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233 :名無しさん@ピンキー:2010/04/19(月) 18:41:30 ID:YUXM36Mz
月曜日・夜中

 やった! やった! やったよ!
 修二くんの彼女になれた!
 ベッドに寝転び、ひたすら歓喜する。
 彼女がいないことは知っていた。
 危険因子はいたけど、手を出してないことも調べはついていた。
 略奪も考えたけど、そんなこと無いほうが良いよね!
 あの女はいいけど修二くんが傷ついたらダメだから。
 むしろあの女は死んでもいいくらいだよ。
 邪魔だし。
 でも、修二くんはあの女と仲良かったからなぁ・・・
 多分修二くんはあの女が死んだら悲しむだろう。
 修二くんは優しいから知り合いが死んだら誰だろうと悲しむんだろう。
 やっぱり事故に見せかけないとダメかなぁ。
 私が殺すとこ見たら修二くんに怖がられちゃう。
 もしかしたら嫌われるかもしれない。
 そんなのは本末転倒だ。
 じっくりと計画立てないと。



234 :名無しさん@ピンキー:2010/04/19(月) 18:42:07 ID:YUXM36Mz
 木曜日・日没
 
 修二くんは優し過ぎる。
 私にはあの女の気持ちは解かる。
 修二くんとは離れたくない。
 でも修二くんは判ってないらしい。
 同情しないけど、修二くんの優しさは死刑宣告より残酷だ。
 優しさを向けられるのは嬉しい。けど気持ちに気づいてもらえない。
 同情したらきりがない。
 修二くんは私のものだ。
 ほかの女は諦めて他の男とくっつけばいい。
 修二くんに手を出したら消してやる。
 修二くんもあの女のことから早く解放してあげないと。

 

236 :名無しさん@ピンキー:2010/04/19(月) 18:42:41 ID:YUXM36Mz
金曜日・早朝

 通話料・・そう聞いて真っ先に連想するのは携帯電話。
 俺に限らず、高校生以上の日本人の9割り以上が同じ事を思う筈だ。
 月も半分を過ぎ、日付が20に差し掛かる。
 そんな段階から今月の通話料が心配になってきた。
 何故と申せば答えよう。
 先日に告白を受けた川上・・他人行儀もアレなので以下、咲良とする。
 そして咲良からの通話・メール件数が日中平均30から多いと50を越える。
 一回の料金は微々たる物だろう・・・だとしても!
 平均30回って多すぎるだろ!!
 一人暮らし + 現在バイト無し + 父親の仕送り なんて生活の人間にはキツいものがありますよ!?
 しかもそのことで咲良に言うと、
 「わ・・私のこと・・なんて嫌いになったんで・・・すか・・?」
 とか誤差があってもそんなニュアンスのことを言われる。
 加えて、暗く濁った虚ろな眼に、喪失感だけで構成されたような表情になる。
 少し怖いってのもあるが、嫌いなんてことは断じて無い。
 金銭面の問題である。
 そして説得にとても時間がかかる。
 バイト始めようかなぁ・・・
 ある意味、人生の岐路に着いた。
 


237 :名無しさん@ピンキー:2010/04/19(月) 18:43:06 ID:YUXM36Mz
ついでに、綾が以前とうって変わって異様にくっつくようになった。
 はっきり言って訳が判らない。
 で、少しでも離れるように言うと(彼女持ちとしての節度であるが)これまた判る範囲でも、絶望+喪失+悲嘆+恐怖+憎悪といった、一個人でも破滅の兵器を起動できそうな強い負の感情を覗かせる。
 こっちは落ち着くのが早いので割りと平気だが、気が気でない。
 恋人がいるという環境は男として喜ぶべきなのだろうが、今は重圧が勝っている。
 いつかは(ってか今すぐにでも)綾とは離れるべきだろう。
 だけどあの表情を見ると放って置けなくなる。 
 脇差の一件で異常なほど内向的になっていた俺を救ってくれたのは幼き日の綾だ。
 あの時鏡で見た自分の目つきに、綾の眼はよく似ていた。
 「借りを返す」それだけだと思う。
 綾と違い、俺では救えないかもしれない。 
 それでも放って置けなくなった。
 しかし問題点がある。
 家が近いということは当然として咲良と一緒に登下校することになる。
 そして「放って置かない」ということは綾も同行する。
 すると感覚的に半径2メートル圏内がグラヴィティエリアに変わる。
 咲良としては快くないはずだし、俺も心苦しい。
 綾のためじゃなければ絶対にそんな事はしない。が、決心が揺らぎそうだ。
 心は重くなる一方である。


238 :名無しさん@ピンキー:2010/04/19(月) 18:43:41 ID:YUXM36Mz
 「おはようございます!」
 澄んだ声が響いた。
 今日も朝から咲良が来たようだ。
 ちなみに俺は朝食を済ませ、登校時間まで一息ついていたとこだ。
 咲良が駆け寄ってきて、
 「はい、これ今日のお弁当です!」
 ドラマやマンガでしか存在し得ないモノと思っていたが、俺が体験する事になるとは。
 「あぁ、ありがと。」  
 弁当を受け取るが、嬉しさよりも今後の先行き不安のほうが強く、笑顔になれない。
 「・・修二くん、やっぱり私なんかの作ったお弁当なんて・・食べたくないんですか?」
 例の表情で迫られる。
 朝から拝まされるとは思わなかった。
 「いや、少し考え事をしててな。結構、家庭に関わるヘヴィな内容だったから気分良くないだけだ。咲良の作ってくれる弁当は大好きだよ。」
 我ながらふざけたことをのたまったものだ。
 顔が熱くなる。最後のとこが自分で恥ずかしくなってきた。
 当の咲良は表情を変え、頬を赤らめながら、愛玩動物を愛でるような眼差しを向けてくる。
 「修二くん、顔が赤くなってて可愛いですよ。」
 「ぅああ、支度するから待ってろ」
 心底恥ずかしくなってきたので強引に話を切り上げる。
 鞄を掴み、制服を整える。
 咲良をつれて玄関先へ。