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98 :ヤンデレ素直クール:2010/02/19(金) 02:33:24 ID:0ylXbI2v
第二話 3レス消費

律の告白から一週間後の帰り道。
すでに薄暗くなりつつある通学路を律と明の二人は歩いていた。
その道すがら、明は気になっていたことを聞いてみた。
「・・・でもさ、須崎さんはなんで俺のことが好きになったの?」
何気ない一言だったが、律は明の目をじっと見つめた。
明は律の探るような目つきが苦手だ。しかし、同時に吸い寄せられてしまう。
いつも通る街角だが、律に見つめられているだけで全く違う場所に思えてきた。
「・・・??須崎さん?俺、なんかまずいこと聞いた?」
思わず尋ねると、律は目をそらすことなく微笑んで答えた。
「いいや。それよりも、君が私に率直に聞いてくれたことが嬉しいんだ。」
「後の一言は余計だったが、及第点だ。ありがとう。」
こう言って律は一息ついた。手を握る律の力が強くなる。
「君の問いに答えたいが、長くなるぞ。それで良いなら、寄り道しよう。」
明は神妙にうなづいた。
「いいよ。俺も、なんていうか、須崎さんのこともっと知りたい、し。」
薄暗いなか、律の目だけはなぜか爛々と輝いているように見えた。
「ふふ、君も私のことを知りたいと思ってくれるんだな?嬉しいよ。」
でもそれなら、と微笑んで律は付け加えた。
「お互い、名前で呼び合おう。明。率直かつ素直に、な。」

※※※※


99 :ヤンデレ素直クール:2010/02/19(金) 02:36:23 ID:0ylXbI2v

10分ほど、住宅街を抜けていくと、律のお気に入りだという喫茶店についた。
ジャズソングが静かに流れる、高校生には似合わない店。
しかし、大人びた雰囲気の律にはちょうど良いのかもしれない。
たっぷりと生クリームを使った濃厚なココアが運ばれると、律は話しだした。
それこそ自分の趣味や好きなものから家庭環境、生い立ちに至るまで包み隠さず。
しかも、それがプライベートな部分になればなるほど、言葉に熱がこもっていく。
「私の両親は互いに喧嘩していてね。ずっとだったよ。」
「それから二人は私を憎むようになった。お互いの子だと思うと我慢ならないそうだ。」
堰を切ったように喋り続ける律を前に、明は圧倒されていた。
「彼らは互いにずっと嘘をつきあっていてね。きっとそれが喧嘩の原因なんだろう。」
「しかも私を前にすると二人とも途端に優しい顔ばかりさ。下らない・・・。」
よくよく考えて見れば、今や恋人とはいえお互いほとんど接点などなかった。
今日まで交わした言葉など挨拶とか、その程度だろう。それなのに。
「私が家を出されて、祖父の家に引き取られるその時まで、二人とも優しい顔だった。」
「でも私は知ってたんだ。あいつらは私を追い出す算段を整えていたんだ。こそこそと。」
それなのになぜ、律はこんなにも赤裸々に話せるのか、明には分からない。
なんとなく感じる、あの違和感。
「普段怒鳴りあう夫婦が夜中には突如静かになるんだからな。盗み聞きしたんだ。」
「それで、最後に言ってやったんだ。」
「厄介払い出来て良かったな、って。全部、聞いてたぞ、・・・って。」
一息に語りつくした律の瞳にはうっすらと涙が溜まっていた。
最後は声が詰まっていたので、泣いていたのかもしれない。
何と言ってよいのかも分からず、明はただ律の手を握っていた。
ありがとう、と頬を染めた律は
「私が素直や、嘘にこだわるのは、きっとそのせいなんだ。」
と締めくくったのだった。

※※※※


100 :ヤンデレ素直クール:2010/02/19(金) 02:40:03 ID:0ylXbI2v

自分の半生を語りつくした律の瞳は涙を湛えながら輝いていた。
どう考えても、恋人とはいえよく知りもしない男に話すことではない。
どうしてそんなに開けっ広げなのか。
どうしても疑問に思えた明は控えめに口を開いた。
「あの・・・律、さんてさ。いつも、こんな感じなの?」
非難するつもりはなかった。ただ知りたかっただけである。
しかし、明の言葉に律は怪訝な顔をする。
「こんな、とはどういう意味だ?私は、なにか変だったか?」
予想外に不満げな律の反応に、明は驚く。
一転、不穏な雰囲気に思わずしどろもどろな言葉しか返せない。
「あ、いや。何ていうか、その悪い意味じゃなくて・・・」
煮え切らない明の目をガチリと喰らいつくように律が捉える。
その目はまるで蛇や獣のような、獰猛な輝きを放っていた。
「なんだ?遠慮なく言ってくれ。」
「あの、律さんが素直というかストレートというか・・・」
「えと、・・・言い方が、悪かったよね。ゴメン・・・」
ギラギラとした光を増していく律の目が怖くて、謝罪してしまう。
律が静かに切り込んでくる。
「私が素直なのが、何かいけないのか・・・?ゴメン、とは何だ?」
そこには静かに怒りだした律がいた。
時々見せる可愛らしさとは間逆の、般若の顔。
何かいわなければいけない。だが分かっていても頭が働かない。
「いや、その・・・。」
きゅうう、と律は目を細める。また、明の中を探ろうとしていた。
「君に対してありのままでいることが私の全てだ。分からないのか?」
「なぜいけないのか教えてくれ。私が明に素直になって何が悪い?」
詰まった明の首にそっと律の手が添えられる。
「もういい。後で聞く。」
添えられた両手はそっと首を絞めつけはじめた。
じわじわと絞め上げながら、律は明に顔を近づけてゆく。
なぜか身体が石のように重く、明は声を上げることさえできない。
肺は悲鳴を上げているのに、何も出来ないままだ。
律は微笑みながら、耳元で囁いた。
「教えてくれ。私の何がいけないんだ?必ず直すから・・・」
明はそれを最後に意識を失った。

※※※※