やかな黒髪を後ろで纏めて、所謂ポニーテールにしている。切れ長の鋭い視線の所為で生徒からは少々距離を置かれている。
「先生、どうしたんですか、こんなところで」
もしかして、ドッキリを企てた生徒を追っ払ったのだろうか。それはマズイ。あいつらの報復は恐いんだよな。
「ああ、来てくれたのか。時間より十分も早い。流石は○○」
何を言ってるんだろうこの人は?
「私の気持ちは受け取ってくれたか?一応手作りなんだぞ。カカオから作ったわけではないがな」
先生が頬を緩める。笑っているんだろうが、何故だろう、敵の幹部にしか見えない。
しかし何故に先生がここに・・・。追い払ったような雰囲気でもないし、先生自身がドッキリ的なものを企てるとも思えない。ましてや
生徒のドッキリに手を貸すような下種な教師でもない、いたって真面目な先生の筈・・・。考える程に分からなくなる。


692 :名無しさん@ピンキー [sage] :2010/02/14(日) 03:38:40 ID:6ZMHYmyA
そう思って先生を見つめていると、何故か先生は顔を赤くした。
「おい、そんなに見つめるな・・・照れるだろう」
何故照れる。こんなことで照れていたら教団にたって話なんか出来ないだろうに。
「そうやって見つめられるのも悪くはないが・・・そろそろ本題に入るとしよう」
本題?だからそれは何なんだろうか。まさかこんなところで指導ですか。あ、でもさっきみたいなのよりはそっちの可能性の方が高いのかな。しかし、
「あの、先生。僕最近何か問題になるようなことしましたっけ?」
そう、ここ最近、というよりこの高校に入学してからは何の問題行動も起こしていない。無遅刻無欠席、さらには成績も学年では上位に入っているし。
何の問題もないだろう。対人関係も、最近はあいつらもなりを潜めていた。まあ今日久々にアクションがあったわけだけど。
「問題?そんなこと○○は起こしてないだろう。優秀な生徒だよ君は。ただ優秀すぎて構えないのは難点だな」
さっきから何を言ってるのかさっぱり分からない。指導でもないんなら一体なんなんだ。
「本題というのはな、実は私な、○○のことが、その・・・す、好き、なんだ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・はい?
え、ナにこれ?え、あ、最近何もないと思ったら、今日この日のための布石だったわけか!流石にあいつらもマンネリじゃ駄目だと思ったのか。うん、下種にしては中々の進歩じゃないか。見直した。
しかし教師を使ってドッキリとは。斬新だなあ。もうこの学校に自分の頼れるものはないという絶望感を味わわせ、しかももっともこういうことをしなさそうな人を投入するとは。
うん、残酷だなあ。前述のジャイアニズムというのは撤回しよう。あいつは一応友達思いのいい奴だからな、何気に。
しっかし何だ、ん?ここまで来ると笑うしかないよな本当に。下種とかそんなの通り越して感心するよ。なんなら尊敬してもいいな、教師まで引き込めるそのコミュニケーション能力には感服だよ。脱帽ものだね。
「そ、その、返事をくれないか?いや、教師と生徒というのが嫌なら、私は教師を辞めてもいいし、君が卒業するまで待ち続けるから・・・」
ハハ、ヤバイ、本当に笑えてきた。何これ、先生メチャクチャ可愛いんだけど。これがドッキリじゃなかったらどれほど良かったことか。学校を辞める、卒業するまで待つなんていう人に惚れないわけないじゃないか。
ああ、くそ、なんて返そうな。ドッキリでしょう、か?罰ゲームでしょうか?それともかかったフリでもするか?


「ああ、そうだ。ドッキリでも罰ゲームでもないぞ。これは、その、私の正直な気持ちだ。
○○を直接嘲笑の対象にしていた奴なら今年留年するぞ。丁度成績も、君と違って悪かったからな。もう君の傍にあんな出来の悪い屑は置かないから。
すまなかったな。今まで野放しにしていて。君を観察し出してから気付いたんだ。脅しておいたしもう何もないだろう。君が望むなら屠殺してきてもいいぞ」

満面の笑みでそう言う先生。
俺は言葉が出なかった。
「さあ、返事を聞かせてくれ。今日という日を楽しみにしていたんだ。さあ、早く・・・」
「あ、えっと・・・」
「どうした?・・・そうか、私が担任だから答え辛いんだな?そんなことは気にするな。さあ、さあ、さあ・・・」
にじり寄ってくる先生。ヤバイ。目がヤバイ。
「言葉が出ないのか?案外恥ずかしがり屋なんだな。そんなところも可愛くて好きだぞ。ならこうしよう。
下駄箱にチョコが入っていただろう?それを今ここで食べてくれ。さあほら早く。頑張って作ったんだぞ。これでも料理はうまいんだ」
俺が断るなんてことは微塵も思ってないらしい。
俺は黙ってチョコの包みを取り出し開封した。中にはハート型の可愛らしい小さなチョコが幾つか入っていた。
その中の一つを齧る。・・・あれ、なんかフラフラしてきた。苦しいてか、何か暑いな、まだ二月なのに。
「ふふふっ、半信半疑だったが本当に効くものだな。さあ、私の家に行こうか。今すぐ結ばれようじゃないか」
その言葉を最後に俺の意識は途切れた。不思議と、満足感があった。シアワセナキブンニナッタ。


ノリでかいた
駄文でスマン