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333 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:05:50 ID:gJdem6/T

「料理上手な彼女」


 世の中で素敵な女性はどんな人か?そう考えるとまず真っ先に思い浮かぶのは…やっぱり家庭的
で、さらに料理が上手な人なのかな?と僕はそんなことを考えた。
 「ねぇねぇまーくん、今日のお弁当は…どうかなあ?」
 そういって彼女…僕の幼馴染である登呂玖 泉はいつものように僕の席に自分の席をくっつける
と僕に手製のお弁当の味を聞いてくる。
 彼女はボーイッシュな見かけ、かつ男勝りな性格によらず料理を作るのが大変得意だ。
 「うん、とってもおいしいよ…冷めるのが前提でこんなにもおいしく食べられるお弁当なんて一流
シェフでも作るのは難しいんじゃないかなあ?」
 「本当!やったー!!やっぱり僕って才能あるんだよね!ね!」
 そういって彼女は本当に嬉しそうにガッツポーズをとる…僕の
いう言葉にお世辞はない、本当に彼女の料理は美味しい。給食の
出ない土曜学級の日のみ味わえる彼女のお弁当は僕にとって本当に格別なも

のだった…彼女が初めてお弁当を作ってくれた頃は一緒に食べるのも少し恥
ずかしかったが今ではそれも気にならないくらいに彼女の料理の味は上達していた。
 「…えへへ、嬉しいなあ…まーくんに認められただけで三ツ星シェフになれた気分だよ」
 「それは気が早いよ、まずはちゃんと調理師学校に行かなきゃさ」
 「うん…でも、マー君にあえなくなるのは少しさびしいかな…」
 彼女…泉の将来の夢は調理師になることらしい、もともと子供のころから手作りお菓子やら
料理やらを振舞ってくれた彼女がそんな自分の夢を語ってくれたときはある程度納得したが
彼女の覚悟は半端ではなかったようだった…僕は後数日もすれば高校受験を受けて、晴れて
周りの平均クラスの連中と同じ高校に進学できるのだが…泉はそんな怠惰で甘美な日々を振
り切って調理師学校に進学する道を選んでいた。




334 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:08:18 ID:gJdem6/T
「料理上手な彼女」①

「何いってるのさ?家だって近所だし、それに休みの日はまたいつでも遊んであげるからさ」
 「ぶー、そういうことじゃないの、僕はまーくんと今みたいに会いたいんだもん!!」
 そういって泉は少し冗談めかした膨れっ面を浮かべた、そういわれて見るともうこうして
他愛ない話をしながら彼女のお弁当を食べられる日が来なくなるのはさびしい事なのかも
しれない…でも僕らはまだ若い、きっと高校に行けばもっと楽しい事もあるはずだ…僕はそう
考えて、彼女のお弁当を出来るだけゆっくり食べてあげる事にした。
「じゃあ高校生になっても一緒に登校してやるよ…だから機嫌直せって」
 「本当に!?絶対だよ!まーくん!」
 今にして考えれば、このときに僕は泉の気持ちに気づいてやるべきだったのかも知れない。 
 このとき僕は気づいていなかった…そうやって未来はいい方向に向かっていくって考えることを…彼
女はもうすでにこの時、全思考を持って否定していたってことを…。



335 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:10:17 ID:gJdem6/T
料理上手な彼女…の日記

2月某日 曇りのち雪
 まーくんは今日も僕の料理をほめてくれた、とても嬉しかった、でも悲しい、僕の気持ちをわかって
くれない。
 僕だって同じ学校に行きたいよ、さびしいよ、でも僕は同じ学校にいけないんだ、だってそうしない
とお母さんがぶつんだ、嫌な事をするんだ…あなたは私の跡を継ぐために育ててきたのよ!って。
 本当は僕、料理なんか嫌いなんだよ・・・でも君が喜んで僕の料理を、お母さんみたいに怒らないで食
べてくれたから…僕はまーくんにお弁当を…いや、まーくんが大好きなんだ、だから僕はお弁当を作る
んだ…だから、ひとりでしたときの、おつゆも…隠し味に入れてるんだから…。
 ねえまーくん、早く僕の気持ちに気づいてよ…僕のうちの台所には…媚薬とかないから…君に襲わせ
るのは無理だけど…でもこんなにも、僕はいつもそばにいるんだから…(以降、解読不可能)


336 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:14:00 ID:gJdem6/T
 料理上手な彼女 ②

 そしてそのまま季節は春を向かえ、僕は晴れて高校生に、泉は調理師学校の生徒になった。
 しかし不思議なもので幼馴染との登校は、学校が変わっているというのにいまだに続けられていた。
 「はい、今日のお弁当だよ」 
 「うん、いつも悪いな」
  高校生になれば自然に給食はなくなって弁当生活が始まるのだがあいにく僕の家は父子家庭なので
…もう季節はとうに五月だと言うのに僕はいまだに泉の好意に甘えて弁当を恵んでもらうという生活を
続けていた。泉が僕の家庭の事情を察していてくれる分ありがたいのだが…いかんせん彼女の家も母子
家庭なので内心とても悪い気がする。
「…そうだ、今度遊びに行こ!おれがおごるから、どこでも好きなところに連れてってやるよ!」
 「あ…ゴメンね、僕の学校、あんまり休みがなくて…」
 「そうか、でも夢をかなえるんだもんな…がんばれよ!」
 「うん…」
 そういう泉の表情はどこか暗く、中学校時代のような覇気がないように感じられる…俗に言う五月病
と言う奴だろうか?最近は指先に絆創膏をまいていたり、なかなか一緒に遊べないあたり、やっぱり料
理を仕事にするための勉強と言うのはとても大変なのかもしれない。
「っと、それじゃあおれはここで…あ、舞ねーちん!」
 そういって角学校への近道である三叉路の角を曲がろうとしたとき、僕はもう一人の幼馴染の気配に
気づいた。
「あ…おはようまーくん、それからイズミン…」
「…あ、お姉ちゃん!今日はちゃんと起きられたんだね!」
 先ほどの態度から少し回復したのか、泉はいつもの調子を取り戻す…彼女の名前は 来栖 舞 僕ら
二人とは一つ違いなのだが子供のころからの付き合いで、さらに僕と同じ学校似通っているためこうし
て三人が顔を合わせるのはねーちんが寝坊をしないかぎりは恒例の行事となっていた。 
「はい、お姉ちゃんのお弁当、スッポン入りだからきっと寝つきがよくなるよ!」
「あらあら…ありがとうねイズミン…今度私もお礼に特製の紅茶を入れてあげますからね…」 
「うん、その時はスコーン焼いてあげるから楽しみにしててね!!」
 ねーちんは紅茶を入れるのが趣味、なんていう浮世離れした趣味を持つ、とろいのが特徴の高校二年
生だ…しかしそんなねーちんと明らかに対照的な泉は凄くウマが合うらしい、嬉しそうにねーちんとし
ゃべる泉。二人は僕も遠慮するぐらいに、まるで本当の姉妹のように仲がよかったりする…やっぱりこ
ういう場合はねーちんと話した方が元気になれるのかな、と考えると少し悔しくなった。 
「あ…それじゃあもうそろそろ学校に行かなきゃ…」
「うん!二人ともいってらっしゃい!!」
「おう!泉も頑張れよ!」
 こうして僕たちはそれぞれの学校へ向かった、二人を待っているうちに遅刻まで時間ギリギリとなっ
てしまったが、それでも泉が少しでも元気になればいい、そう思うことにして僕は舞ねーちんと二人で
陸上部も顔負けの遅刻ギリギリ猛ダッシュをして学校への坂を駆け上がった。



337 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:16:51 ID:gJdem6/T
料理上手な彼女 ②
 高校生活というものは意外に慣れてしまえば中学校と変わらない怠惰なものだった。クラスの友人達
もそれほど変わり映えはせず、部活動も文系なのでこれと言って頑張れるものではない…しかし強いて
いうなれば、僕の横にいるのが泉でなく、舞ねーちんになった事が一番の変化といったことだろうか。
 舞ねーちんは泉ほど積極的ではないのだが、それでもよく僕をお弁当に誘ってくれた、部活道も実を
言えばねーちんの誘いで入部していたりする…たまに遊びに行く回数なんかも中学校の頃から比べると
何倍も増えていった…そしてその分、朝顔を合わせる以外では、だんだん泉とは疎遠になっていった。
「ねぇねぇ誠君、やっぱり君って舞ちんと付き合ってるの?」
 放課後、部活動である茶道部のあとかたづけ中に先輩からそんなことを聞かれる、女子…しかも舞ね
ーちんの友人が多めのこの部活動ではある意味関係を怪しまれても当然のことだった。
「え…いや別に…僕は舞ねーちんとは…」 
「えー!そうなのー!?…でも仕方ないかー、何てったって舞”ねーちん”だもんねえ」
 先輩はそういってけらけらと笑う…その直後、がらがらと部室のドアを開けて、ねーちんが部室に入
ってきた…その顔はどこか悲しげで、僕は凄い申し訳のない気分になった…。
 もう、僕は心のどこかで気づいているんだろう、舞ねーちんが僕を一人の男として好意を持ってみて
いて…僕もその気持ちに答えたいってことを…。
 恋愛は儚い、ならばそれを全て捨てて友情に走れるのか?…そんな青春時代ではごく当たり前の葛藤
を抱きつつも時は流れ…季節は春から夏へと変わり始めていた。


338 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:18:04 ID:gJdem6/T
料理…下手なねーちんの日記

 6月某日雨

 明日は誕生日だ、でもとても嬉しくない事があった。イズミンに相談されてしまったのだ…まーくん
が好きで好きでたまらない、どうしても付き合いたい…でも家の事情と、学校のスケジュールのせいで
会えない、そう涙交じりで相談されてしまったのだ。
 ずるいよイズミン、わたしだってもう我慢の限界なんだよ。
 私もずっとまーくんのことが大好きだったんだよ、でも中学校を卒業して、いつもイズミンのそばに
はまーくんがいたから遠慮してたのに…。
 大好き、まーくん大好き…でも、イズミンも大好きなんだよ…コレだけは信じて、いつもお家や学校
の事で相談に乗ってあげてるのも…同情なんかじゃないんだよ…でも。
 もう、私も我慢の限界なんだよ。


339 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:23:35 ID:gJdem6/T
料理上手な彼女 ③
 その日は舞ねーちんの誕生日だった、僕は以前からねーちんが欲しがっていた変なデザインの抱き枕
を買い、泉はケーキと料理に腕を振るう…そんないつも通りな、恒例の分担で二人で誕生日の準備を始
めていた。
 会場には僕の家が使われる事になった、ちょうど両親も旅行で出かけている事だし、遅くまで騒いで
も問題はないだろうという判断からだった。
「イズミン…遅いねえ…」
「うん、なんだかケーキを焼くのに少し時間がかかるみたいだよ」
 泉の到着が遅れたため、僕たち二人は少しの間待たされる事になった…二人きりなのが原因なのか
それともねーちんが珍しく露出度の高い私服をきているせいなのか…緊張気味の僕ともともととろいね
ーちんとの会話はだんだんと少なくなり…次第に僕らは無言のまま隣通しでソファーに座ることになっ
てしまった。
「…ねえ、まーくん…舞ねーちんはね…欲しいものがあるんだよねぇ…」
何故か生唾を飲み込むとねーちんは重い口を開いた…その声はどこか震えている。
「うん…僕もそう思って…今日、プレうわああ!!」
 ねーちんはいきなり立ち上がると僕の肩を掴んだ、そしてそのまま僕をソファーに押し倒した。
「ちがうよ…モノじゃないの…まーくんが、お姉ちゃんは…まーくんが欲しいの!!」
「ちょ!駄目だよねーちん!それにほら…もうすぐ泉が!!」
 ねーちんは僕の声が聞こえないかのように、僕の両手を押さえると、そのまま僕にキスをした。
「ん…大丈夫だよ…だってもう、私我慢できないもん…それに、嫌じゃないんでしょ?まーくん」
「そ…それは…」
 舞ねーちんはそういうなり僕の口腔にに舌を押し込んでくる…もちろん、こうなることは僕自身も望
んでいた事だ…僕はそれを受け止めた。もう完全に泉のことなんてどうでもよくなっていた。
 泉が僕の家の、玄関に近づいていることなんて思いもせずに。

「おねーちゃーん!ハッピーバースデー!!」
 私はケーキの完成で遅れた時間を取り戻すため、慌てて、なおかつ威勢良くまーくんの家の玄関を開
けた、なんだか恥ずかしさで自分が誕生日の主役になったみたいだ…そんな気分だった。
 …馬鹿みたいだ、その玄関を開けることが、地獄の入り口だったと言うのに。

「ん…あああ!!!はああ!ん!!」
 僕はねーちんと体を重ねていた、あいにく男性経験は初めてのねーちんのそこはとても硬く閉ざされ

ていて、内部に侵入するのは一苦労だったが一度入ってしまえば後は楽らしく、ねーちんは僕の腰の動き
に対して艶っぽい声を上げていた…。
「ん…ああ…出すよ、ねーちん!」
「あ…来て!来てぇ!いっぱい出して!もう私も、いくぅ!」
「は…んん!!」
 そのまま僕はねーちんの内部に射精した。
 ガシャン!!
 それと同時に玄関に大きな音が響いた、僕は放心状態のねーちんをソファーに寝かせるとそのまま玄
関に近づいた。
「泉…なのか?」
 弱弱しい声で僕が呟く、返事は帰ってこない…意を決して玄関へ向かうと…そこにはたくさんの料理
と、それを乗せたお皿とかごがぶちまけられていた…。



340 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:24:16 ID:gJdem6/T
料理上手な彼女 ③

「…泉!!」
 僕は急いで外に出る、しかしその先に泉の姿はなかった、もしやショックを受けて家に帰ったのかな
そう思って泉の家の方角を見ると。

「じゃあね」
 泉は僕の真横にいた、その目は恐ろしくなるくらいに空ろで、視線も一向に定まっていなかった。
「あの…泉、実は…これはその…」
「お姉ちゃんと、お幸せに…」
 泉はそう言うとふらふらとした足取りで自宅に戻っていった。
「泉…」
 義務、なのだろう。男ならここで彼女を引き止めて、きちんと事情を説明する必要がありのだろう…
だって気づいてたはずだろ、あいつが僕とはなれても毎日毎日弁当を作ってくれた理由くらい…だった
ら、それこそ今すぐにでも事情を説明して、きちんとした対応を…。
 がちゃん!!
 そんな大きな音を立てて泉の家のドアが閉められた、それは彼女からの僕たちに対する完全な拒絶の
合図に思えた。
 いや、そう思い込んで逃げていただけなのかもしれない、だって、もしもここで彼女に対して、きち
んと僕が事情を説明できたなら、未来は…あの未来はかえられたのかもしれないのだから。



341 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:25:42 ID:gJdem6/T

 料理上手な彼女…の日記②

 6月某日 未記入

 お姉ちゃんに裏切られた、まーくんを取られた、私のまーくんを。
 どうして?お姉ちゃんはいつでも私の悩みを聞いてくれた、アドバイスもしてくれた、それ以上に私
のお姉ちゃんで…いつもわたしの大事なお姉ちゃんでいてくれたのに、どうして?なんで?。
 恨めないよ、嫌いになれないよ・・・でも、でもまーくんを取っちゃった事は許せないよ。
 何がいけなかったのかな?何が悪かったのかな?解らないよ、わからないよ。

 そうだ、私の料理が下手だからいけないんだ…そうだよね、私の料理がもっと美味しかったら…お姉ち
ゃんも私とまーくんが上手くいくように協力してくれたはずだ、まーくんももっと早くに私の気持ちに
気づいてくれてたはずだ。
 じゃああの人が悪いんだよね、そうだよね、だっていつも私のことぶって、自分にはかなわないって
ののしりながら料理の事を教えてたくせに…結局何一つ、私の大切なものを振り向かせる方法すら教え
てくれなかったんだもん…悪いのはあの人だよね。じゃあ、殺すしかないよね。
 (以降、多量の血痕により解読不能)


342 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:27:45 ID:gJdem6/T
料理上手な彼女 ③

 よくは知らないが、彼女との初デート後に一番大事なのは次の日のフォローだという。
 なら、こういう場合はどうすればいいのだろうか?
 次の日、僕とねーちんがきちんと今回の事情を説明するために学校への通学路で泉を待っていると…
そこに泉は現れず、変わりに二人の警察官が現れた。
 任意同行をお願いできますか?と、警察官はそういった。

 泉はあの後、寝室で眠る自分の母親をハンマーで滅多打ちにして殺し、調理師学校に…その、調理し
た母親の死体…その生首を持っていったらしい。
 見て!皆!この人ね、料理が大好きだったけど…どんなに調理してもおいしくないんだよ、最低だよ
ね、料理人として最低だよね…あはははははははは! 
 彼女は即、そのまま警察に逮捕された…僕たちはせめてものつぐないに、と事情を包み隠さずに説
明した。
 何がどうあれ、僕たちは一人の少女を、大切な幼馴染を二人して傷つけたのだ…そのための罰ならい
くらでも受けるつもりだった。

「わ…私が我慢すればよかったのかな…ひぐ…私があんなことしなきゃ、泉ちゃんは…うぐ…」
「いや…僕だ…僕が悪いんだ…僕がしっかりしてないから…うあああ!!!」

 僕たちは泣いた、泣き明かした、まるで自分たちが被害者だったかのように…。

 そして年が終わる頃、泉の事件は判決が下された。医療少年院送致、それが彼女に下された刑罰だっ
た…彼女は完全に精神を病んでいるらしく、弁護士との接見はおろか面会も断られる状況、と言った感
じだった。
 実の母親による虐待、そして思春期ゆえの精神の不安定さ…そして僕らの行動のせいで彼女は、壊れ
てしまったのだ。
 僕たちは誓った。もし彼女が帰ってきたら、その心が治ったら…今度こそ二人できちんと事情を説明
して謝罪しよう、そして僕たちの罪を償おう、と。 

 そして、更に数ヶ月が流れ、また季節がねーちんの誕生日に近づいたとき…泉は医療少年院を脱走し
て…そのまま姿をくらませた。



343 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:28:33 ID:gJdem6/T
料理上手な彼女…の思考

 …やっと解ったよ、お姉ちゃん。どうすればおねえちゃんを許せるのか解ったよ…そうだよ、ずぅー
っと眠りながら考えていたけどやっと解ったよ。お姉ちゃんがお姉ちゃんだからいけないんだよ…お
ねえちゃんが私と、まーくんと同じになればいいんだよ…うふふ、あはははははは!そうだよ、同じな
らいいんだよ、同じになれば…そう、全て…。
 待っててね、今行くからね…お姉ちゃん…。
 私もおねえちゃんのこと、あいしてるからね。



344 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/11/20(火) 01:30:32 ID:gJdem6/T
料理…下手なねーちんの日常

 その日、普段は人一倍とろい私は、珍しく緊張して体を震わせていた。
 数日前、イズミンが医療少年院を脱走した後、始めて私の家に電話をかけてきたのだ。
「会いたいの…どうしてもお話したい事があるの」
 イズミンはかれた声でそう言った、待ち合わせ場所は郊外の廃鉱山で、とのことだった。
 殺されるかもしれない、下手をすれば生きては帰れないかもしれない、そんな思考も頭をよぎった…
でも行かなければい、そうも思った…そうしなければ、私は一生彼女にした事に対して償いが行えないと
感じた。
 もちろん、数日前から私の周りには警察の監視の目が合った、多分この連絡も筒抜けだろうと思う。
 それでも、せめて彼女を説得するべく、私は郊外に向かって自転車を走らせた。

 夕方、やっと山間部付近の廃鉱山にたどり着いた時にはもう日が暮れそうになっていた、鉱山の入り
口に近づいて、入り口の鎖がきられている事を確認して大声で叫んでみる。
「イズミーン!いるのなら返事して!私だよ…お姉ちゃんだよ!!」
 声が坑道の奥深くに響き渡る、しかし反応は返ってこない…もう警察に捕まってしまったのだろうか
…そう考えながらも坑道の奥深くに進もうとしたそのとき、背後に気配がした。
「こんばんは、お姉ちゃん」
 背後に彼女がいた、突然の事に驚きながらも私はゆっくり振り向こうとする…夕暮れ時が近いので顔
が確認できるのか、不安になりながら振り向いた時…ごん!という衝撃が、私の頭部を襲った。
 気絶して倒れそうになる中、逆行を浴びて、手にかなづちを持った…懐かしい、それでいてどこか禍
々しい顔の泉を、私はしっかりと確認した。