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600 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/02(日) 23:24:20 ID:luw5Vc5w
幼馴染の俺から言わせると寂は美少女だ。
顔は全体的に童顔でパッチリとした目に高い鼻に薄い唇が絶妙にマッチしている。
髪は艶やかな黒でロングヘアーで前髪はパッツン。
体格は全体的に小柄で小動物を連想させる。身長は150cmだと本人は主張しているが本当は149.8なのは皆知ってる。
そして童顔で小柄な割に上半身にはたわわな果実が豊作状態(最近また大きくなって困ってるとか何とか)
さて、そんな美少女が不機嫌な顔をして男と歩いてる状況を想像できるだろうか。いや、してくれ。
「あー登校中は悪かった。悪気が有ってやったけど後悔してる」
「別にもう怒ってないわ。」
「睨みながら言っても説得力ないって。」
「もう許すって!!!だからもう話しかけないで!!!」
廊下で怒号が鳴り響く。と、同時にチャイムが鳴った。
「じゃあ!あたしこっちだから!」
「あ、おい…」
寂の怒り顔を拝める事は無かった。
まあ…放課後になれば寂の機嫌は全回複してるだろうと、いや…してないかもなぁ…。
「とりあえず考えても仕方ないので教室に行きますかね。」とまた足を再起動させた。


まだ教師の姿は教室にはなかった。
遅刻じゃ無いので自分の席に着席する。と左隣の飯田が話しかけてきた。
「よう、随分と景気が悪そうな顔してるな。何か悪いことでもあったか?」
「ああ、実は…」
「いや、昼休みの時に聞かせてくれ。飯が美味くなる。」
「          」
飯田、下の名前は覚えてない。人のプチ不幸を蜜どころかオカズにして白米を食うのが好きなやつ。一応友人…とは思いたくないが周りから見ると友人らしい。
「まぁ、人が死んだ話なら聞きたく無いけど」
飯田は僕から見て右隣りの、瓶の中にささった菊の花が置かれた席を見据えて言い放つ。
僕の右隣に居た生徒、植田美樹は僕と親しくなり死んだ。マンションの通路の柵と一緒に転落して帰らぬ人となった。
「違うよ。寂と喧嘩した。」
「だあああああああ!!!!言うなバカ!!!!昼に言えって言っただろ!!!勇輝のバカ!!!意気地なし!!!」
いや、そんな潤んだ目で怒られても怖くないんだけどね。むしろ哀れだ。というか某アルプスの少女の名台詞を使うな。
「うああああああああああああああああああああああ。」
と叫びながら片山は机に伏せた。特に悪いことしてないのに罪悪感が血液と共に体を駆け巡った。
「はいはーい、朝のホームルームの時間ですよー。」
教壇からの声の主は我らが担任の井上先生(あだ名はいのちゃん先生。本名井上彩子。英語担当の26歳女教師。独身。)
「えーっと、最近通り魔が出没するそうです。我が校でも2人の女生徒が犠牲になったので皆さんも気をつけて下さいね~。」
通り魔の餌食になった女生徒…橋本加奈と倉田楓…。前者は1年の時のクラスメイトで後者は保健委員の先輩であり、俺と親しかった女性達だ。
殺され方は悲惨で加奈は両腕を折られ腹に指紋のない包丁が刺さっていて、楓さんは首をワイヤーで締められて絞殺、何故か髪をすべて剃られ左の指の関節が全て折られていた。
「じゃあ、授業を始めますよ~。英語はテキストの56ページから始めます。片山くん、寝ないで下さい。」
「          」
片山は無言だった。というより幽体離脱しているようだった。
「仕方無いですね~。ほっときますか。」
そして先生は黒板に英文を書き始めた。先生の書いたloveの文字でラブレターを貰ったの事を思い出す。
ポケットから取り出して便箋を開け、手紙を開く。5枚ほどの手紙が入っていた。多くね?
そして手紙を広げ、書かれている綺麗な字を目で追う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・

疲れた…。端的に言うと好きです付き合って下さい。今日の昼休みと放課後に屋上で待ってます。という内容だった。コンパクト イズ ベスト.
あぁ…どうしたもんかね、と左に視線を落とすと片山が未だに現実からエスケープしていた。


601 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/02(日) 23:41:20 ID:luw5Vc5w
結局、片山は昼休憩まで幽体離脱をしていた。おかげでノートは白紙だった。驚きの白さだった。
「ほら、英語と数学と家庭科と古文のノート。」
「おぉ、ありがとう。心の友よ。」
ジャイアンかお前は。
「じゃあパン買いに行って来る。」
「あ、俺の分も」
「やなこった」
「と言いながら買って来てくれると信じてるよ、心の友よ。」
「はいはい」
俺は購買でパン買ったら教室じゃなくて屋上に行くから買わないけど。あと心の友でも無い。
購買で焼きそばパンとカツサンドとりんごジュースを買って屋上に向かう。。
そうこうしてる内に屋上に通ずる扉の前に着いた。後はドアノブを捻れば良いのだが、何せ愛の告白を断るのだから気が重い。
ガチャとドアノブを捻りドアを押して辺りを見回すと一人の女生徒が居た。膝には弁当箱を二箱乗せている。
うーん、話掛けるべきか否か。そもそも綾小路美月なんて名前の人間を俺は知らない。
そんなことを考えていたらその少女がこちらに気付いたようだった。けれど、話掛けては来ず俯いている。
しばしの沈黙が流れる。とりあえず動かないと事は始まらないようだ。
「君がその…綾小路美月ちゃん?」
少女は顔をあげてパァと明るい笑顔を俺の眼球に焼き付けてきた。
つーか可愛い。なにこの子、寂くらいの黒さを誇るショートヘアーに真珠の様な肌と宝石の様な眼球。すらっとした鼻のコンボ。
「来て下さったんですね!」
「あ、うん」
「あの、お弁当作って来たので良かったら召し上がって下さい!」
「あーいや、告白の件なんだけど」
「それは後でも構いません。あ、パンを購入なされたんですね…」
そんなシュン…てされてもなぁ。まぁせっかく作って来たようだし
「あー、後で友達にでも売りつけるさ。貰えるかな?」
「はい。どうぞ!」
手渡された弁当の中身は…こう、なんていうか凄かった。「伊勢海老を高校生の弁当に入れるとかとか食材の無駄遣いだろ。」なんて作った本人の前では言えなかったのでその言葉を飲み込んだ


602 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/02(日) 23:42:37 ID:luw5Vc5w
「す…凄いね。手作りなの?」
「はい、うちの専属シェフに教えて貰って自分で作りました!」
「へぇー…」
普通そこには「専属シェフ」じゃなくて「お母さん」が入ると思うんだけど…。
「もしかして疑ってます?私これでも料理は得意なんですよ…?」
確かに疑ったが疑ってるのはそこじゃねぇ!
「いや、専属シェフって…」
「専属シェフは専属シェフです。」
オーケー。通じてない。それどころか潤んでる。
急いで高級そうな箸で卵焼きを口に運んで咀嚼する。…! なんだろう、このふわふわ感。俺が作る卵焼きより美味い…。
「あの…お口に合いませんでしたか?」
引き続き宝石のような瞳を潤ませて綾小路ちゃん(と呼ばせてもらう)が顔を覗かせて俺に質問する。
「いや、おいしいよ。これまで食べてきたどんな卵焼きよりも。」大袈裟な返答でも嘘でもない。
「本当ですか!?」
「ほんとほんと」
と言いながら伊勢海老に箸を伸ばそうとしたその時に
「嬉しいです…」
と綾小路ちゃんが笑顔になった。…頬に水滴を走らせながら。
「あ、ごめんなさい。嬉しくて、つい…」
普段ハンカチを携帯するのを忘れる自分に嫌気がさした。ハンカチが無いので制服の袖で涙を拭ってやる。
「あ、そんな、汚れちゃいます」
「いいから」
この後に告白を断るなんて残酷な事をしなければならないのに俺は何をしてるんだろう。でも泣いてる女性、それも年下の娘が泣いてる状況ではこうするしかなかったんだと見えない何かに言い訳した。
しばらくして泣きやんだ綾小路ちゃんの横で俺は高級弁当をたいらげた。
「おいしかったよ。ありがとう。」
「いえ…あの…その…返事をお聞かせ下さ『おい、篠原~探したぞ!』
おい…タイミング悪いにも程があるだろ心の友よ
「お前、女の子といちゃラブしてたのかよ。俺のパン…あぁこれか。」
片山がカツサンドの封を切り、乱暴に自分の口にぶち込む。
「あと次は体育だぞ。遅れるから早く行くぞ。」
口に物を入れながら喋るな。汚い。そして俺の手首を掴むな。
「ほら、ぼさっとすんな。いくぞ」
「えっ…ちょ…。あ、綾小路ちゃんまた!」
「はい…」
綾小路ちゃんの儚げな表情を見て罪悪感がまた血液と共に体を駆け巡る。
「片山、お前空気読めよ。」
「何が?お前みたいなリア充は爆発しろ。そういやお前の幼馴染の天野が無表情で廊下を歩いてたぞ。何か怖いオーラが立ち込めてたし。お前朝喧嘩したとか言ってたけど何したの?」
「マジかよ!!」
怒ってる顔ならまだいいが…無表情の寂は一番怖い。どうやら今日が命日になるかも知れない。


603 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/02(日) 23:43:29 ID:luw5Vc5w
体育が終わり6時間目の世界史が終わり放課後のホームルームが始まり金曜日の学校が終わろうとしていた。時間よ止まれ。ザ・ワールド!無理か。今度は僕が現実逃避していた。
あー明日から土曜日なのに嬉しくない。なんでだろう。理由は簡単!それは寂が覚醒モードだから!
うん、こうなったら寂に見つかる前にダッシュで帰ろう、そうしよう。
「あ、今日の掃除当番は篠原君と武田くんと上杉君と徳川君です。」
いのちゃん先生が俺に死刑を宣告した。だあああああああああああ
「じゃ、通り魔に気をつけて下さいね。じゃあ、挨拶お願いします。」
起立、礼、解散の号令と共に俺も帰ろうとした。が、俺の前にお掃除三銃士が立ちふさがった!

武田があらわれた!▼
上杉があらわれた!▼
徳川があらわれた!▼

どうする?▼
と聞かれても俺の選択肢には逃げるの3文字しか無かった。

篠原は逃げようとした▼

しかしまわりこまれてしまった!▼
ので観念して仲間に成りたそうな顔をしたら箒を投げつけられ、晴れてお掃除四天王が結成された。…早く終わらせるか


604 :悪意と好意と敵意 ◆f7vqmWFAqQ :2010/05/02(日) 23:44:11 ID:luw5Vc5w
掃除を終えて下駄箱に向かう途中に寂が居た。見つからないように歩行する気分はスネークそのものだった。影の薄さだけが取り柄なのでそれを活か「あ、遅いよ。ゆーちゃん」
オウイエー!ガッテム!バレた!が、寂は普通だった。
「どうしたの?帰ろ?」
「あぁ…」
まぁ助かったみたいだしいいか。
寂とニコニコ肩を並べて帰る。俺にとっては普通で日常的なのだがまだ油断は禁物だ。「一瞬の油断が命取り」という某謙虚なナイトさんが残した名言もあるし。
「ねぇ、昼休みどこに行ってたの?」
「ちょっと自分探しの旅に」
「臭い…」
しかめっ面で言われんでも自分で自覚してるから「自覚してる」と答えておいた。
「そんなことよりさ、もしあたしが最近流行りの通り魔に殺されたら、どう思う?」
「まぁ、腐れ縁の仲だから悲しくはなるかな。」
「好きな女の子だし?」
突然の寂からの爆弾発言に俺の心が被弾した。くぁwせdrftgyふじこlp;@
「もう好きじゃねーよ!フラれたし!」
「そう、まあそんな必死になって反論しても説得力無いけど。」
「うッ…」
「朝の仕返し。いや~満足満足。」
「おま…」
「んじゃ、あたしこっちだから。」
いつの間にか分かれ道に来てしまった。
「あと、悲しくなるとか言ってくれたのは嬉しかったわ。じゃ、月曜日に!」
と言って走っていく寂の姿を見届けた。そして顔から火が出る程恥ずかしくなった。



家に帰って自室のベットに横たわる。宿題をしながら。
因みに宿題とは「相手を傷付けずに告白を断れる方法の発見」である。マジでどうしよう。












と考えていたけれど、それは無駄になると月曜日に思い知らされる事になった。